●なぜCLIDE9か
今回私に与えられた課題は,私が持っている Dell Venue 8 Pro とさまざまな比較を行い、フェアな視点で CLIDE 9 を選択する理由とその優位性をわかりやすくレビューするというものです。
私が持っている Dell Venue 8 Pro も実は某懸賞で当たったものですが,Windows7のノートパソコンの代わりにビジネス用途に使えるかといろいろ試してみたものの,主として画面の小ささがネックとなってあまり使っていない状態となっていました。
そうしたところ,購読しているメルマガで,ソフトバンクが8.9インチ(1920×1200ドット)のWindows 8.1搭載タブレット CLIDE 8.9 を発表し,2月3日より発売開始,価格は2万6800円(税抜)というニュースを知り,そのコストパフォーマンスの高さと,絶妙(そうに見える)画面の広さが気になっており,今回の応募に至りました。
ちなみに,上記のCLIDE 8.9は,今回レビューする CLIDE 9 とは,CPU,ディスプレイ,メモリ容量等は同じですが,SIMやGPSが非搭載で背面カメラの画素数やストレージの容量が小さく,重量が約15gほど重いなど, CLIDE 9 の廉価版といった感じになっているようです。
●外観等の比較から
さて,まずは外箱の比較から。 CLIDE 9 の方がカラフルなのに対し, Dell Venue 8 Pro は素っ気ないほどシンプルです。
いずれも箱を開けると本体がぴったり入っており,箱の大きさはほぼ本体の大きさに比例します。ちなみに,外寸は Dell Venue 8 Pro が 130mm×216mm なのに対し
CLIDE 9 は 149.5mm×232.8 となっています。
付属品もシンプルで Dell Venue 8 Pro は USB電源アダプ
タとそれに接続するマイクロUSBケーブルのみです。CLIDE 9 もそれと同じはずでしたが,なんと,マニュアルの記載と異なり直付けの電源アダプタとUSBケーブル,そして,申し訳
ないと思ったのか,追加でマイクロUSB変換アダプタが入っていました。
Dell Venue 8 Pro と付属品
実害はなく,むしろマイクロUSBアダプタが付いていたのはうれしい誤算といえますが,何の説明もなくマニュアル記載の同梱品と異なるのはやはり不親切といわざるを得ません。
●初期設定について
何はともあれ起動しないと比較もできませんので,まずは初期設定です。 Dell Venue 8 Pro はもう終わっているので,ここは CLIDE 9 だけのインプレッションになります。
先ほどマニュアルといいましたが,両機種とも付いているのは簡単なファーストガイドといったもので,初期設定の仕方などは書いてありません。この辺りは,画面の指示に従いながらどんどん入力していけば何とかなります。
なお,マニュアルの印象としては, CLIDE 9 のものがきちんとすべて日本語で記載され,サポート窓口の電話番号も書いてあるのに対し, Dell Venue 8 Pro のものは英語と中国語との併記で,連絡先などもないので,ここは CLIDE 9 の方の勝ちとしておきます。
電源を入れるとデバイスの準備が始まり,地域と言語設定,パーソナル設定,オンライン接続設定,Microsoftのアカウントへのサインインの順番で設定が進みます。私は既に Dell Venue 8 Pro で登録していますので,PC設定画面では,DellInc.のものとは別の新しいPCとしてセットアップを続けました。
ストールと進み,ようやくスタート画面の表示までたどり着けました。この間,約40分でしたが,写真を撮ったりしなけれ
ばもっとスムーズだったかもしれません。
初期設定は特にトラブルもなく,合格点といえます。
●全体的な使用感について
これで準備が整ったので,いよいよ比較レビューの開始です。まずは,見て触った感じの質感等についてです。
Dell Venue 8 Proを持ったところ
幅と高さの寸法は上記のとおり一回り違うだけですが,持った感じは大分違います。 Dell Venue 8 Pro の方は片手でしっかりホールドできるのに対し, CLIDE 9 は指がギリギリかかるといった感じで,男性でもそんなに手の大きくない私にはつかみにくいというのが正直なところです。実際に使うときは親指でしっかりつまんでおく必要がありそうです。
厚みは Dell Venue 8 Pro が9mm, CLIDE 9 が8.5mmとわずかですが CLIDE 9 の方が薄いのですが,あまりホールド感には影響を与えていません。
上が Dell Venue 8 Pro 下が CLIDE 9
次に質感ですが,裏面の造りに差が見えます。 Dell Venue 8 Pro は表面にラバー加工がされ,持った感じもしっくり手になじみ,なかなかいい感じです。
これに対して, CLIDE 9 は金属の底面がそのままむき出しで持った感じが冷たいですし,手の脂の跡が目立ちます。シリアルナンバーも見やすくていいのですが,こんなところに大きく書きすぎという気がします(このレビューでは付箋で隠しています)。
次に使用感に大きな影響を与えると思われる速度についてです。CPUはどちらも「インテル入ってる」ですが, Dell Venue 8 Pro は Atom Z3740D であるのに対し, CLIDE 9 は Atom Z3735F です。どちらも 1.33GHzのQuad coreですが,Z3740Dの方がスペックとしては上になります。CPU-Zで見てみると,どちらもName ではZ3740と表示されますが,Specificationでは区別されています。
実際にロック画面が表示されるまでの速度を測ってみたところ,3回試した結果は以下のとおりです。
1回目 2回目 3回目
Dell Venue 8 Pro 14秒 17秒 11秒
CLIDE 9 27秒 23秒 27秒
平均すると Dell Venue 8 Pro が14秒であるのに対し, CLIDE 9 は26秒弱と苦戦しています。起動してしまえば,どちらもキビキビ動作しますので体感的にはあまり変わりはありませんが,やはり速く起動する方が気持ちはいいものです。また, Dell Venue 8 Pro の方が,電源ボタンをカチッと押せば反応するのに対し, CLIDE 9 は2秒程度長押ししないと反応しません。この辺は好みかもしれませんが,その点でも CLIDE 9 はワンテンポ遅れます。
なお, CLIDE 9 は横向きでの使用を基本に考えているようで,縦に持っていても,起動時のロゴは横向きの 「CLIDE」の文字が表示されます。
また,細かいようですが,充電時に Dell Venue 8 Pro はバッテリー充電ライトが点いて知らせてくれるのに対し, CLIDE 9 はそうしたライトがなく本当に充電しているか分からないのはちょっと不便です。
←CLIDE 9 充電中
●ビジネス用途としての使用感について
ビジネス用途しては,文章入力は避けて通れません。 Dell Venue 8 Pro はOffice Personal が最初から付属しているので,ワープロソフト等を購入しなくてもよいのは大きなポイントです。この原稿を書いている4月19日現在,Dellの直販価格で3万3980円ですからそのコストパフォーマンス恐るべしです。他方, CLIDE 9 は同日現在,価格コムの最安値で3万0460円となっており,これまた素晴らしいとは思いますが,公平に見て, Dell Venue 8 Pro の方に軍配を上げざるを得ません。
CLIDE 9 のためもう一つ高価なOffice を買うわけにはいきませんので,ここでは比較のため3000円台で買えるソースネクストの総合オフィスソフトの ThinkFree Officeを使って比較したいと思います。
さて, Dell Venue 8 Pro の不満の最たるものが画面の小ささで,ディスプレイのスペックは, 8.0 インチ IPS液晶 HDディスプレイ(1280 x 800ドット)であるのに対し, CLIDE 9 は,8.9インチ IPS液晶 FHDディスプレイ(1920×1200ドット)であり, Dell Venue 8 Pro に対する最大の優位点といえます。
Dell Venue 8 Pro ではワープロソフトを立ち上げたとき,入力のために使える表示部分が狭すぎて使い物にならなかったので, CLIDE 9 ではどうかと立ち上げてみました。
ところが,この画像のとおり,見た目がほとんど変わりません。ページの半分くらいしか表示されず,入力していてもストレスがたまりそうです。
おっかしいなーと思いつつ,コントロールパネルで「画面の解像度」を開き,「テキストやその他の項目の大きさを変更」を確認してみると, Dell Venue 8 Pro では「すべての項目のサイズを変更する」が「小さくする」,タイトルバーのサイズが「11」となっていたのに対し, CLIDE 9 のそれは,それぞれ「大きくする」「12」となっていました。これでは解像度の高さを活かしきれないと思い,それぞれ, Dell Venue 8 Pro と同じ「小さくする」と「11」と変更しました。その上で表示してみたのが下の画像です。
文字は相当小さくなりましたが,表示面積は広がり,ほぼ1ページ分の表示がなされています。また,倍率としては100%なので,文字の表示はむしろクリアになった感じです。で,ここで思いついて,タブレットを縦にした上,ワープロソフトの中で「ページの幅で表示」を選択すると,ベストマッチな感じの表示になりました。これなら老眼気味のの私でも何とか使えそうです。
●キーボードを付けて使ってみる
ここでキーボードを付けてノートパソコン的に使ってみようと思いますが,この点では Dell Venue 8 Pro が有利です。まず,Dellが純正のキーボードとポータブルケースを用意しており,それを使えばかなりすっきりと使えます。ただし,直販サイトで6370円もするのがネックです。
次に,そんなにお金はかけられないという人にはサードパーティから Dell Venue 8 Pro 専用のケースがいろいろ出ています。これに普段使っているキーボードを付ければ十分代用できます。私の場合は,昨年の7月頃,Wisers というメーカーのものを当時980円で購入しました。これは専用だけあってぴったり本体とフィットしますし,保護フィルム,スタイラスペン,マイクロUSBアダプタまで付いて超お得でした(今はもう少し高くなっているようです。)。
これを使うとこんな感じで結構いい感じ
になります。横からみると,ケースの蓋
を折りたたんでスタンドのように使う仕
組みとなっています。
これに対し, CLIDE 9 の場合は,これに相当するような専用ケースは見当たらないようです。仕方がないので,とりあえず壁に立てかけたまま同じようにキーボードを接続して使ってみました(ここで,同梱されていたマイクロUSBアダプタが役に立ちます)。
さきほど試したように縦表示にしてみるとこんな感じです。 Dell Venue 8 Pro よりも画面が大きい分,見やくなっています。
ただ,やはりキーボードを使うと画面か
ら目が離れてしまうため,細かい文字は見
えづらく,のぞき込むような姿勢となって
しまいます。
しばらく文字入力をしてみましたが,や
っぱり快適とは言いがたいのが正直なとこ
ろです。
結論としては,9は8よりは使い勝手は
よくなるものの,劇的に改善されるわけで
はないということになります。
この解像度を活かすためにはもう少し液
晶自体のサイズを大きくしないとダメなよ
うですが,そうするとモバイル性が犠牲に
なってしまいます。
絶妙なバランスの画面だと思ったのですが,現実はそう甘くないようです。
まだまだいろいろ比較したいところですが,レビュー期限が来てしまいましたので,取りあえずここまででアップさせていただきます。
(追記)
USB接続のキーボードでは何かと使い勝手が悪いと思っていたところ,別のレビューの際にBluetoothキーボードを購入したので,CLIDE9にも使ってみました。
使い方は簡単で,キーボードの電源をオンにしたまま設定画面でBluetoothデバイスの管理を開くと自動的に検出してくれます。
後は,ペアリングを行うと,無事キーボードでの入力が可能となります。このキーボードには,タブレットを設置するスロットも付いており,非常にすっきりした形で使うことができます。これなら十分実用的になります。
●格安SIMを付けて使ってみる
CLIDE9の良いところの一つはSIMフリー端末であることです。最近話題の格安SIMを使って見ました。こちらのレポートをご覧下さい。
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