今回のプレミアムレビューは、Windows 8.1搭載PC、またはタブレットを使用し、Windows XP、Windows 7、Mac OS Xから実際にWindows 8.1へ移行してみて分かったお薦めポイントや魅力、従来のOSと比較した際の優位性などを利用シーンとともにレビューするというものだ。
私の場合は、Windows 7からWindows 8.1を搭載したPCへ移行するという状況で、Windows 8.1搭載PCとして、ASUSTekのTransBook T100TA(T100TA-DK532GS)を用いてレビューすることにした。
TransBook T100TAは、ノートパソコンにもタブレットにもなる「2in1デバイス」である。
T100TAの10.1型モニタはタッチ操作が可能であり、PCとしての基本パーツをモニタ部に内蔵しているため、単体ではタブレット端末として、キーボードドックとドッキングさせれば、ノートパソコンとして使うことができる。
タブレット端末とノートパソコンの双方の利点を享受することができるので、Windows 8.1搭載機には最適な端末であるといえるだろう。
Windows 8は、Windows 7から大幅にユーザーインターフェイスが変更されたことから、これまでの操作方法との違いに戸惑うユーザーが多かった。
実は私自身もそんなユーザーの1人であったのだが、Windows 8.1を使っているうちに、新OSとして相応しい機能がいくつか見えてきた。
今回のレビューでは、Windows 7にはなかった、最新OS Windows 8.1の魅力に触れていく。
Windows 8.1の最大の特徴は、新しいユーザーインターフェイスとして、Modern UIを採用していることにある。
Modern UIでは、大きめのフォントと大きなアイコン(タイル)で統一され、タッチ操作に最適化されたユーザーインターフェイスとなっている。
見やすさに重点を置いたユーザーインターフェイスであることから、T100TAの10.1型モニタでもサイズ不足を感じさせない。
また、Windows Aeroを採用していたWindows 7のようにグラフィック性能が必要とされないことから、低スペックのPCでも快適に動作する。
Modern UIを使う際に重要な操作が「チャーム」と呼ばれるメニューバーを呼び出すことである。
Modern UIでは、画面の右端からスワイプすると、チャームと呼ばれるサブメニューが表示されるようになっている。
マウスやタッチパッドを使用中であれば、画面右隅にポインタを合わせると表示される。
キーボードを使用中であれば、[Windows]キー+[C]キーを押せば良い。
チャームには「検索」、「共有」、「スタート」、「デバイス」、「設定」の5つのボタンがあり、それらの機能を利用してPCの設定等の操作を行うことができる。
それらの中でも、検索チャームの機能が非常に便利である。
Windows 7でPCの設定を変更する際には、スタートメニューからコントロールパネルにアクセスし、そこから該当項目を順にクリックしていく手順を踏んでいた。
この方法では、設定項目の場所を覚えていなければならず、加えて深い階層に位置する設定項目にアクセスする際には手間が掛かった。
Windows 8.1では、検索チャームに呼び出したい設定項目の文字を入力すると、インクリメンタル・サーチの検索結果が表示される。
「Windows Updateの設定」を行いたければ、検索ボックスに「windows」と入力すると「Windows Updateの設定」のアイコンが表示されるので、そのアイコンをタッチすれば良い。
通常であれば、「設定チャーム」-「PC設定の変更」-「保守と管理」-「Windows Update」という順にアクセスしていくことになるので、検索チャームを用いることでかなりの手順が省略できる。
Windows 7においても、スタートメニューに検索ボックスが設けられてはいるものの、検索力は今一つである。
Windows 8.1においては、インクリメンタル・サーチの検索力が強化されており、使用頻度の高い順で検索結果が表示される。
また、検索対象を、「すべての場所」、「設定」、「ファイル」、「Web画像」、「Web動画」と5つの範囲から選択することができる。
検索チャームを使用すれば、設定項目やファイルの位置を覚えておく必要もなく、Windows 7を使用している時のようにフォルダの階層を意識せずに省力かつ直感的な操作が可能となる。
Windows 8.1では「高速スタートアップ」という機能が導入され、Windows 7と比較するとシステムの起動が高速化されている。
Windows 7を含む従来のOSでは、システム起動時にOSカーネルの起動に必要なドライバのロードとデバイスの検出、デバイスドライバのロードなどの作業を行っていたが、これらは非常に時間が掛かっていた。
Windows 8の高速スタートアップでは、その部分を省略することにより、高速起動を実現させている。
高速スタートアップを有効にした状態でシャットダウンすると、ユーザーセッションまでは終了させるが、OSカーネルやデバイス、ドライバ、サービスなどは「休止状態」に留めておく。
「休止状態」とは、メモリやCPUの状態を起動ドライブに書き出した状態で電源を落とすことをいう。
こうすることで、次回起動時に初期化する必要がなくなり、起動ドライブからのロードするだけでデバイスやドライバの状態が復元される。これにより、起動を高速にすることが可能になったのだ。
通常の起動プロセスで最も時間が掛かっていたドライバなどのロードと初期化・起動を大幅に省いた起動方法が高速スタートアップなのである。
手持ちのWindowa 7(64bit)搭載機 ASUSTeKのUltrabook ZENBOOK UX21E-KX128とシステム起動に要する時間を比較してみた。
計測には「BootRacer」を用いて、Windows 7とWindows 8.1で3回ずつ計測した結果の平均値を採用した。
Windows 7における計測結果
Windows 8.1における計測結果
計測結果は、Windows 7が40.11秒、Windows 8.1が36.85秒であり、Windows 8.1の方が約3秒早い結果となった。
両OSでシャットダウンに要する時間も計測してみた。
タイマーを用いて、手動で3回ずつ計測した結果の平均値を採用した。
Windows 7では16.4秒、Windows 8.1では5.44秒であった。
比較対象とした2台のPCでは、CPUやメモリ、ストレージなどのパーツ構成が異なるため、厳密な比較結果とはいえないが、概ねの傾向としては、Windows 7と比較するとWindows 8.1は起動やシャットダウンが高速化されているといえそうだ。
コンピュータ上で実行中のアプリケーションやプロセスを監視したり、何らかの原因で応答しなくなったアプリケーションを強制終了する機能を持つタスクマネージャー。
Windows XP、Windows 7とOSの安定感が高まるに連れて、使用頻度が減っていったツールの1つである。
そのタスクマネージャーが、Windows 8.1では大幅に機能強化されている。
Windows 8.1のタスクマネージャーは、簡易表示と詳細表示の2モードが用意されている。
簡易表示では現在稼働中のタスクを一目で把握することができる。機能的には従来のタスクマネージャーの「アプリケーション」タブと同等である。
一方、詳細表示モードでは、従来のタスクマネージャーのようにタブ毎に表示内容を分けた表示方法を採用している。
「プロセス」タブは稼働中のタスクが列挙されるが、「アプリ」、「バックグラウンドプロセス」という種類で分けられるようになった。
Windows 7のタスクマネージャーにおける「アプリケーション」、「プロセス」タブが合体した内容が表示されている。
「パフォーマンス」タブは、デザインが刷新され、CPUやメモリといったカテゴリごとにグラフ表示するようになった。
画面左側にある「CPU」や「メモリ」などのカテゴリをクリックすると、右側に詳しい情報が表示される。
以前の「パフォーマンス」タブでは、CPUとメモリの情報がまとめて表示されていたが、表示すべき情報が増えたため、新しいタスクマネージャーでは分離して表示される。
グラフ部分を右クリックし、「グラフを変更」→「理論プロセッサ」とクリックすれば、各コアの使用率がグラフ表示される。
メモリを選ぶと、システム全体でのメモリの利用状況とメモリに関するハードウェア情報などが表示される。
内容的には以前のタスクマネージャーで「パフォーマンス」タブに表示されていた内容とほぼ同じである。
ディスクを選ぶと、システムに接続されている物理的なハードディスク単位での情報が表示される。
Wi-Fiを選ぶと、ネットワークの利用状況などが表示される。
グラフには送受信の速度が表示されるが、SSIDややIPアドレスなどが簡単に確認できるようになっているのが便利だ
新設された「スタートアップ」タブ。スタートアップフォルダやレジストリに登録されたスタートアッププログラムが列挙される。
「msconfig」コマンドを打たなくても良くなり、アクセスが容易になった。
ボタンやメニューから無効にすることもできるが、注目したいのが「スタートアップへの負荷」という項目である。
これを目安にWindows 8.1の起動速度を妨げるアプリケーションを見極めると良いだろう。
このようにWindows 8.1のタスクマネージャーは大幅に改良が加えられており、全体的な利便性が向上している。
OneDriveとは、Microsoftが提供しているオンラインストレージサービスである。
クラウド上にデータを保存することで、Windows搭載PCやWindowsタブレットのほか、Android搭載スマートフォンなど、様々なデバイスでデータを共有することができる。
利用可能なストレージ容量は料金プランによって異なるが、無料プランでは、1つのMicrosoftアカウントにつき7GBのストレージを利用することができる。
■Windows 7におけるOneDrive
Windows 7では、OneDriveのデスクトップ版ソフトウェアをインストールすると、エクスプローラに“OneDrive”というフォルダが追加され、OneDrive のオンラインストレージに保存してあるファイルやフォルダをローカルディスク上のフォルダのように扱うことができる。
内部処理としては、ローカルディスク上のOneDriveという名前のフォルダ内に、OneDriveストレージのファイルやフォルダのコピーが作成される(同一データがダウンロードされる)。
そして、ローカルディスク上のファイルに変更を加えると、OneDrive上のファイルが書き換えられる(アップロードされる)。
OneDriveクライアントを使用している他のPCはその変更を検出して、OneDriveストレージからファイルをダウンロードする。
このようにして複数のPC間でデータを同期している。
Windows 7におけるOneDriveの設定項目は非常にシンプルだ。
同期設定はフォルダごとにしかできない。
■Windows 8.1におけるOneDrive
Windows 8.1では、OneDriveはOSに統合されており、MicrosoftアカウントでWindows 8.1にサインインしていれば、標準機能として利用できるようになった。
Windows 7のようにソフトウェアをインストールする必要はない。
また、ファイルをオンラインとオフラインで利用する機能が追加されるなど、機能が強化され、利便性が高くなっている。
・OneDriveの設定項目
Windows 7では非常にシンプルであったOneDriveの設定項目だが、Windows 8.1では細かな設定が可能となった。
OneDriveがシステムに統合されたことから、各種設定はアプリケーションからではなく、システム設定(チャームの「設定」-「PC設定の変更」-「OneDrive」)で行うように変更されている。
ファイルの保存
OneDriveの空き容量確認や追加容量の購入、デフォルトのファイル保存先を指定できる。
これまではローカルストレージ内にある「ドキュメントフォルダ」がデフォルトの保存先であったが、Windows 8.1では「OneDriveのドキュメント」というフォルダとなる。
このデフォルトの保存先を切り替えるスイッチになる。
「OneDriveでファイルを表示する」からは、OneDriveストレージ上のファイルを確認できる。
カメラロール
内蔵カメラで撮影した写真などは、「カメラロール」というフォルダに保存される。カメラロールフォルダに関する設定を行う。
同期の設定
OneDriveストレージを利用して、同じMicrosoftアカウントでサインインしているWindows搭載機で設定を同期するための設定項目。
ここで同期する項目を選択しておけば、複数のWindows搭載機で同じ環境を再現できる。
従量制課金接続
バックグラウンドでの予期せぬ自動同期を防止するための設定。
モバイルデータ通信時に予期せぬ同期によって通信量が上限に達して速度制限が掛かってしまうと不都合が生じてしまう。
これを防止するためには、「従量課金接続でのファイイルのアップデートとダウンロードを行う」を「オフ」にし、さらに対象となるWi-Fi設定(ルータのSSIDなど)の項目で「従量制課金接続として設定する」を「オン」にする。
これにより、この接続設定を使って通信している時は「モバイルデータ通信時なので、同期不要である」と設定できる。
・OneDriveのオンラインとオフライン利用
Windows 7では、ローカルディスク上にOneDriveストレージのファイルやフォルダのコピーが作成される仕組みであった。
これは、ストレージ容量が十分にあるPCにおいては良いのだが、タブレット端末のようにストレージ容量に制限のあるデバイスには厳しい仕様である。
Windows 8.1のOneDriveでは、データの保存方法を「オンラインのみ」、「オフラインで利用可能」という2種類から選択できるようになった。
「オンラインのみ」、「オフラインで利用可能」の切り替えは、右クリックメニューから行う。
「オンラインのみ」という状態では、ファイルの実体をローカル側にダウンロードすることなく、フォルダやファイル情報 (ファイル名称、変更日、ファイルの種類、サイズなど) のみを保存するので、ストレージ容量は圧迫しない。
検索に必要なファイルのインデックス情報や、画像のサムネイル(縮小画像)のみをPC上に保持し、実際にファイルを開く時に初めて、実データをダウンロードする。
タブレットなどストレージ容量の少ないPCで重宝する仕組みである。
「オフラインで利用可能」の状態では、ファイルがローカル側に保存されているため、プロパティを参照してみると、「サイズ」と「ディスク上のサイズ」が同一容量になっている。
一方、「オンラインのみ」の状況では、ローカル側にはファイルの実体はなく、フォルダやファイル情報のみが保存される。プロパティを参照してみると、「サイズ」よりも「ディスク上のサイズ」のデータ容量がかなり小さい。
ファイルの実体はOneDrive上にあるが、フォルダやファイルの名称、サムネイルなどの情報はローカル側に保存されているので、ネットワークに接続できない状況下でも参照することができる。
実際にファイルを開く時に初めて、実データがOneDriveからローカル側へダウンロードされる仕組みになっている。
OneDriveのファイルやフォルダの設定を「オンラインのみ」から「オフラインで利用可能」に変更すると、ファイルのデータがダウンロードされ、ローカルストレージに保存される。
ファイルの実体はローカル側に存在するため、インターネット接続ができない環境下であっても、アクセス可能であり、編集もできる。
オフラインで編集した場合は、ネットワーク接続がオンラインになった時点でOneDriveにアップロードされる。
ストレージ容量に余裕があれば、すべてのデータにおいて“オフラインで利用可能”を選択し、ストレージ容量に不安のあるタブレット端末では、特定のファイルに限定してオフライン機能を利用すれば良いだろう。
このように、デバイスのストレージ容量に応じて弾力的な運用が可能となった点は、大きな利点といえるだろう。
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