今年になって、M.2 SSDがブームになり、秋葉原では、入荷即完売が続き、入手困難なM.2 SSDもありました。
以前は、ハイエンドノートPCに搭載されていたりしましたが、自作PCでは、M.2ソケットは、インテル X99 Express チップセット搭載のマザーボード辺りから搭載が始まりました。
しかし、当初はSATA対応のM.2 SSDしか対応できないマザーボードや、AHCIモードのみの対応したマザーボード散見されました。
私が、PCの起動ドライをHDDからSSDに変えたのは、2009年春位からです。
当時は、SATA3の黎明期で、SATA2対応のOCZの30GB SSDを2基RAID-0構成として、起動ドライブとして使っていました。
(SATA2 SSD x2のほうが、SATA3 SSD x1より安価でした)
そんな時代から、約6年が経過し、HDD時代のインターフェイス仕様であるSATAやAHCI(Advanced Host Controller Interface )から、NVMe(Non-Volatile Memory Express)という、文字通り不揮発メモリ用(SSD用)のインターフェイス仕様が民生品にも降りてきました。
今回は、この新しい仕様であるNVMeに対応したSSDを、ゲーム利用を前提にレビューさせて戴きます。
今回レビューさせて戴く インテル(R) SSD 750 シリーズは、NVMe PCIe 3.0 x4 400GBで、PCI-Expressスロットに挿すタイプのSSDです。
一般的には、PCI Expressに、そこそこ帯域を必要とするボードを挿すと、グラフィックボードが、x16 > X8動作になってしまうものが多いのです。
しかし、今回のレビューは、PCゲーム利用を前提としたSSDのレビューであるため、SSD以外の部分に関しては、なるべくボトルネックを作らない方が良いと考えました。
そこで、今となっては、一世代前のZ97 Expressを搭載したマザーボードですが、ASRock Z97 Extream 9を選択しました。
このマザーボードは、コンパニオンチップを搭載していて、グラフィックボードを PCI Express 3.0 x16で動作をさせていても、別途、最大2つのPCI Express 3.0スロットを、x8で動作させることができます。
また、今回のレビューエントリー時に申請したレビューテーマで、SSD利用時とHDD 2基のRAID-0ドライブ利用時とのゲーム起動比較等を行うため、東芝 DT01ACA300 x2(3TB x2 RAID-0)を使います。
その他のパーツとしては、
SSDは、Samsung MZHPV256HDGL (SM951 AHCI 256GB)
CPUは、インテル Core i7 4790K
メモリは、 G.Skill F3-2400C10Q-32GTX(DDR3-2400 8GBx4)
GPUは、GIGABYTE GV-NTITANOC-6GD-B(nVIDIA GeForce TITAN)
電源は、ENERMAX EXG1050EWT(1050W)
OSは、Microsoft Windows 8.1 Pro
を使います。
まず、個装箱ですが、約205mm x 145mm x 25mm という非常にコンパクトなパッケージです。
以前利用していた、OCZのPCI ExpressタイプのSSDのパッケージよりコンパクトです。
パッケージ自体は、400GB/800GB/1.2TB用の共通パッケージで、表面に容量を示す400GBというシールが貼られています。
パッケージを開けると、ブリスターパックにハーフハイト用のブラケットと共にSSD本体が入っています。
あとは、注意書きが多国語で記載された紙と、マニュアルや保証書,ドライバーが収録された、8cm CD-ROMが入っているだけです。
第一印象は、思ったより小さかったです。
媒体で使われている写真は、ハーフサイズのブラケットを装着したものが多く、結構な大きさを予想していました。(OCZのSSDみたいに)
本体は、一面が、アルミダイキャストになっていて、インテルのロゴが彫られています。これは、放熱用に設けられたものだと思います。
残りの片面は、シールド用と思われる鉄板がビスで止まっています。
これだけでは、なかなか大きさが伝わらないと思いますが、M.2 SSD(2280)と一緒に撮ってみると、結構な大きさに見えます。
今回利用するマザーボードでは、PCI Expressに挿すだけで、あっさりBIOSで認識されました。
ブートドライブの優先順位を決定する画面に、INTEL SSD PEDMW400G4…と表示されました。
また、今回のOS Windows 8.1 Pro x64も、標準でNVMe SSDを認識できるようで、デバイスマネージャーを開くと、ディスクドライブとして、NVMe INTEL SSDPEDMW40 という表示を確認することができました。
ちなみに、Windows 8.1 Pro Enterprise x64の90日トライアル版では認識されませんでした。
また、ディスクの管理を開いても、ディスク1として認識されています。
優先順位としては、M.2 SSDが、ディスク0,PCI Express NVMe SSDが、ディスク1,SATAポートに挿したHDDが、ディスク2以降として認識されています。
一応念のため、インテルのWEBサイトから最新のNVMeドライバをダウンロードしてインストールしました。
初期化完了後、インテル SSD Toolboxをインストールし、ファームウェアの更新を行いました。
そして、まずは、Crystal Disk Markを走らせてみました。
とんでもなく速いです。
昨年まで、SATA3対応のSSDを 2基RAID-0構成で起動ドライブとして使っていましたが、シーケンシャルリードで、1G超え辺りが限界でした。
それを、いとも簡単に倍以上のスコアを出すのです。
今回レビューさせて戴く400GBのSSDは、秋葉原では、5万円弱位で販売されていますが、とてもコストパフォーマンスが高いと云えると思います。
また、M.2 SSDを搭載できないマザーボードをお使いの場合でも、PCI Express 3.0 x4ソケットがあれば、直ぐにこのハイパフォーマンスを手に入れることが可能なのです。
なんだかSATA接続のSSDの終焉を見る思いです。
ATTO Disk Benchmarkのスコアも掲載しますが、カタログスペック通りのスピードが出ていると思います。
今回、ゲーム環境で比較対象となるHDDのCrystal Disk Markのスコアです。
2基のRAID-0構成、3TB HDDとしては、妥当な速度だと思うのですが、インテル(R) SSD 750 シリーズのスコアと比較すると、なんだかとても残念な気持ちになってしまいます。
今回のレビュータイトルは、PC GAMING REVOLVER REVIEWということで、今回レビュー用に購入したのが、StarWars Battle Front。
StarWars自体になじみがあるのと、最新作の公開が話題になっていたこともあり、このゲームを購入しました。
キャラクターや設定が分かっているので、入りやすいと思いました。
このゲームは、XBOX,PS4,PC版があり、PC版をダウンロード購入しました。
Amazonからライセンスコードのみ購入し、ゲームはサイトからダウンロードするものです。
このゲームを、今回のレビュー対象SSDであるインテル(R) SSD 750 シリーズと、TOSHIBA 3GB 7,200rpm HDD 2基をRAID-0構成にしたドライブにインストールし、起動や操作性に関してレビューします。
先ず、Windows 8.1Pro x64の起動時間の比較。StarWars Battle Frontの起動時間の比較。ゲームのチュートリアル起動時間の比較を行いました。
何れも5回計測し、最長時間と最短時間を外して平均したものです。
Windows 8.1 Pro x64の起動時間比較では、SSDの圧勝です。
RAID-0構成のHDDでは、起動に35.89秒掛かったのですが、インテル(R) SSD 750 シリーズでは、僅か11.64秒でOSの起動が終了します。
私が使っているマザーボードでは、RAID構成時には、POST画面の非表示設定はサポート外のため、SSDのみの場合は、もう少し短時間でブートさせることができるのですが、今回は比較のためマザーボードの設定は同一としました。
(メモリも32GB搭載しているため、そこそこの時間が掛かっています)
肝心のゲームの起動時間ですが、HDDでは、15.53秒掛かったのですが、インテル(R) SSD 750 シリーズでは、11.69秒で起動が終了します。
HDD RAID-0構成より25%高速で起動することができます。
このゲームは、まだ始めたばかりですが、ゲームの展開の途中で動画が挟まって、次のストーリー展開をロードするシーンが見受けられます。
そこで、新ストーリー展開同様のチュートリアルゲームの起動時間を比較しました。
このシーンでは、HDDとインテル(R) SSD 750 シリーズであまり大きな時間差はありませんでした。
時間的には、僅か1秒程度の差ですが、このゲームでは、最大20人とチームを組んでチームバトルを行えるので、他のメンバーに少しでも迷惑を掛けないためにも、高速で展開ができるのはありがたいと思います。
ゲームの起動からチュートリアル迄の動画をアップしました。
チュートリアルがスタートするまで、画面の右下でローディングを示すアイコンが表示されます。
高画素デジカメRAWデータのバッチ現像
インテル(R) SSD 750 シリーズの速度を体験するために、Nikon D800E(3,620万画素)で撮影したRAWデータ 100コマ(約3.78GB)をJPEGファイルに連続現像を行ってみました。
動作は、対象のストレージ(HDD/SSD)からRAWデータを読み出し、CPUでJPEGに現像し、読み出したストレージにJPEGファイルを書き戻します。この動作を100コマ分繰り返します。
100コマの処理に掛かった時間は、HDD/SSDで大差はありませんでした。
RAWファイルは1コマ平均約38MBの容量で、現像後は平均約23MB程度のJPEGファイルになるのですが、この程度のファイルの大きさでは、SSD/HDD RAID-0での読み出し/書き出しに要する時間は殆ど変わらなかったことになります。
この結果からすると、デジカメのRAWファイルは、RAID-0のHDDに保存していて問題無いことになります。
大容量動画ファイルを連続コピー
RAWファイルの現像では、ストレージでのファイルの読み書きに要する時間よりも、現像処理に要する時間の割合が高かったためか、殆ど差がありませんでした。
なので、今度はストレージの読み書き速度が大きく影響するファイルのコピーを行ってみました。
ストレージの読み書き速度の差を分かりやすくするため、SSD/HDD各々に、約100GBの動画ファイルコピーしました。
そして、各々のストレージにコピー先のフォルダーを作成し、SSD - SSDコピー/HDD - HDDコピーを行ってみました。
HDD内で、約140MB/secのコピー速度でした。この速度はHDDとしては、平均的な速度ではないかと思います。
これまでに見たことのない速度でした。SATA接続した2.5inch SSD同志でも400MB/sec程度しかでません。
740MB/secというのは驚異的です。100GBのコピーで3分掛からないなんて…凄すぎます。
私は、これまでSATA2時代のSSDから、SATA3SSDや、今回のレビュー品に近いPCIeに挿すSSDから、M.2 SSDまで使ってきましたが、Intel SSD 750は、使い易さと速度のバランスが素晴らしいSSDだと思います。
NVMe M.2 SSDでも、インテル(R) SSD 750 シリーズと同等の速度が出せるSSDはありますが、このM.2 SSDのパフォーマンスを引き出すためには、基本的に、インテル100シリーズのチップセットを搭載した最新のマザーボードが必要です。(当然CPUもLGA1151対応が必要です)
インテル(R) SSD 750 シリーズでは、Z97シリーズ以降のチップセットを搭載したマザーボードであれば、起動ドライブとして使うこともできますし、Z97以前のマザーボードでもBIOSで対応したものであれば起動ドライブとして使うことができるマザーボードもあります。
汎用性を考えれば、とても使い易いSSDだと思います。
以前使っていた、PCIeに挿すOCZ SSDでは、OSインストール時に専用ドライバーを読み込ませなければ、ドライブとして認識されませんでしたが、インテル(R) SSD 750 シリーズでは、何もしなくても、OSインストール時にインテル SSD 750が起動ドライブの候補として表示されます。
(今回は、Z97 Express搭載のマザーボードにインストールしました)
ファーストインプレッションでも触れましたが、不揮発性メモリストレージ専用のNVMe仕様のSSDを一度使ってしまうと、もうSATA3 SSDには戻れません。
正にこれからのストレージの正常進化形だと思います。
今回レビューさせて戴きましたSSDは、容量が400GBという大容量なので、起動ドライブとして使うには容量的に少し大き過ぎます。
128GB~256GB程度の容量で、パフォーマンスを落とさずに低価格になれば、今後のデスクトップPCの起動ドライブは、NVMe対応のSSDになってしまうと思います。
今後の、更なるラインアップの拡充と高速化に期待したいと思います。
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