今まで、どれだけ簡単にキッチリ撮れるかという事ばかりカメラに求めていたので、この手間が掛かりそうでゆるい描写のレンズは不安半分興味半分でとても楽しみにしていました。
今回、レビューに使用するカメラはちょっと古いのですが現在メインで使用している CANON EOS 20Dになります。
機能的には必要十分ですが、この手のレンズを使用するのにピントが合っているかどうかの確認をするのに液晶モニタが 1.8型約11.8万画素なのが不安なところです。
では、レビューするレンズについて見ていきたいと思います。
1.HOLGA HLレンズについて
■特徴
・周辺光量落ちが楽しめるブラックコーナーエフェクター搭載
・プラスチックレンズ採用でHOLGAの柔らかさを演出
焦点距離は 60mmで、絞りは F:8固定。ピント合わせはマニュアルです。
この時点で、あまりカメラに慣れていない人は辛いですね。私も普段マニュアルでピント合わせや自分で露出時間などを決めて撮ったことなんてほとんどないので、ちょっと不安の方が大きくなってきました。
特に絞りがF8固定な上、ブラックコーナーエフェクターなるわざわざ周辺光量落ちをさせるためのモノを搭載させているため、大変写りが暗くなります。
販売店のホームページでは屋外での使用を推奨しており、もし室内で撮る場合はISO感度を3200程度にあげるよう注意書きがあります。
届いたのが夕方で既に外は暗く、屋外推奨とされていますが届いたらすぐに撮ってみたいのが心情です(^^;
実際に室内の蛍光灯下で、HLレンズをつけてファインダーを覗いた時に部屋のコーナーにレンズを向けていたため何も見えずキャップが付いたままかと思ったほどでした。
絞り優先モードでシャッター速度を見てみるとコンマ何秒というとても手持ち出来る数値は出てこないので、三脚を使用し室内で試し撮りしてみました。
まずは、子供を撮ってみたのですが三脚のおかげで手振れはしなくても、じっとしていられず被写体ブレでちょっと酷かったです。
仕方がないので、周辺光量落ちがどの程度出るのか確認したく障子を撮ってみました。
続いて、いつもブツ取りを行っている撮影ボックス内で上と横からライトを当ててミニカーを撮ってみました。
今回 HOLGAで撮った画像は全て RAWで撮影し、現像は Adobe Photoshop Lightroom 3.5にてサイズのみ縮小し、jpeg 80%圧縮して掲載します。
カメラでそのまま JPEG出力するより、周辺の光量落ちの度合いや色味も補正されてしまっている感じですが、このままいきます。
そして、一番気になったのがセンサーのゴミを拾いまくってますね。
最近、全然絞らず撮影していたので気付いていませんでしたが、こんなにゴミが付着していたのかと驚きました(--;
HLシリーズは『単玉』(1群1枚)なため、CCD(C-MOS)センサー上のゴミが特に目立ってしまうそうです。ミニカーなんかは逆に味が出た感じですが、今後のためレビュー後にサービスセンターで清掃してもらってきます...
それでは次に、届いた製品を見てもらいます。
2.製品画像
こちらが今回の「周辺光量が落ちる!キヤノンAPS-C一眼用HOLGAレンズ【パワフルセットC-AP】」になります。
レンズのセットということで、募集の説明書きでコンバーター(※)と付いていなかったメインの HL-C(BC)と FEL-HLは通常の交換式レンズと思っていたのですが、魚眼レンズもコンバージョンレンズでした。
※ コンバーター(コンバージョン)レンズとは、撮影用のレンズに被せて使う
外付けのレンズの事です。
このセットを使って撮影する時は HL-C(BC)レンズを付けっぱなしにして、各々のコンバージョンレンズを被せ直して使うようになります。
それぞれ個別に見ていきます。
●HL-C(BC):キヤノンEFマウント対応HOLGAレンズ
焦点距離 60mm、絞り F:8固定(ブラックコーナーエフェクター搭載)
ピントは、ピントリングにある四つの絵を目測で測った距離を元に合わせます。
人の上半身の絵から山の絵までそれぞれ、0.7m、2m、6m、10mとなっています。
●HT-25:テレコンバージョンレンズ(テレコン)
焦点距離 2.5倍
●HW-05:ワイドコンバージョンレンズ (ワイコン)
焦点距離 0.5倍
●FEL-HL:魚眼 コンバージョンレンズ(魚眼)
コンバージョンレンズを使用する時は、HOLGAレンズに奥まで被せるだけです。
続いて、各レンズの画角を比較します。
3.各レンズの画角比較
各レンズで撮影した画像で画角がどのくらい違うのかを見ていただきます。
画像は、先日実家に行った時に近所で撮影したもので 2m先の被写体と丘の上からの遠景です。
■切り株の上に乗っている 2m先のお地蔵さん
三脚を使用して撮影しています。
○HOLGAレンズ
○テレコン
○ワイコン
○魚眼
■丘の上からの遠景(日は出ているのですがすっきりしない天気です)
手持ちで撮影しています。
○HOLGAレンズ
○テレコン
○ワイコン
○魚眼
空気が澄んでいれば遠くに富士山が見える場所と言われて登ってみたのですが、見えなく残念です。
基本的に撮影は、絞り優先モードで行いました。
ただ先にも書きましたがファインダーを覗いても暗いので、カメラのモニターに写るまでどの程度の写りか全くわからず、モニターも小さく低解像度なので家の PCで見るまでのお楽しみ(^^; って感じです。
それでは、このレンズを持って撮影してきたものを見ていただきます。
4.作例
■実家の近隣にて
まだ、周りに緑が残っている実家の周りで撮影してきました。
「呪いのサボテン」です。
実家の家の角に生えている全高2m超のサボテンなのですが、夜にこの脇を通るとサボテンが覆いかぶさってくるのです。
何度飲んで帰ってきて、頭にトゲが刺さったことか(--;
前の画像を横から撮ったところです。
魚眼は建物の角からの方が面白いですね。
このトゲにやられたのです(T-T
中学時代の通学路です。裏山への入り口でそこを抜けていくと学校への近道だったのですが、道などなく兄貴が通っていた時に父が切り開いてくれました。
今は裏にマンションが建ってしまい、通り抜けられません。
木が茂っているので逆光でも大丈夫かと撮影したのですが、木漏れ日が入っちゃいましたね。
フレアだけならまだしも、コンバージョンレンズだけにレンズの内側まで光が入って写っちゃってますね。
■家の近所から早稲田大学
遊びに来ていた従兄弟の車のエンブレム
お寺の前に立っていた聖観音菩薩
早稲田大学へと続く並木通り。この日は歩行者天国です。
大隈講堂時計台
■神楽坂近辺
袖摺坂となっていますが、今は綺麗な階段になっています。
神楽坂毘沙門天山門
神楽坂裏道
神楽坂裏道にあるバーです。
神楽坂の裏道を抜けると、こんなビルばかりです
神楽坂裏道
赤城神社手洗い場
ワインバー赤提灯
5.所感
アップした画像を見直すと、テレコンはあまり使っていませんでしたね。
元々が60mmと望遠よりでしたので、自然とワイドや魚眼を選んでいたようです。
今回一番苦労したのが、ピントが合っているかどうか分からないことでした。
トイレンズですので、元々ピントは甘いですしそれがこのレンズのゆるい描写を出す良いところでもあるのですが、どうしても頭が切替えられず撮影中ピントレンズをどの位置にするのが一番キレイに写るのだろうという事ばかり気になっていました。
ただ、この点に関しては最近のカメラであればモニターである程度確認できます。
もう一点苦労したのが、写りが暗く屋外であってもちょっと影に入ると手持ちがキツイくらいのシャッター速度になってしまいます。
特に今回、神楽坂の裏道は細いうえに日が当たらないので、手持ちで撮ったものはほとんどぶれてしまっているか、シャッター速度を稼いで暗くて人に見せられるようなモノではないものばかりになってしまいました。
これも最近のカメラは ISO感度を上げても写りが良いので、あまり問題にならないところかもしれません。
その他気になったところは、添付の説明書は英語しかありません。
また、操作はピント合わせなども基本目測で行うことになり、初心者にはちょっと敷居が高いかと思いました。
もっとも、最近のカメラならばマニュアル操作はモニターでピントが合っているか確認する程度で済みそうなので、日本語の説明書が付くだけでとっつき易さが全然違いそうです。
それと、今回コンバージョンレンズをとっかえひっかえ撮影していたわけですが、このコンバージョンレンズは特にカチッとはまったりねじ込んだりというわけではないので、しっかり押さえつける必要があります。
しかし、しっかりハメてしまうと外すのが大変で苦労しました。プラスチック製でチープなためカメラ本体に装着している HOLGAレンズがギシギシと音を立てカメラとの隙間も空き壊れるのではないかと何度もヒヤヒヤしました。
このコンバージョンレンズの取付方法は、改善して欲しいところです。
マイナスなイメージばかりを書いてきましたが、4本セットで税込 11,550円ということを考えれば納得のいくところで、むしろお買い得かとは思います。
また、プラスチック製で大変軽く取り回しが楽です。
このチープさ故に取り扱いまでも雑にしてしまうとカメラ本体にホコリが入ってしまい大変なことになってしまいますので注意が必要です。
一眼レフを持っていて、キットレンズしか使ったことが無い人にぜひ試してみて欲しいセットですね。
きっと、他のレンズにも興味が湧いてくることでしょう。
今回、HOLGAレンズを使わせていただいてやっぱり私はキッチリ撮れている方が好きだということを再認識いたしました(^^;
周辺光量落ちのトイカメラ風画像は、昨今のフォトレタッチソフトでは簡単に編集できてしまいますし、魚眼レンズも昔見て憧れたものには程遠くやっぱり値段なりの写りと感じてしまいます。
それでも、そのような気付きも HOLGAレンズを触ってみてこそでしたし、今回 HOLGAレンズでどの様に設定をすればキレイに撮れるか試して大変勉強になりました。
今回試したことは他のレンズを使う時にも役立つでしょうし、練習用としても良いかもしれませんね。
あまり良いことが書けず肩身が狭いですが、このような機会を頂きありがとうございました。
【おまけ】予定
先日「キャノンEFマウントレンズ-マイクロフォーサーズマウントアダプター」なるものを入手したので、今回のレビューで一番の不満点であった点を解消した状態で撮影すべく、このアダプタを用いて GF2に取付けてみたいと思います。
退会したユーザーさん
2011/10/19
(^0^/
どれも独特な絵作りで、楽しく拝見しました!
これでネコちゃんを撮るとカワイイものが写るのだろうなあ、と思いました!
クッキリ・パッキリ撮れないレンズの方が空気感がよく出る場合もあるのだなぁと感じたです!
(^0^/
mickeyさん
2011/10/19
自分もレビューを行いましたが、光の加減が難しいですね(^^;
ピントや取り外しにも結構、梃子摺ったりしましたw
でもイロイロできて面白いレンズですね。
atsuo@tokyoさん
2011/10/20
どうしても暗くなっちゃうので、動体は苦手なレンズですね。
まぁ、いつもの屋外の設定のまま ISOを、100にしたまま今回ほとんど撮影しちゃったので尚更でしたが...
雰囲気ってとこではこのレンズならではの面白さがありますね。
けど、狙うと逆にうまく撮れなかったりしてもっと慣れないと(勉強しないと?)難しいです(^^;
atsuo@tokyoさん
2011/10/20
普段カメラ任せで、すこし明るくしたければ露出補正で1段上げたりって程度でしたので、どのくらいのシャッター速度にすれば良いか何枚も撮ったりしていました。
その割には ISO感度を上げるのを忘れたり、抜けたことをしていたりとか・・・
ピント合わせは怪しいので、極力2mか10m以上で撮りたかったんですが、なかなかそういう訳にもいかず、家に帰って確認している時にどの程度ピントが合っているかドキドキでした(^^;