最近人気が出つつある、スティック型PC。
USBメモリよりは2~3まわりくらい大きなサイズの中に、CPU、メモリ、ストレージのほか、無線LANなどの主要なパーツがすべて集約されており、HDMI端子に差し込み電源ケーブルを繋ぐだけで使えるPCだ。
Windows搭載の製品がマウスコンピューターやLenovoからもリリースされ、一時は品切れになるなど大人気を博しているスティック型PCだが、ついに本命のインテルからリリースされた製品が、今回レビューを担当させていただくインテル Compute Stick(STCK1A32WFC)だ。
PCの集積度もここまで上がったのかと驚く反面、タワー筐体のPCが一人では使い切れないほどある我が家の環境ではスティック型PCの出番はなく、今までスルーしてきた。
そのような中、ちょうど構成変更でリビング用PCが無くなったタイミングでプレミアムレビューの募集があり、試してみる機会を頂けたので、色々使い倒してみたいと思う。
スティック型PCとは?
スティック型PCは、PCというよりタブレット端末で使われているCPU、メモリ、ストレージを超小型基板に収めた製品で、早い話、ディスプレイがないタブレットと同じようなスペックのPCだと理解するのが一番わかりやすいかと思う。
タブレットと同じといっても、CPUはx86アーキテクチャのAtom Z3735Fを搭載しており、通常のWindowsが動作するので、汎用的なWindowsパソコンとしての利用が可能となっている。
今回レビューさせていただいたインテル Compute Stickも、初期状態でWindows 8.1 with Bingがインストールされている。
Windows 8.1 with Bingであるが、ブラウザの検索エンジンがデフォルトでBingに設定されている以外はWindows 8.1そのものであり、Windowsのフル機能が使用可能だ。
このWindows 8.1 with Bing、元々はAndroidやiOSに対抗するためにタブレットデバイス向けに実質無料で提供されているOSであるが、インテル Compute StickはWindows8.1 with Bingのハードウェア要件を満たしているため同OSを採用している。
このため、インテル Compute StickはWindows 8.1と同等のOSを搭載しているにもかかわらず、実売2万円以下というバーゲンプライスを実現しているのだ。
ハードウェアのスペックについて
インテル Compute Stickのスペックは、以下の通りとなっている。
- CPU:Atom Z3735F 1.33GHz
- メモリ:DDR3L-1333 2GB
- ストレージ:32GB eMMC
- 外部ストレージ:SDXC v3.0 UHS-I対応
- インターフェース:USB 2.0×1
- 映像端子:HDMI 1.4
これだけのパーツが小さいボディに入っているとは、恐るべしである。
CPUは4コアのATOM Z3735Fだが、クロックこそ1.33GHz(最高1.83GHz)と高速であるが、如何せんタブレットなどのデバイス用のATOMだけあって、同クロックのCoreシリーズと比べると格段に遅くなってしまっている。
メモリもOSが動くギリギリの2GBという容量で、アプリを複数同時実行するには厳しいと言わざるを得ない。
最大の問題はストレージで、32GBのeMMCであるが、この中にWindows8.1のリカバリパーティションも含まれているので、ユーザーが実質使えるのは約19GBとなる。
最近では数GBの容量を必要とするアプリもあり、油断をしていると埋まってしまう空き容量だ。
また、SSDとは異なり、コストと消費電力に優れる反面性能が振るわないeMMCだけあって、ディスク周りの速度も最近のSSDと比べると比較的低速となっている。
しかし、これはあくまでも「通常のPC」としての利用を前提とした場合の話だ。
インテル Compute StickはCPUの非力さもあって重たいアプリケーションを入れるような使い方には不向きだ。
逆に、小型・軽量であることを活かし、TVに繋いで動画のストリーミング配信を楽しむ、NASなどに入れた音楽・動画などの再生用としてのクライアントとして使う、あるいはSkypeなどのコミュニケーション用、Webブラウジングといった使い方がメインとなる。
HDMIに差し込むだけの手軽さを活かし、テレビをパソコンに変身させるデバイス、それがインテル Compute Stickである。
本体の詳細および付属品など
本体のサイズは10cmちょっとと非常に小さく、Windowsが使用可能なPCとは思えないサイズだ。
どれくらい小さいかは、iPhone6sと比較してみるとわかりやすいと思う。
インテル Compute Stickの箱がほぼiPhone6sと同じサイズなので、その小ささが解っていただけるだろうか。
重量も54gと、きわめて軽い。
この小さなボディに、CPU、メモリ、ストレージのほか空冷ファン(!)までもが詰まっている。
空冷ファンは結構重要で、微風であってもエアフローの有無は温度に大きく関わってくる。
重たい作業を行っていると、かすかにファーというファンの回転音が聞こえるときがあるが、設置場所から操作場所が遠いこともあり、まったく気にならないレベルである。
本体の向かって右側面には、MicroSDのスロットが設けられている。
eMMCが32GBという限られた容量しか利用できないが、ここに大容量のMicroSDを装着することで、手軽に容量を増やせることはきわめてメリットが大きい。
左側面には、向かって左からUSB2.0コネクタ、給電用MicroUSBコネクタ、電源ボタンが並んでいる。
USB給電で動くインテル Compute Stickだが、2Aの供給量が必要なので付属のACアダプタを使うのが良いと思う。
試しにTVのUSB端子に繋いで使えるか試したところ、起動まではできるがWindowsの起動でフリーズしてしまったので、動作のための電力が足りなかったと思われる。
付属品一式。
2AのACアダプタ、給電用USBケーブル、HDMI延長ケーブル、各国用の電源プラグにMcAfeeのAntiVirus Plusの1年クーポンが付属する。
ウイルス対策は必須なだけに、ありがたい配慮といえる。
実際にテレビに繋いで見た状態がこちら。
残念ながらテレビのHDMI端子の位置が悪く、直接差し込むことが出来なかったため、延長ケーブルを利用して接続している。
実際に使った感じでは、テレビの裏になると電源ボタンが押しづらいため、延長ケーブルを使って操作しやすい位置に設置したほうが便利だと感じた。
小柄なボディにパーツが詰まっているので、気になるのが動作時の温度。
超小型の空冷ファンも付いているが、どれくらいの温度になるのか気になったので、Windows起動処理中の温度を放射温度計で測定してみた。
結果は47.6度と50度に達しない温度であり、暖かいが熱いまではいかないところで推移しており、長時間使っても問題なさそうだ。
一手間かかるがクリーンインストールがお勧め
インテル Compute StickにインストールされているWindows8.1 With Bingであるが、通常のWindows8.1同様にWindows10へのアップグレードに対応している。
個人的に、デスクトップOSとして使うにはWindows10のほうが好みということもあり、さっそくアップデートを行ってみたので、その内容についてご紹介したい。
・起動時にいきなりWindows10にアップグレードの選択肢が出現
すでにWindows10がリリースされていることもあり、インテル Compute Stickの初回起動時にWindows10へアップグレードするかのアナウンスが表示された。
このままアップグレードしてもよいのだが、まずはWindows8.1のバックアップを取るため、ここでのアップグレードはパスしてWindows8.1の初期設定を最初に行うこととした。
Windows8.1で起動したら、まずは念のためeMMCのバックアップを行おう。
今回はEaseUS ToDo Backup Freeを使用したが、様々なバックアップツールがあるので好みのものを選んでバックアップを行うことをお勧めする。
・Windows8.1上からWindows10にアップグレード
Windows8.1のバックアップが終わったら、さっそくWindows10にアップグレードに移ろう。
アップグレードは下記のURLから必要なファイルを入手して行うこととなる。
インテル Compute Stickに搭載されているWindows8.1は32bitバージョンなので、32bitバージョン用のファイルを使用しよう。
https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10
試しに64bit用のインストールメディアを作成して試してみたところ、起動すらしなかったため、32bit版しか使用が出来ないようだ。
もっとも、メモリが2GBなので、32bitでなんら問題は無いので安心して欲しい。
Windows10のアップグレード方法には、
1,現在のWindows8.1をアップグレードする方法
2,ISOファイルを使ってのインストール
上記の2種類の方法がある。
1,現在のWindows8.1をアップグレードする方法
現状のWindows8.1をアップグレードする場合、アプリやユーザー設定などを引き継ぐことが可能であり、旧環境もバックアップファイルが残るため切り戻しが可能な点がメリットである。
しかし、旧環境のProgramFilesおよびWindowsディレクトリがそのまま残ってしまうため、数GBの容量が使用されてしまう。※消すことも可能
デメリットとしては、ディスクの使用量が増す点である。
インテル Compute Stickの出荷時の空き容量は約19GBであるが、色々なアプリをインストールしているとアップグレードする際に必要な9GBの空き容量をすぐに割り込んでしまう。
かといって、アップグレードするためにアプリをアンインストールするのは環境を引き継げるというメリットがなくなってしまうこととなるため、なかなか悩ましいところである。
上のキャプチャは、レビューを行うためいくつかのアプリケーションを入れた状態のディスク使用率のグラフだが、すでに空き容量が10GBちょっとと非常に心許ない容量となっている。
このあといくつかベンチマークソフトを入れたらWindows10へのアップグレード要件である、空き容量9GBを割り込んでしまい、エラーが発生してしまった。
Windows10へのアップグレードは、空き容量が多いうちに実行しておこう。
2,ISOファイルを使ってのインストール
2つめのISOファイルを使ったインストールは、現状の環境を引き継ぐ方法のほか、まっさらな状態でWindows10を構築する、いわゆるクリーンインストールも可能だ。
クリーンインストールのメリットは、一度ディスクの中身を空にしてからインストールするため、不要なファイルが一切残らないという点だ。
ディスクの空き容量10GBの状態でアップグレードインストールを行った場合と、クリーンインストールを行った時のHDDの空き容量は、前者では5.56GBであった空き容量に対し、クリーンインストールではeMMCのパーティションをすべて解放したこともあり、20.7GBと4倍近い空き容量が確保可能であった。
上記はWindows8.1の設定を引き継いでWindows10にアップグレードしたときのHDDの使用量。
5.56GBの空き容量と、かなり心許ない状態となってしまっている。
Windows10をクリーンインストールした状態の空き容量はなんと20.7GBと、3.6倍もの容量を確保することが可能だ。
ただし、Windows8.1のリカバリ領域も開放しての結果であることに注意が必要だ。
・実際にWindows10をインストールしてみよう
ISOファイルを使ってWindows10のクリーンインストールを行うには、Windows10のプロダクトキーが必要になるので要注意だ。
Windows10のアップグレードでは、ユーザーの目に見える形でプロダクトキーは提供されないため、以下の手順が必要となる。
- Windows8.1からWindows10のアップグレードを実行
※この時点でハードウェア固有IDをMicrosoftへ送信→Windows10のアップグレード認証 - アップグレード完了後、フリーソフトを使ってWindows10のプロダクトキー取得
- ISOファイルを焼いたDVDメディアまたはUSBメモリから起動してWindows10のクリーンインストール
少々面倒なのが、一度Windows8.1からアップデートを行い、ライセンスの認証を行っておく必要があるということ。
当方の環境では、Windows7または8.1からアップデートしたWindows10は、どれも同じプロダクトキーとなっているが、一度認証を行ったハードウェアでないと認証が通らないことがあったため、Microsoft側でハードウェアの固有IDを記録し、アップグレードの有無を管理しているように思われる。
プロダクトキーを調べることと、アップグレードの際に必要なハードウェア固有IDをMicrosoftに送信するという2点ために、一度上記の1のWindows8.1からのアップデート手順が必要となる。
では、さっそくアップデートを行っていこう。
今回はWindows8.1からアップグレードを行うので上の「このPCを今すぐアップグレードする」を選択するが、その後ISOファイルによるクリーンインストールを行うため、最初に「他のPC用にインストールメディアを作る」を選択して、メディアを作成しておこう。
言語、エディション、アーキテクチャの選択画面が表示されるので、それぞれ「日本語」「Windows 10 Home」「32ビット(x86)」を選択。
USBフラッシュメモリか、ISOファイルを選択する画面が表示されるので、好みのものを選んでブートメディアを作成する。
今回はZALMANの仮想ODD付きHDDを使用するため、ISOファイル形式を選択した。
ISOファイルのダウンロードに移るので、あとはダウンロードが終わるまでひたすら待つのみ。
ダウンロードしたISOファイルはDVDに焼く、あるいは外付けのHDDに待避しておこう。
ISOファイルを落とし終えたあとは、再度アップグレードユーティリティを起動して、「このPCを今すぐアップグレードする」を選択してアップグレードを実行しよう。
次へを選択していけば簡単にWindows10にアップグレードを行うことが可能だ。
Windows10にアップグレードが完了したら、コンピューターのプロパティを開き、きちんとアクティベーションが完了しているか確認しよう。
アクティベーションが完了していたら、Windows10のプロダクトキーを取得可能だ。
プロダクトキーを調べるには専用のツールが必要となる。今回はフリーウェアであるprodukeyを使用した。
Product Keyの箇所に表示されたキーがインストール時に必要となるので、正確にメモを取っておこう。
プロダクトキーとインストールディスクの用意が終わったら、DVDドライブから起動して、Windows10のクリーンインストールを行おう。
今回はWindows10のクリーンインストールメディアを作成したため今後はWindows8.1は使わないと判断し、eMMCに確保されているリカバリ用のWindows8.1の領域も開放、eMMCの32GB全体をWindows10用のパーティションとして確保することとした。
リカバリ領域の削除は何かあったときに出荷時に戻せなくなるので、自己責任で行って欲しい。
Windows10のインストールメディアをセットしたDVDドライブをUSBに接続し、起動時にF2キーを押すと起動メニューが表示される。
DVDドライブから起動をすると、上のようなインストール画面が表示されるので、セットアップを進めていけばOKだ。
途中、プロダクトキーの入力が求められるので、先ほど調べたプロダクトキーを入力しよう。
・ドライバを入れる
クリーンインストールが終わるとWindowsが無事起動するが、Windows8.1からのアップグレードと異なり、Windows10のクリーンインストールを行ったあとは、ドライバを入れる必要がある。
自作PCだと、マザーボードやらビデオカードといったメーカーのドライバをそれぞれ探して手動で入れていく必要があるが、インテル Compute Stickは流石インテルのハードウェアだけあって、ドライバのインストールは自動インストールユーティリティで一発OK、とても手軽で簡単だ。
Windows10は最新のOSだけあって、無線LANのドライバはOS自体が持っているため、別途用意する必要はない。
不足しているドライバを入れるために、intelのサイトからintel Driver Update Utilityをダウンロードしてインストールしよう。
ソフトを起動したあとは、次へをポチポチクリックするだけで自動的にすべてのドライバがインストールされるので、とても便利だ。
ユーティリティをintelサイトからダウンロードして、Start Scanボタンをポチッとクリック
自動的に必要なドライバがリストアップされるので、Downloadボタンをポチッとクリック
自動的にドライバがダウンロードされるので、完了するまで待機。
ダウンロードが終わるとInstallボタンがアクティブになるので、ポチッとクリック
インストールが開始されるので、終わるまで待とう。
intel SST Audio Driverについては、他のドライバに含まれているのか、StatusがSkipになっていたが、正常に音が出ているので問題は無さそうだ。
Restart Requiredがアクティブになったら、クリックして再起動すればドライバの導入は完了だ。
以上でWindows10のクリーンインストールは完了となる。
挿すだけでテレビがネットデバイスに生まれ変わる
・動画配信サービスを利用するのに最適な端末
最近のテレビはブラウザを内蔵していたり、ネットワーク上のメディアを再生出来たりする機能が備わっているモデルもあるが、得てしてこの手の機能が「使いやすい」ものであったことは皆無だと思う。
当方の所有しているSONYのブラビアにも似たような機能はあるが、何せリモコンによる操作と使い勝手が悪いUIということもあって、使い物にはならない。
こういった場合に、インテル Compute Stickはとても便利だ。
HDMI端子にそのまま差し込み、給電用のUSBケーブルを接続するだけで使用可能なインテル Compute Stickは、テレビを簡単にPCに変えてしまう。
Windows RTとは違いフル機能のWindows8.1/10が使えるため、ブラウザなどのアプリケーションも自由に使え、HuluやNetflix、Amazon プライムビデオなどが手軽に楽しめる。
さらに、Skypeなどのアプリによるオンライン会議も可能なため、ホームユース以外にビジネスにおいても便利に使うことが可能だ。
・Microsoft Officeもそれなりにサクサク快適に動く
最新のバージョンではないが、Microsoft Office 2007をインストールして使用してみたところ、Word、Excelともにストレス無く快適に使うことが可能だ。
最新のPCと比べれば遅さは感じるが、HDDより高速なeMMCを搭載していることもあって、処理がストレスに感じることも無く、十分に実用的と言えるだろう。
たまにOfficeアプリを使う程度であれば、高いPCを買うよりも、インテル Compute StickにOfficeを入れてしまうという選択肢はありだと思う。
・3Dゲームはさすがにキツい
試しに3Dゲームが遊べるか、確認してみることにした。
といっても、World of Tanksのような重たいゲームはまず動かないと思われるため、軽量なゲームとして今回はスカッとゴルフ パンヤをウン年ぶりにインストール、遊んでみることにした。
画面設定はフルHDでも、画質を低~中あたりに落とせば30fpsは出ているので、十分遊べるかと思ったのだが、大きな問題が発生。
それは、微妙に遅延が発生しているため、ゲージ中心位置でショットを打とうとすると、常に左方向へ大きく逸れてしまうこと。
スペースキーを押してから反応まで一瞬間が生じているため、とてもゲームを遊べる状態ではなかった。
3Dの処理速度的には問題無いのだが、CPU側の処理が追いついていないような、そんな印象だ。
性能はそれなりだが、圧倒的な安さでカバー
Webサイトのブラウズや動画再生であれば十分なパワーを有しているが、やはりパソコンとして使うには厳しいインテル Compute Stickだが、2万円を大きく割り込む販売価格を考えると十分な性能だと感じた。
家庭用のテレビをタブレット端末にしてしまう製品と考えると、ちょっとした出費でテレビがネット端末に生まれ変わる。しかも、Windows OSなのでアプリケーションを入れたり、好きなUSBデバイスを増設したりと、アイデア次第ではいろいろと使えるシーンも多いと思う。
便利そうだと思ったのは、たとえばEye-Fiの受信用クライアントソフトを常駐させサーバーとして運用すれば、PCの電源を入れていない時でも自動的に写真をデジカメから転送してHDDに格納するシステムが構築可能だ。
また、プリンタなどを共有してプリンタサーバーにするといった使い方もありかもしれない。
使い勝手を左右するCPUパワーだが、実はBIOSの設定で高速化が可能である。
初期設定のバランスモードはUSB2.0端子への給電を考慮し、消費電力を抑えているのだが、パフォーマンスモードに設定するとUSB2.0への供給電力を極限までカットするかわりに、CPUの処理速度が上がるのだ。
USBへの給電が削減されるためパフォーマンスモードを使うためにはセルフパワーのUSBハブが必要となるが、かなり効果は大きいので是非試して欲しい。
実際にどれくらいの差が生じるのか、ベンチマークを使って計測したのが以下の結果となる。
PC Markを使いたかったのだが、7、8いずれも実行時にエラーが発生し、また、WindowsエクスペリエンスインデックスであるWinScore Shareも計測でエラーが出てしまいベンチマーク結果を計測できなかったため、昔懐かしなCrystalMark 2004R3を使って比較してみた。
■バランスモード
■パフォーマンスモード
実に16%の性能向上という結果であった。
スーパーπの104万桁ではバランスモードの1分1秒に対し、パフォーマンスモードでは47秒と、こちらは30%近い性能向上という結果を叩き出したので、パフォーマンスにする効果はかなり大きい。
USBのセルフパワーハブを購入するだけなので、かなりお勧めだ。
インテル Compute Stickを使うためにお勧めなハードウェア
・セルフパワー方式のUSB2.0ハブ
前述の通り、パフォーマンスモードで使うためには必須となるデバイスが、セルフパワーのUSBハブだ。
インテル Compute StickのUEFIにはPower Modeという項目があり、省エネ優先、バランス、パフォーマンスの3種類から設定が可能だ。
パフォーマンスモードでは1デバイス分のUSB電力しか供給ができなくなるため、セルフパワー方式のUSBハブが必要となる。
ベンチマークを取ったところ、パフォーマンスモードに設定すると性能が飛躍的に上がるため、ぜひともセルフパワー方式のUSBハブと組み合わせて使いたいところだ。
バランスモードで使う場合も、セルフパワー方式のハブがお勧めだ。
インテル Compute Stickは省電力であり、Micro USB端子からの5V 2A給電だけで動作してしまう。
5V、2Aで動作するエコなPCだが、問題はUSB2.0の給電能力が低いという点だ。
今回、Windows10のクリーンインストールにISOイメージを光学ドライブとしてマウントできる、ZALMANのHDDケースを使用してインストールを試そうと思ったのだが、供給電力不足でHDDが正常に動作しないことが多発した。
このため、USBハブを使おうと思っている人は、ぜひともセルフパワー方式のハブの購入をお勧めする。
・ワイヤレスキーボード&マウス
インテル Compute Stickは本体が小型であり、TVの裏などに簡単に設置が可能で手軽でいいものの、問題なのがマウスとキーボードの配線だ。
小型の本体からケーブルが何本も出ているのは取り回しがしづらく、見た目も宜しくない。
このため、是非ともお勧めしたいのがワイヤレスキーボードとマウスである。
Bluetooth接続の製品も使用できるが、OSが起動しないと認識できないため、UEFIの操作ができないという致命的な欠点があるため、出来ればLogicoolのUnifying対応デバイスのような、UEFIでも使えるデバイスがお勧めだ。
特に、Unifyingは1つのドングルで複数のキーボードやマウスがコントロールできるため、貴重なUSBポートの消費数が少ないというメリットもある。
パフォーマンスモードに設定したインテル Compute Stickでも、接続するデバイスがUnifyingレシーバー1台だけであればセルフパワー方式のハブも必要なく、接続もいたってシンプルとなる。
今回はLogicoolのK800tとM950という組み合わせでインテル Compute Stickを使ったが、両方ともワイヤレスデバイスであるがBIOSの設定なども問題無く操作可能であったので、とても快適な操作感であった。
・細めのHDMI延長ケーブル
インテル Compute StickはそのままHDMIコネクタに取り付ける形状となっているが、テレビまたはディスプレイのコネクタ位置によっては取付が出来ないため、長さ延長ケーブルが付属する。
この延長ケーブルが結構固いため、思った位置にインテル Compute Stickを置けないことがあるため、できれば30cm~50cm程度の、取り回ししやすい延長ケーブルがあると設置しやすくなる。
フルHDを越える3440x1440で使ってみる
インテル Compute Stickのディスプレイ端子はHDMI 1.4aとなっているが、もともとHD解像度が上限であったHDMIは1.4で4Kに対応するまでに拡張されている。
そこで、1.4aに対応しているインテル Compute StickもフルHD以上の解像度が表示できるのではないか?ということで、手持ちのDELL U3415Wに接続してテストを行ってみたところ、すんなり表示出来てしまった。
U3415Wは横3440px、縦1440pxという21:9の超ワイド液晶である。
今回は、このモニターのHDMI端子にインテル Compute Stickを取り付けてみた。
起動時のBIOS画面こそ横長に引き延ばされているが、起動してしまえばサックリと3440x1440の解像度で表示されていた。
キーボードの中央にあるのが、インテル Compute Stickである。
その小ささがお分かり頂けるだろうか。
画面の解像度も、しっかりと3440x1440として認識されている。
音声も問題無く出力されており、動作については全く問題が無かった。
HDMI 1.4aは4Kにも対応しているので、4Kテレビや4Kモニターに繋いでも、ネイティブな解像度で出力が可能だと思われる。
Windows10にアップグレード可能で、驚愕のコストパフォーマンス
レビュー作成のためインテル Compute Stickをいろいろいじってきたが、Officeアプリケーションや動画再生、ネット閲覧といった用途であれば十分にそつなくこなし、本体も超小型で場所を取らず、Windowsがインストールされているにも関わらず2万円を大きく割り込む価格帯と、サブマシンやネット端末用途としてとても魅力的な製品だ。
TVをネットに繋ぐための端末として、同様の製品がGoogleやAmazonからもリリースされているが、インテル Compute Stickの最大の特徴はやはりWindows8.1がプリインストールされ、Windows10にアップグレードが可能なこと、Windows10にアップグレードする際にドライバの導入が自動ですべて完了するというintelのハードウェアならではの手軽さだ。
私のようにテレビは持っているものの、ほとんど使わずメインはもっぱらPCという日常において、テレビが動画再生端末に生まれ変わることで、一気にテレビの利用頻度が上がった。
やはりテレビの大画面で見るのはPCモニターとは違った良さがあり、手軽にネット端末に対応させることができるインテル Compute Stickは、価格の安さもあって導入しやすいハードウェアだ。
USBを活かしていろいろな使い方も可能であり、1つ持っていると色々と便利に使えるデバイスだと感じた。
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