レビューメディア「ジグソー」

低電圧でしっかり安定 今後も期待のDDR4

Crucial扱いのDDR4 2133 8GBモジュール。ついに登場した次世代DDR4メモリ。

※一部内容はCPUレビューと重複しています。

今回は4枚で使用しているが、セット品ではなく単品の製品。

サーバーメモリと称されているように、本来は自作ユーザー向けというより組み込み向けで、同モジュールの自作PCショップでの流通も限られており、このモデル自体の入手は困難。そもそもDDR4モジュール自体が品薄傾向で価格も為替の影響をモロに受けてしまっているのだが。

 

組み込み向けという事で実にシンプルなパッケージ。そして自作PC向けでは少数派となったヒートスプレッダレスに緑基盤のいかにもメモリなスタイル。別にCrucialがそういう方向性という訳ではなく、手持ちメモリで最高にCOOLかつ無駄に光るメモリである「Ballistix Tactical Tracer」もCrucialだ。きっちり住みわけててラインナップしている。

 

後述する低電圧の影響もあり、スプレッダに関しては必要性は下がっているように見える。逆に言えば余裕があるからこお遊びスプレッダにも展開されないかと期待しているのだが。

 

またDDR4は端子部の形状が一部ナナメになっている。下はDDR3との比較。

これにより挿し易くなった…らしいのだが、少なくとも今回組み合わせたマザー(ASUS X99 DELUXE)のスロットに挿した感覚はDDR3のそれと差がなくしっかり力を入れる必要がある。むしろ力加減が悪いのか一度もまっすぐはずせていない。

 

チップは当然Micron。上の比較写真でもMicronのロゴが見える。ちなみにSPDの取得値もMicron。Ballistix Tactical TracerはSPDがCrucial名義だったので自作向けなOCメモリとかはそちらにしているのだろうか。

 

 

DDR4のトピックとしては高速化はもちろんだが、定格電圧が1.2VとDDR3の1.5VやDDR3Lの1.35Vを大きく下回る設定となっている。以前DDR3にも1.25Vという選別低電圧メモリモジュールが販売されていたが、メモリがPC全体の消費電力に及ぼす影響は微々たるもので、せいぜい2~7W程度。この数値はDDR3の電圧違いメモリを使用した時の差だが、大差ないだろう。

 

今回もシステム全体の消費電力テスト(詳細はCPUレビュー参照)において、X79環境(メモリ8枚挿し)と大差ないアイドル消費電力だったので、ほかの部分の影響のほうが遥かに大きい。1Wが大きく影響するモバイル機器ならもちろん恩恵はあるがそちらへの採用はもう少し先の話だろう。

 

電圧の低下はむしろ温度の低さに影響がある。

今回は空冷環境ということで周囲の空気が良く流れていたというのもあるが、周囲のVRMヒートシンクのほうがよっぽど熱く、メモリに関しては本当にこれ動作してるのかと心配になるような温度の低さ。精度があまりよくないファンコン温度計での計測だが動作中の表面温度も30度代半ばと人肌程度だ。メモリ周りの安定性に関しては文句無し。メモリに関しては特筆する事がないのが最高の褒め言葉か。

 

強いて言えば今まで使用していたRAMDISKソフト(RAMDAなど)が今回のX99環境では使用できなくなってしまっている。マザーによるものかメモリによるものか規格的なものなのかは判らない。それ以外はいい意味で変わらず安定だ。

 

 

標準スペックは2133の15-15-15-36。当然1.2V。

今回使用したマザーは低電圧でのメモリOCも可能と謳われているので、早速電圧はそのまま2400の15-15-15-35設定にしたところアッサリ起動かつ安定動作。

あっさり出来てしまったのだが、2400動作の8GBモジュールx4というのは現状OC向けメーカー品(G.SkillやCORSAIRなど)でも販売枚数が少なく入手困難。今回CL等の値はG.Skill扱いの2400メモリにあわせて設定したが、難なく動作しているあたり定格の2133動作は十分に余裕を持っていて信頼性がありそうだ。

DDR3の場合高電圧であすら2400で安定動作するものなんて限られていたのに。1.2Vで2400安定とは恐ろしい。

 

但しそれ以上のクロックになると電圧を弄ったりが必要になるようで2600設定では電圧を1.3Vに上げたりCLを大きくしたりしても今のことろ起動できていない。もう少し詰めればいけるかもしれないが、ちょっと度胸がない。

 

DDR4 2400設定でのCM2004R3のスコアはご覧の通り(下段は比較用にDDR3)。定格ですら書き込み回りが高速だったが更に上昇している。ちなみにHDDの数値が異常なのは高速化キャッシュソフトを切り忘れていたせい。

 

そのSSD高速化キャッシュソフト、上記SSDのバンドルとして付属していたメインメモリをSSDのキャッシュとして使用するソフトなのだが、もちろんここにもメモリ速度の影響は出てくる。

左が今回のDDR4 2400動作、右はX79環境のDDR3 1600動作だ。ソフト自体が常時安定したスコアを出すわけではないので一部項目は低下が見られるが、特に書き込み及びQDReadにおいて大きなスコアアップが見られる。メモリ容量も大きくなるのでX99・DDR4にこれらメモリキャッシュ系高速化ソフトは相性がいいだろう。

 

 

で、ベンチマーク上はDDR3 1600からDDR4 2133 OCで2400への変化があったのだが、体感速度に関しては体感できるかというと微妙。先ほどのベンチマークでは確かにスコア差が出ているが、いかんせんCPU側の性能があまりに大きく変化してしまい、そちらによる体感性能差が大きすぎてメモリの恩恵がどこにでているのかが判らない。

 

 

 メモリはPC全体の安定性に関わるので、安定し、文句なしの速度と容量を持ったメモリというのは作業において非常に頼もしい。

実は今まで使っていたX79環境も4GB*8で同じ32GB。他のPCから移植したものも含め「メーカー・スペック混載の8枚挿し」という安定するほうがありえない状態で使っていた。3ヶ月に1度くらいBSODを起こす事があったが毎回症状が異なり、それがメモリ起因のものなのかは曖昧のまま。

なので容量に関しては維持、速度はアップ、安心感は間違いなくアップ…今までDDR3を混載で使っていた自分が悪いのだが、今度は不安要素が無い。

 

ここからはDDR4・DDR3関係なく容量の話になるのだが、実はかつてメモリ大食いの象徴だったPhotoShopですら32GBを使い切るのは難しい。

 

この動画、さも普通のファイルを扱っているように動作している(スクロール動作のカク付きはキャプチャソフト起因)だが、なんとコイツは幅6378px、高さ18189pxというとんでもねえサイズのPSDファイル。350dpiで縦1m50cmでのプリントが可能…いわゆる抱き枕カバーサイズ。

原寸だとレビュー欄の画像サイズに目しか入りません。

今までならこのサイズで編集しようなんて全く考えなかったサイズだし、今回のために作ったファイルなのだが、このモンスターマシンはたやすくそれを動作させる。この後塗り進める為に50枚程度まで増やしていったがビクともしない。

 

1つのPSDファイルで32GBのメモリを使い切るのはほぼ不可能なので、複数の重量級ファイルを使用した結果がこれ。

なんと7個もの過剰容量ファイルを開いてやっとエラー。

これら一つ一つが重量級なので、レイヤー数や解像度の少ない一般的なファイルならいくら開いてもびくともしない。

フォトショップを起動したままでロゴを作る為にイラストレーターを起動し、それらを組み合わせて動画編集ソフトを開いたって大丈夫。CPU側のマルチコアの恩恵もあり、昔やっていたような「フォトショ動作中は極力ほかのソフトの起動を減らす」事も無い。32GBのメモリってそれくらい化け物なのだ。

既に私が行う2Dの画像編集ではオーバースペックで、本格的な動画編集や3DCG等の作成でやっとこれ以上のメモリが必要になってくるのではないだろうか。

 

この32GBという容量、速度さえ気にしなければX79はもちろんZ97…いや、Z68あたりですら実現可能な容量。DDR4の供給が少ない現状ではDDR3を使った方が現実的な価格で実現できる。

 そして更なるメモリ容量が必要な場面というのは限られるしメモリ速度が体感速度に与える場面も同じく限られる。現状は「DDR3でも十分というかDDR4の選択肢が少なすぎ」なのが率直な感想なので、「X99を使いたいからDDR4」というのはあっても「DDR4を使いたいからX99」というのはまだ少し先の話になりそう。 

 

いずれミドルレンジにもDDR4が出てきた時はメーカー問わず低電圧動作や変わったヒートスプレッダ、超高速クロック等バリエーションが出てくるのでは。

発売したばかりの新規格・チップセットであるにも関わらず、特に設定も労せずスムーズに安定動作し、軽いOCも可能なのだから今後Crucial扱いDDR4にも期待だ。

 

…個人的にはピッカピカ光るBallistix Tactical Tracer系に期待します(オイ)。

 ---余談---

 

他の方から大きく遅れてしまったのだけど、実はレビュー中に原因不明のメモリスロット認識不良を起こしてしまい、正し動作ができなくなってしまった為。結局マザーボード交換で治ったのでこのメモリには全く問題が無かった。

症状はマザーボード上のC1・C2スロットに挿したメモリが認識せず、24GBのトリプルチャンネル動作、もしくは起動不能となる状態。メモリは複数枚あるのもあり、スロット入れ替えの結果真っ先に原因からは外れたのだが、その際に撮れたスクリーンショットがコレ。

CPU-ZではQuadChannelの32GB認識なのにWindows上では24GB動作。UEFI上でもメモリは3枚しか認識しないが、UEFIとCPUZ&マザーユーティリティ上でのSPDはきっちり4枚分認識。まあこんな奇妙な状態のスロットにささっていたのだが、幸いどのモジュールも問題なくマザー交換後はしっかりQuadChannelで32GB動作で安定している。故障に巻き込まれず耐えてくれた。

コメント (2)

  • cybercatさん

    2014/10/04

    標準で1.2Vってスゴイですねー。
    出っぱなのDDRがたしか2.5Vだったことを考えると半分、それでいて転送速度はDDR200の1.6GB/sの10倍以上かー。

    32GBって結構重量級の作業に耐えるんですね。
    だいたい一般的なM/Bのメモリ上限が32GBで、最近は8GB/枚のメモリも手に入る価格になってきてたので、8GB✕4で上限じゃん、と思ってましたが充分ですね。
    昔と違ってSSDの普及でRAMドライブの有用性も相対的に下がりましたし。
  • 下小川さん

    2014/10/05

    標準1.2Vはビックリですよね。DDR3Lですら1.35Vだったのに。しかも今販売されているOCスペックのメモリも1.2Vのモノが多いという。DDR3でもSandy辺りからおっそろしいメモリスコア出してたのに…。

    32GBは以前から使っていたんですが、いざ使い切ろうとすると私の使い方では難しいですね。ただここまで重たいファイルを(しかもメモリをかなり使う設定)にしてあっさり動かしてしまうとは、私は今までX79時ですらメモリを使い切れていなかったんだと痛感しました。ソフト同時起動でも余裕ですし、SSDも高耐久高速化してきたし、人間がほんとおいつけません。

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