今回のプレミアムレビューは,プロ用IEM(In Ear Monitor)のWestone UM Pro50となります.IEMには,カスタム(耳型採取)とユニバーサル(イヤーチップ対応)の2種類がありますが,UM Pro50はユニバーサルIEMです.
”音モノ”レビューは,いつも興奮しますが,今回のUM Pro50は7万円以上もする高級イヤホンなので,さらにドキドキ感いっぱいです.
また,いつもの注意点ですが,一個人の超主観的なレビューであることをご理解願います.
音質や使用感のレビュー前に,全体的な概要です.
まず,内容物です.
UM Pro50イヤフォン本体(アンバランスイヤホンケーブル付),ハードケース,各種イヤーチップ,クリーニングツール,取説となります.
UM Pro50は,mmcxの脱着式で,汎用性が高いため,リケーブルも楽しめます.国内外の様々なメーカーカーからピンきりの価格帯で,いろいろなケーブルが出ていますので,ケーブル沼も待っています.
UM Pro50 のスペックです.
仕様(Westone HPより抜粋):
形式: BA型3Way構成
BA数: 低域×1基,中域×2基,高域×2基
コネクター: イヤホン側mmcx,アンプ側3.5mmステレオミニプラグ
コード: 脱着式Y型128cm
入力感度: 115dB
再生周波数帯域: 20Hz~20kHz
インピーダンス: 45Ω
質量: イヤホンのみ12.7g
付属品: 各種イヤーチップ,ハードケース,クリーニングツール
UM Pro50は,プロミュージシャン向けモニタリング用途としてリリースされましたので,解像度が高く,モニター向きな引き締まった音質が想像されます.BA5基構成のため,どれくらいの広さと解像度を聴かせてくれるのか非常に楽しみです.
最近注目されているハイレゾの定義からすると,再生周波数帯域からハイレゾ対応は謳えないですが,ハイレゾ対応=高音質では無いので,特にイヤホンの場合,個人的にはあまり気にすることはない思っています.スペック(帯域)ではなく,音(密度)でハイレゾを定義すべきです.
それでは,外観から.
ハウジングが小さく,ケーブルも柔らかいです.
mmcxコネクタは,ハウジングに干渉しにくくなっています.
クリアモールドなので,BAユニットが見えます.
ノズル部は細軸です.ノズル内部は,フェーズコントロールにはなっていません.
UM Pro50には,BAユニットが5基も入っているのに,小さい/軽いというのがまず目を引きます.今までいろいろな試聴をしてきた中でも,BA数に対して驚異的な小ささです.この中によく5基も詰め込まれているというのが率直なところです.この辺は新興メーカーとは異なり,Westoneには”一日の長がある”と感じます.
装着形式は,耳掛け(通称SHURE掛け)になります.ケーブルも,耳掛け形状を反映した作りになっていて,ケーブルの材質や柔らかさから,タッチノイズの発生しにくいことが予想されます.
このイヤホン形状と軽さとケーブルの柔らかさは,プロのミュージシャンが長時間装着していても負担をかけにくいと思います.
付属品は,各種サイズのシリコン系イヤーチップとフォーミング系イヤーチップ,収納ハードケース,クリーニングツール,説明書です.しっかりした収納ケースが付属してくれるとことがうれしいです.
また,イヤーチップはサイズごとに,軸の色が異なります.セットを見つけやすいですが,他にメリットがあるかもしれません.それから,このイヤーチップですが,通常のイヤーチップより長いです.この辺も装着感に影響してきそうです.
今回のレビューは,デスクトップ(PC)環境,ポータブル(DAP)環境の2つで行います.
a)デスクトップ環境:PCオーディオ
Windows(Note-PC)上で,プレイヤーアプリにAudio Gate(KORG)とMusic Center(SONY)を使い.USB-DAC-AMP(+HPA)の組み合わせで,ハイレゾ音源やCDリッピングのflacを中心に聴きます.
USB-DAC:
HPA:
基本のアンバランス接続は,一番純粋にイヤホンの特性がわかるように,Note-PC(Windows)にASIOモードでDS-DAC-100mを接続し,Audio Gateアプリで再生し,DS-DAC-100mのヘッドホンジャックで聴きます.また,この環境にHPAとしてimAmpを介し,HPAの必要性を確認します.
バランス環境は,DS-DAC-100mの出力をDigiFi No22に入れて聴きます.ただし,この場合にはフルバランスにはならないため,X3 2nd(FiiO)のデジタル出力をREX-KEB02AKに入れて,REX-KEB02AKのヘッドホンジャックで聴くこともします.
b)ポータブル環境:DAP
XDP-300Rへの直挿しで,PCオーディオと同じ曲を聴きます.XDP-300Rは,アンバランス/バランスの両方で聴きます.
バランス接続時は,HPAを介した場合も聴きます.アンバランス接続時は,XDP-300R直挿しのみです.
今回,比較用の基準イヤホンを何にするのか,応募時に非常に迷いました.正直,この選択が一番悩みました.その結果,同じプロ用途でモニター音質,かつBA2基構成のオーディオテクニカATH-CK90PRO MarkⅡ(以下,ATH-CK90PROMK2)としました.価格差があるので,本来ライバル機ににはならないのですが,モニター音質で,基準の音とする意味でも,同じBAのイヤホンで,癖のないものを選びました.
その他,比較用の機種として,4機種選びました.BA比較として,BA5基のUM Pro50に対して,BA1基のORION CK(Campfire Audio),そして8基のAngieⅡ(JH Audio).2基のATH-CK90PROMK2とあわせて,1/2/5/8基のBA構成違いをレビューします.
また,BAとは異なるD型との比較として,HA-FX1100(JVC)を選びました.BA型とD型がどのように違うのかをレビューします.
そして,BA型とD型のハイブリッド構成のDN-1000(DUNU)とも比較します.一般的には,低域はD型,高域はBA型が有利と言われていますが,実際にはBA型は高域が出にくいそうです(BA型のハイレゾ対応が無い理由).
また,形状的によく似ているハイブリッド構成のBd005E Red(KINERA)も比較しようかを考えましたが,価格が1桁以上異なるので,勝負にならないので除外します(ただし,後ほどケーブルのみ使用します).
今回の6台を並べるとこんな感じになります.
個性豊かなイヤホンが揃いました.ファーストインプレッションには間に合いませんが,最終締め切りまでには,比較レビューを書きます.
BA2基:基準:モニター音質
ATH-CK90PROMK2
BA1基:Simple is Best
ORION CK(未登録)
BA8基:リファレンス
Angie Ⅱ(未登録)
D型:美音
HA-FX1100
ハイブリッド:コスパ
DN-1000
※ORION CKとAngieⅡは,モチモノ未登録(レビュー未完成)のためリンクがありません.写真だけとなりますが,ご了承下さい.
一覧表にすると,こんな感じになります.
値段と形状を考えなければ,この中では基準のATH-CK90PROMK2が,同じBA型で,プロ用モニターとして音質が一番近いのではないかと思いますが,ATH-CK90PROMK2はオーソドックスなカナル型なので,IEMとしてはやはりAngieⅡがライバルです.Westone社にもJH氏(IEMの神様)は在籍していたので,何らかの関係があるかもしれません.
また,周波数帯域に注目すると,BA1基のORION CKが,検討しています.広帯域という視点では,ダイナミック型が有利であることもわかります.
スペックを見ても音はわかりませんが,それぞれに違いが面白いです.この中で唯一ハイレゾ対応しているのが,D型のHA-FX1100です.BAは帯域を延ばすのが難しい結果だと思います.ケーブルコネクタは,mmcx方式が主流で,最近の機種はリケーブルが一つのトレンドになっています.
※今回,各機種の価格はあえて載せませんでした.発売時期も異なりますし,合計金額を見るのも怖いので...
ただ,価格イメージはこんな感じです.
AngieⅡ>UM Pro50>HA-FX1100>ORION CK>ATH-CK90PROMK2=DN-1000
音源は,CDからリッピングしたflacと,e-onkyoからDLしたハイレゾ音源(flac/DSD)になります.
特に比較用として聴くのは,藤田恵美:Best of My Love(Camomile Best Audioより),井筒香奈江:氷の世界(リンデンバウムより),Diana Krall:No Moon At All(Turn Up The Quietより),沖仁:Spain(Clasicoより),宇多田ヒカル:二時間だけのバカンス(Fantomeより)です.
藤田恵美:Best of My Love:登録はSACDですが,実際にはハイレゾDL版です.
井筒香奈江:氷の世界:ハイレゾDL版
Diana Krall:No Moon At All:ハイレゾDL版
沖仁:Spain:ハイレゾDL版:未登録
宇多田ヒカル:二時間だけのバカンス:ハイレゾDL版
UM Pro50の試聴にあたり,イヤホンのエージングを行っています.このエージング基板を使用して48時間,その後,DAPに接続して24時間以上連続再生しました.エージング前でも,あまり気になる点はありませんでしたが,UM Pro50の本来の音質が不明なので,念のため72時間以上のエージング後にレビューします.
USB電源のみでホワイトノイズを発生させて,エージングしてくれます.便利!
このあと,ファーストインプレッションを挟んで,イヤーチップ探しの旅,再生環境,音質徹底レビュー,リケーブルの効果,他機種比較,まとめと続きます.
完璧にチューニングされた超筋肉質万能型アスリート
UM Pro50のファーストインプレッションです.
付属ケーブル,付属シリコンイヤーチップのままで行っています.
ただ,イヤーチップ選びがいつもと違っていました.この違いは,装着感のところで詳しく書きます.初めから本体に付いていたイヤーチップ(Mサイズ?)ではなく,付属シリコンイヤーチップへのサイズ変更をしたあとのレビューです.また,コンプライなどのフォーミングチップが苦手なので,シリコン製イヤーチップのみ試しています.
ファーストインプレッション環境は,デスクトップオーディオで,DS-DAC-100m(KORG)に直挿しの状態です.
外観:
外観的には,先に記載しましたが,BAが5基も入っているのは思えない小ささと軽さ.このため,ユニバーサルIEMらしからぬ装着のしやすさと装着後の安定感があります.大きさ,形状,重さ,ケーブル位置などが,すべて絶妙で,非常にバランスがいい結果だと思います.8BAのAngieⅡは,今でも装着が一義的に決まらずに苦労しますし,ORION CKは装着位置はいいのですが,長時間使用で若干違和感が出てきます.
この点に関しても,UM Pro50はプロミュージシャン向きであることがわかります.長時間の装着でも違和感が出なさそうです.
ただ,左右の識別が難しいです.本体裏に表示はありますが,モールド文字なので,クリアモールドのUM Pro50では,明るい場所でないと見にくいです.また,ケーブルも左右識別が小さな”・”の数違いなので,わかりにくいです.慣れてくれば,形状から左右の区別はできますが,色分けなどの工夫も欲しいと感じました.
装着感:
装着感は,非常に楽で,いいです.モールド品なので,この時期冷たさを感じることはありません.
UM Pro50は,(5BA構成としては)ハウジングが小さくて,特殊な形状でもなく,軽いノンワイヤーケーブルの角度と外耳形状を利用してそのまま装着できます.装着するときの角度も一義的で,微調整が不要です.耳穴方向も深く入らないので,軽く押し込むだけで終わります.これは,ユニバーサルIEMとしては貴重な存在だと思います.
ただし,イヤーチップ選びで困りました.通常は,添付品でも他社汎用品でも,Mサイズでフィットします.しかし,今回は初めから本体に付いているサイズ(Mと思われる黒軸)では,ダメ.ワンサイズ上のL(赤軸)でも,ダメ.更に上のLL(橙軸)で,なんとかなりました.念のため,SpinFit(細軸M)を準備していたのですが,当然これもダメでした.
これは,奥まで入らない(入れる必要のない)形状に関係していて,通常カナル型はイヤーチップで耳孔を密閉することで,効果を発揮します.しかし,UM Pro50は外耳道の手前(外)側を利用するので,Mサイズのイヤーチップでは小さすぎました.カスタムIEMのように,外耳全体でフィッテングさせる思想だと思います.
このような理由で,UM Pro50に最適なイヤーチップは,大きめのフォーミングチップ系だと思います.ただ,個人的にフォーミングチップが苦手なので,今回は苦労しました(イヤーチップ探し旅の予感).
装着感にはケーブルも重要な要素を占めます.UM Pro50に付属するケーブルは,軽くて柔らかく,癖もつきにくく,非常に扱いやすいです.耳掛け方式の影響もありますが,タッチノイズも気になりません.耳掛け部はワイヤーではなく保護チューブの癖でラウンドさせています.このため,装着時に変な方向に力を加えてももとに戻り,毎回装着時に補正する必要がありません.
外音遮断性:
IEMなので,ユニバーサルIEMとは言え,きちんと装着すれば,外音遮断性は高いです.また,BAなので,ハウジングに空気穴もなく,音漏れも少ないです.ただ,上記理由で,きちんと装着できていないと,音漏れします.
屋外での使用に関しては,注意が必要レベルです.基本は屋内での使用とし,周囲の状況から隔離しない環境で使用すべきです.例えば,電車やバス内であれば,適切な音量で楽しむことはできると思います.
肝心の音質:
超筋肉質万能型アスリート.この一言につきます.贅肉は一切なく,スピード感があり,ストレートです.
余分な響き(音源の持つ響きはそのまま再生)を含め,全く無駄な音色がなく,シンプルに一つひとつの音を忠実に再生する感じです.低域は非常に締まっていて(よく言われるタイトな低音),量感は十分あり,サンドバッグ並みに硬いです.ベースラインをしっかり下支えしている感じで,でしゃばりすぎないので,しっかり出ていても邪魔に感じません.高域もしっかり出ていますが,空気感は少なく,マルチBAの特徴である音の広がりは感じられません.ささらず,優しい高域ですが,音場は狭く,やや近いです.中域は,低域との分離が良く,解像度が非常に高いので,はっきり聞こえます.ある楽器の音やボーカルに注目すると,その音がはっきり聴こえます.隠れてしまう音が無い感じで,すべての音が出ています.スピード感のある特性なので,音の厚みは感じますが,音場は広くありません.ただ,すごく狭い空間表現で脳内定位が気になるというわけでもなく,ある程度の空間に,音がぎっしり詰まっている感じです.
3Wayの5BA構成ですが,チューニングが素晴らしく,マルチBA構成のデメリットを感じません.量感豊かなタイトな低音に,解像の高い中域と優しい高域.すべての音がつながりよく,しっかりまとまっているのに,解像度は高く,すべての音がしっかり出る.最上位モデルに相応しい完璧なチューニングだと思います.さすがWestone!
音色的には,ナチュラル~クール系です.BA特有の感じはなく,BA嫌いでも違和感がありません.まさにモニタリング用途に適した音質です.(それぞれの)音を聴くことに関しては,最強だと思います.このモニター系の音質は,苦手分野はありませんが,逆にハマる分野もありません.すべてのジャンルにおいて,音楽を聴くことに真価を発揮してくれます.ただし,音色に温かみや安らぎを求める場合には,オススメできません.
補足ですが,苦手(合わない)という意味では,コンプレッサやマキシマイザーを目一杯使った音圧重視の音源,いわゆる海苔波形の音源は,無理です.こういう音源は,安いイヤホンじゃないと逆に聴けないです.
こういった音質ですが,長時間,音楽を聴くリスニング用途としては,賛否が別れます.高解像度ですが,刺さる感じはないのが救いで,キレキレの粗探し状態ではありません.よって,モニター系の音が好きであれば,長時間のリスニングにも使えます.しかし,モニター系の音が好きでなければ,長時間のリスニングは疲れると思います.音量をかなり下げないと,ながらリスニングには向きません.気になる楽器があると,その楽器に注力して聴いてしまいます.
デザイン:
デザインに関しては,好みがあるため,難しいです.プロ用と割り切れば,ATH-CK90PROMK2ような1000円位のイヤホンにしか見られないものもあります.UM Pro50のデザインとしては,IEMとしてオーソドックスで,クリアモールドなので中のBAが見えるギミック感はありますが,デザイン重視で購入する感じではないと思います.
デザイン的には,ORION CKが目を引きます.実際,Campfire Audioのこのメカニカルなデザインも気に入って,ORION CKを購入しました.また,AngieⅡのフルメタルハウジング+カーボンプレートもお気に入りです.HA-FX1100のウッドハウジングも,なかなかいい感じです.
このように他にデザインも重視した機種と比べると特徴が無い分,見劣りしますが,プロミュージシャン用途ならこれで十分だと思います.こだわりを持つなら,カスタムIEMを選択する手段もあります.
ファーストインプレッションとしては,以上です.
今後,じっくり聴き込み,レビューしたいと思います.
※UM Pro50の音質についての印象は聴き込んでもそんなに変わらないと思います.
イヤーチップ探しの旅へ
※イヤーチップを利用したフィッティングに関しては,耳型の違いによる私一個人の問題で,一般的な問題ではないと思います.その点を考慮して,参考程度にお読み下さい.
ファーストインプレッションの中でも書きましたが,ユニバーサルイヤホンではイヤーチップが非常に重要な要素を占めています.基本的に添付イヤーチップの中から,自分のサイズに合うイヤーチップを選べばいいのですが,それがなかなか難しいです.
また,今までイヤホン付属のイヤーチップは,あまり良い結果ではない経験から,汎用品を選ぶことを優先してしましました(これが失敗の始まり・・・①).
耳の形状や大きさは,人それぞれで,イヤーチップ選びはユニバーサルモデルの宿命です.でも,自分にあったイヤーピースを見つけると,同じイヤホンとは思えない素晴らしい音が得られます.音には好き嫌いがありますが,イヤーピースが合わないと嫌いな音以前の問題で,イヤホンも不当な評価となり可愛そうです.
今までの経験から,付属のイヤーチップは使用せず,(私の中での)定番であるスピンフィット(Mサイズ)を試します.スピンフィットはその構造上,ノズルの奥まで入りませんが,ノズルの方向補正をスピンフィットが行ってくれ,最適な状態の装着が可能です.また,一般的な形状のカナル型の場合,ノズル長さによらず,スパイラルドットも良好な結果が得られます.その他,FinalのE-typeやDeep Mount(Radius)などもあります.ただ,いすれも基本Mサイズでフィッティング可能でした.
※スパイラルドットは,他社品より1サイズまではいきませんが,ハーフサイズ小さめです.
一方,UM Pro50は細軸と言われるノズル径が細いタイプです.これはSHURE製品と同じで,上記イヤーチップでは対応できません.ただ,定番のスピンフィットからは,唯一細軸タイプが出ていますので,まず,このスピンフィト(細軸)のサイズMを事前に準備しました(これが失敗の始まり・・・②).
※イヤーチップの穴径は,スパイラルドット>スピンフィット(標準)>Deep Mount>Final E-type>スピンフィット(細軸)の順に細くなります.
しかし,UM Pro50は,耳孔の奥(のみ)でフィットさせるタイプではなかったため,このスピンフィットが機能しません.そこで,細軸でかつフォーミングチップ以外としては,SHURE(SE535付属)品のイヤーチップを試してみることにしました(ここで,UM Pro50付属のイヤーチップという発想がなかった.失敗の始まり・・・③).
まずは,段付きのたけのこタイプ.耳孔の奥まで入りますが,密閉度が今一つで,合いません.次に,ノーマルのシリコン製チップ.MとLを試しましたが,しっくりしません.Lサイズでイヤーチップとしては十分大きいのですが,カスカスな音になります.
そこで,もう一度,UM Pro50の付属シリコンチップの中から試してみました.赤軸のL(?)はだいぶ良くなりましたが,もう一歩で,若干角度補正をしないとベストな状態になりません.そして,橙軸の(LL?)でやっときちんとした音が,手の補助無しで得られました.
あとで,SHURE製とWestone製とを比べてわかったのですが,SHURE製は普通のラウンド形状で,球状のイヤーチップです.一方のWestone製は細長く,砲弾型のイヤーチップであることがわかりました.この違いが,フィッティングに影響しているようで,広い面積でフィッティングさせているようです.
結局,一周回って,もとのWestone純正イヤーチップが最適だという結論.灯台下暗しでした.
一応ダメ元で,スピンフィット(細軸)のLサイズを試してみました.が,予想通りの結果で,Mサイズよりはマシですが,本体が浮いた感じになり,フィットしませんでした.スピンフィットはある程度耳孔に入るノズル形状のイヤホンでないと,十分な効果を発揮できないようです.そのため,LサイズでもUM Pro50ではフィットしない結果となりました.
さらに色々と調べてみると,MonsterのSuper Tipsがアダプタを使うと,細軸にも対応することがわかりました.国内正規販売は,既に終了しているみたいですが,並行輸入品を見つけたので,試してみます.
フォームタイプとジェルタイプの2種類があり,フォームタイプは名前の通り,ウレタンフォーミング.一方ジェルタイプは,形状素材ははシリコン製ですが,ジェル状のものが詰まっています.このため,密着性がアップするようです.
装着前に,形状を確認して予想はできましたが,一般的なラウンド形状だったので,SHUREやスピンフィットと同じ結果で,フィットしませんでした.Super Tips Gelでフィットするなら,スピンフィットと細軸でもフィットする感じです.Super Tips Gelは,中にジェルが詰まっているので,変形しにくく,サイズ的にスピンフィット並です.このため,Lサイズでも大きくて,耳孔に入りませんでした.加えて,イヤーチップが耳の中に残ってしまうので,注意が必要です.
Super Tips Gelは,一般的なシリコン製とウレタンフォーミングの中間的な感じです.フォーミングより柔らかいけど,シリコン製より弾力があり,形状を保持する能力があります.それから,補足ですが,細軸対応のアダプタは,本製品だけではなく他のイヤーチップにも使えます.
ココまで試して,改めて各イヤーチップの形状を比較しておきます.
若干,形状の違いがあるものの,一般的なイヤーチップ形状は球状に近いです.一方,UM Pro50付属のシリコンイヤーチップは,砲弾型に近く,長目であることがわかります.この形状が,UM Pro50がフィットする秘密であると考えられます.UM Pro50のノズル部は奥まで入らないけど,イヤーチップが奥まで入り,かつ入口部分でもフィットさせているようです.
これらのことから(私にとって),他社汎用イヤーチップでUM Pro50にフィットするのは難しいと判断しました.また,シリコン製ではなくフォーミングイヤーチップを使ったほうが楽だと思えましたが,フォーミングイヤーチップは苦手なので,パスです.
※これは,あくまでも一個人のフィッティングです.UM Pro50でも,汎用イヤーチップが使える方も多いと思います.
HPAはあったほうがベター
基本的にデスクトップ環境で,DS-DAC-100mの直挿しでレビューを進めてきましたが,HPAの必要性やポータブル環境でのレビューをしたいと思います.ケーブルは,付属の純正ケーブルから,Litz Wire Earphone Cable(ALO)とRCL-KEBSH1C(RATOC)に変更しています.
HPA:
まず,HPAの必要性です.
DS-DAC-100mのライン出力をimAmpに入れて聴いてみました.UM Pro50は駆動しにくい訳ではなく,音量も十分取れるので,HPAの必要性感じませんでしたが,imAmpを介すと,より音の厚みが増します.低域もさらに明瞭になり,ボリュームを上げたくなってしまいます.ただ,無音時に若干ノイズを感じられるようになるのがマイナスです.
次に,imAmpの代わりにAT-HA21を介してみます.今度はより低域の効いたメリハリの強い音になりました.これもHPAの特性です.imAmpと同様に音に厚みが増しました.
UM Pro50は,HPAを追加することで,さらに各ドライバが十分の駆動するようです.全体的に音に厚みが増し,低域が明瞭になります.HPAはあったほうがさらに良い結果です.
DAC変更:
今度は,USB-DACとDS-DAC-100mからDigiFi No15&16に変更します.
DS-DAC-100mより,解像度は若干落ち,よりスッキリした音質になりました.音量は十分に取れています.
UM Pro50の]音質に合うのは,やはりDS-DAC-100mの方です.
バランス接続:
バランス接続での変化を確認します.
DAC出力をDigiFi No22のバランスHPAに入れてみます.この方法ではフルバランス再生ではありませんが,バランス出力が簡単に試すことが出来ますし,アンバランスとの比較が出来ます.ただし,バランスとアンバランスでは,イヤホンケーブルが変更になるため,厳密には同じではありません..
DigiFi No22のバランス駆動はアンバランスに比べ,低域がよりはっきりと強くなり,若干音の厚みが増します.解像度や音の広がりについては,差異を感じませんでした.UM Pro50の低域再生能力は,アンバランス接続では十分には活かしきれていないことがわかります.
最後に,デジタルアウトを,REX-KEB02AKに入れて,フルバランス再生します.この場合も,バランスとアンバランスではケーブルが異なり,REX-KEB02AK自体の音質も影響します.
DigiFi No22のバランス駆動と同様に,低域がより強く,はっきり主張します.ただ,フルバランスになったことで分離が良くなったなどのメリットは感じません.若干,音離れが良くなり,解像度が上がった感じはしますが,明らかに違う感じは受けません.バランス接続+HPA追加の効果のみと考えられます.
このようにUM Pro50は,USB-DACやHPAの特性をきちんと再生/認識できるイヤホンであることがわかりました.このことからも,モニタリング用途には最適であることがわかります.
HPAは必須ではありませんが,あったほうがよりUM Pro50のより能力を引き出せます.また,アンバランス接続よりバランス接続で聴くほうが,メリットがありますが,絶対にバランスで聴くべきとも言えないレベルです.
ポータブル:
続いて,ポータブル環境です.
UM Pro50は,ユニバーサルタイプとは言えプロ用IEMですから,ポータブル環境しては第1候補にはなりにくいです.しかし,外出先でも同じ環境で同じ音質で聞きたい場合には,そんなことも言っていられません.XDP-300Rで再生してみます.
まずは,アンバランス接続.NormalゲインでもVol.120まで上げると音量は十分で,しっかり駆動できています.XDP-300Rの音質がUM Pro50にマッチして,よりモニターライクな音質です.
次に,バランス接続.通常のバランス駆動は,デスクトップ環境と同じく,低域が強くなり,よりはっきり聴こえます.一方,AGCモードにすると,より音に厚みが出るようになり,音場の奥行きが増します.UM Pro50の音質の場合,どちらかと言うと,AGCのほうが好きな音です.低域はもともとしっかり出て,解像度も高いので,より厚みを増したAGCのほうがしっくりきます.
UM Pro50は,きちんと装着すると外音遮断性が高いので,ポータブルとして移動中の使用はおすすめできません.歩行中に使用すると,極端な場合,交通事故に遭遇する危険が増します.公共交通機関では,事故に巻き込まれる可能性は少ないですが,周りから遮断されることによる影響は十分に考慮する必要があります.また,フライト中で,しっかり音楽を聴く用途ではいいですが,ノイズ遮断して,睡眠をとる用途には音質的に向きません.
このように,デスクトップ環境でもポータブル環境でも,一般ユーザーが高音質イヤホンとして普通に使えるIEMです.再生機器の違いもしっかり聴き分けられ,モニター用途には最適です.ただ,遮音性の高いモニター音質のIEMなので,屋外での使用には十分考慮する必要があります.
冷静に音を聴き分けられるモニタリング最強イヤホン
じっくりいろいろな曲を聴いた結果の音質です.代表的な5曲を記載します.
ノートPC上のAudio Gate(KORG)でASIO接続したDS-DAC-100m(KORG)の出力を,imAmp(AUDIOTRAK)に入れて,UM Pro50をアンバランスで接続します.この時,ケーブルは,Litz Wire Earphone Cable(ALO)を使っています.
基本的には,ファーストインプレッションから音質の大きな変化はありませんが,銀コート銅線へのリケーブル効果とHPAを介した影響が大きいです(リケーブルの詳細は別項でレビューします).
UM Pro50の基本的な性格のまま,解像度がさらに向上し,低域はより力強く明瞭に,中高域の細かい描写能力が加わりました.音に厚みも出たため,より立体的になりました.これが,UM Pro50が持っている本来の音だと思います.ただ,音場が近いという基本特性は変わっていません.
ここからはハードルをあげて,ATH-AD2000(オーディオテクニカ)の音をリファレンスとします.同じく,imAmpにアンバランス接続(バランス→アンバランス変換)します.
☆藤田恵美:Best of My Love(Camomile Best Audioより)
自分の中でのリファレンス曲.アナログ的なリアリティがあり,スピーカーで聴くと藤田恵美が目の前に浮かびます.UM Pro50で聴くと,リバーブを含めた空気感が少なく,スタジオで歌っている雰囲気になりますが,ボーカルが一段と前面に出てきます.一方,ATH-AD2000で聴くと,ホールの最前席で実際に聴いている雰囲気で,楽器との調和と綺麗な高域に魅せられます.UM Pro50では,そこまでのリアリティさはありませんが,ミックスダウンされたバランスがしっかりと聴き取れます.また,ベースの量感と沈み込みは,ATH-AD2000には及びませんでしたが,タイトな低域の存在感は十分に感じ,比較しなければ十分な低域です.音質はナチュラル.
☆井筒香奈江:氷の世界(リンデンバウムより)
井上陽水の名曲”氷の世界”のカバー.ボーカル,ピアノ,ベースしかない非常にシンプルな構成なのですが,UM Pro50で聴くと,非常に濃い音です.井筒香奈江のボーカルが際立ち,ベースがそれをしっかりと支え,ピアノはボーカルの優しさを包んでいます.それぞれの音はしっかり分離していますが,非常に調和が取れており,UM Pro50でマスタリングしたのではないかと思える出来です.もともと音源自体の音場が広くないので,ATH-AD2000で聴くより,UM Pro50のほうが合っています.この曲の音質はナチュラル~ややクール.
☆Diana Krall:To Moon At All(Turn Up The Quietより)
ややポップなメロディのTo Moon At Allは,ダイアナ・クラールのボーカルを低域から高域まで優しく表現し,魅力的に全面きちんと立たせ,各楽器に埋もれること無く,かつ,各楽器はそれぞれをきちんと主張するという,非常に絶妙なバランスを維持しています.ベースラインもしっかり出ていますが,中域にかぶらないので,明瞭です.高域はATH-AD2000が透き通るようにきれいですが,UM Pro50はボーカルが前面に出てくるメリットがあるので,UM Pro50優位です.スタジオ録音感が強いですが,音質はナチュラル.
☆沖仁:Spain(Clasicoより)
フラメンコ・ギターによるチック・コリアのSpainをカバーした曲.出だしの葉加瀬太郎のバイオリンが優しく,その後の沖仁のギターを引き立てています.途中から非常に速い演奏になりますが,余韻を残さず,音の立ち上がりと立ち下がりの速いUM Pro50の特性が相まって,各弦の音をきちんと分離しています.その後に加わる弦楽器との分離も良く,ギター音と被らず明瞭です.弦楽器自体の音をを美しく聴かせるという意味ではATH-AD2000が優位ですが,各楽器の分離とキレとスピード感という面では,UM Pro50に軍配が上がります.この曲では,ややクールに聴こえます.
☆宇多田ヒカル:二時間だけのバカンス(Fantomeより)
アップテンポな宇多田ヒカルと椎名林檎のツインボーカル曲.一人がメインで,もう一人がバックを分担している部分はATH-AD2000でも明確に聴き分けられますが,最後にふたりとも同じラインを歌っている部分は,UM Pro50でないと分離できません.ATH-AD2000は全体的に音場に広がりがあり,解像度は高いのですが,響きが残るので美しく聴こえる分,音の分離という面ではUM Pro50に負けます.プロ用モニターとしての真髄がこのあたりに明確に現れています.この曲ではナチュラル音質.
このように,UM Pro50とDS-DAC-100mの間に,imAmpを介したことで,音の厚みがファーストインプレッション時より増しました.また,銀コートのLitz Wireへリケーブルしたことで,低域が明瞭になり,中高域がよりクリアに,伸びています.ワンランク上のイヤホンになった印象です.音場の奥行きが出ましたが,横方向の広がりはそのままなので,より立体的で濃い音になった印象です.もう少し,横方向の広がりが出ると理想的なリスニングイヤホンになるのですが,プロ用モニタリングイヤホンという性格上,この部分は諦めるしか無さそうです.
”電線病/ケーブル沼へようこそ”
UM Pro50のりケーブルの効果を確認します.UM Pro50には,柔らかくてタッチノイズの無い非常に扱いやすいイヤホンケーブルが付属していますが,さらにUM Pro50の能力を引き出せるか検証します.
mmcxコネクタタイプのイヤホンケーブルは,純正/汎用問わず,非常に多くのケーブルが市販されています.把握しているのもだけでも,1000円台から30万円クラスまであります.さすがに1万円のイヤホンに10万円のケーブルを使う人はいないと思いますが,20万円のイヤホンに10万円のケーブルを使う人はいます.今回登場するケーブルも2万円以上のものが含まれますが,高級ケーブルの世界ではエントリーレベルです.
UM Pro50は,高価なイヤホンですから,(私としては)それなりのケーブルを準備しましたが,”値段の高い(値付けの)ケーブルほど高音質”は必ずしも成立しません(高いケーブルほど高音質なものがあるのは事実).コスパの良いケーブルを探すのが本望ですが,それが沼の入口です.
また,mmcx端子は,もともとは高周波(RF)用小型接続端子として広まりました.オーディオ用として開発されたものではないため,汎用品として扱うには互換性の面で無理がありました.しかし,現在ではリケーブル用小型コネクタとして普及してしまいましたので,各社工夫をこらし,汎用性を上げてきています.
このUM Pro50も,2017年にリデザインされた際,mmcx端子部の汎用化が図られました.それまでのモデルは,コネクタの位置関係で干渉があり,純正品かmmcx部の小さい一部の互換ケーブルしか使用できませんでした.しかし,リデザインに際し,改善が図られ,汎用品が使えるようになっています.
今回使用するリケーブル紹介です.
まず,アンバランス(3極3.5mmステレオ)ケーブル.イヤホン用のY型なので,基本的に4線です.
3極-①付属のWestone製純正ケーブル
3極-②Westone製交換ケーブル:WST-RC-ESUM-52-BLK
3極-③JVC製HA-FX1100付属OFCケーブル:JD9182-000A
3極-④ZEPHONE製:Blue Seagull EL-21
3極-⑤ALO AUDIO製:Litz Wire Earphone Cable MMCX :ALO-4822 (ORION CK付属)
3極-⑥BEAT AUDIO製:Silversonic MKV MMCX
3極-⑦OYAIDE 102SSC導体採用:HPC-MX相当品(mmcxコネクタ部のみ自作)
3極-⑧シルバーコートOFCケーブル(Bd005E付属eイヤホンオリジナル)
この中で,mmcxコネクタ部が一番大きいのが,④のEL-21です.メタルハウジングで,一番太いですが,このEL-21でも,UM Pro50は干渉ぜず,使用可能です.汎用ケーブルの中でもEL-21のmmcxコネクタは,大きい部類なので,リモデリングされたUM Pro50は,殆どのケーブルが使用可能だと思います(SHURE専用のワッシャ付きは注意).
バランス(4極2.5mmステレオ)ケーブルです.
4極-①PCOCCケーブル(個人作製):購入価格2500円程度
4極-②シルバーコートOFCケーブル(個人作製):購入価格2500円程度
4極-③OYAIDE HPC-26T(シールド1芯並行) PCOCC-Aケーブル自作:部材1500円程度
4極-④OYAIDE HPC-28T-2U(ツイスト) PCOCC-Aケーブル自作:部材1500円程度
いずれもmmcxコネクタ部が小さいので,特に干渉することもなく使用可能です.
バランス(2極2.5mmモノラル×2)ケーブルです.
2極-①RATOC(OYAIDE)製:RCL-KEBSH1CK
2極-②RATOC(OYAIDE)製:RCL-KEBSH1C
どちらもOYAIDE製の樹脂小型mmcxコネクタなので,干渉はありませんが,イヤホン用には太くて固めです.
上記16本のmmcxケーブルを試しましたが,コネクタ部の干渉や接触不良はありませんでした.ただし,mmcxコネクタの抜き差しが簡単なものから硬いものまで様々でした.mmcxコネクタの互換性に関してはあまり気にする必要はなさそうですが,mmcxコネクタは小さいので,抜き差し時に破損や断線が生じる可能性があります.皆さん注意しましょう.
ん? 16本? 書き出して本人びっくりです.新規で全部足すとUM Pro50が買える?
それに,これらはmmcxのみで,イヤホンはmmcxだけじゃない..... 深い・・・
気を取り直して,アンバランス3極ケーブルから聴いていきます.DS-DAC-100m+imAmpの構成です.
3極-①のWestone純正付属ケーブルを基準として,違いを書きます.
3極-②のWestone純正交換ケーブルは,付属の純正ケーブルとの差は感じません.見た感じも同じなので,同じものと考えて良さそうです.
3極-③のJVC製ケーブルは,癖が残るやや固めのケーブルですが,JVCのハイエンドD型ハイレゾ用だけあり,より解像度が上がり,低域もよく出て,よりフラットな印象になります.高域も伸びますが,癖が乗らず,ナチュラルな印象が強くなります.耳掛けタイプのケーブルではないのが,UM Pro50で使用するにはちょっと残念です(耳掛けでも使用はできます)が,音質自体は純正ケーブルよりおすすめです.
3極-④の光沢のある青がきれいなBlue Seagull EL-21は,見た目重視と思われますが,実力もあります.解像度はやや高く,より見通しの良いスッキリ音質に変わります.リスニング用とした場合,純正よりおすすめです.
3極-⑤のLitz Wire Earphone Cable MMCXは,さすがにALOだけあり,エントリーケーブルでも解像度が高く,明らかな違いを感じます.細かい描写が上手く,高域の癖がないので,UM Pro50の特性をより活かしています.低域も純正ケーブルより力強く,よりはっきりします.柔らかいケーブルなので,ポータブル用途でもOK(ORION CK用なので当たり前ですが).音質,取扱ともに,おすすめNo.1です.
3極-⑥のSilversonic MKVは,⑤より低域がやや甘く,高域がLitz Wireよりキラキラしている感じです.唯一,ケーブルにテンションがある(芯材は柔らかそうだが,被覆が硬いテフロン?)ので,折り曲げられないのでポータブル用途には向きません.①より解像度は向上しますが,UM Pro50向きなケーブルではないと判断します.Beat Audioのエントリーケーブルで,価格的にも⑤並ですが,ALOとは逆の結果になりました.
3極-⑦のHPC-MX相当品は,高いケーブルではありませんが,価格以上効果は十分にあり,解像度が向上します.ただ,高域が少し荒くなるので,低域重視派向き.①純正ケーブルとは好みが分かれますが,扱いやすさから純正の勝ち.
3極-⑧のシルバーコートOFCケーブルは,おまけ的なケーブルですが,実力はあります.低域はほぼそのままですが,高域の繊細さが増し,①純正ケーブルより,リスニング向きに変わります.解像度が上がるので,純正ケーブルよりおすすめです.
この中で,一番UM Pro50に合う(能力を一番引き出している)のは,⑤Litz Wire(ALO)です.銀コート銅線がUM Pro50の性能を引き出せているようです.ただ,本体価格と合わせると10万円に届く様になってしまうので,投資する価値があるかどうかは聴いてみてご判断下さい.
※本レビューから外れますが,Westoneのリスニング用イヤホンのトップに君臨するWST-W80には,ALO特注のプレミアムケーブルが付属します.
ポータブル用途で,タッチノイズや断線を気にせず,リスニング用途として使うなら,⑧が純正よりオススメできますが,単品では購入できないのが残念.さすがに2万円以上のケーブルが断線すると堪えます.
付属のバランスケーブルが断線してしまい,純正交換ケーブル(②)を購入するなら,今回紹介した中では,その価格で③JVC製か④EL-21のほうがいいです.純正ケーブルは非常に扱いやすいですが,この中では同じ価格帯でさらに解像度が上がる③か④のほうがいいと思います.ただし,③JVC製は,耳掛け利用が難しいです.
また,はんだ付けに自信があるなら,3.5mm3極プラグはは,好みのケーブルで自作するとコスパがいいです.
4極バランスケーブルは,市販品がなく,いずれも基準とならないので,3極変換して,純正ケーブルと比較します.結果,一般的なアンバランス4線ケーブルと同じ扱いになります.変換による音質の劣化はないと思います.
4極-①のPCOCCケーブルは,より低域の量感が増します.高域はあまり差はありませんが,全体的に解像度は向上します.純正ケーブルよりおすすめです.線材/被覆とも,細く柔らかいので,扱いやすいです.
4極-②のシルバーコートOFCケーブルは,①のケーブルとは違い,高域に伸びが出ます.低域は純正ケーブルより明瞭になり,全体的に解像度は向上しています.こちらも柔らかくて扱いやすいケーブルです.
4極-③のHPC-26T PCOCC-Aケーブルは,①と似ていて,高域に差は感じませんが,低域の量感が増します.解像度は①ほどありません.やや太く,ケーブルに張りがあるので,取り回しはあまり良くありません.
4極-④のHPC-28T-2U PCOCC-Aケーブルも基本は③と同じ傾向の音ですが,③より解像度があり,分離も良くなっています.しかし,やや太め2芯のツイストケーブルなので,イヤホン用としてはやや扱いにくいです.
少ない比較でしたが,一番UM Pro50に合うのは,②銀コートOFCケーブルです.3極-⑤Litz Wireより解像度は劣りますが,Westone純正以上の解像度で,低域もよりはっきりし,全体的に明瞭になり,高域が伸びます.癖もなく,銀コートのメリットが活きています.変換プラグの影響も感じられず,逆に良くなっているのではと思えるくらいです.やはり,銀コート銅ケーブルのほうが高域が伸びる傾向にあるので,刺さらないUM Pro50に使用しても,癖が出ないのかもしれません.
PCOCCケーブルは,同じような傾向の音質になり,作りによってはあまり差は出ないようで,①③④とも同じような感じです.低域がより明瞭になり,解像度はやや上がるので,音質は純正ケーブルよりおすすめですが,線材の違いで扱いやすさが全く異なります.
ここまでは,バランスケーブルでアンバランス接続していましたが,一番結果の良かった②シルバーコートOFCで,XDP-300Rとバランス/アンバランス接続してみます.
アンバランス接続では,Westone純正ケーブルに対し,解像度が上がり,低域が明瞭になり,高域が伸びるのは同じ傾向でした.やはり,このケーブルのほうがおすすめです.
バランス接続では,アンバランス接続に対し,より低域の量感が増え,明瞭になります.これはケーブルの効果ではなく,接続の違いによる効果です.さらに,AGCモードに変えると,より安定感が増し,音に厚みが出ます.バランスモードより,AGCモードのほうがより立体感が出ておすすめです.余談ですが,開放型ヘッドホンではバランスとAGCの違いがわかりませんでしたが,UM Pro50で聴くと,AGCモードの違いが明確にわかります.このAGCモードはUM Pro50にぴったりで,バランスケーブルに変更して,AGCモードで聴く価値が十分あります.
バランス(2極2.5mmモノラル×2)ケーブルも比較がないとわかりにくいので,3極変換して,imAmpで聴きます.
2極-①のRCL-KEBSH1CKは,同じPCOCCケーブルだけあって,4極-③/④と似ていますが,解像度と音の分離は上です.
2極-②のRCL-KEBSH1Cは,ケーブルが①より固くなりますが,音質は①と同様な傾向ながら,解像度は①よりあります.①よりこの②のほうがおすすめです.
見た目の全く異なる2本のケーブルですが,音質的には似た感じで,純正ケーブルよりUM Pro50の特性を引き出せています.このケーブルを利用する人は,ほぼRATOC使用者に限られるので,あまり参考にはなりませんが,RATOC(OYAIDE)のバランスケーブルの選択も間違いではないです.どちらもイヤホン用としては太く,固めのケーブルなので,デスクトップ用途限定になると思います.音質的には,解像度が上の②のほうがおすすめです.
②のバランスケーブルで,REX-KEB02AKとバランス接続してみます.
比較は,REX-KEB02AKのアンバランス/バランス出力になりますが,バランス接続することで,低域が明瞭になります.ただ,REX-KEB02AKの出力はノイズが載っているのがはっきりわかるので,UM Pro50との相性は良くないです.
以上,リケーブル効果の確認を行いました.UM Pro50は,きちんとケーブルの差異も聴き分けられます.つまり,今回の再生環境では,ケーブルが一番ボトルネックになっていたと考えられます.
今回のリケーブルの結果から,全体的に解像度が向上する傾向がわかります.また,UM Pro50には,銀コートOFC線がいいのではないかと思います.ただ,すべての銀コート銅線がマッチするわけではなく,高域に銀特有の癖が出ないものが望ましいです.UM Pro50は優しい高域ですので,その特性を保持したまま,より伸びる方向のケーブルを選ぶべきです.ケーブルに繊細さや響きを求めると,UM Pro50の特性を殺してしまうと思います.ケーブルで音場を広げることは出来ませんが,音の厚みは増しました.純正ケーブルも1万円前後と高価なので,UM Pro50の実力を引き出すためにも汎用リケーブルを楽しむのもいいと思います.
※銀/銅ハイブリッド線は,手持ちがないのでわかりません.
※2000円前後の銀コート銅線も売られていますが,同じような結果が得られるかどうかは保証できません.
※ケーブルを自作する場合,2.5mm4極プラグのはんだ付けはハードルが高いです.また,mmcxコネクタのはんだ付けも簡単と言えるレベルではありません.
最後に一番気になると思われる他機種との比較レビューを行います.BA数違い,ドライバ違いから,UM Pro50に対して,失礼に当たらない様に1万円以下のイヤホンは除外し,集結させまました.リケーブルしている機種もあります.
まず,それぞれの装着感をコメントします.ただし,各標準イヤーチップではなく,ベストと判断した汎用イヤーチップでの結果となります.音質に関してもこのイヤーチップとの組み合わせです.また,ケーブルは,リケーブル出来ない機種もありますが,最適と判断したケーブルで行っています.DS-DAC-100m+imAmpの構成で,アンバランス接続です.
☆UM Pro50 : STARシリコン(オレンジ軸) : Litz Wire Earphone Cable(ALO)
上記,イヤーチップ探し参照.
小型で軽いため,IEM形状だが,装着は楽.長時間装着でも疲れず,違和感なし.ケーブルは銀コート銅線のLitz Wireがベストマッチ.
☆ATH-CK90PROMK2 : Spinfit(M)
小型のカナルで軽いため,そのまま装着でOK.ノズルは上下角度しか無いのでSHURE掛けも可能(良好).ただし,イヤーチップ選びは慎重に.Deep MountもしくはSpinfit.軽いので長時間装着は気にならないが,耳奥に入るので,その点が気になるかも.リケーブル不可.
☆ORION CK : SipinFit(M) : Litz Wire Earphone Cable(ALO)
やや大型の特殊(ポリゴン)形状なので,位置は一義的に決まる.長時間の使用で,耳に当たる部分に違和感が出る.イヤーチップは,SpinFit(M)が最適解.ケーブルは純正(Litz Wire)でOK.
☆Angie Ⅱ : Final(E-type)(L) : Black Dragon V2(Moon Audio)
大型のラウンド形状なので,位置が一義的に決まらず,非常に装着が難しい.ノズルも長いため,耳孔方向の微調整も必要.毎回,これでいいのか悩むくらい難しい.イヤーチップ選びも苦労.まだ,最終解には至っていないと思っているが,一応FinalのE-type(L)で落ち着いている.重いので,長時間使用では疲れる.ケーブルはBlack Dragon V2までしか手が出せない(さらにその上のケーブルが必要らしい).
☆HA-FX1100 : スパイラルドット(M) : 純正ケーブル
大型のカナルで,ノズルが角度付きのため,微調整が必要だが,SpinFitで対応可能.オリジナルのスパイラルドットも良好.装着後は,ズレることはない.左右交換でSHURE掛けも可能だが,あまりおすすめしない.長時間使用もOK.バランスを考えても純正ケーブルが正解.
☆DN-1000 : 自作(S+Mの2重)
太めのカナル型で角度がないので,装着は楽.ただし,重いので,ズレ易い.イヤーチップは,自作品が非常にいいので,他は試していない.重さが気にならなければ,耳奥に入れないので楽.リケーブル不可.
いよいよ音質比較です.
☆UM Pro50 : STARシリコン(橙軸) : Litz Wire Earphone Cable(ALO)
上記記載済みなので省略.
この中では一番音量が取りにくいことがわかりました.ただ,ヘッドホンレベルでもなく,駆動しにくい感じではないので,HPA必須ではないです(あったほうがベターですが).XDP-300Rのアンバランス接続時,Vol.120くらいで十分なので,気にする必要はないと思います.
☆ATH-CK90PROMK2 : Deep Mount(M)
プロ用モニターイヤホン(と謳われている)のATH-CK90PROMK2は,イヤホンの世界に引き込まれるきっかけとなった機種です.こんな世界があったのかと驚いたことを覚えています.今までBA型を敬遠していましたが,BA型でないと出せない世界があることがわかりました.BA型は低域が出ない,高域が金属的でキンキンするというイメージ(実際にそうでした)を払拭し,D型に負けない実力を持っています.
当時のD型で高音質な機種は脳内定位がはっきりしていて,長時間のリスニングは厳しかったです.しかし,ATH-CK90PROMK2は,ほぼフラットな特性で,非常にクリアでありながら,しっかりと描写して,線が細くならないモニター用途な音質で,一線を画していました.
この延長線上にUM Pro50がある感じです.空間的が広がりは変わりませんが,密度は濃く,帯域も広がっています.低域はより量感を,高域はより伸び,中域はより解像度と,すべてが上回っています.
UM Pro50を聴いた後で,ATH-CK90PROMK2を聴くと,スッキリしたリスニング用イヤホンに思えます.
ケーブルも含めると価格差は4倍以上ありますが,音質的には倍くらいでしょうか...
☆ORION CK : SipinFit(M) : Litz Wire Earphone Cable(ALO)
半分ケーブル目的で購入したORION CKですが,シングルBAとは思わせない鳴り方のイヤホンです.他機種よりケーブル分だけ既に上乗せされているのですが,シングルBAとして全く不足している感じを受けません.フラットで低域から高域までしっかり出ます.
しかしながら,UM Pro50のマルチBAに対しては,やはり低域の量感や高域の伸び,中域の密度は劣ります.一方,ORION CKのシングルBAの自然な感じは,チューニングの素晴らしいUM Pro50でも及びません.この2つを聴き比べると,明らかにUM Pro50のほうが格が上であることは間違いありませんが,ORION CKの良さも十分に伝わります.BA数が多いほど伝わる良さもありますが,多いほど伝わる訳でもないことを教えてくれます.
倍近いの価格差がありますが,オリジナルケーブル同士で比較すると,好みの差レベルに縮まります.
☆Angie Ⅱ : Final(E-type)(L) : Black Dragon V2(Moon Audio)
BA数ではUM Pro50を上回るAngieⅡは,似たような高価格帯ですが,音質が全く異なるため,直接の比較機種にはなりえません.UM Pro50の1/2/2の5BAに対し,AngieⅡは2/2/4の8BAです.ORION CKの例にもありますが,BA数が多ければ高音質でもありません.ただ,AngieⅡはマルチBAを上手く利用して,低域から高域まで量感豊かに表現します.低域と高域のBA数がUM Pro50より多いことをAngie2は上手く利用して,沈み込む低域とより繊細で広がりを持つ空間を表現しています.この辺はさすがに神の手によるチューニングです.
タイトな低域がしっかり出ているUM Pro50より,さらに量感豊かに沈み込むAngieⅡの低域.刺さらず優しくきれいに伸びるUM Pro50に対し,非常にクリアに綺麗に繊細に透明感まで表現するAngieⅡの高域.中域はどちらも解像度が高く,しっかり描写していますが,一つひとつの音が明確に聞き取れるのはUM Pro50です.AngieⅡはより音に厚みがあり,リアリティが高くなります.
狭くはないですがあまり広くない空間のUM Pro50に対し,広い空間表現のAngieⅡ.空間が広くなっても,密度が薄まらないのがAngieⅡの良さです.そして,どちらもナチュラル音質ではありますが,UM Pro50はややクールなモニター音質,AngieⅡは繊細なリスニング音質.
この2機種は表現方法が全く異なるため,価格ではなく,使用用途と音の嗜好で純粋に選択すべきです.
☆HA-FX1100 : SpinFit(M) : 純正ケーブル
ダイナミック型のHA-FX1100は,何と言ってもその響きが特徴で,美しい音に尽きます.フラットで解像度が高いにも関わらず,美音であるという唯一無二なイヤホンです.よって,全く性格が異なるUM Pro50との比較では,完全に好みの問題と言わざるを得ません.どちらの音が好きかということだけです.
ダイナミック型なのでハイレゾ対応もしており,雰囲気や空気感もしっかり表現します.ただ,スピード感がUM Pro50ほど高くないので,正確に音を拾う用途には向きません.余韻を楽しむリスニング用か,音の識別を優先するモニター用かになります.完全に使い分けができる(活きる)2つのイヤホンです.→沼の始まりです.
価格的にもワンランクUM Pro50のほうが上ですが,全く音質の異なる2台ですので,装着方法も含め,使用用途を決めて試聴する必要があります.
☆DN-1000 : 自作(S+Mの2重)
DN-1000もUM Pro50同様にチューニングが絶妙で,ハイブリッドらしさを感じません.UM Pro50と比較すると,音場が狭く,メリハリはありますが,解像度が明らかに劣ります.一回りも二回りも小さくした感じで,クリアさにも欠けます.長時間のリスニングにはDN-1000の音質のほうが疲れませんし,小音量で聴くならDN-1000のほうが適している程度で,UM Pro50とは格が違うと言えます.普段使いのリスニングには,DN-1000が向いています.
3倍以上の価格差がありますが,5000円と2万円の価格差のイヤホンより音質差は少ないです.音を正確に捉えるという点では,圧倒的にUM Pro50です.
一覧表にすると,このような結果です.
以上で,Westone UM Pro50のプレミアムレビューは終了です.
まとめになります.
イヤホン/ヘッドホン選びは,どんな音質を求めるのか,どんな用途に使うのかをはっきりさせる必要があります.いくら高価で,かつレビュー評判の良いイヤホンでも,自分の求めている音質と異なるとその価値がありません.逆に,安いイヤホンでも,試聴して自分が求めているものであれば,それが最適なイヤホンとなります.
また,イヤホンはヘッドホンと異なり,装着感が音にも大きく影響します.レビュー評価が悪くても,自分に合うことも十分に考えられます.特にIEMの場合には,フィッティングが非常に重要です.
UM Pro50クラスのイヤホンを購入する場合,試聴せず購入できる人は少ないと思いますが,必ず試聴することをおすすめします.
繰り返しになりますが,UM Pro50をおすすめできるのは,モニター音質を求めている人で,長時間,音を正確に聴くことが必要な人です.癖がないのでリスニング用途に使うことができないことはありませんが,Westoneの中でも他機種(Wシリーズなど)と比較した上で選択すべきだと思います.
モニター音質のユニバーサルIEMとしては,最強の1台であることは間違いないです.
※私はモニター系の音も好きなので,もちろんリスニング用に使います.
それから,付属の純正ケーブルでは,UM Pro50の能力を十分に発揮できていません.リケーブル前提で購入することをおすすめします.
最後に,UM Pro50に対して,
”For The Professional”
この言葉がすべてを物語っています.
※一個人の超主観的レビューです.ありがとうございました.
cybercatさん
2018/02/11
でもharmankardonさんもヴォーカルが前に来ると感じたのですね。
選ぶチップのサイズなどからは耳の穴の径は結構違いそうなのに、同じ印象を持ったというのはこのIEMの「味」なんでしょうねぇ。
harmankardonさん
2018/02/11
mmcxのケーブルは,エントリーモデルしか無いので,大丈夫です(なんか意味が変?).
手持ちのイヤホンの中で一番明確でした.
ボーカルもですが,ある音に注目する(というか気になる)と,その音が明確にわかりますね.
ヘッドホン以上にスタジオ向きではないかと思いました.
不思議なのは,長時間聴いても疲れないところでした.コレだけ解像度が高いのに...