待望の新型ハイエンドプラットフォーム「X99」。そこにマザーボードの定番メーカーASUSが投入したのがX99-DELUXEだ。X99発売時点でASUSのX99マザーはこの「X99-DELUXE」のみ。下位モデルの「X99-A」、ゲーミングブランドROGシリーズの「RAMPAGE V EXTREME」はそれぞれ少し遅れての発売となったが、それでも3モデルと少数精鋭。
今回PCとしての性能にやOCに関してはCPU側のレビューで大半を書いてしまっており、メモリのOCに関してはメモリで紹介している。なのでこちらは主にマザーボードの外観や機能、そして結構癖のある付属ユーティリティをメインに。
発売直後はたった1モデル…単艦で他社マザーを迎えうったフラッグシップモデル。ASUSがアピールポイントとしている機能を多数搭載し、見た目からして今までに無い雰囲気を持つ。
黒系で統一された基盤やコネクタに、白を基調にアクセントでブルーとシルバーを使ったヒートシンク。白いヒートシンクは今までありそうで無かった。前モデルとなるX79や同世代のZ97の黒&金のカラーリングから一転したデザイン。
そして拡張カードスロット脇から上部へ続く白いカバーが目を引く。
今回は発売前に使わせて頂いたのでまだリーク画像さえ無い時に現物を目にしたのだが、黒&金のデザインでくると思っていただけに今回のX99-DELUXEの見た目にはいい意味で裏切られた。
もうデザインだけでご飯たべられそうなのだけどいい加減スペックを追っていこう。
LGA2011-V3はサイズこそLGA2011とは同じでCPUクーラーも互換、固定方法も2レバー式と共通だが、ピン配置が異なる別物となっておりCPUはHaswel-E系専用となる。
また今回、ASUSのLGA2011-v3マザーは独自の追加ピンを持った専用ソケット「OC Socket」をとなっており、確かに他社マザーにはピンが無い切り欠け部分にもピンが増えている。CPUの隠し接点を使いOC時や高負荷時の電圧安定性を謳っている。隠し接点なんていまどき珍しい「マジっすか?」となるようなステキな響き。
こちらはストレージ周り。X79と異なり全てSATA3対応となったのはうれしい。またSATA Expressも搭載している。こちらはチップセットサポートは1ポートのみなので、下段はオンボードのASmedia製コントローラによる実装。並んでいて紛らわしい。
またX99はポート数が多い一方、RAID構成に使えないポートを持っているという変な仕様。このマザーでいうとブラックの色になっているポートがRAIDに使えないのだ。今回はRAID使用予定がないので問題ないが、使用するつもりなら気をつけよう。UEFI内で黒いポートを無効にすることも可能だ。尚黒とグレーの色わけには意味があるが、一番右の2ポートが離れているのは実装場所の問題のようで特に内部的な区別は無い。
そしてこちらはついに登場した次世代メモリDDR4スロット。当然クアッドチャンネル動作を見越した8スロットだ。4枚使用時はダークグレーのスロットから使っていく。
もはや定番となった片ラッチ式だが、ラッチが無い側にもある程度の高さを持った形状のスロットで、メモリクーラー等の装着ができそうだ。DDR4はこれまでのメモリより取り付けやすくするようにしているらしいがあまりその効果は感じられなかった。
X79の時も思ったがこの大きさのCPUソケットと8つのメモリスロットをよくぞATX規格にぶちこんだもの。ボタン電池がCPUとヒートパイプの間という凄く苦しい場所に居るのが泣かせる。
そしてこちらがバックパネル。なんかもうギャグのように並んだUSB3.0。私の家にはUSB3.0対応機器が4つしかないのに。バックパネルだけで10ポート、更に2ポートピンヘッダを2個備えているので合計14ポートという圧巻のUSB3.0。一方上の方に申し訳なく2つあるのがUSB2.0。内部ピンヘッダも2ポート*2で合計6ポート。ちょっと少なく感じるというか3.0が圧倒的。
PS/2も無いのでキーボードとマウスを2.0に繋いだら後は3.0しか残らない。互換だから大丈夫ということだろうが。
右端は「USB BIOS Flashback」ボタンで、CPUやメモリが無い状態でもUSBメモリからUEFIを更新させるスイッチ。最新CPUでUEFIが起動できなくとも更新できるというなかなか頼もしい機能だが、使用頻度が数えるほどのボタンをわざわざ背面に実装する意味はあったのだろうか。
デュアル有線LANはIntelのI218V&I211-AT。どちらも評価の高いIntelチップで安心。
USBとサウンドの間にあるのは無線LANアンテナ接続用端子。Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac 5GHz対応のこれまた豪華なオンボード無線LANで更にBluetoothも備える。アンテナのデザインも直線的でカッコイイ。マグネットで固定することも可能だ。我が家は古い無線ルーターを接続しているが感度は良好で、Surface Proでは表示が3本くらいになる位置でも4~5本を維持。
拡張スロットは6段分を実装。全てPCIexpressスロットで残念ながらPCIはチップセット自体のサポートが無くなったので廃止。
2番目のエッジフリーx4を除いてx16形状となっているが、x16動作可能なのは最上段のダークグレーと4番目のブラックのみ。残りの3つはよくみるとx8までの端子しか実装されていない。
X99は帯域が多いとはいえM.2やオンボードデバイスの増加でやはりスロット毎の帯域の設定は複雑になっているのでどこに何を挿せば高いパフォーマンスを得られるかはマニュアルとにらめっこするしかない。
と思いきやなんとこのマザー、ガイドLEDと専用スイッチがついている。そのスイッチを2wayモード、3wayモードにするとそれぞれVGAを挿すのに適したスロットの上部にある白LEDが点灯するという親切機能だ。
しかも説明書を読む限りこの案内用のLEDの制御だけで、帯域に関しては普通に自分で設定する必要がある。案内のためにスイッチとLEDを実装するとは恐るべしデラックス感。 デコレーションLEDとしても扱えるぞ。
尚、グラフィックボード1枚の場合は4番目のスロットにのみグラフィックボードを挿してもしっかりx16動作してくれる。最上段のスロットがCPUクーラーやメモリとの干渉が厳しい場合4段目を使用するのも手。
逆にグラフィックボード(x16)2枚にサウンドカード(x1)の組み合わせだと、帯域が足りているはずなのにグラフィックボードがx8動作になる配置があるので、それを避けるようにサウンドカード(もしくはそれ以外の拡張カード)を挿そう。今回は最下段にサウンドカードを挿す事でグラフィックボード2枚がx16動作になった。
そしてVGALEDスイッチを含めた圧巻の4連オンボードスイッチ。更にお決まりの電源・リセットボタンは別に用意されているのでこいつらは全てマザー独自機能の制御スイッチだ。
左から先程のVGALEDスイッチ、EZXMPスイッチ(スイッチオンでメモリのXMP即読み込み)、EPUスイッチ(スイッチオンで省電力モード)、TPUスイッチ(スイッチ切り替えで自動制御OC)と山盛り。更にこの近辺には電圧をよりOC向けに強化するためのジャンパピン(こわい)や、Direct Keyヘッダーピンが実装されている。
なおこれらはスイッチ位置に関係なく、UEFI・ユーティリティ・スイッチで最後に設定したものが優先されるとのことだがなんかその挙動は機能によってあいまい。
Direct Keyヘッダーピンは便利。説明書では申し訳程度に触れられているだけで存在さえ気づかれない事もありそうなのが勿体無い。
電源スイッチピンと同じ形状をもっておりそこにスイッチを接続すれば電源ボタンとして動作する。さらにそのスイッチを押して電源投入をすると必ずUEFI画面に行く。FastbootでUEFI画面に行けなくなったりOS経由でUEFIにいっていたのにOSが起動不能になったとき、そして毎回キーボードを連打するのが面倒になったとき凄く便利。これこそオンボードスイッチやバックパネルに実装してもよかったんじゃないだろうか。
またUEFI側の設定で通常の電源スイッチとして動作させることも可能。前後や上下に2つの電源スイッチを持ったPCもいける。
今回私は背面ブラケット用のスイッチを接続してUEFI直行スイッチとして大いに活用した。
そしてマザー左側を覆うカバーは単なる飾り…というわけではなく、その下にオンボードサウンド系の回路が密集し、通常の部分とは切り離されているという最近流行りの作り。
見事基盤を貫く独立ライン。さすがに全部カットしているわけではないが干渉は最小限になっているということだろう。ちなみに動作中この部分を照らすLEDがつく(オフ可能)だがケースに入れるとぜんぜん目立たないので光物大好きな私でさえなかなか気づかなかった。
その成果かオンボードサウンドとしてはノイズが少なく綺麗な音。ただし今までサウンドカードを経由してオーディオ用アンプに接続する環境だったのでさすがにサウンドカードには適わない。しかし一般的な用途…特にヘッドセットを直結するような環境では優秀だろう。
給電周りは一般的な24pin+8pinで、ASRock X79 Extreme6にあったような補助給電端子は無い。24pin脇にあるのはASUS上位マザーの定番ともいえるMEMOKボタン。相性問題が発生したメモリを動作させるためにチェックするというシロモノで、以前Z68マザーではお世話になった。幸い今回は使用していない。
24pin左側に見えるのはオンボードのM.2スロット。専用の設置金具も付属している。
更にそれだけじゃ足りない気がしたのか拡張カードスロット用のM.2基盤も付属。
このように多機能故に付属品の数もデラックス。普通のATXマザーより一回り厚く大きい外箱だがそれさえもギッチギチという恐ろしい状態。
普段外箱・本体・付属品を1枚の写真に収めているのだが、これは付属品だけで1枚の写真に収められない。これまでに紹介しなかったものとしてはマニュアル(3冊)、ドライバディスク、ロゴシール、大型ロゴステッカー、SLIブリッジ、SATA3ケーブル3本、Qコネクタ。
ステッカーさえ厚手でコストがかかってそうなあたりがデラックス。CDより大きい。
UEFI画面はどんどん多機能化しつつブラッシュアップも進んでおり、Z68時代と比べるとデザインも見やすくなっている。
起動時の画面はOS上で常時表示しておいてもいいんじゃないかってくらいのカッコイイモニタリング画面。ASUSがUEFI採用当初から使われている「EzMode」画面で基本的な設定はここからでも可能。今回は後述のファンコントロール機能もここから制御できる。
こちらが従来型のBIOSに近い「AdvancedMode」画面。近いといってもさすがに従来型のBIOSとはメニュー配置等が離れているので今までいろんなPCを触ってきた人も先入観は捨てておとなしく解説書や横に表示されるヘルプを参考にしよう。特にOC関連は独自機能や項目も多いので要チェックだ。
よく使う項目を「お気に入り」として先頭に持ってくる事もできるしスクリーンショットも撮影できる。また、発売から1ヶ月半で既に4回も更新がリリースされているという、積極的な開発姿勢はASUSの強みだろう。
さて、このマザーでもっとも気に入った機能がファンコネクタの実装数の多さとコントロール機能。かつて使用したZ68マザーでは、4つのコネクタがあるのにPWM制御できるのが2系統で連動していたりしたASUSだが、自ら「ASUS史上最高性能のファンコン機能」と謳う「Fan Xpert 3」を搭載している。
Z68マザーのかゆいところに手が届かない微妙なファンコン機能のイメージから一転、外部ファンコン並みの接続数と、外部ファンコンでは歯が立たないレベルの凝った設定項目。なんかもう絶対文句言われない最強のファンコン機能考えてみました状態。
まずは実装数。CPUFANとCPU_OPT(この2コネクタのみ連動)にCHAFANが1~4(全てPWM4pin)で合計6個。
マザーボード統合だけに温度はもちろんマザーボードから取得されるリニアな値を取得できる上にPWM方式・電圧方式を各個選択可能で3pinファンも安心(CPU OPTのみPWM専用?)。更に3段階で変化させる温度も取得する温度センサーの位置から温度1℃単位、出力1%単位で設定できる。更にファン停止機能までつけてしまった。
そしてマザーボード統合型の弱点ともいえる制御数…既に6個と大盤振る舞いなのに、なんと専用の拡張基盤をつけることで増大。3つのコネクタを増設し合計9ファン制御可能。しかもこの拡張基盤、給電コネクタがついているので消費電力の大きい高回転ファンも安心。誰がそこまでヤレといったといわんばかりの超豪華ファンコンだ。これならファン個数が多い大型ケースでも、交換の難しい特殊サイズファンでもなんでもござれ。温度センサーが足りないならここから温度センサーを3つ伸ばすことも可能(1個付属)。
ちなみに上の写真を見ていただくとわかるがこの基盤、一見4つのファンコネクタを持つ。てっきり4つのファンを制御可能だと思ったのだが、ユーティリティやUEFIでは3までしか項目が無いし、説明書も3つのファン制御とあるので3つなのは正しい。よくみると横向きに付いた4つ目のコネクタは「EXT FAN IN」とかいてあるコネクタ。役目はよくわからない。
そして触れておきたいのが設定の反映速度。UEFIで数値を入れた瞬間からその動作になるので確認のために何度も保存→再起動する必要がない。
このファンコン機能は殆どのファンやケースで最適なファン回転数を狙えるので、静音化に関しては大きな武器になる。実際古い8cmファンを装着していて排気に不安のある私のケースでも、アイドル時は最低限、負荷があった時は吸気ファン含めリニアに可変するという動作ができた。外部接続型のファンコンではいくら温度センサーを使ってもここまでリニアに可変できないのでまさに「X99 DELUXE」だからできる機能だ。アイドル時に大きく発熱を下げられるHaswell-Eとこの可変ファンコントロールの相性はピッタリだ。
さて、逆になんだこれ?となってしまったのが付属ソフトウェア。インストーラが一括で、1回で必要なソフトを取捨選択インストールできる点は素晴らしいのだが。
しかもハマったのはそのメインである5-Way Optimizationだ。パッケージにも特大で書かれているのだからイチオシ機能なのだろう。
付属ソフト一式をインストールすると「まずはじめに(中略)最適化を実行してください」と左上に大きく出る。そりゃ押せと言われなくても押したくなるボタンだ。
押すと上記のような設定画面が出る。要はマザーボードの設定…ファン制御や電源モード等を自動的にやってくれるモノなのだが、さりげなくオーバークロックが入っている。今までこのテの自動OC機能はあからさまにOCなボタンだったのだがコイツはあくまで「最適化」。
初期設定がエクストリームモードなせいで、あっさり4.1GHzまで巻き上げたのには驚いたが相応に電圧も上げていたので私の古いケースでは冷却的に危険が危ない。
消費電力も負荷時で定格+80W以上という素晴らしい上昇っぷりを示す(Prime95時の値なのでソフトによってはさらに上昇)。手動で電圧をギリギリまで下げても定格+50W程度必要な動作クロックなので確かに自動OCとしては優秀ではある。
そしてファンの自動制御によってENERMAX製のピッカピカに光る排気ファンが光らない。更に排気の役にたたないような回転数。おそらくENERMAXのファン自体が温度センサーによる可変機能を持ち、いまどき珍しい8cmファンだったせいでこんなザマになってしまったのだろう。逆にフロント吸気ファンはLEDだけ光ってファンが回らない。フォローしておけばどちらも特殊な機能を持った旧型ファンなのでイレギュラー。想定外だろう。
あくまで自動制御というのは補助。イレギュラーなパーツを使っているマニアは自分できちんと調整しろってことだ。気に入らなければ元に戻せばいい…はずなのだが、どうにも「最適化」を一括で元に戻す方法が判らない。しかも何が困るってコレ、OS起動前のUEFI画面でいくら設定しようがこのソフトが起動した時点で一部項目はソフト側の設定が優先されてしまう。 UEFI側の設定を優先するモードか何かがあれば解決なのだが。
ファンの回転数も非常に細かく、UEFI画面以上に視覚的に設定できるが、UEFI画面と別の設定になってしまうので、一度UEFI画面側で設定したファンをもう一度こまごまといじっていた。
1時間近くソフトと格闘してファンやその他設定をUEFIで設定したものに近づけた挙句…考えるのをやめてソフトを再インストールした(5-Way Optimizationのみアンインストール可能なのでそれ以外のソフトはそのまま使用可能)。
ソフト・UEFI共に非常に細かいファンコントロール設定や、OC設定ができるのだが、多機能と多機能がぶつかりあって複雑になってしまった感がある。UEFI側をリセットしてもある程度設定を維持できるというメリットがあるし、このソフトに絞って設定を行えばいいのだろうがどうも私にはあわない。
このソフト、モニタリング機能も備えているのだが、温度やファン回転数の更新がゆっくりで、タイミングによっては1秒弱遅れて表示される。
さらに電圧が奇跡の省エネ0.000V表示を出したり…
(何故かOCで電圧をいじると正しく表示される)
既に最新版のBIOSを入れてあるのにアップデートを求められて確認すると同じBIOSをもう一度ダウンロードして更新しようとしたり。ご丁寧にタスクバーから通知してくれる。
他の数値もなんか怪しい数字がある。一度ソフトの再インストールは行ったがそのまま。ソフト側の熟成はこれから期待したい。
という訳でソフトに関してはあまり手をつけていない。ただワンタッチで4.1GHz動作にまで引き上げたのは事実だ。
尚、この一括インストール可能なソフトの他に「ASUS Boot Setting」というものがある。これは最近のUEFIマザーで多くなった「OS上から操作することで次回起動時必ずUEFI設定画面に行ける」ソフトで他社マザーにも同機能ソフトはついている。OSにUEFI設定呼び出し機能がないWindows7はもちろん、Windows8でも手早くできるようになるので入れておくのがオススメ。
OCの話になったのでCPUやメモリのレビューでも触れたが簡単におさらいしておこう。結論から言えばCPUは全コア4GHz(自動OCで回った4.1GHzは私の環境だと熱が危なくなりそうだったので却下)を+0.020 offsetで達成。
OCの性能上昇効果についてはCPU側で詳しく触れているが、確実にクロック分の効果は出てくれる。このマザーは常用範囲の電圧でそれを実現してくれるのだ。
面白かったのは負荷ソフトによって消費電力やコア電圧が大きく異なったこと。Prime95<OCCT<AviUtlによるMP4エンコードの順で電圧が高くなり消費電力・発熱も大きくなった。タスクマネージャ上のCPU負荷ではMP4エンコードが低いのにだ。Prime95辺りでは安定稼動に十分な電圧を制御して流していた=余計な電圧を削減していたのかもしれない。
TB最大4GHz、全コア3.8GHzの設定なら更に電圧を下げて定格とあまり差がない感覚で使用できる。もちろん自己責任だが。
メモリに関してもOC Socketの謳い文句通り電圧1.2Vを維持してDDR4 2133 からDDR4 2400へのOCに成功。CLも15-15-15-35とむしろ定格よりちょっと少ない値で動作した。この状態でもすこぶる安定しており問題はない。但しそれ以上のクロックとなると電圧やCLの調整が必要なようで現状起動には成功していない。
他の2011v3マザーを触ってないので相対的な比較はできないが、OCに関しては実にあっけなく容易に回ってくれた感じがある。ソフトによる自動OCが4.1GHzをあっさり達成したのも「OCSocket」をはじめとしたハードウェア設計の良さが生きているのだろう。
まさに多機能でフラッグシップというのに相応しいマザーボード。ゲーミングやOC特化のマザーがピーキーなスポーツカーなら、このX99-DELUXEは高出力エンジンを搭載した高級スポーツセダンとでも言うべきか。誰にでも扱える実用性と、高性能を狙えるOC機能を両立している。
まあ一部「そこまでする必要があるのか」っていう機能もあり、その分値段も高め。
しかし外部ファンコンを凌駕するコントロール機能「Fan Xpert 3」と、オンボードとしてはかなりの低ノイズを誇る「CRYSTAL SOUND2」、そして今回は試せなかったが高速接続を狙えるx4対応M.2スロットなど使うのなら価格差を埋めてくれる機能は多い。どこまで機能を必要としているかどうかで、この文字通り”デラックス”なマザーのコストパフォーマンスは大きく変わってくる。個人的には「Fan Xpert 3」だけでも高級ベイアクセサリファンコン1個分以上のの価値はある。
そして付属ソフトやBIOSのアップデートを今後も期待したい。ASUSは以前2006年発売のAM2マザーに対して2010年にAM3CPU対応β版BIOSをリリースしてくれた事もある。ASUSだからこそ更新を「やってくれる」という期待が持てる。
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さて、最後になったが実はこのX99-DELUXEは2枚目。1枚目が不調になり交換していただく事になり、レビュー公開が遅れてしまった(大半の写真はその1枚目なのだが)。
症状は10日程使用したところでC1及びC2スロットに挿したメモリが認識不能になり、無視して起動するかメモリエラーを起こして起動不能になるかというもの。何故かSPDだけ取得できる状態になっていて、もし起動した場合CPUZ等のモニタリングソフトでは32GB表示、WindowsやUEFIでは24GB表示という奇妙な状態に。
差し替えの結果メモリモジュール自体はそれぞれ問題なし。前日にUEFIをリセットしていたので初期値の定格動作、パーツ組み換えや移動も数日行っていなかったので原因は不明。CPUかマザーに何かが起きたのだろうと問い合わせた結果、マザーを交換して頂き今は無事安定動作している。
2枚目はBIOSが既に0801にまでアップされたものでその旨のシールも貼られていた。それ以外はもちろん差は無い。
1枚目はUEFI画面でのUSBキーボードが認識されず操作できないことが何度もあったのだが、2枚目では一切その問題は起きていない。またCPUレビューで触れた「室温以下のCPU温度」についても1枚目→2枚目に交換中に季節が変化し室温が変わったにもかかわらず取得値が大差ないので、1枚目もしくは初期版UEFIによる現象と思われるのでここでのみ書いておく。
尚付属ソフトの挙動に関しては1枚目・2枚目双方もしくは2枚目で新たに確認した内容だ。
cybercatさん
2014/09/08
supatinさん
2014/10/05
(*・ω・)*_ _)ペコリ
膨大な量のレビューお疲れ様でございます
丁寧な解説でとても分かり易かったです
ありがとうございます。
それにしてもさすがハイエンドマザー、
ものすごい量の付属品、I/Oポート、多機能と
各部の贅沢な作り所有欲をそそられますね。
UEFIやユーティリティのUIも洗練されていて
性能もさることながら使いやすそうで良いですね。
下小川さん
2014/10/05
付属品もビックリするほど多くて、何かのセットを買ったような気分です。仰るとおり所有欲を満たしてくれるマザーです!
ただソフトに関しては慣れが必要かつ何かおかしい部分があるので、今のところはUEFIで確実に設定する方向でいっています。