今まで自宅のあらゆるファイルは外付けHDDに保存してきた。
ファイルと言っても多岐に渡り、プライベートな写真・動画から
個人で作成した趣味のデータ、iTunesライブラリなど、用途でいろいろな外付けHDDに分けて保管していた。
だが、ブッ壊れたら即終了である何の冗長性も持たせていない外付けHDDは少々不安で、
なおかつ様々な外付けHDDに分散して保存されていたので、埋もれてしまうデータもしばしばだった。
全てのデータを手軽に一括管理したい!と常々思っていた。
そんなこんなで最近になってNASを検討し始めたが、最終的にはRAID5相当の冗長性を持ち、4ベイ、6TB以上のディスクスペースが組める、という条件をざっくり想像していたので、DS415playの発表は「これじゃねーか?」という気持ちでいっぱいだった。
なおかつ「play」の称号にある通りマルチメディアに強いときたので、撮りためた旅行の動画なども生かせるのではと思っていたのである。
そこへ来て今回ナイスタイミングでSynology DS415playをお借りする機会を頂けたので、
初心者ながら気になっていたNASというものをいろいろ使いまくってみたいと思う!
(今回は自分の環境であるMacでの検証となるのをあらかじめご了承頂きたい。 )
開封、ファーストインプレッション
ついにきやがった!
外箱はシンプルで良い感じ。
第一印象として、もっと重いものと思っていたが、かなり軽い。
梱包は簡素だがしっかりしてる。
本体と付属品一式
LANケーブルとネジ、ACアダプタのケーブルが同梱されていた。別途ソフトウエア等の入ったユーティリティディスクなどは同梱されず。
本体材質はプラスチック(ABSとか?)だが、全体的な質感は悪くない。チープな印象は受けなかった。
フロントに電源スイッチ、アクセスランプとステータスランプ、USB2.0 x1。フロントにもUSB3.0が欲しかったので若干残念。
マットな仕上げで、粒子が荒いというかざらっとした質感である。指紋やホコリが目立ちにくいのはよいと思う。
ベイカバーは光沢があるものなので指紋が付きそうだ。(写真はビニールを付けたままです)
サイドのロゴもプリントなどではなく、立体的な造形で、よく見ると奥にスリットがある。
飾りではなくエアフローもありそうな機能的なものにも思える。
ファンは2個装備。リアにはACアダプタのコネクタ、RJ-45とUSB3.0 x2、USB2.0 x2、ケンジントンロックも装備。小さいが、リセットボタンもある。
電源は内蔵しているかと思ったが、ACアダプターが付属しており、外付けであった。
割とデカい。静音性などを考慮したファン回転速度などを考えると熱源は外に出しておきたいという事だろうか。
ACアダプターはPS/2マウスのようなポートで、いつも思うのだが、このタイプはすこしテンションがかかると簡単に外れてしまいそうで非常に怖い。
カチッと固定されるコネクタだともっと安心出来るのだが、いつか改善されるともっとよくなると思う。
セットアップ
次にセットアップ作業を行う。
添付のQuick Installation Guideに沿ってやってみる
イラストのみで書かれているが、迷う事はなかった。
ベイカバーは少し変わっていて、4つのゴムの突起で固定される。
ちゃんと固定されているが、外しやすく、内部へのアクセスは容易そう。
4ベイ。マウントも外装と同じような材質。
今回の為にWestern DigitalのNAS向けRedシリーズ、WD30EFRXを2玉購入。
こちらはSynologyからも互換性のあるディスクとして登録されているもの。
ディスクのマウントだが、付属のネジを使うものとばかり思っていたがどうもこれは2.5インチ向けのものらしく、今回は3.5インチだったためドライバー1つ使わずにマウント完了。とても手軽だった。
設置場所は通気性も良さそうなエレクターラックの上にした。
LANケーブルをGbスイッチャーと繋ぎ電源を投入。
電源ボタンが青く点滅したのち、点灯にかわり、HDDの投入されているベイのLEDランプが灯った。
ステータスランプのみ点滅がつづく状態だ。
インストラクションにある通り、ブラウザから”http://find.synology.com”にアクセス。
無線LAN経由からのアクセスだったが、サクッと発見されて安心した。
案内に従ってパスワード等を設定。
今回はSynology推奨のSHR(Synology Hybrid Raid)でフォーマットした。
今回のディスクの構成は3TB×2で組んでみたが、SHRであればあとからディスクを追加して容量を拡張できるからだ。
将来的には同じディスクをもう2玉追加して4ドライブ、9TBの容量で運用する事を目指している。
SHR及びRAIDの容量計算にはSynologyサイトにあるRAID計算機が参考になった。
簡単にディスクあたりの使用可能用容量が計算出来る。
10分ほどという事だったが、実質5分ほどで完了した。
DSMというDS415playの管理ソフトウェアへのログイン画面が表示された。今日の天気なども表示されたグラフィカルなデザイン。先ほど登録した情報でログインする。
パスワードは自分で設定するが、初回のユーザー名はadminに設定された。
続いてQuickConnect IDの設定を勧められる。
ネット上から遠隔でログインできる様な仕組みらしい。登録を完了するとDSMのデスクトップが
表示され、セットアップ完了のようだ。
ほとんどOSの様な使い勝手・DSM
デスクトップが出てくる事で、新しいPCをインストールしたかの様な印象。
ヘルプのショートカットがあるので、それを読み進める事にする。
正直いろいろな事が出来るので、何から始めるべきか一瞬戸惑ってしまった…
欲を言うと何が出来るか、それはどうすればいいか、などのチュートリアルが充実するともっとスムーズにDSMの世界に入って行けるのではないか。もしライトユーザーを狙うとするならばぜひ搭載してほしい機能だと思う。
UI自体はかなりPCライクで、ウインドウが出てきたり、最小化したりと普段使用しているPCの感覚で操作でき扱いやすかった。
基本的な設定に関してはコントロールパネルから一元的に管理出来る。ウィジェット機能でシステムの状態も表示出来、監視もしやすい。
これは他のNASと比べてユーザーフレンドリーで非常に優れた部分だと思う。
慣れている方にはsshサービスなども有効に出来るので、コアな使い方ももちろん可能だろう。
DSMはSynologyのサイトにもデモがあるのでほぼ同じものを実際に触ってみる事が出来る。
こちらのURLから体験出来る→http://www.synology.com/ja-jp/products/dsm_livedemo
実際起動してみてのハードウエアの印象
常時起動のNASとして心配だった動作音は、数値が出せず自分の主観になってしまって申し訳ないが、WD30EFRXとの組み合せでは驚く程静かだった。
アイドル時ならず書き込み時も気にならず、常時起動している事すら忘れてしまいそうだ。
なおかつ一定時間アクセスがない場合にはサスペンドされる設定があるので、電気代にもやさしいだろう。
一つだけ気になったのは電源ランプの眩しさだ。1Kの部屋なのでベットと同じ部屋に設置しているが、部屋を暗くすると電源の青いランプがとにかく明るく眩しい!
半透明のテープを貼るなどして対処しているが、生活に溶け込む様に調整または設定が可能になればと思う。
ファイル共有
Macとのファイル共有を探る。
MacやPCからDS415playを共有するためには共有フォルダを作成するだけだ。
コントロールパネルの「共有フォルダ」からテスト用に「test」フォルダを作成した。
ゴミ箱を設定したり、ファイルインデックス(MacのSpotligthの様に検索を早くする為にインデックスを作成してくれる機能)を有効にしたり細かい設定も出来るが、基本的には共有フォルダ名をつけるだけで問題なかった。
後から設定を変更することも出来る。
つづいてコントロールパネルの「ファイルサービス」からどの方式でMacからマウントするか確認してみた。
デフォルトでWindowsで主に用いられる接続方式「SMB」とMac専用の接続方式「AFP」の2つが有効になっているので、特に設定をする必要はなかった。
Macの場合だが、どちらの方式でも接続は可能。ファイルサービス内にマウントする場合のアドレスの記載もあるが、Finderの共有部分に「DiskStation」としてDS415playを認識したので、自分でアドレスを入力してマウントする必要はなかった。
一旦マウントしてしまえば、後は外付けHDDと同じ感覚で使用出来る。
スピードテスト
さて、肝心の読み書きのスピードだが、本来ならWindowsで一般的なCrystalDiskMarkを用いたいところだが、あいにく環境がなくBlackmagic Disk Speed Test(Blackmagic Design Inc)を用いて計測してみた。
なお、この結果は自分の環境での結果なので、必ずしもこの結果が全てではないのでご了承頂きたい。
有線での計測だが、自分の環境・MacBook Airにはイーサネットポートは搭載されていないのでkanexのアダプタを用いて接続した。
スイッチャーにはNETGEARのGigabit Ethernet Switchを使用している。
ディスクの玉数や、ルーター等でまたスピードは変わってくると思う。
DS415playにはルーター側でDHCP固定アドレス割当を行っている。
まず比較として手持ちのG-DRIVE Mobile USB3.0(2.5インチディスク)での計測結果を記載しておく。
G-DRIVE Mobile USB3.0(参考)
Wirte 99.7MB/s(797.6Mbps) Read 99.3MB/s(794.4Mbps)
ちなみにSynologyの公式サイトでのスペックはWindowsでの値だが
Wirte 101.21MB/s(809.68Mbps) Read 112.45MB/s(899.6Mbps)
であった。
http://www.synology.com/ja-jp/products/performance/#4_bay
公式のスピードにどのくらい迫れるだろうか。
有線でのテスト結果
左:SMB/右:AFP
SMB Wirte 88.2MB/s(705.6Mbps) Read 94.3MB/s(754.4Mbps)
AFP Write 88.6MB/s(708.8Mbps) Read 105.1MB/s(840.8Mbps)
と前述のローカル接続のUSB3.0ディスクに迫る早さだった!
APF接続の場合の方が若干だがReadが早い印象だ。
公式の数値には若干及ばなかったが、十分な性能ではないか。
(現在の構成はSHRで2ベイ搭載なので、RAID1相当なのだと思う。4ベイでSHRないしRAID5だあればもう少し結果も違っただろう)
無線でのテスト結果
無線LANでも計測してみた。
無線LANルーターはnuro光の契約でレンタルされるONU「ZTE F660T」内蔵のものを使用。
802.11nで5GHzの帯域を使用している。
左:SMB/右:AFP
SMB Wirte 16.8MB/s(134.4Mbps) Read 12.4MB/s(99.2Mbps)
AFP Write 16.6MB/s(132.8Mbps) Read 12.7MB/s(101.6Mbps)
と、プロトコルの違いがあれど、ほとんど同等のスピードであった。
スピードはさすがにあまり早くはないが、iTunesでの再生や一般的な動画(デジカメやiPhoneで撮影した動画程度のビットレート)を見る分には十分だと思う。
無線LANに関しては11nの環境だったため、いずれ最新の11acの環境を導入した際にはどれほどのスピードが出るか是非試してみたい。
ルーター次第ではあるが理論値1300Mbps(162.5MB/s)ものスピードが出る機種もあり、有線LAN以上のスピードが期待出来る。
基本性能が素晴らしい
一通り試してみたが、NASとしての基本性能はかなりよさげ。
DSMの操作性もさることながら、ローカル接続のUSB3.0ディスク並のスピードをLAN経由で出せるのはやはり素晴らしい!
これなら、ファイルサーバーのみで考えても個人用のみならずSOHO的な会社でも十分使えるのでは。
DSMで出来る事・マルチメディア機能
旅行の際の動画などがたくさんあるが、この手のデータは外付けHDDなどに埋もれてしまい、なかなか見る事がない。
自分の環境では写真はMacのiPhoto、音楽はiTunesを使用しているが、動画に関してはファイル容量の多さ、再生方法など様々な問題から環境を整えていなかった。そして自分にはピンと来るアプリケーションがなかったのも事実だ(iPhoto、iTunesでも出来るが微妙だった)。
ただ撮りためてはいたが、ここをもっと手軽にブラウズ出来ないかと常々思っていた。
NASをアーカイブとしてファイルを保存し、無線LANでつなげば、ケーブルの煩わしさからも解放され常時起動の利点でいつでも動画をブラウズ出来るというのが理想。
本機種はplayとついているだけあり、マルチメディアの扱いに特化している。
HD1080pに対応したハードウェアベースのコード変換エンジンを搭載、DLNAサーバーにも対応するなど非常に高機能だ。
早速自分がDS415playに求めていた機能の一つ、マルチメディア機能について試してみた。
ここからは別途記載がない限り、無線LAN環境にて検証を行った。(基本的には有線に捕われないゴロゴロパソコン環境を実現したいので)
Video Stationを試す
動画の共有にはパッケージセンターから「Video Station」をインストールする。
パッケージセンターはiPhoneでいうAppStoreのようなもので、カテゴリに分かれてアプリケーションが並んでいる。
サードパーティのものもあるようだがVideo StationはもちろんSynology謹製。
インストール自体も簡単で、インストールボタン一つで済んだ。
Video Stationをインストールすると「video」という共有フォルダが自動的に作成される。
ここに動画を追加していく。
追加するとVideo Stationに自動的にインデックスされ、Video Stationアプリからブラウズ出来る様になる。
また、既存の共有フォルダに動画ある場合、そのフォルダも追加して管理できるようだ。
Video Stationのトップには「ムービー」「TV番組」「ホームビデオ」「TV録画」というライブラリがデフォルトで用意されている。この各ライブラリに動画を追加していく形だ。
追加といってもVideo Stationに直接ファイルを個々に追加して行く訳ではなく、ライブラリに登録したフォルダ内の内容が随時ライブラリに表示される。
このソフトはiTunesの様に動画を直接追加してライブラリを自動生成するタイプのものではなく、あくまでビューワー・共有機能を搭載したアプリだ。
各動画ファイルの基本的な追加管理はPC/Mac上のエクスプローラー/Finderからファイル共有で行い、ブラウズ・再生でVideo Stationを利用するのがよいだろう。
実際に動画をいくつか追加して、挙動を確認してみた
検証に当たってはデジカメで撮影した旅行の動画(QuickTime/H.264/1080p)、SDサイズの長編映画(AVC/mp4)など、様々なファイルをかいつまんで追加してみた。
デフォルトではムービーライブラリにvideoフォルダ直下が関連づけされる様なので、
videoフォルダ内に「旅行」と「その他」フォルダをつくり、それぞれ設定から
旅行フォルダ-->ホームビデオ
その他-->ムービー
と割り当ててみた。
追加してまず気になったのが、各ライブラリで動画ファイルの表示や扱いに違いがあることだった。
ムービーライブラリはムービーというだけあり、映画が追加される前提のようで、ポスター画像前提の縦型のアイコンが並ぶ。
自分が追加したものは映画ではなかったので、標準のポスターアイコンが表示されていた。
試しに映画のタイトル名にしたファイルを追加したところ、自動的にその映画のポスターが検索されアイコンとして表示された。
IMDbから情報を参照するようで、様々なメタデータも追加されていた。
個別にアイコン画像を指定したいなら、ファイルを選択し、「操作-->ビデオ情報を編集-->ポスタータブ」で画像のURLを指定できるので、映画を追加した場合はここでURL(ファイルでは指定出来ずあくまでURL)を指定すればアイコンが指定の画像で表示される。
TV番組ライブラリの場合は番組単位で分けられ、さらにシーズン、エピソードと分かれている。
海外のテレビドラマの分け方と思えばわかりやすい。こちらも映画同様にアイコンが自動的に検索される。
ホームビデオライブラリに追加した動画は自動的にサムネイルが生成される。
各動画の一番最初の画がサムネイルとして生成されるようだ。
なお、各ライブラリで「操作-->ビデオ情報を編集」内の項目は最適化されているようで微差がある。
左:映画のプロパティ/右:ホームムービーのプロパティ
各動画の表示はサムネイルの他、リストやファイル名などの表示の選択はない様だ。
ここは他の表示方法でもブラウズ出来る様に今後のアップデートに期待したい。
アイコン(サムネイル)表示のみでのブラウズなので、個人的には映画などポスターが存在するもの以外は視覚的にも豊かなサムネイルが表示されるホームビデオカテゴリに追加するのがよさそうだ。
個別にカスタムしたライブラリを追加する事も出来る。(設定-->ライブラリ タブ-->作成-->ライブラリの作成)
ライブラリの名前とビデオタイプが変更出来、後者の設定を「その他」にすればサムネイルが表示されるタイプのライブラリが作成出来る。
他にはムービーやTV 番組がある。コンテンツにあわせて項目や表示方法を変更出来る仕様だ。
各ライブラリ内を様々な項目でソート出来るのだが、自分が便利に感じたのは「フォルダ」によるソートだった。
このソートであればイベント毎にフォルダに分けvideo共有フォルダの登録したフォルダにコピーするだけで簡単に整理が可能だ。
(映画・TV番組の場合はメタデータが大事かもしれないが、個人のプライベートな動画に大したメタデータは追加しないだろう。)
肝心の再生だが、該当のファイルをクリックするとプレイヤーが表示され再生が開始される。
画面全体にプレイヤーが表示される。さらにボタンを押すとフルスクリーン表示も可能。
簡単な再生コントロールと、音量、再生品質が選べる。
再生品質だが、「元のファイル」「高」「標準」「低」の種類から選べる。
クライアント側(今回の場合はMac)が対応していれば元のファイルが再生出来るが、仮にDSMが対応していてもクライアント側で対応していない場合は「高」「標準」「低」に設定すればDSMがリアルタイムにエンコードしてストリーミングしてくれる。
これが様々なクライアントに対応しているという触れ込みの由縁だ。
試しに「高」で再生してみたが、元より若干の劣化はあるが、十分にきれいに再生された。
再生が開始されるまでの時間もさほど待たず、10秒程度で再生が開始された。
個人的に一番嬉しかったのが、Apple TVへのAirPlay対応だった。(画面右下)
プレイヤーから再生先をマイコンピュータ(現在再生しているMacの事)またはApple TVのどちらか選択できるのだ。
ブラウザのDSM上から確認していた動画をすぐにTVに繋いだApple TVから大画面で再生できるのはとてもいい。
家族や友人などと自宅で動画を見る場合にとてもよいと感じた。
他のクライアントから試す
ここまではMacのブラウザ上からDSMを操作しての動画再生だったが、このDS415playは様々なクライアントからの動画再生に対応しているので、ここからは他の機器からの再生を試してみたい。
この際、出来うる限りのクライアントで試してみた!
iPhone/iPad/Android
スマートフォンから再生する場合には専用のアプリ「DS Video」をインストールする。
手持ちのiPhone5(iOS7.1.2)、iPad2(iOS7.1.2)、motorola moto x(Android 4.4.4 KitKat)から再生確認をしてみた。
どちらOSのアプリも基本的には同じで、ログインにはアドレスまたは最初に設定したQuickConnect IDが必要だが、自宅など同じLAN内に接続している場合は横の>ボタンからLAN内のDS415playを検索してくれる。あとはアカウントとパスワードを入力すればログインされ、最近の追加という項目が表示された。
iOS版のスクリーンショット
iOS版はUIもiOS7のデザインに則っていて、サクサクで非常にブラウズしやすい。
ここからもApple TVにAirPlayできるが、Macとは違い、chromecastへのキャストも対応していた!しかもAndroid版も同じ様に両方とも選択可能だった。
自分の場合、自宅はApple TV、外出先(友人宅・実家など)では気軽に持ち運べるchromecastでキャストして大画面で楽しむ事という使い方が出来そうだと感じた。
DS415playになつかし動画やらなんかをブチ込んでおけば、話題に挙った時にすぐに再生出来て友人宅などでもウケる事は必須だ。
Android版のスクリーンショット
また、個別に端末にダウンロードしてオフライン時も視聴できる。ログイン画面の「ダウンロードしたビデオ」からか、ローカルにダウンロードされているので、他のアプリからも見る事が出来る。
外出先からの再生も行ってみた。
ルーターの設定がうまく行かないなど、もっとも手こずると思っていた外出先からのDS415playへの接続だが、非常に簡単に出来て拍子抜けだった。
QuickConnectを利用する事で難しい設定を行わず簡単にリモートアクセスが出来る。アアプリにはQuickConnect IDとログイン用のアカウント・パスワードの入力だけで接続が可能だった。
その時のネットワークやWi-Fiにもよるだろうが、今回は非常に安定して再生できた。
回線次第では再生品質を変えてみる事も出来る。
PS3
次にDLANクライアントであるPS3での再生を試してみた。これは上記のクライアントに比べると少々大変だった。(今回は有線LANで検証した)
Video Stationのヘルプを確認した限り、単体でDLANサーバーとして動く様に思ったが、PS3では認識されなかった。
なので、パッケージセンターにあったメディアサーバーをインストールすると、PS3からもDiscStationとして認識された。(蛇足だが、メディアサーバーインストール中でもiPhoneからの動画の再生は途切れなかった。まったく別のサービスとして動作しているからだろう。この時点で共有フォルダにmusicとphotoが自動的に追加された。)
再生を試みたが、今まで他のクライアントで再生していたメディアが軒並み再生できず、破損ファイルとして認識されてしまった。
なのでメディアサーバーのDMA互換性の項目から「オーディオ変換を有効にする」と「ビデオ変換を有効にする」にチェックを入れ試してみたが、またも再生出来ず。
再度項目をチェックしの「ビデオ変換を有効にする」の項目下の「DMAに対応していないファイル形式の場合にはトランスコーダーを有効にしてファイルを再生します(長い…)」に、新たにQuickTimeの拡張子「mov」を追加し、QuickTimeファイルのトランスコードを有効にしてはじめて再生が可能になった。
PS3側の問題かファイル自体との相性の問題かもしれないが、一部の動画はスムーズに再生されず、リップシンクが大幅にズレてしまった。
また、これは複数の動画に言える事だが、トランスコードをかけているであろう動画の最後1秒前ほどで再生が止まってしまう問題もあった。もしかしたら、メディアサーバーのトランスコーダーが若干安定していないのかもしれない。(そのファイルはQuickTime/H.264/1080pの動画であったが、同じ条件でも問題なく再生されるファイルもあるので原因はすぐには特定出来そうになかった。)
PS Vita
2014年4月からPS vitaでもDLNAクライアントに対応した。naspocketのバージョン2.00以降で対応する。
PS Storeからnaspocketをインストール。
最初にDLNAサーバーの検索が自動的に始まる。DiskStationとして認識されたので登録する。
動画アイコンを選択して目的の動画を探すが、認識される動画の数が圧倒的に少なくなっていた。PS3で認識・再生していたファイルもほぼ表示されなかった。デジカメで撮影したQuickTime/H.264のファイルは全滅だった。再生に対応していないメディアはPS3再生時の様にトランスコードされるものだと思っていたが、naspocketでは認識すらされず、そもそもトランスコードには至らなかった様だ。
かろうじて認識していたファイルは再生できたが、その動画のアスペクト比が2.35:1(シネマスコープ)だったのが、画面いっぱい(16:9)拡大されて表示されてしまった。これはクライアント側の問題だろうが残念だった。
TV(REGZA Z8)
この機種はDLNAサーバーもクライアントも対応しているので、再生可能か確認してみた。
無線LANを有効にし、Z8のクラウドメニューからマイページ-->メディアプレイヤー動画を選択。
順調に認識しているようだったが、いざ再生しようとするとすべてのメディアが「このコンテンツは再生出来ません」と表示されてしまった。いろいろ設定を見直してはみたが、再生させる事は出来なかった。
Windows Phone(番外編)
日本では1機種しか出ていないがWindows Phone向けDS Videoアプリもリリースされていたので、試してみた。
使用したのはNOKIA Lumia 800である。
日本ではほとんど普及していないにも関わらずDS Videoアプリはしっかり日本語化されていた。
さらに全ての動画が欠けずにブラウズされた。
だが、再生は非常に不安定でカクついてしまうことが多かった。画質を「低」に設定するとまだいくらかはマシになった。
恐らくWindows Phoneの性質上今回ライブラリに追加した動画の多くがネイティブで再生をサポートしてないため、リアルタイムにトランスコードされてストリーミングされているのだと思う。そして若干古い機種故、スペックも含めてこのような結果になったのだろう。
最新のWindows Phoneはスペックの高いものも多いので、結果はまた違うかもしれない。
なお他のスマートフォンの様にAirPlayには対応していた。chromecastには対応していないのか、リスト上には挙らなかった。
AirPlayは仕組み上、Lumia 800が動画の再生自体を行っていないはずなので(Apple TVがストリームを直接受信している)、ほかのスマートフォン同様に非常に安定して再生出来た。
専用アプリからの共有は安定感あり、初心者にも優しい
DSM上のVideo Stationでの操作は最初は慣れないかもしれないが、一度わかってしまえばどんどん追加でき、動画のアーカイブ用途には向いていると感じた。さらに様々なクライアントで再生が出来るので動画の活用機会も増えるのではないだろうか。
外部機器からの再生だが、自分の確認出来る限りのクライアントで試してみたが、抜群に安定していたのはiOS/Android機器だった。どちらも専用アプリというのもあり、簡単操作、AirPlay・chromecastでの映像送信なども安定して出来る上、初心者でも初期設定が簡単でこの環境をメインにする場合はすぐに始められて最高だと思う。
だがDLNAに関しては設定する内容が多かったり、クライアント側の問題も多かったりと、DLNA自体がPC等に慣れている方でないと難しいのではないかと感じた。DLNAクライアントの中でもPS3は比較的うまく行った方だったので、所有する動画がPS3向けにエンコードされてて、DLNAクライアントをDS415playに置き換えを検討している方には検討価値があると思う。
今回iPhone、iPad、Andorid、PS3と1つづつクライアントを増やしてゆき、最終的に4つのデバイスで負荷試験も兼ねて同時再生していたが、一度を除いて安定していた。
PS3向けトランスコードを有効した時のみ、しばらくしてiOSデバイス両方での再生が止まってしまった。先にも進められない。
一旦動画リストに戻って再生を再開したが、そこからは問題なく再生された。
この時点でリソースモニタから負荷を確認したが、メモリの使用量は高いが、システム的にはさほど負荷にはなっていないようだった。(ネットワークのピーク値は若干高いか?)
なお、今回一度も再生の停止などの問題が起こらなかったのはAndroid機器だった。キャッシュが有効に働いていたのかもしれない。
さらに5GB程の動画をMacから同時にコピーするなどの負荷も与えてみたが、動画の再生には影響はなかった。複数クライアントからの読み書き時にも安定している。
ここまで読んで頂いた方なら気づいているかもしれないが、自分はなるべくMacになにも繋げない環境作りを目指しており、更なる無線LANライフの為に有用な機能や方法を試してみた。
iTunesライブラリを移動する
自分のMacBook Airは内蔵SSDが最小限の64GBしかなく、ローカルには限られたものしか入れられない。
iTunesのライブラリは外付けHDDなどを指定する事が可能で、音楽を聞く度HDDを繋がなければならなかった。
160GB以上あるライブラリが故に外付けHDDに入れていたが、音楽を聞くたびに接続するのが億劫でしょうがなかったのだ。
これもNAS上に移し、常時接続化したい。
これに関しては特に難しい事はなく、ライブラリ全体をDS415playにコピーしてしまえばよい。
テストでは無線LAN環境でも快適に再生出来た。
MacOSの環境設定-->ユーザーとグループ-->ログイン項目にiTunesライブラリが入った共有ポイントを登録しておけば、起動時に自動的にマウントされるので、マウントを気にせずiTunesを起動する事も出来る。
iTunesサーバーを試す
また、DS415playに保存した音楽をiTunesからストリームすることが出来るiTunes Serverも試してみた。
パッケージセンターからiTunes Serverをインストール。インストールするだけでDS415playの音楽が同じネットワーク上のiTunesに共有される。スマートプレイリストを組む事も可能だ。
共有ライブラリに「DiskStation」が認識される
iTunesサーバーの設定は特に迷う事はなく、設定項目も非常に少なかった。
ただiTunes側で共有プレイリストを非表示にしていたので、表示されずにそこだけは戸惑った…
〜マルチメディア以外の便利活用〜
DS415playをTime Machineバックアップ先に設定する
DSMは標準でTimeMachineサーバーとしても機能する。バックアップ専用の共有フォルダを設定する。
Synologyのサポートにある方法で設定した。詳細はこちらから確認してほしい。http://originwww.synology.com/ja-jp/support/tutorials/608
クオータ(上限)も設定出来るので効率的だ。設定後、Time Machineから自動的にバックアップ先候補として認識された。
無線LAN経由だと流石にスピードが遅いが、有線でももちろん可能なので、状況によって選択できる。
チャレンジおまけ:動画編集
(ちょっとだけ専門的なので、飛ばしてもらってもよいです。)
これは完全にどんなもんだろうかという好奇心だけで行ったことなのだが、
業務用の動画の編集環境としてパソコンに直接繋いだローカルディスクではなく、高速なサーバー上(SANやNAS)にデータを置いて編集する方法があるのだが、それにあやかってDS415play上に動画ファイルを置いた上で編集をしてみた。
アプリケーションは若干古いがApple Final Cut Pro 7を使用。
・用意した素材
QuickTimeファイル
動画サイズ:1920x1080 pixel (フルHD)
コーデック: Apple ProRes422 HQ (10bit YUV 220Mbps-->27.5MB/s)
フレームレート:29.97fps
のものを用意した。
一般的に見るH.264などの動画と比べると、かなり高品質かつ重たいデータである。
27.5MB/sと記載した通り、無線LAN(我が家の環境:Read 12.4MB/s)ではそもそも再生出来ないので、有線LANにて検証した。
シーケンスの設定も素材と同様の設定とした(ただし8bit YUVに変更)。
簡単なカット編集をしてみたが、使用感としては直接接続したUSB 3.0環境で操作している感覚で編集出来た。
再生も問題なく、同時に2レイヤー分まではレンダリングなしで再生可能だった。(単純な計算上では3レイヤー分までは同時再生出来る)
レンダリングに関しては若干時間掛かった感もあるが、趣味で行う環境としては十分問題ないのではないかと思う。
DS415playが高速なストレージであるが故に出来る技だろう。(NASの消耗を考えるとオススメはしない…)
これさえあれば…
今回は主にマルチメディア関係を中心に検証したが、負荷が高い動画においてこれほどの性能を発揮するDS415playはなかなかの製品だと感じた。
今のところ1週間稼働しているが、特に再起動が必要な問題も起こっていない。
しかも、今回紹介出来なかったが、通常のパソコンの様にDSMにはまだまだたくさんの機能をパッケージセンターから簡単に追加出来る。
DS415play単体でダウンローダとして動作出来る「Download Station」、Video Stationの音楽版「Audio Station」、自分だけのオンラインアルバムサーバーを作成できる「Photo Station」、GoogleDriveの様なクラウドサーバー機能を追加出来る「Cloud Station」、はたまたVPSサーバーなども構築できる。
自宅のセキュリティ等にライブ環境を構築出来る「Surveillance Station」は2ライセンス(2カメラ分)が標準でついてくるなど、お得な仕様もある。
ハードウェアとしてはUSB3.0が搭載されているので、外付けHDDを直接接続して高速にコピーすることや、そのままMac/PCとの共有も可能。
QuickConnectにより、自宅外からも難しい設定を行わずDSMにアクセスできるなど、何かと難しいネットワークの設定を意識させない仕組みもある。
ついつい様々な機能を試してみたくなってしまう…
DS415playは基本性能も高く、とにかくNASと呼ぶにはもったいない、様々な用途に使えるパソコン顔負けの高機能NASだった!
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