レビューメディア「ジグソー」

長い時間使うものだからこそ目に優しいものが良い!

 

今回レビューさせていただくのは、目の疲れを軽減させるフリッカーフリー技術や自動輝度調整機能、柔軟な位置調整機能などVDT作業者(画像表示端末を使う作業者)の健康管理に配慮した機能を搭載する24型WUXGAワイド液晶ディスプレイ『BenQ BL2411PT』です。

VDT作業者の一人として、今回のディスプレイには大いに興味があります。


 

・2013.12.18:レビューを公開しました。


 

 



私が社会人になった頃は、一般的な会社はまだ紙媒体が主流で、PCやワープロといった機器は経理課や電算課(古いw)に行かないとお目にかかれないモノでしたが、今や一人に一台以上のPCやモバイル機器などが支給される時代となり、それまでのほとんどの業務がPCのディスプレイ上で行えるようになりました。

とても便利な作業環境になった反面、それらの作業に起因して発生する身体的な疲労や症状に悩まされている人も少なくありません。かくいう私も一日12時間以上PCとにらめっこしているような生活を送っており、いつも眼精疲労や首こり、肩こり、腰の痛みなどに悩まされています。特に最近では年のせいもあって疲れが抜けにくくなっていて蓄積する一方となっています。

職場では基本的に会社から支給されたPC機器を使用しなければならないルールがありますが、私が所属する部門はデザインや設計といったクリエイティブな作業を行うため、特例としてディスプレイだけは他部署よりも大き目のモノ(M社製23型ワイド液晶ディスプレイ)を導入しています。

ただ、その23型ディスプレイは低価格な商品が故に、高さ調整や角度調整などといった機能が貧弱な仕様になっており希望する高さや角度設定がしにくいことから、他社製ディスプレイマウントベースを別途用意して、それと交換して使用してきました。(PC本体は全くいじれません)


従来品:ツートンカラーですw

今回のレビュー品は「24型ワイド」なので、これまで使ってきた23型よりいくらか大きくなりますが、後ほど出てくる比較写真でもお分かり頂けるように、全体のボリューム感はほとんど変わりません。(従来品の方が少し天地方向が狭い)今回のレビューでは、今まで愛用してきた私の23型ディスプレイとの比較を交えながら進めて行きたいと思います。


 



本製品は縦型のダンボールに梱包されています。ディスプレイというと何となく横長の荷姿を想像しますが、本製品は画面の縦横回転機能(ピボット機能)があり、どうやら縦使いの状態のほうがアームが本体から飛び出さずにコンパクトに収納できるようです。この状態で横置きにするとアームの重さが偏ってバランスが悪くなるので、アームが下にくるように収納する事で重量バランスを取っているようです。(勝手な推測ですw)

 


パッケージ内容は「ディスプレイ本体」「ベース」「クイックスタートガイド」「CD-ROM」「電源コード」「ビデオケーブル(D-Sub)」「ビデオケーブル(DVI-D)」「オーディオケーブル」となります。

 


ケーブル類は一通り付属しています。


組み立てという程の作業ではありませんが、本体にベースを取り付ければ自立するようになります。


本体(左)とベース(裏側が見えています)


つまみ付ネジを一箇所を締め付ければ取付け完了。

 

 

全体的にバランスの取れたデザインが魅力的。


BenQブランドの液晶ディスプレイを使用するのは初めてなので、過去の機種などからデザインを継承しているのか、あるいは全く新しいものなのかは知りませんが、本製品を見る限りデザインは至ってシンプルで、アナログチックなボタン類や操作系の文字などを排除することで、スッキリとしたスタイリングに仕上げられています。


ブラックは精悍で締まった感じがして良いですね!


■正面側
シンプルでありながらも先進的と感じられる部分がありました。それは正面下部に設けられたセンサーパネルです。本製品には人感センサーや明るさを検知するセンサーが組み込まれており、センサーを有効化されている時は、そのパネルに組み込まれたセンサーが常に使用環境を監視しています。


正面下部のセンサーパネル


また、右下の電源ボタンとその横のコントロールボタンはタッチパッド式で、電源のON/OFFやOSDを呼び出したりします。初めて見た時は「何コレ?」状態でしたが、使ってみると意外と操作性がよくて気に入ってしまいました。(後ほど紹介)


何も表記されていないのでちょっと不親切ではありますが。。。


その他、正面から見た特徴としては、左下に「BenQ」のロゴがあり、ブラックボディにメタリックな感じがひときわ映えて見えます。そして、右上部分にはロゴとは対照的に、目立たない色でさりげなく機種品番が書かれています。


おっと、重要な「液晶パネル」の説明を忘れるところでした。
本製品の液晶パネルは表面にノングレア処理が施されており、周辺のギラギラとした反射を適度に抑えてくれますので、特にオフィスのようにたくさんの照明がある環境で作業する場合には必須の装備といえます。


一度使うと癖になるノングレア処理、もはや無いと仕事になりません^_^;


正面周りを見て少し気になったのが、液晶パネルに対して周辺のフランジ部分が大きく前にせり出しているところです。従来品が4ミリ程度なのに対して本製品は9ミリもありました。テーパー処理されているので視野角には影響なさそうですが...


埃がたまりそう…


■背面側
一方の背面側には、重たい本体を様々な角度で支える為のゴツいアームが取り付けられていますが、形状やエッジラインの表現を工夫してスリムに見せており、スタイリッシュとは言えませんが、一昔前のいかにも裏面といった無骨さを感じさせない仕上がりになっているところが好印象です。


最近のディスプレイは発熱が少ないのか排気スリットが小さく控えめですね。


ロータリーエンジンのローターのような断面形状のアーム部分


角型のベース部は若干大きめですが、見た目にドッシリとした安定感があって、ちょっとやそっとでは倒れない感じがして良いと思いました。

 

ただ、ベース上面の強度的な都合なのか、或いはデザイン上のっぺりしないよう配慮されたものなのかは不明ですがトレーのように一段下がっています。小物類を置くスペースに利用できそうですが、埃などが溜まりやすく掃除がしにくいというマイナス要素も含んでおり、テーパーを付ける等の配慮があっても良かったのかな、と思いました。


シボ入りの表面は色がブラックなだけに手の脂が付くと結構目立ちますね。。。


ちなみに、従来品のベースは本製品とは対照的な「丸形」となっています。丸形はデスク上どの角度で設置してもベース部の見え方がほぼ一緒であり、ターンテーブルのように回転する機能(重心がブレない)を持たせられるという合理的な部分がある反面、配線作業の時など本体を倒したり起こしたりする際に、支点が不安定で作業しづらいという欠点がありますので、どちらが良いかと言うのは微妙なところです。。。

 



コンパクトながら映像と音声信号を

デジタル伝送できるDisplayPortを搭載!

 

電源や接続用の端子などは、他の多くのディスプレイと同様に背面側の下向きに設置されています。


背面側の下から覗き込むと各種端子が並んでいます。(ネジ頭の下はDisplayPort)


本製品にはPCとの接続用に「D-Sub端子」「DVI-D端子」「DisplayPort端子」が用意されています。従来品では「HDMI」接続をしていましたが、本製品にはHDMI端子がなくDipplayPortを利用できる機器もないので、今回は「DVI-D端子」を使用することにします。

電源コードの差込ソケットとその横に主電源スイッチがペアで設置されています。


電源ソケットの横に並んでいる無数の円孔部分がスピーカーでしょうか?


背面のアーム部分にフック状の樹脂パーツが付いています。これは接続したケーフル類を束ねるためのクリップとなりますが、なにぶん樹脂製なので太いケーブルをグリグリ通すには少々貧弱な気がしました。特にピボット機能を使うとケーブルが大きく動いて樹脂パーツに無理な力が加り破損するおそれがあるので要注意です。


強度的に心配な樹脂製クリップ。大丈夫かな?

端子の位置については、ピボット機能などを考えると回転しても影響しにくい場所(例えばセンター部で回転してもそこは動かないとか)になっていると嬉しいと思うのですが、コスト的に難しいのでしょうか?

 



自分に合った快適な作業環境が構築できる。

 

■チルト・スイベル・高さ調整など

本製品にはチルト(上下首振り)やスイベル(首振り回転)、高さ調整といった快適な操作環境を実現するために必要な機能が標準で装備しています。従来品(ベース交換品)にも同等の機能が備わっていますが、特殊な構造を採用しているため、チルトや高さの調整がやりづらい(高さだけでなく画面が前後にも移動する)といった面があります。その点、本製品は操作が直感的に行え、動きもスムーズなのでとても使いやすいです。

・チルト範囲:-5(下向き) ~ +20度(上向き)
・スイベル範囲:-45 ~ +45度
・高さ調整範囲:130ミリ


[チルト]垂直より下はアームの都合でほとんど振れません。


[スイベル]左右の回転は十分で安定しています。


[高さ調整]これだけ調整幅があれば文句なし。



取扱説明書にも書かれていますが、高さ調整で最も下げた状態から高くする場合は、背面側アーム部の「高さ調節用つまみ」を押してロックを解除します。ただし、押しただけではロックが外れないことが多いので、本体を上から下に押し下げながら高さ調節用つまみを押すと簡単に操作できます。

 


少し下に押し下げながらつまみを押すとやりやすい。

■ピボット機能

本体の画角を90度回転させることができる「ピボット機能」については、従来品が反時計回りに回転するのに対して、本製品は時計回りに回転します。どちらも高さを調整して高くするか、あるいは上向きにチルトさせた状態で回転させないと本体の角がベースや床面にぶつかります。

・ピボット範囲:0 ~ 90度


無くても何とかなりますが、あるととても便利な機能です!



ピボット機能を実際に使用する時は、先にPC側で向きの設定を変更してから回転させることをお勧めします。後から変更する場合はキーボードショートカットで「Ctrl + Alt + 方向キー(Windows 7)」を押すと切替えられます。Macの場合はショートカットが割り当てられていないようなので、マウスの先端をデスクトップの上側の向きに合わせて持ち、その状態で操作すれば何とかなります^_^;

従来品に比べて本製品の方が全般的に可動範囲が狭くなっていますが、私が使用する範囲では特に不自由なく全てのポジションをカバーできているので、実用的には全く問題ありません。


従来品(左)との比較

※上の比較画像でシーンによってディスプレイサイズが違って見えるのは、従来品の機構的な都合でディスプレイ部分が前後に移動しているためです。


 



黄金比に近いWUXGA対応の貴重なモデル!

 

従来品と本製品とで画面サイズ以外に異なる大きな点は「液晶パネルの駆動方式」の違いです。従来品が「TN方式」なのに対して本製品は「IPS方式」となります。各方式の細かい違いなどはあえて説明しませんが、スペックに現れる応答速度や視野角などは駆動方式の特性などが如実に現れていると思います。

そして、今回の製品で最も重要なスペックは「フリッカーフリー」という部分でしょう。下のスペック表には載っていませんが、本製品は「フリッカーを効果的に取り除いたLEDバックライトを採用し、従来品はフリッカーが発生するLEDバックライトを採用している」ということで、その効果のほどが気になるところですが、それは次の項目で改めて紹介したいと思います。


本製品もDCR動作時のコントラスト比は2000万:1となります。
また、カスタマイズした従来品の重量は7.7kgありました。

従来品の1080Pと比べるとWUXGA(1,920×1,200)はワイド感がありませんが、1080Pの16:9よりもWUXGAの16:10の方がバランスの取れた美しい矩形で、そう言う意味でこのサイズに拘る方も多いのではないでしょうか? 私としてもWUXGAの方が使っていて落ち着きます。

 


 



DisplayPortも気になるけど、とりあえずはDVI接続で満足。

 

職場ではメイン機としてPC(ESPRIMO D751/C)、サブ機としてMac(Mac mini 2011)を使用しています。従来ではディスプレイは一台でPCはDVI接続、MacはHDMI接続で、ディスプレイの切替スイッチを利用しながら使用していました。

 

本当ならばDisplayPortを使ってマルチディスプレイを試してみたかったのですが、対応機器がないので、今回は諦めました。

レビューの比較写真などは、「Macと本製品」「PCと従来品」の組合せとしましたが、実際の利用シーンではメイン機に本製品を繋いだほうがより使い込めると思いましたので、逆パターンの組合せに変更しています。

・本製品+PC:DVI接続、1,920×1,200 60Hz
・従来品+Mac:HDMI接続、1,080p(1,920×1,080)


Mac miniとの接続にはHDMI変換アダプターを使用しました。

普段使うアプリとしてはAdobe IllustratorPhotoshop3DCGを描くものが主となっており、メイン機およびサブ機でほぼ同等の環境を揃えています。サブ機との使い分けはフォントの種類やフィルタの都合、または3Dレンダリング中に別な作業をする為といった感じです。

 


従来品(左)と比べると明るくて色鮮やか!(写真があまり良くないですが...)

 

接続後、まずは本製品と従来品の照度比較と画面全体の輝度ムラが無いかを確認してみました。

 

圧倒的な明るさにビックリ!

 

照度については、あらかじめPhotoshopにて白い画像を全画面表示した状態で、照度計(横河M&C 510 02)を用いて9点を測定し、それぞれの平均値を出しました。


愛用の照度計、かなり年季が入っています。

どちらも調整無しの標準の状態ですが、従来品は青味が強く、本製品はそれよりも低い色温度設定となっていています。同じ照度なら色温度が高い(青味が強い)方が明るく見えると言われていますが、今回は見るからに本製品のほうが明るく見えますので、測るまでもなく本製品のほうが明るいです。


最高輝度での比較(周辺ボカシ過ぎ...)※右が本製品


最高輝度で2倍の明るさでした。どうりで明るく見えるわけだ。

結果的には、やはり本製品のほうが圧倒的に明るい数値が出ました。照度については、必ずしも明るければ良いとは思えませんが、窓際など陽の光で明るさが変化する環境の場合など、画面をより明るくしたいと思うこともありますので、余力として取っておくには良いと思います。





やはりムラは少ない方が良い!

輝度ムラについては、同じく白い画像を全画面表示した状態を撮影し、画像処理でムラが分りやすいよう濃淡を強調してみました。従来品は導入当初から見てすぐに気付くほど輝度ムラがあるのですが、改めて見てみると経年劣化を考慮したとしても、かなり酷い状態でした。本製品も強調してみるとムラが確認できるものの、肉眼での見た目には目立った輝度ムラは感じられず割と均一に表示されていると感じました。この辺はさすがIPSパネルと言えるところでなのしょうかね。。。


見た目に平滑な本製品も強調してみると意外とムラがありますね。

 

角度よりも見え方のほうが重要?

 

視野角については、カタログ値の通りかどうかキチンと計測していませんが、見える見えないで判断するならばどちらもかなり深い角度まで見えます。ただ色合いや明るさを判断条件に加えると、液晶の駆動方式の違いの差が大きく出ます。IPSパネルを採用する本製品は非常にクリアーで鮮明な状態を保ちながら、極端に減衰することなく広い範囲に渡って見ることが出来るのに対して、TN方式の従来品は、真正面から少し角度を変えただけでも色が変化し、ある角度を超えると陰りが酷くなって見えにくくなります。

 


斜め横から見ると本製品(手前)も若干暗く白かぶりしますが、従来品は…


斜め上から見ても本製品(右)は色の変化が少なくて良いです。


従来品を使っていて一番気になっていたのはこの「角度の違いで色の見え方が違う」という部分で、画面中央部分と上下左右ですら同じ色の見え方が異なったりするので、気をつけていないと意図しない色合いのものが出来てしまったりします。また、人に画面を見てもらう際も気をつけないと違う印象の色に見えてしまうことがあります。

本製品はこのような心配は全く無さそうで、非常に心強いです。。。

 

数値に惑わされるなかれ!
十分すぎる応答速度に納得。

さらに液晶の応答速度についても見てみました。

カタログ上では本製品は14msとなっており、従来品の5msよりも応答速度が遅いという数値となっています。普段の使い方では心配する必要もないと思いますが、休憩時間などに動画を見ることもあるので、従来品とどの程度の差が出るのか、応答速度を試すアプリと実際に動画を観て検証してみました。

 

他にも幾つかのテストアプリを試しています。


結論から言うと、アプリによる検証では残像が出やすいのかと思いましたが、従来品も同じような傾向が見られましたので、特に応答速度の差は感じられませんでした。また、実際の動画鑑賞においても全く差が感じられませんでした。私としては今回の応答速度の差は実用面では全く問題にならないと判断しました。

ちなみに応答速度とは違いますが、従来品はカタログ上の応答速度は5msとなっていますが、モノクロのドキュメントなどを左右に動かすと、色のにじみが出ます。本製品では同じことをしても全く色のにじみを感じませんでした。

 

更新: 2013/12/18
フリッカーフリーディスプレイ の効果の検証 PREMIUM REVIEW

数値化ならずとも効果は確実にあると確信したのでした。

今と昔のフリッカーは原因が違う?

 

何年か前からLED等から発せられるブルーライトが眼精疲労につながるとして問題視されており、ブルーライトをカットするメガネやフィルターなどが持てはやされていますが、ブルーライト以外にも目の疲れの原因になるものがあるようで、その一つが光の明滅によるチラつきである『フリッカー』と言われています。

ブラウン管の時代には走査線とリフレッシュレートの関係でフリッカーが生じることは体感的にも理解していましたが、液晶においてブラウン管と表示方式が異なるためフリッカーは発生しないと思っていました。しかしながら、ブラウン管のそれとは違って、一般的な液晶の場合は画面の明るさをバックライトの明滅で制御しているので、そこにフリッカーが発生するということなのだそうです。

特にLED光源の場合、明滅の落差がハッキリしている(残像が少ない)ためにフリッカーの問題が発生しやすいということです。従来品もLEDバックライトを採用しているので、どの程度フリッカーが発生しているのか気になるところです。

 



LEDの特性が裏目に出たPWS調光とは...

 

専門家ではないので技術的な知識はありませんが、従来のLED液晶ディスプレイの多くはパルス幅変調(PWM)調光を採用しており、光源の明滅の割合を調整してバックライトの明るさを調整しています。

 

最も明るい状態では点灯している時間が消灯している時間よりも長い(或いは消灯していない)のに対して、輝度を下げて暗くしていくと消灯時間が長くなり、その明滅がフリッカーとして感じられるようになるそうです。

 

特にLEDは明滅の落差がハッキリしているという特性があるため、フリッカーとして現れやすいのだそうです。

 


このようにPWM調光では技術的にどうしてもフリッカーが発生してしまいますが、改善策としてLEDバックライトを明滅をさせないでコントロールする直流方式「DC調光」という技術があります。この方式だと原理的に光源の明滅によるフリッカーは発生しません。

DC調光の技術は昔からあったそうで、輝度を下げた時の色制御が難しかった為あまり実用化されていなかったようです。BenQでは、そのDC調光のデメリットを克服して低輝度でも色の制御が可能なDC調光LEDバックライトを開発し、本製品を含む「フリッカーフリー」ディスプレイシリーズに搭載しています。

 



身の回りにはフリッカーがいっぱい!

 

前述のことを踏まえて、実物による検証を実施してみました。検証では2台のデイスプレイを並べて何種類かのテストを実施しました。


試しにデフォルト状態を肉眼でじーっと見てみましたが、どちらのディスプレイも目で確認できるチラつきは感じられませんでした。

はじめに、何もしない素の状態をiPod touchのカメラを通して見てみましたが、製品サイトに掲載されている写真のような縞々は従来品においても確認できませんでした。前述した「フリッカー発生のしくみ」から察すると輝度が最大の場合、光源が明滅していないことが考えられます。そこで、双方とも50%まで輝度を落としてみました。


すると、思った通り従来品の画面上にフリッカーの干渉縞が現れました。本製品については全く出ていないことがお分りいただけると思います。

 

 

次の映像はUSBファンを使って撮ったものです。後から撮ったものなので左右が入れ替わっていますが、こちらも従来品においてはモアレが確認できました。

 


プロペラが多過ぎたので黒いテープを貼っています...


それでもファンの回転が早過ぎました^_^;
動き初めと止まる寸前にモアレが確認できます。


おまけですが、この状態のまま画面の前で棒状のモノを振ってみたらどうなるか試してみると、本製品の前では残像が流れるように自然に見えますが、従来品では残像がコマ撮りのように写っています。この写っている部分がLEDの「明」で写っていない部分が「滅」であると推測できます。



このように器具を使って検証してみればフリッカーの有無は一目瞭然ですね。試しにフリッカーの有無で色々なところを見てみたら、身の回りにフリッカーが溢れていることが分かってゾッとしました。


それにしても、なかなか肉眼で見えにくいフリッカーを無意識のうちに感知している人間の身体って何だか神秘的に思えてきますw

 

数値化ならずとも間違いなく効果はあると実感!

 

今回のレビューで最も難関と言えるのは「効果」をどのように検証するかでしょう。疲労の度合いは個人差もあり視覚化はもちろん数値に表すのも難しいと思われるので、どうしても感覚的になって内容にならざるを得ません。


念のために疲労度を検証するスマホアプリを見つけて導入してみましたが、疲れていると思っても「元気です!」と出たり、その反対だったりと思ったような結果が出ないので、信頼できるのかどうかを現時点では判断しきれませんでした。

 


フリッカー検査がスマホ等で手軽にできるアプリです。(クリックじゃなくてタップでした...)

他にも、夕方老眼になっていないかや視力の低下などもチェックしてみましたが、あまり変わった数字が出ませんでした。。。


夕方だけ老眼気味になっていることがあるらしいです。


視力の低下具合はこのようなアプリで分かります。ただし測れるのは1.0まで。


そのような訳で、疲労の度合いを測る術が全く無いまま感覚的な感想を書き連ねることになりました^_^;


なお、PCのディスプレイ以外にも日常的にiPod touchやタブレットなどによるVDT作業を行っており、目の疲れの原因になることが他にも多々思い当たりますが、できるだけ普段通りに過ごすことで違いが出るのか出ないのかを確認していきたいと思います。

 

一日目は本製品と従来品ともにデフォルト設定のままで使用しました。 本製品は正面に設置し、そのすぐ横に従来品を並べましたが、本製品で作業する際はできるだけ従来品の画面はスリープ状態にして使わないようにしました。


初めて使った感想は「非常に目が疲れた!」でした。 画角やら色合いに慣れていないせいもあるかと思いますが、何より画面が明る過ぎたようです。デフォルト設定だと従来品よりも遥かに輝度が高いため、それが目に負担を掛けたようで、軽減どころか以前にも増して目が疲れるようになってしまいました。


そこで、次の日からは本製品の輝度設定を40%まで下げて使用することにしました。この設定だと丁度従来品と同じくらいの照度(色温度は違いますが)になり、画面が見やすくなりました。フリッカー云々の前に、まずは自分の目に適した輝度に設定するというのが重要であることが分りました^_^;


まだ数日しか経っていませんが、従来品を使用していた頃と比べて、目の疲れが少し軽減されたように感じます。


また、本製品を使い始めて気付いたことですが、従来品の「白色」は色合い設定などを調整してもギラギラ感があり、それだけでも目が痛く感じます。それに対して本製品の白は非常に自然で、しばらく見ていても従来品ほど目に負担が掛からないように感じました。

 

さらに、これはIPS方式の恩恵だと思いますが、画面のどこを見ても明るさが均一で、色合いにも大きなブレがなく、鮮明な画像を見ることができるので、目の疲れだけでなく、画面上の色の見え方の違いを意識しなくて済むようになり精神的にもかなり楽になりました。


写真では白飛びしていますが、実際にはそんなことはありません^_^;


まだまだ使い始めたばかりですが、フリッカーフリーやその他の複合的な要素によって、わずかではありますが目の疲れが軽減されていると実感しています。とはいうものの、あくまでも個人的な感想であって、必ずそうなるという保証は全くありません。

 

目のショボショボ感が減った。(目薬を差す回数が減った)

瞬きの回数が減るために目が乾いてショボショボするのだと思っていましたが、本製品を使うようになってから瞬きが増えたのか、或いは別の要因からなのか、乾燥する季節であるにも関わらず目の乾きやショボショボ感を感じることが少なくなりました

 

 

目の疲れが抜け易くなった気がする。

 

今までは仕事が終わって帰宅後も目の疲れを感じていましたが、本製品を使い始めてから目の疲れが抜け易くなった感じです。完全に抜ける訳ではないのですが何となく自然に抜けていくような感覚です。

 

首や肩のコリは今のところ変化無し。


現在感じているのはこの程度で、今までに蓄積した眼精疲労や身体のコリはそう簡単に抜けそうにありません。もっと長く使っていけば別な効果が出てくるかも知れませんので、長期的に検証していきたいと考えています。


また、今回「輝度を下げたことで目の疲れが軽減した」という例のように、ほんのちょっとしたことで疲労を軽減できるかも知れないという可能性を見出すことができたので、これからは適度な休憩を入れるなど疲労軽減を意識しながら作業していこうと思いました。

 

更新: 2013/12/18
フリッカーフリーディスプレイ を使うことで変わったことや解決したこと PREMIUM REVIEW

良くなったこともあればダメだったことも...

本製品のスマート通知に従ってみたら、さらに疲労が軽減した!

 

目の疲れが軽減されると、当然作業効率がアップすることが予想できます。しかし、続けて作業してしまうと結局は身体への負担が増すことにもつながります。

 

そこで今回は、本製品のエルゴノミクス設定にある「スマート通知」を利用して、そのメッセージが表示されたタイミングで軽い休憩を取ってみました。

 


「休憩しなさい」と言わない控え目な通知。

実際には、作業の都合もありますので、表示されたら直ぐにという訳にはいきませんでしたが、とにかく席を外してブラブラしたり、ストレッチをしたりしてリフレッシュ時間(5分程度)を設けてみました。

 

メッセージの出る間隔はあまり頻繁すぎるとモチベーションが維持できなくなりそうなので、60分間隔としました。

 

結果としては、予想以上に身体の負担が減ったと思われます。そして、全体的に見たら、作業の効率もアップしているような気がします。

 

よく健康診断やVDT検診の時に休憩についての説明を聞くので分かってはいましたが、今までなかなか実行できませんでした。この機能を試すことで、健康管理の大切さを考えさせられました。

 

二台並べると圧巻だけど、両方使うと疲労が増える?

 

現在は、二台を並べて使用しています。メイン(本製品)は正面に置き、サブ(従来品)を右側に置いています。

 

マルチディスプレイではありませんが、今までのように一台のディスプレイを切り替えて使う必要がなくなったので喜んでいましたが、サブを点けたままメインを使用していると、右目に不快感を感じることに気付きました。

 


二台並べると贅沢な感じで良いですが...

サブをスリープさせると、その不快感が無くなることから、見ていない方のディスプレイも目に何らかの影響を及ぼしているようです。広い画面を二台使うというのは、私の目には負担が掛かり過ぎるようでした。

 

そのような訳で、メイン使用時はサブをスリープさせています。こんなことなら切替器を復活させようかな?

 

経費削減につながります。

 

業務における成果物の完成度などについては、特にこれといった変化は見受けられませんでしたが、IPS方式は従来のTN方式に比べて色の再現性に優れているため、画面と出力の差が少なくなって、試しでの出力回数が減って無駄が少なくなりました


出力したものと画面のイメージがかなり近い。

※作業用として「sRGB」モード(輝度40〜50%)に設定しています。

 

更新: 2013/12/18
フリッカーフリーディスプレイ の良かった、気に入った、オススメしたい機能や特長 PREMIUM REVIEW

VDT作業者の疲労を軽減させるための機能が満載!

本製品の最大の売りは勿論「フリッカーフリー」なのですが、ただそれだけではなく、VDT作業者の健康に配慮した便利な機能が盛りだくさんで、長時間VDT作業をしている全ての人に是非使って欲しいものばかりです。

製品概要でもチラリと紹介しましたが、本製品の前面には2種類の用途に使えるセンサーが組み込まれており、それぞれ設定をオンにすることで、利用できるようになります。

 



快適な視認性を維持して目を保護してくれる。

 

周囲(主にパネルの前方)の明るさを感知して画面の輝度を自動的にコントロールするというものです。例えば周囲が明るい時は明るく、暗い時は暗くして目の負担を軽減してくれる訳です。

 

輝度の変更は目の順応特性に合わせて徐々に変わっていく仕組みになっています。いつの間にか変わっているという感じで、輝度の変わり目を意識せずに作業に集中できます。

 

この機能を使用するためにはOSDメニューの「エルゴノミクス」設定で「目の保護」をオンにする必要があります。


ライトセンサーの設定画面(OSDメニュー)


ちょっと邪魔ですが、センサーが感知した周囲の明るさ値が分かります。

 



画像モードで「標準」以外の設定を選択している時は適用できなくなっているようです。また、センサーの前に明るいものや遮蔽物があるときちんと機能しません

 



部屋の照明が十分明るい時は、輝度が最大になるようになっています。私が使用している環境では照明が十分に明るいようで輝度が最高になってしまい明る過ぎて目が疲れます。「標準」設定では輝度調整が適用されないので、「ユーザー」設定で輝度を落とすと、今度は本機能が適用できません。

 

当初は窓際など時折部屋の明るさが変化する場合に良いと思いましたが、今回のレビュー環境では昼夜を通して部屋の明るさが十分ありすぎて思うように効果を体感できませんでした。

本機能について少し気になったのは、周囲の明るさはほとんど変わっていないはずなのにセンサー(目の保護メーター)が大きく反応していることでした。何が原因か分りませんが、予期せぬタイミングで画面が暗くなったり明るくなったりを頻繁に繰り返していて、返って目が疲れるので本機能はオフにしてしまいました。

 

設置環境や機能の使い方などをマスターすれば非常に良い機能だと思います。

 

 



在席・不在を感知してかしこく節電してくれる。

 

人の存在を感知して、席を外した時などに自動的にディスプレイをスリープ状態にするというものです。OSDメニューの「ECO」設定から「エコセンサー」をオンにすると機能が有効になります。


ECOセンサーの設定画面(OSDメニュー)


センサーが人を感知しなくなるとカウントダウンが始まり、
暫くすると自動的にスリープします

 



センサーの感度設定を「遠い」「中央」「近い」の3段階から設定できます。座った状態で距離を測ってみたところ、私の環境では以下のような距離感になっていました。また、角度的にはかなり指向性が強く、1mくらいの距離で一人分横に移動しただけで反応します。


遠い:約190cm
中央:約120cm
近い:約70cm


センサーの範囲内に頭一つ分入っていると反応するようです。試しにスリープ状態から机の上に顎から上を出してみるとスリープから復帰し、その後はスリープになりませんでした。ちなみに顔の上半分程度だとセンサーは人を感知できないようでした。


推測されるセンサー範囲(実際の設計とは違うかも知れません)

 



私の設置環境では、感度の設定を「遠い」にすると後ろの人に反応してしまいます。また「近い」だと、ふんぞり返って背伸びをしている間にセンサーが反応してカウントし始めるので、間をとって「中央」にしています。ちょっと席を外しただけですぐに反応してくれるので、とても便利ですし何よりエコなのが嬉しいです。

職場では、席を外す時にPC側の設定でスリープ状態かスクリーンセーバーモードにするように言われています。(本来はパスワードロックが必須)しかし、実際には面倒なので点灯したまま放置している人がほとんどです。時々外出しているのにも関わらず付きっ放しにしている人がいて、見かねてディスプレイの電源を落として回っているマメな人もいます。こんな時にもこの機能があれば、放っておいてもOKですねw(本来出かける時は電源を落とすべきですが...)

席に戻った時、椅子を引いて座るまでの間にセンサーが感知して間もなく復帰しますので、全くストレスを感じさせない優れものです。普段ほとんど意識せずに使えるので、この機能は大変気に入りました。

 

 



積極的に使いたくなる画像モード

 

今は当たり前なのか分りませんが、本製品のOSDメニューは軽く触るだけで操作できるタッチパッド式を採用しているので、物理的なボタンのようにカチカチとせわしく押さなくても簡単に操作できるところがスマートです。

OSDメニューからは、輝度やコントラストの調整といった基本的な設定から用途に合わせた画面モード選択、入力モード選択、ライトセンサーやECOセンサーの設定など本製品ならではの特徴的な機能の設定ができます。このメニューの使いやすさは、タッチパッドによる入力のしやすさと、良く使う項目に簡単にアクセスできるようホットキーに登録することができるという点です。

タッチパッドの応答性には若干クセがあるので慣れが必要ですが、慣れてしまうとなかなか使い勝手の良いメニューだと思いました。


分かりやすい画面、直感的に操作できます。



タッチパッド式ですが、指や金属などを近づけるだけでライトが点灯しますので、暗い場所でも操作が可能です。(木やプラスチックには反応しませんでした)

 



特にオススメの部分は、本製品の売りのひとつでもある高度画像補正技術「Senseye3」によって実現した「閲覧モード」です。

 

最近のディスプレイやTVには標準で画像モードを変更できる機能が付いていますが、が本製品には「閲覧モード」という主に長時間電子書籍やドキュメントを読むためのモードが用意されてい ます。このモードに設定すると、画面全体がセピア調というか黄ばんだ液晶のような色合いになります。これは目の疲労の原因のひとつとされているブルーライ トをカットしてフリッカーフリーとの相乗効果で目の疲れを軽減させようというものです。

左が「標準」モードで右が「閲覧」モードです。

画面全体の色が少々気になりますが、色に拘らないような電子書籍やドキュメントの閲覧に限定すれば悪くないと思います。また見る時だけでなく自ら文章を書く時に使用しても良いと思いますので、文章の作成はもちろん数値の入力など事務系の作業をする人にもオススメの機能です。ただ、パッと見た目の印象が良くないのでオフィス全体で使うと鈍よりとした雰囲気になってしまうかも知れません^_^;

折角なので、その他の画像モードも一通りご紹介しておきます。(各モードの詳細は端折ります)


「標準」モード(左半分)との比較になっています。

今までこのようなモードを利用したことはほとんどありませんでしたが、本製品にはDCRという映像ソースにあわせて自動的にバックライトを調節してコントラストを最適レベルに調整する機能を搭載しているので、どんどん活用して楽しんでみようと思っています。

 


 

 



職場の標準ディスプレイとして是非導入して欲しい!

 

PC用の液晶ディスプレイを購入しようとした時、限られた予算の中で皆さんはどの項目を優先して機種選定をされるでしょうか?

画面の大きさや解像度、色の再現性、駆動方式や応答速度のような部分でしょうか?あるいは回転機能などのハード的な部分、もしかしたらデザインだけで決めてしまう方もいるかも知れませんね。私も本製品を使ってみるまでは、大きさや解像度を重要視していました。(他の知識が無かったという話も...)

しかし、今の私なら間違いなく「フリッカーフリー技術」を搭載した機種を選びます。長時間PCの前にいるとどうしても目が疲れます。今までは職業柄仕方がないことだと思って諦めていましたが、ディスプレイを替えることで疲労が軽減できるならば替えない手はありませんよね。

本製品は、フリッカーフリーだけに特化している訳でなく、トータルで使用者の疲労を軽減してくれるような設計になっているところがとても良いと感じました。フリッカーフリーの効果については結論を出すには時期尚早であると思っていますが、フリッカーが発生していないことは紛れもない事実ですので、疲労の原因のひとつが無くなったと確信しています。

そして、これからのディスプレイは「フリッカーフリー」がスタンダードになるという確信めいたものも感じた次第です。

本製品は24型ということで、私にとってサイズ的にも丁度良く、私の好みの高さや角度に設定でき色の再現性にも優れているということで、体感できるあらゆる面で従来品を凌駕していると言っても過言ではありません。今後職場で新たにディスプレイを導入する機会があったら、是非ともこの「目に優しい」機種をオススメしたいと思います。(予算的な問題はありますが^_^;)

 


 


以上が私のレビューとなります。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。今後気付いた点などは、追記する形で残していきたいと思っています。

2013年12月

コメント (10)

  • ちばとどさん

    2013/12/18

    カタログでは絶対わからないし、店頭でも感じることができないことをお伝えいただき、ありがとうございます。経験豊かなプロならではの視点と詳細さに敬服しました。
    NANAOのディスプレイもよいのでしょうが、こちらも十分対抗できる選択肢になりそうですね。欲しくなりました。
  • izappyさん

    2013/12/18

    ちばとどさん、
    コメントありがとうございます。

    色の再現性などにシビアな業界で使うことを前提にするならと、もっと別な選択肢があると思いますが、私のような事務作業の延長的な使い方なら十分すぎる程の性能です。でもNANAOのフリッカーフリーも試してみたいですね。
  • Satoshiさん

    2013/12/18

    izappyさん
    プロ並みのレビューですね。
    私も早く仕上げないといけないですね。
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