今回は、ギガバイトの「GA-Z87X-UD3H」をお借りしたので各テーマに沿ってレビューしたいと思います。
この板は、ギガバイトの「Ultra Durable」シリーズのZ87チップセットのマザーでミドルエンドの位置づけになるかと思います。
僕はUD4Hも持っているので、それとの比較も交えながらのレビューとなります。
では、本機のレビューを開始したいと思います。
■PC構成
【M/B】 Z87X UD3H
【CPU】 intel Core i7-4770K
【GPU】 CPU内臓 Intel HD Graphics 4600
【RAM】 CORSAIR CMY8GX3M2B2133C9
【クーラー】Prolimatech MEGAHALEMS
【SSD】 PX-128M2P
【CASE】CoolerMaster TEST Bench
【PSU】 SILVERSTONE SST-ST1000-P
【OS】 Windows7 Pro 64bit
■最初に
本製品は、REv1.1と記載されておりましたので、C2リビジョンのチップセットとなります。
C2ということでスタンバイ復帰時にUSB3.0接続機器を見失うことがあるという不具合が修正されているかと思います。
C2リビジョンのマザーを探している方は本製品のRevナンバーを注意してみてください。
■内容物紹介
内容物を確認していきましょう。
・取扱い説明書
取扱い説明書は日本語対応していました。エントリー向けモデルの製品なので、マニュアルとにらめっこしながら組み立てることができると思います。
・SATAケーブルx2
・バックパネル
・ドライバーCD
・SLIケーブル
内容物は必要最低限のものが付属しています。
■各テーマごとのレビュー
[オーバークロック時の安定動作を実現するデジタルPWM]
UD3Hには上位機種と同じInternational Rectifier社のデジタルPWMコントローラーが採用されています。International Rectifier社は、PC関連のみならず、家電や自動車にいたる様々なICを開発している会社です。さらに同社の IR PowIRstage ®ICチップを採用している点も注目です。
デジタルPWMのフェーズ数は、上位のUD4Hの16フェーズから8フェーズに減っているものの必要十分な装備と言えます。
オーバークロック時の安定性についてなどはオーバークロックにて紹介したいと思います。
[2オンス銅箔層設計]
2オンス銅箔層設計はギガバイト独自のもので、通常よりも多い銅を使用し、ICチップの熱を基板全体に拡散することができるようです。
さらに、図解の基盤層を見るとUD3Hは8層になっているように見えます。(これについては商品ごとに異なっているようなのであくまで予想です)
これらのボード設計は、主に以下の効果を狙っているそうです。
・温度低減
・オーバークロックの安定性
・電力効率
・低抵抗
・低EIM(電磁妨害)
・静電気保護
といった効果が期待できます。
上記の優れた設計によりオーバークロック時の安定性にどのような影響があるのか検証してみたいと思います。
[オーバークロックによる検証]
今回、CPUは、4770kを使用し、4.5GHzにて、各種ベンチマークや温度計測などを行ってみたいと思います。
4.5GHz時の設定
CPU電圧 1.236V
メモリ設定 2133MHz 9-11-11-31-1T 1.65V
各ベンチマーク時のデータ
※4770K内臓GPU Intel HD Graphics 4600使用
★3DM06
トータルスコア 9730
CPUスコア 9148
各実行後の温度
CPU温度 22℃
システム温度 32℃
PCH温度 34℃
★3DMVANTAGE
トータルスコア P7061
CPUスコア 33067
各実行後の温度
CPU温度 24℃
システム温度 32℃
PCH温度 35℃
★3DM11
トータルスコア P1652
Physicsスコア 10150
各実行後の温度
CPU温度 23℃
システム温度 33℃
PCH温度 36℃
★PCM7
トータルスコア 6193
各実行後の温度
CPU温度 20℃
システム温度 31℃
PCH温度 35℃
CINEBENCH R15
トータルスコア 898
各実行後の温度
CPU温度 23℃
システム温度 32℃
PCH温度 37℃
まずは、ベンチマークスコアですが、CPUを4.5GHzに昇降した状態で安定して高いスコアを出しています。これは間違いなくデジタルPWMの効果です。
また、連続して、ベンチマークを実行した状態でも、スコア差がそれほど大きくないことからPWMの電圧制御と2オンス銅箔層設計の放熱効果、電力効率、低抵抗の効果がよく出ているかと思います。
高負荷実行時の電圧も非常に安定して大きくぶれることはありませんでした。
この価格帯のマザーボードでオーバークロックがここまで安定するのは、正直驚きました。
次に各ベンチマークの結果から、特にシステム温度に注目しましょう。
ほぼ30~32℃で安定しています。システム温度は、マザーボード上のチップセット周辺に設置されたサーミスタチップから拾ってきている温度だと予想します。
4.5GHzという高オーバークロックで、システムに高負荷をかけた状態で、温度が安定して低い値に推移していることから、2オンス銅箔層設計の効果はかなり高いのではないかと思います。
実際、ベンチマーク実行中にチップセット周辺の基盤を触ってもほとんど熱を感じることはありませんでした。センサー温度が30℃ですから、人肌よりも低い温度域にとどまっているということですね。
■その他装備など紹介
UD3Hの装備を自分的観点から紹介していきたいと思います。
[PowerSwich/ResetSwich]
ボード上に電源オン/オフ用のパワースイッチがついています。
ボードの検証などで非常に重宝する機能です。また、ボード上でリセットできるのもポイントが高いです。
私はマザーをケースに組み入れる前は、検証台で起動テスト、各部パーツのテスト、OSインストールなどを行ってから組み込みを始めます。
ボード上に電源スイッチやリセットスイッチがあれば、非常に楽に検証が行えます。
ボード上にCMOSクリアスイッチもついていますので、オーバークロックの失敗などで、問題がおきてもすぐにBIOSをリセットすることが可能です。
さらにボード上にはLEDが搭載されており、起動時のポストコードを確認することができます。BIOSの設定の失敗などで、PCが起動しなくなった時、ポストコードをみて、対策を検討できるので、これも非常に便利です。
ウルトラハイエンドで実装されている装備がこの価格帯の製品にも搭載されているのは、非常にありがたいですね。
[SATA]
SATAはZ87接続の6ポートに加え、Marvell製の2ポートが追加されています。
Marvell製のポートは色が違うので、見間違うことはないかと思います。
Marvell製のポートはバックパネルに搭載されているeSATAとの排他利用となるので、BDやDVDを搭載する場合は、注意してください。
[USB3.0ポート]
バックパネルにZ87接続のUSB3.0ポートがポートついています。
大容量データの移動などでUSB3.0はもはや欠かせない存在になってきていますので、この搭載量は非常にありがたいです。
さらにルネサス製のチップを使ったUSB3.0が2ポートあるので、最大で10ポートのUSB3.0が使用可能となっています。
また、ギガバイト独自機能の「ON/OFF Charge2」により、スマートフォンやタブレット接続時に急速充電が可能になります。
「ON/OFF Charge2」は、PCの電源をOFFにしていても機能するので、重宝しますね。
[OC-PEG]
これ、初めて見たときは何だろう?と思いました。
説明書を読んでみると、ビデオカードでSLIやCFなどのマルチGPUを搭載した時に、電力供給をブーストするためのものだということでした。
形状は、SATAの電源コネクタと同じ形状をしていますので、GPU用の補強電力として使用する場合は差すとフレームレートなどが安定する可能性があります。
[拡張カードスロット]
ボード上の拡張カードスロットを紹介します。
・PCIEXx16 2基
PCIEXは2基装備されており、NVIDIAのSLIやAMDのCrossFireが利用可能ですが、Z87の仕様上、ビデオカードの2枚差し時の速度は8倍に落ちます。
・PCIEXx1 3基
PCIEXは3基搭載されています。ただし、UD3Hのマザーボードブロック図を参照すると。PCIEX4とレーンを共用しているため、PCIEx4に何かを差している場合は、PCIEXx1は使用できません。
・PCI 1基
PCIソケットが搭載されており、PCI接続の古いサウンドカードやビデオキャプチャー機器などと接続が可能です。
PCIは、PCIEXx1に接続されており、ブリッジチップに「ITEのIT8892E」が使われています。ASUSなどはAsmedia系のチップを搭載していますが、ギガバイトはITE系のチップを使用しています。
ITE系のチップの場合はPCIの帯域を確保してくれているので古いハイビジョンキャプチャーカードなどを使用しても、1920x1080iでキャプチャー可能です。
PV4を使用してフルHDキャプチャーのテストをしてみましたが、時々ドライバーエラーとHDDの速度不足エラーが出ますが概ね問題なく使用できることを確認しました。
PT3を接続してのキャプチャーも問題ないことを確認していますが、先ほども記載した通り、PCIEx4に何か機器を接続するとx1は使用できなくなるので、注意が必要です。
また、PCIEx16の2つめのスロットに機器を接続すると1つめのスロットの帯域もx8になってしまうので、こちらも注意が必要です。
スロット使用の例を以下に記載しておきます。
※スロットはUD3Hの接続スロット順に記載しています。
拡張カードの接続例
PCIEXx1
∟PT3
PCIEx16
∟ビデオカード
PCIEXx1
∟PT3
PCIEXx1
∟PCIを使用しているので利用不可
PCIEXx8
PCI
∟PV4orPT2orSoundCard
PCIEXx4
∟PCIEx1に接続しているので利用不可
上記例の場合は、PCIEx4が利用できませんが、PCIEx8が余っているので、他の拡張カードを差す余裕があります。
UD3Hの拡張カードは上記使用となっているので、拡張カードを複数搭載する場合は、ご参考までに。
[FANヘッダの位置]
僕は、UD4Hも持っているので、同じレイアウトなのかと思っていたら全然ちがったので、記載しておきます。
UD3HのCPUFANヘッダの位置は、マザーボード上部のヒートシンクとメモリスロットの間にありました。UD4Hは、ビデオカードとCPUソケットの間の位置にあり、大型のビデオカードやCPUクーラーを搭載した場合に差し込みにくい位置でしたが、UD3Hは、メモリスロット上部横の位置にあるので、比較的標準的な位置についていると思います。
■組み込み安さ
・CPUとメモリ回りのクリアランス
CPUとメモリ回りのクリアランスは非常に良好です。
今回は大型のCPUクーラーのメガハレムスを組み入れましたが、取り付け金具が干渉することもなく取り付け可能でした。
ボードはATXでオーソドックスな大きさなので、最近の内部空間が広いケースであれば問題なく組み込み可能です。
■まとめ
UD3Hは実売で15000円前後の価格帯のマザーボードですが、その秘めた実力は20000円を超えるマザーボードに負けることはありません。
実際上位のUD4Hと比較した場合、違いはフェーズ数のみとなっていますので、非常にコストパフォーマンスに優れた商品と言えます。
個人的にはPCIスロットを搭載している点も好感が持て、誰にでも進められるマザーボードだと思います。
また、オーバーロックも楽しめるので、初心者から中級者まで幅広くおすすめできるマザーボードです。
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