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もう場所に縛られなくてイイ!!Windows採用スレートPCとワイヤレススピーカーシステムで解き放たれる「場所」の制限-スレートPC編

今回「ONKYO TW3A-A31C77H 週刊アスキー × ジグソー 3週連続タイアップレビュー!」として、2012年4月にONKYOから発売されたばかりのスレートPC「TW3A-A31C77H」を使う機会を得た。このPCをつかってどんな変化が自分にもたらされたかレビューしたい。
スレートPC「ONKYO TW3A-A31C77H」。スレート...その名の通り板状のディスプレイだけのようなPC。このディスプレイがタッチパネル式であり、入力装置も兼ねる。そういう意味ではiPhone以降市民権を得たスマートフォンに近い。ただ先行するiPadやスマートフォンを機能拡張する方向性で進化してきたAndroidタブレットに対して、このスレートPCの特徴はOSとしてWindowsを搭載していることだ。

このことは今まで使い慣れた/あるいは/インターネット経由であまた用意される有料・無料のWindowsアプリケーションが使用できるという事と同義である。また会社では使用される事が多いOffice系のソフトとの親和性も高く使い勝手が良いことになる。

ではなぜこんな可能性を秘めた魅力的なデザインのPCが現れなかったのだろうか。

イヤ、あるにはあったのだ。しかし旧来のものはCPUとしてAtomシリーズを採用することがほとんどで、Webブラウジング程度ならともかく、WindowsOSを採用することによる最大の利点であるOffice系のソフトの使用や、複数アプリケーションの同時立ち上げによる並行利用などには荷が重く、快適とは言いがたかったのだ。そのため、大きな存在感を示すことができなかった。

それが次期OS、Windows8でのタブレットPC系との親和性の高さを示す情報が後押ししたのか、ようやく高性能CPUの消費電力とバッテリー容量(使用可能時間)、発熱量と限られたサイズでの熱処理技術がバランスしたのか、昨年後半から各社からCeleron以上のOffice系ソフトでも問題ない処理能力を持つCPUを搭載したスレートPCが発売されてきた。

その中でも本機「ONKYO TW3A-A31C77H」はラインアップ中最高位の機種で高性能なCore i7を搭載する。使われているCPUはSandy Bridge世代のCore i7-2677M。現在、3⇒5⇒7と3ランクある(デスクトップは特別版たる7EEを入れると4ランクだが)Core i系のCPUとしては最上位の7、と言ってもモバイル用はデスクトップ用と比べてCore i5との差が明確ではない。末尾に「QM」と付くCPUはCore i7らしく?4コア8スレッドなのに対して、末尾が「M」のシリーズは2コア4スレッド。これはCore i5のMシリーズと同等。ただL3キャッシュがi5の3MBに対して、4MBなのがi7のアイデンティティだ。また2600番台で始まるSandy Bridge世代の2コアタイプのモバイルCore i7プロセッサは4桁目「0」が通常電圧版(35W)、「9」は低電圧版(25W)、「7」は超低電圧版(17W)を表している。

従ってこのTW3A-A31C77Hに使われているCPU(Core i7-2677M)は
・Sandy Bridge世代
・2コア 4スレッド
・L3キャッシュ 4MB
・CPUクロック 1.80GHz(ターボ・ブースト時最大 2.90GHz)
・内蔵グラフィック HD Graphics 3000
・内蔵グラフィッククロック 350MHz(最大1200MHz)
・超低電圧版 TDP17W
というもので、性能追求のi7にブランディングされる石としてはどちらかというと省電力とそれによる長時間稼働に比重を置いたものとなる。

それでも他社スレートPCの多くが採用するCeleronより遙かに強力だ。いわんやAtomになら比べる必要もなく。

ではその性能に先立ち、製品内容を軽くご紹介する。
内容物は至ってシンプルで、本体の他にはACアダプタ、リカバリディスク類と簡単なセットアップガイドのみ。詳しい説明書は本体内にあるので、セットアップガイドを使ってセットアップ後見ることができる。
シンプルな造り
シンプルな造り
本体も「スレート=板」の名の通りつるっとしていてあまり多くのボタンや端子類はない。
【各部名称】
上面はWebカメラとマイク、センサーとLEDのみ
上面はWebカメラとマイク、センサーとLEDのみ
右側面は電源をはじめとするボタン系
右側面は電源をはじめとするボタン系
左は端子系。USBポートが一つしかないのが泣き所。
左は端子系。USBポートが一つしかないのが泣き所。
下側面の端子は未使用。両脇の○はスピーカー
下側面の端子は未使用。両脇の○はスピーカー
右がボタン、左が端子系とわかりやすい造りだが、USBポートが一つしかないのは拡張性的には×。またONKYOのスレートPCの一部機種で用意されるクレードルは今のところ用意されていないため、下方の端子類は未使用だ。

次に注目の性能を見てみよう。
まずOS付属の「Windows エクスペリエンス インデックス」はどうだろう。
「プロセッサ」のサブスコアは「6.9」
「プロセッサ」のサブスコアは「6.9」
各サブスコアはプロセッサが「6.9」、メモリ(RAM)が「5.5」、グラフィックス「4.5」、ゲーム用グラフィックス「6.0」、プライマリハーをドディスクが「5.9」で、特に「プロセッサ」はCore i7を名乗る割にはやや低めだが、それでもこのスコアは一昔前の(そして現在でも使用者が多い)Core2 Duo E8500などデスクトップ向けCPUのスコアを凌駕する値だ。

SSDの性能をCrystalDiskMark Nano Pico Editionで見てみた。
すごく速くは...ない...
すごく速くは...ない...
最近出てきている新世代のSSDと比べると決して速くはないが、HDDよりは遙かに高速だ。

定番のCINEBENCH 11.5はどうだろう。
2コアが影響したかCPUは2.05ptsにとどまる
2コアが影響したかCPUは2.05ptsにとどまる
OpenGLは8.58fpsとIntel HD Graphics 3000の強みを見せ、同2000を採用するCore i5-2500T

や同じくCore i5-2400S

を凌駕するが、やはりCPUは2.05ptsとCore i5-2500Tにも及ばない..

さらにベンチ結果としては3DMark系は3DMark06が2861で
CPU Scoreが2807
3DMarkVantageは解像度の面で本体ディスプレイの表示ではNGなので、地デジTV

HDMI出力させて計測するとスコアはP692でCPU SCORE2930
本体だけでムリヤリ回したFF14ベンチマーク(LOW)がスコア505と
全体的にはふるわないように見える。

ただ実際使用してみての感触はかなりサクサク動く。
ではより体感速度に近いと思われる実使用場面を想定して検証してみよう。
比較対照となるPanasonic Let's note LIGHT W7ことCF-W7DWJNJR

は2008年夏モデル。ちょうど4年前と言えばPC界では一昔だが、横幅30cm弱に縦幅21cm前後、1kg強の重さ(272mm×214.3mm、約1.249kg)、超低電圧版のCPU(Intel Core2 超低電圧版 U7600(1.20GHz))を使うなど、本機と比較的近いところを目指している。さらに現在ではメモリを(DDR2ではあるが)2GBに増設済み

であり、さらに HDDからSSD

に換装しているという点でもかなり似た感じのところに落ち着いていると言えるだろう。また、「Microsoft Office Personal 2007 + PowerPoint」搭載モデルでもあり、すぐさまビジネスにつかえる構成になっている。

そこで本機TW3A-A31C77Hにも「Microsoft Office Professional 2010」をインストールして動作を比較してみよう(ただここでもSSDの低容量が影響し、せっかくの「Professional」だがAccessはインストールせず、サンプルやテンプレート系のほとんどは除いた軽量インストールとなっている)。

起動して使いたいアプリケーションを起動させるまでの時間を比較した。

4年前のモバイルノートPCと比べてWindowsの立ち上げもアプリケーションの起動やファイルの展開も約半分の時間ででき、実使用上は問題ないどころか十分快適な速度であることが判る。
一方使用中に気になったのが、冷却ファンの回転音だ。結構な頻度でブーン、ブーンと回る。そのため前述のLet's Note Light W7をSSDに換装した時と同じ負荷をかけてみた。すなわち負荷内容は
・起動後すぐにOCCTを10分回し、終了後直後にあらかじめWoopie Video DeskTopを用いてディスクにダウンロードした約10分のYouTubeファイルを再生する。
というもの。
ただOCCTは10分間の実行中にオチた。5分を過ぎたあたりで、コアの温度異常(86℃)を観測し、停止。さらにもう一度回したが今度は3分足らずで停止した。
熱処理的には厳しいようだ。
続いてプロトコル通りYouTubeファイルの再生終了後PC裏面の温度を非接触型赤外線温度計

で測定した。
これはどこかで...?(温度計測前の負荷動作は当然ひっくり返して実行)
これはどこかで...?(温度計測前の負荷動作は当然ひっくり返して実行)
OCCTとWoopie稼働は、洋服を着た膝の上での操作を再現すべく、綿トレーナーの上で実行した。
計測用目印に縦方向に10本、横方向に7本の糸を等間隔に渡し、固定した(ピッチは端のみ1.5cm、他の間隔は3cm⇒その交点での計測温度をその3cm四方の温度と表現)。
廃熱孔はふさいでない
廃熱孔はふさいでない
その結果は....(3℃刻みで色を変えてある:上昇3℃以内を黄色、3℃超~6℃以内を薄いオレンジ、6℃超~9℃以内を濃いオレンジ、9℃超~12℃以内を赤、12℃超をピンク)
CPUエリアから廃熱孔にかけて著しい温度上昇を見せた
CPUエリアから廃熱孔にかけて著しい温度上昇を見せた
【TW3A-A31C77Hパーツ配置図】
裏から見た図
裏から見た図
CPUエリアと廃熱孔にかけて大きな温度上昇があった(負荷後上昇幅最大16.4℃、観測温度最高41.3℃)。このことが使用中の冷却ファンの頻回の回転とOCCT実行中の温度オーバーによる停止を引き起こしたのだろう。スレートPCの使用法としてはレアだとは思うが、エンコードなどの長時間にわたる高負荷状態の連続は得意ではないようだ。

ではこのスレートPCで得られる生活の変化を見てみよう。
よくあるシチュエーションとして、出先で顧客などにプレゼンテーションを行うシーンがあるだろう。大人数を対象とするプレゼンはプロジェクターなどを使うだろうが、1対1の対面プレゼンテーションであれば、持ち込んだノートPCの画面を見せながら、の作業となる。ノートPCの多くは180°までは画面が開かない場合がほとんどで、起動などの操作は自分に向けて行い、顧客側に向け直してプレゼン開始するのが普通だろうか..ただ逆側からのぞき込むような姿勢は失礼になる場合もあるし、画面のグラフを指しながらの説明や、リンクの起動などはなかなか難しい。

これを本機「ONKYO TW3A-A31C77H」で行うとスマートだ。TW3A-A31C77Hには加速度計が内蔵されており、持った向きに合わせてデスクトップが回転する機能がある。パスワード入力やファイル起動は自分に向けて行い、相手側に傾ければ上下反転し、相手側に画面が向く。そうしてプレゼンを開始すればスマートだ。また本機のCore i7プロセッサ搭載によるCPUパワーは、説明の途中で元データとなったExcelを立ち上げ説明するようなシーンとなっても、ほぼ瞬間的に起動し、商談を妨げることがない。

【ビジネスユース使用例】

この「Windows搭載高性能スレートPC」によってビジネスチャンスを失することはなくなるはずだ。
一方、プライベートユースではどうだろうか。最近ブログやSNSを趣味とする人が増えているが、iPhoneやAndroidケータイでの原稿書きはちょっとした時間にできるという利点はあるが、できる事は少なく、画像の加工を行いながらテキストを打ち、リンクを張っていくと言ったようなPCでは当たり前にできる事に制約があり、出先ではテキストだけブログに上げ、動画加工などは家で腰を据えて、と言う人も多いはず。

スマートフォンを持たない人にとっては、ケータイやコンデジで写真を撮り、思いついたことを書き留め、それをPCで打ち直す、という作業が発生する。この原稿起こしはまず、時間の無駄だし、自分の感動を感じた瞬間に戻るには日を置くとダメだ。またメモが悪筆で読めない、と言うこともあるだろう。

cybercatもたとえば音楽もののレビューを書く際に電車の中で、iPod shuffle 3G

を聴きながらメモをとり、それを家に帰って原稿に起こすのだが
・iPod shuffleは早送り/巻き戻しができない
・立ったまま書く原稿は自分でもなんぢゃこりゃ状態
・画像や動画の加工はできないので、家でする作業が多く睡眠時間↓
などの問題があった。
【プライベートユース使用例】

それを本機「ONKYO TW3A-A31C77H」で行うとロスがない。音楽プレーヤーソフトとテキストエディタを立ち上げ、聴きながら原稿を打つ。その際、本機が備えるBluetooth機能を用いて、ワイヤレス化するとコードの絡まりから解放されると同時に、iPod shuffleでは得られない区間リピートによる聴き直しなどの利便性も得られる。
このヘッドセットを通して聴く
このヘッドセットを通して聴く
さらに喫茶店でのちょっとした時間などにはWindowsならではの動画や画像の編集も可能なだけのマシンパワーを持ち合わせている。

これで感動が薄れないうちにブログやSNSのアップができるだろう。
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今回車中で書いていた記事


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今回現代社会の標準OSともいえるWindows搭載、かつ、それを使いこなすに十分なマシンパワーを備えたスレートPC「ONKYO TW3A-A31C77H」を使う機会を得た。Sandy Bridge世代のCore i7 CPU搭載という快適な動作と、1kgソコソコの重量、スレートPCならではの「取り出すだけで使える」という利便性は、ビジネスシーンもプライベートシーンにも違ったスタイルを提案し、時間の使い方が上手くなる効果を得た。

ただいくつか改良すべきポイントもある。
・熱設計のさらなる改良か、より低発熱のCPUの搭載で今以上の熱安定性を目指すこと。
・メモリの容量が少なくRAMディスクソフトの導入などに対する拡張性に乏しいため、増量もしくはせめて選択式のアップグレードパスを設けること。
・SSDも容量が少なく、インストールするソフトや機能に制限を設けざるを得ないため、増量もしくはせめて選択式のアップグレードパスを設けること。
・汎用ポートであるUSBが最新の3.0でないのは仕方がないとしても、1ポートというのは競合機種と比べても少なく、可能なら3ポート、せめて2ポートは実装すること。
・せっかくクレードル用端子を実装しているならば、対応クレードルを発売し不足しているUSBポートの拡充をすること。
以上のようなことがあげられる。

*なお2番目と3番目に関しては近く発売される後継機「ONKYO TW3A-A31C79H」ではさっそく改善されており(メモリ2GB⇒4GB、SSD32GB⇒128GB)、問題は解決している。

スレートPC。どちらかと言えば「中途半端」というレッテルを貼られ、一時は表舞台から消えかけたこのジャンル。でも本機を使用してみて、もともとこの概念を提唱した人々は「これがやりたかったんだ!」というのが判った。ようやく技術が、性能が、「スレートPC」の要求するレベルまで追いついたのかも知れない。このWindowsがサクサク動くスレートPCという新しいデバイスで、得られる生活の変化をゼヒ実感して欲しい。

末筆とはなりましたが、今回このような機会を与えてくださった日本マイクロソフト株式会社様及びオンキヨー株式会社様、zigsow事務局様に御礼申し上げます。またレビューアップまでの応援など常に支えとなってくれたおものだちの皆様はじめzigsowerの方々に感謝いたします。

ありがとうございました。

【TW3A-A31C77H仕様】
OS:Windows 7 Home Premium 32ビット SP1
CPU:インテル Core i7-2677M(2コア 4スレッド、動作周波数 1.80GHz(TB時最大 2.90GHz)
チップセット:モバイル インテル HM65 Express チップセット
システムメモリー:DDR3 SDRAM 2GB (2GB×1)
メモリースロット: 204pin SO-DIMM 1スロット
SSD:32GB mSATA接続
ディスプレイ:タッチパネル付 11.6型ワイド最大1,366×768ドット
グラフィックシステム: インテル HD グラフィックス 3000
サウンドシステム:Realtek ALC269 オーディオコーデック (HD Audio準拠)
無線LAN:通信速度 最大150Mbps,IEEE802.11 b/g/n 準拠
Bluetooth:Bluetooth Ver.3.0 + HS
Webカメラ:130万画素 CMOSセンサー搭載 Webカメラ
スピーカー:内蔵ステレオスピーカー
マイク:内蔵モノラルマイク
メモリーカードスロット:SD・SDHC・SDXCメモリーカード/MMC 共用スロット
インターフェース:USB2.0ポート×1、HDMIミニ×1、ヘッドホン端子(ステレオ ミニジャック)×1
内蔵バッテリー:動作時間約6.1時間、充電時間約3.0時間
本体寸法:299(幅) × 209(高さ)mm × 18(厚さ) mm
質量:約1.09kg
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2012/05/09 タイトルロゴ変更
2012/05/10 リンク追加

コメント (8)

  • シンジロウさん

    2012/05/14

    レビューお疲れ様でした。
    自作サーモグラフィーに驚かされました。
    ビジネス用途、プライベート用途にもいいですね。いや、素晴らしいレビューです。
  • cybercatさん

    2012/05/14

    シンジロウさん、コメントありがとうございます!!
    >自作サーモグラフィーに驚かされました。
    これは前回の

    焼き直しとも言えますが、この機体の頻回のファン回転がなぜ起こるかなどの理由を知りたくてかなりの高負荷かけてやってみました。
    マァ普通に使っている程度では暖かくなる程度で、実用上問題ないんですが...
  • Sheltieさん

    2012/05/14

    レビューお疲れさまでした。

    スレートPCはAtom搭載機が多いのでパフォーマンス的に魅力を感じられませんでしたが、TW3A-A31C77HはCore i7シリーズ搭載でレスポンスはかなり良いみたいですね。
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