レビューメディア「ジグソー」

裸眼で楽しめる3Dモニタ ―その魅力と実力―

《1. 緒言》
3Dテレビが世に出回り始めてからまだ一年程度であるが、その普及速度は凄まじい。
コンテンツも充実し始め、エコポイントなどを用いて割安に入手できるならと多くの購入者が3Dという新しい技術に胸を躍らせたことだろうと思う。
筆者自身は3Dテレビを所有しないものの、その使用感をWeb上で検索してみると、映像の臨場感・迫力を絶賛する声を各所で見ることが出来る。
しかしその一方で、3Dテレビの現状に不満のあるユーザーも多いようである。
その理由として一番多かったのが、3D視聴に必要となる「メガネ」に関するものであった。
重い、個数が少ない、3Dメガネ自体が高価など、3Dの視聴に多くの制限がかかることに不満が大きいようだ。

そこで登場したのがI-O DATA社による7インチ裸眼3Dディスプレイ、Rock Vision 3D(製品仕様
)である。
本製品は挑戦者ブランドにふさわしく、3Dメガネを用いることなく3D動画使用を可能にするディスプレイで、3D機能を用いなければサブディスプレイとしても使用可能である。
つまり、上記の3Dディスプレイにまつわる不満の一部をこれにより取り去ろうという挑戦である。
7インチということもあり、大人数で視聴したり、解像度の高い動画の視聴やメインディスプレイで使用するのには向かないが、裸眼3Dという技術がまだ成熟していない、もっと言えば3D動画視聴自体発展途上であることを考えればやむを得ないだろう。
純粋にサブディスプレイとして考えれば使いやすい大きさであるともいえる。



《2. 目的》
以下の点について実践・観察し、所見を述べる。

1. 使用するまでや外観、ソフトウェアインストールについて
2. サブディスプレイとして
3. 3Dディスプレイとして
4. ゲーム動画は3D視聴が可能であるか

1.については、箱を開けてから組み立て、ソフトウェアをインストールするまでに関する雑感を。
2.、3.については文字通りその使用感を。
4.については筆者のプレミアムレビューではパターン化しつつあるが、筆者がニコニコ動画ならびにYouTubeに投稿したFFX internationalのプレイ動画を用いてこれが3D化したときにどのように見えるかを検証する。

なお、使用したPCの環境は以下の通りである。


CPU: Xeon E3-1290
CPUクーラー: 峰2 SCMN-2000
M/B: P8Z68-V LE
OS: Windows 7 Enterprise(64bit)
メモリ: JM1600KLN-8GK ×2(DDR3-1600 4GB ×4)
起動用ドライブ: CT256M4SSD2
グラフィック: HD6850 1G GDDR5 PCI-E
サウンド: Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer
オプティカルドライブ: パイオニア RoHS対応S-ATA内蔵DVD-Sマルチドライブ ブラック DVR-S17J-BK
電源: KEIAN ATX電源「BULL-MAX」 600W 80PLUS BRONZE KT-F600-12A
ケース: サイズ RAIDMAX ATXミドルタワーゲーミングケース ALTAS(アルタス)


当該製品の要求仕様を十分に満足する構成である。



《3. 結果・考察》
3-1. 外観・ソフトウェア等について
外箱を開けると、シンプルな白い外箱が見えた。

簡素な外箱。非売品のシールが眩しい。
簡素な外箱。非売品のシールが眩しい。


挑戦者ブランドということがあってか、バルク品を思わせる外観である。

そして箱を開けてみると、大まかにはディスプレイ、USBケーブル、スタンド、デバイスドライバ・ソフトウェアインストール用CDが同梱されていた。
ディスプレイを取り出すと、比較的廉価であることを忘れさせるような外観が見て取れる。
背面には2D⇔3D切り替えスイッチや輝度調整ボタン、Nintendo DSを想起させるようなディスプレイ立てかけバーとそれを挿入するためのホールがあった。

背面
背面

 

ディスプレイ立てかけバー
ディスプレイ立てかけバー


横置き・縦置き自在であるが、3D機能は横置きが基本であるため本レビューではスタンドによる横置きで固定しておく。

高級感のある外観
高級感のある外観



その後、デバイスドライバ、アプリケーションの順でインストールし、再起動した。
このアプリケーションというのはTotalMedia Theatre 5 SEで、動画の3D視聴を可能にするソフトである。
これについては3-3.の項で再び登場する。

なお、これはI-O DATA製品ページでも既に釘を刺されていることではあるが、Windows XPでは使用不可能であった。
物は試しにとドライバをインストールしようとすると、OSが対応していない旨の表示が出現し、3D動画視聴のみでなく、サブディスプレイとしての使用も出来ないことが確認できた。

ただし、これは本製品に付属しているドライバを用いた場合であり、

ディスプレイリンク

を使用すればXPの場合にもサブディスプレイとして本製品が使用できることが既に報告されている
この方法に従いドライバのインストールを行うと、筆者のハードウェア環境でもXPでの本製品の使用が可能であった。
このときの構成は上に記したものと若干異なるので以下に記しておく。


CPU: Xeon E3-1290
CPUクーラー: 峰2 SCMN-2000
M/B: P8Z68-V LE
OS: Windows XP Professional 32bit SP3
メモリ: JM1600KLN-8GK ×2(DDR3-1600 4GB ×4)
起動用ドライブ: インテル SSD 320 120GB
グラフィック: HD6850 1G GDDR5 PCI-E
サウンド: Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer
オプティカルドライブ: パイオニア RoHS対応S-ATA内蔵DVD-Sマルチドライブ ブラック DVR-S17J-BK
電源: KEIAN ATX電源「BULL-MAX」 600W 80PLUS BRONZE KT-F600-12A
ケース: サイズ RAIDMAX ATXミドルタワーゲーミングケース ALTAS(アルタス)


当然、動作の保証など一切ないが、そもそも挑戦者ブランドに動作の保証など有って無きが如しともいえる。
XPでも使用可能ということであれば、更に応用の幅が期待できる。


3-2. サブディスプレイとして
ソフトウェアをインストール後に当該製品をUSB 2.0接続すると、程なくしてサブディスプレイを認識した。

サブディスプレイを認識
サブディスプレイを認識


画質には申し分なく、7インチという作業領域ではあるが早くも私の研究の役に立ってくれた。

メインディスプレイで解析しながら、サブディスプレイでエクセルデータを参照。データは隠す必要があるようなものでもないが、一応マスク。
メインディスプレイで解析しながら、サブディスプレイでエクセルデータを参照。データは隠す必要があるようなものでもないが、一応マスク。


このように、サブディスプレイとして活躍できる場は数多考えられ、仕事にも娯楽にも活用できよう。

一点だけ不満を述べるとすれば、PCの電源を入れた直後での本ディスプレイの設定が3D機能ONで固定されている点が不便である。
一見問題ないように見えるかもしれないが、3D機能がONになっていると輝度が落ち、3D動画視聴用途以外では画面がちらついて見える。
ユーザーによっては3D動画視聴よりサブディスプレイとしての使用時間の方が圧倒的に長いので、Windows開始時に3D機能がOFFになるような設定が可能になるよう改善してほしいところだ。

また、3-1まででWindows 7ならびにXPでの動作について調査しており、折角なのでとWindows Vistaについてもサブディスプレイとして使用可能かどうかを調べてみたところ、問題なく使用可能であった。

Windows Vista Ultimate (64-bit)での使用シーン
Windows Vista Ultimate (64-bit)での使用シーン


Windows Dream Sceneも不具合を起こすことなく動作しており、綺麗なデスクトップをモニタ上に映し出している。
このときのPC構成も以下に記しておく。


CPU: Xeon E3-1290
CPUクーラー: 峰2 SCMN-2000
M/B: P8Z68-V LE
OS: Windows Vista Ultimate (64-bit)
メモリ: JM1600KLN-8GK ×2(DDR3-1600 4GB ×4)
起動用ドライブ: HGST HTS725050A9A364 500GB 7200rpm SerialATA 16MB 2.5インチ内蔵HDD
グラフィック: HD6850 1G GDDR5 PCI-E
サウンド: Sound Blaster X-Fi Xtreme Gamer
オプティカルドライブ: パイオニア RoHS対応S-ATA内蔵DVD-Sマルチドライブ ブラック DVR-S17J-BK
電源: KEIAN ATX電源「BULL-MAX」 600W 80PLUS BRONZE KT-F600-12A
ケース: サイズ RAIDMAX ATXミドルタワーゲーミングケース ALTAS(アルタス)



3-3. 3Dディスプレイとして
まずはじめにアイ・オーデータ社の用意したサンプル動画

3D サンプル動画1

より動画をダウンロードしてTotal Mediaを用いて視聴し、本当に裸眼で3D動画視聴が可能であるのかを確認した。
その手順は

初めての使い方

にまとめてある辺り、挑戦者ブランドであるとはいえかなり親切である。
サブディスプレイ上にTotalMediaのウインドウを移し、ディスプレイ背面のボタン

3D機能ON/OFFボタン
3D機能ON/OFFボタン


で3D機能をONにすると、確かに角度を選べばきちんと動画が飛び出してきた。
途中で吹きだされるシャボン玉などこちらまで届かんばかりであった…というのはやや過剰な表現であるが、体感で数センチにわたり飛び出して見えている。
裸眼で3D動画視聴が可能という売り文句には一切の偽りがないといえる。
しかしながら、上記の通りかなり視聴角度を選ぶということ、そして何より目の疲労感は半端ではないという難点もある。
これは画像や動画を添付して伝わるようなものではないのでこの感覚を伝えるのは困難であるが、いわゆる静止画の立体視を数分続けるようなもので、しかも画面が目まぐるしく切り替わることになる。
これでは30~60 min.のドラマ・アニメの視聴には耐えるものではなく、まして数時間にわたるような映画については不可能ではないかと思う。
但しこの点には間違いなく個人差があった。
筆者の友人数人にも上記の3D動画を3Dモードで見せてみたが、数分見て平気な者もいれば、数秒見て限界を訴える者もいた。
中には立体視自体が出来ていない者もいたがこれはまた別の問題であろう。

一点心配なのが、3D動画視聴に用いるソフトウェア、TotalMedia Theatreの挙動である。
大変使用し易く、操作も視覚的に行える優れたソフトウェアなのだが、どうも筆者のPC上では本ソフトウェアの挙動が不安定で、タイムラインを移動したり、一時停止した際のフリーズ回数は一回ではない。
また、本ソフトウェア起動中に一度、ブルースクリーンにも見舞われた。
本ソフトウェアを用いるまでにブルースクリーンが出現したことは一度も無く、他のレビューアーの意見も見ながら、ソフトウェアの問題か筆者のPC環境の問題か見極めたい。
筆者も用いているSAPPHIRE HD6850と相性が悪いとの報告もあり、特にグラフィックボードとそのドライバには注意を払わなければならないようだ。


3-4. ゲーム動画は3D視聴が可能であるか
本製品の売りとする機能の一つとして、3D視聴用に作成された動画でなくとも、3D視聴が可能となるというものがある。
この機能を、私が以前に投稿した動画


を用いて検証したい。
本動画をメインディスプレイ上で通常再生したものと、Rock Vision 3D上でTotalMedia Theatreにより再生したものを比較した。

プレイヤーを並べて比較
プレイヤーを並べて比較


結果として、両者の間には筆者の感覚としては差を認めて良いと思う。
画像が飛び出してくる、というよりは敵・味方各キャラクターが背景から分離して見え、少なくとも通常のディスプレイ上で観る動画よりはずっと立体的であった。
ただし、やや遠めにしかも3D対応動画よりさらに角度を選ぶ視聴方法になり、「3D非対応動画まで3Dで視聴可能!」と謳ってしまうとその効果はやや疑問が残ると云わざるを得ない。



《4. 結論》
4-1. 外観の高級感は素晴らしい。
   横置き、縦置き、スタンドを用いた設置が可能な点も便利で、満足している。

4-2. 画質については申し分なく、少なくとも筆者の検証したWindows XP 32-bit(※本製品付属のドライバでは使用不可)、Windows vista 64-bit、Windows 7 64-bitで使用可能であるため、サブディスプレイとして活用の場面は多々考えられる。
   PC起動時に3D機能ONにしている点はユーザーにより変更可能にするのが望ましい。

4-3. 当該製品の最大の特徴である、裸眼での3D動画視聴は確かに可能であった。
   ただし、目の疲労や角度を選ぶ点など難点もまた残る。
   TotalMedia Theatreの挙動については経過を見て再び報告する。

4-4. 通常のプレイヤーでは平面的にしか見えない動画でも、比較的立体的に見える動画の視聴が可能であった。
   これはあくまで通常の動画プレイヤーを用いたときとの相対的なもので、3D対応動画を視聴したときほどの顕著な効果は見られない。



《5. 謝辞》
本レビューは株式会社アイ・オー・データ機器ならびにzigsow株式会社よりRockVision 3Dの提供を受け行われました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。

コメント (20)

  • リーダーさん

    2011/11/12

    レビューお疲れ様です(^^

    裸眼立体視の目の疲労に関しては前々から言われていたことなので
    今回のレビューに関しても、ああやっぱり、と思う程度で、残念ではありませんでした。
    サブディスプレイとしては十分な用途のようなので
    ちょっと応募しておけば良かったかな、なんて思いました(笑)
  • トム様さん

    2011/11/12

    >>リーダーさん

    立体視には感動しますが、目の疲労はホント半端じゃないです…他のレビューアーさんも苦しんでおられるのではないかと。

    ただ、サブディスプレイとしても優秀ですし、こういった尖った製品は嫌いではないので今回レビュー権頂けたのは幸運です。
    \19,800の価値が有るかは使用用途次第でしょうが…てか考えたら自分のメインディスプレイより高ぇ!


    3Dディスプレイとしては破格とはいえ…
  • M.T.オーエンさん

    2011/11/12

    応募外れました(´・ω・`) ショボーン
    3DSと同じ原理なので結果の予想は付いていましたが、試してみたかったです。
    裸眼3Dは動画よりフォトフレームとして使った方が良いかもしれません。
    3D動画は眼鏡タイプかHMDでないと厳しいでしょうね。
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