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同社製のNASです。1年ほど前にレビューを描かせていただきました。
前回はメディア機能についてレビューさせていただいたので、今回はAD連携等、SOHOなど、企業で利用するような機能についてレビューしていきたいと思います。
NASが使えるようにします。
開封をしたら、付属品についてチェックします。
内容物は、
本体、電源ケーブル、LANケーブル2本、ACアダプタ、セットアップ説明書、鍵、ネジ(8本)
です。
購入時は鍵がかかっていないので、鍵の部分を押すとレバーが出てくるので引っ張るとHDDマウンターを取り出すことが出来ます。
HDDマウンタです。2.5インチHDDやSSDを固定するためのネジを通す穴と、サイドに3.5インチHDDを固定するための部品がついています。
3.5インチHDDをマウントするためのマウンタは外側に引っ張ることに寄って取り外せます。左右ともはずさないとHDDはうまく固定できません。
HDDを置いて、サイドの固定パーツをセットすればマウンタへのHDDの固定が終わります。3.5インチHDDの場合は工具レスで設置することが出来ます。
今回はHITACHIのMG03ACA300を利用しました。
HDDをマウンタに戻します。押しこむだけです。説明しやすいように立てていますが、手が滑って落下させるリスクが有るため、立ててやらないほうがいいです。
セットできたら時計回りに45度程度鍵を回すことによってHDDマウンタを固定することが出来ます。
ロックしなくても使えますか、不慮の事故が発生することがありますので、必ずカギをかけることをおすすめします。
HDDの設置が終わりましたら、ケーブルを接続し、電源を入れます。
この製品にはLANポートと、USB3.0がそれぞれ2つ、電源とeSATAが1つずつついています。
電源を入れると、電源が青、LAN1とHDD1が緑に点灯し、未セットアップのため、STATUSランプが橙点滅します。
これでハードウエアのセットアップは終了です。
このつぎにHDDの初期化、DiskStationの初期設定を行います。
ソフトウエアのセットアップ
ハードウエアのセットアップが終わったら、NASのファームウエアをHDDにインストールする必要があります。
1:まず、
にアクセスします。アクセスを行うと、ネットワークに接続されているSynology製のNASを自動的に検索します。
2.DiskStation DS215+という今回ネットワークに追加した機器が発見されたので、「接続」ボタンを押します。IPアドレス、MACアドレスの一部はマスクしています。
3.NASのWeb設定画面に無事接続できると、設定を行うための画面が表示されます。「設定」ボタンをクリックしましょう。
4.今回はHDDを1本しか入れていないため、DSMというOSをインストールする画面に切り替わります。
通常は今すぐインストールから自動でインストールを行います。
5.HDDをフォーマットする必要があるので、現在接続されているHDD上のすべてのデータが全て削除されます。そのことを理解した上で初期化の実行を行うかどうかの確認が行われます。接続されているHDDをすべて初期化しても問題ないのであれば「OK」ボタンを押してください。
6.HDDの初期化とOSのインストールが行われます。合計で10分から20分程度、回線速度とHDDの状態によっては時間がかかります。
7.OSのインストールが終わると自動的に再起動します。
この再起動は表示されている時間よりも早く終わりますが、それでも結構な時間が必要です。
NASと言えど、OSが入っているシステムなのでそれなりに再起動には時間がかかります。
8.セットアップが終わると、こんな画面が表示されます。「次へ」をクリックしましょう。
9.管理者アカウントと、サーバ名を設定します。
サーバ名は例によって今やっているゲームのヒロインの名前です。非実在です。
この例では「root」に設定していますが、rootは設定できないようなので、adminとか個性的な名前とかを設定しましょう。
10.推薦パッケージのインストール画面が表示されます。後からでもインストールできるので、ここではスキップします。ちなみにメディアサーバはDLNAのサーバです。
11.QuickConnectの設定です。前にレビューを行った時のアカウントがあるので、それを利用しています。
12.設定ページヘのショートカットを作ることが出来ます。
13.おめでとうございます。これで設定は終了です。
共有フォルダを作る
このNASは共有フォルダを設定しないと、Windows側から見ることが出来ません。そのため、共有フォルダを設定する必要があります。
1.初回起動時にヘルプ画面が出ます。必要に応じて読みましょう。
私は不要なのでさっさと閉じました^^
2.メイン画面からコントロールパネルを選び、その中にある共有フォルダを開きます。
3.デフォルトでは何も作られていないので、「作成」をクリックして、NASに共有フォルダを作成します。
4.共有フォルダ名は慣例により「Share」とします。場所は使うストレージを選択します。
ゴミ箱を有効にしておくと、誤操作をした時に助けられるかもしれませんが、HDDにゴミがたまるので定期的に空にする必要がありますが、私はファイルの損失が一番怖いので、有効にします。
5.アクセス権限を設定します。取り敢えずすべてのユーザーにアクセスを許可したいという場合は「Guest」に権限を与えることによって、すべてのユーザーからアクセスすることが出来ます。
6.ゲストユーザはデフォルトでは無効になっているので、有効にする必要があります。
手順2のコントロールパネル内にある「ユーザー」を開き、Guestを選び「編集」をクリックし、アカウントを無効にするというチェックボックスを外し、アカウントを有効にします。
7.\\指定したホスト名\Share
にアクセスすると、NASが利用できるようになります。
これで一般的な家庭で利用することができるNASが完成しました。
ActiveDirectoryで統合認証する
ActiveDirectoryとはLDAPをMicrosoftが独自に拡張した統合認証環境です。1つのアカウント情報(IDとパスワード)で様々な(例えば、Windowsのログイン、VPN、メール、無線LANなどの)認証が行える環境です。
ファイルサーバはアレで、無線LANはアレで、メールはアレで、、、、、、と、複数のサーバのアカウントを覚える必要がなく、変更を行うときもWindowsのログインパスワードを変更するだけでOKと素晴らしく便利な環境です。
※一般家庭で使うものではないです^^;
AD連携をするには、まずADにDiskStationを登録する必要があります。
1.コントロールパネルを開き、右上にある上級者モードをクリックします。
2.ドメイン/LDAPという項目が現れるので、クリックします。
3.ドメインにWindows環境で利用しているドメイン名、DNSサーバにドメイン環境で利用しているDNSを、管理モードに「信頼できるドメイン」を設定し、適応を推します。
4.ADの管理者アカウントを入力します。デフォルトではAdministratorです。
5.ドメインNetBIOS名、ドメインFQDN(DNS名)がそれぞれ設定されていることを確認して下さい。
これでAD連携が可能な状態になりました。
6.ファイルのアクセス権限を設定する
共有フォルダへのアクセス権限がADアカウントで設定できるようになりましたので設定を行います。
共有フォルダの設定内の権限タブを開き、ドメインユーザを選択すると、ActiveDirectoryに設定されているユーザ一覧を見ることが出来ます。各ユーザに詳細で設定を行うことが出来ます。
また、ドメイングループを選ぶことによって例えば営業グループのユーザだけアクセスが可能な場所を作る。などのことが出来ます。
スループットを測ってみる
GigabitでPCとHUBを1つ通して通信をすると、どのくらいの速度が出るかを測定します。
今回は速度を測定するソフトとして、LAN Speed Test (無料版)を利用します。測定相手の共有フォルダを設定するだけでスピードテストを行うことが出来ます。
今回は1000MBのファイルの書込・読み込みを行い、どのくらいの速度が出るか試しました。
まず、1対1の場合です。
書込が750Mbps、読込みが660Mbpsです。
次に、2対1の場合にどの程度の速度が出るのか試してみました。
利用したPC/書込/読込
PC1 / 520Mbps / 480Mbps
PC2 / 380Mbps / 310Mbps
という結果になりました。書込/読込ともに1台あたりの速度は落ちてしまっていますが、合計の転送速度はタイムラグが発生していることも(特に書込の数値が)否めない値になっていますが1対1の時よりも速度が上がっていることがわかります。
Windows 8.1 Proをサーバとして使う時との比較
現在、深刻なファイルサーバ不足により、複数台のファイルサーバを利用しています。
その中の1つである、
・Q1900M(CPU:Cleron J1900オンボード)
・RAM8GB
・HDD4TB+2TB
という構成のファイルサーバと比較を行いました。
ADの連携の評価:
WindowsでADのアカウントによるアクセス権限を追加する場合、詳細な共有設定から「アクセス許可」→「追加」→ ユーザ名の入力 → ADのにアクセス権のあるユーザIDとパスワードの認証と、はっきり言って、このDiskStationより手間が増えすぎています。
MicroSoft本家のOSをファイルサーバにするより、Synology製のDiskStationをファイルサーバにするほうがアクセス権の接待が楽です!!
ファイル転送速度の評価:
Windows機をファイルサーバとした場合、
1対1の時、転送速度が書込:770Mbps、読込:530Mbps
2対2の時、
利用したPC/書込/読込
PC1 / 480Mbps / 170Mbps
PC2 / 340Mbps / 210Mbps
となりました。1対1,1対2ともにDiskStationのほうが早くなっています。さすが、NAS専用に開発された機器だけのことはあります。
消費電力の評価:
簡潔に、結論を…
DiskStation使用時:20W前後
J1900使用時:20W-25W(なお、80Plus Pt電源搭載)
構成が全く同じではない(J1900は録画鯖のため、PT2が2枚刺さっている、HDDが違う)などあり、対照実験になっていないですが、消費電力は少しだけDiskStationのほうが少ない感じです。DiskStationは20Wを大きく超えることもありませんでしたが、J1900は30W近く消費することもありました。
総括:
通信速度、ファイル共有のアクセス権限は完全にDiskStationの圧勝です。Windows 8.1 Proなので、Windows Serverシリーズを使ったらそれなりに良い数値が出るかもしれませんが、そんなものはありません…。また、Windowsより簡単に、ユーザ名を検索することなく選ぶだけでアクセス権の設定ができるのは素晴らしいです。
消費電力についてはあまり大きな違いはありませんでした。ちなみに24時間起動で10Wの差がある場合、1年間で2100円位の差が出るようです。思っていたより大きいですね…。
PT2を抜いたり、HDDを全く同じものにするといったことは運用上不可能なので、申し訳ないのですが、ご容赦いただきたいです。
1年前にレビューしたDS415Playと比較
以下、DS415playを「DS415」、DS215+を「DS215」と表記します。
※HDDの投入可能本数がそれぞれ4本と2本で違いますが、ここではそのHDDの本数に関わる話については触れません。
ソフトウエア面では、実はこのDiskStationは随時最新版のファームウエアにアップグレードされるため、大きな違いはありません。
ファームバージョン
DS415:DSM 5.2-5592
DS215:DSM 5.2-5592
と、全く同じ物が入ってるので、ソフトウエア面では、大きな違いは全くありませんし、使えるアドオンも同じものになっています。
ちょっと変わっている点というと、ログオン画面に、「ようこそ!」と歓迎の文字が増えていることでしょうか。こういう配慮は嬉しいですよね^^。
外部接続端子:
DS215:電源、USB3.0*2、esata、LAN *2
DS415:電源、USB3.0*2、esata、LAN *1、USB2.0
DS215にしかないもの、DS415にしかないものがそれぞれありますが、ぶっちゃけた話、USB HUBを使えばUSB端子なんていくらでも(128までですが)増やせるので、個人的にはLAN端子が2つ付いているDS215のほうが優秀だと思います。
LANが2つ付いているということは、
・対障害性(2本つなげることによって型系統死んでも動き続けることができる)
・2倍の速度(リンクアグリゲーションを利用して、帯域を2倍化)
などができるのです。
※リンクアグリゲーション:LANコネクタを複数束ねて、束ねただけの速度を出す方法
このことから、安定動作を望む場合はDS215のほうが向いています。
転送速度の比較
DS415のレビューで測定した値は、測定方法が異なりますが(DS415は実家にあるので同じ測定方法で測定できなく、申し訳ございません)、読込640Mbps、書込680Mbpsでした。
比較すると、
機種 / 書込 / 読込
DS215 / 750Mbps / 660Mbps
DS415 / 640Mbps / 680Mbps
となります。読み込み速度は20Mbpsほど低下していますが、書き込み速度は110Mbpsと一昔前のEthernetの速度位は向上しています。
日々、読込が多いですが、やはり書き込みが早いことは嬉しい事です。HDDも違うものを利用しているので、完全な対照実験になっていないことはご了承願います。
同社製品同士でバックアップしてみる!
データを保存するストレージに求めるもの…
それは「データの安全性」です。いかにデータを損失しないで済むかはかなり重要な問題になってきます。DS415は実家においてありますが、実家とは40Mbps程度のVPNで接続されています(と言うか、今住んでいる家は実家のネットワークと拠点間VPNにて接続されており、実家にぶら下がっている形になっています。)
パッケージセンターの「ビジネス」内に「Cloud Station」と「Cloud Station Client」というソフトウエアがあり、これを利用することによってデータを同期することができるようです。
DS415にCloud Stationを、DS215にCloud Station Clientをインストールしたいと思います。
サーバ側はインストールして、利用するユーザーに権限を与えます。
必要に応じて、設定からバックアップする共有フォルダを有効にしてください。
クライアント側は、起動すると必要事項を入力する画面が開きます。
QuickConnect IDは上に写っている通りsayumiですのでそれを入力し、アカウント情報を入力します。
同期する共有フォルダを選択します。ここではShareを同期する設定にします。
同期が始まりました。簡単に同期ができます。素晴らしいですね。
同期が完了すると、こんな感じの画面が表示されるようです。
※ファイル容量が大きすぎるため、同期にかなり時間がかかっています。
まとめ
クライアント向けWindowsでサーバ構築を行うよりもずっと快適に、簡単に、高機能なファイルサーバを構築することが出来ます。
できればデフォルトでshareという共有フォルダがWindowsから利用できればありがたいですが、自由度が非常に高いシステムなゆえに、全て自分で設定できるということでもあります。
それにしても、この省電力かつ小さい筐体でこのシステムが利用できるなんてとてもいい時代になりました。
同社製のDiskStationが2台あった場合、バックアップ等の設定が簡単にできます。
Windows同じことをやろうとすると、バックアップツールを利用して複雑な設定を行うか、中断した場合に欠損したファイルがのこるか。の2択になります。なんか難しいですね。
IOやBUFFALOのNASの多くは中途半端なAD連携をしており、ユーザ情報を突然取ってこれなく成ることや、そもそも接続できないこともありますが。このシステムだと簡単に、素早くAD連携を行うことが出来ます。
日本製のNASは基本機能だけものもが多いですが、海外製の多機能なNASは値段だけあり、対応していることが多彩で簡単な「サーバ」というイメージに近いものが多いです。
ホームサーバーとしても、ビジネスで利用するファイルサーバとしても利用できることは日本製のものにはない素晴らしい点だと思います。
マルチメディア都の連携が高機能であることはDS415の時にレビューしましたが、今回のレビューでAD連携、バックアップなど、ビジネス利用にも耐えうる設計になっていることがわかりました。
これからも良い製品をよろしくお願いします。
後日談
2015/07/23追記
ファイル転送をしていたのですが、最大瞬間風速的に120MB/s = 960Mbps程度の速度が出ました。
実際、GigabitEtherの限界値だと思います。
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