普段からハイスペックという言葉にあまり縁がないizappyです。
そんな私が、今回は何と超高性能なプロセッサーとして評判のAMD Ryzen™ Pro モバイルプロセッサーのハイエンドCPUを搭載した14型モバイルワークステーション『Lenovo ThinkPad P14s AMD Gen2』をレビューすることになりました。私にとってハイスペックもそうですが、AMD製のCPUを採用したPCは今回が初めてとなりますので、何だかとてもワクワクします。
今回のレビューの主役は『AMD Ryzen™ Pro モバイルプロセッサー』ということになりますが、エンジンだけで自動車の性能が語れないのと同じように、プロセッサーだけでパソコンを評価することはできませんので、パソコン本体も含めたデザインや製品の完成度、相性、使い勝手などもしっかりレビューしたいと思っています。また、ファーストインプレッションとその後に続く本編とで内容が重複している場合があります。あらかじめご了承ください。なお、時間の都合で細かくレビューできなかった部分については、後から追記する予定です。
2022.01.21:
・「追記」項目を増やして、追加レビューを掲載しました。
2021.12.31:
・「スペック」や「総評」について、追記および修正しました。
2021.12.31:
・「デザインと外観」に顔認識によるサインインの内容を追記しました。
2021.12.29:
・「ベンチマークテスト」にGeekBench 5の計測結果を追記しました。
・「デザインと外観」に画面枠の縁部分についての内容を追記しました。
速くて静かでカッコいい!
無駄のないパッケージング
IBM時代からビジネス用ノートパソコンとして世の中に広く定着しているThinkPad、その中でもエンジニアやクリエイターに定評のあるPシリーズにあって、マルチコア性能に秀でた『AMD Ryzen™ Proモバイルプロセッサー』を採用したモバイルワークステーション「Lenovo ThinkPad P14s AMD Gen2」のファーストインプレッションをお伝えします。
製品は大きく『ThinkPad』のロゴが入った化粧箱(段ボール)に入っています。シンプルでありながら熟れた感じのある梱包形態で、さすがビジネス向けの製品と言えるソツのないパッケージです。
印象的な段ボール箱と簡素な内容物
中身は製品本体と電源一式、簡単な取扱説明書類が入っているだけで、家庭用として購入した場合は少し物足りなさを感じてしまうくらいあっさりした内容です。
14型はA4サイズの範疇?
本体サイズは14型ということでPシリーズの中では小さい部類に入りますが、モバイルノートパソコンで人気の13.3型と比べる少し大きめとなります。と言ってもA4ノートよりひと回り大きいくらいのサイズなので、A4サイズ対応の通勤カバンやバックパックなら入る可能性大です。
試しにLenovo純正の15インチPC対応バックパックに入れてみました。ちょっと大袈裟な感じになりますが、電源アダプターなども余裕で入りますし、しっかりと保護されているという安心感もありますので、モバイル時にはこのバックパックを活用したいと思います。
15インチ用なので余裕で入ります
また、ダイソーで購入した13インチ用パソコンケース(440円)に一式スッポリと収まったので、これは家用にもう一つ購入しようと思います。
普段使いの時はこのくらいのバッグがちょうど良さそう
MILスペックをクリアした堅牢性
話が少し逸れましたが、本体を掴み上げた瞬間ガッシリとした感触と適度な重みが伝わってきて、「これは凄く頑丈そうだな」と感じました。どうやらThinkPadは製品ラインナップ全体で、MIL規格(MIL-STD 810)の試験をクリアしているそうです。さすが、長きに渡って厳しいビジネスシーンを戦い抜いてきただけのことはありますね。
ThinkPad X1のストレステストデモ映像(Lenovo HPより)
ウルトラブックなどよりは厚みがありますが、片手で抱えるようにして持った時に、このくらいの厚みがあった方がホールドしやすく、エッジが程よく滑り止めの役目を果たしています。
厚さは17.9㎜、アップにするとさらに分厚く見えますね^_^;
最近の14型ノートパソコンは薄型で1㎏以下のものが多数出ていますが、ThinkPad P14s AMD Gen2は堅牢な作りの為なのか本体が1.5㎏弱あります。決して軽いとは言えませんが、持ち運ぶのにツラいというほどの重さではないですし、何といってもモバイルできて高性能ということを考えたら、この程度の重さは大したことないと思います。ただ、電源アダプターを加えると結構な重さになりますので、できれば電源アダプターなどは持ち歩きたくない感じです。
カタログ値は1.47㎏でしたが、実測値は1.455㎏でした
完成度の高さを実感
画面を開くと赤いトラックポイント(赤ポチ)と真っ黒なキーボードが目に止まります。『ThinkPad』を実感する瞬間ですね。また、何物にも染まらないと言われるブラックの中に浮かび上がる液晶画面は集中して作業するために効果的に見えます。
もはや完成された感のあるThinlPadスタイル
ThinkPadといったらこの「赤ポチ」を連想します
よく見るとパームレストの左端に見慣れない赤と黒のシールが貼られています。これこそが「Ryzen™ 7 Pro」が入っている証となるものなのですね。ちなみに「Radeon™」のシールはどこにも貼られていませんでしたが、Ryzenシールだけでも十分インパクトがあると思います。
メタリックなシールが一際目立ちます。
デザイン等については後で詳しくレビューしますが、一見して分かる上質な作りとタイプしやすそうなキーボード、さらに没入感のある画面周りに完成度の高さを感じました。
初めましてWindows 11
プリインストールされていたOSは今話題のWindows 11ではなく、使い慣れたWindows 10 Homeでしたが、初回起動時に『Windows 11』を勧める表示が出たので、それに誘導されるがままアップグレードしてしまいました。
OSのバージョンについては、正直どちらでも良いというか、何が入っていても「どんと来い!」だったのですが、ちょっと残念だったのは『Professional版(以下Pro版)』じゃなかったことでしょうか。ビジネス用途だと、リモート管理はもちろん、BitLockerの機能も重要です。でも、セキュリティに関しては、Ryzen™ PROのCPUレベルでのセキュリティが効いている筈なので、さほど心配しなくて良いのかも知れませんね。
さて、Windows 11ですが、凄く使いやすくなっていると思います。完全に慣れるまでには多少時間はかかりそうですが、違和感もなくスッと入ってくる感じがします。タスクバーはデフォルトで使おうか悩みましたが、ここだけは従来の配置(左寄せ)に戻しました。
ひとつ心配だったのは、メインで使うアプリが問題なく動くかということでしたが、今のところ必要なアプリについては正常に動作しているようです。
まだ長時間は使っていませんが、ファイル操作も軽快でクリックした時などのレスポンスが素晴らしいです。特にいつも使っているマウスを繋いで使っていると、 違いがよくわかります。OSのおかげなのか、ハイスペックなCPUの恩恵なのかは分かりませんが、非常に軽快に操作できて心地よいです。
素直に速いと感じた
ハイスペックマシンを使い慣れている人からすると、物足りないと感じる部分があるかも知れませんが、冒頭部分にも書いた通り、今までハイスペックという言葉にあまり縁がなかったので、ミドルクラスのPCのパワーを無駄なく使うために、アプリの環境設定で無効化できる不要な処理や設定を極限まで削って、エコな使い方をしていました。
Illustratorの設定画面、この辺りを外すと軽快になったりします
今回はそれら主要アプリの設定はあえて弄らずにデフォルトのまま使ってみたのですが、アプリの起動速度はもちろん、操作性も良好で快適に作業できました。今までのようなエコな使い方じゃなくてもまだまだパワーを持て余しているといった感じです。
没入感が凄い4K画面
4K対応の液晶ディスプレイは明るく発色も良いので、4K映像を観ていると没入感がハンパなくて映像の中に引き込まれそうな感覚になります。ほんの少し表示遅延があるような感じもしますが、たまたま観た動画のせいかも知れません。
映像:TimeLapseHD Vancouver City 2 Time Lapse in 4K
14インチなので、4K表示の推奨表示率は300%になっていました。300%だと見やすい反面画面が広く使えません。かと言って100%表示にするとあまりに小さすぎて目が疲れるので、今回は間をとって200%で使っています。
上が推奨の表示率300%で下が100%です
※同じウインドウを表示しています
上質で滑らかな打ち心地
キーボードはキーが独立したアイソレーションタイプで、キートップの手前側が大きくラウンドした形状が特徴的です。キーピッチが19㎜のフルサイズキーボードなので、とてもタイプしやすいと思います。
多少の慣れは必要ですが、ほぼ違和感なく打てます。
基本的に静音で、ポクポクというかストストというか何とも形容しにくい音ですが、チャラチャラしたプラスチック同士の当たる音もなく、上質で滑らかなタッチでタイプできるところが気に入りました。
思わず緊張してタイプしてる感じが出せませんでしたw
意外と静かです
ThinkPad 14s AMD Gen2の起動は特別速いという感じではありません。電源ボタンを押してから「Lenovo」のロゴが表示されるまでに数秒かかるので、初めは「あれ?」っとなりましたが、気になるレベルではなく、ちょっとよそ見している間に指紋認証待ちの画面になっています。
指紋認証の様子、私の手の動きがぎこちない、、、
気になる動作中の音ですが、ハッキリ言ってとても静かです。ファンはあまり回らない気がしますが、あれこれ作業をしているとファンが回ります。スーッという感じの低めな音で『鼻息』を持続させているような音です。ベンチマークなど重めの作業を実行している時は、サーッという『荒い鼻息』レベルになり、全開モードではザーッという音になりますが、外部GPUから発するファンの音から比べると静かな方だと思います。これなら周りを気にすることなく作業できそうです。
右側面の排気口、レビューを書いているくらいではファンは回りません
ベンチマークなどを実施するとファンが回って排気口からムワッと温かい空気が出てきます。外部GPUを採用したゲーミングノートだと、熱風が勢いよく出てきて「アツッ!」となりますが、ThinkPad P14sの場合はファンの音が静かなだけあって風量も少なく温度もさほど高くないようです。
想像以上でした!
それにしても、今回のレビューは製品が届くまで細かい仕様を知らなかったので、かなり油断していたこともありますが、想像以上の性能で本当に驚きました。
全体から細かい部品まで洗練された機能美を感じます
小さいのに高性能で画面も綺麗。
何より黒くてカッコいい!
そしてRyden™プロセッサーは想像以上に高性能です!
他にも色々と感じたことはありますが、とりあえず、ファーストインプレッションとしてはこのような感じで、この後に続く本編(長編です)の方でもう少し細かく掘り下げた内容をお伝えしようと思います。よろしければこの先もご覧いただければ幸いに存じます。
ハイスペックをギッシリ詰め込んだプロ仕様!
モバイルワークステーション
ThinkPadは、科学技術計算やCADといった特定分野の作業に特化したワークステーションに分類される高い処理能力を持った業務用コンピュータのブランドです。今回レビューする『ThinkPad P14s AMD Gen2』は、「モバイル性」と「ワークステーションの能力」を融合させ、技術者やクリエイター向けにカスタマイズされた『ThinkPad Pシリーズ』に属したモバイルワークステーションです。
モバイルワークステーションThinkPad P14s AMD Gen2
ThinkPad P14s AMD Gen2はPシリーズの中でも唯一「AMD製CPU」を搭載している製品です。また、PシリーズとしてはCPUと並んで重要とされる外部グラフィックスボード(GPU)を採用せず、内蔵グラフィックスのみで構成されており、ワークステーションに属しながら限りなく一般的なノートパソコンに近い仕様となっている機種です。
ISV承認を取得
モバイルワークステーションが一般のPCと大きく違うのは、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)によって、アプリとの互換性や安定稼働、高い運用性をテストされてISV認証を取得している点です。つまり、プロ向けのアプリの動作が保証されているということです。
ISVソフトウェアと推奨事項の詳細を調べることができるLenovoのサイトで、『ThinkPad P14s AMD Gen2』で検索すると、いくつかのISV及びソフトウェアが確認できました。これらのソフトウェアは別途専用のドライバーなどが提供されており、それを適用することで動作が保証されるということらしいです。ここで見つからなかったソフトウェアについては、そのままで動作が保障されるということのようです。
◇特定分野の作業に特化した『ThinkPad P14s』
基本仕様(型番:21A0CTO1WW)
- CPU :AMD Ryzen™ 7 PRO 5850U
- メモリ : 32GB(最小16GB、最大48GB)
- ストレージ : SSD 512GB(最大2TB)
- グラフィックス : AMD Radeon Proグラフィックス
- ディスプレイ : 14型 UHD IPS液晶(他にも選択肢あり)
- OS : Windows 10 Home 64bit
- 無線 : Wi-Fi6、Bluetooth 5.2
- インターフェース : USB-A 3.2 Gen1×2、USB-C 3.2 Gen2 ×2
HDMI、マイク/ヘッドフォンジャック、MicroSDカードリーダー、ドッキングコネクター、LAN(RJ-45)コネクター、セキュリティキーホール、指紋センサー、顔認証 - 内蔵カメラ:HD 720pカメラ、プライバシーシャッター付
- オーディオ機能:ハイデフィニション・オーディオ(Dolby Audio™機能付)
- 寸法(単位:mm) : W329 × D227 × H17.9
- 本体重量 : 1.455㎏(実測値)
- バッテリー :最大13.4時間(UHD)
- その他(オプション): LTE、スマートカードリーダー
◆CPU
CPUは第4世代AMD Ryzen™ PRO 5000シリーズ モバイルプロセッサーの中でも、最上位の「AMD Ryzen™ 7 PRO 5850U」を採用しています。※CPUの詳細については後述します。
◆メモリ
DDR4-3200MHzで、オンボードに16GB×1枚、DIMMスロットに16GB×1枚で計32GBのデュアルチャネル対応になっていました。容量だけなら最大48GBにできますが、私の作業環境では32GBあれば大抵何とかなりますので、容量よりスピードを取った方が良さそうです。
デュアルチャネルは有効になっています
◆ストレージ
Micron製のSSD(M.2 2280 PCI-NVMe OPAL対応、512GB)が入っていました。容量的には必要なアプリを一通りインストールしてもまだ余裕はありますが、あっという間に一杯になりそうなので、作成したコンテンツなどは別のドライブ(MicroSDカードなど)に保管した方が良さそうです。
Micron 2300 NVMe M.2 512GB MTFDHBA512TDV
◆グラフィックス
AMD Ryzen™ 7 PRO 5850Uには、AMD Radeon™ Proグラフィックスが統合されています。内蔵GPUは、消費電力や発熱が少ないというメリットはありますが、重い3Dデータや4K動画などの編集には向かないと言われています。
◆ディスプレイ
モバイルノートパソコンで人気がある13.3型より少しだけ大きい14.0型の液晶画面です。今回レビューした型番:21A0CTO1WW にはUHD(3840×2160)のIPS液晶(非タッチパネル)が搭載されていました。他にも、必要に応じてマルチタッチパネル対応や色域が高い液晶ディスプレイも選択できます。(全5種類)
4K表示のリフレッシュレートは60Hzです
映像:TimeLapseHD Vancouver City 2 Time Lapse in 4K
鮮やかな画面、撮って出しの画像を切り出しました
横から見ると多少暗くなりますが、色味は変わりません。
UHDディスプレイの詳細は、14型UHD液晶(3840×2160)IPS、光沢なし、マルチタッチ非対応、HDR400、90%、DCI-P3、500nitとなっており、カスタマイズできるディスプレイの中では最も明るく、色域カバー率も90%と高く、最高のスペックとなっています。また、オプションでファクトリー・キャリブレーションも用意されているので、それを利用すればキャリブレーション毎にも発色を元に戻せるそうなので、特に色に拘るクリエイターにとって、このUHDディスプレイは最高のパートナーとなることでしょう。
◆OSのバージョン
OSはデフォルトでWindows 10 Home 64bit版がプリインストールされています。初回起動時に「お使いのデバイスには Windows 11 をお勧めします」と表示されたので、そのままWindows 11 Homeにアップデートしました。Home版も動作確認は取れているので、普通に使う分には全く問題ありませんが、データを暗号化するBitLockerの機能をフルに使うならやはりPro版の方が良いでしょう。
Windows 11にアップデートしました
Windows 11 HomeもBitLockerは利用できません。
(MSサポートページより引用)
◆インターフェース
正面には何もありませんが、側面には必要と思われるI/Oは大抵網羅されています。(下の画像を参照ください)ただ、USB-Cコネクタは備えているものの「Thunderbolt(インテルとAppleの共同開発による高速汎用データ伝送技術)」に対応していません。これはまぁ仕方がないことだと思いますが、対応デバイスを使う予定が明確な場合以外は特に問題にはならないのではないかと思います。
LTE(高速通信回線用のSIMスロット)はオプションで組み込みが可能で、SIMカードは背面側に格納されます。スマートカードリーダーも選択可能ですが、私の周りでスマートカード(ICチップ入りの高機能カード)を使用している人を見かけたことが無いのでよく分かりませんが、特殊な場合以外は必要ないと思われます。
①スマートカードリーダー(オプション)
②USB-A 3.2 Gen1
③LAN(RJ-45)コネクター
➃セキュリティキーホール
⑤USB-C 3.2 Gen2(電源入力)
⑥USB-C 3.2 Gen2
⑦ドッキングコネクタ(⑤⑥と併用)
⑧USB-A 3.2 Gen1
⑨HDMI
➉マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック
⑪microSDメディアカードリーダー
⑫SIMカードスロット(オプション)
◆内蔵カメラ
オンライン会議などで重宝する内蔵カメラ(HD 720p)ですが、ThinkPad P14s AMD Gen2に採用されているカメラは顔認証に対応しており、システムログイン時にパスワード入力をしなくてもログインできるようになります。さらに自分以外の人にはログインできないので、不用意にPC内部を覗かれる心配がなくなるのでセキュリティにも役立ちます。
また、カメラにはプライバシーシャッターという物理的にフタをしてしまう機構が付いているので、オンライン会議などでカメラに映りたくない場合やリモートで盗み見されるようなハッキング対策としても使えますので、あると便利な装備です。
◆重量
本体重量は1.455㎏(実測値)ということで、今時のモバイルパソコンとしてはやや重めですが、電源アダプターなど(約294g)を持ち歩かずに済むような、ちょっとした外出や出張であれば、それほど苦にはならない重さだと思います。私は在宅ワークの時、倍近い重さがあるノートパソコンをバックパックに入れて持ち歩いていたので、本製品の重さなら全く苦にならない自信があります。
本体と電源アダプターで約1.75㎏です
◆バッテリー
バッテリーは3セルのリチウムイオンバッテリーを採用し、JEITAのバッテリー動作時間測定法に基づいて算出された動作時間は、FHDで15.2時間、UHDやFHDタッチパネルは13.4時間となっています。もちろんこれは単なる計算値なので、実際は使い方次第で大きく変わってくると思いますが、省電力CPUを搭載しているので内蔵バッテリーだけでも結構長時間使えるのではないかと思います。※ファンが全開で回り続けるような重めの処理を続けるとあっという間にバッテリーが減ります。
ちなみに、本機はPowered USBを採用しているので、家にあったUSB Power Delivery(PD)対応のモバイルバッテリーを繋いでみたところちゃんと充電できる(であろう)ことが分かりました。
PD対応のバッテリーがあれば安心ですね~
PD対応のモバイルバッテリーと併せて持ち歩けばかなりの長時間使えるようになりますが、容量の大きなバッテリーは下手すると電源アダプター1式よりも重いので、それはそれで悩ましいところですね...
拡張性について、
購入時にオプションで変更できるアイテムはいくつかありますが、後から増設・交換できる部分は余りありません。メモリ(1スロット分)とSSD(容量)は後から変更することは可能ですが、他の専用パーツは、入手できるかどうか次第です。
メンテナンス用のフタなどは一切なく、本体裏カバーを丸ごと外す作業が必要になります。パーツさえ入手できれば、ディスプレイ交換やLTEモジュールの取り付けも可能だと思いますが、出来るだけ購入時にメーカーオプションでカスタマイズしておいた方が確実でしょう。
裏面にはフタの類は見当たりません
今回のレビュー機(型番:21A0CTO1WW)は、フル装備に近い仕様でしたので、もし弄るとするならばSSDの容量アップくらいでしょうか。あとはLTEモジュールも欲しいところですね〜
◇攻守ともに優れた『AMD Ryzen™ 7 PRO 5850U』
AMD Ryzen 5000シリーズ
アメリカの半導体企業であるAMD社が開発したZen マイクロアーキテクチャをベースにしたCPUブランドが『Ryzen™(ライゼン)』です。2021年12月現在では、7nmプロセスで製造されるZen3(一部Zen2)アーキテクチャを採用した第四世代のAMD Ryzen™ 5000シリーズを展開しています。
AMD Ryzen™プロセッサーの製品ラインナップには、競合であるインテル社のCoreシリーズに合わせるようにブランド名の後ろに付番(3,5,7,9など)がされています。それぞれの特徴をAMDの製品ページから引用させて頂きました。
◇Ryzen™ 9
優れたゲーミングとコンテンツ制作のための究極の性能。
◇Ryzen™ 7
ゲームとオフィス業務により高い処理能力を望むユーザーのための、最高なパフォーマンスと驚異的なバッテリーライフ。
◇Ryzen™ 5
オフィス業務とエンターテインメントの両方に必要な、強力なパフォーマンスと即時応答性。
◇Ryzen™ 3
外出先でのブラウジング、ストリーミング、そして編集を安心してこなすために、ここから始めよう。
簡単に言えば、数字が大きくなるほど高性能ということになります。これは競合するCPUも同じような特徴と言えるので、置き換えてみれば想像しやすいと思います。
AMD Ryzen™ 7 PRO 5850U
今回レビューする「ThinkPad P14s AMD Gen2」には、ビジネスモバイルPC向けプロセッサー『AMD Ryzen™ PROプロセッサー』が搭載されています。PROシリーズのCPUは『AMD Ryzen™プロセッサー』の基本スペックはそのままに、セキュリティ機能や保護機能、管理機能を追加した最新のビジネスニーズに応えられるスペックを備えています。
セキュリティーに対する多層アプローチのイメージ
(AMDの製品ページから)
◇AMD PROセキュリティ
(Ryzen™プロセッサー用に設計された多層セキュリティ機能)
- AMD Shadow Stack:
制御フロー攻撃に対するハードウェア支援型保護機能。 - AMD Memory Guard:
システム・メモリのリアルタイム暗号化機能により物理攻撃からデータを保護する。 - AMD Secure Processor:
機密データの処理と保存を保護するプロセッサー統合オンチップ - WindowsデバイスガードとBitLocker、MicrosoftやPCメーカーと連携してセキュリティを支援する。
- Microsoft Secured-Core PC互換:
Microsoftと協力してSecured-Core PCを提供することで、OSを攻撃から保護し、データへの不正アクセスを防止する。 - AMD Secure Boot:
ファームウェアに対するAPT攻撃を軽減する。
その他にも、AMD-V、AMD Firmware TPM、AMD RNRAND、AMD AES-NI、AMD GMET、AMD SMM Supervisor、AMD SKINITなどがあります。
TPM 2.0準拠のセキュリティーチップ同等の機能をCPUに内蔵
「Windowsセキュリティ」で確認できるデバイスのセキュリティ
これらのPROセキュリティで強化されたAMD Ryzen™ PRO モバイルプロセッサーの中でハイエンドクラスの『AMD Ryzen™ 7 PRO 5850U』が今回のレビュー機に搭載されているCPUとなります。数値として見える性能的な部分は「AMD Ryzen™ 7 5800U」と同じです。
基本スペック
◇AMD Ryzen™ 7 PRO 5850U基本スペック
- プラットフォーム:ノートPC
- 製品シリーズ: AMD Ryzen™ PRO プロセッサー
- 製品ライン:AMD Ryzen™ 7 PRO 5000シリーズ モバイルプロセッサー
- CPUコア数:8
- スレッド数:16
- 基本クロック:1.9GHz
- 最大ブースト・クロック:4.4GHz
- L2キャッシュ合計:4MB
- L3キャッシュ合計:16MB
- デフォルトTDP/TDP:15W
- 製造プロセス:7nm
- パッケージ:FP6
- 最大温度:105℃
- PCI Expressバージョン:PCIe 3.0
- RAM: DDR4-3200、LPDDR4-4266
- グラフィックス・モデル:AMD Radeon™ Pro Graphics
(AMD Radeon™ RX Vega 8) - GPUコア数:8グラフィックス周波数:2000MHz
AMD Ryzen™ 7 PRO 5850Uは、TDP(熱設計電力)が15Wと省電力でありながら、8コア16スレッドとなっています。基本クロックは1.9GHzと低めですが、最大ブーストクロックは4.4GHzと省電力の割に高いクロックで動作します。
AMD Radeon™ Proを統合
内蔵グラフィックスには「AMD Radeon™ Proグラフィックス(Radeon™ RX Vega 8)」が統合されています。GPUコア数は「8」で、周波数2,000MHzで動作します。ビデオRAM容量は4GBをCPUと共有しています。ビデオRAMを消費する今どきの重い3Dゲームや4K動画の編集などは少々キツいと思います。
Ryzen™ 5000シリーズ(Zen3アーキテクチャ)の構成図
AMD Ryzen™ 7 PRO 5850U まとめ
以上のように『AMD Ryzen™ 7 PRO 5850U』は、モバイルPC向けのCPUとしてはかなりハイスペックだと思います。さらにCPUレベルのセキュリティも凄そうなのですが、凄さを確認する手段が分からないのでこれ以上私にはどうこうできそうもないのが残念です。。。
実際に使用するまでは内蔵GPUの性能が気になっていました。長年外部GPUを搭載したPCを使ってきたので、私の中では内蔵GPUは「何だか頼りない」というイメージがありました。内蔵GPUでクリエイティブ系ソフトなどをガンガン使うのはちょっと酷なのではないかと思っていましたが、どうやら私の認識が間違っていたようです。(つづきは実用性のセクションを参照ください)
なお、今更ですが、AMDではCPUとGPUを統合したものを『APU』と呼んでいます。本レビューでは両方が混在してしまうと紛らわしくなってしまいますので、あえてAPUと呼ばずに「CPU」に統一しています。
洗練されたフォルムと抜群の操作性!
昔も今もカッコ良い
日本で開発され、世界市場で圧倒的な知名度を誇る『ThinkPad』、型番は覚えていませんが、会社の電算室でIBM時代の初期モデルを初めて見た時は本当に「黒くて四角い箱」という印象を受けた記憶があります。あの頃はノートパソコン自体が珍しい時代(私がMacを使い始めた頃)でしたので、この黒くて四角い箱がやたらとカッコ良く見えました。
あれから数十年経ち、ThinkPadシリーズも進化してスリムになりましたが、無駄のない合理的でシンプルな形状と黒に拘ったデザインポリシーは脈々と受け継がれていて、『続けること、変わらないこと』の大切さを改めて教わった気がします。
さすがに「箱」ではなくなりましたが、
角張ってるという印象は健在です
さて、ThinkPad 14s AMD Gen2のデザインですが、限りなくフラットで角張った天板とやや前傾したように見えるフォルム、できるたけ薄く見せるために大胆に面取りされた美しいエッジラインなどが融合して、より洗練されたスタイルに仕上がっていてカッコ良いと思います。
正面側(左)に向かってエッジラインが上がって先細りに見えます
ボディ色はThinkPadの象徴でもある「ブラック」です。黒はキズやホコリなどが目立ちやすい色ですが、ThinkPad 14s AMD Gen2が採用しているブラックは、上質で落ち着いたソフトな印象の艶消しブラックです。昔ながらのピーチスキン塗装とはちょっと違う塗装なのか、サラッとした手触りでホコリなどが目立ちにくく、汚れにくいのが好印象です。ただ、一度油分が付着すると乾拭きでは落ちにくいようではありますが、、、
精悍なマットブラックをまとったThinkPad P14s AMD Gen2
ThinkPad P14s AMD Gen2は外側も中身もブラックです。赤いワンポイントがニコン(カメラ)でいう「伝統の赤ライン」のようで精悍な印象を受けます。液晶画面の枠は流行の狭縁仕様ではありませんが、ブラックの効果なのか没入感があって画面に集中しやすいと思います。
見た目の堅牢さも重要だと思うのです
強度が求められるヒンジ部分には金属パーツが使われていて、あえてボディと同色にしないことで、堅牢さを強くアピールしているように見えます。実は私はこの部分が結構気に入っています。
アーバングレー色のヒンジパーツがお気に入り
天板の端に斜めに配された「ThinkPad」ロゴにブランドの伝統、ThinkPadらしさを感じます。「i」の点が光るのは やり過ぎだろうと思いつつ、ついつい見てしまうので、どうやらこれもお気に入りポイントになっているようです。
天板ロゴは開いた時に背面側から見ると天地が正しく見えます
中も同じ位置(逆向き)にロゴが入っています
右肩上がりは縁起がいい?
側面には排気口とインターフェース類が並んでいます。各インターフェースの配置は「仕様」のところで説明した通りです。この部分のデザインはどうしてもゴチャゴチャしがちですが、使い勝手を優先するとこんな感じになるのでしょうね。
とりあえず、機能美ということにしておきますか、、、
背面部分にはオプションのLTE用SIMスロットを設置するスペースがありますが、それ以外は画面の開閉に支障が出るので何もありません。スッキリしていて良いです。本体裏面には通気用のスリットが設けられています。あとは四隅にゴム足があるくらいで拡張スロット用のフタなどはなく、こちらもまたスッキリしています。
背面はスッキリ、裏(底)面も超フラットです
この真っ平らな作りでよくここまでの強度が保てるものだと本当に関心してしまいます。強度が足りないとついリブとか曲面で逃げてしまいがちですが、そんな妥協は許されないのでしょうね。
フルフラットな使い方
画面は180度開きます。向かい側の人と画面を共有するというパターンもありそうですが、外部モニターを利用する際に自らの液晶画面が邪魔にならないようにするための便利な機能と言えます。フラットにした状態はちょっと滑稽ですが、モニター台などの下に入れてしまえば違和感なく使えます。
初めて見た時は『壊れた座椅子』を連想してしまいました
画面を閉めた時にあった斜めの隙間は、実は画面を開いた時に本体とぶつからないための「逃がし」だったのですね。画面を開いた時に本体と画面がギリギリで触れずに交わされるさまに巧みの技を感じます。
この斜めの隙間は底部デザインに合わせたのかと思いましたが、
回転する時に本体にぶつからなくするための形状でした。
フラットまで倒すと底部の傾斜部分にスルッと滑り込みます
打ちやすいキーボード
キーボードはThinkPad特有の赤いトラックポイントが付いたアイソレーション設計のフルサイズ仕様で、テンキーはありません。キートップは手前側がラウンドした形状で、左右どちらからアプローチしても指当たりが良くソフトな印象です。キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.8mmで、深すぎず浅すぎず適度な重さもあって非常に打ちやすいキーボードです。※あくまでも私の好みです。
長時間タイプしていても疲れにくいキーボードです
キーレイアウトは標準的なものですが、私個人としては「Fn」キーと「Ctrl」キーは逆の方が打ちやすいので、キーボードマネージャで入れ替えるかそのまま使うか迷うところです。
それから、キーボードにはバックライトが組み込まれているので、暗闇でも安心して使用できます。 使い方はFnキーを押しながらスペースキーを押すことで点灯(明るさは二段階)・消灯を切り替えられます。明るいところで見ると点いているのか、いないのか分かりづらいのですが、暗い所では結構明るく感じます。
明るさは2段階、暗いところで使う時に重宝します
赤ポチこそThinkPadの魅力?
トラックポイント(赤ポチ)はキーボードから手を放さずにマウス代わりにマウスポインターを動かせるので、マウス無しで使う際にトラックパッドよりも直感的に操作できて便利です。便利なことは分かっていますが、実はちょっと苦手です。タイピング自体が下手なので何度か突き指しそうになりました。
赤いキャップは簡単に外せて交換もできるのが魅力です
ThinkPadの魅力のひとつであるこのトラックポイントは是非とも使いこなせるようになりたいなぁと思っています。
トラックパッドのボタンは上(奥)にあり、はじめは違和感を感じましたが、トラックポイントを操作しながら押すためには、この位置が最良と言えます。確かに昨日今日で突然付いた機能ではないので、使いやすくなっているのは当たり前と言えます。さすがです。
上にあるほうが押しやすいトラックパッドのボタン
マスク時代の便利アイテム
トラックパッドの右側に四角くて一段下がった部分があります。これが『指紋センサー』です。システムログインの時に、指紋認証にてログインするためのものです。顔認証はマスクをしたままだと難しいので、マスク時代の今は指紋認証が便利です。(指紋認証時の動画はファーストインプレッションにご覧いただけます)
最初はこれが何だか分かりませんでした^_^;
顔認証によるログインにも対応した内蔵カメラはHD 720P(92万画素)カメラで、プライバシー用のシャッター付きなところが何とも嬉しい仕様です。シャッターのスライドスイッチ部分も含めてスマートに仕上がっていて全体のデザインを損ねていないところが良いですね。ちなみにカメラの性能は普通ですが、オンライン会議で顔を出す程度なら十分すぎると思います。
分かりやすい電源ボタン
キーボードの右奥にある丸いスイッチが電源スイッチです。他に並んでいるものが無いので、一目瞭然で分かりやすいです。電源を入れると真ん中のランプが点灯します。シャットダウンすると点滅後に消灯します。
丸くて押しやすくオン/オフが分かりやすいボタンです
オンライン会議に最適の音
ヒンジとヒンジの間に細長いステレオスピーカーグリルがあります。細かいメッシュでできていて音抜けは良さそうです。メッシュ部分はザラっとした肌触りでホコリが溜まりそうなところがちょっと心配です。
どのようにスピーカーが仕込まれているのかは不明です
HDオーディオ(ドルビーオーディオ機能付き)を採用しています。画面のすぐ下にスピーカーがあるので、音がハッキリと聞こえます。音が画面に反射しているおかげかも知れませんが、オンライン会議などでは音声が聞き取りやすくて良いと思いますが、映像や音楽を軽く聴いた感じでは、音の広がりという点で少し物足りなく思いました。
豊かでクリアな力強いサウンドを提供するドルビーオーディオ
好みのサウンド設定に変更できるのも便利そう
実際にオンライン会議で使ってみたところ、静かな会議室などでは非常に聞き取りやすく感じましたが、周りの音が煩いと何をやってもダメでした。やはり雑音が多いところではマイク付きのイヤホンが必須となりますね。(両耳タイプを推奨)
細かい配慮がありがたい(2021.12.29更新)
画面の枠部分をよく見ると外周の「縁」部分が枠よりもコンマ数ミリほど出っ張っています。これはおそらく画面を閉じた時の衝撃緩和とキーボードと液晶画面がぶつからないようにしているのだと思います。さらに貝のようにピタリと閉まることで、外部からの砂やほこりなどの侵入を防ぐ効果もあると思われます。もしかしたら補強の意味もあるかも知れませんね。
よく見ると外周の縁がわずかに出ています。
顔認識によるサインインを試してみました。(2021.12.31更新)
顔認識が気になっていたので、顔認識によるサインインを有効にしてみました。設定は「アカウント」の「サインイン オプション」から追加で設定可能です。
今回はPCを再設定した時に「顔認識」を選択しました。
起動時のカメラの挙動は、サインイン画面になった瞬間にカメラ右に空いている小さな孔が白く光り、次の瞬間カメラのレンズが赤く点滅します。顔が認識されれば一瞬でサインインが完了します。認識されない場合はレンズが点滅し続けます。もしどうしてもうまく認識されない場合やマスク着用時などは指紋認証や暗証番号(PIN)を使ってサインインします。
モバイルワークステーション、頑張ってます!
お決まりのベンチマークソフトや情報確認ツールを使って性能をチェックしてみました。今回は、都合により他製品との比較はありませんので、ランク付けや評価はしづらいと思いますが、あくまでも参考資料としてご覧いただけると幸いです。
なお、一部のベンチマーク結果は別の項目でも紹介している場合があります。また、システムの設定は良い結果を期待して『最適なパフォーマンス』モードにしています。
◇ハードウェアの情報
まずは、ハードウェアの情報を確認してみます。
CPU-Z
CPUやマザーボード、メモリー、グラフィックなどのスペックや詳細情報を知ることができる定番ユーティリティです。滅多に使いませんが、メモリーを増設した時などにちゃんとデュアルチャネル対応になっているかを確認する時に使っています。
RadeonがATIなのが懐かしいですね...
GPU-Z
GPUの詳細情報や稼働状況を知ることができるユーティリティです。カタログデータよりも詳細が分かる優れものです。ちなみにRyzen™ 7 PRO 5850Uに統合されているRadeon™ ProのコードネームもやはりCPUと同じ『Cezanne(セザンヌ)』でした。
◇ベンチマークテスト
Windows エクスペリエンス インデックス
(WIN SCORE SHARE)
Windows 8.1以降で表示されなくなった簡易版システム評価ツールを復活させたものです。久しぶりにGUI表示でスコアを見ました。
総合スコア『8.1』、モバイルPCとしてはなかなかのスコアが出たのではないかと思います。いつもなら何かが足を引っ張ってスコアが下がるのですが、ThinkPad P14s AMD Gen2はバランス良く高スコアでした。
Cinebench R23
CPUベンチマークソフトとして定番の『Cinebench R23』を実施してみました。CPUを使って、ひたすらCGを描画させてその結果をスコアにしています。
マルチコアスコア:8654pts
シングルコアスコア:1414pts
マルチコアは結構良いスコアが出ていると思います。また、シングルコアのスコアも予想以上に頑張っているように見えます。AMD Ryzen™ 7 PROの基本クロックは1.9GHzと低めなので、シングルコアとしての性能はどうかなぁと思っていましたが、これなら問題ないというか、かなり良いのではないかと思います。
PCMark 10
PCの一般的なアプリの実行における総合的なパフォーマンスを計測するベンチマークソフトで、「Essentials (基本性能/目安4100以上)」「Productivity (生産性/目安4500以上)」「Digital Content Creation (クリエイティブ性能/目安3450以上)」といった3つの項目をテストして数値化します。
総合スコア: 5578
基本性能 : 9572
生産性: 8655
クリエイティブ性能 : 5688
総合スコアよりも項目ごとのスコアの方が重要と言われていますので、各項目のスコアも記載しました。全ての項目でスコアの目安値を超えています。Ryzen™ 7 PRO 5850Uは評判通りの凄いCPUですね。
3DMark
3Dゲームのような映像を描くプログラムの定番ベンチマークです。CPUおよびGPUのスコアを測れますが、メモリの速さなどでもスコアが違ってくるようです。今回は3種類のテストを4k環境にて実施しましたので、それぞれのスコアを参考値として掲載しておきます。
Time Spyスコア: 1421
(視覚:1253、CPU:6019)
Night Raidスコア: 13349
(視覚:14850、CPU:8489)
Fire Strikeスコア: 3198
(視覚:3385、物理:15493、結合:1228)
どちらかというとゲーム用のペンチマークなので、そちらの視点で見ると弱いかも知れませんが、ThinkPad P14s AMD Gen2はゲーミングPCではないので、気にしない気にしない。。。
CrystalDiskMark
各種ストレージ (HDD, SSD, USBメモリ等) の速度を測定する定番ベンチマークソフトで、ThinkPad P14s AMD Gen2に搭載されているSSDの速度を計測しました。さすがにNVMeだけあって速いです。その分発熱量も凄そうです。アイドル状態は40℃前後で、ベンチマーク実行中は60~63℃くらいになっていました。
読み書き共に十分速いと思います
Geekbench 5(Tryout)
こちらも定番のベンチマークソフトです。トライアウトモードでCPUとGPUのベンチマークを無料(計測結果が共有サイトに自動的に投稿される)で計測してみました。ちなみにスコアのベースは「Intel Core i3-8100(Coffee Lake-S)搭載のPC」の測定値を1,000としているそうです。
2つのテストが実施できます。
◇CPUベンチマーク測定結果
シングルコアスコア:1411
マルチコアスコア:6480
◇Computeベンチマーク測定結果
OpenCLスコア:14776
Vulkanスコア:17764
クリエイティブ系ソフトも結構イケます!
私はデザインに携わる仕事をしているため、パソコンで使用しているソフトのほとんどはクリエイティブ系のものです。特にPhotoshop・Illustrator・Shade 3Dは常に起動していて、それ以外は事務系のMS Office系のソフトやWEBブラウザくらいです。
クリエイティブソフトの中で特に使用頻度の高いのはIllustratorで、3DCGやイメージ合成画像などを配置したり、意匠図を描いたりして提案資料を作成しています。IllustratorとPhotoshopは兄弟的存在なので、お互いの良い部分を連携させると強力なツールとなります。
また、Shade 3Dについても、IllustratorやPhotoshopと相性が良いので、適材適所で組み合わせて使うことで最強のツールとなっています。(ただし、私に限る。のかも知れません...)
◇Adobe Creative Cloud
Adobe CCをインストール
Adobe Creative Cloud(以下Adobe CC)は、月額料金を支払うことでAdobeの定番クリエイティブソフトを自由に使用することができるサブスクリプションサービスです。
Adobe CCは、『Adobe Creative Cloud デスクトップアプリケーション』という、サービスを集中管理するソフトをインストールすることで、その管理画面からプランに応じたアプリをインストールすることができます。
今回は、クリエイティブソフトの定番、PhotoshopとIllustrator、Premiere Proをインストールしてみます。(インストール作業の様子は省略します)
◆Photoshop 23.0.2(2022)◆
プロ仕様のデジタル画像編集ソフトです。様々なツールや効果などが用意されていて思い通りの画像編集が行えます。バージョンアップを重ねる度に確実に重くなっていくというイメージがあります。
PhotoshopにはアクセラレーションにGPUを必要とする機能とGPU無しでは利用できない機能があります。環境設定を見ると、CPUに内蔵されているRadeonグラフィックスもGPUとしてちゃんと認識されていました。
Photoshopの起動時間は、起動時に読み込まれるフォントやプラグイン、作業環境などによって多少異なってきます。以前は起動するまでに軽く1〜2分は掛かりましたが、最近のPCでは約15秒くらいで起動するので、あまり重さは感じなくなりました。
Photoshop起動時間 : 約10秒
今回はフォントや特殊なプラグインなどを一つも追加せず、デフォルトの状態で試用しています。と思っていましたが、実はベンチマークテストのユーティリティはプラグインでした...
普段は出来るだけ軽快に作業できるよう無駄なアニメーションや効果などをオフにしていたのですが、特に設定を弄らなくでもサクサク動きました。リアルタイムプレビューでもしっかり画像が追従してくる(といってもリフレッシュレートが60Hzなのでヌルヌル動くほどではない)ので、小気味よい使用感です。
Photoshopの作業イメージ
フォトショで軽い作業をしている時のCPU使用率
ただ一つだけ気になる点は、選択範囲内の画像やオブジェクトを移動したりする時にPC本体から『ジリジリ』というノイズのような音がします。消音していても出ますが、手のひらツールなどだと出ません。ハードの個体差なのか、あるいはソフト上の問題なのかは不明ですが、ちょっと気になりました。
ベンチマークを実施
今回は、『PugetBench for Photoshop』というベンチマーク(Photoshopプラグイン)を実施して、結果を数値化してみました。英語版のプラグインなので、Photoshop自体も英語版で起動しています。また、PCの電源モードは『最適なパフォーマンス』に設定しています。
総合スコアは、769でした。
無料版のベンチ結果はPugetBenchのサイトにアップされます
高いのか低いのか比較しないと分かりにくいと思いますが、スコアの参考値(Intel Core i9 9900K 8コア、NVIDIA GeForce 2080 8G、64GB RAM、Samsung 960 Pro 1TBのスコアを1000としている) からすると、かなり頑張っていると思います。ただやはりGPUのビデオRAMの容量で差が出てしまっているのではないかと思います。
ベンチマーク実施中にタスクマネージャーでパフォーマンスを確認していましたが、CPUの使用率は、割と全ての論理プロセッサーに割り当てられていました。ずっと見張っていた訳ではありませんが、CPUの使用率が常に100%という感じではありませんでした。
ベンチ中のCPU使用率
※濃いブルーはカーネルモードの使用率です
◆Illustrator 26.0.1(2022)◆
デザイン業界で広く受け入れられているベクターベースのグラフィックデザイン用ドローソフトです。アドビの最古級ソフトで、古い形式のファイルを読み書きすることが可能な互換性重視の作りなので、プログラムに今でも古いコードがかなり残されているようです。そのような訳でマルチコアよりCPUのシングルスレッド性能が重要になると言われていますが、マルチコアに対応していない訳では無いので、実際のところはマルチコアの恩恵も少なからずあるのではないかと思っています。
Adobe Illustrator もPhotoshop同様にGPUアクセラレーションを利用するとこができます。ただ、今までの経験上GPUアクセラレーションは、必ずしも『オン』の方が良いという訳でもなく『オフ』の方が良い場合もあります。
Illustratorの起動時間は、やはりPhotoshopと同様に全部読み込むのに結構時間がかかります。少し前まで私が使っていた仕事用PC(第5世代i5)だと起動時間に1〜2分くらいは掛かっていましたが、現在の仕事用PCだと10秒程度なので、それから比べてもいくらか速いと思います。
Illustrator起動時間 : 約7秒
リアルタイムプレビューでも十分追従してくると思いますが、複雑なパスや効果を変形させたり移動してたりすると、ややもたつくことがあるようです。
効果を使いまくったデータを編集中のイメージ
イラレで軽い作業をしている時のCPU使用率
こちらもオブジェクトを移動する時にわずかにノイズのような音がしますが、Photoshopほどではなく、普通に作業していたら気づかないかも知れません。
4K表示なので画面が広く使えて快適です。ただ私の目のグラフィックス性能が追いつけないので、細かい作業をする際は老眼鏡を装着してパワーアップする必要がありますw
Illustratorには規格化されたようなベンチマークは無さそうなのでタスクマネージャーのパフォーマンス画面を貼りました。Illustratorではマルチコアの性能よりシングルスレッド性能が重要だということが何となく分かると思います。
◆Premiere Pro 22.1.1(2022)◆
世界中のクリエイターが愛用している定番の動画編集ソフトです。動画編集という作業は、私の仕事にはあまり縁がなく、個人的にも動画の趣味はないので滅多に使いませんが、いつでも使えるように準備(インストール)だけはしてあります。
Premiere Pro起動時間 : 約7秒
まず、無料の4K映像(1分程度)をダウンロードし、その映像の全トラックをコピペして2倍の長さの映像を作り、後半はリバース(逆再生)に設定して、プレビューしてみると、前半はスムーズに再生されていましたが、リバースになって暫くすると映像が途切れるようになり、飛び飛びでまともに再生できていませんでした。まぁプレビューなので許せる範囲ですが、最終的な仕上がりが心配になりますね。
4K映像を編集しているイメージ
プレビュー映像、後半リバース処理でカクカクになります
プレビューや軽い作業中のCPU使用率
初めの山は前半のエンコードです
残りの100%はリバース部分のエンコード
プレビュー表示はCPUとGPUに負荷が掛かるようです。また、上記データのエンコードはCPUこそマルチコアをフルに使っていますが、GPUにはほとんど負荷は掛かっていないようです。
ベンチマークを実施
Photoshopと同じように、『PugetBench for Premiere Pro』というベンチマークソフトを起動してみました。こちらもPhotoshopと同様に英語版のPremiere Proを使っています。
ライブ再生、エクスポート、GPU、およびエフェクトなどの各種テストを自動で行ってくれますが、何だかんだで約1時間近く掛かりました。※テスト実施前に所要時間についてのアラートが表示されていました。
総合スコアは、194でした。
あれっ?という感じの低スコアでした、、、
これは正直なところかなり低い結果ではないかと思います。スコアの参考値(AMD Ryzen 9 5900X12+NVIDIA GeForce RTX 3080 10GBのスコアを1000としている)から察すると、内蔵GPUやメモリクロックあたりが足を引っ張っている可能性があります。
ベンチマークで最も時間が掛かっていたのはエンコードのようでした。GPUに負荷を掛けるテストも、CPUに負荷を掛けるテストでもやはりエンコードが遅いようで、もしかするとアドビ系ソフトとの相性とかも関係があるかも知れません。
ベンチ中のCPU使用率
確認がてら、先程の4K映像を別形式で書き出してみました。プレビューの時と同じく、半分くらいエンコードが進んだところでグッと進行速度が落ちました。これが普通なのか、或いは極端に遅いのか普段あまり使わないので判断できませんでしたが、急いでいる時や他にやることが山積みな時は、こういう待ち時間が最もイライラするかも知れませんね。
ちなみにRyzen™ 7 PRO 5850Uはハードウエアエンコードにも対応しており、Premiere Prok
エンコード設定でソフトウェアエンコードとハードウェアエンコードが選択できました。両方試したところ、ハードウェアエンコードの方がソフトウェアエンコードの2倍くらい速くなっていました。
デフォルトは「ハードウェアエンコーディング」です
そのような訳で、本機で映像編集をする場合、あまり負荷の高い作業をすると、予想以上に時間が掛かってしまう可能性があるので要注意ですね。
Adobe CC系総評
IllustratorやPhotoshopといったいったクリエイティブ系のアプリはシングルスレッド処理がメインになるので、マルチコアよりもクロック周波数の高さの方が重要だというのが定説のようですが、確かにコア数が多くなったからといってその分速くなったかというとそうでもないようです。
ただ、IllustratorとPhotoshopはセットで使うことが多いので、複数のアプリを同時に実行するにはやはりコア数が多い方が都合が良さそうですね。
サクサク動きます
何はともあれ、重すぎないデータであればIllustratorもPhotoshopもかなり軽快に動きますし、ほぼ思い通りに動いてくれるので、わたし的には非常に好印象です。
また、内蔵GPUのRadeon™ Proも、特に力不足を感じることなく動作していると思いますが、メモリーが足りなくなるような容量的に大きなデータや複雑なパスと効果が沢山使われているようなデータは試していないので、どこが限界なのかは見極められませんでした。
エンコードは遅いかも
Premiere Proについては、私自身があまり使い慣れていないので、細かい部分については未確認なのですが、エンコードは遅いかも知れません。一応、現行のRyzen™ 5000シリーズはハードウェアエンコードに対応しているので、ソフトウェアエンコードよりは速くなっていると思いますが、それでも結構時間が掛かりますので、重いデータや複雑な処理をする場合は、エンコードにはある程度の時間が掛かるのを覚悟をしておいたほうが良いでしょう。
ということで、映像関係はちょっと苦手な印象を受けましたが、それ以外のIllustratorやPhotoshopなどの編集作業は特に問題もなく軽快にこなせるので、Adobeのクリエイティブ系ソフトとの相性はそれほど悪くないと思いました。
◇Shade 3D
Shade3D は純国産の統合型3DCG作成用ソフトで、3Dモデリングからレンダリング、アニメーション、 3Dプリンター対応まで、3D制作全般をサポートしています。現在はバージョン21でサブスクリプション版となっていますが、私は製品版のバージョン17を使っています。
仕事ではWindows10で使用しており、Windows 11にインストールするのは今回が初めてですが、今のところ特に問題なく動作しています。
Shade 3D v17起動時間 : 約8秒
Shade 3Dの作業画面はアドビのCCアプリと同様にツールや情報ウインドウを出すと作業領域が狭くなり、作業しにくくなるのですが、ThinkPad P14s AMD Gen2のUHDディスプレイは画面を広く使えるので、表示は小さくなるものの高精細で見やすく、非常に使いやすいです。
今回はモデリング作業を省略し、製品版のDLCのサンプルデータとして収録されていたものを利用して3Dレンダリングを実施しました。モデリングデータは、面:1,328,064、表面材質:178、光源:8、サイズ:3000×3000px、手法:レイトレーシング(面分割:最も細かい、アンチエリアシング:オーバーサンプリング8x8)となっています。システムの設定は勿論『最適なパフォーマンス』モードにしています。
レンダリング時間:約5分30秒(電源供給あり)、約7分(バッテリーのみ)
さすがRyzen 7 PRO 5850U、8コア16スレッドのCPUだけあってレンダリング速度は申し分なく速いです。仕事用PC(4コア8スレッドの現行CPU搭載ミドル機)の約1/2の時間で完了しました。レンダリング中のCPU使用率は全コア100%の全開運転で、内部の冷却ファンも全開のようですが、低音寄りのためイマイチ「頑張ってる感」がないのが不思議な感じです。
編集作業中のCPU使用率
レンダリング中はほぼフルパワーで稼働しています
使用する前は、小さい画面で3D制作するのはツラそうだと思っていましたが、画面は広く使えてレンダリングの速さも一級品、とてもノートサイズのパソコンとは思えないほどパワフルで、これが『ワークステーション』なのかと感心しました。この性能で気軽にモバイルできてしまうのだから、出張など移動中の貴重な時間なども有効に活用できそうです。
◇マルチタスキング編
勇気を出して同時実行
ビジネス用PCとして、気になるのはやはり『マルチタスキング(複数のプログラムを同時に実行させること)』の性能でしょう。複数のアプリを起動させること自体は普通の行為だと思いますが、プログラムの重い処理を同時に実行させるというのは、わたし的にちょっとした賭けみたいな感覚があって、軽めのタスクならまだしも重いタスクだと躊躇してしまいがちです。
過去にそれで動作がギクシャクしたり、フリーズしたり、アプリが落ちたりと散々な目にあってきた経験からリスキーな行為として頭にインプットされているので、実行するのにちょっとした勇気がいります。
最近はPCの性能が高くなったお陰で、そういった失敗も減り、同時実行もほとんど抵抗はなくなってきましたが、そうは言いつつも何だかんだで重い作業が重ならないように身体が勝手に調整してしまっているようです(苦笑)
私の仕事環境だと本当に「重いマルチタスキングな状態」はあまり想像できませんが、多少重めの内容であれば、ある程度は想定できます。例えば、先に紹介したソフトウェアを使ったとして、重めの3Dデータをレンダリング中にIllustratorやPhotoshopでデータを編集したり、フィルター効果を実施するといったことです。
今回は、先にリポートした動画編集が重そうだったので「3Dレンダリング中」に「動画のエンコーディング」の2つ同時作業をした時に挙動がどうなるのかを検証してみました。なお、Windows11のスナップレイアウトを使ったマルチタスキング作業は、途中までその機能の存在に気付かなかったので、最後に少しだけ触れています。
前面のアプリには影響が出にくい
まず、電源供給ありで2つの重めの処理を同時に実行した結果、どちらを前面にするかでトータルの所要時間に差が出ました。映像エンコードを前面にした方が3Dレンダリングより15%程度速く終了しました。エンコードがどうのというより、時間が長くかかる方を前面に持ってきた方が、トータルで速いということなのでしょうか?(時間の都合でその辺りの要因等はじっくり探れませんでした)
マルチタスキング中のCPU使用率
見事なまでにべったりと埋まっています
また、同時処理するよりも、個別に処理を実行したほうが速い場合があるので、焦って同時に実行するより、個々に実施した方が確実な気もします。でも、待っている間ボーッとしているのも何なので、ついつい作業したくなってしまうのですよね。
実施内容によっては個々に実施したほうが速いかも知れません
Shade 3Dが前面にある場合の各使用率(画像クリックで拡大)
Premiere Proが前面にある場合の各使用率(画像クリックで拡大)
これはあくまでも極端な例なので、レンダリングやエンコード等を実施中に別の作業をするのは良くないという事ではなく、CPUのパワーを100%使っているような重い作業を重ねて実行するのは良く考えた方が良いということです。
実際のところ、3Dレンダリング中に別アプリでファイル操作をしたり、Photoshopで画像を軽く編集したり、Illustratorでオブジェクトを変形させたりしても、最前面で動作中のアプリの操作が目立って遅れたり、止まってしまうようなことはありませんでしたので、たとえCPUの使用率が100%であっても、カーネルモードが割り込んでうまく交通整理をしてくれているような感じです。
その分バックグラウンドの作業は遅れていくのですが、、、
バッテリー駆動の時は要注意
続いて、外出先や移動中で電源供給が無い状況を想定してバッテリーのみで同じことをしたらどうなるかも検証しました。結論からいうと電源供給ありよりも約20%ほど所要時間が増えました。
どうやらバッテリー駆動の場合は、省エネ設定が効いてCPUのパワーが約2割程度抑えられた状態になっているようです。
単独でエンコード作業を実行している時にタスクマネージャーのパフォーマンスを見てみると、CPU使用率が少し下がっているスレッドがあります。電源供給ありの時はほぼ100%だったので、あえて使用率を下げて、電力消費を抑えているように見えます。
バッテリーのみでエンコード中のCPU使用率
バッテリーのみの駆動だと明らかに遅くはなりますが、元の性能が良いので出先などでも十分性能を発揮してくれると思います。
ただ、重い作業を続けるとバッテリーの消費がハンパ無いです。今回のように3Dレンダリングと映像のエンコードを同時に実行すると、約20分でバッテリーの2割を消耗してしまいます。この作業をあと4回続けてやるとトータル1時間40分でバッテリーが空になる計算なので、電源供給なしで本気を出す時は要注意ですね。
レンダもエンコも電力消費が「非常に高い」です!
また、ファンは初めから全開で、ザーッという超鼻息が荒い状態ですが、やはりグラボ等のファンよりは遥かに静かです。さすがに真夜中に全開が続くとちょっと気になるかも知れません。
スナップレイアウト
最後に、Windows11のスナップレイアウトを使ったマルチタスキングの表示方法を試してみました。
スナップレイアウトは画面を分割して表示できる機能ですが、アプリのメインウィンドウだけが分割サイズになるので、他のサブウィンドウがはみ出てしまったり、隠れてしまったりして、ちょっと中途半端な感じがします。
ウィンドウ右上の「最大化ボタン」の上にマウスカーソルを
合わせると、スナップレイアウトが表示されます
スナップレイアウト(4分割)を使用。
Shade 3Dのレンダリングウインドウがハミ出ています。。。
この分割状態で、同時に作業を実行したのですが、結果はほぼ同じでした。タスクバーの表示を見る限り、Shade 3DとPremiere Proはバックグラウンドではありませんが、やはりいずれかが前面でその後に続くものは処理が遅くなっていました。
色々試しましたが、今回のデータでは、映像エンコードを最前面にするとトータルで最も速く全ての作業が完了するようでした。
ちなみに、Shade 3DとPremiere Pro のデータを開き、3つ目のアプリとして、Illustratorを起動して、パスが多いデータを開いたのですが、開いた途端にIllustratorの動作が重くなり描画が追いつかなくなりました。特に編集した訳ではありませんが、手のひらツールで画面を移動しただけでも動作が追いついていませんでした。さすがに3Dと映像で一杯いっぱいだったみたいですね。
マルチタスキングまとめ
ThinkPad P14s AMD Gen2は、一見小型のノート型パソコンでありながら、デスクトップPC並みの性能を持っており、それなりにハードなマルチタスキングにも対応していて、まさにワークステーションという名に相応しいモバイルパソコンです。
3Dレンダリングをしながら、他の通常作業(内容にもよりますが)をするくらいの比較的軽めのマルチタスキングであれば応答性もよく、キビキビと動くのでバックグラウンドで作業しているのを忘れてしまうほどです。
しかしながら、極端に重い処理を同時に実行するというのは、時間とバッテリーの浪費につながるので、出来るだけ避けた方が良さそうです。
◇その他のアプリケーションなど
ZOOM(オンライン会議ツール)
パソコンやスマホで利用できるビジネス向けのオンライン会議(リモート会議)用のツールです。他にもMicrosoftの『Teams』などが有名ですが、私の職場ではZOOMを使う機会のほうが多いです。
ZOOMアプリをインストールして、ログインしたら設定画面で背景などをカスタマイズしてみました。昔のPCでは辛うじて背景画像は設定できましたが、動画を設定することができませんでした。ThinkPad P14s AMD Gen2は何の問題もなくバーチャル背景に動画が設定できました。
背景に動画を設定しながら無意味に動くオッサンの巻
タスクマネージャーのパフォーマンスで確認しましたが、背景に4K動画を流してもさほど負荷は掛かっていないようでした。まぁ、今回は好奇心で適用しただけなので、会社の会議ではあまり背景動画は使いどころはありませんが、できると使いたくなるので、機会があったら実際の会議で試してみたいと思います。
GPUにもほとんど負荷は掛かっていませんでした
早速オンライン会議に出席してみました。本機のスピーカーのサウンドについてはドルビーシステムが作動していたようですが、社内の喧騒に掻き消されがちで、音量をかなり上げないとうまく聞き取れませんでした。家で試した時は画面に音が反射しているような感じで聞き取りやすかったのでちょっと残念でした。
イヤホンは片耳仕様の安物で試したのですが、スピーカーよりは聞き取りやすいものの、周りが煩いとイマイチ集中できませんでした。イヤホンのクオリティと片耳のせいもありそうですが、相手のマイクの性能も意外と重要な要素なのではないかと思いました。
そして、気になるバッテリーのスタミナですが、満タン状態から会議を開始して約1時間半の会議でバッテリー容量の約40%を消費しましたので、このまま会議を続けるとあと2時間ほどで空になる計算です。要因はディスプレイでしょうか?確かスペックではUHDはFHDよりもバッテリーの消費が多いということでした。電源が取れる場所にいる時は、素直にコンセントを利用したほうが良さそうですね。
DiXiM Play(テレビ視聴アプリ)
自宅のWi-Fiを経由して、HDDレコーダーなどに保存されている録画番組や放送中の番組を、スマホやタブレット、パソコンで視聴できるプレーヤーアプリです。
リモートワークをしていると音楽を聴きながら仕事したりしてしまいますが、たまにはテレビでも観ながら仕事したいなぁ、というダメな自分が現れて誘惑してきます。さすがにテレビを点けてガッツリ見るわけにもいきませんので、そこで登場するのが、このアプリです。
起動画面はちょっと昔っぽい感じがしますね。。。
フルで観ると最高なのですが、小さくするのがベストです
スナップレイアウトで右下に配置してみました
実際のところはスマホに映して観たほうがきっと効率が良いのだと思いますが、折角のレビューなのでマルチタスキングを試すためのアイテムとして用意したつもりでした。
しかし、結果的に思いのほかCPUやGPUに負荷を掛けることなく動作していたので、マルチタスキングの負荷として使用するには微妙過ぎたので、少し録画番組を観て終了。それにしても、スマホからだと動作が重かったのですが、Windows版は非常に快適でした。
古いUSBモデムとコラボ(アプリではないのですが...)
ThinkPad P14sはオプションでLTEモジュールを組み込むことができます。背面のSIMスロットにSIMカードを挿すことで高速通信回線が利用できるようになります。残念ながらレビュー機にはLTEは追加されていませんでしたので、屋外でインターネットを利用するには、スマホのテザリング機能やモバイルWi-Fiルーターなどを利用することになります。
スマホのテザリングはいつでも利用できるのですが、折角なのでコロナ禍で使用頻度が低くなっていたUSBドングル型通信モデムを利用することにしました。
L-03DというNTTドコモのXi回線に対応した端末に格安SIMという組み合わせで利用しています。問題は標準の接続ソフトが今は亡きFlash Playerを利用しているため、現在は使えないということ。(実は何故かL-03Dに付属している古いFlash Playerをインストールすることができ、使用することもできました!良いの?)
Flash Playerがないと動かないアプリです
起動しますが、すぐに終了してしまいます
そこで、接続ソフトは使わずに専用ドライバーとWindowsの機能を利用して接続しました。接続ソフトがないので接続/切断が手動(最も簡単なのはUSBの抜き差し)になることです。
とりあえず無事に接続はできたので、これで外出先でもインターネットを利用できます。
速度は大したことはありませんが、PC自体が速いと心成しか通信も速く感じます。いつものモタモタ感がなくて非常に良い感じです。容量制限のこともあるので動画等はあまり観ませんが、WEB閲覧やメール、SNSだけでも結構重宝します。
ただ、USBドングル型通信モデムを直付けすると折角のThinkPadの精悍さが半減しますね。USBケーブルで延長して隠してしまった方が良いかも知れません。
◇写真ギャラリー
今回のレビューのためにiPhoneで撮影した写真の中で、レビュー本編使われなかったけどボツにするのは何となく勿体ないという写真をいくつかピックアップしてみました。
クリスマスイルミネーションとThinkPad P14s
カップルたちに変な目で見られながら撮影。。。
初日に撮った一枚「さぁ、どこから書こうかな...」
4Kディスプレイの表示が美しくて、色々写真を入れ替えて楽しむ私
夜中にTDR付近で記念撮影、もう完全に不審者ですw
昼間の屋外写真が無かったので急遽ベランダで撮影
強風だったので手がプルプルなってます!
グレードアップ!?
追加のレビューです。実は昨年末にレビューを公開した段階では、予定していたレビュー機が入手困難な状況(2022年1月現在3ヶ月待ち)にあった為、代わりにレンタル機をお借りしていました。そしてレビュー公開後に本来のレビュー機と入れ替えたのですが、PCの仕様が多少異なっていましたので、公開済みの部分はそのまま残して追記という形で新しい部分のみレビューしたいと思います。
Windows 11 Pro
新しいレビュー機には、標準でWindows 10 Proエディションがプリインストールされていました。念願のという訳ではありませんが、やはりビジネスPCのセキュリティ対策を考えるとProエディションが入っているべきだと思います。
今回は暫くWindows 10のまま使おうかと思いましたが、やはり今回もアップグレードを促す画面の誘惑に負けて、前回と同様に間髪をいれずに「11」にアップグレードしてしまいました。
見た目も使い勝手もHomeとProとではあまり変わらないように見えますが、先のレビューでも書いた通りProエディションだと「BitLocker」による暗号化が可能になるので、この機能を有効化することで、PCを紛失した時などに情報漏えいのリスクを減らせます。折角なので、BitLockerを有効化してみたいと思います。そして、どのくらいの時間で暗号化できるのか計測してみようと思います。
と思ったら既にデフォルトで「有効化」されていたようです。そこで、一旦暗号化を解除してから再度有効化してみました。 ストレージ(SSD)の容量は512GBあり、全体を暗号化するとかなり時間がかかるらしいので、今回は「使用領域のみを暗号化」を選択してみました。
いくつかの項目を設定してドライブを暗号化します
解除後すぐだったからなのかも知れませんが、5分ほどで内蔵SSDの使用領域約95GB(全体の約20%くらい)の暗号化が完了しました。
PCが新しいうちに有効化したほうが短時間で済みます
ちなみにBitLockerを有効化すると、ストレージ操作のスループットが低下する為、パフォーマンスが10%程度低くなると言われています。ビジネス用途なら情報漏えいは絶対に避けたいので、BitLockerは有効化しておきたいところですが、個人用途でパフォーマンスを重視したいのであればBitLockerは無効化しても良いかも知れませんね。
リモートデスクトップ
Homeエディションで使えなかったリモートデスクトップも利用できるようになりました。個人用途ではあまり使う機会はありませんが、この機能を利用するとThinkPad P14s AMD Gen2のデスクトップを他の端末から遠隔操作できるようになります。
試しにiPhoneからWi-Fi経由で操作してみましたが、iPhoneとパソコンの操作方法(カーソルの有無など)の違いで少し戸惑うものの、思いのほか軽快に操作できるので、うまく使えば色々便利になりそうだと思いました。
iOS用のリモートデスクトップクライアントアプリ
スマホ等で利用するならPC専用のゲームをプレイしたり、スマホにはないアプリなどを操作したりできると面白いと思いますが、画面の小さいスマホなどでは細かい作業はできそうにありませんので、大型のタブレットや別のノートパソコンなどを利用したほうが良さそうです。
リモート画面、拡大しないと辛いです、、、
PC側でリモートを解除した時のリモート画面(iPhone)
試しにDiXiM PlayのWindows版を起動し、iPhoneから遠隔操作して放送中のTV番組や録画番組を観てみました。 まず、放送中の番組についてはエラー(おそらくアプリ側の制限)で遠隔視聴できませんでした。これは録画番組もダメかなと思いましたが、ダメ元で試してみたらこちらは観ることができました。
おぉ、映った!、、、のは良いのだけれど、、、
しかしながら、観れるには観れるものの通信速度のせいか画像と音が途切れがちで、とても快適とは言えない感じでした。ゲームは試していませんが、通信速度などが影響するのであれば、当然ゲームも同じような結果になるかも知れません。
ウイルス対策ソフト
Windows 10や11のWindows Defenderは優秀らしいので、レビュー当初はマルウェアからパソコンを守るのに有料のセキュリティソフトは不要と考えていましたが、お試しとは言えリモートワークとして実際の仕事のデータなどを扱っているので、念のためライセンスが余っている有料のウイルス対策ソフトを導入してみました。
導入したのは買い切りで更新料が0円の『ZEROウイルスセキュリティ』です。3台分のライセンスを購入して2台分しか導入していなかったので、残りのライセンスを利用しました。一応、最新版なので、Windows 11にも対応しています。
ZEROウイルスセキュリティのホーム画面、
製品版なので広告や変な制限などは一切ありません
システム起動時に挨拶メッセージ(昔から変わっていない)が出るのがちょっと野暮ったくてダサいのですが、それ以外は特に意識することなく通常通り操作できますし、今のところ動作が重くなったり、動作に支障をきたすこともなさそうなので、このまま使おうと思っています。
挨拶は不要ですw
Microsoft Office Home & Business 2019
個人用途だとあまり使わないものの、あると便利なMS Officeです。レビュー機にプリインストールされていた「Microsoft Office Home & Business 2019」は、サブスクではなく買い切りの永続版です。ExcelやWord、Outlook、それにPowerPointといったビジネス用途としては定番のアプリが入ったパッケージです。なぜか微妙にバージョンが古い(現在2021)のですが、仕事で使っているもの(2016)よりも新しいので、良しということにしました。
すごく久しぶりにスクラッチを削りました
まだ、こういうのあるんだ。。。
ちなみに、私の職場ではAccessも使用頻度が高いのですが、こちらのパッケージには付属していませんでしたので、もし必要であれば別途単体版を購入する必要があります。
これらのOfficeアプリは、元々それほど重くないのでサクサク動きます。細かくチェックはしていませんが、PCMark10のベンチマーク結果などからも分かるように、Ryzen 7 Pro 5850Uなら何の心配もなく快適に動作します。
FHDディスプレイ
残念なことに、今回はアップグレードだけでなくダウングレードした部分もあります。新しいレビュー機はUHD液晶ではなくFHD液晶を搭載したモデル(型番は同じ)でした。あの明るく美麗なUHD液晶から普通のFHD液晶になると、まるで別のパソコンを見ているようで初めは少し落胆しましたが、しばらく使っていたら慣れてきましたし、アップグレード分も含めて追加でレビューする楽しみが増えたと思えば、結果的にかなりお得な企画だった気もするので、今では納得しています。
画面は綺麗にこしたことはありませんが、14インチならFHDでも十分広く使えますし、鮮やかさには欠けるものの、それなりに綺麗に映ってます。実際に、仕事と同等の作業をしてみましたが、特に違和感なく作業できましたので、これはこれでアリだと思います。
なお、購入時のディスプレイの選択肢としては全部で5種類ありますが、そのうちタッチ非対応のFHD液晶は2種類あります。おそらく輝度と色域カバー率が最も低い事務作業に向いた標準タイプのディスプレイだと思われます。 ※確認方法が分かりませんでした。。。
FHD液晶はUHD液晶に比べて省電力になっているということで、よりモバイル向きの仕様であると言えますが、しばらく使った感じではバッテリーの持続時間は、UHD液晶と比べてFHD液晶の方が明らかに持ちが良いというほどの差は感じられませんでした。※バッテリーの設定は「最適なパフォーマンス」にしています。
ベンチマーク
ディスプレイの違いがベンチマークに影響するかは分かりませんが、ベンチマークについては、PCMark10や3DMarkで以前より高いスコアをマークしました。個体差もあると思いますが、ディスプレイの違いによる差も出ているのではないかと推測しています。
約6%ほどですがアップしています(誤差の範囲かも)
Night Raid:約20%アップ
CINEBENCH R23:マルチコアガ4%アップ
SSDは全く違うものでしたが、同じような性能でした
WinScoreShare:総合スコアは同じですがSSDのスコアが少しアップ
おまけ(CPU-Z):Radeonのアイコンが新しくなりました
いくつか詳細情報も追加されています
その他
レンタル機でのレビューにて、Photoshopなどでマウス操作時にジリジリというノイズ音がするということがありましたが、今回のレビュー機ではごく小さいながら常にチリチリ音がしています。調べてみるとどうやらこれは「コイル鳴き」のようで、個体差はあるものの故障ではないようです。ファンが回っている時は聞こえないレベルなので、通常は我慢できるレベルです。
ただ、重めのアプリ起動時やPCMark 10などのベンチマークなどで負荷を掛け続けていると、ファンが全開でもジリジリ音が聞こえるほどになり、ちょっと心配になりますが、動作が落ち着けば音も治まるので、今のところはとりあえず良しとしています。
音が出ます! :Photoshop起動中、キューキュー鳴ってます
起動後は小さくジリジリ鳴ってます
個体差といえば、冷却ファンの音も今回のレビュー機のほうが大きいです。というか「スーッ」という音とは別に「ブーン」という明らかにモーターの駆動音が聞こえます。個体差なのか何なのかは分かりませんが、はじめからこのレビュー機だったら評価が少し違っていたかも知れません。それでもまだ外部GPU搭載機のファンの音よりは静かなのは間違いありませんので、基本的には静かなPCです。
追記としては以上となります。
モバイルワークステーションがメインPCになる日は近い!?
コロナ禍の影響もあって、ここ数年で働き方改革が進み、いつでもリモートワークができるような体制が整い始めています。その為、事務所内からデスクトップパソコンの姿が消えて順次ノート型パソコンに切り替えている企業も多いと聞きます。
私は長年デスクトップパソコンで仕事をしてきましたので、ノート型パソコンに乗り換えるのには少なからず抵抗がありました。しかし、今回のThinkPad P14s AMD Gen2を使ってみて、ノート型パソコンの性能に対する不安は一気に払拭されました。本格的に仕事をしようとすると、画面が小さいとか、テンキーがないとか、多少の不満はありますが、性能面ではデスクトップパソコンに負けないパワーを持っていると思います。
こんなにハイスペックだったとは、これじゃ
仕事の遅れをPCのせいにできないじゃないですか!
特にAMD Ryzen™ PROというCPUは本当に凄い性能を秘めていると感じました。また、統合されているGPU、Radeon™ Proもかなり健闘しており、私が扱う程度の作業なら、ほとんどストレスなくこなしてくれます。
世の中には、互換CPUは嫌だという人もいるかも知れませんね。私も最初はどうなの?と思いましたが、クルマのエンジンに例えてみると、Ryzen™は『ロータリーエンジン』みたいなものです。レシプロエンジンと方式は違えど、一度クルマに組み込めば、皆と同じ道を通って同じ場所に行くことができます。そう考えたら、互換CPUなどという言い方は無意味だと気付きます。そんな訳で私はRyzenを受け入れ、素直に素晴らしいCPUだと思いました。
そして、その性能を生かすハードウェアの作りがまた凄いです。デザインも然り、堅牢さも然り、ビジネスノートパソコンとしての使いやすさは天下一品であり、さすがビジネスパソコン界をリードするブランドの製品であると今更ながら実感しました。
15.6インチのP15(下)とは兄弟みたいな関係ですね~
セキュリティ面では、PROテクノロジーによるCPUレベルで機能するセキュリティからOSレベルのセキュリティ、そしてハード的なセキュリティなどと非常に充実しており、ビジネス用途における企業の要望にしっかり応えられるものになっているので使っていてとても安心できます。特に指紋認証や顔認識といったハード的なセキュリティは、利便性の向上も図れるという点においても本当に素晴らしいと思います。
それから忘れてはならないのが、UHDディスプレイです。明るく高精細はもちろん色域も広く、ファクトリー・カラー・キャリブレーションにも対応しているので、色の再現性に拘るクリエイターなら一択のアイテムです。これ無くしては、あの吸い込まれそうな没入感もあり得ないでしょう。FHDディスプレイとは別次元の美しさと言えます。
と、ビジネス用途ばかりを考えていましたが、この性能とサイズ感であればビジネスマンだけでなく大学生や専門学校に通っている人にも是非お勧めしたい機種だと思いました。外部GPUが搭載されていないからと敬遠されている方も是非一度実機を操作してもらえたら良いなと思います。
モバイルできて高性能でカッコいい!
そんな訳で、ThinkPad P14s AMD Gen2は私にとって大変満足できる製品でした。欲を言えば、もう少し軽くて、もっと長くバッテリーが持ってくれて、さらにWindowsがPro版だったら完璧でした。
今回はThinkPad P14s AMD Gen2を使ってレビュー用の写真編集やレビュー自体も作成しましたが、本当に扱いやすくて作業が捗りました。
以上でレビューを締めようと思います。今回もまた文章が長くなり、写真もてんこ盛りになってしまいましたが、最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
やはりパソコンの難しい部分はかなり内容が緩くなってしまいましたが、久しぶりに楽しくレビューすることが出来ました。また何か新しい発見などがありましたら追記したいと思います。
2021年12月
takamizuさん
2022/01/04
ThinkPadのPシリーズって出ていたんですね。モバイルワークステーション的な位置づけのモデルなんでしょうね。といいながら、WindowsProモデルではないんですね。
izappyさん
2022/01/04
コメントありがとうございます。
一応ビジネス向けPCなので、基本はWindowsProです。カスタマイズでHome版も選択できるようになっており、今回はレビュー用としてそのようなレア(?)仕様のモデルが届きました。単なるミスなのか、Proじゃなくてもセキュリティは万全ということなのか、或いはUHDディスプレイに変更したら予算一杯になってしまったのか(w)私の頭では明確な意図は読み取れませんでした^_^;
chariさん
2022/04/24
izappyさん
2022/04/24
コメントありがとうございます。
コイル鳴きと冷却ファンのモーター音は相変わらずです。コレのせいで少し愛着が薄れましたが、メーカーいわくコイル鳴きはハードウェアの不具合ではなく、製品の性能に影響は無いとのことなので、出来るだけ気にしないようにしています。。。