はじめに
この度、「Windows 8.1 Update 提供開始 特別企画『○○な私がWindows 8.1をオススメする理由!』」のレビュアーを務めることになりました、千里一歩です。Windows 8.1のレビューに関しては、昨年(2013年)12月の「マイクロソフトトリプルチャレンジレビュー」に続いて2度目となります。
■ 私のレビューについて
今回のプレミアムレビューはとてもユニークな企画です。ZIGSOWユーザーはご存知だと思いますが、ユーザー以外の方々にご説明しますと、レビュアー各自がWindows搭載タブレットまたはパソコンを購入したうえで、その機種を使ってWindows 8.1をオススメする理由を伝える、といった流れになります。但し、完全に自由なレビューという訳ではなく、レビュアーごとにZIGSOWから指定テーマが課されています。
私の場合、レビュアー応募時の理由として、
私はタブレットを所有しておらず、最初のタブレットはOSとしての実績や信頼のあるWin搭載機種を使いたいと考えていました。 ~中略~ 今回のレビューでは、この点を検証できればと思っています(XPからの移行を念頭においています)。
と記入したところ、「Windows XPユーザーとして、Windows 8.1搭載タブレットにてレビューの作成をお願いいたします」との課題を頂くことになりました。
そこで以下では、初めてのタブレットとしてWindows搭載機種を選んだ私が、Windows XPユーザーとしての視点を交えつつ、タブレットOSとしてWindows 8.1を使ってみた感想を述べていこうと思います。
■ 購入したタブレット
私が選んだ機種は『ASUS VivoTab Note 8』Amazon限定モデル(M80TA-DL004HS)です。
選定にあたっては、今年(2014年)1月のプレミアムレビュー「話題の Windows 8.1 搭載 8インチタブレット 4機種レビュー」や、ZIGSOWユーザーのモチモノ登録などを参考にしました。この機種は、Windows搭載タブレットの中でも、ワコム製のスタイラスペンが付属している点に特長があると思います(購入の決め手もこの一点です)。
ASUS VivoTab Note 8 - 主なスペック(モデルにより異なります)
ASUS VivoTab Note 8 - 化粧箱(左)と梱包内容(右)
目次
- はじめに
- 初期設定 - Widonws 8.1 Updateを適用するまで
- タブレットOSとしてのWindows 8.1
- 結びに代えて
初期設定 - Windows 8.1 Updateを適用するまで
早速、タブレットの初期設定から始めましょう。設定途中のバッテリー切れを避けるため、ACアダプターを接続してから電源を入れます。
■ 初期設定を行う
始めにWindows 8.1のライセンス条項が表示されますので、画面右下の「同意します」を選んでパーソナル設定へと進みます。
初期設定 - ライセンス条項
パーソナル設定では、PC名(ネットワーク上におけるタブレットの識別名)を決めます。ここで早くもタッチキーボードの登場です。タッチキーボードは、文字入力において、タブレットでは欠かすことのできない機能ですが、慣れるまでは苦労しそうな印象を抱きました。
初期設定 - パーソナル設定
次は、オンラインに接続する設定です。無線LANのアクセスポイント(SSID)がリストされますので、任意のアクセスポイントを選択してその暗号化キー(パスワード)を入力すれば、無線LANに接続することができます。しかし、ここでは画面左下の「この手順はスキップする」を選び、ご利用の無線LANルーターのマニュアルに従って設定したほうが簡単だと思います(私は無線LANルーターのクライアントソフトを利用しました)。
初期設定 - オンラインに接続
オンライン接続に関連して、位置情報の送信など、プライバシー設定も決めなければなりません。「簡単設定を使う」「自分で設定する」の2つから選択できますが、ここでは「簡単設定を使う」を選べばよいと思います(プライバシー設定は変更することができます)。
初期設定 - 設定
続いて、お使いのアカウントという設定に移ります。タブレットを使用するユーザー名の登録です。レビューの便宜上、「千里一歩」でアカウントを作成しています。
初期設定 - お使いのアカウント
ここまで来れば、初期設定もゴール目前です。各種アプリ(Windows XPで言うところのプログラム)のインストールを経て、「さあ始めましょう」というメッセージとともに、モダンUIと呼ばれるWindowsの新しい顔(Windows 8.1のスタート画面)が現れます。
Windows 8.1のスタート画面(モダンUI)
■ Windows 8.1 Update
初期設定のあとは、Windows 8.1 Updateを適用しましょう。これをしておかないと、月例のパッチ(修正プログラム)が受けられなくなりますのでご注意ください。
まずは、初期設定でスキップしたオンライン接続を設定しなければなりません。我が家では、バッファロー製の無線LANルーターを愛用しています。Windows XPでも利用していた機種で、本体はWindows 8.1に対する公式サポートはないものの、クライアントソフトである『クライアントマネージャV(Ver.1.4.12)』はWindows 8.1にも対応しています。
クライアントソフトはmicroSDカードに準備しておきましたので、これを介してインストールと接続先の作成を行います。Windows 8.1だからと言って、特に難しい手順はありません。「デスクトップ」(Windows 8.1における従来型UI)では、基本的にWindows XPと同じように操作できます。インストーラーに従っていけば、至極簡単にオンライン接続が完了できました。
オンライン接続 - クライアントマネージャⅤを使って
オンライン接続が可能になったら、Windows 8.1のアップデートを進めます。画面右端の外側から内側に向かって指を滑らせると、「チャーム」と呼ばれるツールバーが出現します。検索、共有、スタート、デバイス、設定と並んでいますので「設定」を選択します。
「チャーム」(左)と「設定」(右)
設定が開いたら、右下の「PC設定の変更」を選びます。そして、PC設定では「保守と管理」、保守と管理では「Windows Update」と展開していきます。
「PC設定」(左)と「保守と管理」(右)
Windows Updateまで辿りついたら、「今すぐチェックする」を押します。チェックが終わると「詳細の表示」が選べるようになりますので、アップデート内容を確認しましょう。Windows 8.1 Updateを適用するまえに、重要な更新だけでも187.8MB~323.6MBものサイズが待ち構えていました。
Windows 8.1 Updateのまえに……
Windows 8.1 Updateは、上記のアップデートを終えなければ適用できません。また、そのサイズは32ビット版で429.7MBもあります。私の環境(eo光100M)では、Windows 8.1 Updateを含む重要な更新のすべてが終わるまでに90分程度を要しましたが、時間的または回線的に余裕のない方は何回かに分けて作業するほうがよいと思います。
Windows 8.1 Update
Windows 8.1 Updateが適用されると、アカウント名の右横に「検索」ボタンが追加され(タブレットの場合は「電源」ボタンは追加されません)、スタート画面にピン留めされた「SkyDrive」が「OneDrive」へと改称されます。
タブレットOSとしてのWindows 8.1
ここからは、主にタブレットOSとしてのWindows 8.1を見ていきます。Windows 8.1のレビューは2度目となりますので、その新機能について戸惑うことは少なかったものの、幾つかの新しい発見がありました。
■ モダンUIとデスクトップ
Windows 8.1には、2つのUIが共存しています。1つは「モダンUI」と呼ばれるもので、Windowsの新しい顔です。Windows XPユーザーにとっては、それまでの環境との違いを真っ先に感じる部分ではないでしょうか。もう1つは従来型UIである「デスクトップ」であり、エクスプローラーやコントロールパネルなどを扱うことができます。
モダンUI(左)とデスクトップ(右)
タッチ操作の使いやすさで見ると、モダンUIは及第点を与えてもよいでしょう。問題はデスクトップで、8インチ画面を指先で操るにはメニューなどの表示が小さすぎるように感じました。購入したタブレットにはペンが付属していますので、何とかデスクトップも操作可能ですが、この点は今後の改善・向上を期待したいところです。
■ デスクトップアプリとストアアプリ
Windows 8.1で利用できるアプリ(Windows XPで言うところのプログラム)は、2つのUIが共存していることから2系統に分けられます。1つはデスクトップ(UI)で動作する「デスクトップアプリ」で、複数のウィンドウを切り替えながら作業できるマルチウィンドウにも対応しています。また、互換性の問題さえなければ、Windows XPで活用してきたソフトを動かすこともできます(既存のソフト資産を継承できる点は、OSとしてのWindowsの強みだと思います)。
デスクトップアプリ - Windowsアクセサリ(左)とフリーソフト(右)
もう1つはモダンUIで動作する「ストアアプリ」で、タッチ操作に最適化されています(マウスでも操作可能)。基本としてフルスクリーンでの操作になりますが、「スナップ」と呼ばれる画面分割機能を使えば、複数のアプリを扱うこともできます(横画面時のみ)。ストアアプリはWindowsストアを通じて入手できますが、Microsoftアカウントを登録しなければなりません。実際にストアを覗いてみたところ、まだまだアプリ数が少ない印象を受けました。
ストアアプリ - Twitterアプリ(左)とスナップ機能(右)
■ タッチキーボード(文字入力)
タッチキーボードは、文字入力において、タブレットでは欠かすことのできない機能です。本格的な文章を作成する点では物理キーボードには敵いませんが、Twitterへの投稿などであれば十分な性能を備えていると思います。
次の動画は、前段3行の文章をタッチキーボードで入力している様子です(キーが激しく点滅しますので、視聴に際してはご注意ください)。キー配列の切り替えに慣れるとともに、IMEが変換予測を学習していけば、入力時間はもっと短縮できるように感じます。
また、手書き入力には大変驚かされました。次の動画は、先ほどの文章を手書き入力で試している様子です。タブレットの付属ペンを用いています(私の悪筆はご容赦ください)。正直なところ、ここまで文字認識技術が進歩しているとは思ってもみませんでした。
■ Internet Explorer(IE)
Windows 8.1には、2種類のIE11が存在します。そのうち1つは、従来の延長線上にあるデスクトップ版です。基本操作はIE8(Windows XPがサポートされた最後のバージョン)と変わりませんので、初めて触れるWindows XPユーザーでも戸惑うことはないでしょう。もう1つは、タッチ操作に最適化されたアプリ版と呼ばれるもので、スタート画面にピン留めされたタイルから起動できます。次の動画では、タッチ操作でアプリ版を試している様子を撮影してみました。
さて、これら2つのIEを用いて、ZIGSOWのラウンジページを見比べてみましょう。タブレットを横画面で利用しているときは、ページの見え方に大きな違いはありません。
横画面 - デスクトップ版(左)とアプリ版(右)
ところが、縦画面にしてみると明らかな違いに気付きます。デスクトップ版はページが崩れたわけではありませんが、画面に掲載される情報(レビューの見出しなど)が少なくなりました。アプリ版は全体的に縮小しましたが、ページの見え方は維持されています。
縦画面 - デスクトップ版(左)とアプリ版(右)
どうやらアプリ版は、単にタッチ操作に最適化されているだけでなく、縦横どちらの画面でもページの見え方が変わらないように工夫が凝らされているようです。タブレットの魅力の1つは画面の向きに囚われないコトにあると思いますので、これは嬉しい設計です。
■ メールアプリ(メールソフト)
Windows 8.1には、初期状態でメールアプリが登録されています。利用するためにはMicrosoftアカウントが必要ですが、メールアプリを使えば、Webメール(Yahoo!メール、Gmailなど)やプロバイダーメールを一元管理できます。但し、POPを利用したメールアカウントの追加はサポートされていませんのでご注意ください(参照記事)。
メール作成の画面(左)とメールアカウントの追加(右)
ところで、Windows XPではOutlook Expressが付属していましたが、メールアカウントやアドレス帳、メッセージ(保存メール)をWindows 8.1の環境に移したい方々もいらっしゃると思います。この場合はメールアプリではなく、Windows Liveメールをオススメします(移行手順については、富士通さんのサポートガイドが分かりやすいのでご参照ください)。
■ OneDrive(オンラインストレージ)
OneDrive(旧称SkyDrive)は、Microsoftアカウントをお持ちであれば、原則7GBまで無料で利用できるオンラインストレージです。私は以前から愛用しているのですが、Windows XPでは公式アプリ(同期ツール)が提供されなかったため、その都度OneDriveにアクセスしなければならない点が不満でした。ところが、Windows 8.1ではOSレベルで組み込まれているため、OneDriveアプリやエクスプローラーを使ってファイルを管理できるようになり、利便性が高まったと思います。
OneDriveアプリ(左)とエクスプローラー(右)
また、タブレットを使っているとストレージ容量が気になるものです。購入したタブレットの容量は64GBでしたが、回復パーティションへの割り当てにより、Cドライブとしては49GBしか使えません。しかも、OSやOfficeアプリケーションなどのインストールで、レビュー執筆時の空き容量は32GBになっています。この点、空き容量の確保から考えてみても、OSレベルで組み込まれたオンラインストレージ機能(OneDrive)はとても有り難いですね。
ディスクの管理(左)とCドライブのプロパティ(右)
Windows 8.1の初期設定では、OneDriveが標準アプリ(『メモ帳』や『ワードパッド』)の保存先に指定されています。タブレットの場合はこのままでも構わないと思いますが、これを変更したいときは次のように操作してください。
チャームから「設定」を呼び出し、右下の「PC設定の変更」をタップします。PC設定が開いたら、OneDriveという項目を選びます。そうすれば、OneDriveの詳細設定ができます。ファイルの保存先という項目で「ドキュメントを既定でOneDriveに保存する」をオフにすれば、誤ってファイルをアップロードすることが避けられます。また、『カメラ』アプリも同様で、カメラロールという項目でOneDriveへの自動アップロードを停止できます。
OneDriveの設定変更
結びにかえて
今回、2度目のWindows 8.1のレビューとなりましたが、タブレットOSとして触れてみると新しい発見がありました。このレビューでは、その幾つかを紹介したつもりです。デスクトップ(UI)の操作では8インチの小さな画面に苦労しましたが、それ以上に既存のWindows環境を継承できるメリットが大きいと実感しています。一方で、私がタブレットユーザーとして初心者であるため、Windows 8.1が持っているタブレットOSとしての魅力を十分に伝えることが出来なかったと反省しています。
プレカリアート真面目明さん
2016/05/14
タブレットOSの原点として、MSの新サービスとの融合として。
良いOSだと思うんです。
レビュー乙でしたー
千里一歩さん
2016/05/14
2年近く前のレビューにコメントありがとうございます。
Windows 8.1は、デスクトップやノートPCでは従来のOSと比べると使い勝手の悪い点も感じましたが、タブレットOSとして評価するとそれなりの操作性を実現していたように思います。MSにとっては挑戦的なOSだったかもしれませんね。