このたびPIXELA社製ワイヤレステレビチューナー「PIX-BR310L-DV」をレビューする機会を頂きました。iPadやiPhoneなどiOS機器で、地上波・BS・CSの番組とDVDを見られるようにするものです。
iOS機器には無論、TVチューナーもDVDもないので、電話や音楽のほかはもっぱらネットや電子書籍を閲覧することが利用のメインとなるのが必然でした。この「PIX-BR310L-DV」はいわばその「欠けたピース」を埋め、iOS端末を完全無欠化する周辺機器です。iOS利用者はUI(User Interface)やUX(User Experience)にもうるさいはずなので、その視点からも評価してみたいと思います。
無粋ではあるが機能的。しかしアンテナケーブルをぜひ
こちらがパッケージです。
量販店などで見慣れた化粧箱ではなく、無地の段ボールで、届いたときの「ときめき感」はありません。これは、このモデルがピクセル社の「オンラインストア限定販売製品」だからかもしれません。実際、同社サイトでは、購入先としてヤフーと楽天の直営ストアの案内しかありません。量販店で並べる必要がないため、割り切ったデザインになっているのでしょう。その意味では、無地の段ボールにこだわるAmazonと似ていなくもありません。
開封のためにはいったん箱を裏返し、上下についているフラップを開けます。無論、開けるのは片側なので、片側のフラップだけ上げて開封することは可能ですが、最初は中箱を取り出すのがややきつめなので、両側を開けて一方から押し出した方が中箱取り出しは簡単です。
上にかぶせられた中敷を外すと、本体と電源ケーブル、LANケーブルが入っています。ただ、必須のはずのアンテナケーブルは入っていません。自宅内無線LANにしているような人であれば、LANケーブルは余っていても、あまりアンテナケーブルが余っている人はいないように思います。わたしも焦ってごそごそ家捜しし、やっと1本見つけましたが、ここはぜひアンテナケーブルを同梱していただきたいものです。
思ったよりは小型。縦置き限定
こちらが本体です。
DVDスロット側が短辺となる台形です。つや消し黒色で、ミニマルな中にもデザイン要素を押し出そうとする意欲は感じます。表面素材はややプラスチッキーですが、と言ってペナペナしているわけでもありません。チューナー以外にDVD回転用の機器が入っているためか、公式スペックでは850グラムとのことですが、持った感じではややずっしりします。
下部についている安定用の足は、取り外すことも前後に動かすこともできません。縦置き限定で、しかも設置幅を替えることもできないので、置き場所も従って限定されます。チューナーだけならともかく、DVDがあるので高速回転を安定して行わせるためという事情もあるのでしょうが、足を取り外して横置きすることぐらいはできてもいい気がします。
前面はこのようになっています。右側にスロットイン式(トレイ式ではない)のDVD挿入口があり、白いマークはそれぞれ電源、テレビ、DVDのインジケータです。やや見づらいですがその下方にDVD排出用ボタンと強制排出用ピン穴があります。DVDは後述の専用アプリでイジェクトすることが可能です。
後ろ側です。上からテレビ受信のためのB-CASカード挿入口、録画用ハードディスクを接続するためのUSB端子、無線LANルータへつなぐLAN端子、アンテナ信号入力のためのアンテナ端子、電源端子となっています。
つなげられるものをつなげます。B-CASカードはこの向きで入ります。手持ちで空いたハードディスクがないため、ここは後ほど検証します。
B-CASカードはここまで入ります。ノッチ式ではないため、いったん挿入するとかなり取り出しにくいのですが、頻繁に出し入れするものでもないので、これはこれでいいのでしょう。
本機に電源ボタンはありません。最下部に見える電源ボタンのような四角いものは前述の通り、DVD排出ボタンです。このため、アダプタをつないだらすぐ通電します。このため説明書でも、電源は最後につなぐよう指示されています。そしてつないだら、電源マーク横のLEDがグリーンにともります。つないだら何もすることなく動くので、シンプルの極みです。
アプリ自体はよくできている
今回レビューに利用するのは以下のものです。
テレビを見る、DVDを操作するといったアクションは、すべてApp Storeにあるアプリをインストールし、行います。本体に触るのは、DVDの抜き差しのみです。
左側のアイコンが「ワイヤレスTV」、右側が「ワイヤレスDVD」です。本機の電源を入れ、iPad Airを無線LANに接続した後、「ワイヤレスTV」をタップすると、本機内のチューナーを探しに行きます。
最初に接続した時は、探し出されたチューナーがポップアップで表示されるのでそれを選びます。そこから実際のテレビ映像表示まで、5〜10秒といったところでしょうか。
Android携帯によくついているワンセグではなくフルセグ、かつretinaのため画面自体がきれいなので、通常のテレビを見るように違和感無く見られます。ワンセグでよく発生するブロックノイズや、バッファ時に起きる映像の遅れなどもなく、極めて快適です。
映像のみの時に左右フリックで、番組を選べます。
上下についている三角印をタップすると、地上波・BS・CSの切り替えになります。
当初はお試し期間らしく、BS・CSとも全チャンネルを見ることが可能です。
映像画面をタップして現れる下部メニューから、番組表を選んでから選曲することもできます。
これはテレビでも見慣れているEPGですね。
公式サイトによると、このフリックでチャンネルを選ぶ「フリックカード選局」インターフェースは、2014年度のグッドデザイン賞を受けているとのこと。タブレット、スマホでのネイティブな操作性を生かしたやり方で、動作もそれほどもっさりはしていません。なかなかに快適です。
(以下、12/7/2014追記)
次にDVDを試してみます。
DVDはこの向きで入ります。本体の向かって左半分、分厚い部分にDVD回転機構があるからでしょうが、個人的には若干の違和感があります。これが横置きでき、長辺が下になっていると、DVDのラベル面が上に来る形でローディングできるので、違和感はなくなるのですが。
DVDを挿入しても、3つあるうちの一番下のDVDインジケータには変化がありません。これでは、スロットにDVDが入っているのかどうか分かりづらいのではないでしょうか。入っていればグリーン、回転・アクセスしていれば赤などに変化するようにすべきでしょう。
アプリから「ワイヤレスDVD」を起動してアクセスをしにいって初めて、DVDランプが点灯します。
まず最初に起動してみたのは、タイの国民的バンド「อัสนี-วสันต์」(Asanee-Wasan:アサニー・ワサン)の20周年記念コンサートです。まったく問題なく、通常のDVDプレーヤーと同じ挙動です。ただ、2.4GHz帯のSSIDで利用してみると、映像が途切れてとても視聴できません。室内電波環境によると思いますが、一昔前の無線LANルーターでは、伝送速度の点からもストレスフルかもしれません。電波干渉に強い5GHzでは上述の通り、まったく問題ありません。
仕様にないことも含めてやってみた
(以下、2014/12/8 追記)
- CDは再生できるか?
CDなんてDVDプレーヤーではたいてい再生できるし、DVDの下位互換のようなもの。もしCDプレーヤーとして利用できれば、iTunesを通さないでもiPadで音楽が聞けるし。そこでやってみました。
「再生できないディスクが挿入されています。」あまりにもご無体なメッセージ。まあ、説明書にないっちゃないのですが。
2. Androidでは利用できるか?
本機は、型番だけみれば、PIX-BR310L(裏番組録画非対応)にDVDを付加したもののように見えます。そしてこのDVDがない方、無印のBR310Lは、アンドロイドもWindows8.1も、Kindle Fireにさえ対応しています。そしてGoogle Playには無印BR310Lで使える「ワイヤレスTV」アプリが上がっています。
そのアプリを、
こちらにインストールし、
さてチューナーを探しに行ってみますと。
その結果は、、、
とまあ、こちらも「説明書にはない」ので仕方ありませんが、残念です。
MM総研の調査結果によると、国内タブレット端末の2014年度上半期出荷台数では、AndroidがiOSを上回っているとのこと。無印BR310Lにできて、本機にできないのはなぜでしょうか。なんだかすっきりしません。
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