レビューメディア「ジグソー」

価格性能比に優れたデュアルコアCPU搭載NAS

◆製品の特徴

2.5/3.5ドライブを4台内蔵可能。(現状の仕様ではMAX 5TBx4=20TB)

RAID0~RAID10、SHR等の構成が可能。

CPUにはARM系のMindspeed Technologies製Comcerto 2000を搭載。

http://www.mindspeed.com/products/cpe-processors/comcertoreg-2000

(1.2GHz動作のデュアルコアCPUで、USB3.0もサポート。)

同価格帯の製品ではMarvell6282(シングルコア1.6GHz)の採用が多いので

価格性能比は非常に高くなっています。

 

ちなみに末尾にjが付かないDS414は本機の上位機種で

CPUがMarvell Armada XPだったり、

Gbeが2個あったりと更に高性能となっています。

 

 

◆RAIDとSynology Hybrid RAID (SHR)について

SHRについてはサイトで解説があります。

http://www.synology.com/ja-jp/support/tutorials/492

 

通常のRAIDですと、2TBx4の状態で1本が故障した場合、

代替で3TBに交換した時に2TBしか使用されませんでした。

が、SHRであればその差分の1TBも有効に利用する事が出来ます。

 

よって、後から大容量のHDDへ順次交換していっても

増加分を有効活用出来る事になります。

ここら辺はdrobo等と似たコンセプトですね。

 

ちなみにサイトにはRAIDシミュレータなる物があり、

違う容量のHDDを組み合わせた場合の利用可能容量や

RAIDの違いを比較する事が出来ます。

http://www.synology.com/ja-jp/support/RAID_calculator

 

 

◆外見とHDD設置

前面部は樹脂製、側面はスチール製で、ロゴは抜き穴になってます。

 

 

玄人志向のKURO-BOX/T4と並べてみました。

電源を内蔵している分KURO-BOXの方が大きいです。

DS414jはACアダプタですが、賛否あると思います。

 

 

背面のネジを外すと内部にアクセス出来ます。

最初はトレイは特に固定されておらず、そのまま引き抜けます。

 

トレイを全部抜くと基板が見えます。

電源が外出しなので非常にスッキリしています。

CPUの発熱も低い為かヒートシンクすらありません。

 

 

トレイは樹脂製で緩衝材等もありません。

3.5の場合は横から4本のネジで固定します。

 

2.5の場合はこの位置で下から4本のネジで固定します。

 

トレイを設置したら、最後にガイドの側面からトレイをネジで固定します。

尚、上位機種では緩衝材やスクリューレス等の装備がある様です。

まぁ、価格帯からの差別化は仕方ないところでしょう。

 

 

◆セットアップの開始前に

製品パッケージにはクイックマニュアルしか付属していませんので

まずはメーカーサイトからマニュアルをダウンロードします。

http://www.synology.com/ja-jp/support/download/DS414j#download_tabs_doc

 

最新のアップデータと、各種ツールもあるのでこちらも。

アップデータはインストール時にもダウンロード可能です。

http://www.synology.com/ja-jp/support/download/DS414j#download_tabs_dsm

 

搭載可能なパッケージ群も掲載されていますので確認しておきましょう。

後ほど設定画面からダウンロード&インストールが可能です。

http://www.synology.com/ja-jp/support/download/DS414j#download_tabs_package

 

製品にはディスク類も付属せず、システムもインストールされていない為、

初期設定にもインターネット接続がほぼ必須となっています。

隔離ネットワークで利用する場合は上記のリンクから

必要な物を予めダウンロードしておきましょう。

 

 

◆初期設定

電源ボタンを押すと、HDD1~HDD4が順番に認識されていきますので

全部が点灯したら、ブラウザで「find.synology.com」を開きます。

すると、自動でローカルネットワーク内のSynology NASを検索して、

この様なページが開きます。

「接続」を押すとDS414jに接続され、次の初期設定画面に遷移します。

後は画面に従って進めていきます。

 

構築が完了するとログイン画面が出ます。

インストール中に設定したadminとパスワードでサインインします。

 

QuickConnectのアカウント作成画面です。

このアカウントがあれば、外部からの操作等が行える様になります。

必要に応じて作成しましょう。

 

Web設定画面に入ったところです。

ブラウザ内でGUIOS的に操作が出来ます。

 

 

◆HDDが故障した場合

RAID5で組むのは冗長性の確保であって、

故障時にボリュームの復旧が出来ないのでは意味がありません。

なので、NASを導入したら最初に復旧は試しておくべきでしょう。

 

試しに電源を落として1本HDDを抜いて再起動してみました。

起動後、Beep音が鳴り続け、設定画面に入るとアラートが表示されています。

Beep音はこの画面から止める事が出来ます。

 

この状態でも冗長性は確保されないものの、ディスクアクセスは可能ですので

早急に復旧してやれば大丈夫です。

抜いたHDDを戻してやると復旧とボリュームチェックが走ります。

別のHDDを入れて復旧させた場合は使用容量によっては

リバランスで時間がかかるかもしれません。

参考までに今まで使ってきたNASの場合ですと、

2TBx1本を新品に交換した後は30~40時間のリバランスがかかりました。

 

ちなみに、故障HDD以下の容量のHDDの場合どうなるか。

抜いた2TBの代わりに1.5TBのHDDを入れて再起動してみました。

この様にグループに入れさせて貰えないのでボリュームから外れた状態で認識されます。

プラッタ毎の容量差で同じ容量でも少ない場合もありますので要注意です。

同じ2TBでも667GBx3と1TBx2の物があったりしますので。

基本は同じ型のHDDか、容量の上のHDDに交換するべきでしょう。

 

 

◆RAID構成の再構築について

RAID5ボリュームを削除してRAID0へ再構成してみます。

上部のメインメニューを選択するとメニュー一覧が表示されます。

 

「ストレージマネージャ」を選択して開きます。

(ここで右クリックから設定画面のデスクトップに表示出来る様に出来ます)

 

一旦既存のボリュームを削除します。

 

ボリュームの作成を選択します。

モードはカスタマイズを選択して「次へ」。

 

今回はRAID0を選択してみます。

 

これでRAID0で再構築出来ました。

 

 

◆RAID5とRAID0のパフォーマンスについて

単純な速度だけならRAID0の方が上になるはずですが、

NASの場合は様々なボトルネックが存在するので、

一概にRAID0が速いとは限らないです。

それぞれのボリュームでCDM計測してみました。

SHRでの結果です。

74MB/secなら十分速い部類に入るでしょう。

 

RAID0での結果。

何故かシーケンシャルは低下していますが、

ランダムは僅かながら上昇している様です。

ですが冗長性を潰してまで、というまでのメリットはありませんね。

 

 

▲2014/06/17 追記

※CDMが正常な数値でない、とのご指摘がありましたので

ATTOのベンチも追記しておきます。

 

CDMとATTOどちらが正しい、という物でもありませんが

ベンチそれぞれの色が出てると思います。

ATTOは転送サイズごとの速度を計測してくれるので

どの辺りの転送サイズが得意なのかが分かりやすく、

CDMは分かりやすさに特化した形になっていると思います。

 

比較してみると、CDMは大体32KB転送辺りの数値に見えます。

公称値ではRead110MB/s、Write80MB/sくらいですが、

ATTOではReadは公称値に近い値が出ています。

Writeは若干足りてませんが、70MB/s程度は出る模様ですね。

 

 

参考までにその他のNASの計測結果も。

こちらは使用中なのであくまで参考値です。

 

・drobo-FS (2TBx5 RAID5)

HDDx5搭載可能が魅力のdroboさんです。

現在メインのメディアサーバですが、DLNA機能が大分貧弱です。

ファイル載せたら一々DB更新を行わないとDLNAに反映されないという… orz

速度はDS414jの半分くらいでしょうか。

まぁそこそこではあります。

 

 

・Intel SS4200-E (2TBx4 RAID5)

Intel製のNASという名のデスクトップPC。

CPUはモバイル用のCeleron-M 1.6GHzでチップセットは945GZを搭載。

昔のノートPCの中身をまるごと放り込んだ感じです。

そのおかげもあって、特にライト性能はかなりの速度を誇ります。

問題は巨大過ぎて家庭用NASとしての運用には問題があり過ぎる事でしょう…

こちらのメディアサーバは処理能力はあるのですが、

対応フォーマットが少なく、編集も出来ないのが難点です。

 

 

◆DLNAメディアサーバとして使う

Synologyから様々な追加機能が提供されており、無料で自由に使えます。

・AntiVirusEssential:ウイルス対策機能

・メディアサーバ:DLNAサーバ機能

・iTunesServer:iTunesサーバ機能

個人用途だとお勧めはこの辺りでしょうか。

他にもTomcatでWebサーバを構築する事も可能です。

 

ここではDLNAサーバの機能を見ていきます。

一口にDLNAサーバといっても、

対応するフォーマットや表示機能等で制限がある為、

実際に使ってみないと分からない事が多々あります。

 

左のパッケージセンターを開くと追加機能をインストール出来ます。

今回はDLNAサーバを入れたいので、

マルチメディアからメディアサーバをインストールします。

 

インストールが完了したら「開く」から設定を行います。

言語は日本語を選択、必要に応じてSSDP間隔を減らします。

メニュースタイルは音楽ファイルの表示形式のみ影響します。

 

「設定の表示」タブも主に音楽ファイルの表示方法となるので

今回はあまりいじりません。

 

 

「DMA互換性」タブの「MIMEタイプのカスタマイズ有効」にはチェックを入れておきます。

ファイルタイプの判別が上手くいかない場合に修正します。

 

 

メディアサーバをインストールすると、

自動で「music」「photo」「video」の3つのフォルダが作成されます。

この時点では共有されていないので、権限を付与しておきます。

今回はユーザー「daiyan」に「video」の読み書き権限を付与しました。

アカウントはコントロールパネルの「ユーザー」タブから作成出来ます。

 

 

Windowsからは上記の様に見えます。

必要に応じてネットワークドライブにマウントします。

基本的にはこの\videoフォルダに動画ファイルを格納すると

DLNAクライアントから視聴出来る様になります。

ただ動画フォーマットによっては再生出来なかったり、

パフォーマンスが出なかったりしますので確認してみます。

DLNAクライアントはPS3とiPad(アプリは8Player)を使用しています。

 

 

・mpeg4/AVC(拡張子.m2ts)
Blu-rayの標準フォーマット。
PS3:再生○
iOS:再生△(ビットレート次第)

 

・mepg4/AVC(拡張子.ts)
HDMIキャプチャ(KHU338)のHWエンコで録画した物。
PS3:再生○
iOS:再生○

 

・mpeg4/AVC(拡張子.mts)
デジカメ(Sonyα33)で撮った動画ファイル。
PS3:再生○
iOS:再生△(かなりカクつく)

 

・mpeg2/TS(拡張子.m2ts)
地デジ等のフォーマット。
PS3:再生○
iOS:再生○

 

・mpeg1(拡張子.mpg)
初期のmpegフォーマット。
PS3:再生○
iOS:再生○

 

・WMV(拡張子/.wmv)
MSの動画フォーマット。
PS3:再生×
iOS:再生○

 

・AVI/AMV3(拡張子.avi)
アマレココで使用出来るフォーマット。
PS3:再生×
iOS:再生×(音声しか出ない)

 

・AVI/DivX(拡張子.avi)
DivXで変換したフォーマット。
PS3:再生×
iOS:再生△(時々止まる)

 

・FLV/AVC(拡張子.flv)
ニコ動等で使われているmpeg4フォーマット。
PS3:再生○
iOS:再生△(途中で画像だけ止まる場合有)

 

・FLV(拡張子.flv)
初期の純粋なFLVフォーマット。
PS3:再生×
iOS:再生○

 

・FLash(拡張子.swf)
Flashファイルそのまま。
PS3:再生×
iOS:再生×

 

・MOV/Cinepack(拡張子.mov)
初期のApple動画フォーマット。
PS3:再生×
iOS:再生×(音声しか出ない)

 

 

◆外出先からのアクセス
基本的には殆どのNASがポートさえ開けておけば
設定画面等は外出先からもアクセス可能ですが、
その設定がネットワークを理解していないと分かりにくい為、
コンシューマ向けのNASではその部分の説明自体を
カットしてしまっている物も多いです。
本製品はこの部分を楽に設定出来る様に各種の工夫がされています。

 

 

・ルータ設定

対応ルータであればコントロールパネル内の
「外部アクセス」→「ルータの設定」からウィザード形式で
必要なポート開けを行ってくれます。

 

 

プルダウンリスト内にあれば対応しています。

が、家のは非対応のルーターでしたので自分で設定です。 orz

 

メディアサーバとして利用する場合は
TCP/UDPの1900と50001、50002をDS414jのIPアドレスに設定します。

 

 

尚、本NASのユーザーであれば、
Synologyが無償提供しているDDNSサービスを利用出来ます。

「外部アクセス」の「DDNS」タブから新規登録が可能です。

 

登録すれば、DS414j自身が定期的にIPアドレスをアップデートしてくれるので
不意にルータが再起動してIPアドレスが変更になっても
自動で合わせてくれます。

 

 

・外出先からの設定画面アクセス

iPadのSafariでQuickConnectID取得時に表示されるアドレスを入力すると
DiskStationへログイン出来ます。
ここからコントロールパネル相当の設定変更が可能です。

 

UIがシンプルなので、簡単な設定であればこちらの方が楽かも?

リソースチェックも可能です。

 

 

・外出先からのメディアサーバアクセス
穴さえ開ければ汎用的なDLNAクライアントから見えるかな…
と思ったのですが、どうにもサーバが検出出来ませんでした。
そこでSynologyが提供している、iOS用のDSVideoを使ってみる事にしました。

この場合は、メディアサーバ以外にVideoStationをインストールしておく必要があります。
アプリとしては別々の物ですが、DBとしては統合可能ですので
邪魔になる事はありません。

 

iPadからDSVideoを起動するとログイン画面となります。
IDとアカウントを入力する欄がありますが、
両方ともQuickConnectID取得時に作成したIDでOKです。

 

 

ログイン後の一覧画面はこんな感じでサムネイルが表示されてる訳ですが…
画像はファイル名から適当に取得してきた物と思われ、実は中身と違ってますw

 

Tankとなってるのは、カウボーイビバップのPV動画だったり、
GINZAとなってるのはニコニコ動画GINZAとファイル名に入ってたから…

適当過ぎるので、せめて動画内から適当にサムネイル作って下さいw

 

 

で、肝心の再生能力ですが、
正直4G回線では辛いです。
720pのmp4ファイルでも転送が間に合わずに止まってしまいます。
まともに再生出来たのはmpeg1の小さなファイルだけでした…

 

やはりストリーミング再生を供給するには
それなりの環境が必要そうです。

 

 

◆消費電力について

ワットチェッカーでファイルコピー中を計測してみました。

結果は42Wと公称値の36.7Wを上回ってしまいました。

今回使っているHDDが少し古めの7200rpmタイプというのもあって

割と高めになっている気がします。

ただ、それでもACアダプタの発熱は大した事ないので

そこは安心して使用出来ます。

 

HDDアイドル時の計測は撮り損ねました… orz

10W前後だったと思います。

 

 

 

◆そうだ、あの赤いのを突っ込んでみよう

ええ、NAS用とされるHDD、WD Redシリーズ…

は確実にやる人が居るはずですのでネタ的に却下。

 

なので…

 

 

 

 

 

アイエエエエ!ニンジャ!ナンデ!?

 

まだ残ってたというwww

256GBx4なのでRAID5にすると750GBくらいにしかなりませんので

完全にネタですw

 

 

効果は(通風性は)ばつぐんだ!

 

SSDの発熱が少ないので、

省電力設定はほぼ最低値にしても問題ありません。

SSDの電源を落とさなくて良いので、

数時間放置してても再アクセスの立ち上がりは非常に快適。

 

 

CDMを取ってみると、シーケンシャルリードがHDDに劣る結果が。

ランダム系は速くなっているのですが。

まぁ通常では体感出来る程の差は無いので、通常はHDDで問題ありません。

ただ、発熱や省電力を考えるならSSDも有かもしれません。

 

 

 

 

 

◆最後に一部の方にしか分からないネタ

電:NASが好きになったのです!

コメント (4)

  • mkamaさん

    2014/06/17

    daiyanさん

    CrystalDiskMarkでのネットワークドライブのSeqの測定値おかしいです。
    メーカー発表の性能が出ずに遅すぎます。

    SSD 256GBx4の性能測定、エクスプローラーでファイルをコピーして
    ストップウィッチで秒数を計るとLANの限界値が叩き出されると思います。
  • daiyanさん

    2014/06/17

    >mkamaさん
    ご指摘どうもです。
    より広範囲な結果の得られるATTOの結果を追記しました。

    CDMは転送サイズごとの平均が最終的に出ている可能性もあるので
    必ずしもおかしい、とは言い切れないかもしれません。
    (ATTOの結果を平均すると大体CDMの数値に近くなるので)
  • mkamaさん

    2014/06/18

    daiyanさん、どうもありがとうございます。

    ATTOでベンチマークすれば良かったのですね。

    CrystalDiskMarkはオープンソースだったので、
    シーケンシャルRead/Writeのバッファサイズを変更できるよう機能を追加しました。
    (バッファサイズは1MB固定でした。)

    バッファサイズ50MBにすると良い値がでました。
    良かったら使ってみてください。

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