Westone社の「Universal B30」をレビューする機会を頂きました。
2019年4月26日発売の製品という事で、ワクワクしますね。
Bluetoothケーブルへの換装で無線化出来るというギミックは、リケーブルの新しい使い方のように感じて、ドキドキします。
また、市場価格が4万円台というイヤホンを初めて使用するという事で、私が、これまで使用してきた中で定番としてお気に入りの位置にある、ヘッドホン「K712PRO」、イヤホン「MDR-EX650」から視聴環境がどの位変わるのか、気になる所です。
黒を基調としたパッケージ、フェースプレートのオレンジと同じようにアクセントが入っていて、眼を惹きます。
正面には、大きく製品の写真、左右はWrstone社の歴史と製品のカタログ数値。
背面は、特徴的な機能の紹介と帯域特性のグラフ。
と、主張すべきものは記載されていながらも、オシャレなデザインです。
パッケージ下部のオレンジの部分は内箱の台座部分になっています。
Westone社ロゴと、現実から抜け出そう!的な英文、イコライザをイメージした装飾が扉になっていて、開くとイヤホン本体と、デラックスジップケース(所謂キャリングポーチ)が収納されているのが見えます。
この辺りで、期待がMAXになりまして、テンションゲージは振り切れそうでしたw
デラックスジップケースは、DP-CMX1と同じ位の大きさ。
厚みは、DP-CMX1の四倍弱。
近づかないと気付かないWestoneのプレートは、「高いの使っているZE!」という上品ではない主張が無くて好きです。
中に入ってるのは、Bluetoothケーブル、イヤーチップ、付け替え用フェイスプレートと付け替え用の工具。
この内、持ち歩く可能性があるのは、Bluetoothケーブル、位かな?
予備のイヤーチップは、開閉時に無くし易いですし、そもそも、外出時に交換する余裕は無さそうですからね。
ケースの中に入れて持ち歩くのは、イヤホン本体と、Bluetoothケーブルだけ、と言いたい所ですが、ケーブルの付け替えをしようとした時に、Bluetoothケーブルが抜け難くて壊しそうな勢いになってしまったので、外出先でケーブル交換するのは、私はしなさそう。
外出時に、どちらの形態、どのイヤーチップで持って行くのか決めて、本体だけで行くのが吉かな。
(使い始めたばかりで、且つ、不慣れな為なだけで、両形態の換装は、難しく無いかもしれませんけれども)
マニュアルは、英語表記ですが、特にBluetoothケーブルは操作が必要になるのですけれどもイラストで操作方法の大部分は理解出来ますので、特に問題は無いかな。
そして、主役であるイヤホン本体。
フェースプレートはパッケージとは違って落ち着いたブラック。
ケーブルの根元からガイドが付いているので、分かる人には分かると思いますけれども、装着方法は、耳の上側を通り、後ろに抜けていくという所謂SHURE掛けスタイルですね。
テンションは、限界突破状態で、写真撮りながら早く聞きたい、と焦っていましたw
携行する為のポーチに、この「Universal B30」の装備が全部入ってしまう、というのは凄くボリューム感があり好きですね。
視聴環境を作る上での準備
「Universal B30」を徹底的に聴き込む上で、一番最初にする事は、イヤーチップを自分に合ったものに変更する事です。
内耳の形や大きさは、人それぞれですので、標準装備のイヤーチップが合わない事は良くある出来事です。
装着時の違和感だけではなく、外れやすかったり、フィットしない事による音質の変化などもありますので、聴き始める前に調整するのは必須ですね。
メーカーや製品によって、S、M、Lのサイズの中でもフィットするものが違ったりするので、こういう高級なものとかウキウキして、何も考えずに装着すると(´・ω・`)ってなったりします。
製品の魅力を半減させる事があるので、逸る気持ちを抑えて、しっかりと調整ですw
という事で、製品に付属しているイヤーチップのご紹介。
イヤホンに標準で装着されているもの(紫色の四角)を含めると、10種類のイヤーチップ。
紫色で囲まれているものを含めた横の列が、STAR™ Siliconeチップ。
黄色で囲まれているものと、画像手前の列が、True-Fit™ Foamチップ。
「STAR™ Siliconeチップ」は、その名前の通りにシリコン製で、耳の穴にフィットする部分とイヤホン本体に装着される部分との間に空間がある、オーソドックスなタイプのチップです。
単純な円筒や円錐のような形をしている訳では無く、内側に折り目ガイドのようなラインが入っています。
これによって不規則に潰れるのではなく、一定の規則性を持った形に変形するようになっていますね。
人それぞれ耳の形は違いますので、こういったフィット感を高める工夫は嬉しいですね。
「True-Fit™ Foamチップ」は、低反発素材を使用した密閉型のイヤーチップですね。
低反発素材なので、大き目に感じてもグッと潰してから装着する事で、密着と言っても良い程にフィットします。
とはいえ、大き過ぎれば、取り外しの際に大変なので、適切なサイズをしっかりと見極めないといけないですね。
「Universal B30」では、素材ごとに、ショート(2サイズ)とトール(3サイズ)が用意されています。
二種類の素材のイヤーチップが有るという事で、自分に最適なサイズを見つける為に試行錯誤する楽しみがあります。
付属のBluetoothケーブルには、少し気になる部分があったり…
フィット感を出す為にSHURE掛け用のガイドがついた付属の有線High-Definitionシルバーケーブルや、合計10個ものイヤーチップなど、装着感に拘っていると感じられるものが多い中で、二つ程、気になる部分がありました。
重箱の隅をつつくような、細かい指摘なのかもしれませんけれども、ね。
上記の画像は、Bluetoothケーブルのイヤホンへの接続端子部分の拡大です。
真ん中に写っているのは、ケーブルの製品型番や規格適合を示すマークの記載されたタグです。
根元近くに有るので、気になってしまいます。
Bluetoothケーブルを使用しても、イヤホン部分の装着方法は変わりませんので、タグの付いている部分は耳の上側に乗る形です。
私のように、耳の上に髪が掛からない髪型では、装着してしまいさえすれば、気にならないのですけれども、そうではない髪型では、カサカサと引っかかったノイズが出るのではないかな、と要らぬ懸念を抱いてしまいます。
「Universal B30」などが記載されているWestone社のカタログ上でも、このケーブル装着状態のイヤホンの画像を見ると、この位置にタグは付いていますので、製品そのものの仕様であると考えますが、少し残念に思います。
特に、イヤホン本体からバッテリーやリモコン部分までのケーブルとバッテリー、リモコン部分同士を繋ぐ部分でケーブルの太さや形状を変更し、装着感の向上と、断線などのリスク回避、耐久性を持たせる為の工夫をしていると感じられているので、尚更、タグの設置位置が気になりました。
ケーブルの先端部分には、LRの文字が刻印されていたので、左右の取り違え防止という訳でもないようですし。
これは、リモコンやバッテリー部分に印刷やシール貼付では不都合があるのかもしれないので、個人的な感想でしかない訳なのですけれども。
個別の製品としても、販売されているものですし、その辺りがちょっと勿体無いかな、と。
この部分が気になる部分、一つ目。
このケーブルの後継機種では、ケーブルに取り付けられているタグ自体が無くなっているようですので、やはり、購入された方々からの何らかのリアクションは有ったかもしれません。
もう一つは、取り外しの難易度。
初期梱包状態では、High-Definitionシルバーケーブルが接続されているので、換装する事でBluetooth対応になるという仕組みです。
High-Definitionシルバーケーブルを外す時には、根元部分を掴むことで滑らずに力を込める事が出来る為か、かなり簡単に外れるのです。
しかし、Bluetoothケーブルは、滑りやすく。また、端子の噛み合わせが固いのか、High-Definitionシルバーケーブルを外すような力では取れません。
一度は、外す事を諦め。
或いは、壊れてしまうかもしれない。という懸念に力が鈍りつつ外す事が出来ました。
これらは、イヤホンの性能とは無関係なものであるのですが、折角の良い視聴体験に水を差しているように思えました。
自分専用の音楽ルームを何処でも作れてしまう能力、かも。
「Universal B30」を視聴している中で、これまでの私の視聴環境に対して、最も変化を感じたのは、遮音性能です。
上記の項目に記載している様に、イヤーチップが二種類10個もあり、装着感と遮音性能についての拘りは、開封時に感じました。
しかしながら、実際に装着、視聴した実感は、予想を上回るレベルです。
まず、装着感。
イヤホン本体が、耳の形にフィットするように入り込む形状です。
イヤーチップをしっかりと吟味して、好みのものに変えれば、かなり外れにくい状態になります。
その上で、SHURE掛けをする事でイヤホン自体を下に引っ張る力が軽減されていますので、耳と一体化しているというと、過言ですが、そう言いたくなる程のフィット感です。
遮音性能について、
比較対象として選んだ「K712PRO」は、オープンエアー型ですので、音漏れもありますし、遮音性能も殆どありません。
余程の静寂下でなければ、少なからず環境音が入るので、音楽だけに没入したいと思う時には、厳しいものがあります。
先日の私の住む地域にも襲ってきた豪雷雨の時には、爆音にでもしない限りは叩きつける雨の音の方が大きい状況でした。
こうなると、そういう状況下では、「K712PRO」で音楽を楽しむのは苦しいですね。
しかし、「Universal B30」では、そんな中でもガラリと環境が変わります。
特に、True-Fit™ Foamチップでは顕著です。
流石に、豪雷雨が無かった事になる訳ではありませんが、明らかに音楽の方が主で、激しい雨音、雷鳴が遠く感じました。
また、それほどの雷雨だとか、豪雨だとか、特殊な環境では無い状況では、イヤホンからの音以外はかなり小さいか、状況によっては、聞こえないレベルになりますね。
大袈裟に言うと、音楽再生しない状態では耳栓になるのではないか、と思う程。
屋内で、音楽に没入するには最適であると言えます。
ただ、それは、諸刃の剣で、外出して移動中に使用するには遮音性能が高過ぎ、周囲の様子が分かり難くなると、私は感じました。
確かに、「Escape Reality」の一文は伊達ではありません。
TPOを守れば、一気に一人だけの世界に入れてしまいます。
apt-x対応の低音重視モデルの実力とは!?
以前のレビューにて、Bluetooth接続も可能なゲーミングスピーカーである「Sonicblastシリーズ」で、敢えて、不向きであると知りつつも、クラシック音楽を視聴するという試みをしました。
低音重視の性能ではありましたが、Bluetoothの再生コーデックが、この「Universal B30」とは異なり「apt-x」には対応していませんでした。
それは、その当時のBluetooth接続機器としては、一般的だったかな。
しかしながら、その結果、今回のレビューでも視聴ソースとして使用している三曲。
「MISIA歌唱(オルフェンズの涙&花)」
「ロストロポーヴィチ演奏(シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ)」
「カラヤン指揮、ベルリンフィル演奏(ドヴォルザーク:新世界より、第四楽章」
それに追加しての、
「ダ・カーポ歌唱(テームズ河のDance)」
の四曲の視聴では、ある一定の音量、音程よりも低く、小さな音は伝送されていないように感じられました。
その時点で、私はBluetooth接続では、そもそもクラシックなどの余韻を楽しむ音楽には合わないのかなー。と諦めていたのです。
しかし、「Universal B30」は、「apt-x」対応という事で、これまでの機器よりも、高音質での伝送が可能になっているというお話。
これは、リベンジしてみる良い機会であると考えました。
ワクワクした気持ちの一方で、不安はあったのですけれども。
結果は、良い意味で予想を裏切られました。
優先接続時との違いは、若干の音量の低下(「DP-CMX1」でいうと5レベル位、かな)であるだけではないか、と、私には感じられました。
心なしか、高音の刺激もまろやかになっているような……。
と、いうレベル。
一度、植え付けられた「Bluetooth接続では、クラシックや低音域の多い静かな曲は鬼門」的な意識が払拭されていきました。
ワイヤレスでも優先接続と遜色ない視聴体験が可能という事になり、これは鬼に金棒かもしれませんね。
後は、ケーブル換装がスムーズに出来るのであれば、完璧?かな。
プレカリアート真面目明さん
2019/09/11
気になる部分までしっかりレビューしてくれていて、それでも良いものだというのが伝わるのがエクセレントだぜ。
このイヤホンでスエード聞いたらちょっとは丸くなって優しく聞こえるのかな。
L2さん
2019/09/11
本体の性能の素晴らしさはもちろん、付属品も性能の良さを活かすもので、聴いていて楽しくなるものでしたね。
その分、ちょっとした部分に気になる引っかかりを感じてしまったのですけれども、これは、レベルの高さ故の悩みなのかもしれません。
少しでも、魅力が伝わったのならば、幸いです。