今回はオウルテックさんの高品質・高信頼ファン体験レビューということで、まずは自分の所持していたほかのファンとの比較を行ってみました。
まず比較したのは以下の六つのファン。
ファン比較.jpg
①今回のレビュー対象、SF12-S4
②KAMA-FLEX SA1225FDB12H
③AKASA Freedom Tower付属のPWMファン DFS122512M
④Cooler Master製LED付きファン DF1202512RFUN
⑤基準、CM690付属の真っ黒なファン、 DF1202512SELN
⑥CM690付属のLED付きファン DF1202512SELN
・・・気付いた方もいるでしょうが、どうも型番を見る限り⑤と⑥は基本的に同様のもののようです。
フレームの形や色は異なりますが、実際に音を聞いても風量を見ても差が感じられなかったため、比較はLED付きのものについてのみ行ないました。
まずはそれぞれのスペックから。
①SF12-S4:1500rpm, 17dB, 48.0CFM, 1.52mmH2O
②KAMA-FLEX:1900rpm, 34.0dBA, 75.0CFM
③Akasa(最大回転):1700rpm, 27.2dBA, 57.32CFM, 1.71mmH2O
④CoolerMasterSilentFan:2000rpm, 19dBA, 90CFM, 3.04mmH2O
⑤、⑥は不明。
とりあえずそれぞれの音量などを計測しようとしたら家にサウンドレコーダーの類がないことが判明。
携帯電話の機能で録音を試行してみましたが、ノイズまみれな上に音の原型をとどめておらず、諦めました。
そのうちレコーダーを買う機会があったら音の波形やらスペクトルやらも見てみたいと思いますが、今回は仕方ないので感覚的な結果を。
・まず基準となるファン、⑤のごく普通のケースファン。
回転数が小さいようで、極めて静かで、回転による風切り音と「ジジジ・・・」といった感じの軸音があり。
回転数故か風はかなり弱く、50cm離すとほぼ風を感じない程度。
また、手で持つと振動しているのを感じ取ることが出来た。
・①のSF12-S4、つまり今回のレビュー対象のファン。
音に関してはかなり静かなものの、基準よりは多少音が大きい印象を受けた。
風切り音は基準に比べて高く、多少大きい。
一方、風量に関しては圧倒的にこちらの方が大きく、軸音に関しては聞き取ることができなかった。
また、音が基準より大きいとはいっても30cm程頭から離していれば気がつかなくなるレベルである。
振動に関しては、感じ取ることができなかった。
・③の、AKASAのPWMファン(全開)
風量に関してはSF12を多少上回るものの、圧倒的に五月蝿い。
風切り音は一メートル離れても耳につくレベルであり、軸音（らしきもの）も回転数故か「ジー」といった感じで連続して聞こえる。
また、SF12と比較するとかなり風が散って（拡散して）いる。
・②のKAMA FLEX 1900rpm
AKASAのファンと同レベル、若しくは少し小さいくらいの騒音であった。
音のメインは風切り音であり、軸に由来すると思われる音は聞こえなかった。
ただし、今回聞こえなかったのは風切り音にかき消されたからだと思われる。
また、Akasaより小さかったとはいえAkasa自体が相当うるさい為、うるさいことに変わりはない。
風量に関してはAkasaに多少勝るか、同じ程度だと思われる。
振動に関しては、かなり激しかった。
・④のCoolerMasterSilentファン
風切り音が凄まじい。
冷房の室外機のファンの音を小さくしたような音がする。
軸音は聞こえないが、KAMA FLEX同様に風切り音が大きすぎると思われる。
風量はかなり大きいものの、Akasa以上に周辺に散っていたために50cm離すとSF12より風が弱いほどであった。
結果をまとめると、
・風量的にはCoolerMaster・KAMA FLEX・AKASAが圧倒的に大きく、それに準じてSF12-S4、大差をつけられて基準ファン、という感じであった。
・ノイズとしては小さい順に基準、それと僅差でSF12-S4、圧倒的に大きくなってKAMA Flex・CoolerMaster・Akasaといった感じであった。KAMA FlexとCoolerMasterは扇風機的な音で、間違いなくうるさいものの許容できない音ではなかったのだが、Akasaの音は正直耳について邪魔である。
・ファンの振動に関しては、SF12-S4以外はすべて感じることができた。風量の大きかった三つは振動も大きめであった。
といったところです。
個人的に気づいた/感じた点としては、
・パッケージの外見や内容に特に優秀な点は見当たらなかったが、開封の際に手だけで簡単に開けられる仕組みになっていたのが印象的だった。他社のパッケージには周囲が完全に密封されていてカッターなどの刃物がないと開けることができない物もあるのと比較すると、かなりユーザーフレンドリーであると感じた。
・SF12がきわめて静かだったために、たまに切るのを忘れるほどであった。自分の愚かさとファンの静かさにびっくり。
・SF12だけ振動を感じることができなかったことに驚愕。
・CoolerMasterSilentFanは全く、微塵も、完膚なきまでにSilentではなかった。誰がどう計測したらノイズ19dBAなんてことになるのだろうか。これだからカタログスペックは信用ならない・・・。まぁ風量は確かに大きいし、排気側に抵抗があるとかなり音が小さくなるので、運用如何によってはかなり静かになる可能性はある。
・うるさいうるさいと思っていたKAMA Flexが意外と静かであった。ただしあくまでもほかのうるさいファンと比較してであって、十分にうるさいことは確かである。
・スキュードペラのような形状の羽は、風を拡散させる傾向があるように感じた。今回はAKASAとCoolerMasterSilentFanがそれにあたる。GentleTyphoonとかはどうなんだろう・・・・？
といったあたり。
結局このファンの性能に関しては山洋すげえ、としか言いようがありません。
静音性・風量ともトップではなかったものの、その双方を考慮すると明らかにダントツのトップ。
ここまで静かで風量もあるファンがあるのか、と思わざるを得ませんでした。
また、振動に関しても、今までは「普通」だと思っていたものが実は結構振動していたことに気づかされる程で、スペックに表れない点もしっかりと作りこんであります。
このファンを購入するうえで問題となるのはその価格ですが、これほどの性能があるのであれば納得です。
静音をと風量の両立を目指すのであれば、価格を考慮してもかなり良い候補なのではないでしょうか。
ちなみに現在デスクトップに組み込んで使用中ですが、組み込み前と騒音が変わったようには感じられません。
AKASAやKAMA FLEXを組み込んだときは明らかに組み込み前と異なる音がしたことを考えると、やはりその静音性は伊達ではないようです。
※現在、CPUクーラー直上で上方排気用のケースファンとして使用中です。
これはサイドフロー型のクーラーの空気が上に抜ける（といってもデュアルコアなので40度いかない）ことからファンの耐熱性を考慮して配置してみました。
また、スリーブベアリング式のものををこのような方向で置くのはよくないという話を聞くので、そういう意味でも安心です。
11/11/21追記：
現在も上記のごとくCPUクーラー直上の上方排気用ケースファンとして運用していますが、CPUが6コアになったため全力運転時の排熱が大きくなっています。
とはいってもソフト読みで50℃には到達していないのですが、やはり暖かい空気を排出させても安心というのはいいものです。
flammulinaさん
2010/07/21
軸音ないですか…。私の所に来た個体は『山洋の静音モデル』とは思えない軸音があったので不思議に感じておりました。参考になります。
mineさん
2010/07/22
軸音に関してはPCを動かしながら（つまり多少雑音のある状況下で）聞き取ろうとしたため、もしかすると聞こえていなかったのかもしれません。初めはPCからファンをすべて外していたのですが、数分後にオーバーヒートでブルースクリーンを吐かれたためにCPUファンとしてケースファン（基準としたもの）を取り付けることになってしまい・・・。
ただ、どちらにせようちに来ていたものは少なくともCM690付属のもの（LEDあり・なし双方）やAKASAのものよりは軸音が小さかったです。
まぁその二つの軸音が大きかった可能性も一応ありますが・・・。
Yorkfieldさん
2010/09/03
6個のファンの比較検証、大変ご苦労さまでした。
とても参考になるレビューでした。
mineさん
2010/09/03
そう言っていただけるとまたやる気が増しますw