何のGIRIGIRIを目指すのか!!
どれだけ負荷の重い状態にしてソフト音源がどこまでリアルタイムに処理ができるのかを探ってみたいと思います。
使う楽曲は、ジャジャジャーンでおなじみ。
ベートーベン作曲「運命 第一楽章」
こんな感じで行っていきます。
この曲を選んだ私も私ですが、まるでこの先に待ち構えていた事を暗示していたのかも知れません。
DAWに高性能CPUが必要な訳
まず音楽制作をしていない人には全くわからない世界なので説明をしておきたいと思います。
DAWとはデジタル・オーディオ・ワークステーションの略で、音声ファイルも、デジタル楽器の演奏データも一緒に扱えるソフトです。
近頃といってもずいぶん前からですが、多分知らない人はいない初音ミクを代表とするボーカロイドつまり音声合成ソフトのおかげで、かなりマイナーだった世界もかなりメジャーになってしまいました。
最近の音楽制作環境だと、昔みたいにシンセサイザーをたくさん並べて作るという感じではなくパソコンの性能が上がってきたのもあって、パソコンの性能を生かしてソフトウェアだけでの製作が可能になったというか、最近始めた人も昔からやっていた人もソフトウェア環境でやっている人が大半だと思います。
当然ながらパソコンの性能が上がってきたからソフトウェアでの製作が可能になった訳で、特別なDSPとかを使わない限り、3Dゲームなどがグラフィックカードで性能が上がるような事はなく、どれだけ我侭な製作をできるかはCPUの性能次第となる訳です。
ソフトウェアでの音楽制作環境
必要なもの
高性能なパソコン
DAW
ソフト音源
オーディオインターフェイス等
例えばボーカロイドV3を使った音楽製作の場合
ボーカロイドライブラリ+ボーカロイドエディタ+DAW+ソフト音源+オーディオインターフェイス
となります。
・テスト環境
共通
DAW
Studio One Professional2(バージョン2.6)
ソフト音源
NI KOMPLETE ELEMENTS
ボーカロイドエディタ
ボーカロイドライブラリ
OS
Windows 7 Ultimate SP1 64bit
グラフィックスカード
メモリ
比較用PC
だらだら書いても仕方のないので、マザーボードとCPUだけ
intel core i7 4960XPC
そして
説明
今回は負荷テストです。なので無理やり重くするような事をしています。
始めに動画を貼りましたが、あれは16bit44.1KHz(わかりやすくいうとCDの音質)の設定でMP3に書き出したものを動画にくっつけてありますので、実際の負荷テスト中の音質とは完全に異なります。
今回のテストは、
・内部演算64bit
・音質:32bit96KHz
・各チャンネルにソフト音源KONTAKTの中のUpright Pianoを一個づつ割り当て
・各チャンネル毎にStudioOne2ソフトエフェクターのプリセットのエフェクトセットInstrumentsからGrando Pianoで、コンプレッサー、パラメトリックイコライザー、リバーブがかけてあります。
・マスターフェーダーにコンプレッサーをかけてあります。
確認して欲しいところとしてStudioOne2はしっかりとマルチプロセッサにネイティブに対応しているということ。
クリックするとオリジナルの画像が開きます。左が4770Kで右が4960X
よくあるのが64bitだけど、マルチコアにネイティブで使えないとかですが、StudioOne2は64bit、マルチコアにネイティブ対応です。
非対応のDAWの例
DAW側ではCPUの使用率が49%なのに対してタスクマネージャー上では5%とすべてのコアが生かしきれてない状態。
HDDの端っこで眠っていたふるいMIDIファイルを使ったので12chに分かれています。最近の作り方なら多くてステレオのLRの2ch、少なければ1chですが、これの修正をしていると恐ろしい時間がかかると思われるのでそのまま使いました。
ソフト音源を割り当てているところ
こんな感じです。
intel core i7 4770K
4セットつまり4×12で、やっと限界になりました。4セット目でほぼ常時100%で、聞いてまともに音が鳴ってない状態です。なので実用は3セット目の3×12の36chだと思われます。
正直ここまでくるとは思いませんでした。4770kでも音源ソフトによりけりだとは思いますが、オーケストラでも余裕でリアルタイムに演算できるようです。
Core 2 Duo E8500だと1セット目で終わる重さのテストです・・・。
intel core i7 4960X
4770Kが限界を迎えた4セットでは、まだまだ余裕です。
4960Xが限界を迎えたのが、実用レベルで使えるのが4セット+4chなので合計52ch。
4770Kの時と違いピークで一瞬100%になるところで止めました。
まるで、DSP対応のプラグインソフトでも使ってるような気分になります。音楽制作をやってる人は判ってもらえると思いますが、52個もソフト音源を同時にリアルタイムに立ち上げる楽曲つくりなんて、想像はしても実際やらないレベルです。
それが可能になってしまうCPUとは、全く恐ろしい。
Xのつく型番なので当然ですが、オーバークロック可能です。まだまだ余裕代が有り余ってます。4770Kの時と違いCPUの温度が非常に低いのも特徴でブラウザと動画再生くらいならコアの温度が16度前後です。グリスバーガー仕様ではなく、内部がハンダになっているので熱伝導率がいいのが伺えます。
ボーカロイド
正直Core 2 Duo E8500の時にアップアップだったのでテストしたら面白いかなと思ってやってみたのですが結果は以下のとおりです。
左がcore i7 4770K、右がcore i7 4960X
IAについてきた鳥の詩を持っているボーカロイドのIA、VY1V3、Mewにメインボーカル、コーラス×2の9トラック分合成させてますが、4770Kはクロックがしっかり上がって20%位の負荷ですが、4960Xに至ってはクロックも上がらずCPU使用率が10%以下という結果に。
どっちのCPUも余裕過ぎるという結果になってしまいました。
その他ベンチマーク
いろいろなベンチマークソフトでベンチを取ってみたのですが、波乱の結果に・・・。
どっちがどっちか答え合わせは最後に書きます。
FF11ベンチマーク3
新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編 - Final Fantasy XIV
バイオハザード6
MHFベンチマーク第3弾【大討伐】
CINEBENCH R15 64bit
最後のCINEBENCHは答えが載ってますが3930Kを下回る結果に・・・。多分デュアルチャンネルのメモリが駄目だったのか、もっと設定を追い込まないと駄目そうですが現在の数値は何度測っても同じ位でした。
さて答え合わせです。
オリジナルの画像を見た人は簡単だったと思いますが
すべて左が4770Kで右が4960Xです。
FF11ベンチなんてふるいベンチマークだから正しい数字が出ないのかも知れませんが、思いっきり下回ってる。
他もMHFベンチマーク以外はそれほど大差をつけれていません。これはHaswellコアかIvy Bridge-Eコアの違いが関係するのでしょうか。
他のところのレビューを見てみてもゲームではあまり大差をつけれないか逆転してしまっているというベンチマークが出ているので間違いでは無さそうです。
Ivy Bridge-E用の新しいチップセットのマザーボードを出していればもっと違っていたのかも。
あとがきと蛇足
今回はパーツを集めるに苦労しました。何がというのは、マザーボードとメモリ周り。
マザーボードが特に、お店に聞いたら対応してるのは売ってないとかいうお店もあり、とにかく2年前ほどに出たマザーボードが中心になるので、お店に在庫が無いところ、今回のCPUが発売になった事で古いマザーボードなのに値段が一気に上がってしまっている上に在庫薄。
メモリはDDR3-1866に今回のCPUは対応しているのに、マザーボード周りで対応しているかどうか不明という答えやそれに対応したメモリがどれなのかがお店側が聞いても、しっかり動くか判らないという答えばかり。
なのでメモリは4770Kに乗せてあったものを流用して、今回のレビューを書きましたが、結論から言ってしまえば、ASUSのP9X79は、BIOSの更新なしで、そのまま動きましたし、メモリもDDR3-1866をネイティブで対応できている様子。他のマザーボードメーカーはOCになるような事が書いてあり唯一1866まで対応できそうな風に書いてあったASUSのマザーボードを選んだのが良かったのか・・・。
あと焦ったのが、マザーボードにCPUクーラーの穴が開いていると思ったら開いていなくて水冷が取り付けられなかった事で、急いでCPUクーラーを調達する羽目になった所でしょうか。
とにかくお店の人もあいまいな返事しかもらえない状態でのパーツの選定だったので何かと苦労しました。
DAWのソフト音源の結果は、想定外でした。
4770Kを導入後も、音楽制作はE8500でやっていた為、ここまで沢山乗せられるとはぜんぜん思っていなかったです。
普通は、ソフト音源である程度音作りが決まったら、そのトラックは一回オーディオファイルに書き出して演算はさせないのが普通のつくり方なのですが、このCPUパワーだと私の環境だとその作業要らなくなりそうです。
あまりにも贅沢な製作環境。
あと、他のDAWでもここまで立ち上げられるかは?です。
DAWを選ぶときに軽さとマルチコアにしっかり対応してる事も頭に入れていろいろ試して選んだので、もしDAWから購入される方は、体験版を試してからにしておいたほうが良いと思います。
追記:BIOSのバージョンをあげて省電力機能をオフにしたらCINEBENCH R15 64bitの数値が良くなったので追記します。
現在のBIOSのバージョン「P9X79 BIOS 4502」 2013.10.31更新
以前のBIOSのバージョン「P9X79 BIOS 4302」 2013.09.02更新(Support Intel IVB-E series CPU)
設定をオートにして少しオーバークロック気味になってるデータも載っていますが、定格で仕様した数値でも1074で、まだ3930Kに負けてますが、それでも近い数値になったのでご報告いたします。
もしかしたら、メモリがクアッドチャンネルではなくデュアルチャンネルで動いているのが足を引っ張ってしまっているのか、それともマザーボードのチューニングがまだ足りないのか、いずれにしてもまた変化がありましたら追記したいと思います。
説明で一箇所DAWをやっていない人にはわかりにくい表現だったかも知れないので追記させてください。
どれだけの負荷つまり、どんなことができるくらいの性能なのかということなのですが、
ポイント①
4960Xを使うと52個の楽器を同時にリアルタイムに演奏できる。
ピアノ一色で複数トラックをやった為、誤解された方もいたと思います。この場を借りて謝罪させてください。
要するにオーケストラでも超余裕ということです。
ポイント②
各チャンネルにエフェクトを立ち上げているということは、楽器ごとに音の響きや音色を自由に(もちろんソフト音源側でも変更できるので2重に)変える事ができる。
今回の場合はコンプレッサーとEQとリバーブ。
コンプレッサーの設定画面
設定した音量を超えたら設定した比率で音量を押さえこむエフェクター。
実際どんな場面で使うか、声の大きさが安定しないボーカルの音量をそろえる時などに使います。
使い方次第では、大胆に音を変えたりすることもできる現在の音楽制作現場で必須のエフェクターです。
イコライザーの設定画面
こちらも現在の音楽の製作現場では外せないエフェクターのEQ。
どんなものかというと音は空気の振動である一定の周期の空気の振動を音と人間は認識しています。振動数が多いほうを高い音、少ない方を低い音として感じるのですがその音の周波数単位で大きさを変えてやるのがEQです。いわば音のキャラクターを変えるエフェクターといったところ。
リバーブ
空間系エフェクターであるリバーブ。簡単にいえばエコーマシン。
とざっくり言い過ぎですが、残響感を与えるためのエフェクターです。
これらが全チャンネルにそれぞれかかっていて、それをリアルタイムに処理し、52チャンネルも処理してるというのは、何度書いて驚きです。
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