レビューメディア「ジグソー」

もう暗闇も怖くない!多機能&省エネなゲーミングモデル

勝利へ導く新世代ゲーミングディスプレイ!
勝利へ導く新世代ゲーミングディスプレイ!


今回レビューさせて頂きますはゲーミング液晶ディスプレイ「XL2420T」。ゲーミング、それもFPS向けと銘打たれているスペシャルモデルだ。そのキャッチも「勝利へ導く新世代ゲーミングディスプレイ」と頼もしい。
私自身本格的なゲーマーではなく、今まで所有していたモニタもベーシックモデルかグラフィック向けモデルとなり、「ゲーム向け」モデルは始めてだ。ゲーミングモデル同士での比較はできない事は予めご了承頂きたい。


付属品はD-Sub・DVI(DualLink)・USB(ハブ機能用)・電源の各種ケーブル類と、スタンドと一体型になるデザインを採用したOSDコントローラー。そしてロゴ入りカバーに簡易セットアップガイドに各種データとマニュアルが入ったCD-ROMだ。HDMIやDPを使用する場合は別途ケーブルを用意する必要がある。
多機能なのでできれば紙マニュアルがほしかった所だが、多言語化のコストを考えれば仕方ないところだろう。


早速設置
早速設置

広告写真で見たときはスタンド部に入ったレッドのアクセント等、挑戦的に見えたデザインだが、いざ部屋に置いてみると思った以上にシンプルだ。先述のレッド部も実際の使用では影になって殆ど目に入らない。
ベゼルデザインも直線的で、塗装もマット処理。センサー方式のスイッチも相まって予想以上に大人しく見える。
スイッチ類は普段消灯している上に、操作表記は基本的に画面側に出る。パワーLEDの明るさも抑えられ、NEC製グラフィック向け液晶「PA241W」と比べても大人しい印象を受けるほど。

そのシンプルさは同社製旧型ベーシックモデル「G2420HD」と並べるとよくわかる。
上:XL2420T  下:G2420HD
上:XL2420T 下:G2420HD

G2420HDのほうがベゼルに光沢パーツを使用し、スイッチ部が張り出すデザインをしている為自己主張が激しい。これはやはり「ゲーム中に余計なものは見ないでいいようにする」為のデザインであろう。しかし電源投入時に各ボタンが順番にイルミネート点灯するなど「雰囲気の演出」も抜かりない。

スタンド部もしっかり作られており、XL2420Tは高さ・角度・回転角度などは10万円クラスのグラフィック向け液晶PA241Wに近い稼動範囲を誇る。角度調整のみのG2420HDとは別物だ。
PA241Wとの高さ調節比較
PA241Wとの高さ調節比較

ピポット状態及び回転角度
ピポット状態及び回転角度


もちろんVESAマウントにも対応し、ボタン一つで着脱可能になっているが、付属スタンドここまで動けば殆どの場合ベストなポジションを手に入れられるだろう。
また縦回転のピポット機能も備えているので往年の縦シューも大画面でできるぞ!

スタンド自体は接続部に金属を使ったもので、極端に重いわけではないが、幅広なデザインに加えてパネル部が比較的軽量にできているので安定性は高い。目いっぱい高さを高くしても安心感がある。
また、幅広で直線的なスタンドデザインは、丸型のスタンドが主流の最近では逆に特徴的だ。スタンド下部に開いた「穴」はケーブル類を通すようになっており、稼動範囲が大きいデザインでありながらケーブルストレスを軽減できる。フル状態で入力ケーブルを繋いでもしっかり通るサイズだ。

そしてスタンド上部には持ち歩くための「取っ手」とヘッドセット用の「フック」があるというのもなかなかいい。パネル背面に取っ手を兼ねた部分があるモニタと比べると、誤って液晶パネル自体を掴むことも少なくなるし、何より稼動範囲の広いスタンドを持った液晶は運ぶ時に不安定になるのでありがたい。

総合的なデザインというのは個々人の好みによるものだが、家族や友人にもこのモニタの見た目のウケはよかったことは付け加えておこう。
プラ
プラ

ただせっかくロゴ入りカバーも付属しているのだから「プラ」の表記は裏面にして欲しかった気がする。取っ手を出す穴の関係上前後は決まっているのだ。プラ…





次はモニタとしての基本スペック。
まずは入力端子について確認してみよう。先ほどから登場しているベーシック液晶G2420HDはHDMI・DVI・D-Subが各1の3系統入力。一方グラフィック向けPA241WはDP・DVI*2・D-Subの4系統でHDMIは持たない。
入力端子部(左端はOSDコントローラ用/右端はUSBハブ)
入力端子部(左端はOSDコントローラ用/右端はUSBハブ)

対してこのXL2420TはHDMI*2・DP・DVI・D-Subと合計5系統もの入力を備えている。HDMI2系統はありがたいもので、これならPCを繋ぎつつ、ゲーム機を2台、もしくはテレビチューナーの接続も可能だ。今まではHDMI切り替え機を使用していたのだが、これなら切り替え機が無くとも大丈夫だ。

アナログD-Subを許容すればPCも3台どころか、HDMI含めてPC5台というトンデモ接続も可能。付属しているケーブルはDVI-DualLinkケーブルとD-Sub1本づつなのでそれ以上の接続には当然適宜ケーブルを用意する必要がある。

注意すべきはスピーカーを持たないのでHDMIで音声出力をした場合必ずサイドに搭載されたヘッドフォン端子に出力機器を繋ぐ必要があるという点。
HDMIはモニタ経由、PCはPC直だしなので、2つの音響機器を用意するか切り替え機等が必要になる。これ自体はよくある仕様なのだが、せっかくモニタ側に音量調整機能が備わっているのだから、DVI等と連動する音声入力端子が欲しかったところ。

また、3ポートUSBハブ機能も備えている。背面から付属のケーブルで入力し、背面に1ポート、左側面に2ポート出力されるUSBハブは単なるセルフパワーハブ。モニタ側の入力端子との連動等は特に無く、モニターの電源がオンだろうがオフだろうが電源供給は行われない。もしモニタと連動して電源供給だけでもしてくれればUSB給電スピーカーが使えたのだが…
(余談だがPA241W内蔵USBハブはセルフパワーで画面切り替えと連動しセレクターもかねている。但しモニタの電源を切ったり画面を切り替えたりすると機器を取り外した事になってしまうので一長一短だ)


左側面に位置するUSB&ミニプラグ 大きな機器を挿すと張り出すので注意
左側面に位置するUSB&ミニプラグ 大きな機器を挿すと張り出すので注意




デザインや付加機能を書いてみると、細かい差こそあれ、コンセプトとしては対極にある筈のグラフィックモデルPA241W近い面が多々見受けられる。ベーシックモデルに対して「正統派」な進化を遂げているといえるだろう。差が出るのはここから。いよいよ「ゲーミング液晶」の本領だ。

スペック上で大きな特徴となるのがリフレッシュレート120Hz対応のノングレアTNパネルの採用。TNパネルというと安い代わりに発色や視野角に劣るイメージが先行する人が多いだろう。実際TNパネルはベーシックモデルやオフィス向けモデルに採用される事が多く、今回のようにハイエンドモデルに近い入力数やスタンド類を備えたTN液晶というのはわりと珍しい。

何故TNパネルなのか?その答えは単純明快、他形式に比べて「応答速度に優れる」のだ。まさにゲーム向け。ゲーマーは印刷物との色あわせなんて考える必要はない。ゲーマーにとって今この瞬間は、ゲームこそが全てだ!

とは言うものの、その多機能っぷりは色調整にもしっかり反映されており、TNパネルでありながらRGBの色温度調整・ガンマ調整等一通りそろっているし、sRGBプロファイルもある。LEDバックライト故のクッキリとした明るさもゲーミングやオフィスユーズにはメリットとなる。
グラフィック向けのIPSモデルと色を比べるのは酷な話だが、TN液晶としては色調整の自由度が高く、これならゲーム以外にもある程度活用できるだろう。但し全体的に色温度が高い傾向があり、「判りやすい・見やすい色」でにするのは簡単なものの「本来の色」に近づけるのは難しい。あくまで「ゲーム向き」液晶だ。

視野角もTNにしては広く、特に横方向の広さはなかなか。これなら多人数でゲームを観戦したり、ピポット機能で縦方向設置にしても実用範囲。私自身は古いTNパネルのイメージが強かっただけに、TNパネルでもここまでできるのか!と感じさせてくれた(あくまでTNパネルにしてはという前置きがつくが)。

そしてゲーミング向け液晶としてはトレンドともなっている120Hz対応。DVI DualLinkケーブル(付属)とOS側の設定が必要だが、こればっかりは文章で表現できないので…店頭とかで体感してみてください。





今回のモニタの特徴的な機能として「Black eQualizer」機能がある 。以下略してBeQ。BenQにかけたのでしょうか。要は暗い部分や明るすぎる部分の色を調節し、本来見えにくい部分にあるオブジェクトを見えやすくするという、「本来の色」を求めたグラフィック向け液晶とは正反対の補正機能だ。
BeQ(勝手に作った)効果イメージ 拡大すると判りやすいかと
BeQ(勝手に作った)効果イメージ 拡大すると判りやすいかと

実際画面を見るのが早いのだが、なかなかデジカメ経由だと表現しにくいのでイメージ画像を作って見た。あくまで画像加工ソフトを使った「こんな感じになる」画像なので実際にBeQを使った画像ではありません。
電車の下部ディテールが殆ど見えない元画像、そこを見えるように全体を明るくしたのが左の画像だが、白い部分の影がつぶれてしまっている。そこで暗い部分のみを指定して明るくしたのが右の画像。白潰れを抑えつつ、下部のディティールが見えやすくなっているという訳。
あくまで見た感じから推測した処理なので実際は異なるかもしれないが、雰囲気は判っていただけるかと。

実機のBeQの場合、強弱は20段階で調整可能。さすがに最大にすると不自然さがでてしまうものの効果は判りやすい。
というわけで実際にゲームでBeQを使って見る
というわけで実際にゲームでBeQを使って見る


さて、PCゲーム用を謳われており事実応募時もそちらをメインに応募したのだが…もちろんコンシューマゲームプレイ時にも速い応答速度とBeQは有用だ。

…というかBeQの効果が一番わかりやすい画像が撮れたのが当初予定していたPCゲームではなくPS3ソフトだったのでこちらがメインの紹介になることはお許し頂きたい。というわけで早速アーマードコアVをプレイしてみよう。
こんな画面で勝負するつもりか?
こんな画面で勝負するつもりか?

そう、PS3自体はフルHDでの出力が可能なのだがアーマードコアVは720pでの出力が最大。モニタ側ではドットバイドット設定が初期値なのでこうなってしまうのだ。アスペクト比は問題ないのでモニタ側を全体拡大設定にしよう。
この状態でもボケ・にじみ等はないし、少なくとも私の体感では応答速度等に差は感じられない。

アーマードコアVは世界観の関係もあり暗い画面が多い。だからといってモニタを明るくすると目が疲れるし白つぶれも出てしまう。
デジカメ直撮り逆光海上
デジカメ直撮り逆光海上

機体足元の床のディティール、逆光でつぶれた銃のディティールが見えている。一方ハイライトの白つぶれが軽減されているのもわかるかと。これは使用したデジカメの問題で、BeQオフだと「全体が暗い」と認識してしまい写真を明るくしようとした結果のようだ。
逆に言えば「白つぶれするほど画面を明るくしなくても暗い部分がつぶれない」証拠でもあるだろう。
デジカメ直撮りだとなかなか表現が難しいので0と20の極端な設定で撮影したが、個人的には12くらいがちょうど良く感じた。

せっかくなので知人に協力してもらい対戦画面でも使用してみた。
敵機はどこだ!
敵機はどこだ!

私のタンク型ACは中距離迎撃戦闘向けに組んでいる。はっきりいって近づかれた時点でダメダメなのだが、急いで相手の向きを補足し、牽制用武器をばら撒きつつ距離をとらなければならない。しかしご丁寧に相手の機体は(お願いした通り)真っ黒だ。
見えたッ
見えたッ

こんな時もBeQがあれば安心、画面左側ビル脇に着地した黒い2脚型が視認できるというわけ(いっそ武器も真っ黒に塗ってもらうよう頼めばよかったか)。
実はゲームシステム上スキャンモードや近距離戦用FCSの搭載で上記のような場面はリカバーできるのだが、やはり咄嗟に「視認」できるというのはいいものだ。

とにかく相手は見えた!!とにかく距離をとって…

…このモニターで、負けるはずがないんだ!

…ノーカウント!ノーカウントだ!!

…話が…違うっすよ…オレは…特別だって…

(勝敗はお察し下さい)





最後に紹介するのは気になる人も多い付属アイテム“OSD専用コントローラーS.Switch”。あわせてOSDインターフェイスの方も紹介してみよう。

まずOSDインターフェイスで関心したのはその大きさと配置。一般的な液晶モニタは中央にOSDが配置され、ベゼル下部に操作ボタンが配置されるものが多い。G2420HDもその系統だが、グラフィカルで比較的わかりやすく気に入っていた。
参考用 同BenQ製G2420HDのOSD
参考用 同BenQ製G2420HDのOSD


一方今回のXL2420Tは…
でけえ!
でけえ!

Windows7のタスクバーのサイズから判るとおり特大の日本語メニューだ。タスクバーを絶妙に隠さない位置に表示されるのはやはり考えて作られたのだろうか。
タッチセンサー式のボタン自体にはまったく操作の記述がなく、対応したアイコンがサイドに表示され、それと一体化したメニューという斬新な方法。
またトップメニューには3つの機能を任意で表示できるので、自分で使いやすいようにカスタマイズできる。

ただ多機能モニタの宿命でこれだけ判りやすそうでもドコに何があるのかは探すハメになる。また一部の設定項目は設定した後に「設定を保存」でプロファイルに保存しないとメニューを閉じたとたんに元に戻ってしまう。他にも画像プロファイル毎に使える機能が制限されたり、排他機能があったりと複雑さは否めなく、今までで一番好みの設定にするまで時間のかかったモニタであるのも残念ながら事実だ。


OSD専用コントローラーS.Switch
OSD専用コントローラーS.Switch


それをカバーする形で登場するのがこのOSDコントローラー「S.Switch」で、4つのボタンとホイール(押し込みアリ)を備える。メニューを開いた際は対応したボタン操作に割り振られるので、こちらを使った方が断然ラクだ。
デザインはスタンド部と一体化するように出来ており、マグネットでくっつくように出来ている。装着位置はスタンド左右どちらでもOKだ。
暗いステージに入ったら即調整@BF3
暗いステージに入ったら即調整@BF3

この有線コントローラーを手元に伸ばしておけば、即座に対応できるという訳。
そして1~3のボタンは事前に設定した画像プロファイルにワンタッチで切り替えられるのがポイント。というかこちらがメインの機能だろう(ちなみに長押しすることで対応した画面モードを現在の状態に保存できる)。
例えばBeQをがっつりかけた暗所ステージ用プロファイルや、ゲーム本来の雰囲気を損ねない程度に調整したプロファイルを事前に用意しておけば、メニューを開くことなく即BeQや明るさを変更できるというわけだ。

例えば暗いダンジョンから明るい平原までシームレスに展開するTERAではパーティメンバーを待たせることなく暗い地域に入ったら即切り替え可能。TERA自体はインターフェイスが判りやすく敵を見失ったりすることは少ないのだが、複雑な動きをする味方パーティメンバーに回復魔法をかける時等はなかなか活躍してくれそうだ。

ちなみにこのS.Switch、見た目上はUSBコネクタを使用しているものの当然専用品なので扱いには気をつけよう。ケーブル長は約70cmとそこそこあるのだが、背面のケーブル穴を通すと案外使用範囲は狭まってしまう。せっかくならケーブル穴を経由しても自由がきくようにもう少しケーブルが長い方が助かったのだが。


他にも多彩な機能が搭載されているのだが、個人的に面白かったのが画面比率のエミュレーション機能。
ワイド=幅の翻訳なのはご愛嬌
ワイド=幅の翻訳なのはご愛嬌

先ほどPS3の画面が小さかったのもその関連なのだが、ドットバイドットに17インチスクエア、19インチスクエアに16:9や16:10など、各種のモニタサイズに擬似的に変更できるのだ。
自分がもっともプレイしやすい解像度というのは人によってあるだろう。例えば低解像度でないとやりにくい古い設計のゲーム(スカっとゴルフパンヤなんかは高解像度にするとインターフェイスが小さくなってやり難い)も、XGA解像度でドットバイドットだろうがアスペクト比保持だろうがハードウェア側に負荷をかけることなくモニタ側で処理できるのだ。近い機能を備えたモニタは多いが、これは自由度が高い&モニタサイズを指定するというカタチが面白い。
WinMeノートからXGA出力@ドットバイドット
WinMeノートからXGA出力@ドットバイドット

そもそもワイドに対応していない古いハードウェアや、BIOS画面など、適した解像度でないとうまく表示できない&見難い場合でもこれらのモードを使えば安心だ。
BIOS画面でもロゴが横に伸びない!
BIOS画面でもロゴが横に伸びない!

系統数が多く、D-Subコネクタまで常用することは無いので、1本常に出しておいてPC動作テスト用としても活躍してくれそうだ。

OSDに関しては慣れが必要なのは仕方ないとして、個人的に気になったのが入力切替。
切り替えボタンが物理的になく、ワンタッチで切り替える方法がないのだ。複数機器を同時接続する私にはマイナスポイント。信号が無い状態でメニューを開くと即入力選択画面になるので考えられてはいるのだが、信号がある状態でポチポチ切り替える私には向かない。




私自身ゲームも弱ければ目も弱いので参考というカタチになるが、動きの激しいゲームをプレイした場合疲れ方が少ないのを感じた。これはやはり応答速度の速さによる残像の少なさも影響している筈だ。
そして遅延に関してもあくまで私の肉眼による感覚だが、手持ちの他液晶モニタに比べると差が出ているように感じた(後で何台か登場するが、私の持っているモニタの殆どがゲーム向きではないのもあるのだが)。

また、明るい光を長時間見るのが苦手なので、普段はモニタの機種問わず輝度を下げてゲームプレイしていたのだが、その場合暗い場面では絶望的な視覚範囲になってしまう。しかしこのXL2420Tに搭載されたBeQを使用すれば、輝度を抑えつつも暗い画面でのプレイが容易になってくれた。これは非常にありがたい。

そして稼動範囲の広いスタンドのおかげで、今までわざわざ下に回転台と高さ調節用の台を置いていたのも不要になったのだ。尚更S.Switchが私の使用するポジションに置こうとするとケーブル長が控えめなのが惜しいところ(背面の穴を経由しなければだいぶ距離をとれるが)。


BenQはG2420HDを入手するまで失礼ながら「ああ海外メーカーのどれかね」くらいの認識だったのだが、特にOSDインターフェイスのデザインや操作性等よくできていたのでわりと好印象を持っていた。今回のXL2420Tもその印象を崩すどころかより強固なものにしてくれた。

モニタ自体の出来は入力切り替えなど一部の欠点を除けばかなり好印象。最大のハードルは「実売4万円以上のTNパネル液晶モニタ」という事実。これで二の足を踏む人は多いだろう。事実、色や視野角についてはIPSパネルモデルに対して劣るのは明白だ。

しかしPCゲームだけに限らず、コンシューマゲーム、オフィスPC、動画視聴、HDMIデジタルチューナーを繋いでのテレビ化(実際私はチューナー繋ぎました)等、“ゲームのための多彩なカスタマイズと応答速度”は他の用途でも活躍できる。「TNパネルで応答性を重視したマルチメディアモデル」という見方もアリかもしれない。
(私の家の液晶は古いものが多く、動画視聴でさえ残像が出るものが多い)

とはいえ、この予算ならライバルは大量にある。このモニタの「ゲーム関連性能特化」という特性に値段分の価値を見出せないのならムリに狙う必要は無いかもしれない。
しかしこの「XL2420T」は意欲的でありながらターゲットユーザー(ゲーマー)視点でしっかりと考えられたモニタであることは間違いない。このモニタで得たノウハウが他のモデルにもフィードバックされることを大いに期待したい。

最後になりましたが関係各社様、Zigsow運営局様、この度はレビューの機会を頂き誠にありがとうございました。多機能故まだ試しきれていない部分もあるので、追記というカタチで補足させていただくこともあるかと思いますが、一旦レビュー完了とさせていただきます。




よっしゃーこのモニタなら負ける気がしねえ!
よっしゃーこのモニタなら負ける気がしねえ!


何コレ…ふざけてるの?




終わりと思ったか?騙して悪いが自由課題なんでな。
終わりと思ったか?騙して悪いが自由課題なんでな。



さて、ゲーミング液晶の能力は遺憾なく感じたところでもう一つ気になるのが「LEDバックライト」による省電力効果だ。そこで輝度最大・最小、電源オフ時の電力、電源オンで信号無しの待機状態の4パターンによるワットモニターバトルロワイアル!
またこの流れか!
またこの流れか!

参戦モニタは都合よく1メーカー2台づつ揃った皆さん。24インチIPS液晶から初期の15インチ液晶、そして17インチCRTとわけがわからないよ!


LEDすげえ
LEDすげえ

具体的な消費電力計測結果は上記表をご覧頂くとして先に結論を出せばXL2420Tの消費電力は非常に低い。確かに数値だけ見れば他液晶より多い部分もあるが、コイツは24インチでしかもかなりの輝度を持っているのだ。
同社同サイズの09年モデルと比べると大幅に多機能化しているにも関わらず最大値で10Wもの差がでている。

そして電源オフ時の待機電力は0Wとスイッチ付きタップに頼る必要が無い。信号待ち状態については面白い結果だったので後述。どちらにせよLEDバックライトの消費電力面でのアドバンテージは明確で、XL2420Tのみならず同社製LEDバックライト搭載液晶全体に期待していいだろう。

最後に色味や輝度の体感も各モニタ簡単にふれつつ、「おまけ」を終了させていただきたい。


BenQ XL2420T (ゲーミングモデル)

LEDバックライトらしく今回使用したモニタの中では体感2番目の輝度を誇りながら最大輝度時の消費電力はG2420HDを10Wも下回る。その明るさ故に調節しないと眩しいので実使用では最低消費電力になりえる。色は全体的に濃いがその割に明るい色が薄く感じる。標準モードでもコントラストは高めで、やや青味が強い。LEDバックライトの影響だろうか。

興味深いのが信号待ち状態での消費電力。0.0W~0.6Wの間を行ったりきたりするのだ。平均すれば0.3W程度といったところで今回計測したモニタの中ではもっとも低いとも言える。
但し設定で「HDMI自動切換え」をオンにすると可変するのは変わらないが最大1.8Wまで上昇する。HDMI2系統故の事だろうが、オンオフ設定を持たせているあたり「エコロジー」に気を使っているのが伺える。


BenQ G2420HD (ベーシックモデル)

ベーシックなTNパネルモデルながら、輝度調整の範囲は広く、最小時は15W近くまで下がる。ただし最小時はかなり暗い。色調整も一通りのものは備えており、sRGBモードも実はある。明るい部分の色が消えやすく感じたが、値段を考えれば十分だろう。買ってそのままの設定でポンと使うにはむしろ優秀だ。ちなみにXL2420Tと標準モード同士で比較した場合こちらの方が黄色が強い傾向。


NEC MultiSync PA241W (グラフィック向けIPSモデル)

グラフィック向けIPS液晶で最大輝度は暗い部屋を照らしかねない明るさ。色はまるでCRTのような濃さとクッキリさを出せる一方、輝度・彩度・ガンマ・などなど調節次第で変幻自在。さらに2系統の画像を同時出力するPiP機能も充実。その代償として最大輝度時の消費電力はCRTに迫る111W。しかし実使用ではここまで明るくする場面も少ないので60~80W程度だろうか?どちらにせよ今回計測した液晶の中では最大級の消費電力だが。


NEC F17R21 (スピーカー内蔵特殊モデル)

本来はNEC製PCに付属していた「画面一体型スピーカー搭載」特殊モニタ。画面から音が出る上に台座にはサブウーファー搭載・セルフパワーUSBハブ内蔵とその分の消費電力がありそうだ。色は濃くコントラストも高く、液晶テレビのような味付け。しかも輝度以外何も調整できない潔さ。待機電力が0Wなのは本体裏面に機械的なスイッチを持ち、信号待ち待機状態が前提の為。


MITSUBISHI Diamondcrysta RDT196LM (オフィス向けエコロジーモデル)

オフィス向けエコロジーモデルとして、従来型バックライトを搭載しながら最大でも21Wという低消費を実現したディスプレイ。しかもスピーカー込みだ。ヘタなLEDばりの低消費電力だが、代償として最大輝度で他のモニタの中程度の明るさで、色も薄め。但し目が疲れにくいので「オフィス向け」のコンセプトに偽り無し。
また発熱が少ないのも特徴で、LEDに頼らず従来型バックライトを手堅くエコロジーモデル化した三菱らしい一品。


MITSUBISHI Diamondcrysta RDT151E (2000年代初期の旧型モデル)

我が家屈指の旧型液晶モニタ(初出時RDT150Xと表記していましたが誤りです。150Xと151E両方あるんで150Xを計測したつもりが151Eを計測してました)。
15インチサイズは何だかんだで邪魔にならずテスト用に便利。経年劣化で画面は相当暗くなっており、黒つぶれも激しい。初期型液晶の宿命として視野角も狭く、まだCRTの完全な置き換えとはなり得なかった時代を思わせる。ただ当時から消費電力と発熱に関するアドバンテージが大きかったことは下記CRTの実測を見ても推測できるだろう。
ちなみにRDT196LMと表示時の計測結果が同じなのは偶然。誤植ではない。


NANAO EIZO FlexScan L767(グラフィック向け旧型VAパネルモデル)

同社製初の19インチモニタで、VAパネルを搭載した高発色液晶。色は濃く出るが、やはり経年劣化で暗く、色味の変化が起きている。幅広い調整項目である程度リカバリーできるがやはり買い替え時。スピーカー内蔵だが、見事今回の主役XK2420Tとほぼ同じ消費電力を記録。5インチ分大きく圧倒的に明るいXL2420Tがコレと同じ消費電力なのは、LEDバックライトの恩恵を如実に表している。


NANAO FlexScan 56T・S(高発色曲面CRT)

最早生きた化石扱いされても仕方ない95年製曲面CRT。たまに接触不良でうつらなくなるが今回は機嫌がよかったようだ。最大120W、最小でも113Wという圧倒的な消費電力を見せ付けた。さすがに画面も暗くなってきているようだが、色の濃さと滑らかな表現はさすがCRT。消費電力云々以前にその重さと奥行きが実用上厳しすぎる。というか運んだら腰痛くなりました。

コメント (28)

  • TakOnuさん

    2012/02/23

    まるで、画像加工ソフトのようなことができてしまうんですね。
    これはすごいですね!
  • リーダーさん

    2012/02/23

    レビューお疲れ様でした(^^

    もうどこから褒めていいのかわかりませんw
    とりあえずこのモニターをゲーム用に欲しくなりましたwww
  • kazgbさん

    2012/02/23

    おおお。。。当選されていたんですね。
    レビューお疲れ様です。

    ここまで書かれたレビューを拝見すると、
    自分どうやって書いていけばいいのか悩みます^^;

    やはり画像のタイトルは良いですね。
    見栄えが素晴らしいです。

    負けていられなーい。
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