レビューメディア「ジグソー」

バッテリー駆動でもUSB給電でもいけるモバイルモニタの軽快さと安心感

そもそもなぜPCではなくHDMIモニタを使うのか

 

これは個人の好みの要素が大きいのですが、ワイヤレスやUSBを使いPCやタブレットと接続してテザーを試みたり、撮ったら即転送にしてみたり色々なやり方を試みたのですが、最近は(とくに料理などの撮影の場合)

 

1.その場の状況をライブビューで共有したほうが都合がいい場合が多い

2.アングルを見つけて手持ちでサクサク撮っていくときも画面側に行って操作する必要がない(カメラ側から操作できる)

3.データを転送する必要はないので転送の待ち時間がいらない

 

 

などの理由から基本的にHDMIモニタを使う事が多いです。

 

これまでは使用時間の問題などからACアダプタのみを使うタイプのモニタを使っていた(コレも紆余曲折の後、最近はIPS液晶の11.6インチのものに落ち着いている)のですが、今回バッテリー内臓のGechic On-Lap 1102H V2を使わせていただく機会があり、いろいろとレビューさせていただきました。

 

更新: 2018/07/26

Gechic On-Lap 1102H V2の概要

メーカーの仕様からざっくり見てみると

 

パネル:11.6” (16:9)  FFS (Fringe Field Switching)  panel

解像度:1920 x1080

視野角度:178°(H)/178°(V)(CR>10)

画面:ノングレア

バッテリー容量と持続時間:7,800mAH 4.5 Hr(Brightness 70,audio 50)

重量:590g(モニタ) 840g(モニタとカバー)

*バッテリー容量は6,900mAhに訂正されました。持続時間は変わらないらしいです

 

実際の使用(撮影)にあたって僕がパッと気にするところはそのへん。

 

ちなみにV2というのは前モデルに対して

・デジタルカメラとの互換性が向上

・バッテリ使用のOn/Off切替スイッチが追加され、電源非接続時に内蔵バッテリの待機電力を常時使用しない設定ができる

などの点が改良されているとのこと。

 

さて開封してみる

飾りっ気のない印刷されたダンボールである。家電などの華美なパッケージに慣れている人にはちょっと地味すぎる印象かもしれないが、法人モデルやプロ用の機材を見慣れている人には可もなく不可もなく当たり前の地味さw

蓋を開けた状態。シンプル。

内容はこんな感じ

・取説

・本体とカバー

・USB-A to Micro-USB電源とケーブル

・HDMI-A to Micro-HDMIビデオケーブル

・Mini-HDMI to Micro-HDMIビデオケーブル

・ACアダプター(5V Max 2A)

・三脚スタンド

・ネジ(M2x5mm) 4本

といった内容である。

もちろん僕の場合必要な長さのHDMIケーブルなりアダプタなりが必要になる。

接続と操作系は前面などではなく左右に振り分けられている。

 

更新: 2018/07/15

選べる給電

HDMIの接続がMicroHDMIなのに注意!本来ならばHDMI-Aの方が何かと都合がいいことが多いのだが、本体の大きさを考えれば致し方ないことだろう。何せ普通のACタイプの同サイズのモニターと比べても厚さが半分近い。付属のカバーもあいまって持ち運びが圧倒的に気軽なのだ。

MicroUSB端子は給電のため。充電時も付属のアダプタを接続して給電する。(ちなみに充電時間はフルの場合で4時間ほど)

これが電源の入力切り替えスイッチ。内蔵バッテリーを使用するか外部からの入力を使うのか切り替える。持ち運びのときには外部側にしておけば内部バッテリーの待機電力等々の消費を防止できるので、いざ使おうというときに「あれ?バッテリーが…」というトラブルを防げる。

もちろん屋内使用などではACアダプタからの給電で時間を気にすることなく使用できる。

内部バッテリーの使用時間はメーカー公称値で4.5時間。ギリギリまで追い込んで計測できてはいないが、感覚としてはそのぐらいは持つかなといった感じである。

ではACが取れない状況でバッテリーを使い切ったらどうするか。

ちなみにモバイルバッテリーから給電させつつ使ってみたが問題なく使用できる。内蔵タイプのバッテリーよりもバッテリー交換できたほうが安心。という人でも大丈夫だ。(もっとも5インチや7インチ程度ならそういった製品の選択肢もあるが、10インチ超えるとほとんどACタイプになってくる)ある意味専用の外部バッテリーを購入するより安く買えるし、最近では入手が簡単なのもいい。(ただし2A供給があるものでないと厳しいはず)

 

更新: 2018/07/19

実用性がかなり高い保護カバー

付属の保護カバースタンドと三脚アダプターについて触れておく。

保護カバースタンドは持ち運び時には裏返して収納することによって画面をしっかりと守ってくれる。この安心感とコンパクトなまとまりは非常に大きい。

セット中は大型の爪を回転することによってホールドできるようになっている。

裏側にはマグネットベースの角度調整ギミックがある。

真ん中の部分をパキパキッとめくると

このように説明されている。

説明どおりに曲げるとマグネットでペタッと張り付く

このようにスタンドとして使用できる。

三脚アダプターはケースを外して

このように付属のM2ネジ3点で本体に固定する。割りとしっかり固定されて強度的に安心感もある。

だが、残念なことにこのアダプターを付けると保護カバーがつかないのである。スタンドという面から見れば三脚とは排他使用なので問題ないのだが、保護カバーとして優れたものだけにすごく残念。保護カバーを使いたければ、現地で三脚アダプターを取り付けしなければならないがM2とかのサイズのネジを持ち歩きたくなく、手締めがいやならドライバーも持っていかねばならない。

個人的には強度的にもそれほど問題があるとは思えないので、ケースの干渉する部分をちょっと切り欠いてやればいいと思うのだが…。

そうなると別途ケースを用意しなければならないが手持ちのケースにラクラク収まるのは助かる。

更新: 2018/07/19
デザインと機能性

コンパクトで便利

付属ケーススタンドの安心感とギミックは素晴らしいと思う。

内蔵バッテリーの持ちも給電方法もよく考えられている

更新: 2018/07/21

さて実際に撮影に使ってみる

まずは実際に接続してモニタしつつ撮影といった場合。カバースタンドで立てるというのが一般的だろうとは思う。しかしケーブルや色んな人が入り乱れる撮影現場を考えると誰かが引っ掛けて落っことすという恐怖がつきまとう。またPCとつないで撮影するときも同じだが撮影するテーブルと別にテーブルをもうひとつ用意する必要があるのですよ。

 

 実際の撮影仕事のときは例えばこんなだったりこんなだったりw
さらに人が何人もいることが普通なのです。                           
ひとり取材のときでもお店のひとが数人いることになりますね。

 

 

で、三脚アダプターを取り付ける。まずは手持ちのアクセサリシューアダプターをねじこんで多くの人が一度は考えるであろうカメラの上に…。

メーカーの商品紹介にもこのように掲載されているのだが

11.6インチでかいw (個人の感想です)Nikon D810が小さく見えます。

 

5インチとか7インチのモニタならまだ収まりもよさそうなのだが(個人的には複数人で確認することが多いのでこのサイズは欲しいのであるけど)何となく危なっかしい感があるのと、実際の撮影の場合フラッシュなりコントローラーなりが99%そこ(カメラ本体のアクセサリーシュー)には取り付けられるので僕の場合はあまりないかなぁ。

もちろん拡大して撮影画像を確認するという点ではカメラ背面の3.5インチ液晶よりも大きくて見やすいというメリットはあるし、屋外などであまりセットを組むスペースなどがない場合やモニタリングしながらの動画撮影にはアリだと思う。

 

ちなみに本体重量が590g 三脚アダプターなど込みだと670gある。通常ここに取り付けるクリップオンタイプのフラッシュで500g程度。アクセサリーシューへの負荷は決して小さいとは言えないと思うので注意は必要。

 

 

というわけでせっかく電源いらずで使えるモニタなのだからと今回は三脚に固定。

最近、お料理モノでは何かと流行ってる俯瞰撮影の図ですよ。

こうしたアングルのときはモニタを見ながら並べるほうが何かとやりやすいのですよ。

(カメラの位置によってはファインダーも覗けないし背面の液晶も見れない)

モニタを見やすい方に向けて見ながら並びを調整すればいいんです。

コレをPCのテザー撮影でやると結局シャッター切っては直し切っては直し…。挙げ句にもたもたしてる間に接続が切れてたりとかなかなかめんどくさい事になりがちなんです。

 

 

シャッター切ってからの表示も早い。(普通に背面モニタと同じタイミング)PCに転送だと早くても数秒。ワイヤレスだと10秒近くかかったりします。とくにこのD810とか850とか画素数があるといくらUSB3.0接続でもかかります。

 

もっと高くてもっと広い条件でも同じことですね。カメラの角度を保っていけば僕は下にいたままカメラだけを上げていけば良いのです。(ワイヤレスレリーズもあるし)これに花だったり小物だったりいろいろ演出を加えていくとさらにこのありがたみが分かります。

途中、モニタの位置を変更したりしたのですが電源ケーブルがなくHDMI一本というのはすごく楽です。何なら手持ちで見ることも他人に渡して見てもらうこともできますね。

どのみち加工はするんでw PCで見せてもモニタで見せてもいいんですw

 

ついでにこのやり方だとAFに頼らなくてもマニュアルで十分ピントを確認できる。5インチや7インチだとピーキング表示なりがないとさすがにきびしいけど11.6インチフル活用だとピントの山も何とかわかる。

で、モニターを見ながら動画を撮ってみようと。

と言っても取り急ぎ三脚をドリーに変えてみて動かしてるだけなんでスムーズじゃないけどねw

でもモニタはドリーに固定したのでどこまででも動いていけますw この辺もモバイルモニタの面目躍如!日頃スチールのみで動画とかめったに撮らない人間にもやってみようかと思わせますw

 

一応撮れたのがこんな感じです。モニタ見ながらイメージしたのとピントの感じもそのまんまですね。朝食感ありますかね?

今度はモニタだけを見ながらピントや位置を探ってみます。

モニタが大きいのでピントや箸を入れる位置もよく見えます。(一発じゃ麺の持ち上げきれいに決まってないですが…)

このときの動画がコレです。

 

きれいに決まってないので編集でごまかしてますがwww

ピントは十分見ることができるし、どこから箸を入れるとか撮り手も持ち手も同時に確認することができます。さらにこの時電源も延長コードもいらないのはかなり便利です。

更新: 2018/07/20
実用性

電源いらずの取り回しも画面サイズもGood

せまくるしいゴチャゴチャした環境でもHDMI1本で設置できるのはやはり便利だ。

十分な画面サイズなのでピントチェックも十分にできる。

更新: 2018/07/21

問題点がなくもない

基本的にこうした状態で使う時に、環境光などによってもだいぶ見え方が違うしどのみち画像自体は多少なりともいじるのが当たり前だから、正確な色表現はそれほど気にならない。とは言えカメラの背面モニタとあまりに違うのは撮影中にずっと違和感を感じるし、仕事のときなどたぶん最初に「仕上がりは色が違うんで気にしないでくださいね」と言っておいたとしてもカットごとに色味が違ったら毎回「あ、ほんとはもっと○○寄りな色になります」と説明するはめになる。(もっともカメラの背面液晶自体も大してアテにはならないのだが、いろんな色の表示がその場にあると混乱する)

 

もともとモニタの色合いはそれぞれ個体で違うので調整してやる必要がある。

PCのモニタとして使う場合、最初に色調整やキャリブレーションをしてプロファイルを適切に当てておけば途中で変わることはない。(経時変化はする)

ところがカメラと直接つないで使用する場合その調整法というか調整のしようがないのだ。これまで使っているモニタももちろん最初は違和感だらけだ。そこで正確ではなくても何となく背面液晶なりに似せた方向でRGBを調整するなどして使っているのだ。

 

もちろん本製品にも色調整はついている。ゲーム・写真・映画など表示モードの切り替えや基本的な色温度表示の切り替え。RGBごとの調整である。

気にならない人はそれほど気にならないかもしれないし、撮るものやつないであるカメラなどによっても傾向は違うと思う。(今回つないでみたNikon D810 D750 D7200をはじめFuji X70やその他のコンデジなどでも程度差はあれなんとなく画面がGかぶりしてる気がする。とくに中間調の部分がかなり緑っぽいのだ。もちろん例によってRGB調整で見た目なんとかなるレベルではある。)

だが、本機の場合例えばプレビュー表示のときにRGBで色調整をしてもライブビューに戻るときに無調整状態に戻ってしまう。(設定は残っているのだが表示が戻ってしまう)逆にライブビューで調整してもシャッターを切って再表示されるときにはまた色がもとに戻る。ま、つまり一旦信号が途切れると表示モードや色温度の設定はキープされるもののRGB調整は無視される。

個体の問題なのかもしれないがこれは使い方によってはかなり気になる問題だ。

 

その状況を動画で撮っては見たがあまり伝わらないかもしれない。

本体側の設定やカメラ側の設定を変えてみたが特に挙動に変化はみられない。

仕様だと言われればそれまでのことなのだが他のACタイプのモニタだと全く問題ないのでどーにかなるもんならどーにかしたい点ではある。

 

もっとも使い込んでいくに連れて色の傾向はおだやかに変わっていくのでそのうち落ち着くのかもしれない。

個人的にはIPSパネルはマゼンタかぶりだったりGかぶりの傾向がよくある気がしてるが、そのうち何だか馴染む事が多い気がしてる。(理屈は不明)

更新: 2018/07/20
総評

さっと使えるHDMIモニタは実用性高し

AC電源のモニタは長時間の場合安心感は大きいが、取材や場所の移動などが伴う場合ちょっとおっくうで一度設置した場所から動かさないことが多いのだが、この薄さと軽さ加えてバッテリー内蔵ということもあって、例えば店内からテラス席へ移動などという場合にも「持っていこう」と思える。

 

PCやタブレット等と違い急ぎ目の取材などでもWifiやUSBの設定ソフトの起動などなどの手間がケーブル一本つなぐだけでデザイナーやクライアントにもさくっと確認してもらえる。しかも11.6インチの大きさというのがちょうどいい。

 

もちろん仕事以外の趣味の撮影でも、老眼が入ってきてて気持ーちピントに自信がなくなってきてる人にも心強いツールになるはずだ。

更新: 2018/08/13

追加

上のレビュー中にも書いているけど、基本的に三脚アダプターはつけっぱなしになる。けどそれだとこのスグレモノのケースは外しっぱなしになる。もちろん他のケースに収めておけば大丈夫だろうとは思うけど、撮影時の搬送中にタブレットを2度も割ってる身としてはw なんか硬いものがほしいのも…

 

というわけで、ケースの一部を削りました。

こんなかんじですね。多分強度的には問題ないと思います。

上下が逆にはなりますがハイっ!収まりましたwww

ちなみに

反対側にもちょっと削りを入れたので

無理やりながらもw スタンドとしても使用可能!www

あとはこのM2のネジを一工夫すればもっとスッキリすると思うんですけどね。

いかんせん沖縄のホムセンではM2のネジを見かけません……。

20人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • 下小川さん

    2018/07/21

    写真でお腹がすいてしまう…!
    tessueさんのレビュー拝見して自分も色設定の挙動確認してみたんですが、やはり画面出力が切れるとリセットされていました。これはRGB調整モード搭載した意味が無いですね…
  • tessueさん

    2018/07/22

     >下小川さん
    そうなんですよー。
    たぶん、そんなに気にならない人だと気にならないと思いますけどね。
    なまじ調整がついているばっかりに……w
    しかもリセットされるんならまだしも設定値だけは記憶されているという謎仕様ですw

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