山洋電気製のファンはよく見かけますが、今まで数多くのファンを購入しながらもまだ一度も使ったことがありませんでした。どうしても価格がネックになり購入を見送っていたのでレビューする機会をいただけて嬉しく思っております。
山洋電気製のファンといえばまずSeasonic製のATX電源を思い浮かべます。Seasonicの電源は2つほど持っていますが、どちらも山洋電気製のファンが使われており、とても静かな印象です。
パッケージは憎きブリスターパックですが、ハサミやカッターは入らず手で開けられます。
付属品はネジと4ピンペリフェラルの変換コネクタとシンプル。最近のファンはゴムブッシュやさまざまな変換コネクタが付いてきたりするのでちょっと寂しい気もします。それだけファンの性能に自信があるとも言えるかもしれません。
テスト環境には上の画像のような基盤を使ってます。
比較したのは同じ日本メーカー製で2ボールベアリングを使用した人気のGentle Typhoon。
1.オウルテック 山洋電気製 San Ace SF12-S4
1500rpm/17db/48CFM/2ボールベアリング/リブなし/約3000円
2.サイズ 日本電産サーボ製 Gentle Typhoon D1225C12B4AP-14
1450rpm/21db/45.9CFM/2ボールベアリング/リブあり/約1500円
回転数が若干違いますが仕様は似ています。17dbと21dbとどちらも回転数のわりにかなり低い数値。しかしメーカーにより基準が違うのであまり当てにはなりません。これは実際に音を聞き比べてみるしかありません。
まず試しに回してみて、比べるまでもなくその風量と静かさに驚きました。今まで多くのファンを検証してきた経験から一発でこれは冷えるなとわかります。
両者を比較した動画は↓
比較対象の性能が近すぎて動画ではほとんど違いがわからない・・・どちらもほぼ同じ風量・静音性でした。これなら安いGentle Typhoonの方がいいじゃん・・・と思いかけたのですが、この価格には素人ではわかりにくい他のファンとは違う何かがあるはずといろいろ調べてみました。
違いがわからないと言ってもその性能は他のファンと比べたら頭一つ二つ抜けています。
1500rpmなので風切り音はしますが軸音のような音は全く感じません。
1000円前後の1200rpmのファンより静かです。
両者の決定的な違いは、ファンから1mほど離れた場所での風量にありました。
Gentle Typhoonは1mも離れると風が分散してかなり弱々しくなってしまいますが、SF12-S4はファンの正面にしっかり風が流れています。
静圧もかなり高そうです。
メーカーが公表している静圧は、
Gentle Typhoon:13Pa(0.051inH2O)
SF12-S4:14.9Pa(0.06inchH2O)
単位はさっぱり意味がわかりませんが、数値を見てSF12-S4の静圧が高いことはわかります。
一般的なファンに比べたらGentle Typhoonはけっこう静圧の高いファンと言われていますが、そのさらに上を行くSF12-S4。この価格の理由もなんとなく納得できます。
実際の冷却能力がどれくらいのものなのか確認してみました。
今使っているマザーボードがEVGA X58 FTW3なのですが、そのノースブリッジにあるヒートシンクがかなり熱くなっているのが気になっていました。
温度センサーで測ってみると62℃と手で触っても熱くて触っていられないほどの温度です。
ちょっと強引ですが画像のようにヒートシンクへ風が当たるように設置してどれくらい下がるか見てみました。
結果: 62℃ → 38℃
ファンを回し始めた瞬間にみるみる温度は下がり、-24℃と劇的に温度が下がりました。
CPUクーラーやHDDの冷却用などにもかなり効果がありそうです。
コストパフォーマンスという点ではやはり3000円はちょっと高い気もしますが、より静音&風量を求めるなら買って損はないなと思いました。
風量に比例して音は大きくなるというケースファンの常識が覆ってしまうような製品です。
あとで一個買い足してCPUクーラーをサンドしてみたくなりました。
今はCWCH50をサンドするファンとして使用中(写真左上)。風量があるので奥の吸気ファンにしたほうがもっと効果的かもしれません。
beckさん
2010/10/09