体裁的に若干プレミアムレビュー感が薄いですが、是非ご覧くださいm(_ _)m
はじめに~使い始め
CDを入れて、インストールのオートランが動くと、「ソースネクスト♪」と、いきなり音声が流れ、インストールを音声で説明し始めました。
インストール作業を始めたのが夜中だったので非常に迷惑です。インストールに必要な音声ではないため、この機能はやめていただきたいです。
インストール作業は一般的なソフトと同じなので割愛します。インストール完了後ブラウザが立ち上がり、ソフトの登録画面に遷移します。
私は毎日配信されるとあるメールはいらなかったのでチェックを外しました。
ここまでで使用する準備は整いました。
使用するスキャナ
自炊するにはスキャナーが無ければ始まりません。私が持っているスキャナーは次の2台です。
PFU(富士通) ScanSnap S1500
EPSON 複合機 PM-A840
基本的にはScanSnapを使っていきますが、スキャンしたデータの体裁が問題なければ複合機のスキャナー機能でも十分です(むしろ画質は複合機のほうが上です)。
本の準備
今回ソフトと同梱してもらったサンプル本を使用します。
「自分で作る電子本 蔵書化のための自炊徹底入門」
せっかくなので、私の裁断から取込みまでの手順を紹介させていただきます。
このカッターで裁断します。
今回はサンプルの本をいただきました。こちらを使っていきます。
書籍名:「自分でつくる電子本 蔵書家のための自炊徹底入門」
出版社名:パーソナルメディア株式会社
この本を裁断して自炊するところまで考えられた、ある種、身を削った入門書です。一度自炊をしたことをある人や、検討したことがある人はサラっと読める冊子です。
- 表紙を外します。
- 裁断するラインを決めたらずれないようにダブルクリップで本と定規を固定します。
- ザックリいきます。
- 表紙の裏に装飾紙が貼ってある場合は剥がします。
- 一枚ずつめくっていき、くっついているページが無いか確認します。
- 表紙も切ります。
- ScanSnapで一気にスキャンします。
ScanSnapの設定は、「将来を見越したスキャンを」をスローガンに“スーパーファイン”か“エクセレント”の設定しか使いません。低画質化は可能ですが、高画質化は不可能ですので。ディスク容量は圧迫するのは言わずもがなですが。。。
今回はファイルサイズのテストを兼ねているため、表紙はスキャンしませんでした。そのため、以下の設定でスキャンしました。
グレーにした理由は、白黒ではJPEGでスキャンができず、比較にならないので全部グレースケールでのスキャンとなりました。
元ファイルの形式の違いによる違い
●準備1(処理するデータ)
同じ書籍を、≪1≫全部JPEGで取り込んだのちにZIP圧縮かけたもの(元サイズは29,158KB)と、≪2≫単純に全部PDFでとりこんだもの(32,374KB) の2種類データ化して準備しました。
●準備2(最適化の設定)
共通設定/画像のサイズを変更する。これで、閲覧する機器の解像度に合わせた画像サイズに自動的に変換してくれます。無駄にでかいファイルには最適化効果が高い設定なので共通設定とします。
■設定1(検索可能にするだけ)
- 検索可能
■設定2(便利機能全部のせ)
- 検索可能
- 文字くっきり(太さ:1)
- 明るさ調整(ガンマ補正:1.00)
- コントラスト調整(設定値:0)
- 自動余白カット(端から5%)
※便利機能の説明
- 文字くっきり…Photoshopでいうアンシャープマスクの強烈なやつだという認識です。色の諧調を単純化して文字を太く見せる処理をします。画像や写真には逆効果の可能性もあり、モノによっては写真がつぶれてしまいます。
- 明るさ調整…明るさを調整してゴミを飛ばします。
- コントラスト調整…白黒の諧調を強調して、よりインク部分を強調します。
- 自動余白カット…ページに対して、不要な部分(天地ノド小口)をノンブル(ページ番号)を含めてカットしてくれます。これによって容量削減と画面上の事実上の引き伸ばしによる見易さ向上が期待されます。
準備ファイル2種類を、便利機能アリナシでそれぞれ新しいi Padの設定をもとに変換をしていきます。
●ファイルサイズの比較
- JPEG-ZIP→文字検索のみ…28,366KB(元サイズ比:97.28%)
- JPEG-ZIP→全便利機能…36,187KB(元サイズ比:124.11%)
- PDF→文字検索のみ…28,193KB(元サイズ比:87.09%)
- PDF→→全便利機能…30,376KB(元サイズ比:93.83%)
画像サイズの変更も行っているため一概には言えませんが、便利機能をモリモリにすると、見易さ向上の代償としてファイルサイズが上がってしまうようです。画像圧縮の特性のせいかもしれないので、ガンマや色調の補正を行わなければサイズに影響が出にくいかもしれません。
●見た目の比較
JPEGをZIP化したファイルを変換したところ、特に写真に色むらが顕著に出てきて、OCRの性能も落ちています。
対して、PDFを変換したものは色むらも出ておらず、写真部分のOCRも比較的正確に行われていました。
●便利機能とは…
では、便利機能はいつ使えば効果的なのでしょうか?
このソフトの便利機能が効果を発揮するのは、特に古い書籍の取込みの時ではないかと思います。古い印刷物は、特に明朝系のフォントを使っているものが多いこともあり、文字のかすれが多く、また紙質もあまりよくないため黄ばんできてそれがスキャンの精度が落ちてくることがあります。このあたりを一撃でかつ効果的に処理をしてくれる便利機能は非常に有用なのではないかと思います。
著作権の問題が怖いので画像は掲載しませんが、学生のころに使っていた教科書をスキャンして、便利機能を使ってみましたが、非常に見やすくなりました。とくに「文字くっきり」機能はかすれた印刷にも一定の効果がでました。
●ScanSnap Organizerとの差
ScanSnapOrganizerとは、ScanSnapに付属しているソフトで、文字検索化をしたり簡単なPDF編集をしたりすることができるソフトです。
今回文字検索をScanSnapOrganizerと「いきなりPDF for自炊」と比較してみようと思いましたが、思いのほか変わらない結果になったので、急きょ比較はやめました。
ただ、文字検索化する処理時間は、「いきなりPDF for自炊」のほうが体感的に早かったように感じます。
⇒元ファイル形式別でのまとめ
閲覧端末が、処理能力の高い新しいiPadなどの場合は、PDFでスキャンしたファイルを文字検索だけできる設定で変換するのが最も効率的(ファイルサイズ的にも見た目的にも)であるといえます。
タブレットでサクサク感がでるか。
お題の一つですが、やばいです。新しいiPadではScanSnapの最高画質で取り込んだファイルであっても特にノンストレスで読むことができてしまうので、このソフトを使ってもその効果が検証できません。そこで、登場するのが、富士通製のArrows Tabです。
スキャンしただけのPDFと、最適化後のPDFを比較してみます。
画像の縦横比が異なるため、表示範囲がおかしくなってしまっていたものが、最適化後にはきれいに1ページ分表示されるようになりました。
ただし、17MBだったPDFはなぜか36MBにサイズアップ。しかし、読み込み速度などは逆に改善されています。容量は食うけど早くなる。理解に苦しみますが、ストレージ単価が安くなった今、細かいことは気にしない人にはいいのかもしれません。
自動変換再開機能
変換中に電源を切ったりしても、PC復帰時に作業を再開してくれる機能です。
これは便利かもです。
変換作業中でもCPUは1コアしか使っていないので、バックグラウンドでこのソフトを動かしておいて通常作業をしても遅くなることはありません。
通常作業が終わったら気にせず電源断。復帰後また変換続行…
それでは、どこまでこの機能が使えるのか調べてみました。
●スタンバイ→復帰
これはメモリ状態もそのままなので当然ながら再開してくれました。
●完全電源断→復帰
これもまさかの再開してくれました。推測ですが、変換モードに入ると「常駐+スタートアップに登録」のような感じでしょうか。このソフトを起動していない状態では特に常駐しているわけでもなさそうなので、リソース的にも安心(なはず)です。
Widows復帰後に通知領域に「いきなりPDFfor自炊」がいました。
まとめ
最近の複合機はドキュメントスキャナのようなオートシートフィーダーがついているものもあるので、流行のScanSnapでなくても、このソフトがあれば自炊が効率的にできると思います。逆にScanSnapはドライバそのものにライセンスがかかっている(TWAINドライバではない)ため、スキャナーを共有して使うにはあまり適していないという側面もあります。安価なドキュメントフィーダーがついた複合機を使って手軽に読みやすい自炊ファイルが作成できるこのソフトは、自炊する方なら持っていても損はしないと思います。
ただし、用途が限定されているソフトにしては正直値段は高いです。
欲しい機能・修正してほしいところ
●冒頭で書いた、「ソースネクスト♪」の音声案内の要不要を確認する項目が欲しい
職場で使うときもしかりです。急に静かなオフィスでアレがなったらと思うと。。。
怖くて眠れません。
●仮想プリンタの追加
建設的な意見としては、得意の仮想プリンタでPDF化できる機能はどうでしょうか。ブログなどの記事をまとめて後で本みたいに読みたい人が使うと、PDF化して自炊フォルダへIN。リンクファイルをPDFの埋め込み添付にしてくれば完全オフラインで有用なドキュメントが完成します。この機能が実現すればかなりユーザー増えそうですが、自炊アプリそのものの機能ではないですね。
最後に
本当に最後で恐縮ですが、Zigsowスタッフの皆さん、ソースネクスト関係者のみなさん、今回はレビュアーに選出していただきありがとうございました。
結構ニッチな用途のソフトでしたが、設定の作りこみで自分用のPDFが作れるおもしろいソフトだと実感しました。今後もこういったマニアックなコンセプトのソフトをどんどん企画していっていただきたいと思います。
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