「PCの外側におかれるハードディスク」という点では、外付けPCと同じようにも感じるが、その実態はNASはファイルサーバーであり、ファイルの置き場に特化したコンピュータである。もちろんそのOSはWindowsというようななじみのあるものではなく、設定は比較的高度。さらにNASに画面やキーボードをつないで直接設定や制御をするのではなく、ネットワーク越しに他PCからセットアップするので、「刺せば使える」外付けUSB-HDDに比べて敷居が高い。
さらにブラウザを用いたネットワーク越しの設定はレスポンスの問題もある。以前所持していたNASはとてもレスポンスが悪く、ブラウザ画面でクリック⇒クリックで進んでいくようなわかりやすいインターフェースではあったが、実際にはコマンドクリック後の処理の速度とレスポンスが非常に悪く、しばしば設定中にタイムアウトを喫するようなものだった。
これらが非常に苦痛だったので、NASは手放し、USB-HDDに回帰した。USBはホットスワップ対応なので、複数のPCでデータを受け渡しすることも簡単にでき、さらに近年はフラッシュメモリの低価格化で、USBメモリも十分な容量になったので、単なる「ファイルの受け渡し」には困らなくなった。
さらにここ数年はクラウド保存ということが個人でも簡単にできるようになり、インターネット上のストレージサービスに保存しておけば、複数のデバイスで、時と場所を選ばず情報にアクセスできるようになった。
これらによって、特に家庭内で使用されていたNASの重要度は下がったのだろうか?
いや、あらゆるものがデジタルデータ化されつつある現在、以前と比べてその「入れ物」としてのNASの需要は高まっている。
写真やビデオなど共有のニーズが高いものに特化して、設定を単純・簡便化したような特定用途NASやはむしろ以前より増えている。クラウド上にあるものはセキュリティとデータ保全が「他人まかせ」であることへの不安が払拭できないし、DLNA対応機器をつないだ家庭内でのコンテンツの使い回しも一般的になってきた。さらに音楽や映像の購入をディスクなどではなく、ダウンロードで行う場合も増えており、それらをダウンロードを行った以外のデバイスでも聴きたい/観たい場合や、バックアップを取りたいというニーズも出てきた。
最近のNASは単なるPC用のドキュメントファイルの置き場ではなく、特に家庭においてはさまざまなマルチメディアの集積場所となっているのだ。また以前のようにPCは一家に一台、というような状況は去り、個人でもWindows PC、Androidタブレット、iPhoneなど複数のデジタルデバイスを使い分けることが普通になってきた。このようなクロスプラットフォーム状態でのファイルのやり取りをするのも第三者的に独立しているNASというのは便利だ。
今回、デュアルコアCPUを積んで処理能力を高め、4ディスクベイを備えたNASキット「DiskStation DS414j」がSynology社から発売された。SynologyはNASに特化したメーカーで、大企業向けのラックマウントNASから、1ドライブの家庭用NASまで幅広く手掛ける。Synologyにはよく似た名称のDiskStation DS414というNASがあるが、ともに廉価な4ドライブ対応NASキットではあるものの若干方向性が異なる。ディスク交換時のホットスワップやフロントアクセス、LANの二系統装備、メールサーバー機能など企業向けの機能が充実している「DS414」に比べ、「DS414j」はそれらを省き、低騒音・低消費電力としてさらに求めやすい価格を実現した、より個人・家庭向けにフォーカスされている製品だ。
しかしバックアップソフトウェアをはじめとするアプリケーションは供給されるし、Windows、MacおよびLinux各デバイス間でのファイル共有もサポートし、ビジネス用途でもSOHO程度であれば十分対応が可能だ。
このNASキットのバックアップ機能やファイル共有機能など、家庭での使用に関して評価したい。梱包をあけると内容物はNAS本体、ACアダプタ、LANケーブル、ドライブ固定用ネジ(インチ、ミリ)、ドライブトレー固定用ネジに一枚ペラの説明書。本体の大きさは168(W)×184(H)×230(D) mmということだが非常にコンパクト。ただリアには80mm冷却ファンが2基搭載されており、一部の家庭用NASに見られるようなコンパクトさを求めるあまり冷却性能が犠牲になっているようなことはない。ついでに外部ポートを説明すると、Gb対応のLANとUSB2.0、USB3.0ポートがそれぞれひとつずつ、強制リセット用のボタンに特殊形状の電源端子というものだ。USBはなぜ2.0と3.0なのか...ということに関しては、3.0に関しては当然外部接続のHDD/SSD用となるが、2.0に関しては後述するBluetoothアダプタなどの搭載時の相性を考えてのことだろう。まず、NASキットを使うにあたってはNASに仕立て上げる必要がある。というのもこの商品は初期状態ではHDDやSSDを積んでいない。用途や予算に合わせて、自分でHDDやSSDを積み込む形式。RAID 0にも対応するので、SSDを2台積んで超高速ストレージを構築するもよし、大容量(最大5TB/ベイまで対応)のHDDをフルに積んでRAID 5や10構成で冗長化されたストレージを組むのもよい。
ただ、今回Synology社独自のRAID方式、「Synology Hybrid RAID(SHR)」を用いた構成を構築する。これは「RAIDを構成するHDDは同一容量でなければならない(そうでないと無駄が出る)」という常識を覆したRAID形式。かといってJBODのように冗長性が保たれていない単なる「寄せ集め」状態なわけでもなく、ディスク台数によってRAID1あるいはRAID5相当の冗長性が担保できるモードだ。これは使用容量の増加に合わせて、あるいは構築時の出費を抑えて「徐々にグレードアップしていきたい」というニーズには大変適している。
今回cybercatも新規購入の4TBのHDD
とメインPCでツイン構成にしたものの、RAIDは組んでおらず浮いていた3TBのHDD
を当初は使用することにした。
実はこの状態ではSHRも一般的なRAID1も変わらない。容量が少ない3TBに総容量は合わされ、冗長化用にもう3TBが使われて、1TBは「あまり」だ。
しかし今後4TBのHDDをどんどん追加していこうと考えているので、そうなると話が変わってくる。
次段階、3+4+4TBの総合計11TBのHDDの構成の時はどうだろう。
・SHR:データ領域=7TB、保護用領域=4TB、あまり=「なし」
・RAID5:データ領域=6TB、保護用領域=3TB、あまり=2TB
で1TBの差が出る。またSHRはシームレスに上記の総合計7TBの3+4TB構成から移行できるが、RAID1⇒RAID5の変更は再インストールだ。
さらにもう一台4TBのHDDを購入した時に3TB⇒4TBと交換した場合(すなわち4TB✕3)はSHRもRAID5も変わらず記憶域8TB、保護用領域4TBとなるが、3TB HDDを残してさらに4TBを積んで3+4+4+4TBの4ディスク構成にしたときは、
・SHR:データ領域=11TB、保護用領域=4TB、あまり=「なし」
・RAID5:データ領域=9TB、保護用領域=3TB、あまり=3TB
とさらに差がつく。
最終的にHDDを買い増していって4TB✕4(データ領域=12TB、保護用領域=4TB、あまり=「なし」)を目指すのであっても、ステップアップが容易でその最終時点までの過程において可能なかぎり「ムダなく」使える訳だ(途中で5TB HDDの価格が下がって最終目標をこのNASの最大容量、つまり5TB✕4(データ領域=15TB、保護用領域=5TB、あまり=「なし」)に切り替えても同様)。なお、これらの計算はメーカーのサポートページ「RAID 計算機」で計算できる。
ただし、これらの増設過程においては、「追加するHDDを現在使用しているHDDの容量以上のものにしなければならない」という大前提があるのは注意が必要だ。今回、当初このNAS専用にと新たに用意した4TB HDDとメインPCのデータディスクとして用意してあった3TB HDDを用いて各々の性能を検証しつつこれらを確認した。HDD搭載に先立ち、まずこのNASの構造を見てみよう。このDS414jはホットスワップには対応していないので、HDDの増設・換装は電源を切った状態で分解して行う。
本体後ろの手回し可能なスクリューを4本取り去ると、ファンが搭載されているバックパネルを開けることができる。この際このバックパネルの蝶つがい部分にはダンパー機構がある訳ではなく、また、ワイヤーなどで結ばれている訳ではないので「パタンッ」と開いてきてしまうので注意が必要だ。 そのあとはPCケースの要領で、カバーを後ろにずらしながら抜き取る。ディスクトレーが引き出し状に4段あるのでそれを抜くと分解完了だ。内部構造的には「引き出し」を取り去った先にはSATA&電源コネクタがある。ここまで分解したのでめぼしいチップ類もチェックしよう。NASは構造としては基本的に「ストレージ特化型コンピュータ」なのでCPUを搭載する。このような用途で使われるCPUは性能より低発熱で低消費電力、さらに安価であることが求められるので、一般的な意味での性能は決して高くない。しかし、このNASに使われているのは「ホームから小規模オフィスまで」というカテゴリーに属する「DiskStation jシリーズ」では初採用のデュアルコアCPU、MindspeedのComcerto 2000(1.2GHz)となり、反応性や処理能力を高めている。その隣にあるSATAのSamsungのチップは型番からはDDR3モジュールのようだ。
SATAコントローラーはMarvellの88SX7042、NASの性能のボトルネックともなるLANのコントローラーはBothhandの24HSS1041A-2 HFを採用する。集積度が高い汎用PCのM/Bと比べると部品点数もまばらでヒートシンクもついてはいないが、他にもバックアップバッテリーやBIOSチップらしきものもあり、NASとは「ストレージ特化型コンピュータ」である、というのが頷ける内容だ。
このNASキットにHDDを積んでいくのだが、まず1番ベイ(1番上部)に新規購入の4TB HDD
を1台のみ積んだ。ディスクトレーの突起と、HDDの下部のネジ穴のひとつを合わせて...サイドからインチネジで固定、その後トレーを差し込んで、奥まで入れたら両サイドから長めのディスクトレー固定ネジでディスクトレーを固定する。バラした逆順に組み立て、ACケーブルとLANケーブルを差し込めば、取りあえずシングルHDDのNASが完成する。
ちなみに分解して気がついたが、ケースのサイドに入る社名部分はメッシュとなっている。ひょっとしたらこの部分もエアフローに関わっているのだろうか。単にカバーとしてしまうよりは放熱性は良いはずで、小さな工夫と感じた。物理的に接続が終わったNASはセッティングをしなくてはならない。とは言っても本体に入力用のボタンなどがある訳ではなく、同一LAN内にあるPCからセットアップする。ブラウザを開いて「http://find.synology.com」とキーインすればLAN内のsynology製NASを検索して接続画面が開く。組み込んだHDDの初期化確認画面になるのでOKすると次にNASの管理アプリ、Disk Station Manager(DSM)のインストール画面になる。つながっているLANがインターネットに向かって開かれていれば、ネットから最新版を取ってくる設定だ。しばらくすると初期画面が立ち上がり、ログインするとNASへのショートカット作成を経て、ブラウザベースのDSMの画面へ遷移する。このようにセットアップでは迷うことがない。ただ、せっかく自動で作成されるアイコンが簡素きわまりないもので、もう少しSynologyもしくはNASへのショートカットであることを主張した方が良いように思える。いくつかのアプリはインストールして、使用してみたのだが、それは後述することにして、ここはまとめてNASの性能とHDD換装関連を先にレビューしよう。
単体製品としてPCにSATA 6Gb/s接続した4TBのHDDは性能としてはSeq Read 169.7MB/s、Seq Write 162.4MB/sを持つものだったが、
これをNASに組み込むとSeq Readが60.31MB/s、同Writeが60.54MB/sと1/3強程度の速さとなる。ランダム系も同傾向だが、ファイルサイズが小さいWrite性能だけ性能上昇が見られる。これはNAS自体が持つキャッシュが有効に働いているとみるべきなのだろうか。以前持っていたNASに比べればHDDの性能向上もあり、高速な結果を得た。次はこのNASにもう一台HDDを追加してみる。もう一度バラして今度は2段目に3TBのHDDを増設した。組み立て後、先ほど作ったDSMにアクセスすると初期化されていない3TBのHDDが見える。SHRで使えるようにフォーマットしたあと、先にインストールした4TBのHDDが形成しているボリューム1の容量を増やすには「管理」ボタンを押して拡張するのだが...押せない。これは実は当たり前。先にも書いたとおり、「追加するHDDを現在使用しているHDDの容量以上のものにしなければならない」というルールがある。そのため、4TBのHDDで形成されているボリュームに3TBのHDDを追加してSHRを形成させることはできないのだ。
...という事で今度は3TBのHDDを先に仕込んで検証し直してみよう。前回同様本体を開け、今度は1番スロットに3TB HDDを一台搭載してみる。初期化したのでDSMはもう一度インストールする。ちなみにこのときの性能はこの程度。単体ではSeq Read 165.0MB/s、Seq Write 159.8MB/sと気持ち4TB版に足りない感じだったが、414jに積んだ結果も同様に4TB版に気持ち及ばない感じで、SATA接続のやはり1/3強程度だ。ここまで確かめたあと、2台目の4TB HDDを積む。接続後DSMを開くと...「ハードディスクを追加してボリュームを拡張する」が選択可能に!この操作を実行すると..「増設しています」と表示されしばーーーーーーーーーーらく待たされる。どのくらい「しばらく」かというと....今回のケース(3TB HDDに4TB HDDを追加してSHRでRAID1相当を構築)で約10時間。特にパリティチェックがながく9時間以上かかった。それが終了すると3TBと4TBの2台のHDDで3TBの記憶容量を持ち、どちらか1台の障害に耐えうる冗長性を持つRAID1相当のSHR=Synology Hybrid RAIDが構築できる。なおこの時の性能は以下の通り。もとのHDD2台の単体性能よりもやや落ちるが、Seq Write以外は気持ち程度で、冗長性を保てることを思えば充分許容範囲といえるだろう。
さらにここでHDDを追加する。追加したのは4TBのWD Red。
また電源を切ってカバーを取り去り、今度は3段目に新規4TB HDDを追加する。各所のネジを締めて電源再投入するとしばらく後に3台目のHDDが認識される。DSMの「ストレージマネージャ」の「HHD/SSD」の項では「非初期化」と表示された4TB(3726.02GB)のHDDが見える。次に「ボリューム」の項に移動すると「ボリュームマネージャ・ウィザード」が立ち上がり「ハードディスクを追加してボリュームを拡張する」が選べるので、それを実行する。実行するとステータスが「増設しています」となり「ディスクを追加する」の隣のパーセンテージが上がっていくが、ここは待ったりしないで寝てしまうのが吉。今回の例(3TB+4TBのSHRに4TBの新規HDDを追加してSHR再構成)で言うと実に所要時間46時間、ほぼまる2日だ。容量6.32TB(Windows上での1kB=1024Byteでの計算容量。1kB=1000Byteの計算方法では6.95TBでほぼ7TB)のRAID5相当のSHRが構築された。
スピード的にはReadはほぼ変わらず、Writeは特に512kBのランダムとシーケンシャルが落ちた感じになったが、4kBの結果はむしろ好転気味と好悪相半ばする結果。しかし書き込みより読み込み速度が必要な音楽ファイルのストレージとしては問題なく、安定性と効率性が増したので、従前の不均等RAID1相当のものより利便性は増したといえるだろう。さて、このNASだが、単なるファイルサーバーとしても高速であることを示したが、キモはクロスプラットフォームなアクセス性と豊富なアプリ群の活用にある。
まずWindpwsPC以外からのアクセス性としては、Windows系ながら若干挙動が違い、「対応OS」の欄に明記されることが少ないWindows RT
はどうだろうか。
これは全く問題がない。
WindowsPCと同様にDSMも使えるし、DiskStation DS414jのファイルの中身も確認できる。ではiOS機であるiPhoneはどうだろうか?
iPhoneにはSynologyより、ファイル閲覧アプリが供給される。「DS file」
というそのビューワーは無線LAN圏内には入れば問題なく内容の閲覧が可能だ。一方、外部からのアクセスは「QuickConnect」という設定を行えば大丈夫なハズなのだが....現在のところ上手く通っていない。ルーターの設定などがあるのかも知れないため、ここは追い込んでいきたい。
⇒うまくいかなかった点が判明した。
問題点は用語の不統一にある。外部からのアクセスを設定する「QuickConnect」設定画面、NASにアクセスできるユーザーの設定画面、NASにアクセスするiPhoneアプリのログイン画面ですべて用語が異なるのが勘違いを産んだ。
まず「QuickConnect」の画面では「MyDS Account」と「QuickConnect ID」の二つを設定するが、前者はユーザーに紐付けられた「メールアドレス」で後者は「サーバー名(DS414jにつけた名前)」だ。一方ユーザー設定をする「MyDSセンター」では「名前」というものと「電子メール」というものを設定するが、前者は「アカウント」であり、後者は「メールアドレス」すなわち「MyDS Account」だ。そしてiPhoneアプリ、「DS file」では「QuickConnect ID」と「アカウント」を入力するが、前者は「MyDS Account」で設定したサーバー名で、後者は「MyDSセンター」での「名前」だ。これらの各種設定画面での名称の不統一が混乱を招いた。
上記設定を行うと外部からきちんとNASにアクセスできた。またアプリ群はかなり豊富なのだが、(以下一例)日本ではなじみのないものも多く、また説明も充実していない。名前を見ただけでは「なにを実現するアプリなのか」皆目見当がつかないものも多く、このあたりは説明文の充実とスクリーンショットの点数追加でわかりやすい解説を望みたい。また、DS414jにはマルチメディアサーバー機能もある。用意されるアプリ群には、「Audio Station」とか「iTunes Server」といったミュージックサーバー系のアプリがある。「Audio Station」を導入して検証してみた。アプリをインストールした後、「File Station」の「music」フォルダに楽曲をアップロードする。今回検証したのは3種の形式。mp3とwav、FLACだ。
まずメインPCに物理的につながっているスピーカでの再生を「Audio Station」インストール後検証した。この場合は3種のファイルの内、mp3形式しか再生されなかった。これでは、圧縮音源のみの対応となりcybercatが一番多く持つFLAC形式に対応しないので「ミュージックサーバー」としてはかなり片手落ちだ。「マルチメディアコンテンツ」を再生する、と謳う「メディアサーバー」をインストールしても同じ。
しかしここでDisk Station Manager(DSM)の説明において「USB スピーカー、Bluetooth スピーカー、AirPlay スピーカーでサポートされるオーディオ フォーマット」の方が「ブラウザでサポートされるオーディオ フォーマット(元のフォーマット)」より多いことに気づく。
「Bluetooth スピーカー経由では再生可能なのではないだろうか?」
そこで、このNASにBluetoothアダプタを搭載することに。
Bluetoothアダプタは「挿すだけ」。これで、DSMの「コントロールパネル」、「ワイヤレス」の「Bluetoothタグ」が活きるようになる。そして、Bluetoothスピーカー
をペアリングすると接続できる。これでAudio Stationから出力先を「マイコンピュータ」からBluetoothスピーカーに切り替えると...無事、3形式とも再生可能に!これならミュージックサーバーとして使える!!さらにiPhoneで音楽再生アプリ、「DS Audio」
をダウンロードするとゴキゲンだ。この場合も3形式とも再生ができるので、イヤホンをiPhoneに繋げば家の中でどこにいようと途切れることなく音楽が聴ける。今まではメインPCにつながっているHDDに曲を貯めこんでいたので、他のデバイスで聴くときは転送、という作業が必要だったが、DiskStation DS414jのmusicフォルダにアップロードしていれば、家の中ではどのデバイスでも、どの位置でも好きな音楽が再生可能になった。
しかしこれもiPhoneなどを使えば、「QuickConnect」経由で外部からもアクセスできるはず。もう少しこのあたりは詰めて行きたい。
⇒上記「DS file」同様、「QuickConnect ID」と「アカウント」を入力するが、前者は「MyDS Account」で設定したサーバー名で、後者は「MyDSセンター」での「名前」だ。ただ外で再生するにはLTE回線でもやや役不足で、軽量なmp3形式は受信感度最大で問題なかったが、特に非圧縮のwavはブチブチと音が途切れた。外で他者に「こんな感じの曲」と聴かせるくらいでは、全く使えない訳ではないが、「鑑賞」という点ではキビシイ結果だった。NASは多くのデータをため込む。特に本機のように巨大な容量にまで発展しうる冗長化されている保存先にはデータはたまる。その際NAS自身のバックアップを取っておく必要がある。そうしなければそれを失った際の損害は計り知れないからだ。この用途としてはUSB3.0ポートに接続したHDD(SSD)にバックアップを取ることができる。
メインメニューから「バックアップと複製」を選べば、ウィザード形式で外付けディスクや他のSynologyサーバーへのバックアップが提供される。
一方、PC側から見れば、NASは有益なバックアップ先だ。NASが含まれるネットワークに1台しかPCがない場合はひょっとしたらUSB HDDの方がバックアップ先として有用かもしれないが、1個人で、あるいは1家庭で複数台PC系デバイスを持っていれば、バックアップ元のPCが不動であっても、他のPCから目的のファイルにアクセスできれば用が足りることも多い。このようなニーズの場合、このDiskStation DS414jがバックアップ先として使用できるかどうかも重要なことだ。
ネットワークドライブへのバックアップが可能なバックアップソフト、「LBファイルバックアップ4Pro」
を用いて検証した。一度設定すれば、このソフトの特徴である世代バックアップも含めてきちんと動作し、この独特なRAID方式であるSHR形式を採用した際も、バックアップ先として問題ないことが判った。NASと言えば年がら年中点けっばなしと言うのが相場。消費電力はいかがなものだろう。サンワサプライ ワットチェッカーPlus TAP-TST7
を使って計測してみた。
結論から言えばアクセス時でも1ドライブでは15W、2ドライブでも17W程度とかなり低い。1ドライブの平時は10W程度であり、24時間稼働させても高額な電気代を請求されることはないだろう。今回、NASを得意とするSynology社の「ホームから小規模オフィスまで」向け4ベイNASサーバー、DiskStation DS414jを検証する機会を得た。本機はホーム用としては現状最大級の4ベイNASサーバー(最大5TB HDD✕4)でありながら、独自のSynology Hybrid RAID(SHR)を使ってステップアップの敷居を低くし、かつ、デュアルコアCPUのMindspeed Comcerto 2000の処理能力とブラウザ利用設定ツールDisk Station Manager(DSM)と用意される豊富なアプリによって、家庭用からSOHO程度のオフィス用途にまで幅広く対応したNASだった。
家庭用としては単にファイルサーバーとしてでなく
・ミュージックサーバーやフォトサーバーとして使えること
・Bluetoothアダプタを搭載すれば、Bluetoothスピーカーを駆動できること
・無償提供されるiPhoneアプリで、家中どこでも音楽が持ち歩けること
など、エンターテインメントセンターとしても使え、この用途のみのために入手しても良いくらいだ。
ただ、以下の点はやはりNASの敷居の高さを感じた。
・DSMの設定が判りづらい。特に共有設定などが語句が難解。
・せっかく豊富に用意されるアプリの説明がほとんどなく、なんのためのアプリかよくわからない。
・ミュージックサーバーとしては再生アプリの問題かブラウザの問題かファイル形式が十分でない(直接再生の場合)
・「QuickConnect」がなかなか設定ができない。
(⇒解決したので、「DS file」「DS Audio」の項に追記)
あたりがNAS独特の設定のしづらさを感じた部分だ。このあたりが改善されれぱ、「NASというものは企業が持つものでしょ」という層にさえアピールしうる可能性を持った製品だと感じた。
このSynology DiskStation DS414jはその手軽な増設性と冗長性を高いレベルで実現し、個人で楽しむためのアプリも数多く用意され、「個人でNAS持ち」というのは特殊なケースではなくて、誰でもがそうなる時代はすぐそこに来ているのを感じさせる製品だった。
末筆とはなりましたが、今回このような機会を与えてくださった Synology Inc.様 、zigsow事務局様に御礼申し上げます。またレビューアップまでの応援など常に支えとなってくれたおものだちの皆様はじめジグソニアンのみなさまに感謝いたします。
ありがとうございました。
【製品仕様】
CPU:MindSpeed Comcerto 2000(デュアルコア、動作周波数1.2 GHz)
システムメモリ:DDR3-512 MB
ドライブベイ:4SATA(III) / SATA(II) (3.5インチ、2.5インチ両対応、最大6TB HDD/ベイ)
外部インターフェース:USB 2.0 ポート×1、USB 3.0 ポート×1、LAN (RJ45)Gigabit×1
ノイズレベル:18.9 dB
電源ユニット / アダプタ:90W(100V~240V AC)
消費電力:36.7W(アクセス時)、8.5W(HDD ハイバネーション)
外形寸法:168(W)×184(H)×230(D) mm
本体重量(ドライブ除く):2.21Kg
Synology DiskStation DS414j 製品紹介ページ
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2014/06/18 使用したBluetoothスピーカーへのリンク増設
2014/06/19 使用したバックアップソフトへのリンク増設
2014/06/20 使用した音楽再生アプリへのリンク増設
2014/06/21 使用したファイル閲覧アプリへのリンク増設
2014/06/22 「DS file」「DS Audio」を使った外部アクセス設定に関して追記
2014/06/23 一部スクリーンショット入れ替え
2014/08/04 追加で4TB HDDを加え、RAID 5相当にした作業とそのパフォーマンスを追記
2015/02/06 最大内部生容量変更
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