Pentium...Windows黎明期からPCを使う人には胸熱なブランド。
それまで数字の羅列、もしくはIntelを表す「i」を先頭にいただく英語と数値の組み合わせだったIntelのCPUに固有名が付いた最初のCPU。それは世間では「80586」と呼ばれるだろうと予想されていた8086系CPUの5世代目を表す名称だった。
ただ、この覚えやすい固有名称戦略は功を奏し、Intel CPUの認知度を上げたので、その後10年以上にわたってIntel CPUのトップブランドとして定着した。
その後同社の高性能CPUのブランド名は「Core」系に変更になり、一時はPentiumブランドは廃止されたのだが、一般名詞的な「Core」よりもむしろネームバリューがあるPentiumブランドはその後復活し、現在は廉価ブランドCeleronと上位ブランドCoreの間を埋めるブランドとして存続している。
そんな歴史のあるブランド名にとって、2014年は1993年5月に出荷された初代Pentium(P5系)から数えると満20年を数えた年で、それを記念してアニーバーサリーモデルが発売された。
それが、Pentium G3258(以降G3258)。2014年9月現在のPentiumプロセッサー(世代としてはHaswell/Haswell Refresh)には対応メモリクロックの差によりG34xx系(対応メモリDDR3-1333/1600)とG32xx系(同DDR3-1333)の2系統があるが、これはDDR3-1333対応のG32xx系での最上位にあたる。しかし、定格3.2GHzの動作周波数は同じPentiumブランドのG3450の3.4GHzの後塵を拝し、その点ではあまり「特別」な感じはない。ただこのアニーバーサリーモデルは面白い機能を持つ。PentiumプロセッサーはCore系プロセッサーの下位に位置づけられているので、Turbo Boost Technologyは非対応で、動作周波数は固定、Core系のK番のように倍率がアンロックされているわけでもないので、定格周波数でつかうのが普通だが、本品は「アンロックモデル」。すなわちベースクロックに対する倍率を変更できる機能を持っている。
発売当初のPentiumプロセッサーは倍率の固定はされていなかったので、20年を記念してそれをリバイバルしたのか、もしくは20世紀末に一世を風靡した低価格CPU(Celeron 300A MHz)によるオーバークロックブームの再来を期待したのかはわからないが、上位プロセッサーと比較して大幅に安く、かつ、遊べるCPUとして、このPentium G3258 "Anniversary Edition"は人気を博している。まずこのCPUの内容をチェックしておこう。コア数2、スレッド数2でHyper-Threading Technologyには対応していない。動作周波数は3.2GHzでTurbo Boost Technologyには非対応なので、一部のコアの動作周波数を上げて処理能力を上げる機構はない。定格周波数=上限周波数だ。しかし、定格周波数でつねに回っているわけではなく、負荷に応じて低負荷時に動作周波数を下げることは行われている。最大TDPは53 Wで省電力版(35W)のT系に属するものではない。プロセスルールは22nmでHaswell(Refresh)CPUの一つ。内臓グラフィックスは無印のIntel HD Graphicsで350MHz~1.1GHzで動作する。ほぼ同じ世代(厳密に言えばDevil's Canyon)のCore i7-4790K(以下4790K)と比較するとその外箱以外にも違いが多い。CPUクーラーは厚みは同じだったが、放熱フィンの形状が渦状の4790Kとは異なり、単なる放射状だった。ただこれは熱設計上のものと言うよりは、CPUクーラーの供給会社の差かもしれない。4790KはFoxconn、G3258には日本電産(Nidec)の刻印があるが、パーツNo.であろう「E97378-001」が共通だったからだ。CPU自体は、同じLGA1150なので上から見た分には全く差がない。一方裏側は結構異なる。コンデンサの配置は同じ時期に売られるものとはいえ、Core i7-4790KのDevil's CanyonとHaswell Refreshに属する本品で異なるのか、4コア8スレッドの4790Kに対して2コア2スレッドの本品と内容が大きく異なるためかはわからないが...巷では「かつてのCeleron 300Aの再来」と言われる「低価格なのに、回る石」という評判のこのPentium G3258を用いて、オーバークロックを行い、標準状態とどんな差が出てくるのか検証しよう。
注:なお、オーバークロックはメーカー保証対象外の自己責任による行為であり、それによる故障・不具合に関しては製品保証の対象になりません。また当記事を参考にして行ったことでCPUおよび他パーツ、ソフトウェアなどに不具合を生じてもZIGSOWおよび筆者は責任を負えません。cybercatのオーバークロックというと前メインPCでのAMD PhenomⅡX6 1090T BlackEdition
を3.2GB⇒3.8GBに、現メインPCでIntel Core i7-4770K
を3.5GHz⇒4.3GBに、それぞれM/Bに付属する簡単オーバークロック機能を用いてオーバークロックして常用しているほかは、あまりマニュアルセッティングで攻めたことはない。
ただ一度を除いては。
そう、2年半前、Sandy Bridgeこと第2世代Core iシリーズである「Intel Core i7-2600K(以下2600K)」
を使って挑戦した「ジグソー杯・オーバークロック・コンテスト」。
あの時、cybercatは試行錯誤の結果ベースクロック103MHzの50倍で5.151GHzを達成した。
この時は当時のほぼ最高のCPUで、定格周波数3.4GHzでTurbo Boost(以降TBと記載)時3.8GHzという動作スピードが保証されたものであり、もともと基礎値が高かった。また、Sandy BridgeまではヒートスプレッダとCPUコアの接合がソルダリングという金属を使ったもので熱伝導率が高く、高い冷却効率が得られたことに加えて、コンテストの実施が冬場で、暖房なしだと室温でも一桁台に落ち込むような気候であったことも有利に働き、ほぼオーバークロックに対してはシロウトともいえるcybercatでさえ、5GHzの壁を破ることができた。
今回はそれを目標として、基礎値が低い定格周波数3.2GHz、Turbo Boost機能なし、ヒートスプレッダ内のTIM(Thermal Interface Material)はもちろんソルダリングではなく、Devil's Canyonで改良されたポリマーでもないグリス、さらにまだ残暑が残るこの季節という逆境を、どこまで跳ね返せるかを検証した。
なお、性能評価の指標としては主にオーバークロック・コンテスト当時の評価ソフト、3DMark Vantage (Advanced Edition)
を用いてこの3年間(Core i7-2600Kの発売は2011年)のIntel CPUの進化を検証した。今回の検証に用いたのは、以下の環境。
・CPU:Pentium G3258(本品)
・CPUクーラー:CORSAIR H60
・M/B:ASUS MAXIMUS VII RANGER
・メモリ:CORSAIR VENGEANCE CMZ16GX3M2A1866C9R
・VGA:未搭載
・システムドライブ:Intel SSD 520 120GB SSDSC2CW120A3K5
・光学ドライブ:未搭載
・サウンドカード:未搭載
・カードリーダー:未搭載
・電源:Seasonic SSR-650RM(80 PLUS GOLD、出力 650W、+12V 54A×1系統)
・ケース:Abee AS Enclosure M2
M/Bはオーバークロックメモリにも対応するZ97シリーズ、かつ、M2ソケットがPCI-E接続で十分な将来性がある定番ゲーミングM/BシリーズMAXIMUSの、エントリーモデルとはいえ十分な基礎性能を持つものに、前回のオーバークロックコンテストの経験を活かして、メモリはオーバークロック可能なもの、起動ドライブもSSDとした。CPUクーラーに関しては前回用いた簡易水冷CORSAIR CWCH80
を現メインPCのケースに組み付けてしまっているので、シングルファンの下位モデルにはなるが、おなじCORSAIRのH60を使用した。まず基礎値として、軽く非オーバークロック時の性能を見てみよう。
オーバークロック・コンテストで使用した2600Kと比較して、動作周波数が200GHz低く、TBもなく、2コア2スレッドとコア数で半分、スレッド数で1/4のこのCPUはどれほどの基礎性能があるのだろうか。
DirectX 10専用の3Dベンチマークソフト、「3DMark Vantage」の結果としては、なんと定格の2600KのスコアをG3258が上回った(2600K=P2799、G3258=P3098)。ただこれは内容を確認すると、CPUの機能を評価するというよりはGPU機能に重きを置いた3DMarkの採点方法によるものだ。GPU SCOREは2600Kの2163に対して、G3258は2550と1割以上の向上が見られているのに対して、CPU SCOREは2600Kの23715に対してG3258は8723にとどまると2.5倍以上の差をつけられているからだ。特にCPUの並列処理に最適化されているといわれているCPU TEST1に関しては3倍近いスコアとなっており、コア数とスレッド数の差を見せつけられた。しかし、一方では定格周波数850MHzで最大周波数1.35GHzのかつてのIntel製内蔵グラフィックスのトップブランドIntel HD Graphics 3000の結果を、定格周波数350MHzで最大周波数も1.1 GHzでしかない無印のIntel HD Graphics(GT1)が上回っていることもまた確かで、確かな進歩を感じた。*:なお、評価ソフト3DMark Vantageに関しては2600KとG3258では使用したBuildが異なり、前者が1.1.0、後者が1.1.2となる。これは今回G3258検証環境用のOSをWindows8.1にしたため、Ver.1.1.2以降が求められたが、前者の環境を再現できなかったため、新バージョンでスコアの再取得ができなかったからだ(実際の使用バージョンはVer.1.1.3=Buildは1.1.2)。ただしPhysXアクセラレーションを無効化していれば、両者に評価軸の変更はないという。
さすがに3年前とはいえ、コンシューマー向けCPUの最高性能を誇った石との差は埋まらなかったが、2600Kが2011年末に平均30000円程度していたことを考えれば、2014年10月に8000円程度と1/4程度の価格のCPUとすれば価格なり...むしろ内蔵グラフィックスの性能向上により、軽めのネットゲームであれば遊べる性能となったことを評価すべきかもしれない。
このCPU性能差をオーバークロックで埋められるとはさすがに思えないが、シングルスレッドの軽い作業であれば価格帯性能比がより好転することが期待できるため、オーバークロックを敢行した。
前回「ジグソー杯・オーバークロック・コンテスト」で学んだことは、オーバークロックには
・内部倍率をあげる
・ベースクロック(BCLK)をあげる
・その組み合わせ
というものがあるということだ。
そしてオーバークロックを成功させるためには「冷却」と「電圧」が重要だということ(むろんスコアを少しでも上昇させるには他のテクニック-たとえば今回最初から採用したように高速なメモリと高速なSSDを用いればスコアは微増する等-もあるが、一番重要なのは上記2点だろう)。
これらの知識と経験をもとにオーバークロックに挑んだ。
まず前回と同様、自動OCでどこまで行くのか様子を見た。M/BのASUS MAXIMUS VII RANGERにはWindows上から簡易OCが行える「AI Suite 3」という統合管理ツールが付属する。これにはワンクリックでPCを自動カスタマイズするという「5-Way Optimization」というボタンがある。これはオーバークロックやメモリのタイミング調整のみならず、省電力化や電源回路設定などまで最適化するもので、オーバークロックのためだけのツールではないが、まずこれで最初のトライを実施した。その結果、ベースクロックと電圧には手が入らず、倍率のみ32倍から36倍に上昇した。UEFIで詳しく確認すると、メモリがデフォルトの1600MHzのCL=11-11-11-28から、CORSAIR VENGEANCE CMZ16GX3M2A1866C9Rのレイテンシ、CL=9-10-9-27が設定された。ただし、メモリクロックは1866MHzではなく、1800MHzと設定された。なお、もう一つグラフィックスの最大倍率(Max. CPU Graphics Ratio)が設定されたが、これが「25倍」に設定されたところが面白い。これで350MHz×25倍で8750MHz=8.75GHzで定格のグラフィックス最大周波数である1.1 GHzとは差がありすぎるので、ここまで上昇するとは考えづらく、なぜこれが設定されたのかが不明であるが以降のオーバークロックではこれを引き継いだ。
この自動オーバークロックでベースクロックに上昇がみられなかったのは、同じ自動設定で100MHz×最大38倍のデフォルトから104.6MHzの45倍と、ベースクロックが4.6%に倍率が18.4%とともに上昇した2600Kとは様相が異なり、ちょっと予定外。最近のCPUはベースクロックをあげる余地がほとんどない、という噂を裏付ける結果となった。
これで得られた3DMark VantageのスコアはP3606で、GPU SCOREは2966、CPU SCOREは10202となり、周波数比(12.5%上昇)よりも大きな向上を見せた。
これを起点にこのまま「AI Suite 3」を用いてオーバークロックしようか...とも考えたが、少しやってみたもののどうもスコアの向上がついてきておらず、うまく設定が反映していないようなので(ネットでもバグがある、との情報もあり)、これをあきらめ、UEFIから実施することに。
UEFIの設定の中に「CPU Level Up」というプリセットオーバークロックがあるので、ここの3800MHzと4000MHzを試した(3600MHzは既に達成していたので未実行)。
ともにあっけなく起動&ベンチマーク完走し、スコアはそれぞれP3603(CPU10558、GPU2954)とP3653(CPU11012、GPU2988)であり、特にグラフィックス側に頭打ち感が出てきた。一方、CPU SCOREはリニアに伸びている。ただ、たまたま今回は「ジグソー杯・オーバークロック・コンテスト」同様、3DMark VantageのCPU SCOREを伸ばすことに主眼を置きたいので、この傾向はむしろ歓迎すべきことだ。先ほどの25倍設定が効いているのかもしれない。
4000MHz以上の設定はないので、今度はUEFIで直接倍率を指定していく。この石はベースクロックよりも倍率重視で上げた方が良いようなので、ベースクロックは100MHzで固定し、内部倍率をあげて行った。42倍、44倍までは問題なく通り、それぞれP3629(CPU11484、GPU2955)にP3677(CPU12009、GPU2986)と言うスコアを得た。ますますGPU SCOREとそれを重視する全体のスコアは頭打ちとなり、CPU SCOREだけが倍率設定についてきている感じだ。
次にそのまま200MHzピッチで46倍に挑んだが、Windowsが起動しなかった。そのため、45倍でスコアを確保。しかしP3679(CPU12056、GPU2987)でほぼ4.4GHz動作時と変わらず、壁の存在が感じられた。では、と趣向を変えてベースクロックでのオーバークロックを試みた。
BCLK100×46倍の4.6GHz(4600MHz)が通らなかったので、BCLK102の45倍(4590MHz)、BCLK104の44倍(4576MHz)と設定を変えて「ほぼ」4.6GHzを狙うも前者はWindows起動中にフリーズ、後者はPOST画面ではねられた。あえてBCLKを下げて倍率をあげ、高周波数を狙うセッティングも試みたが×。上げても下げても駄目で、どうもこの個体は(あるいはG3258の傾向なのかわからないが)ベースクロックが硬いようだ。
しからば、と電圧をいじることにした。もともとノーマルで1.088Vを示していたので、ここに0.1Vを加え、1.18Vにしてみた...が起動中フリーズ、強制POST画面に。更なるカツを、と0.2Vを積んだが何も起こらず(起動しない)。BCLKばかりか電圧もシブイ!事実上、倍率しかいじれないとなるとこれ以上のスコア向上は困難だったが、一応あがいてみることに。UEFIの設定に「オーバークロックの限界を引き上げることができる」という「CPU Load-Line Calibration」があったのでそのレベルを徐々に上げて行って起動するかどうかを検証。その結果Level3まで上げるとBCLK100×46での3DMark Vantageは何とか完走。このときのスコアはP3652(CPU12314、GPU2958)でGPUは完全に頭打ち、ただしCPUのスコアはついに定格の1.4倍に達した。こういった計算は数字遊びにすぎないが、2600Kの定格CPU SCORE=23715の半分を超えており、コアあたりスコアとしてはむしろ超過?という感じ。
しかしこのあたりがこの石の限界だったようで、3DMark Vantageの詳細スコアのスクリーンショットを撮っていた最中にPCが落ちてしまった(概略スコアはこの項最後に掲載)。同じ設定でメモリの方を上げてみるかと、CMZ16GX3M2A1866C9RのXMP設定をロードしてみたが、CPUスコアの改善は見られず(P3680(CPU12170、GPU2982))期待はずれ。
この「CPU Load-Line Calibration」をLevel5にするとシブイベースクロックも少しは動き、BCLK101×46の4646MHz(スクリーンショットは観測値=4645MHz)は何とか起動を確認できた。ただ、この設定では3DMark Vantage実行中にシャットダウンしてしまい、このあたりがこの石の限界と判断した。ちなみに温度的には最高でも70℃台(室温25℃付近)でもう少し余裕はありそうだった。今回のオーバークロックチャレンジではSandy Bridgeのでの記録=5GHz超えに挑戦したが、「定格周波数3.2GHzの1.5倍以上」という壁は破れず、1.4倍超の4.6GHzが今回の最高スコアだった。一方そのスコアはCPU SCOREで12314と定格の8723に比べて動作周波数とパラレルに上昇し、約1.4倍の値をたたいたのでオーバークロックの性能に与える影響もまた確認できた。
ではその実使用での効果はどうだろうか。同じFuturemarkのベンチマークだが、オフィス系ソフトやウェブブラウジング、フォトレタッチなどの「よく使われる分野の使い勝手」を示すPCMark8で効果を検証してみよう。
PCMark8にはセレクトされるテストの組み合わせで「Home」、「Creative」、「Work」、「Storage」と「Application」の5種があるが、ブラウジングや文書作成、軽いゲームにビデオチャットなど「パソコンを使う一般的な用途」と想定されるテストが5分野7種類組み合わされた「Home」で検証した。
先のオーバークロックチャレンジでは4.6GHzでベンチマーク結果がとれたが、完走後予定外に落ちるなど、決して「常用」できる領域ではなかった。4.2~4.4GHz程度であれば、常用できそうな手応えではあったが、「上限」ともいえる4.6GHzから約1割の余裕を見て4.0GHzを常用できる周波数かを確認した。
それにはOCCT(4.4.1)を30分走らせて異常終了や異常高温がないことを目安とした。そこでまず定格3.2GHzで走らせて見た(なおモードはOpenCLを使う“Accelerated”)。このときのスコアは2428。動作周波数は1.6GHzと低いが(TB時最大2.9GHz)2コア4スレッド、上位グラフィックスのHD Graphics 4400を備えるCore i5-4300Uを積んだSurface Pro 3が2350という記録を見たことがあるので、結構優秀だ。これを4.0GHzにオーバークロックしたもので取るとスコア2781。このスコアはデスクトップCPUの上位版、動作周波数3.5GHz(TB非対応)の2コア4スレッド、HD Graphics 4400内臓のCore i3-4150とほぼ同じと、倍近い価格のCPUに匹敵するスコアとなった。中身を見ると項目によってバラツキがあり、VideoChatのPlaybackは変化がないし、Web Browsingも誤差ともいえるくらいしか向上はない。しかし、WritingやAdvanced Photo Editingでは明確な向上を見せており、一般的なPCの使用において恩恵を受けることができるだろう。 今回それまでPCの「部品」にすぎなかったCPUの存在価値を飛躍的に高め、PCの製造メーカーよりもCPUの製造メーカーに注目を集めさせるのに成功した「Pentiumブランド」の20周年を記念したモデル、Pentium G3258 "Anniversary Edition"を使う機会を得た。
Core系CPUにすっかりIntelの看板ブランドを奪われた感じの「昔の名前」のCPUが、オーバークロックという「遊び心」を持ちつつ表舞台に存在感を示したことは、自分のようにDOSの頃からPCを使う人間には懐かしく、若い世代にはオーバークロックできる石=その時点の最高の石であってその引き替えに高額という方程式を覆すもので、PCが実用的な「家庭用電化製品」の一つになりつつある現代において「安くて遊び心を持った」CPUが現れた、と映っただろう。
本来定格周波数での動作しか保証していないシリーズのCPUが、実に定格比1.4倍超の周波数での動作と25%増しの周波数での安定動作を示したことは、大変コストパフォーマンス的に優れており、「オーバークロック」の醍醐味を味わうことができる。その喜びはPCを実用品としてだけでなく趣味の対象としても捉えることができる一方、(この個体だけの問題もしれないが)ベースクロック調整も電圧調整も幅が狭く、事実上倍率しかいじるところがないというのは、初心者向け、という印象を持った...いやもしくはそう思わせておいて、実はエキスパートが奥の手を使うともっとさらなるオーバークロックも可能な難易度が高い石なのかもしれないが...
いずれにせよ、このオーバークロックという楽しみに興味を持った人は、このPentium G3258でそれを経験し、あるいはより深みにはまり、より高性能で難易度が高いCore系K番CPUにステップアップして行くことになると思うが、その最初の一歩にはちょうど良い「コストパフォーマンスの良いCPU」と感じた。
また「オーバークロック」というと実用的なものではなく、単に趣味・記録のための行為と思われがちだが、自分で手持ちの機材の限界を探ることはPCパーツおよびPCの設定に関する理解を深めるし、限界まで行かない常用オーバークロックでは1クラス上のCPUの性能を得ることもできる。ぜひこの「懐かしくて新しい」“遊べる”CPU、Pentium G3258 "Anniversary Edition"でオーバークロックを経験してほしい。
末筆とはなりましたが、今回このような機会を与えてくださった インテル株式会社様 、zigsow事務局様に御礼申し上げます。またレビューアップまでの応援など常に支えとなってくれたおものだちの皆様はじめジグソニアンのみなさまに感謝いたします。
ありがとうございました。
【Pentium G3258仕様】
コアの数:2
スレッド数:2
動作周波数:3.2GHz
キャッシュ:3MB
プロセスルール:22nm Haswell
最大TDP:53 W
最大メモリーサイズ:32 GB
メモリーの種類:DDR3-1333
メモリーチャネル数:2
内臓グラフィックス:Intel HD Graphics
グラフィックス定格周波数:350 MHz
グラフィックス最大周波数:1.1 GHz
グラフィックス・ビデオ・メモリー最大容量:1.7 GB
Turbo Boost Technology:非対応
Hyper-Threading Technology: 非対応
vPro Technology: 非対応
Quick Sync Video:対応
Clear Video HD Technology:非対応
supatinさん
2014/10/09
(*・ω・)*_ _)ペコリ
プレミアムレビューお疲れ様でございます。
OCで遊ぶには初心者にもお財布にも優しい石ですね。
(*´ω`*)
cybercatさん
2014/10/09
そうですね。M/Bさえ選べば(たとえばBIOSアップ済みのZ87とか)実売2万以内でCPU+M/Bが手に入りますからね。
「練習」にはもってこいです。
実はこのあと赤い月の夜に1.8V付近(観測値1.78V)まで盛ってみましたw
一度だけ4.7GHzでWindows起動したのですが、CPU-Zの起動中に落ち、やっぱりこの石はここらアタリが限界のようでした。
vuronさん
2014/10/09
4.7GHzとかすごいですね。
うっ、メモリが、あ、頭が・・・・
今はまだ見送り・・・orz
cybercatさん
2014/10/09
4.7GHzはたまたまって感じでしたね。
「CPU Load-Line Calibration」を最高のLevel9迄して電圧の基礎値を0.3V盛ったら、ロード時の電圧は1.78V(滝汗)
4.6GHzを設定換えて狙っていた時は、しょっちゅうWindowsのPW入れるあたりでフリーズ、もしくはブルーバックだったのですが、たまたま?そこは通りすぎ、デスクトップ画面にまで到達。
でもCPU-Zを用意しているうちに落ちちゃいましたw