オーバークロックするなら交換したいパーツ
PCが本来持っている性能を引き出すオーバークロック。より高い次元で動作させるからこそPCに使用するパーツには気を配りたい。パーツの選定やそれぞれの相性を良く理解した上でオーバークロックを行えば、より安定した運用が可能となる。今回監修をお願いしているduck氏にそれぞれのパーツを選ぶ上でのポイントとおすすめの製品を聞いてみた。ぜひ参考にしてオーバークロックに強いPC作りに役立てよう!
CPU
Sandy Bridge(Z68)のオーバークロックはBCLK(ベースクロック)が少ししか上げられないので倍率を上げる作業がメインとなる。冷やせば冷やした分、伸びしろがあった旧世代CPUとは異なり、0℃以下まで冷やしてもあまり効果は出ない。空水冷の段階でオーバークロックの限界が見えてしまう個体がほとんどだ。逆に言えば空水冷派やオーバークロック初心者には非常に扱いやすいCPUとも言えるだろう。CPUの性格として高倍率=高クロックで動作出来る『倍率石』と、高クロックでの動作は苦手でもBCLKが108付近でも動作できる通称『BCLK石』が存在する。高クロック動作の出来ないいわゆるハズレ石だったとしても、BCLKが上がればメモリのオーバークロック耐性をチェックするなど有効活用したい。
Sandy Bridge-E(X79)と呼ばれる3930K、3960Xは基本的な性格は2600Kなどと同じだが、オーバークロック時には極端に発熱するので、ある程度冷却を強化しないとCPUの限界を見ることが出来ない。常用で無理せずに使うなら冷却プランは必須だ。Sandy Bridge(Z68)よりも BCLKの枠が広がったお陰でメモリクロックが細かく設定出来る様になった。QuadChannel の恩恵もあるので十二分に遊べるだろう。オススメはこちら
マザーボード
オーバークロック初心者はBIOSの自動オーバークロックツールを使い最適なオーバークロック環境を築くところから始めよう。ある程度オーバークロックに慣れてきたら、更に上を目指す為にBIOSを手動設定に変更したい。XMP(eXtreme Memory Profile)などの自動設定の数値を基本として少しずつBIOS項目を詰めていけばよい。エンコードや高負荷時にはマシンパワーを必要とするので電圧やクロックも高めに設定して冷却ファンを効かせるのも良いが、常用時には静かにかつ省電力で使いたい。普段使いにはBIOSのオーバークロックプロファイルを上手に活用しよう。オーバークロックプロファイルでは、任意で作った何パターンかのBIOS設定を記憶することができる。それぞれのBIOS設定を状況に応じて一発で呼び出せるので便利に使いたい。オススメはこちら
ストレージ
CPUやマザーボードを高性能にするならストレージにも気を配りたい。一つのパーツだけを突出して強化しても、潜在的に持っている性能を使いきれない。また、手を付けないパーツがあると、相乗的な効果も半減してしまうかもしれないのだ。全体のバランスが取れたチューンナップを心掛けたいところだ。ストレージならHDDに比べて各段に速いSSDを選びたい。BIOSやソフトでオーバークロックの設定する時など、何度かシャットダウンと起動を繰り返す際にも、SSDなら立ち上がりが速くて時間が短縮できる。オーバークロックして速くなったCPUの性能をフルに使いきるにも、データの読み込みと書き出しが高速で行えるSSDはオーバークロックPCのストレージに最適といえる。 オススメはこちら
メモリ
メモリを購入する際、オーバークロックを目的とするならメーカーや型番ではなく、搭載されているメモリチップで選ぶのが一般的だ。慣れている人ならメモリの基盤、チップの製造年月日までをも追求するぐらい、メモリの選択は重要な要素なのだ。最近はオーバークロックの結果がCPUにほぼ依存していてCPUだけではあまり差がつかない場合もあるので、良いメモリを選んでパフォーマンスアップを目指したい。現在市場で容易に入手できる高クロック版のオーバークロックメモリのほとんどがHynixチップを搭載した製品だ。DDR2133を超えるスペックだと4GBモジュール品でタイミングが10-12-10-*****などが一般的となっているのでどこのメーカー製品を使っても大差はない。安定していてハイパフォーマンスなので、ゲーミングマシンや常用オーバークロックにはなら十分だ。更に上を目指したい人には『競技用メモリ』のカテゴリを設けてあるので参考にしてほしい。オススメはこちら
グラフィックボード
グラフィックボードをオーバークロックする目的として、よく挙げられるのはゲーミングマシンとしてのグラフィックスの強化や3Dベンチマークだ。「おすすめパーツ」ではゲーミングマシンや3Dベンチマークを前提としたモデルを中心に紹介している。3D環境に絞って今後のことまで考えるのであれば、最低でもGTX560Tiクラスは必要。ただし、ゲームはやらないという人や2D系のベンチマークが主な目的なら無理に高価なカードを購入する必要はなく、12Vラインになるべく負担の少ないカードを選択するのがベスト。特にスーパーπなど2Dベンチをプレイする際は補助電源なしの古いボードでも十分だ。オススメはこちら
電源
自作PCを楽しむ分には大きな影響はないが、オーバークロックまで視野に入れると電源選びはCPUの次に大事な部分ともいえる。いくらコストを重視したとしても絶対に手を抜けないパーツだ。容量だけで考えるのであれば、普段なら650Wもあれば数値的な出力なら十分といえるが、オーバークロックを行うとなると品質はもちろん余裕がどのくらいあるのかが結果に大きく影響するので、『ワンランク上で選ぶ』を基本としたい。しかし、厳密に言えば電源の選別には時間が掛かる。なぜならCPUなどとは違って、使ってすぐに良し悪しの判断がし難く、長期間使用し定期的に細かくデータを取りながら良否を下すこととなるからだ。オーバークロックに向いた電源選びをする時、まず注目したい点は+12Vが1系統であること。+12Vが1系統の電源の方が高負荷時にも断然安定するからだ。常用する時の効率を考えれば複数系統でも良いのだが、非常に高い電圧を要求するオーバークロック時やハイパワーのグラフィックボードを使用する高負荷時などは、予期せぬ高電圧の要求に電源側が対応出来ないケースが出てくる。兆候としてはいきなりのシャットダウンや、電源が使えなくなるケースも多く、その場合に他のパーツも巻き込んでしまうことも少なくないので注意したい。ゲーミングマシンにハイエンドなグラフィックボードを搭載したり、マルチGPU環境を構築するケースも増えてる現状を考えると+12Vは最低でも60A以上、上級者は80A以上は欲しいところだ。ちなみにオーバークロック競技向けを選ぶのなら90A以上あっても足りないくらいだ。オススメはこちら