オーバークロックコンテストのサポートパーツ”MSI Z68A-GD80(G3)&MSI N560GTX-Ti Twin Frozr II/OC”と手持ちのIntel Core i7-2600Kを組み合わせてGPUのオーバークロックに挑戦してみました!
”あなたのオーバークロックを強力サポート!〜MSI〜”マザーボードのレビューはこちらです。
MSI N560GTX-TI Twin Frozr II OCはGeForce GTX 560 Ti(GF114)を採用したアッパーミドルクラスのGPUです。MSIのGeForce GTX 560 Ti搭載製品のなかでは下位モデルに位置しますが、リファレンスより強化されたOCモデルです。
クーラーはMSIオリジナルの”Twin Frozr II”を搭載。GeForce GTX 560 Ti搭載製品のリファレンスモデルが採用するクーラーより太いヒートパイプと大型ヒートシンクに8cmのPWMファンを2個搭載してGPUコア以外にメモリやMOS-FETも強力に冷却します。
”Twin Frozr II”は外排気タイプではなく”内排気タイプ”のためPCケースのエアフローには注意が必要になります。
定格動作(コア:822MHz/シェダー:1622MHz/メモリ:4008MHz)と比較してコアクロックは約7%、メモリクロックは約5%ほどOCされています。
オーバークロックモデルのためNVIDEA公式TDP170Wに対して180Wと10Wほど消費電力が増えています。カード本体の重量は725gでした。
付属品は「クイックユーザーズガイド(マルチランゲージ)、インストールガイド(英語)、保証書、DVI>アナログRGB変換コネクタ、miniHDMI<=>HDMI変換コネクタ、ペリフェラル4pin>PCI-E補助電源6ピン変換ケーブル(2本)」
レビュー用PCを作成するにあたり使用したパーツを紹介します。
<現在の髑髏PCの構成>
●CPU - Intel Core i7-2600K
●クーラー - Thermalright TRue Black 120 PLUS
●クーラー用ファン - サイズ SY1225SL12SH x2
●マザーボード - Intel BOXDP67BGB3(P67)
●メモリ - CORSAIR CMT4GX3M2A1600C6
●HDD - Intel SSD X25-M 160GB
●光学ドライブ - Pioneer DVR-S16J-BK
●電源 - SCHWARZBERG RPSB-700 (700W)
●ケース - Silver Stone SST-RV02B-W
●OS - Windows 7 Home Premium 64bit
比較対象のロクナナトリオレビューで作成した髑髏PCです。PCケースなど一部のパーツを変更してゲーム専用PCとして稼働中です。
GPUはPalit製のGeForce GTX 570カード(NE5X5700F09DA)を使用しているのですが、現在Xeon DPシステムでSLIテスト中のためショットガンレビューPCに搭載されていたGeForce GTX 460カード”ZOTAC GTX460 1GB 256Bit DDR5(ZT-40402-10P)”を取り付けています。
電源はENERMAX MODU87+ EMG800EWTを使用していたのですが新しいPCへ移植したのでSCHWARZBERG RPSB-700を取りつけました。(上の写真は配線の途中の状態です。)
<新しいZ68A-GD80(G3)の構成>
●CPU - Intel Core i7-2600K
●クーラー - Thermalright Archon
●クーラー用ファン - Archon付属140mmPWMファン
●マザーボード - MSI Z68A-GD80 (G3)
●メモリ - GeIL GE34GB2133C9DC
●HDD - Intel SSD X25-M 80GB
●光学ドライブ - Pioneer DVR-S16J-SV
●電源 - ENERMAX MODU87+ EMG800EWT (800W)
●ケース - Corsair Obsidian 700D (CC700D)
●OS - Windows7 Professional 64bit
今回のレビュー用に新しく構築したPCです。
空冷限界テストを想定してPCケースは大型CPUクーラーに対応可能なCorsair Obsidian 700D (CC700D)を選択。CPUクーラーは140mmPWMファンを搭載したThermalright Archon。メモリはDDR3-2133対応のOCメモリを組み合わせてみました。
GPUのレビューではCPUなどのOCは行っていません。全て定格動作です。
MSIのTwin Frozr II 搭載製品はオーバークロックにも定評のあるのでMSI N560GTX-Ti Twin Frozr II/OCのオーバークロック耐性を検証してみました。
●MSI独自のオーバークロックユーティリティ 「アフターバーナー」
MSI独自のユーティリティツール 「アフターバーナー」はコアクロックやメモリクロック以外にコア電圧やファンスピードも変更可能な本格的なツールです。今回のGPUオーバークロック耐性テストに利用しました。
アフターバーナーのメモリクロック表記は2倍(DDR動作時)の物となっているので、これ以降のGPUメモリクロックの表記はアフターバーナーに合わせています。実際のデータ転送レートは表記している数値の更に二倍のクロックとなります。(例:表記が2100MHzの場合、データ転送レートは4200MHz)
<注意>
GPUコア電圧を昇圧すると故障の原因となります。試す場合は自己責任でお願いします。
<GPUのクロックと電圧>
・コア:890MHz/メモリ2100MHz (Vコア:1.037V) : FF14ベンチ1周 pass (定格動作)
まずは定格動作でテストです。
ベンチマーク中のファン回転数は2610rpm、GPUコア温度は55度。
GeForce GTX 460は定格動作でもコア温度が70度近くまで上昇するのでTwin Frozr IIの冷却性能の高さが窺えます。
<GPUのクロックと電圧>
・コア:950MHz/メモリ2200MHz (Vコア:1.037V) : FF14ベンチ1周 pass (Hawk)
・コア:1000MHz/メモリ2200MHz (Vコア:1.037V) : FF14ベンチ1周 エラー
定格電圧の1.035VでもMSIのラインナップ最上位の”N560GTX-Ti Hawk”と同じクロックまでOCすることができました。
ベンチマーク中のファン回転数は2550rpm、GPUコア温度は55度。
定格動作のときと変わらないので問題なしです。
そのまま夢のコアクロック1GHz(1000MHz)越えをねらってみたのですがベンチマーク中にエラーが発生して完走することができません。残念!
<GPUのクロックと電圧>
・コア:1000MHz/メモリ2200MHz (Vコア:1.087V) : FF14ベンチ1周 pass
コアクロック1GHz(1000MHz)での安定動作を目指してGPUコア電圧を昇圧してみました。
アフターバーナーの設定画面を開いてGPUコア電圧変更とGPUコア電圧モニタリングにチェックを入れてオンにしてGPUコア電圧を0.05Vほど昇圧してみたところ1GHz(1000MHz)で安定させることができました。噂どうりのOC耐性です。
ベンチマーク中のファン回転数は2790rpm、GPUコア温度は56度。
Twin Frozr IIの冷却性能は優秀です。温度的にも特に問題はないと思います。
GPUコア電圧の昇圧については故障率も上がるため安易にお勧めすることはできませんが、定格電圧でも950MHzまで安定して動作可能ですので十分なOC耐性と言えると思います。
MSI N560GTX-Ti Twin Frozr II/OCのファイナルファンタジーXIVベンチマークテストのスコアをオーバークロック時のクロック別にグラフにまとめてみました。比較対象にGeForce GTX 460のZOTAC GTX460 1GB 256Bit DDR5(ZT-40402-10P)を加えています。
シェーダー数とクロックが向上しているのでGeForce GTX 460より大幅にスコアを伸ばしています。
オーバークロックに関しては負荷率の高いHiモード、負荷率の低いLowモード共にスコアが順当に伸びているのでオーバークロックする価値はあると思います。
CPUのCore i7-2600Kは定格動作のためGPUのオーバークロック時のスコアの伸びは少なめですが、確実に性能を伸ばしているのでCPUを4.8GHzあたりまでオーバークロックするとGPU本来の性能を引き出せると思います。
MSI N560GTX-Ti Twin Frozr II/OCのベンチマークテスト時の消費電力をまとめてみました。
比較対象にGeForce GTX 460のZOTAC GTX460 1GB 256Bit DDR5(ZT-40402-10P)を加えています。消費電力計測にはサンワサプライ ワットチェッカープラスを使用しました。
アイドル時の消費電力は61W前後で各GPU共に誤差範囲内です。PCケースの天板に設置している3個のPWMファンを停止させると54Wまで抑えることができます。外部GPU使用時でこのワット数なら十分省電力と言えると思います。
負荷時の消費電力については、GeForceGTX460のTDP160Wに対してオーバークロックモデルのMSI N560GTX-Ti Twin Frozr II/OCはMSI公式でTDP180W(リテールはTDP 170W)ということですが44Wほど開きがあります。この点については電源を選ぶ時に注意が必要かもしれません。
OCすると更に消費電力は上昇し、GPUコア電圧を昇圧している1000MHz動作時は300Wに到達しました。OCした分ベンチマークスコアも上昇しているので悪くはないと思いますが、性能と消費電力はトレードオフといったところでしょうか。
GeForce GTX 560 TiはGeForce GTX 460の後継モデルとしてリリースされたGPUでコストパフォーマンスとワットパフォーマンスに優れた製品です。スペックや価格的にもGeForce GTX 460からの買い替えに最適な製品と言えます。
その中でもMSI N560GTX-Ti Twin Frozr II/OCはオリジナルの高性能クーラー”Twin Frozr II”を搭載したオーバークロックモデルということで性能も一ランク上となっているのでコストパフォーマンスは更に高くなっています。
性能に関してはミドルレンジ製品の中でも高速でGeForce GTX 570に迫る性能を有しています。消費電力に関してはGeForce GTX 460より多くなっていますが性能の伸び率を考慮するとワットパフォーマンスは良好。使用するCPUにもよりますがIntle系なら電源に関しては最新の高効率タイプなら550~600Wクラスで十分です。
Twin Frozr II は内排気タイプのためPCケースのエアフローには注意が必要となりますが、GPUコアクロックのオーバークロック時の冷却も余裕でこなす冷却性能と静穏性を両立しているのは素晴らしいです。
オーバークロック耐性に関しては自己責任ですが禁断のGPUコア電圧の昇圧を行うことで1GHz(1000MHz)の大台に簡単に乗せることも可能です!
MSI N560GTX-Ti Twin Frozr II/OCはハイエンドGPUに属する製品ですが冷却性能と静穏性が高いので扱いやすく、オーバークロックも楽しめるGPUに仕上がっていると思います。
mickeyさん
2012/01/04
OC時の消費電力やベンチマークが分かりやすく
勉強になりました。
1000MHzだと消費電力が一気にあがりますね。
う~ん、欲しくなります(笑)
Sheltieさん
2012/01/04
コメントありがとうございます。
1000MHz化する場合、GPUコア電圧も上げないと安定しないので消費電力上昇率は定格電圧で動作可能な950MHz時より高めになっています。コアクロックが1000MHzのときはシェーダークロックは2000MHzになるのでCPUのクロック並みですから凄いですよね。
ルーファスさん
2012/01/10
確かにOCならMSIかASUSだけど、Antec Solo 初代みたいに24センチ長のグラフィックカードまでしか刺せない環境だとMSI ASUSは選択範囲外だった。
(もしくは新型PCケースも買って下さいと言う状況になるしね。 (それは今年4月に発売されるIvy Brige版 cori i7 i5 が搭乗してからセットでBTOか自作しますと言う事に!!))
ルーファスさん
2012/01/10
Sheltieさん
2012/01/10
はじめまして。コメントありがとうございます。
ハイエンドグラフィックボードは全長が長くなる傾向にあるので、コンパクトなPCケースの場合にはGeForce GTX 560 1GBのSHORT基盤タイプは魅力ですよね。