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大容量、高速、あらゆる用途に使えるHDD

このレビューはジグソープレミアムレビューです。製品を貸し出していただきレビューしています。

 

Seagate Desktop HDD 8TBは名前の通り、デスクトップPC向け8TBの3.5インチSATAハードディスクです。手元の製品の正式な型番は「ST8000DM002-1YW112」です。

2016年2月現在、1台のHDDで8TBは、市場に出回っているもので最大容量です。

更新: 2016/02/22
仕様と特徴

大容量8TBのデスクトップ向けハードディスク

データ・シートの仕様を読むと、毎日稼働で一日6.5時間、約150GBの読み書きを想定しています。NASなどの24時間稼働はSeagate NAS HDDとは違い、想定していないことが分かります。

 

2016年12月現在の8TBのHDDでは珍しく、SMR(瓦記録)ではなく、従来式の記録方式を採用しているようです。

また、256MBのキャッシュも、特殊なものを除いて現在、最大容量だと思います。

  • ディスクあたり最大1.33TBを提供するハードディスク・ドライブ技術
  • ヘッド/ディスク 6/12 (注:おそらく数値が逆です)
  • 最大連続転送速度 220MB/s
  • キャッシュ 256MB
  • ロード/アンロード・サイクル 300,000
  • 作業負荷率制限(TB/年) 55
  • 通電時間 2400
  • 限定保証(年数)2
  • 起動電力(12V、A) 2.0
  • 動作時の平均消費電力 9.0W
  • アイドル時の平均消費電力 7.2W
  • スタンバイ/スリープ・モード 0.6W/0.6W
  • 動作時(周囲温度、最低) 0°C
  • 動作時(ドライブ・ケース、最高) 60°C

Windowsでの容量表記は計算方法が異なるため、7.27TBと表示されます。

更新: 2016/03/02
性能

順次読み書きも細かいファイルも高速な読み書き

CrystalDiskMark5を使用してベンチマークしました。

データ・シート通り、シーケンシャル(順次読み書き)約245MB/sと非常に高速です。SATA2の規格上最大速度の300MB/sに迫っていて来ます。

上から1GiB、500MiB、100MiBの結果です。

HDDのキャッシュに収まる100MiBで測定すると、4kのランダム読みが20倍以上、書き1.5倍速くなります。500MiBだとキャッシュに収まらないので、1GiBと同じような速度となります。

特に細かいファイルの読み込みは、大容量キャッシュが効いて速くなるようです。

HDVテープから取り込んだMPEG2動画も、読み込み元のHDDの転送がボトルネックになるほど速く安定して転送することができました。

キャッシュからあふれる容量のファイルの書き込み、読み込みとも高速な転送が可能です。

 

数日間、10GB程度のデータを毎日書き込んでみていますが、今のところ遅くなったと感じることはありません。

更新: 2016/03/02

従来とは異なるネジ位置

古いHDDのWD10EARSとネジ位置を比べた写真です。ST3000DM002は底面は中央のネジが上面へ、側面は中央がなくなっています。

PC(HDD)ケースによっては、ネジを片方しか固定できなくなる可能性があり、対応に注意が必要です。

なお、寸法は縦横高さともに同等でした。

更新: 2016/02/23

外付けHDDケースを使うときは対応に注意

以前プレミアムレビューさせていただきました、アイ・オー・データさんのHDCA-UT1.0KBを分解し、中身のHDDを入れ替えました。

結果は8TBすべてを1つのディスクとして認識して動作しました。

このHDCA-UTシリーズは最大6TBの製品も存在します。

 

こちらも以前レビューさせていただきました、ASUSさんのルータRT-AC87Uでも、8TBのHDDとして(NTFS)しっかりと認識しました。

 

一方、手持ちのやや古いプラネックスさんのPL-35STU3-2RZのケースでは、2TB+2TB+2TB+1.33TBの認識となり、8TBで4つのディスクとして認識しました。

(これでは使いづらいので、詳細な動作は確認していません)

この製品は3TBのものが最大で、2TB+1TBと認識されるとの情報があります。

結果は、ケースによって対応が異なるということが分かりました。

 

なお、データシートでは起動電力が12V 2.0Aとなっています。手持ちのHDDケースのACアダプタは全て1.5Aまでなので、起動時に電力が足りていない可能性があります。

しかしながら、起動電力2.5Aと書かれているST3000DM001を採用している外付けHDDのACアダプタも1.5Aです。これで、メーカーは問題なく製品化しているようなので、問題が起こる可能性は少なそうです。

更新: 2016/03/02

外付けHDDとして使うと、フルに性能が発揮できないかも

1GiBの測定例

100MiBの測定例

 

Lavie Hybrid FristaのUSB3.0ポートを使用して、ベンチマークを取りました。

やはりSATA直結と比べて、やや性能が落ちます。

さらに、古いUSB3.0チップでは、200MB/s程度に性能が制限される傾向がありました。(DZ68DBに付いているUSB3.0チップ、Renesas μPD720200で確認しました)

古くて性能が悪い外付けHDDケースやUSB3.0ホストチップで使用する場合、転送のボトルネックになる可能性があります。

 

なお、HD-LBV3.0TU3-BKCに搭載されているSeagate製3TBハードディスク、ST3000DM001-1CH166と比べると、1GiBの4kの書き込みが倍程度速いことが分かります。

参考:ST3000DM001の転送速度参考:ST3000DM001の転送速度(古いUSB3.0チップで測定したもの)

完全に性能を発揮するためには、デスクトップPCのSATA3に繋ぐのが良い、という結論になります。

更新: 2016/03/02

消費電力と発熱は多い

 

HDCA-UTのケース(後述)とエコキーパーを使用して消費電力を測定しました。

  • 起動時 21W
  • スタンバイ時 12W→電源ONから安定するまで約25秒
  • 5分程度放置 9W
  • CrystalDiskMark時 14W

HDCA-UT1.0KBに入っていたSeagate ST31000524AS(1TB)と比べると、5W程度の増加となりました。

また、チップやACアダプタが違うので単純な比較はできませんが、HD-LBV3.0TU3-BKCに搭載されているST3000DM001-1CH166よりも2から4W程度の増加となりました。

容量が増加して、回転するディスクの数が増えた分、消費電力も大きくなっています。

 

発熱に関しても消費電力並に多いです。室温19度でHDCA-UTのケースに入れ、Seatoolのロングリードテストをしている状態のとき、56度まで上昇しつづけたので停止しました。60度まで保証しているとはいえ、少し心配になるレベルです。

ケースのフタを外して風を送ってやると、45度以下に収まりました。

 

8TBともなると通常のフォーマットに約14時間もかかるので、長時間の激しい読み書きをする場合は、必ずファンなどで風を当てた状態で動作させることをおススメします。

 

回転ノイズについては、おもに「ファー」という風切り音のような音が聞こえてきます。エアコンなどの周りの音にかき消されがちな音なので、耳障りであるほどではありません。なお、スマートフォンの騒音計で計測したところ約36dbでした。同様の測定で、ST3000DM001は約34dbだったのでやや騒音が大きいようです。

更新: 2016/03/02
総評

複数のHDDを1台に集約することの価値

レビューをまとめると、速い、大容量、消費電力と発熱は3TBモデルに比べて多いとなります。これから増えていくであろう、大容量の4K動画などには、特に速さと容量で効果を発揮してくれると思います。

 

レビューのタイトル、「Seagate Desktop HDD ~全てのニーズに応える1台~」の名の通り、大きなファイルの読み書きだけではなく、小さなファイルの読み書きも速かったことは好印象です。

 

発熱が心配なことや、外付けHDDとして使うと性能が制限されてしまうことがあることから、Desktopと名前が付いている通り、デスクトップPCの筐体に入れて利用するほうが良いと思います。ファンレスの外付けHDDとして利用する場合は、激しい読み書きをしない倉庫用として使うほうが良さそうです。

 

3TBのHDD2台以上の容量である8TBを1台でまかなえること。容量当たりの消費電力と発熱が減らせること。これが製品の価値だと思います。

更新: 2016/03/02

付記:なぜMPEG2動画の転送速度を検証したのか。SMR(瓦記録)について

本製品は6枚のディスクで1.33TB*6=約7.98TBとなっており、従来からの記録方式と思われますが、2016年2月現在、6TB以上のHDDについては、SMR(瓦記録)を採用しているものがほとんどです。

 

Seagateのシングル磁気記録で容量の壁を超える|Seagate http://www.seagate.com/jp/ja/tech-insights/breaking-areal-density-barriers-with-seagate-smr-master-ti/

 

瓦記録は書き換えに弱いという弱点を持っており、特にMPEG2の動画データのように巨大なファイルの場合、HDDのキャッシュからあふれた場合に順次書き込みにならず、速度が40MB/s以下とかなり落ちる事例があるようですので検証しました。

 

参考:https://twitter.com/kzmogi/status/673737360966737920

  :最安の8TB HDD「ST8000AS0002」をテスト、SMR技術を再確認 - AKIBA PC Hotline! http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/mreview/rental/20160229_737407.html

更新: 2016/03/02

更新履歴

  • 2016/02/23
    • 公開
  • 2016/03/02 
    • 性能にSATA3での結果の追加
    • SMR技術についての参考リンクを追加
    • セクションの順序を変更
    • 一部文言を加筆修正

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