PCを初めて所有してから約20年の間に、はたしてハードディスクを何台購入したのだろうか。
4GBのハードディスクでも大容量だなぁ~と感じた時代が懐かしいのは歳のせいかもしれませんが。
ハードディスクを使ってて、ある日嫌な音が起こり始め認識しなくなった、、という経験をお持ちの方もたくさんいるハズ。
PCに明るくない私の友人でも、突然ハードディスクが認識しない、壊れた!と相談を受けたこともあったりして。
実は私も、認識しなくなったハードディスクを数台ほど捨てられずに保存してあったり。
データ救出ソフトを使って、命からがら復旧できたデータも数知れず。
認識しなくなったハードディスクたち。捨てるに捨てれないんです。。
PCで一番大切なデータは何?と聞かれれたら、私の場合音楽データと写真データと答えるでしょうか。
もちろん仕事の書類もあるのですが、メールで会社のPCに送信することでバックアップしてるのでそこまで大事ではなく。
音楽データは時間をかければどうにかなるかもしれないけど、写真データはいくら時間をかけても取り戻すことができない想い出なんですよね。
私のiTunesライブラリ。学生の頃買ったCDも、今や全てここに収まってる!
少しだけ、私の自作メイン機のドライブ構成に触れてみます。
PCの用途にもよりますが、自作PCでのドライブ構成ってどうしていますか?
私の理想は、“キビキビと動いてくれて、保存スペースに余裕があって、大事なデータは安心できる”こと。
こんな構成で運用しているのですが。
自作PC生活をはじめてから、起動ディスクもデータ保存用も、なにかしらのトラブルで初期化したりダメになったり、初期交換してもらったり。
そんな中、自作を始めてからこの“半永久的に残したいデータ”の750GBのハードディスクだけは一度もトラブルがないんです。
先ほどのメイン機のドライブ構成で触れた、“半永久的に残したいデータ”を格納するドライブ。初自作機を組む際に、信頼性のあるハードディスク探してて“エンタープライズ製品”を初めて知って購入したんです。
そもそも、エンタープライズ製品とは大企業などのユーザ数・データ量の大きい使い方にも充分耐えられるだけのシステムパフォーマンスを持っている製品のこと。そのため、信頼性の高さは折り紙付きなんですよね。
“半永久保存用”にと選んだ、日立のエンタープライズ向けハードディスクのUltrastarシリーズ。
容量の大きなものは価格が高く手が出せなくて、750GBのものを選んだ覚えがあります。
これだけ使用時間があっても、今まで故障したことは一度もないんですよね。
17845時間、、24時間計算で丸々2年間分の時間を使用した計算に。
このハードディスクの寿命はメーカー公表値で100万時間。まだまだ頑張ってくれそうです。
さすが、エンタープライズ製品!
自作PC始めてから、ケースを変えCPUもマザーも変えて、起動ディスクはSSDのRAIDにしてみたり・・・
よくよく考えてみたら、このハードディスクだけは自作を始めた頃から唯一変わってないパーツなんです!
そんな使い方ができるのも、エンタープライズ製品だからこその強みではないでしょうか。
現在のintelのSSDのラインナップは、個人向けで2種類。
それ以上のクラスになると、法人向けのIntel SSD Pro 1500を除いたら、
データセンター製品(エンタープライズ製品)があるんです。
公表スペック値の比較をまとめてみました。
現行のintel SSD 240GBラインナップを簡単にまとめてみると、、
530シリーズ
◎書き込み速度が優れている。
◎省電力である
◎安価である
730シリーズ
◎コントローラがintel製ハイエンド向けの自社製である
◎読み込み性能が優れている
◎個人向け製品でありながら、耐久性が優れている
S3500シリーズ
◎高信頼性で長寿命である。
まとめたスペック表を見ると、なんとなくintel SSD 730の位置づけが分かりました。
intel SSD 730は、S3500シリーズに近い個人向け製品。
しかし、一つだけ分からないことが。
コントローラがハイエンド向けの“PC29AS21CA0”と同じもの。
コントローラとは何?数値化されていないので、どう違うのかイマイチ良く分からない。
そもそもコントローラとは何か?
調べてみると、SSDのデータが記録される“NANDフラッシュメモリ”を制御する重要な部分でした。コントローラの役割は大きく2つ。
①ウェアレベリング
書き込み回数が多いセルへのデータを、書き込み回数が少ないセルへ移動させる。また、書き込みの少ないセルから優先して書き込むようにすることで、各セルの書き込み回数に差がなくなるよう平均化してSSD全体の寿命を延ばす作業。
②ガーベッジコレクション
セルへ書き込みやすいよう、常にメモリブロックの最適化を行う作業。デフラグに似ている。
SSDのコントローラのお仕事イメージです。(あくまでもイメージです・笑)
なるほど、SSDのコントローラーは、SSDの性能を引き上げ寿命を延ばすための司令塔であることが分かりました。
では、intelの採用しているコントローラの違いは何か?
もう少し調べてみました。
SandForce製コントローラ SF-2281
多くのコンシューマー向けSSDに搭載されているコントローラ。
データを圧縮して転送する機能が特徴で、その機能を有効に活用できるデータの読み書きの転送速度は速いが、圧縮しにくいデータ(圧縮された動画やJPEG画像など)を複数転送する場合は速度が大きく落ち込む傾向にある。
インテル製コントローラ PC29AS21CA0
第3世代となるintel製コントローラ。特別品質の部品が採用されパフォーマンスチューニングを施したことで、従来比でコントローラが50%、NANDフラッシュが20%、速度が向上させた。
どうやらSSD730では、進化したintel製のコントローラが鍵になりそうです。
前置きが長くなりましたが、ここで実際にintel SSD 730をチェックしてみます。
intelおなじみの青箱。比較したのはintel SSD 530の箱。
やけに軽いなぁ~と思い開封したところ、シンプルな製品構成でした。
SSD本体・ビス・ドライバCD・SATAケーブル・ステッカー
ちなみに、こちらはintel SSD 530の付属品。3.5インチベイ用アダプタや、厚みを調整するカバーなど充実しています。(とはいえ、私はどれも使っていないので良いのですが。。)
intel SSD 530と比較。曲線デザインが違うくらいで、サイズ的には同じ。
パッケージ箱の写真と少し違い、ドクロの部分がシールになってて少し違和感が。。
intel SSD 730は、intel製のハイエンド用のコントローラを搭載した個人向けSSD。
スペック表から推測すれば、読み込み速度が速く耐久性が高いが、電力を食う印象。
一長一短だと、なんとなく理解できた。
では、どのような用途に使えば730シリーズはトクができる製品なのか検証していきます。
検証①テーマ『高電力SSDは、ノートPCの起動ディスクにするとおトク?』
検証②テーマ『従来のエンタープライズHDDから替えるとおトク?』
検証③テーマ『24時間運用で、簡易NASとして使ってみてはどうか?』
をテーマに、検証を進めていきます。
検証① テーマ『高電力SSDは、ノートPCの起動ディスクにするとおトク?』
ノートPCは、ディスクの増設が困難である。
ゆえに厳選された1台のドライブを起動ディスクに選ばなければならない。
SSD 730はノートPCの起動ディスクに適しているのか?
現在SSD 530を起動ディスクとして使用しているノートPCで比較をしてみます。
前回レビューさせていただいたマウスコンピュータのノートPCのSSDと比較します。
【転送速度ベンチマーク編】
ベンチマークソフトを使って、速度を計測してみます。
ランダムの読み書き
左:intel SSD 530 240GB 右:intel SSD 730 240GB
0Fillでの読み書き(一番速度が出やすい)
左:intel SSD 530 240GB 右:intel SSD 730 240GB
1Fill(一番速度が出にくい)
左:intel SSD 530 240GB 右:intel SSD 730 240GB
ここで感じたのは、730シリーズの4K性能の高さもすごいのですが、
なんといっても素晴らしい安定さ。
RAM・0Fill・1Fill、、どの数字を見てもほとんど誤差のない数値。
これは、intel製コントローラの恩恵でしょうか。
【転送速度ファイルコピー編】
実際にデスクトップに用意したファイルをCドライブにコピーしてみます。
・10GB分のHD動画 × 5ファイル
・約10GB分の写真データ × 約3000ファイル
を使って、デスクトップ→ドライブCへコピーする際の転送速度を調べてみました。
動画ファイル転送時に730の方が少し速いのが分かります。
何度も読み書きを続けてて気になったのが、
写真約3000ファイルを転送時のステータス。
左:intel SSD 530 240GB 右:intel SSD 730 240GB
HD動画5ファイルを転送時のステータス。
左:intel SSD 530 240GB 右:intel SSD 730 240GB
730の転送プロセスに安定感があるのが分かります。
緑の波線が、730シリーズではギザギザにならず安定しているんです。
これは、730のコントローラが優秀だからではないでしょうか?
ちなみに、新品SSDだからというわけではなく、
240GB分のデータを書き込んで消去して、、を3回ほど繰り返したあとに検証を行っています。
【消費電力編】
ノートPCの充電をフルにして、先ほど用意したHD動画5本をループで1時間再生してみました。
スペック的には、530の方が10倍以上の差をつけて有利なのですが。
実際に1時間後のバッテリを見てみると、、
左:intel SSD 530 240GB 右:intel SSD 730 240GB
結果は、多少の違いくらいで驚くほど730が電力を食ってないのが分かりました。
【検証結果】
intel SSD 730は、ノートPCの起動ディスクで使っても性能を十分発揮できる。
また、気になる省電力も驚くほどの差がない。
intel SSD 730をノートPCの起動ディスクで使用する、
おススメ度★★★★☆
検証②テーマ『従来のエンタープライズHDDから替えるとおトク?』
メイン機で使ってる、エンタープライズ製品のHitachi HUA721075KLA330 750GB。
ベンチマークで比較してみます。
【転送速度ベンチマーク編】
HDDとSSDのベンチ比較の差なんて、結果が分かっているのですが。。
少し面白い傾向であったので紹介。
ランダムでの速度
左:Hitachi HUA721075KLA330 750GB 右:intel SSD 730 240GB
0Fillでの速度
左:Hitachi HUA721075KLA330 750GB 右:intel SSD 730 240GB
1Fillでの速度
左:Hitachi HUA721075KLA330 750GB 右:intel SSD 730 240GB
さすがにSSDだけあって、intel SSD 730が速いのは当たり前だけど、
RAM・0Fill・1Fill ともにSSDもハードディスクも安定した数字で誤差が少ないのに感動。
お互い、エンタープライズ製品同志、、どんなデータでもブレ幅が少ないのには拍手を送りたくなりました。
ちなみに、iTunesのデータを75GB近くintel SSD 730にコピーしても、転送速度にムラがないのは素晴らしい。
気になったので、私のメイン機3台のドライブも転送ステータスのテストしてみました。
各ドライブに、同じ約10GB分の3000枚程度のjpegデータのファイルを置き、
そのフォルダ下に空フォルダを作りデータの複製を行いました。
(同ドライブからデータを読み込み→同ドライブへデータを書き込む作業)
動画時間が少し長くなりましたが、最後のエンタープライズHDDは一定の速度を保った速度で複製を行っているのが分かります。
改めてエンタープライズ製品の、“安定感”を感じました。
しかし、HDDだけに転送速度が遅いのが動画からも分かります。
そのHDDの転送速度の遅さを克服し、“安定感”も得られるドライブこそintel SSD 730なのではないでしょうか。
【使用した感想】
転送速度は確かに速いけど、私の日常的な使い方として“半永久用保存ドライブ”は書き込みするよりも読み込みで使うことが多い。
音楽ファイルをintel SSD 730にコピーしiTunesで参照させて使ったが、体感で変わるほどではなかった。
ドライブの寿命は、SSDが5年・HDDが3年といわれている。(実質の稼働時間としての年数)
私のメイン機の“半永久用保存ドライブ”の使用時間が2年経過くらいである。
まだまだ交換時期ではかもしれないが、発熱量や製品構造を考えるとSSDに世代交代しても良いのだが、、少なくとも1TB近くの容量は欲しいところ。
intel SSD 730をメイン機の“半永久保存用データ”用として使用する、
おススメ度★★★☆☆
検証③テーマ『24時間運用で、簡易NASとして使ってみてはどうか?』
実は、これが一番の本命。
これまでにHDDを簡易NASとして運用しようと考えたことがあったが24時間365日電源を入れっぱなしにするのに抵抗があったんです。
特にハードディスクの場合、発熱や消費電力の面で不安要素があったり。
かといって、USBメモリでは容量に不安が残るし。
まずはSSDを外付け化。せっかくドクロのデザインが素敵なので、透明なケースに。
ルーターをPC裏にしまってあるので少々汚いですが、ルーターとSSDをUSBでつなぎます。
ちなみにUSB接続は2.0と少しもったいない。
と、ここで問題が。
ルーターの簡易NASではフォーマットがFAT32かXFSでなければ認識してくれず。
FAT32だと32GBまでしか認識できず、仕方ないのでXFS形式でフォーマット。
結局、XFSでフォーマットしてもSSDであることは認識してもらえず。。
ん?ところでXFS形式ってなんだろ?
調べてみると、UNIXシステム最古のフォーマット形式らしく、ファイルシステムが丈夫で破損しにくとか。初めてこの形式でフォーマットしました。
もう少し調べると、このXFS形式はドライブに異常が起こった際にデータの救出が困難だとか。
(そのためのエンタープライズ製品といわれれば、それまでなのですが。)
なんだかんだ不安は残るのですが、簡易NASが出来上がりました。
左下のネットワークから共有フォルダを選択。
そこからintel SSD 730にアクセスできるんです。
もちろん、ネットワークにつながったPCなら共有可能です。
【ひとまず感想】
ディスクが回転することなく、発熱もほとんどないSSDならではの使い方ではないでしょうか?
アクセス速度も、そこまで遅いわけじゃないのですが、、接続はUSB2.0だしアクセス速度はネット環境に準ずるだろうし、、SSDの速度の恩恵は全くと言っていいほどスポイルされます。
あと気になるのは、フォーマットのXFS形式。
見慣れないだけに、不安が少々。
(windowsOSを介していないのでTrim機能が使えないのもネック。)
簡易NASではなく、NTFSの使えるNASキットであれば恩恵が受けられるかもしれません。
このあと、実験的に暫く運用してみようと思うのですが現段階で胸張って星5つでオススメできないのが残念です。
intel SSD 730を簡易NASのドライブで使う、
おススメ度★★★☆☆(未知数な部分あり)
3つの検証でintel SSD 730を使ってみた。
実は、簡易NASでの運用するのがオトク!という結論になるだろうと予想しながらレビューを始めたのだが。。
しかし、終わってみると簡易NASの使い方では発揮できない部分(フォーマットや速度、windowsOSとの連携など)が多く、勿体ない気がしてきたのも事実である。
逆に、
ノートPCの起動ディスクでは、ネックになるであろう電力の心配も思ったほどではなかった。
今回試していないが、デスクトップPCの起動ディスクにも向いているのではないだろうか。
起動システムへの安心も誰もが欲しいと思う要素だからである。
また半永久的に残したいデータの保存に、デスクトップPCの中でひっそり活躍してくれるのが本来の使い方かもしれない。容量が240GBで足りなければ480GB製品もラインナップされている。
結局のところ、誰かがトクをしない用途はないのかもしれない。
今回のレビューを通じて一番感心したのは、同じメーカーのSSDでもコントローラが違うだけで安定性が増すということ。
一見スペック表だけでは分からない、コントローラの存在について非常に勉強させられた。
また、価格も530シリーズとそこまで変わらない。
intel SSD 730は、エンタープライズ製品として捉えるのではなく、
個人向けとして気軽に安心して使えるSSDではないかと感じた。
エンタープライズ製品だからといって、ユーザーが何も構えることはない。
2014年10.21現在、amazon参考価格
intel SSD S3500 240GB(実売価格)31,606円
intel SSD 730 240GB (実売価格)21,980円
intel SSD 530 240GB (実売価格)17,083円
KAOさん
2014/10/22
SSDのコントローラーとってもよくわかりました!COOL!(*´ω`)
アストロマンティック☆さん
2014/10/22
コメントありがとうございます✩
コントローラも、エンタープライズ製品も一見分かりにくい部分なので、
どうやったらレビューで伝わるのか?結構悩みました。
的確な表現ではないかもしれませんが、イメージ的に〝あんな感じ〟です。(笑)
ダンボー✖フチ子✖ドクロ写真も視野に入れておきます。
乞うご期待!(←自分でハードル上げちゃった・笑)