#01 Core i7最上位のExtreme Edition
Core iシリーズ最上位のCPUという位置づけのExtreme Edition。まさにハイエンドCPUの最高峰、真に頂点を目指すエンスージアストのためのCPUといったイメージがあります。このExtreme Editionが、SandyBridgeからIvyBridgeに進化しました。それが今回プレミアムプレビューの機会を頂いたCore i7-4960Xです。
パッケージはパッと見小さいです。私が触れてきたCPUの中では一番小さいですね。まぁ、FX-9590のパッケージよりは大きいようですが……。
パッケージにはCPUクーラーが付属せず、同梱されているのはマニュアルだけなのでこれでも大きめに作られているパッケージのようです。
デザインは4770KなどのHaswellと同様ですし、ナンバリングも4000番代ですが、中身はIvyBridgeなんですよね……。なんか紛らわしいです。
E2200のパッケージと並べてみました。
小さいですね4960X。
年々CPUは製造プロセスの微細化によってサイズも小さくなってきてますからね。パッケージも大分小さくなってきてます。
左が4960Xで右がE2200。
パッケージに比べて、CPUはデカイ! これはデカイ!
2011pinと775pinの差が如実に現れています。よくよく見るとピンのサイズも4960Xのほうが若干小さいように見えますが、びっしり詰まってるってかんじですね。
世の中の流れ的には小型、省電力化へ流れているわけで、Intel自身もHaswellではパフォーマンスを上げながら省電力化に努めてきてたわけですが、Extreme Editionはその流れから逸れて、パフォーマンスを追求していく。そんなメッセージが受け取れそうなデカさです。
#02 IvyBridge-Eてなんだ?
さて、4960XのパッケージとCPUを眺め回して感激していたのはいいのですが、正直いってIvyBridge-Eのことは何も知りません。普段なら10万円を超えるという値段を見ただけでスルー対象になってしまうからです。IvyBridge-Eってなんだ? LGA2011はどう凄いの? そんな基本的なところから入って行きたいと思います。
まずはスペック表。
Intel arkからの全コピペですが、IvyBridge-EのCore i7-4960XとSandyBridge-EのCore i7-3970X。そして、HaswellのCore i7-4770Kのスペックを抜き出して並べてみました。
*1 まずIvyBridge-Eになって大きく変わっているのが製造プロセス。32nmから22nmへと微細化が進んでいるのは大きな違いです。これにより、*2 TDPも150Wから130Wへと削減されていますね。まぁ、順当な進化を遂げているということかもしれません。ただし、命令セットは拡張さておらず、HaswellのようにAVX2は対応していません。AVX2の効果は非常に大きいものがあったので、コレに対応していないとなるとIvyBridge-EでもHaswellに対して1歩譲る部分が出てきそうです。
*3 次に対応メモリが増えています。SandyBridge-EではDDR3-1600MHzまでの対応だったのに対し、DDR3-1866MHzにまで拡張されています。より高速なメモリが使えるようになったということで、よりメモリ代が増えそうな状況です。OCメモリによって、よりパフォーマンスアップを狙えそうです。それにメモリチャンネルも4チャンネルに増えています。メモリ関連のパフォーマンスはLGA1150なんかとは比べ物にならなそうな雰囲気です。*4 ただ、ちょっと気になったのは、ECCメモリには対応していないんですね。あくまでもサーバーグレードのCPUではないということのようです。
*5 これは今更か! とかいいたくなるPCI Express 3.0への対応。SandyBridge-E時代はPCI Express 2.0で我慢しなければならなかったのかと思うと、嬉しい部分かと。さらに驚いたのが、PCI Expressレーンの最大数が40とのこと。これはあれですかね。×16動作でのSLIやCross Fireが可能ということですかね。
4770KではできなかったDual ×16動作が可能というのは、GPU2枚をやるのならIvyBridge-Eを選ぶしかないといい切れそうなポイントです。
*6 そして最後に気になったのが、vPro未対応ということ。Core i7最上位のCPUとはいえ、用途は限定されている。そんな感じです。
次に考えたのが、費用対効果。
10万円というお値段のCPUですから、これまで以上に気になるポイントです。ハイエンド構成ならHaswellとIvyBridge-Eのどちらがいいのか考えてみました。
とりあえず世間のベンチマーク結果と値段を並べて比べます。引用元はPassMarkから。値段は価格.comの最安値から引用しています。
PassMark - CPU Mark
High End CPUs - Updated 14th of November 2013
PassMarkのベンチ結果は流動的かつ恣意的な部分もあるので胡散臭さはあるものの、目安にはなるでしょう。
この表で見ると、性能の上昇率に関わらず値段は4割り増しで増加しています。なかなか二の足踏みそうな結果です。特に、4930Xから4960Xへの性能アップは僅かなのに、値段は45%アップ。これは悩ましい。
逆に、4820Kは4770Kとほぼ同じスコアでありながら、値段も同等です。4770Kで2GPUのハイエンド構成を組むくらいなら、Dual ×16動作が可能な4820Kを選んだほうがいい気もします。
ただ、4820Kって4コア8スレッドなんですよね。LGA2011を選んでおきながら4コアはちょっと物足りないので、6コア12スレッドの4930Kが候補に上がってきます。値段も5万円台なので、これなら“アリかな?”なんて思ったりもします。4960Xとの性能差は1割もありませんし、IvyBridge-Eを選ぶなら狙い目のCPUかもしれません。
じゃぁ10万円の4960Xはダメなのか? これもちょっと考えます。4770Kと4960Xの性能差は約28%。価格は約69%上昇します。値段差は約7万円ですね。ん~、ダメな気がします。やはり費用対効果はいいといえませんね。とりあえず、スペックと価格を比べただけの場合、4960Xは値段に見合わない選択な気がします。ただし、IvyBridge-Eはオーバークロック向けにいろいろと配慮されているCPUとのことです。オーバークロックの限界に挑戦するのなら4960X以外はありえないのかもしれません。
というわけでまとめます。
・IvyBridge-Eはメモリ4チャンネル動作でDDR3-1866MHzに対応。メモリ周りの強化は魅力的。
・PCI Expressは3.0に拡張。レーン数は40でDual ×16動作も可能。
IvyBridge-Eはこの2点が極めて魅力的と感じます。そして最大6コア12スレッドのCPUですから、全コアフルロードしてのエンコードにはとても有効でしょう。2GPU構成でも、ボトルネックとなる部分がないのでゲーム用途にも最適です。まさに最上位Core i7という印象です。
最初は、LGA2011というとXeonがまっさきに思い浮かぶので、サーバー用途にも向いているCPUなのかと思っていましたが、どうやら純粋なCore iシリーズのCPUのようです。というかゲームマシンを組むべきですね。ゲームをやるためのCPUですよ!(超個人的な感想)
さらに、Ivy-Bridge-Eを買うならどれがいいか!?
・Core i7-4930Kが費用対効果が一番いい。
・Core i7-4820Kは、4770Kで2GPU構成するくらいならこれしかない。
・Core i7-4960Kは、オーバークロックチャレンジするならこれか?
ということで、Core i7-4930Xが最高のIvyBridge-E CPUなんだ! という結論です。このプレミアムプレビューは、Core i7-4960Xのレビューですが、私はCore i7-4930Kを一番推しということにしたいと思います。
まぁ、どれも一度も使わずに出した結論なので与太話に近いんですけどね。
とりあえず、IvyBridge-Eについては大分わかってきました。私はハイスペックなPCはゲームありきで考えるので、これほどIvyBridge-Eがゲームに向いているCPUだと知ってかなり驚いています。“ぇ? LGA1150? そんなのありえないでしょ? pgr”くらいの勢いで傾倒してきています。こんなことならゲームのためにCore i7-4960Xを組むといっても良かった気もしますが、あいにく2GPUでSLIやCross Fireを組むようなエンスージアストではないので今回はお預けです。残念ですが、今回は質素な構成でプレミアムプレビューをお贈りする予定です。
#03 ギリギリチャレンジ!
ぁ、すいません。次回に続きます。
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