以前、同じWestone Universal W40をレビューさせていただきました。
リニューアルした今回のWestone Universal W40 2019 Designについて、前回同様様々な機器に接続して、音楽を楽しんでいきたいと思います。
昨今、スマートフォンのイヤホンジャックの撤廃が進み、ハイエンドと呼べる日本で発売されている機器においては、Samusung Galaxy S10シリーズがかろうじて残っているくらいで、Galaxy Note 10シリーズでは撤廃されています。
そのためイヤホンの市場ではBluetoothイヤホン、特に完全ワイヤレスイヤホンというカテゴリにどんどん注目が集まっています。
筆者も例に漏れず、複数の完全ワイヤレスイヤホンを購入・比較し、日々の通勤で愛用していました。前回のW40のレビュー時と同じ状況ではありますが、現在メインで使用しているスマートフォンがPixel 3とiPhone XSで共にイヤホンジャックが無いので再び完全イヤホンを用いる流れとなっています。
そんな折、今回のレビュー募集をがかつて愛用していたWestone W40の新作、ということで久々に有線イヤホン熱が上がり応募した次第です。筆者の耳は完全ワイヤレスイヤホンの音質にすっかり慣れてしまいましたが、改めて質の高いイヤホンの実力を味わいたいと思います。
久々にW40を体感。あ、これだよね!と納得してしまう表現力に大満足。
まずは簡単にスペックの紹介。
形式:密閉型
ドライバ:4基(高域×2、中域×1、低域×1)3Wayパッシブクロスオーバー
再生周波数帯域:10 ~ 18KHz
入力感度:118dB
インピーダンス:31Ω
パッシブノイズ減衰:25dB
入力端子:3.5mmステレオ
ケーブル:High-Definitionシルバーケーブル、Bluetoothケーブル
基本的にハードウェアのスペックは旧W40と変わらず。
付属のケーブルが大きく変わりました。
またイヤホン本体が旧W40と比べてスリムになったので、耳へフィットしやすくなる人も増えるかと思います。
それでは、詳細なレビューを行っていきます。
パッケージ
まずパッケージを見ていきます。
旧作同様、「W40」のフェイスプレート。
写真が反射して読みにくいですが、4BAであることが一目瞭然。
また2019版の特徴として後述しますが、セットのケーブルの一つがBluetooth対応のため外箱にBluetoothロゴがあります。
筆者はこのBluetooth対応について完全に見逃していました。
箱を開けるとイヤホンとケースがお目見え。旧W40はケースの上に紙が貼られていましたが、2019版はすぐにケースの存在を認識できます。
パッケージの詳細.左上からイヤホン、Westoneのイヤホンのシリーズの説明書きの紙、ポーチ、Bluetoothケーブルの説明書。
旧W40ではiOS向けのリモコンケーブルが最初にイヤホンに接続されていました。
2019版では「High-Definition Silver MMCX Andio Cable」と呼ばれる銀の含有量を高めたケーブルに新調されました。減衰率が小さくなり、より繊細な音の伝達が可能となったとのこと。
付属ポーチの中身。上からフェイスプレートが左右別々の袋。イヤーチップ、Bluetoothケーブルと充電用のUSBケーブル。旧W40よりケースは大きいので、これらパーツの他、イヤホンを入れても窮屈にならない。
旧W40ではモニターヴォルドケースと呼ばれるいかにも堅牢なハードケースでしたが、2019版ではより大きなセミハードポーチとなりました。
かなり余裕があるので小型のDAPとイヤホンを一緒に入れることができます。SONYのWalkman、NW-A55(本レビューの冒頭の画像のイヤホン後方にあるDAP)と一緒に入れられることも確認しています。
付属のイヤーチップについて後述します。
外観
イヤホン本体の近影を見ていきます。
イヤホン本体のMMCXコネクタ部。他のWetone製イヤホン同様、コネクタは浅めなのでサードパーティのケーブルでリケーブルする際は注意が必要。またノズルは細くて長いので、イヤーチップ交換の際は無理やり取ると折れる恐れがあるので、こちらについても注意が必要。
旧W40の時は最初から接続されていたケーブルとイヤホン本体の結合が非常に硬く、リケーブルする際に無理やり引き抜くするしか術がなかったため破断してしまいました。(詳細は旧W40のレビュー参照。)
今回は無事ケーブルを引き抜けたので一安心。
イヤホン本体の背面部。フェイスプレートのネジ穴がある。旧W40ではネジ穴の付近が自然に割れることがあった。
フェイスプレート交換は簡単。付属のドライバーでネジを外し交換するだけ。ねじを締める際は締めすぎるとプレートが割れる注意したい。
開封当初はメタル黒のフェイスプレートが取り付けられているが、付属のプレートと交換することでパッケージの写真と同じ橙色となる。
交換可能なフェイスプレートはWestoneのイヤホンの特徴。
旧W40では赤・青・黒の三色だったが、2019版ではメタルな黒・橙の二色展開。
ちなみに2019版について、W10・W20は赤・青・黒の三色、W40・W60はメタルな黒・橙、W80はメタルな黒・橙・青の三色と質感や色が異なるようです。
2019版旧W40では何故か二色しかありませんが、急W40ではフェイスプレートがいつの間にか割れている事があったので、交換用のプレートをWestoneには用意してもらいたいところです。
付属ケーブル
本機にはHigh-Definitionシルバーケーブル、Bluetoothケーブルの二種類が付属しています。
それぞれのケーブルの特徴は以下。
■High-Definitionシルバーケーブル
High-Definitionシルバーケーブルは、抵抗の少ないめっき銅合金の純シルバーの4本の線を編み上げている。銀の含有量が多いので減衰率が低く、よりクリアできめ細かなサウンドを楽しめるとのこと。
このケーブルはW40とW60のパッケージに同梱されています。W40自体の性能の高さも関係していると思いますが、接続機器の出力を素直に伝達している印象がとても強いです。この辺りは後述の機器ごとの聴き比べにも述べたいと思います。
ケーブルは柔軟性が高くタッチノイズも殆ど無いので、音楽に集中できます。
■Bluetoothケーブル
高音質かつ低遅延コーデックを実現した「aptX(R)テクノロジー」の採用で、フルレゾーリューションサウンドをワイヤレスで楽しめるとのこと。
最大8時間連続再生可能で見通し10m、IPX4準拠の防沫対応なので雨の日も多少の水滴であれば、すぐに対処を行えば大丈夫かと思います。このケーブルはW10,W20,W40,W60に付属されています。
ちなみに、Westone W80には上位のVerision 2でaptX HD対応のケーブルが付属しています。
実際に使用してみました。
場所は渋谷駅周辺~渋谷駅~田園都市線を利用。
接続機器はPixel 3。最新のスマートフォンなので、aptXに対応しています。
元々Zeeny TWSという完全ワイヤレスイヤホンを使用していましたが、渋谷駅のハチ公前のような人がごった返している所で瞬断される事が多々ありました。
こちらのBluetoothケーブルはというと・・・JR渋谷駅に向かう国道246号線を跨ぐ歩道橋の上で既に瞬断が発生します。
電車に乗ったあとであれば切断される事は殆ど無いのですが、人ごみの中においては完全ワイヤレスイヤホンより劣るのは残念。コーデックをSBCの接続有線に変更する事で多少は改善すると思いますが、遅延を避けるにはSBCよりaptXの方が優れています。そういう意味で、今後はより接続安定性に優れたケーブルを開発いただけると幸いです。
イヤーチップ
豊富なイヤーチップ。イヤーチップは写真左側が「True-Fitフォームチップ」、右側が「STARチップ」。イヤホンに最初から装着されているのは、STARチップでサイズは下から二つ目。合わせて10種類のサイズなので多くの人の耳に合うと思われる。
イヤーチップに関しては、旧作と同じ内容物。イヤホンの直系の違いは元より長さや素材が異なるので、誰でもW40シリーズを楽しめるでしょう。
■True-fitフォームチップ
【長所】
低反発フォームで耳の穴に入れた後に膨らみ、密閉度が増すことにより外音遮音性が高まり、音楽を集中して楽しむことができます。また、より低音が強くなる傾向があります。
【短所】
性質上汚れが目立ちやすくメンテナンスが必要。耐久力がシリコンイヤーピースに比べて低いので、コストパフォーマンスが劣ります。また遮音性が高いので公共機関内のアナウンス等が聞きにくくなります。
■STARチップ
【長所】
1500万人の3Dスキャンデータを基に設計されたという事もあって、5種類のイヤーチップのどれかは耳に合うと思います。シリコンなので耳への当たりも柔らかく、聴き疲れが軽減されます。
遮音性はTrue-fitフォームチップに比べ劣りますが、それでも十分に高いです。公共機関内のアナウンスは十分に聞こえます。
【短所】
低音がTrue-fitフォームチップよりは弱いので、True-fitフォームチップを聴いた後では迫力に欠けが感じられます。フィット感も劣るので、どうしても合わない人が出てくる可能性が高いです。
筆者がお気に入りなのはTrue-fitフォームチップの青軸です。
イヤーチップが長いので外耳道にしっかり入り込み、音をしっかり伝えてくれます。
接続機器が出力する音を漏らすことなく聴けるので、その接続機器のポテンシャルを判断するのにも大変有用なイヤーチップです。
音質
複数の機器を用いての聴き比べと、複数のイヤホンとの比較を行いました。
■音質
Sony Walkman NW-A55にW40を接続して聴いてみました。
全体的にフラットでウォーム系。ただし、旧W40よりも暖かさが抑えられて素直な音作りだと思います。煌びやかで抜けが良く、解像度が高いので楽器の細かい歪みすら拾えます。
空間が広いので、オーケストラサウンドも味わい深く楽しめます。
その他ストリーミング配信でJ-POPやジャズを流し聴きしてみましたが、男性ボーカルの艶をしっかり感じ取られますし、女性ボーカルの繊細さも表現できています。息遣いの生々しさも聴きとれるので、スタジオで生の歌を聴いているような味わいがあります。
旧W40のレビュー時と同様、AudioCheckで実際に視聴して確認しました。
聞こえた再生周波数帯域は10hz-18Khz。
公称スペックと同等でした。
http://www.audiocheck.net/soundtests_headphones.php
■複数の機器を用いての聴き比べ
左上からiPod mini 2nd gen, Walkman NW-A55, Google Pixel 3, Sony Xperia XZ, Huawei nova lite 3, ASUS Zenfone Live L1。
比較に用いる音源はQueenの『Bohemian Rhapsody』。映画ですっかり有名になった楽曲ですが、冒頭からアカペラ、バラード、オペラ、ハードロックと贅沢なジャンル構成で機器やイヤホンの得手不得手を判断するのに相性が良く、好んで聴いています。特にオペラは空間の広さに特徴があり、表現力の乏しい機器やイヤホンでは平面に近くなってしまいます。
それでは、機器ごとにW40を繋いでみた結果の違いについて報告です。
【Sony Walkman NW-A55】
Sonyの二万円前後のWalkman。Walkmanシリーズの中ではスタンダードモデルで、一番人気。
以前このモデルの一つ前のNW-A45とハイエンドモデルのNW-ZX300を同時に所持していましたが、音の好みはA45の方でした。後継モデルも基本的な性能は一緒で、Bluetoothレシーバー機能が追加されたのでスマートフォンでApple Music等のストリーミングサービスで再生された曲をBluetoothでこのNW-A55に飛ばして、質の高い音を楽しむことができるようになりました。
前置きが長くなりましたが、今回比較した機器のベンチマークとなるので評価はMAXとし、この機器からの減点法として評価します。
全音域にわたり解像度が高く、注意して聴けば音の粒度が他の機器を圧倒。空間が広く、音を楽しむにはコストパフォーマンスが非常に高いです。
解像度:★★★★★
空間 :★★★★★
表現力:★★★★★
【iPod mini 2nd gen】
RockBoxを導入して、Flacファイルを再生できるようにしています。
2005年2月に発売された機器でストレージに余裕もないですが、今回の聴き比べにおいては評価は一部スマートフォンより高いです。
音の解像度は低いのですが表現力は高いので、粒度を意識して聴かなければ今でも十分に楽しめる機器であることが分かりました。
解像度:★★☆☆☆
空間 :★★★☆☆
表現力:★★★★☆
【Google Pixel 3】
この機種には本体にイヤホンジャックが無いので、付属のUSB type-C -> イヤホンジャックアダプタを用いて試聴しました。アダプタの中に簡易DACが搭載されています。
音質についてですが、最もNW-A55に近く、表現力も十分。空間がわずかに狭いかなと感じる程度で比較しなければ十分満足できるでしょう。
アダプタを付けなければ有線イヤホンが使えないのが最大の欠点。
解像度:★★★★★
空間 :★★★★☆
表現力:★★★★★
【Sony Xperia XZ】
SonyといえばWalkmanもあるので音が良いというイメージがつきもの。今回の調査においても非常に高い期待をしていました・・・が、結果的に最も期待を裏切られた結果となりました。
全体的に思ったより解像度が低く、空間が狭く、表現力が乏しく感じました。本体のスピーカーは悪くないだけに、Walkman代わりに~なんて思ってた人は残念に思うでしょう。尤も、Walkmanの音質と比較しなければわからないですが。
解像度:★★★☆☆
空間 :★★★☆☆
表現力:★★★☆☆
【Huawei nova lite 3】
今スマートフォン業界でいろんな意味で話題のHuaweiの廉価機種。価格のわりに高性能が売りですが、音響に関しては価格なりでした。低廉のイヤホンでは他と比べて差は無かったのですが、W40を用いることにより機器のポテンシャルの違いが浮き彫りになります。この件に関しては旧W40でも同じでした。
解像度:★★★☆☆
空間 :★★★☆☆
表現力:★★☆☆☆
【ASUS Zenfone Live L1】
今回の機器の中では最も安価です。音質に関しては聴くに堪えないほど全体的のレベルが低く、ポテンシャルの違いをまざまざ見せつけられました。こちらも低廉のイヤホンではあまり違いが判らなかったのですが、W40ほどのイヤホンとなるとここまで違いが出るのかと驚いてしまいます。
解像度:★☆☆☆☆
空間 :★☆☆☆☆
表現力:★☆☆☆☆
以上、W40は機器によってどの程度ポテンシャルを引き出せるかの実験結果でした。
■複数のイヤホンとの聴き比べ
次に手持ちのイヤホンとの聴き比べ。
先述の通り完全ワイヤレスイヤホンに慣れていたため、比較的安価なイヤホンにも満足していました。今回比較対象のイヤホンは以下。
左からALPLEX HSE-A1000、final E1000、Yinyoo Y1。
三種類とも千円~二千円台。Yinyoo Y1は以前は四千円クラスでしたが、今は二千円以下で購入できるようです。
三種類のイヤホンとW40との詳細比較を行おうとしました。が、結論から言うと桁違いの結果で音質の差が極端に違うため、詳細比較はここでは行いません。
解像度も空間も表現力も違いすぎました。先日final E1000のレビューを投稿しました。当時は音質について満足していましたが、いま改めて聴き直すと値段相応。上を知ると耳が肥えてしまう結果となりました。
ゲーム機との接続について
携帯ゲーム機に接続して聴いてみました。
現在現役と言える機種。奥からNintendo Switch、Playstation VITA、Nintendo 3DS
聴き比べに用いるイヤホンは前述のALPLEX HSE-A1000。
■Nintendo 3DS
三機種の中では最もスペックが低く、どうしても電子音より。
音源がプアなので、ALPLEX HSE-A1000とWestone W40とで大きな差はありませんでした。
■Playstation Vita
SONYの携帯ゲーム機!ということで音の良さに期待・・・と思いましたが、こちらも3DS同様違いは感じられず。イヤホンジャックを通した音源がいまいちなので、差が無いのでしょうか。
■Nintendo Switch
ドラゴンクエスト11s体験版でテスト。
ドラゴンクエスト11sはオーケストラなので、携帯ゲーム機としての音の良さが際立ちます。
こちらはALPLEX HSE-A1000が平べったい空間なのに対し、Westone W40はしっかり空間の広さが感じられ、解像度も高いのが実感できました。
古いゲーム機ではどうしても音質がいまいちなので差がありませんでしたが、音源がしっかりしていれば差が感じられます。
しかし、正直携帯ゲーム機ではWestone W40は役不足なので、音楽を楽しむにはスマートフォン以上の機器の利用をお勧めします。
Westone W40との音楽ライフが生活の一部に
毎日通勤時に利用しました。
特筆すべき点を列挙します。
- リニューアルされてハウジングが若干小さくなったので、旧型に比べ装着感が増した。
- 標準のHigh-Definitionシルバーケーブルはタッチノイズが無く取り回しやすいので、下位のイヤホンに比べてケーブルだけでも大きなメリットがある。(W10,W20は旧型と同じリモコン付きケーブル)
- Bluetoothケーブルの音質はまずまずだが、人混みの中では瞬断するので場所を選ぶ。
- 昨今ハイエンドスマートフォンにはイヤホンジャックが無いが、かといって低廉スマートフォンの一部は音質が良くない。低廉スマートフォンもBluetooth接続で聞いた方が音が良いかも。
- Westone W40は機器のポテンシャルを素直に引き出すが、DAPまたはUSB type-C -> アナログ変換(DAC付き)じゃないと役不足。
暫く完全ワイヤレスイヤホンを使用していて、その音質に次第に慣れてきていました。
久々に有線の、しかも質の高いイヤホンを使用させていただきましたが、音質の違いに改めて驚きます。
Westone W40に慣れてしまった今、逆に完全ワイヤレスイヤホンを聞いてみると、解像度や音の空間がまるで違います。
「音楽」を楽しむには、やはりイヤホンの質は大事です。満足度が大きく違います。
重厚なサウンドを奏でる4つのバランスドアーマチュアのバランスが絶妙で、様々なジャンルで誰もが楽しめるのではないでしょうか。
4~5万クラスのイヤホンで迷っている人は家電店等で是非とも試聴してみてください。
自分も、Westone W40を大切に使って日々の音楽ライフを充実させていきたいと思います。
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