初版:2016/02/27
今回監視システム向けHDD、WD Purple WD40PURXのレビューをさせていただく
機会をいただけましたので、早速レビューしていきます。
■WD Purpleシリーズの概要
WDの3.5インチHDDには用途に合わせたいくつかのシリーズがあり、それぞれ
色を当てはめた名称となっていますが
□WD Blue:PCハードディスクドライブ
□WD Black:パフォーマンスハードディスクドライブ
□WD Red:NAS用ハードディスクドライブ
□WD Purple:監視データ用ハードディスクドライブ
という位置づけとなっており、今回レビューするのは一番下のWD Purpleに
なります。WD Purpleは24時間365日絶えず録画を行える高耐久性が売りで、
常時稼働時に気になる消費電力もIntelliSeekテクノロジーによるシークスピード
制御で抑えられており、監視システムで求められる性能もATAストリーミングと
連携するAllFrameテクノロジーにより実現されています。32台までのHDビデオ
カメラの接続に対応している点からも、監視システム向けの最適化がなされて
いることがよく分かります。ちなみにWD Redについては数年前に
こちらでレビューさせて頂いていますが、全く問題無く現時点でも使用できて
おりWD Purpleの高耐久性にも期待できそうです。また、同社のHDDをよく
知っている人であればGreenシリーズはどうなったのか、と気付くかと思い
ますがGreenシリーズは廃止されBlueシリーズのECOというサブネームの
ついたHDDに名称が変更されています。
■今回レビューに使用するHDD
今回はWD Purpleシリーズの中でも大きめのもの、4TBのWD40PURXを
レビューに使用します。WD Purpleシリーズは下は500GBから上は6TBまで
用意されており、1TBから6TBまでは1TB刻みで選べるので保存する容量に
合わせて選択することができます。HDD自体のデザインは今までの同社の
HDDと特に変わらず、Purpleシリーズというのはラベルの色で区別するよう
な形です。ラベルにも「24X7 Reliability」と高耐久性を示す表記があります。
プラッタが4枚搭載されているモデルとのことで、ずっしりとした重みがあり
ます。
更新: 2016/02/28
WD Purple とNASで監視システムを構築
PREMIUM REVIEW
QNAPのNASとUSBカメラでお手軽高機能監視システムを構築
その通りにレビューを進めていきます。一般的なHDDを搭載する監視システム
は非常に高価ですし、ネットワークビデオカメラもそれなりの価格です。この
時点で割とハードルが高くなってしまうのですが、
昨年末より使用しているNASのQNAP TurboNAS TS-212PにはQPKGと呼ばれる
アドオン追加機能が用意されており、そちらで「Surveillance Station」という
監視アプリケーションと、「QUSBCam」というUSBカメラをネットワーク
ビデオカメラ化するアプリケーションをインストールするとNASが監視システム
に早変わりするので、こちらを使います。これなら現在の環境にHDDのほかUSB
カメラを追加することで使えるようになりますからね。
まずUSBカメラですが
Logicoolの一番低価格なC270を用意しました。QUSBCamアプリケーションで
対応しているUSBカメラ一覧にLogicoolのUVC規格のカメラ、という記述があり
LogicoolのサイトでC270がUVC規格に対応していることが確認できましたので。
他のWebカメラもUVC規格に対応したものが必要とのことだったので、メーカー
はどこでもUVC規格対応であれば大丈夫なのかもしれません。
すでに使用しているNASで、3TBx2のHDDを搭載してRAID1で運用していたため
WD Purple 4TBに載せ替えるにあたってもう1本WD Purpleが必要になります。
WD PurpleはRAID環境での使用を推奨していませんが、QNAPのサイトのHDD
互換性リストでTS-212PにWD40PURXが使用できることを確認しましたので
もう1つWD Purple 4TBを購入しました。価格的には2万円近く、安い4TBの
HDDに比べるとちょっと高い感じはしますね。
監視システムの構築と若干ずれるのでHDDの交換については手短にまとめますが、
NASのコントロールパネルより容量の拡張を選択して、ディスク1のほうを変更
します。TS-212PはHDDをホットスワップできないので、コントロールパネル
よりシャットダウンしてからHDDを交換します。
TS-212PのHDDは下がディスク1で上がディスク2です。両方交換してしまうと、
既存のデータを引き継げませんのでディスク1のほうを交換しました。NASを
起動すると
STATUSランプが赤点滅し、RAIDボリュームの再構築が開始します。再構築中は
NASへのアクセスも通常通りできますので、特に気にせず使いますが7時間程度で
再構築が終わりました。同様の手順でディスク2のほうも
交換して再構築を行い、これも7時間程度で終わりました。前のHDDは3TBのうち
1TBも使ってなかったのでこれくらいなのかもしれません。再構築だけではHDDの
容量は増えないので、最後にボリュームを拡張する作業を実施します。これはそれ
ほど時間はかからず、4時間程度で終わりましたが再構築中と違って共有サービス
が停止しているためか、アクセスできなくなります。使用しない夜間に実行する
のがおすすめです。ともあれ、これでWD Purpleへの交換が完了しました。
■WD Purpleの使用感
今まで東芝のAV機器向けHDD、DT01ABA300Vを2台搭載して使用していたNAS
ですが、WD Purple WD40PURX 2台に変更してからは読み書きしているときの
動作音が殆どしなくなりました。NASのファン音のほうがうるさく、HDDが入って
いないのではないかというレベルの音です。アクセスしない状態が続くとHDDも
スピンダウンしますが、アクセスが再開してスピンアップするときも今までより
だいぶ静かです。NASに1000BASE-T経由でPCからアクセスするときのCrystal
DiskMarkによるベンチマークですが、
性能を耐久性のほうに振っているようで今までよりは大人しめのスコアでした。
前のHDDでのスコアは全然使用していない状態から計測した物だったので、
完全に同列では比較出来ませんが体感速度で言うと特に変わりは無いので、
一般的なNAS用途としても問題無く使えるレベルかと思います。
■QNAP TurboNASを監視システムとして使う
手順が長くなりすぎるので、QNAPのチュートリアルで設定手順は割愛します。
Surveillance Station で USB ウェブカメラを使う方法? :: Surveillance Station ::NAS :: QNAP:
TurboNASにログインしてApp CenterからQUSBCamとSurveillance Station
をインストールし、QUSBCamでUSBカメラの設定をしてからSurveilance
Stationで記録するカメラのアドレスとして設定するような流れになります。
QUSBCamは
特にこれといった設定も無くUSBカメラの映像が出てきました。画質設定ができ
ますが、高解像度で記録する設定は上位モデルのNASでしか使えないようで
TS-212PではQVGAサイズが最大になっています。カメラはHD解像度対応です
が、ここで落ちる感じです。Surveillance Stationでは
このような管理画面で監視カメラの管理が可能です。また、設定時に記録する
時間帯の設定もできるので、留守のときだけ録るようにすることもできます。
保存する日数を指定して、指定日数を超えたら上書きして記録していくあたり
通常の監視システムと同様です。管理画面からは現在の映像も確認でき、
QUSBCam使用なので解像度は荒いですがカメラの映像を数秒~十秒程度の
タイムラグで見ることができます。記録した映像もここから確認できるように
なっており、
期間を最大1日で指定して映像を確認できます。カメラを自室に設置したので、
窓の外の明るさが変わっていく様子くらいしか残っていません。あいにく
ペットも飼っていませんし・・・。窓に近いので、ライブカメラのように外を
録り続けることも可能ですね。
Surveilance StationはNASをクラウド上からアクセスするmyQNAPCloud経由で
使用できるため、外出先からもブラウザ経由で使用できます。また、QNAPが
提供しているスマートフォンアプリ「Vmobile」を使用することで
スマートフォンからの確認もできて、家庭で使う分には通常の監視システムより
かなり使いやすいかと思います。もちろん、映像を見るときはLTE回線のデータ
使用量制限に引っかかる可能性があるので公衆Wi-Fi経由が無難ですが。
■総評
いつも使っているNASが監視システムとして気軽に使用できるようになり、かつ
HDDにWD Purpleを使用することで動作音の低下や信頼性の向上なども実現できる
ので、NASとWD Purpleを利用した監視システムはアリだと感じました。USB
カメラを使用したシステムとしてはNASのランクによって解像度の制限がかかるため、
高画質な監視映像を記録するのであれば対応ネットワークカメラを購入した方が
よさそうです。ペットを近い距離から監視する用途であればUSBカメラを使った
システムでも問題無さそうです。監視対象によってカメラを選ぶ形になります。
しばらくこの構成で使ってみて、ネットワークカメラを導入したり何か変わった
ことがあれば追記する予定です。
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