特に記事の集合である雑誌は、少年雑誌の人気マンガ投票になってしまいかねないため、レビューしようがない。
ただ、数年前からCQ出版では、雑誌にマイコンボード等が付録することが多くなった。
フレッシャーズの学習向けとして2004年4月号に付録したH8-3694Fが、最初だったと記憶しているが、それから年に2~3冊出ているのではないだろうか。
私は、この号からマイコン基板が付録した号はほぼ全て購入している。開封しているか否かは別として。
そこで、書籍ではなく基板を中心にレビューする形で、マイコンが付録してきた雑誌の登録していきたいと思う。
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今回は、現在まで発売されたマイコン付録雑誌で最も新しい号になる Interface 2011年5月号に付属したRenesas社製マイコンRX62N基板である。
このCPUは、Renesas社の最新CPUシリーズである。
Renesas社は、旧HITACHIのシリーズ(H8、SH)だけではなく、再編されたMITSUBISI系(M16、M32)、NEC系(78K、V850)等、シリーズが乱立してしまっていた。
そこで、先日のNECエレクトロニクスとの統合を機に、各CPUの良いところを集めた新しいシリーズを作り、置き換えを進めようとしている。
それがこのRXシリーズと、ローパワーシリーズRLシリーズだ。
確かに、CPU機能・性能や割り込み動作等を見ると、高性能CPUのそれを模した形になっており、性能の向上が見込める(使い勝手が良いかは別)。
この性能を活かしたシステムを作れるかどうかは、設計者やプログラマの力量になるだろう。
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このRXシリーズのすごいところは、CPU性能だけではない。ずばり、サンプルの多さなのだ。
Renesas社のRXシリーズサイトにいくと、かなりの数のサンプルが置いてあり、全ての周辺機能を網羅しているのではないかと思う程、充実している。
しかも、機能を組み合わせた応用的なサンプルも置いてある。
例えば、USBメモリを記憶領域として、Ethernet上でwebサーバとして動作するサンプルなどがある。
USBメモリ制御、ファイルシステム、Ethernetコントローラ制御、プロトコルスタック等のソースが手に入ってしまうのだ(一部はライブラリ提供)。
驚くほどの情報提供量であり、面白い発想を簡単に実現して欲しいとRenesas社は考えているのかもしれないが、プログラマ殺しと感じられてしまう。
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この分野に興味のある人が対象にはなるが、トータル的に見ると、Renesas社製でメインになっていくCPUであるため、今後Renesas社CPUの採用を検討している人は試してみると良いだろう。
残念なのはEthernet用のパターンが特別準備されていないため、優先ネットワークに接続したい場合は拡張コネクタから配線する必要がある。
PHY等を手半田するのは無理だと思うので、パターンを起こすか、追加販売されている拡張ボードを仕様しなければならない。
ここまでRenesas社が大きく出たCPUでため、もしかしたら、マイコンの世界では、WiFiやBluetoothがメインになり、Ethernetはなくなっていく方向なのだろうか...とも考えてしまう。
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購入金額
2,310円
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購入日
2011年04月頃
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購入場所
いっしーさん
2011/07/28
スターターキットがなかなか発売しないんですよね。
RX62Nはずっと開発中のまま・・・。
最近RX62Tのスターターキットは出たみたいですけど。
蒼-aoi-さん
2011/07/28
車載用の生産がダメージを受けたことが、全世界に影響を与えましたからねぇ。