レビューメディア「ジグソー」

地デジ録画は余裕、視聴と録画は盲点だったHDDがボトルネック

この度は、Core i7-870S、870のレビューを担当させていただき、ありがとうございました。私にとってはかなりブランクの空いた最先端のハードウェアに触れられる機会だったので、事前にリサーチする事も多くかなり刺激的な経験をさせていただけたと感謝しております。

個人的にはあまりハイスペックなマシンを追求するタイプでは無いのですが、これだけの世代が空いてしまうと流石に圧巻という一言で、「やっぱり速いマシンはいいなぁ~」の一言につきます。

------ レビュー ------

レビューアー応募の際、自由課題を選択し、「地デジ録画&視聴マシン」として構築してレビューをさせて頂くことを申し出ましたので、予定通りその方向でレビューさせていただきます。

・ハードウェア構成

マザーボード



メモリー



グラフィックカード



電源ユニット



ケース



ハードディスク

・地デジ録画サーバーとして
ハッキリ言って余裕のCPU処理能力です。視聴しながら録画してもタスクマネージャで見ているかぎり、8つのスレッドはサボッてばかり。CPU稼働率も15%以下です。録画予約の為にブラウザを起動してみてもメモリーが4GBあるので(32Bitなので実質3GBですが)処理能力的には問題はありません。
地デジ録画&視聴マシン(ダブルチューナー)
地デジ録画&視聴マシン(ダブルチューナー)


P7P55D-Eには、「EPU-6 Engine」という省電力のソフトウェアが付属しており、簡易ですがCPUの消費電力をモニタリング出来ますし、消費電力重視、処理能力重視などのプロファイルを設定して制御させられます。今回は実際の消費電力を計測する機器を準備出来なかったので、この「EPU-6 Engine」が表示するワット数を参考にすることにしました。PCが待機中は5W程度、地デジ録画中は10W程度、地デジ視聴と録画を同時に行っても20Wまで達することはほとんどありません。Core i7-870Sは地デジの視聴や録画程度ではCPU的には余裕のよっちゃんです。

ただしCPUだけが突出していてもマシンのバランスが悪いという課題も浮上しました。地デジ録画はHDDに負荷をかけるというか、断片化が異常に進みますので余裕の処理能力のハズなのに、録画されたものを再生すると一瞬スキップしてしまうことがありました。これは推測ですが読み込みと書き込みの処理が輻輳した場合に書き込みが遅延してしまい、データが欠落してしまうのではないかと感じています。ソフトウェア的に書き込み(録画)を優先してくれればとりあえずは回避できる問題ですが、フリーウェアの組み合わせではそこまでの統合は無理でしょう。

そう考えるとCPUやメモリーの処理能力が高くても、記録する為の部分でバッファをもうける等して工夫しないと、視聴&録画を同時にこなすことは難しいのかも知れません。今回使用したフリーウェアはソースコードが付いているので、プログラミングが出来る人ならその辺りをソフト面で解決出来るのでしょうが、私にはプログラミングスキルが無く対応不能です。

可能な方法としては、HDDへのアクセス性能を強化してやることが、視聴&録画の両使いとしてはCPUの処理能力以前に効果的なのではないかと感じています。地デジの視聴や録画程度では、これ以上のCPU処理能力はもてあますだけです。今後はもてあますパワーをいかんなく発揮できる様に配慮されたアプリケーションが必要なのでは無いかと漠然と感じますし、きっとそういうアプリケーションが増えてくるでしょう。このジャンルではまだまだハードウェアの進化にソフトウェアが追従出来ていないという言い方が出来るかも知れません。(とは言うもののCore i7の普及度から言うと無茶な言い分かも知れません)

・地デジ録画結果をエンコードする
ts形式で録画したものをそのまま保存しておくと、HDDの容量がなんぼあっても足りません。テラバイトなんて夢の夢と思っていた数年前ですが、今やテラバイトですらあっという間に圧迫されてしまう程の情報量です。現実的にはライブラリ化する為には何らかの形式で圧縮してデータを少なくするしかありません。おそらくそこまでやって初めてこの、Core i7のCPU能力の本領発揮というところです。それくらいの処理をさせないと8つのスレッドが柔軟に働く状態にはなりません。

tsファイルを映像と音声に分離させてから、「TMPGEnc 4.0 XPress」を使って圧縮処理をさせてみました。ソフトウェアがこのCPUを生かし切れないせいだと思いますが、予想に反してCore2 Duoに比べて感激するほどは速くありません。タスクマネージャで見るとスレッドの多くがサボっているからです。CPU負荷も必要以上には上がりません。Core i7の処理能力を活かすにはやはりそれに対応したOS、アプリケーションを使わないといけないのでしょう。今回、使い慣れたWindowsXPを使ったのが問題だったかも知れません。(この後、構築した手順などを整理してから、Windows7で再構築してレビューしたいと思います)

地デジ録画されたものを録画の予約が空いている時間にバッチ処理でエンコードしてファイルサイズを小さくし、元(ts)ファイルを削除、断片化の解消をするところまで自動化出来れば、結果的にその形式で録画したということと等価になりますのでそこまで出来たら地デジ録画サーバとしての一つのシステムが完成と言えそうです。(現実は、自身にプログラミングスキルが無いのでシステム化を実現するのはほぼ不可能ですが。)

・Core i7-870Sと870の比較
困ったことに違いがほとんど分かりません。地デジ録画サーバとして使用している範囲では誤差程度にしかEPU-6 Engineの数値(ワット数)の違いもほとんどありません。意図的に負荷をかけてみた感じでは無印のCore i7-870の方がリニアに処理能力を上げて来る感じではありますが、だからといって結果に大きな違いがあるかと言うと微妙です。Core i7-870Sは腰が重いというか、どっこいしょという感じで処理能力が要求された時にちょと遅れて反応する感じです。

今回はワットメーターを準備出来ていないので数値での計測ができておらずデータ的に完全に不足していますが、体感的には劇的と言える違いがありません。これが夏場の温度が上がる季節なら、もしかしたら発熱する温度で違いが分かったかも知れませんがこの季節では排熱の温度もほんのりとしか温かく無いので違いも分かりません。

ASUSマザーボードが得た情報を表示してくれる、「EPU-6 Engine」の数値を信じるならば、Core i7-870Sの方が負荷に対するレスポンスが落ちる反面、省電力方向に働いているので、余裕のアイドリングでも事足りる用途の地デジ録画サーバでは、Core i7-870Sに軍配を上げたくなります。なにしろちょっとやそっとでは全力を出し切らないCPUという感じなので、省電力に徹してくれた方が長時間稼働しっぱなしのマシンには向いていると思われます。実際そこまでの負荷はかかっていませんので。

# 普段はそれほど負荷のかからないけど、いざという時には処理能力を要求される
# サーバー用途にも向いていると感じます。DB連動のWebサーバなどにも良いかも知れません。

・今回のまとめ
地デジ録画サーバとしてのCPUとしては、Core i7-870Sは、CPUの性能は要求されるものを余裕でこなす圧倒的なパワーを持っています。しかし録画と視聴とを一台のPCで行うとなるとHDDが脚を引っ張るということがほぼ確実だと判明しましたので、ストレージ周りを改善しなければ、一台で全てをこなす快適なマシンを実現するのは難しいと感じました。圧倒的な処理能力を持つCore i7を搭載しているにもかかわらず、視聴中に録画が始まると一応観るのを止めておこうと気遣うのが実情です。(地デジチューナーの性能にも左右されるのかも知れませんが、CPUは余裕で稼働しているのでその可能性は低いかなと漠然と感じています)

録画してるしてないを気にせずに、観たい時に録画したものを観て、エンコード処理や編集(カッティング)まで出来るパフォーマンスを持っているのに、録画の失敗を気にしてしまう。おそらくその原因はHDDが脚を引っ張っているとみて間違いないでしょう。ここはなんとかして改善しなくてはならない課題だと感じます。録画時のデータ断片化が大きく影響している様なので、作業前、予約の無い時間などにデフラグを実行する仕組みを組み込む事で改善されそうに思います。場合によっては断片化の起こりにくい他のOS(ファイルシステム)で解決するのかも知れませんが、やはりWindowsがアプリケーションの関係上最も扱いやすい地デジ録画&視聴環境であることに違いは無いでしょう。もはやNTFSでは対応が難しいのかも知れません。WindowsというOSが多くのファイルシステムに柔軟に対応する必要があるという見方もあります。

てな訳でSSDに録画させたら解決するんじゃないかと密かに考えています。これ気になるわ・・



・お詫び
消費電力を計測する機材の調達が出来ず、数値でレビュー出来なくて結果的に主観の入った体感的レビューで申し訳ありません。慎重に観察はしてみたもののやはり説得力のある数値で出すべきだと感じます。この後ワットメーターを入手してレビューの内容に加えたいと思います。ワットメーターは他の用途にも使えますので。

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・過去のレビュー
日記にも記しましたが今日ようやく、Core i7-870Sレビュー用のパーツ一式ををケースに組み込みました。そしてWindows XP 32bitをインストールしてドライバ適用。簡単に稼働確認をしてみたのですが・・・



めちゃ普通に動いてるやん・・

タスクマネージャでスレッドが8つあるのを確認。一個だけグラフがちょっと動いているが、数値にすると3%とか増えても7%って、車にしてみればアイドリング状態みたいなもんじゃないか・・・(唖然

こりゃ地デジ録画程度の仕事は余裕でこなすってことは分かっていたけど、ゴリゴリエンコード処理まで自動化させても大丈夫かも知れない。バッチ処理させるところまで出来ちゃうかも。問題はスクリプトで対応できるかどうかってところだな。プログラミングは出来ないので(私)。

今日は具体的な数値とか比較とかは取ってないので、全く持って私の体感的なレビューにとどめますが、技術の進歩は恐ろしいことですね。本当に普通の事を普通にこなすこの余裕が凄すぎます。しかも電源ユニットの発熱以外は発熱らしい発熱ほとんど無いし。(エアフローのファンの風が温かくないのだ)

31人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • shinさん

    2010/10/07

    さんざん調べ迷ったあげく、結局、ASUS P7P55D-Eを購入したのであーる

  • operaさん

    2011/04/07

    SSDは価格が最大のネックですから難しい所ですよね。。

    メモリの価格が下落しているので、RamDisk系で何とか改善とか出来ると良いですけど、

    難しそうですね。。(^^ゞ
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