レビューメディア「ジグソー」

目指したのは、快適な使い心地。超美麗液晶を備えたフラッグシップ・モバイル。

 

 

 

 

 

モバイルPCに求めるものって、一体なんだろう?

 

人それぞれ、十人十色の回答があるだろう。
軽いこと、薄いこと、高性能、デザイン・・・・・・まあ、色々ですわな。

 

私の場合、モバイルPCは「使い勝手」こそが最も重要な要素だと思う。

 

そりゃ勿論、自宅で使うメインマシンと全く同じ性能があるに越したことは無い。
だが、出先で必要な性能というのは「困らない程度」であれば十分で、性能がいくら良くても「出先で使うとき、困るような作り」では無意味だと思っているからだ。
外出先でFPSゲームが『高速』に動いても、プレイするための操作系が不出来ならば『快適』ではない。

 

「スペックと使い勝手は、必ずしもイコールではない」

それを如実に示したのが、スマートフォンであり、タブレットでは無かったか?

 


 今回、レビューすることになった東芝の新型Ultrabook "KIRA V832" の外観。
 全体を収めると、どうしても詳細が見えにくいので、大きめの画像にリンクしてある。

 

 

 

一昨年、Intelが提唱したUltrabook構想は、高性能であることは勿論だが、今までのモバイルPCと決定的に違う思想が含まれる。

 

即ち、利便性だ。

モバイルPCに求められるものは、すぐ使えることであり、場所を選ばないことだ。
膝の上での操作が不可能であったり、長時間充電不可能な環境ですぐ使えなくなったりでは、外出先で使うこと前提のPCとしては失格。

 

軽量、薄型で可搬性が高い筐体、省電力なCPU、LEDバックライト装備の薄型省電力液晶モニタ、SSDによる高速起動と、振動耐久性。
そして、それらを長時間に渡って駆動させる、軽量かつ大容量のバッテリー。

 

Ultrabookが追求したのは、タブレット端末の可搬性とノートブックの利便性のいいとこ取りだ。

 

筐体の側面写真。(少し傾いてますが)              

奥側に向けて厚くなっているが、全体的にはペラッペラである。

 


まあ、単に薄くて見た目が良く、使い勝手もそこそこ良いということで、最近はこのコンセプトが少々異なる製品も出て来ており、私自身もその「少し外れたUltrabook」を所有している。
それはそれで、使い勝手が良いからOKなのだが、持ち出し前提の端末として見た場合、少々厳しいのも事実。

 

Ultrabookの使い勝手は、やはり本来のUltrabook構想に合致した製品でこそ判る。

 

 

今回、レビューの機会を頂いた東芝"dynabook V832"は、先月末に発売されたV632と見た目だけは全く同じだ。


CPUやメモリも全く同じなので、PCとしての「性能」だけを考えた場合、これが上位機と位置づけられていることに多くの人が疑問を感じるだろう。

 

だが、V832が破格に凄いところは、CPUやメモリでなく「総合的な使い勝手」にこそある。
モバイル環境において、これ以上快適な端末を手に入れるのは、しばらくの間は困難と言わざるを得ない。

 

空前絶後にして、当代随一であり、とにかく現時点における"最高のUltrabook"であると断言出来る。

 

とにかく完成度が高く、製品としての隙が何処にも見当たらないのだ。

 

極限まで薄くて軽い筐体。
快適な利用を後押しする、完成度の高い入力・出力機器。
高速かつ長時間の連続動作を実現した、省電力パーツと高性能バッテリー。
メタル多用による高い剛性と、高級感のあるデザイン。

 

日本メーカーとしての「こだわり」が、見事な形で昇華している。
東芝が放つ、これからのUltrabookの方向性を、今回少しでも感じてくれれば幸いである。

 

 

 

 

上面から見た、KIRA V832。シンプルだが、上品な面構え。           

一瞬シルバーのように見えて、シャンパンゴールドという凝ったカラーリングだ。

 

 

よくぞまあ、この性能を1.3kg以下に詰め込んだものだ。
小型軽量なのは勿論だが、筐体剛性をこれだけ確保して、この重量は天晴れ。

 

本体重量。V632の公称値より70gほど重いが、殆ど誤差の範囲だろう。

 

 

実際、大容量のバッテリとタッチパネル積んで、この重量って割と凄いことである。

ちなみに、似たような構成を持つ"ASUS ZENBOOK UX31A"よりも、100グラムほど軽量だ。

 

 

また、単に薄くするだけでない、細かい配慮がデザインにも見て取れる。
手前へ行くにつれ薄くなる楔形のデザインは、机上に置いた際は僅かにキーボードもタッチパッドも傾斜した状態になる。


これは、本体を薄く見せるためでもあるが、「実際に手前が薄い」ことには理由があるようだ。
この楔形デザインのおかげで、入力姿勢に対し手の位置が自然と収まる。
試しに背面と同じ高さになるよう手前に定規を敷いてみたのだが、明らかに手前が高く感じられ、手首に奇妙な違和感を覚えた。
単にデザイン上の目的だけでなく、恐らくは人間工学的な意図があっての設計だろう。

 

微妙に傾斜配置となる本体部。この微妙な傾斜が、自然な手の配置を生む。

 

 

キーボードはパームレスト部分と完全に一体化されており、本体部分の分割線はボトムケースとパームレストのみとなっている。
この分割線にしても、ギリギリまで勘合を詰めてあり、このかっちりとした作りが軽量ながらも頑丈な筐体を支えている。

 

接合部分のアップ。溝の幅は0.4ミリ。剃刀程度の隙間しか無いことがわかる。

 

 

なお、本製品は筐体内側をハニカム構造としており、単なるバスタブ構造で終わっていない。
キーボードとパームレストの一体化にしても、分割を最低限にすることで一枚板による「面の剛性」を確保するためであり、小さく薄い筐体に如何に頑強さを与えるか、徹底して考え抜かれているのだ。

 

高い剛性を実現させたパームレスト一体型キーボード。    

一般的なノートPCで見られる、キーボードとの分割線がない。

 

 

モニタ側のカバーも、硬度の高いアルミ板をプレス加工で立体的に打ち抜いており、薄さと丈夫さの両立に成功している。

 

モニタカバー部のアップ。傾斜、球面、曲面を見事に一体プレスで出している。

 


捻りを加えたら流石に曲がるだろうが、モニタ開閉やタッチ操作程度ではビクともしない。
モニタ表面はクリアパネルで完全に覆われており、こちらの耐久性も高そうだ。

 

筐体表面の加工も、徹底している。
アルミ部分には上品なヘアラインが施され、アルミの色合いも少し金色がかった、いわゆるシャンパン・ゴールドの処理が成されている。

 

オーディオ機器と見紛うばかりの見事さで、どの角度からでも安っぽさは微塵も感じられない。

見た目と堅牢さを兼ね備え、なおかつ扱いやすさを付す。
こいつの設計は、国産メーカー品の質の高さを久々に思い出させてくれる。

 

 

 

 

 

V832を当代随一たらしめている要素として、真っ先に液晶モニタが挙げられる。

 

まず、視認性が非常にいい。
V632同様、出荷段階にて人の手による発色補正が実施されているので、色味も素晴らしい。
グレアパネルゆえの映り込みは避けられないものの、真横や真下から覗き込んでも全く色味が変わらない。

 

とりあえず、うだうだ言うより見て貰う方が手っ取り早いので、フルサイズのデータで掲載。

どっちも3MB超えの4k画像なので、保存してからプレビュー推奨。

 

 クリックすると、4kデータ展開します。3MB超えてますので注意。

 

 

斜めから見た状態。全く色が化けない上、視認性も変わらない。

 

 

とにかく、びっくりするほどに精彩でシャープである。

写真ですらその凄さの半分も伝わっていない。是非、実物で体験してほしい。

 

 

また、この美しさと同時に、映像再生時の反応速度も、驚くほどに速い。
試しにサッカーの録画(フルHD)を再生させてみたが、ボールを追っかけてカメラが大きく動いても、残像が全く出ない。

 

 

また、解像度がハンパなく高い。
なんと、モニタ自体は13インチそこそこの大きさなのに、解像度は驚きのWQHD(2560x1440)である。

 

最初確認したとき、外部出力かと勘違いしたほど、高い解像度を誇る。

 

 

ここまで解像度が高いと、普通はフォントが小さくなりすぎて読みにくかったりするものだが、それを全く感じさせないのもまた素晴らしい。
もちろん、この高い解像度のお陰で、どんなアプリだろうが「画面の狭さ」に悩まされることはない。

 

そして、この高い解像度を凝縮したパネルに押し込んだことで、最も如実に違いが出たのは、写真の閲覧だ。
4kクラスの高解像度写真でも、このパネルならば画素数の半分がピクセル数でカバー出来る。
つまり、フルHDのデスクトップ・モニターで見るよりも、ずっと再現度が高くて奇麗なのだ。

 

映像再生においても、非常に見易く、また映像が艶やかだ。
特にプリインストールされている"TOSHIBA Media Player"を用いて再生した場合、超解像補正と高性能モニタによる相乗効果で、高品質映像は更に、解像度の低い映像でも割と奇麗に再生することが可能。


ちなみに、このソフト「写真閲覧」でも超解像補正されるので、再生アプリはこれ一つで済む。
プリインストールのアプリは大概「使えない」と言われたものだが、随分と進歩したものだ。

 

単に高品質のモニタを積むだけでなく、その利用手段をきちんと最初から用意する。
プライベート利用における最高品質を目指す、その理想を理想で終えていない辺り、非常に好感が持てる。

 

 

 

 

 

単なる液晶モニタとしても十分過ぎるほど高性能な本機のモニタだが、更にとんでもないことに「10点同時入力に対応した、タッチパネル」となっている。

 

タッチ操作に対する反応も良好で、指が湿っていなければ指紋も割と付きにくい。
ただし、ある程度指紋が付着するとスワイプ操作などに支障が出るので、定期的な拭き掃除は必須。特に油が指に付くと反応が悪化するので、ハンバーガー食べつつの操作は非推奨。


端からのスワイプ操作を妨げないために、モニタの枠は表示部分よりもさらに外側、2ミリ弱という極細仕様となっている。

 

 

モニタ枠の拡大写真。                           

赤線部分の幅が外枠、青線の幅が非表示だがモニタと面一の部分。

 

 

また、タッチ操作の精度が驚くほど良好だ。
13.3インチで、これだけの高解像度モニタともなれば、Modern-UI上の操作はともかく、デスクトップ画面での操作は困難を伴うものだが、ドラッグ操作や文字のコピー&ペーストに至るまで、ちょっとコツを掴めば出来るようになっている。

 

このタッチパネルの操作精度は、AndroidやiPadといったタブレット端末の遥か上を行く。
タブレットで文字のドラッグ操作を行った経験があれば解ると思うが、それが自分の意図した位置でコピー、カットが一発で出来たことがあっただろうか?
本機では、数分間操作しているうちに、それを大概の人が出来るようになる。
ここまでの精度や反応の調整には、相当な苦労があったと思う。見事という他ない。

 

これの操作感覚については、言葉で説明してもニュアンスが伝わりにくい。
デジカメ撮影で恐縮だが、こちらが実際に操作中の映像となる。

 

 

 

 

 

V632の特設サイトでも製品のウリのひとつとして挙げられている、harman/kardon製のステレオ・スピーカー。

 

パームレスト右端に、さりげなくロゴ入り。

 

 

harman/kardonといえば、BMWやベンツといった欧州製高級車に採用されているカーステレオなどで有名なオーディオ機器ブランドだが、東芝のコンシュマー向けノートでは定番として採用されている。

 

まあ、実際のところ小型ノートブックで搭載出来るスピーカーとなると、搭載スペースの関係から音質に期待するほうが酷というのが一般的な認識だろうが、本製品のそれは想像していたよりも「メーカーの努力の成果」は存分に堪能出来る。

 

事実、この大きさのPCに積めるスピーカーで、よくぞここまでの音量と音質を達成しただけでなく、音割れやノイズを抑えてきたものだと素直に感心した。

 

 

スピーカー開口部。コーン直径が1センチあるかどうかだと推測される。

 

 

音量については、一般的なモバイルノートと比較して倍近い。
また、筐体の高い剛性のお蔭で小型PCで大音量を出したときにありがちな、筐体のビビりが一切ない。(音を鳴らしたまま入力作業を行うと、流石に手に震動が来るが)


小型スピーカーによる音の薄さはあるものの、全音域が思った以上に伸びる(アルトサックスの音がちゃんとアルトサックスに聞こえる)し、低音は"ダンダン"でなく、かなり"ドンドン"である。
"ズンズン"まで行かないけども、ドライバーが1センチあるかどうかの小型スピーカーで、これだけの音を作った点を褒めるべきだろう。

 

なお、音作りに筐体と机の音響反射を利用している関係上、音量40以上の場合は手を置く位置によって音質が多少変化する。


本体左右のスピーカー付近に物があったり、手を置いたりすると高音が籠るため、こいつの音の本領を体感したい場合は、大音量にしてタッチパネルからの操作を推奨。
少々制限はあるが、小型PCとは思えないレベルの、迫力が味わえる。

 

また、ステレオピンジャック周りのノイズ対策もしっかりしており、ヘッドホン視聴においてもノイジーな所はない。
ピンジャック・コネクタ自体の質と見た目が良ければ、文句無し完璧だったろう。

 

 

 

 

 

PCとしての利便性を問う上で、避けて通れないのが入力機器の出来である。
特に、こだわるタイプのユーザーが気にするのがキーボード。
ここが不出来だと、他がいくら良く出来ていても製品評価が辛くなるものだが、本製品において妥協の二文字は存在しない。

 

 小型PCながら、A4サイズマシン並みのキーピッチが確保されている。

 

 

無論、小型・薄型ゆえの限界はあるものの、十分にタッチタイプ可能なキーピッチが確保され、かつ不快に感じさせない工夫が随所に見られる。
工夫の一つが、キー自体が緩やかにだが凹型になっていること。
この僅かな凹みのお蔭で、キーから指が滑りにくく、端押しによるミスタイプを軽減している。

 

 

僅かにだが湾曲した形状のキートップ。この曲面が端押しの入力不良を防ぐ。

 

 

また、出来る限りオーソドックスな配置とし、キーの大きさにも統一感が与えられている。
パームレストと一体化したことによってキーボード自体の剛性も上がっており、入力時にキーボードがたわんだり、キーがぐらぐらすることもない。
流石に押し下げのストロークは不足気味だが、入力時のクリック感は十分確保されている。

 

手元が暗い場所でも視界を確保するキーボード・バックライトの搭載も嬉しい。

ON/OFFもショートカット一発切替えなので、使うときだけ点灯という使い方も可能。

 

このように、モバイルのキーボードとしては相当に良質で、一点を除いて十分に合格点だ。

 

その除いた一点、個人的に唯一気になったところは、" - "キーの幅が小さい事だ。
" ^ "や " \ "の使用頻度と比べると、" - "の使用頻度は日本語入力で圧倒的に多い。
数字キーのみ統一幅として、それ以外のキー幅を狭めたということだろうが、" - "の入力だけが慣れるまでミスタイプを連発した。

 

問題のキー周辺アップ。ハイフンまでは同じにしておいて欲しかった。

 

一時間もしないうちに慣れたものの、翌日叩いてみたら同様のミスタイプが起きたため、要は体が不自然に感じている可能性がある。

 

小型PCのキーボードは、どうしてもスペースの制約が存在する以上「慣れるしかない」部分が出てくるのは仕方ないことなのだが、せっかく筐体との一体化によって、キーボード部品分割の制約から解放されているのだから、今少しキーボードの横幅を確保して、キー幅の統一感を持たせられなかったかと思う。

 

無論、これは手の大きさなど人によって意見が異なるため、あくまでも個人的な感想だ。
入力のプロ(元事務職)である母上に言わせれば、十分に打ちやすい部類とのことだし、このレビューからして全文このキーボードで打っているが、十分な入力速度を確保出来ている。

 

多くの人にとり、十分に「打っていて楽しい」キーボードとして完成しているだろう。

 

 

 

多くの人にとって、使いづらいと評されるタッチパッド。
ゲームなどマウスに最適化されたものを除いて、私は割と苦にならないというか、ブラウジングなどの基本操作ではむしろ快適と感じる部類の人だ。
実際、Macユーザーの中には「MagicPadがあればマウスなんて要らん」という意見も多い訳で、要は慣れの問題だと思う。

 

特に、最近のWindows用タッチパッドは、MagicPadの操作系をパク…じゃない、取り入れたマルチタッチ対応となっており、そのマルチタッチ操作を覚えると、通常の操作ではタッチパッドでも全く困ることは無い。

 

タッチパッド全景。梨地で手によく馴染み、滑りも良好。

13型の端末としては破格に広く、下手なA4サイズノートのそれを凌駕する。

 

  

本製品に搭載されたタッチパッドは、マルチタッチ対応の最新型だ。
二本指でスクロール、三本指で進む・戻る、端からのスワイプ操作、二本指で摘まんだり広げたりで拡大縮小など、タブレットなどではお馴染みの操作系はもちろん、多くの人が待ち望んでいたであろう「二本指によるタップで右クリック」が実装されている。(三本指ジェスチャーについては、標準ではOFFになっているので、設定が必要)

 

三本指ジェスチャーは標準だと外されている。使う場合はチェックが必要。

 

 

これにより、ドラッグ操作以外でのボタン操作は一切不要。
そういうわけで、本製品のタッチパッドは分割ボタンが無くなっている。

 

いわゆる、タッチパッドの手前側を軽く押すと、左右クリックになるタイプだ。
この機構、調整がヘボだとドラッグ操作中にカーソルが動いたりして、使いづらいことこの上ないのだが、V832に搭載されたタッチパッドには、そういったイライラを募らせるところがない。

 

広さも十分に確保されており、親指(キーを叩きながら使う場合)でも人差し指でも操作感覚が変わらず、タップに対する反応なども素直で扱いやすい。

 

総合的に見て、極上の使い心地と言って良いだろう。

 

 

ただし、私が受け取った試作機では、現時点においてマルチタッチ・スクロールが一部のアプリで正しく動作しない問題があることを確認している。

 

GoogleChromeやSkypeなどにおいて、二本指でスクロールをしようとした際、反応する場合としない場合があり、その現象の法則性が掴めない(手持ちのWin8PC"Timeline-M5"では、旧ドライバで例外無く正しくスクロール出来る)こと、Synapticsの純正ドライバをインストール出来ないことから、メーカー独自のカスタムが施されたドライバ周りの不具合と想像される。

 

タッチパネルでは正しくスクロールされるので、そこまで致命的な問題とは言えないのだが、ブラウジングはともかく入力作業中で起きると結構困るので、製品版では治っていることを期待。

 

 

 

 

付属するACアダプタも、これまた本体同様極めて小さく軽い。

 

大きさ比較。2.5インチHDDよりもフットプリントが二回り小さい。

 

ケーブル込みでも210グラムと、かなり計量。

 

 

省電力なPC故に、ACアダプタも40wと出力が小さいことのもあるが、相当に小さく軽い。

付属する眼鏡ケーブルが長いのは個人的に×であるが、このへんは汎用品が使えるので特に問題にはならないだろう。短いのが必要な人は、ワンコイン余計に出せば済むことだ。

 

 

それに・・・・・ぶっちゃけ、持ち歩かないからどうでもいい(笑)

 

嘘みたいな話だが、本製品は原則ACアダプタを一緒に持ち歩く必要が殆どない。

なにしろ、フル充電状態ならキーボード・バックライトを入れっぱなしにでもしない限り、普通に使う分には滅多にバッテリーが切れないのだ。

 

姉妹機であるV632の公称駆動時間は13時間。実働でも10時間強だという。

では、このV832の駆動時間はどの程度なのだろうか?

 

今回、バッテリー駆動時間のテストでは割とメジャーなBBenchを用いて、計測してみた。

 

BBENCHのスクリーンショット。赤い線がバッテリー駆動中のもの。

 

 

バッテリー駆動は、液晶の輝度が最も影響するため、モニタ輝度は20%設定。

その他の設定はWindows8のバランス設定に拠っている。


計測結果はテキストログのみなので、結果だけ記載するが、 キーストロークと無線LANによるWEB巡回をONにし、フル充電から26380秒でバッテリー切れとなった。

 

実働時間、七時間半超。

本機の運用において、ACアダプタはあくまで「家に帰ってから充電するため」のものであり、PCと一緒に持ち歩く物では無いということだ。

 

勿論、一緒に持ち歩くにしても十分に小さい部類なので、携帯に不便な点はない。

 

 

 

本機をレビューするにあたり、メーカーの売りとする部分が「スペックでは無い」という判断から、敢えて最後に回したが、V832は基本性能からして優秀なUltrabookである。

 

CPUに採用されたCore i5-3337Uは、Ivy世代のCPU搭載Ultrabookのデファクト・スタンダード的な存在のCPUではあるが、必要十分な性能を備え、不満を持つ人は少ないだろう。

HD4000のグラフィック処理能力は最新の3Dゲームでも手を付けない限り、性能不足を感じるシーンは少ない。

 

Experience Index の数値を見れば判るが、十分以上に基本性能も高い。 

 

メモリも64Bit機としては必要十分の8GBで、Dualチャネルで動作する。

増設スロットは無いが、これ以上のメモリを要求する使い方をするなら、素直にUltrabook以外のPCを使うべきだろう。

 

 

搭載SSDは256GBで、自社のSSD”THNSNF256GMCS”を採用している。

SATA6Gに対応した新型のmSATA-SSDで、レスポンスはかなり良好。

 

ノートPCのレビューなのに、ほぼ唯一のBenchmark結果(笑)

 

 

 

CDM3によるBenchmarkの結果を見ると判るが、現行最強のmSATA-SSDであるLiteon(プレクスター)M5Mにも正面切って対抗可能なスペックである。

 

しかも、東芝のプレスリリースに拠れば、消費電力は驚異の0.1w以下とのこと。

省電力にして、かなりの高性能SSDであり、本機の良好なレスポンスはこのSSDの優秀さに支えられている部分が大きい。

 

 

インターフェースは標準的な仕様であるが、嬉しいことにUSBポートは三基ある。

左側の手前側のみUSB2.0だが、他は3.0でデータの高速転送が可能。

 

USBポートが左右側面に配置されているのは、使い勝手を追求した本機らしい気配りだ。

 

左側面。左側から、ACコネクタ、HDMI出力、USB3.0、USB2.0

 

 

 右側面のアップ。SDカード、ヘッドホン端子、USB3.0

 

 

ただ、本機におけるほぼ唯一の不満があるのも、この側面部分である。

その不満とは、SDカードスロットの構造と性能だ。

上の写真を見れば判るが、SDカードは差し込んだ状態でこのように突き出す。

この構造だと、SDカードを挿しっぱなしにする事が出来ないので、持ち歩きの際に不便だ。

SDカードを、臨時の追加ストレージのように使うことも出来ない。

 

また、最大の不満はその性能。

 

SDカードスロットでのCDM3結果。性能の半分しか速度が出ない。

 

 

Timeline-M5などでは手が抜かれていなかった部分なのと、他の部分のこだわり具合が徹底していただけに、この結果を見たときはもの凄く残念だった。

基本性能に関わらない部分ゆえ、大きな欠点ではないものの、製品の「徹底したこだわり」という方向性を考えると 少々手落ちではないか、という思いが拭えない。

 

中身を見ていないので何とも言えないが、この辺りの修正はマザーボードだけでなく筐体や部品配置のレベルから行わねばならないため、後継機に期待することになるだろう。

 

 

本体背面部の吸排気口。剛性と換気効率のギリギリを狙っている。

 

 

最後に突っ込むのは、他で書き損ねた冷却周りと騒音についてだ。

こちらの写真は本体背面の吸排気口であるが、このように割と簡素で大人しめである。

これでちゃんと冷えるのかと一瞬不安になるが、普段の動作ではほぼ50度前後で収まっているため、CPU自体の省電力性が優秀であることが窺える。

 

ただし、ターボブースト時は時折”フィーン”という音が目立つレベルまで大きくなることがある。

数秒で収まるため、ちょっと早めに回せばすぐに冷やせるレベルの冷却性能はあるようだ。

 

 

 

 

使ってみて、非常に『快適なUltrabook』だ。

モンスタースペックを目指すわけでもなく、デザインに特化するわけでもなく、ただ一途に「使う人に、快適な環境」の提供にこだわった製品コンセプトは、見事というほかない。

 

視認性が良くて疲れにくく、作業領域が広くて使いやすいモニタ。

使っていてイラっとするところがないタッチパネル。

入力しやすいキーボードやタッチパッド。

 

等々、徹底して「使う人の道具」として位置付け、「道具としての使いやすさ」を追求した作りの中には、開発者たちの「良いものを作りたい」という、こだわりとか矜持が色々な角度から見え隠れしている。

 

タッチパネルを使ったときは、「このパネルの操作感覚に持って行くまで、相当の試行錯誤と調整を繰り返したんだろうな」とか、

キーボードを叩いてみて、「これ何度か作っちゃ試して納得するまで詰めたんだな」とか、

 

明らかに『ちゃんと色々考えたあと』がはっきりと判るのだ。

 

 

やろうと思えば、もっと極端な軽量化も出来たであろう部分、薄く出来たであろう部分も見受けられるのに、敢えて筐体強度を上げるために目を瞑った理由も、何となくだが判る。

恐らくは、スピーカー出力の音質低下と、音量UPによる筐体振動を嫌っての事だろう。

 

とにかく、こだわり方とそのこだわりの方向が、「快適に使えること」に特化しており、その目的のために敢えて妥協した部分もある。

私が唯一苦言を呈したSDカードスロットなどは、その結果としての妥協なのだろう。

中を見てみないと何とも言えないが、恐らくは基板と筐体の構造上、どうしてもああ為ざるを得なかった可能性が高い。

 

 

DynaBookとは一線を画す意味で付けられた、単独ブランド名"KIRA"のロゴ。 

東芝が本製品に対し、今までとは違う方向性を目指した意図が、ここにも窺える。

 

 

全体的に見て、非常に完成度の高い製品だ。

開発者たちの意図した方向性は、見事に使いやすさという形で結実している。

少なくとも、最初の辺りで断言した通り、本製品以上に優れたモバイル環境を手に入れられるPCは、私の中において現時点で存在しない。

 

スペックや見た目のインパクト以上に、本製品には「使ってみて初めて判る違い」がある。

もし、店頭でデモ機が置いてあったなら、一度実際に触ってみて欲しい。

 

私の言う「考え抜かれた使い易さ」という、他との違いを感じることが、きっと出来る筈だ。

 

コメント (14)

  • manya嫁さん

    2013/04/18

    レビューお疲れさまでした。本当にキレイなUltrabookですよね。
    だからこそのSDカードが出っ張るのが残念ですね。
    試作機ということなので、その辺も改善されているとよいですね。
  • ちょもさん

    2013/04/18

    シークレットレビューお疲れ様でした!
    それにしても、解像度がハンパ無い・・・
    Windowsも、そろそろ高dpiが当たり前になっていくんでしょうか。
    フォントサイズ:小にしたら相当小さそうだけども、慣れれば使えそうな気もします。
    Ultrabook、どんどん進化していきますね。
  • はるななさん

    2013/04/18

    1kg級のアルミのヘアライン加工されたスタイリッシュなUltrabook
    いいですね!
    WQHDの高解像度ディスプレイを持ち運べるのは感動ですね
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