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一生も押さないだろうな3000回以上の捺印ができるシャチハタネーム印 (2013年11月5日、3872回達成!)

 このレビューの公開が遅れたことの言い訳ではないが、ぎりぎりぶんぐプレミアムレビューに応募の際、思いついた4つの案を書いて、1つが選ばれればと思ったのに、4つとも登録されたので、本当かよとびっくりした。

 いずれもシンプルで、地味な案だった。

 申し訳ありません。



■課題

 今回提案したのが、新品シャチハタ1本で何回捺印できるか、すなわち、シャチハタ印鑑の捺印回数の限界をを検証することだ。

 自分の個人用では限界まで使わないだろうと思う。だって、メーカの説明では新品でインキ補充なしで3000回も捺印できるというのだから。



■対象商品

 シャチハタネーム印には既製品と別注品がある。今回は別注品(メールオーダー式)のこちらを購入した:

キャップレス9 (メールオーダー式) パールブラック

 商品サイズ:φ22.0×21.7×66.0mm    重量:約14g

 [印面サイズ] 直径9mm
 [インキ] 6色
 [書体] 8書体

 ウィングシャッター機構ですばやくなつ印!安心ロック付き。
 なつ印時にシャッターが自動的に開くウィングシャッター機構を採用。携帯時に安心なロック付きで、片手で簡単に操作できます。

という。

・取扱説明書

キャップレス9
によれば、

 ※ネーム印は補充なしで約3,000回おせます。
 ※印鑑証明には使用しないでください。

 ネーム印やインキの性能については
メーカネーム印性能紹介
メーカインキ性能・なつ印適正紹介
をご覧ください。


 しかし、Amazonの注文サイトでは、仕組みや手順などの紹介がなかった。印字内容の依頼はどうするんだと、購入者のレビューを見てなんとなく、どきどきして発注して待っていた。

 10月23日、やっと印面が届いた。時間がかかったな。

 商品が届いたら、添付はがきの説明にしたがって、ウエブサイトから印面を注文するか、はがきに必要事項を記入して返送するという仕組みだと分かった。ウエブサイトのほうが便利だった。内容、書体、配置の選択とオンライン確認ができるからだ。

 そもそも販売店での注文時にも印面のオーダーもできるようにしてほしい。

添付はがきと問い合わせ番号とパスワード
添付はがきと問い合わせ番号とパスワード

通常状態:シャッターが閉まった状態
通常状態:シャッターが閉まった状態

シャッターが押し込まれて開いた状態
シャッターが押し込まれて開いた状態
開いたシャッターの内側(印面を保護)
開いたシャッターの内側(印面を保護)
印面を組み込むためにシャッターを外した状態
印面を組み込むためにシャッターを外した状態
印面が取り付けられた
印面が取り付けられた


 ◆外観

 商品の構成は本体、シャッターとネーム印から組み立て方式となっている。

 シンプルできれい、質感がいい。くっきりとした配色。人間に例えば、清楚な感じ?キュートさも。しかも非常に軽量だ。外観を見るだけでもすぐ気に入った。

 個々のプラスチック成形部品も精巧にできていて、シャッターの開閉、取り付け、取り外しともスムーズで、成形技術の高さを物語っている。


 ◆組み立て

 添付の取扱説明書の通りに簡単に組み立てができた。

 本体からシャッターを取り外して、ネーム印を本体に向きを合わせて押し込むだけ。


 気になる性能としては、

 ・印面の耐久性

 ・シャッター開閉用のヒンジやばねの耐久性

 ・インキの補充と補充1回の捺印回数

などがある。


 ◆印面材料の構造

 印面の材料は何だろう?インキの含有と染み出しのために、多孔質になっているだろう?顕微鏡で覗いてみた:


多孔質の印面(450倍顕微鏡写真1)
多孔質の印面(450倍顕微鏡写真1)

多孔質の印面(450倍顕微鏡写真2)
多孔質の印面(450倍顕微鏡写真2)


 確かに印面は多孔質だった。気孔にあるインキも水滴のように見えた。細孔の平均的サイズは数ミクロン、つまり1㎜の1000分の1の数倍程度だ。なるほど。



■試験方法


 メーカでは、いろんなテスト方法、そしてテスト用の自動捺印機も使って性能テストを行っているようだ。

 自分はそんな装置も持っていないし、おとなしく、こつこつと手で捺印するだけ。

 捺印回数をカウントするために、
用意した方眼紙(16×22個の格子)
用意した方眼紙(16×22個の格子)

を用意した。

 1枚当たりに16×22=352の格子があり、352回の捺印をカウントできるのだ。格子に合わせて捺印していくのだが、印影が薄くなった場合、押したままの時間を長くしたり、押す力を適当に強くしたりすることで対応した。必要に応じて、印面を下にしたまま数時間や一晩静置することもある。



■普段の使用感

 捺印自体は、ご想像できるように、非常に軽快にでき、位置合わせも楽だ。押した時のばねの反力もいい感じだし、きれいな印影を見ていて気持ちがいい。

 言うまでもなく朱肉を探す必要がないのも大きなメリットだ。

 使わないとき、特に鞄に入れて持ち歩く場合、ロック機能も非常に助かる。



■試験経過

 購入状態から捺印を始めた。

 初めて使ったときは、印面にたっぷりのインキがあるので、普通に押印すると、多量のインキが出て、印字が太く、紙にインキが余るから、軽く速めに押していた。本当に1秒に1回でも余裕だった。

 でも、1行(15回)ほど押したところから、鮮明できれいな印影が得られるようになり、安定し始めた。

 1枚目の紙への352個の捺印はそうやって楽しくできたが、早くも体力の弱さを痛感した: 人差し指が痛い。

 そして、あまり早く押すと、インキの出が悪くなってしまい、印影が薄すぎたり、不完全だったりするので、やはりペースを落とさなければならなかった。

 2秒に1回、3秒に1回と、3000回以上連続して捺印することへの恐怖感がにわかに強くなった:

 耐久レースになっちゃうに間違いない!

 そこで、

 ※単純計算

 1秒に1回の速度でも、3000回までは3000/60=50分がかかる。

 2秒に1回の捺印速度では倍の100分がかかる。

 とても長時間連続ではできないことだ。

 力がかからないと言っても、数がものをいうから、2枚目、3枚目へどやり続けていたら、やはり指先が疲れてきた。最初はもっとも一般的な人差し指で上から押す形で捺印していたが、そのうち痛くなったから、親指と中指でボディの側面を摘む形に変えた。そして両者の交替劇に・・・

 さらに、手首も疲れだした。(あくまでも自分が弱すぎる?)
 
 次第に印面からのインキの出が悪くなったため、捺印の力を強めたり、押した後に停留時間を長くしたりしなければならなくなった。あるいは捺印間隔を数秒空けたりした。最低限捺印として認められるような印影を得られるよう、捺印を続けた。

 8枚目あたりから、2500回ほど捺印したところ、とうとう押した後の停留時間を5秒にまで長くしなければならなくなった。

 9枚目は、印面を下にして一晩静置した後から捺印を始めたが、1回目から中央部分が薄めに印字される傾向?中央不完全のように見えたが、やはり3~5秒の停留時間を取ることで、比較的鮮明な印影が得られた。

 3168回捺印できた!

 メーカの保証回数を超えた!

 さぁ、限界はどこまでか?

 10枚目の紙は、2行目から、5秒と長めに押したままにする必要があった。それでも、まだまだできそうな感じだった。

 とりあえず、ここまで。



■試験結果

 ・捺印回数
捺印完了の1枚のA4方眼紙
捺印完了の1枚のA4方眼紙
捺印した10枚の方眼紙
捺印した10枚の方眼紙


 現在、9枚(352×9=3168回)+176回の、計3344回の捺印ができた。まだ5秒以上押したままにすれば、捺印ができる状態だ。

 結局、捺印回数の限界は印影の質をどう決めるかにもよるのだ。とにかく、認識可能でOKならば、まだまだできそうだ。しかし、インキを補充しない限り、捺印できるまでの回復時間がどんどん長くなりそうだ。


 ・印面の汚れ

 印影がクリアでなくなった原因はインキ不足だけでなく、紙の繊維などのごみの付着、インキが染み出るための細孔の詰まり、印面の摩耗なども原因として考えられるので、また顕微鏡写真を摂ってみた:

印面全体の汚れ状態
印面全体の汚れ状態

印面にくっついた紙の繊維の様子(1)
印面にくっついた紙の繊維の様子(1)

印面にくっついた紙の繊維の様子(2)
印面にくっついた紙の繊維の様子(2)

印面にくっついた紙の繊維の様子(3)
印面にくっついた紙の繊維の様子(3)


 わー、きたな~い!3千回も紙にキスしたら、こうなるわけだ。しかし、細孔が詰まっていなかった。摩耗も顕著ではなかった。掃除すれば、まだまだ使えそうだ。


【2013年11月2日 追記】

 6日間休ませてから、今日また捺印してみた。押したままの時間を5秒以上にする必要と、強めに押す必要があったが、捺印回数を3520に伸ばした。

 まだまだいける。一日1回なら、まだ1年ももつ気がする。


【2013年11月5日 追記】

 更にA4用紙1枚、352回の捺印をした。さすがにインキの出がさらに悪くなっていて、要する時間が87分で、平均1回あたりの所要時間が約14.8秒だった!
 
 それでも、押したまま十分な時間待てば、まだ鮮明な印影が得られる!

 
#674

22人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • aoidiskさん

    2013/10/30

    掃除すれば、まだまだ使えそうだ
    どんな感じで掃除するのかな、
    しかし、この回数なかなかですね。これだけ打てれば、1年は無理でも 9ヶ月は持ちそう。
    参考になりました。
  • ZigZagmanさん

    2013/10/30

    aoidiskさん

     コメントありがとうございます!
     メーカサイトでは、粘着力の弱い粘着テープとかで軽く取り除くとかの方法が勧められていますが、ほかにも方法がありそうなので、いろいろ試みてみようと思います。
  • お富さん

    2013/11/01

    拝読しての納得感が極めて高いすばらしきレビューですね。
    もはや性能調査と言っても過言では無いかと思います。
    非常に参考になりました。
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