ここまで紹介してきたメモリはあくまで『常用』も視野に入れた製品。せっかく『オーバークロックで上を目指す』のなら、入手が多少困難でもオーバークロック競技向けの製品を探したいところだ。上級者が選ぶ目安としては、PSCや旧Elpida-twn製のチップを搭載したメモリでとにかくハイクロックな表記の型番が有利。CL6か7でtRCD項目(CPU-Zの上から2番目)だけ緩めたタイミング設定で2200MHzあたりか、それ以上での動作を狙いたいところだ。
Sandy以前の世代では、このようなハイクロック動作が出来ても低レイテンシ&タイミングで動作出来なければパフォーマンスが出なかったが、最近になって状況は逆転。つまり、X58やP55時代に『セカンドラベル』の烙印を押されたパーツが今となっては非常に価値が出てきた為、中古市場から比較的安価でお宝を見つけ出すチャンスもあるのだ。
X58または旧世代用の最強メモリはElpida-Hyperチップをおいて他はないだろう。もちろん、同世代のマイクロン、同じくElpidaのBDBGあたりでも3Dベンチなどあまりメモリのタイミングが影響しないベンチなどでは戦える。今となってはPSCチップなどに王座を奪われた形だが、それでも高耐性のモノはSandy世代になっても大きくは遅れをとらない。
今となっては市場で新品に出会えることは極めて難しく、中古市場で探してくることとなる。入手困難なイメージかもしれないが、当時のElpida-Hyperチップはメーカー、型番や動作クロックに関係なく様々なメモリに混在しているので、探すと思いもよらず所にあったりと意外に見つかることが多い。どうしてもElpida-Hyperチップが欲しいなた諦めず探してみよう。
Elpida-Hyperチップは大きく分けて2種類。パッケージにMNHと書かれているのが初期型で要求電圧も高い。その為CPU側のメモリコントローラーへの負担も大きく、大幅なオーバークロックをする際には壊れてしまうことも多かった(定格電圧で2.05vという製品もあったくらいだ)。ただし、選別や基準値も緩かったせいか?表記されているメーカー公表値よりも遥かに上回るオーバークロック動作が出来るものが多数埋もれていて、探す楽しみがあるともいえるのだ。後期のものはMGHと表記されていて、要求電圧も低く改良されていて動作クロックの選別もしっかりされている。安定したその分、オーバークロックをしても表記されているメーカー奨励クロックより上はあまり伸びないケースも多い。
Elpida-Hyperの特徴だが、メモリタイミング設定で大きく速度に関係してくる tRCD項目が低くても動作出来るところにあり、CLも6~8、クロックもDDR-1866~2300あたりまで動作出来る。代表的な設定例としてゾロ目と言われるCL7-7-7-20-60や7-7-5-20-60の設定でDDR-1000以上で動かすのが競技の世界では一般的となっている。
G.SKILL F3-19200CL8Q-8GBZHD
G.SKILL F3-17000CL8D-4GBXMD
Corsair CMG6GX3M3A2000C7
メモリをオーバークロックする際、どれくらいの電圧まで耐えられるのか?
オーバークロック動作は「絶対に壊れない」という保障はないが、壊れにくい一つの目安となる基準はある。チップや環境でも変化するがケースなどの閉鎖された環境の空冷でオーバークロックする場合、ヒートシンクが60℃を越えるケースもある。常用オーバークロックが目的なら1.75vくらいを目安にするといい。また、Z68以降のCPU自体は、メモリコントローラーの耐性が高くないのでメモリ自体が壊れなくてもCPUのメモコンに支障の出るケースもある。最大で1.8v以内に抑えた方が無難といえる。当然、CPUに対しても冷却を強化したい。メモリチップによっては高電圧で急に伸びる個体もあるのも事実。ケースから出した通称・まな板状態なら1.85vくらいまで、極冷環境なら1.9vくらいまでと、個々の冷却環境に合わせてオーバークロックを試してみたい。
紹介しているパーツは2012年1月現在の情報です。その後変更となる場合がありますのでご了承ください。