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「グループウェア」という概念を変えてしまう可能性を感じる

はじめに.「Office 365」と「グループウェア」

 

実は最初に「Office 365」という言葉を見たときに私が想像したのは、クラウド型のオフィススイート、つまり「Office Web Apps」のことでした。その後少し調べてSharePointやExchange Serverの機能も内包したグループウェアソリューションであることは理解出来ましたが、私の中ではどうしても「Office 365」と「グループウェア」という言葉が結びつかなかったのです。

 

私がイメージしていたグループウェアとは、サイボウズ社の製品群「サイボウズOffice」や「Garoon」に代表される、社内のワークフローをソフトウェアの中で完結させたシステムのことでした。ただ、よく考えてみると「グループウェア」という言葉の正確な意味を調べたことはありませんでした。そこで、まずはWikipediaで言葉の意味を調べたところ、次のように記載されていました。

 

グループウェア(Groupware または Collaborative software)とは、企業など組織内のコンピュータネットワークを活用した情報共有のためのシステムソフトウェアである。ネットワークに接続されたコンピュータ(のユーザー)同士で情報の交換や共有、またスケジュール管理等の業務に利用される様々な機能を通じて、業務の効率化を目指したものである。様々な機能が一つのシステムに統合されており、それらが有機的に結合しながらユーザにサービスを提供する。

 

他のIT用語辞典なども調べてみましたが、概ね共通しているのは「企業等の組織内で情報共有に使われるツール」という意味合いでした。そう考えると、確かにOffice 365もその定義には一致しているように思えます。しかし、Office 365をしばらく使っていて、これは単なるグループウェアではなく、もっと多くの可能性を持ったツールなのではないかと思うようになってきました。今回のレビューではOffice 365の機能や使い勝手と共に、その点についても検証してみたいと思います。

 

1.Office 365の主な機能

 

まずは利用開始の部分から触れるべきなのかもしれませんが、今回はレビューアー全員が1つの組織に所属するという形で、ZIGSOW管理人の方がユーザー設定をされていて、一般的な利用開始手順とは少し異なりますので、Office 2013日本語版の動画集から確認していただいた方が確実ではないかと思いますので、URLを掲載しておきます。

 

http://www.youtube.com/user/Office2013j

 

ユーザー登録完了後、初回サインイン時にはパスワードの設定を求められます。ここで設定出来るのは8文字以上の英数字または記号文字で大文字・小文字を両方使用した、セキュリティ強度の高いパスワードに限られます。クラウドの性質上、ここで強度の確保をしておくのは重要でしょうから、これは正しい配慮といえるでしょう。

 

サインインを済ませると、用意されている機能へのアクセスが可能となります。以下、メニューの配列順に機能の概略を紹介します。

 

まずはWebメーラーの「Outlook Web Apps」です。

 

 

実際には通常の電子メール以外にも、インスタントメッセージの履歴などもここに集約されています。WebメーラーとしてはGmailなどの利用経験があれば、特に問題なく使えるものではないかと思います。

 

次は「予定表」です。

 

 

こちらもGoogleカレンダーなどと同様のものと思っていただければわかりやすいでしょうか。予定表はMicrosoftのサーバーソフトウェアとしては、電子メールと同様にExchange Serverが提供している機能であり、起動時にはメールの場合と同様に「Outlook Web Apps」と表示されます。

 

次は「People」です。Outlookなどの「連絡先」と同様の機能ですが、クラウドベースらしく相手先の状態(サインインしているか否か、応答可能か否かなど)が表示されます。

 

 

これもやはりExchange Serverが備える機能であり、「Outlook Web Apps」の機能の一つです。

 

次の機能は一言で表すのが少々難しい「ニュースフィード」です。ここへのコメントの仕方はTwitterに近いものですが、表示されるニュースフィードはFacebookのタイムラインに近いように思います。一応ここに自分に関連する情報が集約されるのですが、簡易SNS的に使える場所でもあります。

 

 

次はオンラインストレージの「SkyDrive」です。単なる保管場所というだけではなく、ドキュメントの共同編集などを行う場合に役立つ領域です。なお、厳密には「SkyDrive Pro」サービスを利用しているため、個人用の無料版「SkyDrive」とは上限容量や画面デザインなどに差があります。

 

 

ここに保管したファイルは、自分一人だけにしか見えない状態にも出来ますし、相手を指定した上での共有をかけることも出来ます。

 

なお、ここから「Officeオンデマンド」(最新のOfficeのインストーラー取得)を呼び出すことも出来るのですが、今このスクリーンショットを作成しているのがWindows XP環境であるため、この機能を利用することは出来ません。Windows XPでは必要なアドインがインストール出来ないようになっています。

 

そして「サイト」です。ここは予めフォローしたサイトの一覧となっていて、自分に関連するチームサイトなどへの入り口となります。

 

 

「フォロー中のサイト」一覧には私が所属する「チーム3」のチームサイトへのリンクもありますので、普段はここからチームサイトに入っています。

 

ちなみに「チーム3」のサイトはこちら。

 

 

チーム内の管理者役は私なので、本当はもう少し作り込みたいところだったのですが、先週末から風邪をこじらせてあまり作り込んでいる余裕がありませんでした。

 

そしてチーム内管理者のみに表示されているのがこちらの「管理者ダッシュボード」です。ここではユーザー管理やライセンス管理など、運用上必要となる管理機能が用意されています。

 

 

ブラウザー上で利用出来る基本的な機能は、概ね以上の通りとなります。それを踏まえた上で、実際に利用した際の様子をレポートしていきます。

 

 

2.外出先から使ってみた

 

私の場合は仕事で回る先が状況に応じて大きく変わります。大きく分けると、比較的近めの場所を車で移動している場合と、都内に電車で出向いている場合があります。

 

都内にいる場合には、ファーストフード店などで公衆無線LANが利用出来ますので、接続してしまえば自宅とそれほど大きくは違わない環境で利用することが出来ます。

 

というわけで、某ファーストフード店からチームサイトの編集を行っていました。今回は到底モバイル用には見えない、SONY VAIO VPCSE1AJ(Windows7 Home Premium 64bit)を利用しています。

 

 

 

公衆無線LANであれば速度も比較的安定していますし、使い方としてもWebブラウザからサインインするだけですから、特に難しいことはなく使うことが出来ました。

 

問題はファーストフード店どころかコンビニ1軒もないような、地元を走り回っているときです。

 

一応ノートPCとセットでモバイルルーター(Softbank Ultra WiFi 007Z)を持ち歩いていますので、電波が届く場所であればこれを使うことで解決します。

 

 

車を適当な場所に停め、ノートPCを広げることで利用可能になります。

 

 

ただ、モバイルルーターでの利用時には、応答がタイムアウトしてしまい、表示不可能となってしまうことがたまにありました。ある程度トラフィックは多くなる傾向があるようですので、PCで利用するためには安定した通信環境が欲しくなるところです。

 

いちいち全ての作業をPC経由で行っていては、使い勝手が良くありません。まだレビューがあまり進んでいないこともあり、それほどリアルタイムでのやりとりが必要な状況ではありませんでしたが、メンバーからのメッセージ程度は確認出来て欲しいところです。そこで、iPhone(iPhone 4s 16GB Softbank版、iOS6.1.3)でメッセージを見られるように設定しました。

 

 

設定は特に難しいものではありません。iPhoneのプロファイルとして予め用意されている、Microsoft Exchangeの設定欄に自分の接続情報を入力するだけです。

 

 

赤丸の部分をタップします。

 

 

自分の接続情報(Office 365で利用しているメールアドレスと、サインイン時のパスワード)を入力します。

 

設定が終わると、標準のメールアプリケーションでメッセージのやりとりを確認することが出来るようになります。

 

 

 

3.デスクトップ版Office 2013 Professional Plusを使う

 

さて、今回のレビューで利用している「Office 365 Small Business Premium」ですが、これは通常のOffice 365で提供されているクラウドによる各種機能の他に、デスクトップ版Microsoft Officeの利用権が付属しています。なお、Office 365のエディションによる違いはチームメイトのCLWさんのレビューで詳しく記載されていますので、そちらもご覧下さい。

 

これは最大5台まで「Microsoft Office 2013 Professional Plus」(Windows版)または「Microsoft Office Mac 2011」(Macintosh版)のデスクトップアプリケーションを利用することが出来るというものです。

 

但し若干の制約があり、通常のメディアからのインストールでは、利用するアプリケーションを個別選択出来るのに対して、Office 365提供版では全アプリケーションをインストールする以外の選択肢がありません。通常はこれで問題ないのでしょうが、HDD(またはSSD等)の空き容量が少ないモバイルPCなどで利用する場合には注意が必要と思われます。

 

なお、他のメンバーとのコミュニケーションの際に必要不可欠な「Lync 2013」は、Office 365で提供されるMirosoft Office 2013 Professional Plusに収録されているため、Office 365を使う前提のあるPCでは、こちらのOfficeスイートをセットアップしておくべきでしょう。

 

現時点で提供されるOfficeは2013(Macintoshでは2011)ですが、これは原則的にその時点での最新のOfficeスイートとなるということです。動作要件はパッケージ版のOffice 2013と同様ですので、現時点でOffice 365を活用するためにはWindows7以降のOSが必須となります。試しにWindows XP環境で導入を試してみましたが、当然全く使うことが出来ませんでした。

 

今回はWindows7 Home Premium 64bit+Microsoft Office 2010 Professional Plusが動作しているVPCSE1AJに、Office 365版のMicrosoft Office 2013 Professional Plusを導入してみました。

 

私の場合はサインイン後に表示されるダッシュボードが管理者用のものとなっていますので、通常のユーザーとは若干構成が異なっていますが、そこに用意されている「ソフトウェア」からセットアップを実行することが出来ます。

 

 

オプション等は特に無く、「インストール」ボタンをクリックするだけです。

 

 

インストーラーが起動しますが、ここも「次へ」ボタンがあるだけです。

 

 

途中でサインインを要求されます。ここでサインインしておくと、Lyncなどにもサインインの情報が反映された状態となります。

 

 

再びインストール作業が進行します。

 

 

この画面が表示されればインストールは完了です。ここでインストールされたOffice 2013はデスクトップアプリケーションであり、もちろんオフライン状態でも利用可能です。

 

前述の通り、今回セットアップに利用したVAIO VPCSE1AJにはOffice 2010が既に存在していますが、このような旧バージョンとの共存は問題ないようです。

 

但し、既にOffice 2013がセットアップされている環境では少々注意が必要です。Outlook 2013がセットアップされている場合には、その状態でOffice 365版を新たに導入してしまうと、既存のOutlookの接続情報に異常を来してしまい、Outlook自体も正しく動作しなくなってしまいます。Office 2013同士の共存はするべきではないようです。

 

4.メンバーとのコミュニケーション

 

メンバーとのコミュニケーション手段は複数用意されています。フィードやOutlook Web Appsを利用してのメッセージのやりとりはもちろん可能ですし、チームサイト内の掲示板などでやりとりすれば、限定されたメンバー間でのみの情報共有も可能です。

 

ただ、それだけではOffice 365の魅力を活用しているとはいえません。やはりコミュニケーションを図る際の目玉となるのが「Lync」でしょう。

 

現在のOffice 365では提供されているOfficeスイートがOffice 2013であり、そこに含まれるLyncも同様に「Lync 2013」となっています。以前はOffice 2010が提供されていて、Lyncにも「Lync 2010」が存在していました。

 

 

このスクリーンショットはLync 2010です。基本的な機能は2010と2013とで共通しているようで、2010を利用しても他のメンバーとのやりとりは可能でした。

 

一方、こちらが本来利用するべきLync 2013です。

 

 

Lync 2010では表示されなかった自分やメンバーのプロフィール画像が表示されていて、若干の違いがあることが判ります。

 

 

ここではインスタントメッセージや音声通話・ビデオ通話、メール送信などを実行することができます。

 

最初は各自Office 2013を思い思いに使ってみようということや、チームメンバーのishiさんのご家族に不幸があり、全員の意見をくみ取ることが難しいという事情もありましたので、テストを除きインスタントメッセージ等は利用せず、フィードやメール、チームサイト内でのやりとりで連絡を取ってきました。

 

ただ、後半のレビューに向けてそろそろ会議が必要ということで、会議の開催を計画してみました。

 

Lyncから会議の予約は可能ですが、Lyncから会議の予約を実行するとOutlookが起動します。

 

 

このような形で会議の通知も可能なのですが、LyncとOutlookが正しく設定されていない限りこの方法は不可能であり、モバイルデバイスやMacintoshからでは予約ができないことになってしまいます。

 

そこでそれらの環境に対応するため、Office 365ではWebブラウザーベースのスケジューラー「Lync Web Scheduler」が用意されています。

 

 

こちらはWebブラウザーが利用できれば問題ありません。


 

 

※ここからは後半となります。

 ←後半に入るに当たり、チームサイトに設定したロゴです

 

 ▲チームサイトも作り込み、レイアウトやデザインが変化しています。

後半の課題.プレミアムレビューの課題に取り組む

今回のレビューに際して、ZIGSOWの管理者様より送られてきたテーマは次の2つでした。

 

テーマ【1】
様々な場所での使用感ビジネスユースを想定し、カフェや空港など外出先やユニークな場所での実際の利用シーンを写真や動画を使いレビューして下さい。
その際チームメンバーと Office 365 の機能(Office Web AppsまたはOffice アプリケーション、Exchange Online、SharePoint Online、Lync Online)を実際に使用し、そのやりとりのキャプチャなどと共にレビューして下さい。

 

テーマ【2】
Office 365 と他のグループウェアとの違いその他のグループウェアとの違いを比較し、Office 365 の機能やオススメポイントをレビューして下さい。

 

 

まず、テーマ【1】に関して、先に取り上げた

 

・某ファーストフード店の公衆無線LAN
・車の中でモバイルルーター併用
・iPhoneによるメッセージ送受信

 

などの形は紹介しました。ただ、チームメンバーとのやりとりという意味では、IM(インスタントメッセージ)やOutlook Web Appsによる直接的なメッセージの送受信など、チームサイト内の掲示板やフィードを使った、文字中心のやりとりに終始していました。

 

そこで「ビジネスユースを想定」という部分をクリアする意味を込めて、チームメンバーの皆様にLyncを使ったオンライン会議を呼びかけました。

 

Lync会議を開催するためには、先に紹介した通りOutlookから予約する方法と、Lync Web Schedulerを利用する方法とがあります。今回はせっかくOffice 2013 Professional Plusを利用していますので、Outlookでの予約を試してみました。

 

5.Lyncオンライン会議の使用感と今後のチーム活動方針

 

今回はOffice 365から取得したOffice 2013を導入済みで、Webカメラも内蔵するVAIO VPCSE1AJで会議に参加しました。利用回線はNTT東日本のフレッツ・ネクスト ハイスピードであり、NetGenesis SuperOPT-GFiveとの組み合わせで利用しています。提供されている200Mbpsの帯域幅は、フレッツ網の内部では完全に発揮出来ている(サービス情報サイト内のスピードテストでは常時200Mbpsを超える)という環境です。

 


当初はNetGenesis SuperOPT-GFiveの下に無線アクセスポイントとして接続しているAterm WR8700HPを経由してIEEE802.11n接続していたのですが、ビデオ会議用としては回線品質不良と警告が出る状況であったため、急遽LANケーブルを引き回しGigabit Ethernet接続へと切り替えたところ、安定して接続出来るようになりました。無線LAN接続でもビットレートは十分足りていたはずで、原因は不明ですが…。

 

 

会議の進め方としては、全員がLync会議にビデオ接続して会話をしつつ、チームサイト内のノートブック(OneNote Web App)に書記役のishiさんを中心にその都度書き加えていくという形を取りました。Office 365では11月6日のアップデートによりドキュメントのリアルタイム同時編集が完全にサポートされていますので、このような使い方でも問題は起きません。

 

▲書記役のishiさんを中心に必要項目を各人がリアルタイムで追加していきます

 

チーム内での共通見解として、共同で何か課題を1つこなしてみようというものは以前からありました。ただ、メールやメッセージで済むレベルの、単なる情報共有では面白くないとも思っていました。そこで考えたのが、せっかく全員にOffice 2013 Professional Plusの利用権があるのであれば、それを活用してチームとして何かツールを開発してみようというものでした。具体的には小規模なシステム開発を受注して、Access 2013を活用して開発を行ったという状況を再現してみようというものです。端的に言ってしまえば、Office 365を情報共有だけではない、開発プラットフォームとして利用してみようという考えです。

 

ちなみに、私自身は実際にAccessを利用した小規模なシステム開発は受注することがありますが、その際にはメールや電話による連絡が必要となっています。今回はそのような連絡を含めて、必要な作業は全てをOffice 365で提供される機能で完結させてみようという試みです。

チームは計4人ですので、次のように配役を決めました。

 

・依頼主=CLWさん(Accessに関しては完全な素人という設定)
・プロジェクト管理=jive9821(ほぼ顧客窓口)
・開発者=ishiさん
・今回の開発をプレゼン資料化=我輩!テトであーる♪さん

 

6.Office 365で開発案件を完成させてみよう!

 

まず、CLWさんから私宛にシステムの注文をお送りいただきました。制作するシステムはアンケートの実施と結果表示を行うものとなります。

 

Lync会議の際にアンケートシステムが良いのではないかという話は出ていましたが、具体的内容は決定しておらず、CLWさんに発注内容のアイディアをお願いしてありましたので、このように最終的な要求仕様を書面でいただくことにしました。

 

次に、その依頼内容に加えて要求仕様等を定めた文書を、チームサイト内のドキュメントに用意し、開発者のishiさんに制作開始をお願いします。ここは本来メールで構わない連絡ではあるのですが、一応書面として残すためにWord Web Appを利用してチームサイトのドキュメントフォルダーに用意しました。

 

私の制作指示書を読まれたishiさんから仕様についての質問があり、顧客役のCLWさんとも相談した結果、私が「ラジオボタンで」と指定した選択肢の表示方法はリストボックスを採用することに決定して、いよいよファーストリリースの開発開始です。

 

 

不具合等の洗い出しをした際の連絡を取るため、ドキュメント内にExcelで報告用のシートを用意しました。顧客側からの指摘事項や、開発チーム内での連絡や提案など、Excel Web Appを利用して、各人の都合の良いタイミングで更新していきます。

 

今回の開発では、作業の進捗と共に、我輩!テトであーる♪さんがその様子をPowerPointで資料としてまとめて下さいました。これもドキュメントとして保存してあり、各人のレビューに合わせて自由に修正して良いというご意向をいただいておりましたので、少し追加や改変を加えて自分用のものを用意しました。今回はPowerPointのビデオ出力機能を利用して、動画で紹介させていただきました。

 

 

ishiさんに作成していただいた初回リリースでは、既知の問題点についての注意が添えられていましたので、改善方法を私とishiさんの間で検討しました。また、依頼主CLWさんの環境で正常動作しないとの報告が上がってきましたので、その原因追及も併せて行います。

 

検討の上解決の目処がつきましたので、修正版のリリース準備を整えます。また、今回の開発についてプレゼンをとりまとめる役である、我輩!テトであーる♪さんからSharePoint上でデータを共有できるようにしてはどうかという提案があり、それに合わせた改良もここで行っています。

 

今回アンケートアプリを制作課題として選んだ理由は、実はGoogle Appsの機能を研究する材料として、我輩!テトであーる♪さんが用意して下さったのがアンケートフォームであったため、それに近いものを作ってみようということからでした。

 

Google Appsのアンケートフォームは非常に手軽に作れるというメリットはあるのですが、機能の充実度やカスタマイズ性などは、さすがにMicrosoft Officeの方に分があります。

なお、出来上がったアプリケーションはSharePoint上でテーブルデータを共有していますが、この場合は我々のチームサイトにアクセス出来る環境でなければ正常動作しませんので、このアプリケーションの動作状況を再現するために、内部のテーブルにデータを保持するスタンドアロン版も用意しました。

 

恐らくチームサイトが機能している間は、こちらのURLでスタンドアロン版はダウンロードしていただけるものと思います。

 

https://zigsowinc.sharepoint.com/team3/_layouts/15/guestaccess.aspx?guestaccesstoken=3xjv5XsgxBiGJ9x7R55zVe%2fk%2bS6Tt3wGfa7L88%2f0GT4%3d&docid=08330a38e73eb43c5bc93e9df2de68016

 

直接ファイルを閲覧しなくても概要が掴めるよう、紹介動画も用意しました。

 

 

今回の開発では、特に私とishiさんの間で自由になる時間に大きな開きがあり、電話などで連絡を取り合おうとしてもなかなか難しかったのではないかと予想されます。しかし、Office 365にはメールの他に共有のドキュメントスペースなどもあり、画像や動画での保管にも対応(動画は自動でストリーミング対応形式となります)していたことから、お互いの都合の良いタイミングで好きなように作業できたという点に大きなメリットを感じました。

 

 

7.他のグループウェアとの比較

 

Google Apps for Business (Google)

 

最初に触れた通り、有力な比較対象となり得るのはサイボウズ社の製品群でしょう。しかし、Office 365の機能を改めて考慮してみると、直接的なライバルとなるのはGoogleが提供しているGoogle Appsではないかと思われます。

 

Google Appsにはドキュメント編集機能も用意されていて、Office 365に含まれるWeb Appに近い作業は可能です。ただ、さすがに純正アプリケーションではないため、レイアウトの互換性など、どうしても不足する部分はあります。

 

一方で簡易アプリケーション作成環境として「フォーム」が用意されていて、アンケートフォーム等を手早く用意することが出来ます。以下のフォームは研究用として我輩!テトであーる♪さんに用意していただいたものです。

 

 

Google Appsは、以前は小規模な組織であれば無料で利用することができたのですが、現在は本格的に利用するためには6,000円/1ユーザー(年額の場合)の有償サービスとなっています。金額的にもOffice 365 Small Business近いものとなっていますし、提供される機能もほぼ同等のものとなっています。はっきり言ってしまえば、Office 365 Small BusinessとGoogle Appsの選択については、どちらを好ましいと思うかは好みの問題でしかないというレベルのものです。

 

Google Appsについての概要も我輩!テトであーる♪さんにまとめていただきましたので、動画に起こしておきました。

 

 

ただ、Office 365には今回利用した、上位バージョンのSmall Business Premiumが用意されていて、ここに最大5台分のOffice 2013 Professional Plusの利用権が付属しているというのが大きな強みとなっています。Google AppsのWebアプリケーションもある程度は使えるのですが、やはり本物のOffice 2013には互換性も機能も遠く及びません。また、Office 365ではWebアプリケーションとデスクトップアプリケーションがシームレスに連携しますので、簡単な修正であればWebアプリケーションだけで完結しますし、大幅な変更の時にはそのままデスクトップアプリケーションを利用した編集に切り替えることができます。実際に私もOffice 365を使っていて、このシームレスな連携という部分に大きな魅力を感じました。

 

 

サイボウズOffice (サイボウズ)

 

日本の企業向けグループウェアの定番ともいえる製品です。
サイボウズOfficeの強みは日本の企業組織を研究して、必要とされる書類や連絡のフローをグループウェアの中に過不足なく盛り込んでいるという点でしょう。

 

サイボウズOfficeといえば、少し前に話題となったのは「悪の秘密結社 ショッカー」の導入事例を紹介した動画を発表したことでしょう。私が下手に説明するよりも、「サイボウズOfficeとは?」という問いに対して的確な回答となるものですので、是非ご覧いただければと思います。

 

https://www.cybozu.com/sp/shocker/

 

実は私も以前とある企業にサイボウズの新規導入を仕事で行ったことがあるのですが、初期の環境さえきちんと作ってしまえば、比較的ITリテラシーの低い組織であっても十分に活用することができるように作られていました。

 

Office 365やGoogle Appsは自由度が高い反面、利用法はユーザー自身が考える必要があるといえますが、サイボウズOfficeは最初から用意された環境の中で利用していれば良いため、非常にわかりやすく使いやすい製品であるといえます。また、サイボウズ社のグループウェアとしては無料で使える「サイボウズLive」という製品も用意されていますが、基本的な方向性としてはいずれも「スケジュール管理と情報共有に特化した」と表現出来るのではないかと思われます。もっとも、私自身が今までグループウェアという存在がそういうものであると思っていたわけですが…。

 

サイボウズOfficeは利用目的に上手く合致すれば、使い勝手は極めて洗練されていて優れたシステムだと思います。しかしOfficeファイルを直接編集できるようなWebアプリケーションなどは用意されておらず、Microsoft Officeなどと併用するのが正しい製品です。同じグループウェアとはいえ、Office 365とは製品コンセプトが全く異なる存在であるといえるでしょう。

 

 

その他のグループウェア

 

先に取り上げた2つ以外にも、クラウド環境が一般化したことも手伝い、有償・無償を問わず多くのグループウェアが提供されるようになりました。

 

無償で利用可能なグループウェアを中心にいくつか紹介しておきます。

 

「アイポ」 http://www.aipo.com/
「Group Session」 http://www.gs.sjts.co.jp/v4/index.html
「R-Group」 http://www.r-groupware.com/

 

それぞれ機能や外観に差はあるものの、サイボウズOfficeを筆頭に多くのグループウェアでは、組織内の情報共有と、スケジュール調整・管理が主目的として設計されているように思います。私が今回のレビュー前にグループウェアと聞いて思い浮かべたのも、そのようなソフトウェアでしたので。

 

8.まとめ

 

今回1カ月近くOffice 365を使わせていただいての感想は、Office 365は「グループウェア」という言葉から想像していた存在からは大きく異なる存在だったということです。確かに情報共有「にも」使えますし、スケジュール管理「にも」使えます。

 

しかし、Office 365はそのような従来のグループウェアの特徴を内包しつつも、Microsoft Officeという業界標準のオフィススイートを併せ持つことで、遙かに広い意味での情報共有を可能としています。今回の我々の共通課題のように、グループでの開発プラットフォームとしてすら機能するのです。

 

今回利用させていただいたSmall Business Premiumでは、Microsoft Office 2013 Professional Plus(またはOffice Mac 2011)の利用権も添付されているわけで、ある意味矛盾する言葉ではありますが、「パーソナルグループウェア」としても機能するのではないかと思うのです。

 

今までMicrosoft Officeをパッケージ版として購入した場合、1ライセンスで最大2台のPCにインストール可能で、その2台で同時に使用しないことというライセンス条項がありました。しかし、Office 365 Small Business Premiumでは、最大5台のコンピューターにインストール可能であり、しかも同時使用の制限も特にありません。私の場合は家のメインPCに無人で作業させたまま外出し、外出先ではノートPCで仕事をするという機会が少なからずありますが、そのような場合でもSmall Business Premiumのライセンスであれば、1ライセンスだけでまかなえます。SkyDrive Proなどと併用することで、外出先で始めた作業を、自宅に戻ってシームレスに再開することもでき、他の人との情報共有が必要なかったとしても、Office 365を活用するシーンは十分に考えられます。

 

実は私もそろそろUltrabookか何かを導入しようと思っていて、Microsoft Officeのライセンスをどうするべきかと考えていました。現在持ち歩いているノートPCも、Ultrabookを導入してもまだ使い続けるつもりであり、メインPCのOfficeのライセンスを使うわけにはいかず、しかも私の仕事柄Accessを利用する機会も多く、Office Professionalが新たに必要となるのです。そう考えると、既存のパッケージはそのまま利用を続け、Office 365 Small Business Premiumを新たに契約して、Ultrabook等のモバイル機器用のライセンスとして利用するのも一つの手段だと思うようになりました。

 

Office 365は、中小の組織はもちろん、個人単位として考えても十分に魅力的なソリューションであるというのが、私が約1カ月利用した上での結論です。

 

 

 

おまけ1.他のグループメンバーとのLync会議

 

チーム5のpixyfileさんより、Office 365レビューアー全員で一度Lync会議をしてみましょうというお誘いがあり、私も参加させていただきました。

 

各人様々な環境からの参加であり、中には声を出せないということでIMのみで参加された方もいらっしゃいました。もっとも、私自身仕事用の作業をしている最中であったため、控えめな参加となってしまいましたが…。

 

参加者の1人であるtomoさんがその時の様子を画像でご提供下さいました。この前のタイミングでは皆さんビデオ通話を中心に利用していたのですが、参加者の環境によってはビットレート不足が発生したため、音声通話のみに切り替えた後のものです。

 

今回のレビューが一通り終わった後でもう一度開催出来れば、という話になっていますので、私も含め皆さんの都合が付けば良いですね。

 

おまけ2.ドキュメント同時編集の検証

 

ishiさんより「Web Appのドキュメント同時編集機能について検証してみたい」とご連絡をいただきましたので、たまたまそのタイミングで都合が付いた、私と我輩!テトであーる♪さんがishiさん主催のLync会議に参加する形で連絡を取りつつ、同時に同じドキュメントを編集するなどして検証してみました。

 

 

今回は比較的短期間の利用であり、Office 365の魅力を引き出すというレベルの検証はし切れなかったものと思います。しかし、それでも企業組織だけではなく、数人レベルのグループや、自分1人だけであったとしても、Office 365を活用する余地があるということは示せたのではないかと思います。

 

最後に、TEAM 3のチームメイトの皆様のレビューを紹介させていただいて終わりにしたいと思います。

 

まずはCLWさん。今回は主に資料作成やネタ集めなど、裏面での作業で活躍していただきました。

 

続いて我輩!テトであーる♪さん。主にPowerPointを利用した資料の作成を担当していただいたほか、Google Appsに関する情報提供でも多大な貢献をいただきました。

 

そして最後にishiさん。開発者役として、最も難しい作業を担当していただきました。Accessの成果物は非常に丁寧な仕上がりで、普段これで商売をしていることもある自分が恥ずかしくなるほどでした。

 

…こうしてみると、私は一体何をしたのかな?

コメント (2)

  • CLWさん

    2013/11/13

    お疲れ様です。
    良いと思います。(^^ゞ
  • jive9821さん

    2013/11/13

    ありがとうございます。

    文中でCLWさんのレビューについても少し言及させていただいていますが、何卒ご了承ください。

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