レビューメディア「ジグソー」

きわめて完成度の高い、珠玉の12cmファン

CPUの発熱の増大によるCPUクーラーの大型化、静音化への対応策としてのケースファンの口径拡大など、PCを自作する上で12cmファンを使う機会がかなり増えています。
空冷ファンは安いものでは数百円で購入可能なものもある中で、今回お貸し頂いた山洋 SF12-S4は実売3,000円程度とハイエンドに属する高級ファンとなります。
なかなか自腹を切って3,000円台のファンって買う機会がなかったのですが、プレミアムレビューで貸して頂けることになりましたので、使用感や冷却能力などについて検証していきたいと思います。

この度はレビュアーに選出いただきました、zigsowおよびオウルテックの関係者の方に、この場をお借りして御礼申し上げます。

人気ファンである、下記シリーズと比較して、SF12-S4の特徴を探っていきたいと思います。
・山洋 SF12-S4(1500rpm/48.0CFM/17dB/0.08A)
・Scythe S-FLEX SFF21E(1200rpm/49.0CFM/20.1dB/0.15A)
・日本サーボ Gentle Typhoon D1225C12B4AP-14(1450rpm/45.9CFM/21dB/0.049A)

パッケージ内容
パッケージ内容


■持っただけで解る、一流品ならではの高級感

SANYOといえばintelのリテールファンにも昔から採用されているように、性能に定評があるメーカーです。
個人的には山洋(SANYO)と日本電産(NIDEC)はともに個人で購入できうる最高品質の製品を作っているメーカーといって差し支えないと思います。

開封して手にとって真っ先に思ったのは、やはり価格相応のことだけはある、という感覚です。
ちなみに、通電してもないですし、CPUクーラーに装着して負荷テストを行った訳でもないので、単なる直感というか先入観に近いものもありますが、高級感はただならぬものがあります。

■ゆるく弧を描いた独特のブレード

まず思ったのが、作りの丁寧さです。
当たり前ですがバリなどもなく、ブレードも綺麗な形に仕上がっています。
先端がラウンド形状になっており、回転中の羽根に指をぶつけても刺さらなそうな感じです(ラウンド形状になっている根拠はまったく違うと思います…)。

独特のブレード形状
独特のブレード形状


ちなみに、先端のとがったファンに指を突っ込むと、最悪サックリと皮膚が割れてとんでもないことになります。
ブレードの形状も独特ですが、軸との取り付け部分は肉厚構造になっており、とても剛性がある作りとなっています。

ブレードの付け根
ブレードの付け根


■個別にアライメント調整済み

ファン軸とブレードのアライメントを調整しているのも、一級品の証です。
ファンの軸の裏側部分に12カ所のくぼみがあり、おそらくそのくぼみにウェイトを入れることによってアライメントを調整していると思われます。
これによって、きわめてスムーズな回転が得られます。

アライメント調整
アライメント調整


実際に動かしてみると、その差歴然です。
ソニー純正密閉型流体軸受けベアリングS・FDBを搭載したScytheのS-FLEX SFF21Eでは、回転時にかすかに振動しているのが解ります。
数百円の激安ファンではかなり振動も大きく、ひどいものによっては故障の原因になるくらい、ブレが大きいものも存在します。
その点SF12-S4はフル回転してもまったく微動だにせず、まさに静止しているがごとくです。
個別にアライメント調整を行わないとできない芸当です。

■温度比較

空冷CPUクーラーとしては最強の部類に属するMegahalemsに、 SF12-S4とGentle Typhoon D1225C12B4AP-14をセットして、OCCTで負荷をかけた状態の温度を計測してみました。
CPUはCore i7 860を3.6GHzにOCした状態(HyperBoost ON)で計測しています。

ケースが割とエアフローの良くないP183で、なおかつRADEON HD 4870&4850のCFX構成ということもあって、ケース内温度はかなり熱くなっています。
そのためか、思ったより差が出ませんでした…。

温度比較
温度比較


結果としては、グラフを見る限りはほぼ拮抗していますが、1℃程度SF12-S4の方が冷えています。
OCCT起動時の温度上昇はSF12-S4の方が1~2℃低くなっています。
ピーク時は両方とも81℃(!)となっていますが、80℃を超えているポイントが、SF12-S4の方が少ないのが見て取れます。

CFM値からみると、SF12-S4は1500rpmで48.0CFM、Gentle Typhoonは1450rpmで45.9CFMですので、その差が温度に表れているようにも見えます。
S-FLEXはテストを行っていませんが、3つのファンを並べて動作させた限りでは1200rpmでSF12-S4を上回る49.0CFMという感じは受けませんでした。

■回転テスト

ファンの電源ON/OFF時の回転の様子を比較してみました。



結果から言うと、Gentle Typhoonがもっともスムーズで、続いてSF12-S4、S-Flexとなっています。
※電源OFF時の回転のなめらかさ=冷却性能が良いという訳ではありません。あくまでも回転のスムーズさに的を絞っての検証となります。

軸の回転のスムーズさは消費電力に現れており、それぞれ
・日本サーボ Gentle Typhoon D1225C12B4AP-14:0.049A
・山洋 SF12-S4:0.08A
・Scythe S-FLEX SFF21E:0.15A
となっています。
特にSF12-S4とS-FLEXでは倍近い差があり、ファンの動作をみていても、S-FLEXは回転に結構トルクが必要な印象を受けます。

■総括

3種類のファンを試してみた感想は以下の通りです。

S-FLEXは回転時に微妙な振動もあり、風量および騒音いずれも標準よりは優れているものの、他の2つのファンと比較すると見劣りすることは確かです。
ケースファンなどで使うのは良さそうですが、振動が増幅されてしまいやすいCPUクーラーでは、やはりアライメント調整を行っているファンの方が使っていて安心感があります。

Gentle Typhoonはファンの形状や回転のスムーズさなどに特徴があり、好んで使っているファンです。
コストパフォーマンスも割と良く、ケースファンなどで2~3つほど使用する場合でも、比較的買いやすいファンです。
ノイズも風切り音、軸音ともに静かであり、バランスのよいファンだと感じます。

SF12-S4ですが、回転時の振動は全くなく、3つのファンの中ではもっとも良好な結果です。
今までの山洋ファンのような、かすかに耳につく軸音も排除されており、きわめて静かなファンに仕上がっています。
特に、1500rpmで17dBというノイズは他のファンでは考えられにくく、静音環境を作るにはもってこいです。
ただし、やはり一番気になるのがファンの価格で、CPUクーラー、ケースファン×2を交換するだけで1万円近くかかってしまいます。

バランスを考えると、CPUクーラーのような、もっとも静音に配慮すべきファンとしてSF12-S4を使い、ケースファンはGentle Typhoonのようなハイブリッド構成がもっともコストパフォーマンスも良いのではないか、と感じました。

現在はMegahalemsの前面にSF12-S4を吸気でセット、背面にGentle Typhoonを排気でセットして使っています。
2ファン構造にしたところ、CPU温度もOCCT負荷時で78℃と3℃も温度が低下しました。


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2011/7/3
今まで頂いたプレミアムレビューのその後レビューをちょろっと追記コーナー

現在は、メインPCのP183の上面排気ファンとして、日々役だってくれています。
これから夏場にかけてPC内部の温度も上昇しますが、このSF12-S4は全力で回転してもきわめて静かなため、ケース外部に音が漏れやすい排気ファンとしてはとても重宝します。
風量豊かできわめて静音、いいところづくしのファンなのですが、気になる点が一つ。
あともう一声安ければ、2,3個くらい買えるんですけどね…(T_T

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