最初にお断りしておきます.
今回のプレミアムレビューは,気合を入れていつも以上に長文です.
また,この手のレビューは,一個人の好みを反映した超主観的レビューであることをご了承下さい.
Pioneerブランドのハイレゾ対応デジタルオーディオプレーヤー(Digital Audio Player:DAP)であるXDP-300Rのプレミアムレビューをお届けします.
XDP-300Rは,内蔵メモリやmicroSDカードに保存された楽曲を単体で再生し,ヘッドホン端子やラインアウトへ出力します.そして,最近注目されている様々なハイレゾフォーマットに対応し,バランス駆動もできるハイスペックな最新機種です.
ハイレゾDAPを選ぶ際,いちばん重要なのは,対応フォーマットになります.どんなハイレゾフォーマットを再生できるかということです.できるだけ幅広いフォーマットに対応していると,楽曲購入も楽になりますし,長く使えます.
そこでポイントとなるのは,PCMの場合,量子化ビット数とサンプリング周波数です.CDが16bit/44kHzであり,ハイレゾフォーマットは24bit/96kHz以上とされています.一応,24bit/96kHz対応DAPを購入すれば,ハイレゾDAPなのですが,それ以上(例えば,24bit/192kHz)は再生できません.一般的なハイレゾ音源は,24bit/192kHzまでありますから,最低限この24bit/192kHzまで対応したDAPをおすすめします.その点,XDP-300Rは32bit/384kHzまで対応(32bitの一部は,ダウンコンバート再生)していますから安心です.
もう一つ大事なのは,DSD対応しているかどうか.DSDとは,Direct Stream Digitalの略で,SACD(Super Audio CD)にも使われたフォーマットです.PCMとDSDの違いの説明は省略しますが,DSDにも対応していることもポイントとなります.XDP-300Rは,PCM変換再生にはなりますが,DSDフォーマットの再生ができますから,安心です.今後,ネイティブDSD再生機へ買い替えた場合にも,DSD音源はそのまま活きます.
ちなみに,PCでDSD音源を再生するために購入したのが,こちらのUSB-DACです.
次に,内蔵メモリ/拡張メモリ容量と連続再生時間になると思います.拡張メモリ(つまりmicroSDカード)が使えれば,内蔵メモリ容量は気にしなくても良く,合計でどれくらいの容量が必要かを判断することになります.拡張メモリも交換することまで考えれば,特に容量は気にしなくても良いことになりますが,実運用上は,交換すること自体が面倒です.
連続再生時間は,消費電力と搭載バッテリーに依存しますが,できるだけ長時間再生可能な機種がおすすめです.最低でも12時間以上の連続再生時間は欲しいと思います.また,充電しながら再生できる機種だと,万が一のバッテリー切れでも安心して使うことが可能です.
後は,UIの部分になると思います.GUIが便利ですが,個人的にはハードウエアボタンを併用したものがおすすめです.電源,ボリューム,再生/停止,前後スキップは最低限欲しいと思います.これは,ポケットやカバンの中でも操作できるためです.
音質の部分も大事だと思いますが,好みがありますから,一概には言えないと思います.よって,DACやオペアンプに〇〇や△△を使っているから高音質でおすすめだとか,そういう世界もあると思いますが,支配的な要因ではないと思っています.DACやオペアンプなども大々的に謳われていますが,それよりもいつも聞いている気に入ったヘッドホンやイヤホンで実際に聴いて,好みの機種を選べばいいと思います.それよりも,普段使う上では,連続再生時間やUIのほうが気になります.
また,DAPに投資できる金額も人それぞれです.高価格機=高音質は必ずしも成り立ちませんが,その傾向は確かにあります.それぞれの予算で,それに見合った機器を購入するのが一番だと思います.知らなければよかったという世界もありますが,高価格機ほどコスパが悪くなります.その僅かに違いに投資できるかどうかは,人それぞれの価値観だと思います.
今回のXDP-300Rは,ちょっと前ならハイスペック高価格帯機種でしたが,あのシリーズのお陰で,今ではハイスペック中価格帯になってしまいました.この価格帯は,ハイスペックの中でも,一番ライバルの多いゾーンでもあります.
この価格帯は,DSD再生も可能で,左右独立DAC,バランス出力/デジタル出力可能なものが多いです.XDP-300Rもこの条件をすべて満たしています.
この下の価格帯では,DSD再生に未対応になったり,シングルDACになったり,バランス出力やデジタル出力がなかったりします.
この上の価格帯になると,機能は殆ど同じで,こだわりの部分の違いになります.特に,筐体が大きく,重くなります.また,ドックがオプションで存在するものもあります.
XDP-300Rの特徴は,DACを左右独立で動作させたフルバランス再生だと思います.もちろん,32bit/384kHz対応で,DSDにも対応していることが挙げられますが,ACG(アクティブコントロールGND)駆動もできるバランス再生機能が,注目ポイントです.また,パイオニアのこだわりのもつノイズ低減設計も興味があります.
最近では珍しい32GBの内蔵メモリと拡張メモリの組み合わせで,容量を気にする必要が無いことは長く使う上で安心です.連続再生時間もスペック上16時間と丸一日聴いていられます.
そもそもハイレゾって何?
ハイレゾとは,High Resolutionの略で,高解像度を意味します.テレビで言うところのSD→HD→フルHD→4Kのように,より高解像度のものを指しますが,どれをハイレゾというかのかの定義はありませんでした.しかし,オーディオの場合,CDを超える情報量を持つフォーマットがハイレゾと定義されました.ハイレゾ=高音質という認識は危険ですが,ハイレゾは高音質である重要因子を含んでいます.
最近見かける"ハイレゾ"ロゴは,日本オーディオ協会が策定した基準を満たした機器に与えられています.このハイレゾロゴがある機器=高音質ではありませんが,高音質を得られる重要因子を持っていると考えるのが妥当です.
※このロゴをここに貼り付けて良いのかわかりませんが,文章の流れで使いました.
具体的には,デジタルオーディオプレーヤー(DAP)のような再生機器の場合,96KHz/24bit以上のフォーマットに対応し,40KHz以上の再生周波数帯域を保つとハイレゾのロゴが表示できます.スピーカーやヘッドフォンの場合,40KHz以上の再生周波数帯域が求められます.
CDの場合には,44KHz/16bitで,約20KHzまでの再生医周波数帯域ですから,ハイレゾは情報量が多いことは確かです.ハイレゾ(情報量が多い)は,高音質であるための必要条件ですが,高音質であるための十分条件にはなりません.CDが高音質で再生できるなら,ハイレゾも高音質で再生可能となります.ハイレゾが高音質で再生できるなら,CDも高音質で再生できます.
一時期,ニセレゾと言われたCDマスター(44KHz/16bit)をハイレゾ化(96KHz/24bit変換)しただけのものや,高域を意図的に持ち上げただけの楽曲がリリースされました.これらは,ハイレゾフォーマットであっても,ハイレゾ音源ではなく,高音質でもありません.アップサンプリングすれば,ノイズ成分は減るかもしれませんが,音が良くなるわけではありません.
とはいえ,ハイレゾ録音された高音質楽曲(96KHz/24bit以上)を,ハイレゾフォーマット(96KHz/24bit)とCDフォーマット(44KHz/16bit)で,同じハイレゾ再生環境で聴くのでは,ハイレゾフォーマットを聴くほうが高音質であることは確かです.
これは,違う音源で,異なる再生環境で,ハイレゾはCDより高音質なのかの議論は,ムダであると伝えたかっただけです.情報量が多いハイレゾのほうが,高音質に有利であっても,高音質が約束されるわけではありません.CDも十分に高音質であると思います.
もう一つ,音質は,嗜好の一つであると思います.高音質の定義はできても,すべての人にとっていい音かは別だと思います.聴く人にとって,いい音であることが重要で,他人の価値観(これがいい音だ)を押し付けられても困ります.
高級感のある洗練されたデザイン
それでは,いつものように外観とデザインから.
中箱の開け方がわからず,少し悩みました.
付属品は,更にその下に入っていました.
付属品は,USBケーブルとマニアル類のみ.
再生品かと思いましたが,新品?
光沢画面なので,反射が...
裏面は,滑り止め加工.
ほぼスマホというか,スマホそのままです.Android5.1搭載の4.7インチスマホで,音楽再生機能を重視したモデルと考えてもいいと思います.SIMスロットはありませんが,wifiやbluetoothが搭載されていますので,他の通信環境があれば,スマホ並みに使えそうです.
よく見ると,ハードウエアボタンが大きいことと,ヘッドホンジャックが2つあること,大きなボリュームノブがあることがわかります.その他は,スマホとしては標準的なmicroUSB,microSDカードスロット,マイクがある程度です.
上にも書きましたが,DAPの操作は,スマホと違い,できるだけハードウエアボタンがある方が使いやすいです.最低限必要なのが,電源,再生/停止,曲送り,曲戻し,ボリュームです.これらは,ポケットやカバンの中でも操作できることが重要です.その点,このXDP-300Rは,片手で,見なくても操作できる仕様になっています.
そしてボリュームノブは,微細な調整が可能なものが望ましいです.XDP-300Rの場合,ロック付きの161段階ですから,非常に使いやすいと思います.
ヘッドホンジャックは,3.5mm側が3極のアンバランス出力,2.5mm側が4極のバランス出力になっています.どちらも,ラインアウトモード対応ですから,外部アンプへの接続でも真価を発揮してくれます.
ただ,2.5mmプラグ,特に4極は非常に小さいので,加工に苦労します.せめて3.5mmの4極仕様にして欲しいと思いますが,挿し間違い防止のために仕方ないです.最近,SONYが採用した4.4mmの4極仕様か,2.5mmの3極(2極)×2の仕様のほうが自作にはありがたいです.
手持ちのDAPやタブレット並べてみました.
大きさは,左から,7インチタブレットSH-06F/4.7インチXDP-300R/X3 2nd/iAUDIO9順で,こうして見てもXDP-300Rはスマホに見えます.
DAPとしては,iAUDIO9が一番扱いやすいサイズだと思いますが,このサイズで,ハイレゾ対応の高音質化を図るのは,さすがに難しいでしょうね.
X3 2ndは,ギリギリ許容できるサイズですが,これも厚みがあり,重いので,ポケットの中では邪魔に感じます.それに,ポケットの中では,本体が温かくなります.
そうすると,XDP-300Rも大きさこそそこそこですが,薄いので,ポケットに収まるとも考えられます.
そこで,大きさのイメージです.
ジャケットのポケットに入れてみました.
いずれも収納という意味では可能ですが,XDP-300Rが重いので,中に入っている感やふくらみが出ています.長時間の移動は邪魔に感じるかもしれません.ここは,後ほど,検証します.
携帯性を考えで,専用ケースを導入しました.
ほぼスマホ.というか,スマホそのもの[追記]
※画面キャプチャーの方法がわからなかった(ボリュームマイナスと電源の同時押し不可能)ので,デジカメで画面撮影しています.そのため,画面反射が強く,醜い写真になっています.
※記載した時間は,感覚です.時計などを見ていたわけではないので,記載した時間より,実際には短かったかもしれません(長いかもしれません).DAP感覚でいましたので,長く感じただけかもしれません.
箱から取り出して,電源を投入してみたいと思いますが,その前に充電.既に充電されているようでしたが,念のため,市販のUSBアダプタで充電しておきました.
充電ができたところで,電源をON.電源ボタンを長押しすると,Androidの画面表示が始まります.その後(1分くらい?),波形表示になり,しばらく(3分以上?)そのままの状態が続きます.なので,気楽に待ちましょう! DAP感覚でいると,イライラします.
しばらくすると,androidの初期設定画面になります.言語,wifi設定などを行うと,やっとホーム画面になりました.ココまでの感想としては,非常に時間がかかるということで,普通のDAPではなく,android端末であるということを実感させられます.
※本来,マニュアルを見ながら確実に操作をした方がいいのでしょうが,ココまでマニアルを一切見ずに進めることができました.
ホーム画面は非常にシンプルで,音楽再生アプリ(左下)をタップすると,ライブラリの同期が始まります.この同期も非常に時間がかかります.気長に待ちましょう! 再生アプリの隣,真ん中がandroidのアプリ画面,右側が設定画面になります.
同期が終わると,普通のDAPと同じです.プレイリストを作るか,ライブラリーから再生曲を指定するかの方法で,再生します.
ボリュームノブは,奥側に回す(反時計回り)とアップします.ボリュームノブとソフトウエアボリュームは連動していて,画面に+/-の表示とレベルが表示されます.
再生画面は,ジャケット写真(タグ情報)をバックに,左上に再生曲名,中央下に曲戻し/再生・停止/曲送り表示,画面下にイコライザー機能兼波形表示となります.
画面右上の設定(3本の横線)から,いろいろなセットアップが可能です.ただし,ホーム画面の設定からしか,できない項目もありました(ゲイン切り替えやバラン接続モードなど).
※このゲイン切り替えが,アプリの設定上ではできなくて,初めてマニアルを見ました.
バージョンは,このようになっていました.
Androidの部分を少し追記します[20170211].
XDP-300Rは,DAPなのですが,ベースはAndroid 5.1です.そして,このAndroid部分がそのまま活きています.WiFiとBluetoothが使えるため,自宅内またはテザリングするなら,普通にAndroid端末として使えます.Googleアカウントをスマホと共通にすれば,メールもサイトのアカウントもそのまま引き継がれ,WiFiをONにしておくと,メール送受信も違和感なく可能です.
ただ,その分,バッテリーの消費と定期的なアプリの更新とかがかかるので,面倒な面もあります.不要なアプリは削除してしまったほうが,DAPとしては使いやすいと思います.
連続再生時間ですが,正確に測定したわけではありませんが,バランス接続のヘッドホンで,7~8時間程度,アンバランスのイヤホン接続で8~9時間程度でした.ハイレゾのflac再生時で,WiFiはOFFの状態です.
試聴環境
使用レビューに入りたいと思いますが,その前に試聴環境説明します.
XDP-300Rの設定は,デフォルトのままとしますが,ゲインのみHighに設定ます.イコライザ,フィルターなどは一切設定せず,デフォルトのままです.
使用するヘッドフォンは,主に下記4機種になります.その中で,正式にハイレゾ対応しているものは,ATH-AD2000のみです.HD650は,本国HPではハイレゾ対応になっています.
他にもレビューしたいヘッドホン(ハイレゾ対応はしていませんが,DJ1Pro,ATH-M50,ADL-H128などの密閉型)がありますが,時間がないので泣く泣く省略です.
オーディオテクニカ ATH-AD2000:
Sennheiser HD650:
AKG Q701:
BeyerDynamic DT990Pro:
仕様を比較するとこんな感じです.
ハイレゾマーク付与ルールに従うと,ATH-AD2000とHD650が40kHz以上の再生周波数帯域があり,ハイレゾ表示可能です.Q701も,ほぼ40kHzまでの再生周波数帯域がありますが,ハイレゾ表示はされていません.DT990Proだけは,35kHzですのでハイレゾ対応というのは難しいです.ただ,○dB落ちの数字かを規定していないので,一概には言えない裏事情もあります.
この4種類を選んだ理由は,できるだけ再生周波数帯域が広く,インピーダンスが異なり,音質に差があるからです.アンプ側から見ると,インピーダンスが低く,出力音圧レベルが高いものがドライブしやすく,逆にインピーダンスが高く,出力音圧レベルの低いものがドライブしにくくなります.したがって,一番ドライブしやすいのはATH-AD2000,一番ドライブしにくいのがDT990Proとなり,実際にもそんな感じで,DT990ProをノートPCに接続すると,そのままゴミ箱に捨てたくなる音しかしません.
これまでのモチモノレビューや日記を読んでいただいている方はご存知の通り,DT990Proは,ケーブル交換対応ではないため,リケーブル(mogami#2534)に際し,2.5mmモノラル×2本のバランス化改造済みです.また,ATH-AD2000は,リケーブルはしていませんが,バランス化改造済みです.そのため,3.5mmアンバランス接続で聴く場合には,元に戻す変換ケーブルが必要となります.
ATH-AD2000のバランス化改造で余った3.5mm3極プラグとケーブルを再利用しています.このため,変換ケーブルが介在する分,オリジナルの状態ではないことを,ご承知下さい.
HD650は,ケーブル交換対応なので,リケーブル用シルバーコートOFCケーブルをバランス化改造しています.オリジナルのケーブルはそのままありますので,オリジナルケーブルで聴くことも可能ですし,上記の変換ケーブルを介して聴くことも可能です.
Q701もケーブル交換対応なのですが,3pinのminiXLRのため,バランス化改造していません.4pinに変更すれば可能ですが,L→Rへのケーブルがイマイチなので効果は?で,R側からケーブルを出す勇気はなかったので,リケーブルのみです.このQ701のみ,アンバランス接続のみの試聴です.
XDP-300Rをバランス出力で聴く場合には,2.5mmモノラル×2を2.5mm4極に変換する必要があります.その変換は自作するしか無いので,作りました.音質的にはどうかとは思えますが,今回はレンタル品でレビュー期間も短いということもあり,簡単に済ませました.
2.5mm4極ケーブル(両端プラグ)を利用して,片側を10cmくらいにカットして,2.5mmモノラルジャック×2を半田付けして完成です.
イヤホンは,下記3機種を選びました.いずれもハイレゾ対応機種ではありませんが,ドライバが異なる個性派なので,比較してみたいと思います.手持ちにハイレゾ対応イヤホンは1台もないことが,今回わかりました.
Top Sound DN-1000(Hybrid):
パイオニア SE-CLX7(BA):
AKG K324P(D):
D型代表はK324P,BA型代表はSE-CLX7としました.価格帯が同じくらいで,変な特徴がないものを選んだ結果です.低音重視のD型や高価格のBA型は外しました.
ハイブリット型代表は,DN-1000です.ハイブリット型は,唯一の手持ち品なので,価格帯を揃えられませんでした.コスパが良いので,倍くらいの価格帯と勝負できる実力があります.イヤーピースはオリジナルではなく,改良型を使用しています.
これらより低価格帯のイヤホンは,XDP-300Rの実力を確認できないと思いましたので,レビューから外します.逆に,XDP-300Rは,それらのイヤホンを十分駆動できますから,そのイヤホンの持つ個性を100%発揮してくれると思います(時間があれば,ATH-CK90ProMK2や,HA-FXH30などでもレビューしてみたかったです).
ヘッドホンアンプ(HPA)は,オーディオテクニカ AT-HA21とRATOC REX-KEB01Fです.AT-HA21はRCAライン入力で,2系統のアンバランスヘッドホン出力となります.REX-KEB01Fは3.5mmアンバランス入力で,2.5mmモノラル×2のバランス出力となります.
オーディオテクニカ AT-HA21:
RATOC REX-KEB01F:
残念ながら,バランス入力対応HPAはデジタル入力のものしか無いので,今回のXDP-300Rの試聴はアンバランス出力のみとなります.REX-KEB01Fは,アンバランス入力,バランス出力のHPAなので,XDP-300Rのフルバランスとの差が気になります.
ラインアウトを利用したスピーカーでの試聴環境は,XDP-300Rからのアンバランスラインアウトを,ATOLL IN100のラインインに入れ,Dynaudio Audience52SE,またはB&W CM1で聴きます.
ATOLL IN100SE:
Dynaudio Audience 52SE:
B&W CM1:
試聴する楽曲は,e-onkyoからDL購入したハイレゾ音源です.特に今回はレビュー期間が短かったので,アルバムを決めました(実際には他にも聴いてしまいましたが).flacとDSDを聴きます.
○藤田恵美:Camomile Best Audio&Camomile Best Audio2(flac,24/96)
○宇多田ヒカル:Fantome(flac,24/96)
○サラ・オレイン:SARAH(flac,24/96)
○上原ひろみ:Move(flac,24/192)
○山中千尋サムシング・ブルー・クインテット:ライブ・アット・ブルーノート東京(DSD2.8MHz)
○堀沙也香:ハイレゾで聴くチェロの豊潤な響き(DSD2.8MHz)
Musicアプリのメニュー[追加]
音楽再生アプリMusicの中のメニューをまとめておきます.
□音質設定
DSP機能:
イコライザのON/OFF切り替えができます.
アップサンプリング,クラブサウンドブースト,リアルタイムDSD変換の一括ON/OFF切り替えが可能です.
ロックレンジアジャスト:
ジッターのロック幅の調整が可能です.
Narrowがおすすめだが,ハイレゾ音源では音飛びします.Normalなら,音切れしませんでした.
デジタルフィルター:
DACのフィルター特性を変更できます.
個人的には,Shortがおすすめです.よりリアリティが増します.
アップサンプリング:
LPCM再生のサンプリング周波数を上げて,ノイズ低減を図ります.
ON/OFFの選択が可能です.
アップサンプリングして補完するだけなので,ソース音源自体が高音質化するわけではありません.聴きやすくなる程度の変化と思っています.
アップサンプリングの上限:
アップサンプリングする場合の,上限を設定します.
96/192/384kHzから選択しますが,384kHzはUSBオーディオモードのみ有効です.
クラブサウンドブースト:
Bassモードの設定です.
Off/Boost1/2/3の3段階調整できますが,いずれも“盛りました”感が出るだけで,好みではありません.イヤホン/ヘッドホンで,きちんと低音が出るものを選びましょう!
□外部機器
再生デバイス選択
Bluetooth再生機器への出力や,USB-DACへの出力に使います.
USBポートに接続していても,リスト表示されない場合には,“USBデバイスの検索”をタップすると,USBポートに接続しているデバイスを検索してくれます.
□e-onkyo music
e-onkyoサイトへのリンク
ココからe-onkyoのサイトにアクセスし,楽曲の購入ができます.
ダウンローダ
e-onkyoで購入した楽曲を,XDP-300Rで直接ダウンロードできるアプリです.PCで購入して,XDP-300Rでダウンロードすることも可能です.
※事前にe-onkyoのアカウントとパスワード登録が必要
□設定
設定
ライブラリの同期
ライブラリの同期モードや同期フォルダを設定できます.
再生
再生モードの設定ができます.
USBオーディオ
USB-DACを使用する際の設定ができます.
e-onkyo musicアカウント
e-onkyo musicサイトへのログイン設定ができます.
その他
ホーム画面の壁紙設定や端末情報が得られます.
ヘッドホンによるハイレゾ再生は,バランス駆動で真価を発揮[追記]
それでは,ヘッドホンを使い分けながら試聴していきます.
まず,オーソドックスなアンバランス接続から聴いていきます.
○ATH-AD2000/アンバランス接続
いい組み合わせです.非常にフラットで,解像度も高いです.ヘッドホンの特性をきちんと引き出しています.
○HD650/アンバランス接続
ATH-AD2000に比べ,音量が落ち,低域の沈み込みが増します.ポータブルでもHD650をきちんとドライブできていることに感動です.
○DT990Pro/アンバランス接続
ドライブしにくいDT990Proですが,音量はさらに落ちるものの,響きがきれいです.
○Q701/アンバランス接続
十分です.マッチングもいいです.きれいな中高域で,音の広がりも十分に感じられます.
次に,自作変換ケーブルを使用したバランス接続です.
○ATH-AD2000/バランス接続
笑ってしまうくらいアンバランス接続とは違います.低域の量感が増し,解像度が更に高くなります.中高域の印象はあまり感じませんが,更にフラットになります.
○HD650/バランス接続
非常に心地よいです.HD650の真価を十分に発揮しています.レビューを忘れて,アルバム1枚分聴いてしまいました.
○DT990Pro/バランス接続
これがDT990Proの音だ!と主張しています.ポータブルでココまでドライブできるのにひたすら感動です.
バランス接続で聴くと,もうアンバランスには戻れないくらい違います.低域の量感と沈み込みが一段も二段もあがり,解像度が高くなります.この音が,XDP-300Rの真価だと思います.バランス接続で聴かないと,はっきり言って損です.
ヘッドホンの追記レビューです[20170205].
初回レビューでは時間がなくて,ヘッドホンを限定してレビューしましたが,手持ちの他のヘッドホンでも追加レビューします(順不同).
○ULTRASONE PRO2900(リケーブル):アンバランス接続
開放/アラウンドイヤータイプで,インピーダンス40Ωのハイレゾ.
高品位なドンシャリ傾向はそのまま,よりクリアーで,音の分離が素晴らしいです.重くて速い低音が,ドシドシ押し寄せてきます.高域もよく伸びます.ゾネホンの特徴がそのまま再生されますが,据え置きHPAより,スッキリした感じになります.
○ULTRASONE DJ1Pro(リケーブル):アンバランス接続
密閉/アラウンドイヤータイプで,インピーダンス64Ωの非ハイレゾ.
DJシーンに合うような典型的なドンシャリですが,嫌味がなく,明るい音質で,気持ちいです.XDP-300Rとの組み合わせでは,あまり濃い味付けにはならないので,しつこさはなく,楽しいです.この組み合わせでは,ボーカル主体の場合,スッキリしすぎているのでおすすめできませんが,ポータブル用途でも十分使えます.
○FURUTECH ADL-H128(iHP-35X使用):アンバランス接続
密閉/アラウンドイヤータイプで,インピーダンス68Ωの非ハイレゾ.
XDP-300Rとの相性バッチリです.音場は近く,拡がりは感じられませんが,H128のタイトな濃い性格が,XDP-300Rのスッキリとマッチして,とても聞きやすくなります.何より,ピアノの響きがとてもきれいです.臨場感もあり,ヘッドホンのデザイン性も高く,音漏れも少ないことから,ポータブル用途にもいいです.
本当は,インピーダンスが68Ωあることから,バランス改造すると更に良くなりそうですが,3pin-miniXLRなので躊躇しています(ケーブル直出しなら,間違いなくリケーブルしています).
○Audio Technica ATH-M9X:アンバランス接続
密閉/アラウンドイヤータイプで,インピーダンス32Ωの非ハイレゾ.非常に古い機種ですが,イヤーパッドを交換して,今でも現役!
音の基準としているヘッドホンですが,改めてその良さを実感します.低域までしっかり出ているわけでもなく,高域が魅力的でもなく,解像度が現行機並みに高いわけでもありませんが,そのくせのない音がXDP-300Rとぴったりです.
○Audio Technica ATH-M50:アンバランス接続
密閉/アラウンドイヤータイプで,インピーダンス38Ωの非ハイレゾ.
低域よりのフラット特性がよくわかります.モニターライクな特性が,XDP-300Rでよく引き出されています.オールラウンドに1台でなんでも聴くには,最適な組み合わせだと思います.バランス改造して,聴いてみたくなりました(⇨間違いなくバランス改造します).
○Alessandro Music Series One:アンバランス接続
オンイヤー/オープンタイプで,インピーダンス32Ω,非ハイレゾ.
変な癖がなく,キレの良い,気持ちの良い音質です.非常に鳴らし易い特性はそのままで,相性も良く,Rockにはベストチョイスです.オープンタイプでなければ,ポータブルには最適なのですが,音漏れが大きいので残念です.弾む明るいサウンドを望むなら,非常におすすめです.
以上,いろいろなヘッドホンを聴きましたが,やはり,ATH-AD2000,HD650,DT990PROの手持ち御三家のバランス接続は,格別です.特に,DT990PROのバランス接続は,アンバランスでは得られないものがあります.XDP-300Rなら,この3機種をバランス接続で聴く価値があります.
イヤホンでのハイレゾ曲再生[追記]
今度は,イヤホンで聴いていきます.すべてアンバランス接続です.
○K324P/アンバランス接続
D型の324Pです.D型の定型的な音で,芯のしっかりした,艶のある音質を十分に引き出しています.女性ボーカルには最適ではないかと思います.このイヤホンは,脳内定位が非常にピンポイントなので,長く聴いていると疲れる(肩がこる?)のが普通なのですが,XDP-300Rで聞くと音場が拡がり,ピンポイントの定位が感じられなくなります.
○SE-CLX7/アンバランス接続
パイオニア同士に組み合わせで,BA型になります.音質の傾向が同じ感じなので,相性はいいです.非常にクリアで,解像度が高いです.繊細過ぎて,線が細く感じますが,音の分離が非常にいいです.ただ,その分ちょっと聴き疲れします.
○DN-1000/アンバランス接続
Hybrid型のDN-1000です.イヤホンでアンバランスで聴くならこれで十分でしょうと思います.とくにポータブルとして,屋外に持ち出すなら,これ以上は要らないと思えるレベルです.低域から高域まで非常に綺麗で,しっかり出ています.バランスも非常に良く,聴き疲れしません.
※後ほどのおまけレビューで,この印象は覆されます.知らないほうがいい世界が存在していました.
イヤホンはいずれもハイレゾ対応ではありませんが,ハイレゾの良さを十分引き出しています.おそらくXDP-300Rでドライブできないイヤホンは無いと思います.
手持ちのイヤホンレビューを追記します[20170205].
○JVC HA-FXH30/アンバランス接続
音が軽くて,素っ気ない感じに聞こえてしまいます.この音は,ZERO AUDIOの ZH-DX220で感じたのと似ています.
どうもハイレゾDAPには合わないようです.MP3のDAPならおすすめでしたが,XDP-300Rにはダメです.
○Audio Technica ATH-CK90PROMK2(イヤーピースはオリジナル)/アンバランス接続
久しぶりに引っ張り出してきたお気に入りのBA型です. オーテクらしくない音質で,唯一BA型としておすすめです.最新のATH-LS200よりいいと思います.ハウジングが異なりますが,CK90PROは,ATH-IM02とほぼ同じ音質です.
モニターライクに原音再現性を求めるのにXDP-300Rとマッチします.解像度がよく,その反面刺さる感じがありません.なので,刺激が欲しい人や低域が欲しい人には向いていませんが,電子楽器以外にはおすすめです.
○Audio Technica ATH-CKS90(イヤーピースはオリジナル)/アンバランス接続
Solid BassシリーズのD型ですが,XDP-300Rで改めてその実力を見直しました.ATH-CKMやATH-CKRシリーズより,全然いいです.
このATH-CKS90のポテンシャルは高いことがわかりました.XDP-300Rとマッチします.バランスもよく,迫力のあるサウンドになります.解像度は,ATH-CK90PROMK2には劣りますが,音の分離はしっかりしているので,団子にはなりません.
MP3では,単なる音がいい低音番長かと思っていましたが,XDP-300Rで聴くと,非常に実力がある機種であることがわかりました.変な癖もなく,おすすめです.
○COWON i5付属イヤホン/アンバランス接続
DAP付属のイヤホンですが,市販の3000円クラスのイヤホンとは勝負にならない実力があるインナーイヤーのD型です.
MP3 DAPのi5付属イヤホンなので,ハイレゾ向きではありませんが,XDP-300Rで聴いてもいい感じです.最近の傾向である解像の高い音質とは程遠いですが,これはこれで十分成立する音です.ゆったりと気持ちよく聴いていられます.寝る前に聴くには最適な音質だと思います.
○SE-CL722T/アンバランス接続
こちらは,上記レビューを参考にしてください.
以上,手持ちの主だったイヤホンを聴きましたが,その中でXDP-300Rに合うのは,やはりDN-1000でした.DN-1000の実力は高いです.
①DN-10000:バランス,奥行き,音質
②ATH-CK90PROMK2:解像度,透明感,拡がり
③ATH-CKS90:バランス,迫力
ACG/BLT駆動の差はヘッドホンではわかりませんでした[追記]
XDP-300Rのバランス出力端子は,一般的な”BTL 駆動”と”ACG(アクティブコントロールGND)駆動”が選択できます.”ACG 駆動”は,バランス駆動の特殊な方式で,通常のアンバランス駆動に対して,高いセパレーション性だけでなくバランス駆動で得られるパワーアップ分を,“安定性”強化に使うことにより,非常にクリアで実在感のあるサウンドが得らるそうです.
HPから引用しますと,ACG(アクティブコントロールGND)駆動の特長
・聴感S/Nが向上し、立体的でクリアな空間表現が可能に
・ハイレゾ音源の強みである低域の輪郭がより明瞭になり、グッと沈み込む低音に
・全体的にキレのある音離れのよいサウンドに
では,ACGとBLTの違いがわかるどうか,試してみます.ヘッドホンは,ATH-AD2000,曲は藤田恵美”Best of My Love”.
ACGとBLTの切り替えは,ホーム画面の設定から行います.設定→音と通知→出力切替と進むと,ACGとBalamcedの切り替えができます.
音量は,異なります.音質が異なるかはわかりませんでした.ただ,ACGはバックグラウンドが下がって,引き締まったような印象も受けますが,ブラインドテストでは音量を合わせられたら,区別できる自信は100%ありません.
追記します[20170205].
初回は,BlancedとACGの違いはよくわかりませんでしたが,Wallflowerをじっくり聴いて,それなりに違いがあることがわかりました.この違いは,開放型のヘッドホンで聴くとわかりにくく,擬似的に密閉型にして聴くとわかりました.
Blancedは,一般的なバランスですので,その特徴である分離が良くなり,低域がしっかり出て,拡がりが出ることはわかります.
一方,ACGは,音の広がりがバランスに比べて無くなります.その分(?)奥行きが出るように感じます.一つひとつの音がきれいに聞こえます.
バランス接続のヘッドホンが開放型しか無いということもありますが,普通のバランスモード(Blanced)で聴くほうが好きです.イヤホンで聞くなら,ACGのほうが合っているかもしれません(未確認).
知る悲しみを知る
比較用DAPは,ハイレゾ対応DAPとして,FiiO X3 2nd Generation,非ハイレゾDAPとして,COWON iAUDIO9を使います.iAUDIO9は,FLAC対応していますが,16it/48kHzまでです.
XDP-300RとX3 2ndを比較してみました.参考で,非ハイレゾDAPのiAUDIO9(右)も載せました.
XDP-300Rは,X3 2ndより,一回り以上,二回りくらい大きいです.ただ,厚みはXDP-300Rのほうが薄いので,手に持った感じに違和感はありません.重さも,XDP-300Rは,1.5倍もあるので,長時間の手持ちはちょっと厳しいです.
仕様は,どちらもハイレゾDAPなので,実用的な音楽対応フォーマットに殆ど差はありません.ただ,DSD再生に関し,XDP-300RがPCM変換再生であるのに対し,X3 2ndはネイティブDSD再生可能です.XDP-300Rは,DSDファイルを再生できますが,PCMの音になります(あまり気にしなくていいとは思います).
一方,機能面では,XDP-300Rは,ほぼスマホであることから,Android5.1の機能が使え,通信や映像ファイルも取り扱うことも可能です.
今回,X3 2ndで使用しているmicroSDカードの音楽ファイル(ほぼハイレゾ)をそのまま流用しながらレビューしていきます.
特に比較として聴くのは,藤田恵美:Best of My Love(flac,24/96,Camomile Best Audioより),宇多田ヒカル:道(flac,24/96,Fantomeより),上原ひろみ:Move(flac,24/192,"Move"より),堀沙也香:R・シュトラウス:チェロソナタより第一楽章,DSD2.8MHz,"ハイレゾで聴くチェロの豊潤な響き"より)です.
今回,レビュー期間が短いため,いろいろな曲を聞くことができないので,上記の曲を集中的に聞きます.特に,Best of My Loveを中心に比較しますが,Fantomeもアルバムを通して聴きました.
iAUDIO9は,内蔵メモリだけで,ハイレゾ対応でもないので,外観比較だけにしておきます.
X3 2ndには,バランス出力がありませんので,公正を期すため,アンバランスのみで試聴します.ヘッドホンは,ATH-AD2000を使います.
○XDP-300R/アンバランス接続
フラットで解像度が高い音です.リファレンスとして正統派の音質だと思います.残念なのは,DSDを聴いてもその違いがわかりにくいことです.
○X3 2nd/アンバランス接続
ATH-AD2000で聴く限り,コレはコレで,XDP-300Rと十分対抗できます.繊細さと透明感は及びませんが,バランス良い特性です.XDP-300Rと聴き比べなければ,X3 2ndで十分と思えます.でも,知る悲しみで,XDP-300Rのほうが,音質は上で,長く聴いていたくなります.具体的には,X3 2ndは,アタックが強く,メリハリの効いた音なのに,薄いベールに包まれたようなモヤッとした感じを受けます.ただし,あくまでもXDP-300Rと比較しての話です.
本来なら,機能面の比較もしたかったのですが,時間切れのため,試聴結果のみです.
X3 2ndでも十分だと思っていましたが,知る悲しみを知りました.
XDP-300Rをしばらく聴いた後,X3 2ndに戻ると物足りません.普通のDAPで聴いている感じがします.移動中にイヤホンで聴くなら,X3 2ndでもいいのですが,ヘッドホンで聴くとその差に愕然とします.
HPAで更にパフォーマンスが上がるのか?
XDP-300Rのアンバランスラインアウトとヘッドホンアンプ(HPA)に入れて,ヘッドホンで試聴します.ヘッドホンは,ATH-AD2000とDT990Proとします.
AT-HA21は,ライン入力なので,アンバランスのラインアウトを変換しています.REX-KEB01Fはヘッドホン入力(ボリューム機能なし)なので,XDP-300Rのヘッドフォン出力をそのまま入力します.
○XDP-300R/AT-HA21/ATH-AD2000/アンバランス接続
オーディオテクニカのHPAとヘッドホンになりますので,相性もいいです.ATH-AD2000は,オーディオテクニカらしくない音質ですが,AT-HA21ではその魅力を十分に発揮されます.XDP-300RダイレクトととAT-HA21経由では,音量の問題は別にして,音質的な差は余り感じません.AT-HA21経由のほうが,AT-HA21の特性上,より低域が太くしっかり主張しています.
○XDP-300R/AT-HA21/DT990Pro/アンバランス接続
ドライブしにくいDT990Proですが,ボリュームの問題を別にすれば,はっきりとした差は感じません.ATH-AD2000のときと同様に,低域がよりしっかりと主張してきますが,バランスはそのままです.
○XDP-300R/REX-KEB01F/ATH-AD2000/バランス接続
XDP-300Rからは,アンバランス出力ですが,やはりバランス接続で聴くとATH-AD2000の良さが伝わってきます.XDP-300Rのバランス接続で直接聴くのと比較すると,REX-KEB01F経由は解像度が落ちています.ドライブしやすいATH-AD2000は,XDP-300Rで直接聴いたほうがメリットが大きいです.
○XDP-300R/REX-KEB01F/DT990Pro/バランス接続
ドライブしにくいDT990Proの場合には,REX-KEB01Fを介在する効果で,より押し出しが強くなります.やはり解像度と艶が落ちますが,線が太く,迫力のある傾向になるため,どちらがいいかは,好みになりそうです.
このように,XDP-300Rのヘッドホンドライブ能力は非常に高いことがわかりました.バランス接続で聴く場合にも,アンバランス出力-バランスドライブでは,そのメリットが半減してしまいます.アンバランス接続では,AT-HA21クラスのHPAを介在させる一定の効果はありますが,必須ではないと感じました.
DAP+HPAに投資するなら,同じ価格でフルバランス駆動できるXDP-300Rのほうが,おすすめできると思います.特にイヤホンではその傾向は強いです.
CD/SACDプレーヤーの代わりになるのか?
DAPからのアンバランス出力をアンプ(IN100SE)のラインインに入れて,スピーカーで試聴します.
据え置きプレーヤーの代わりになるのか確認していきます.
○XDP-300R/Audience52SE
音質はIN100SEとAudience52SEで決まっています.そのソースであるXDP-300Rは,その期待に十分に答えてくれています.解像度,バランス,広がり,奥行き,厚み,響きとも文句なしです.ただ,線が細い傾向は感じます.
○XDP-300R/CM1
より解像度の高いCM1では,より顕著に感じます.低域が弱くなり,音が奥に引っ込む感じになりますが,これはスピーカーの特性であり,XDP-300RはCM1の解像度に十分に応えてくれます.しかし,この組み合わせは,曲によっては,聴き疲れする印象も感じましたので,万能ではないです.DAP,アンプ,スピーカーの組み合わせで決まるので,一概には言えません.あくまで,参考です.
今なら,10万円のCD/SACDプレーヤーを買うなら,XDP-300Rを買ったほうが幸せになれると断言できます.
PCレスでダウンロードは便利か?
e-onkyo Musicから,PCを経由しない直接ダウンロード機能を試してみます.
今までは,WEB上で購入後,普通にWindows-PCの専用ダウンローダーを使用していました.このダウンローダーはとても便利で,購入単位ごとに指定できるので,面倒な選択が不要です.それに,サーバー側の能力も高いみたいで,人気アルバムの発売日以外であれば,60~80Mbps程度のスピードが出ていました.
参考までに,Windows上でのダウンローダー画面です.
では,XDP-300Rでの直接ダウンロードはどうか?
購入は,別途PCで行って,ダウンロードだけする場合の手順です.
①音楽再生アプリ画面右上の設定をタップ.
②ダウンローダをタップ.
③e-onkyoサイトにログイン.
④楽曲購入リストが出てきますので,選択してダウンロート開始.
未購入時は,ダウンロードリストに何も表示されましせんが,購入後はダウンロード可能な楽曲リストが現れます.
この状態で,全てダウンロードをタップすると,ダウンロードが始まります.
設定にもよりますが,マルチダウンロードに対応しています.
しかし,ダウンロードが終了しません.
しばらくして,再ダウンロードしましたが,終了しませんでした.
結局,XDP-300Rでは,1曲だけダウンロードが終わっていましたが,再生できませんでした(途中終了?).非常に時間がかかり,終了しませんでしたので,PCでダウンロードすることにしました.
Windows上でのダウンローダーを起動.ダウンロード可能注文リストから選択して,ダウンロードタスクへ.
そして,すべてダウンロード開始.
PCでのダウンロードは,実行で80Mbps以上出ていますので,あっという間に完了します.
XDP-300Rは,WiFi環境でのダウンロードになりますから,スピードはWiFiで律速してしまいます.と入っても,今回,親機の近くでダウンロードしましたので,50Mbps以上では接続できていたと思います.ダウンロードできなかった理由はわかりませんが,操作自体は簡単で,気軽にダウンロードできます.でも,ダウンロードが完了しないと,意味がありません.
ということで,PC環境があるなら,PCでダウンロードするほうがおすすめです.結局,PCにバックアップすることになるなら,PCでダウンロードして,XDP-300Rに転送するか,microSDに直接書き込みかしたほうが,いいと思います.
しかし,PC環境を持たず,e-onkyo Musicから直接購入できる機能を必要とする人も,いると思います.もう少し,ダウンローダの完成度に期待します.
外付けDACで聴いてみる
OTGのUSBケーブルで,いろいろなハイレゾ対応外付けDACを接続してみたいと思います.
XDP-300Rは,ESSのES9018K2Mが左右独立で使われていますから,普通の用途で不足することはないと思われます.あえてDACを変えようとしても,USB経由の外付けDACではいい方向に行くとは思えません.が,一応,その機能がありますので試してみます.
外付けDACとの接続には,OTGケーブルとUSBケーブルが必要になります.手持ちのOTGケーブルは,音響用ではなく,100均で購入したものです.よって,音質的な評価はせず,認識/再生可能かだけ見ていきます.
外付けDACを使用する手順です.
①音楽再生アプリ上で,右上の設定画面から,”設定”→”USB Host Audio Driverの有効”をタップ(ONにする).
②OTGケーブルで,本体と外付けDACを接続する.
③アクセス許可のメッセージが出るので,”OK"をタップ(常用する場合には,設定も可能です).
④DSD出力する場合には,DSD出力形式を指定します(PCM/DoP/Direct).
⑥DSD出力する場合には,DSDダイレクト転送時の周波数上限を,設定します.
まず,DSDにも対応しているKORGのDS-DAC-100mです.このDA-DAC-100mのDACは,Cirrus Logic CS4398です.PC上のAudioGateを使うと,5.6MHzまでのDSDネイティブ再生が可能になっています.PCMは,24/192までです.ASIO2.1以降のオーディオドライバーで,DSD再生できるのですが,果たしてどうか?
接続すると,DS-DAC-100mの電源が入りますが,接続確認画面が出ず,USB接続機器を検索しても,認識してくれません.出力先に指定できないので,ダメみたいです.
次に,steinbergのUR22を接続してみます.UR22は,USB Audio Class 2.0に対応していて,PCM 24/192までOKです.
このUR22も認識せず.電源は入っていますが,点滅しているため,通信できていません.XDP-300Rからも検出されません.
こうなったら,手当たり次第です.DigiFi 15&16のDDC+DACを接続してみます.24/96対応DDC+DACです.
このDigiFi 15&16も認識しません.電源は入っていますが,ダメでした.
手順が間違っているのか???
もう一台,ちょっと古い機種ですが,AUDIOTRAKのPRODIGY CUBEです.これも24/96対応です.
不思議と認識OKで,24/96のflac再生が可能でした.音質は,XDP-300Rのほうがいいです.
それから,USB-DAC接続しても,XDP-300Rのボリュームが活きていました.音質的には不利ですが,XDP-300R側ですべて操作できるのは便利です.
100均のOTGケーブルを使って接続した結果です.
☓ DS-DAC-100m
☓ UR22
☓ DigiFi 15&16
○ PRODIGY CUBE
結局,手順は間違っていはいないようでしたが,USB-DACとして認識できたのは,PRODIGY CUBEのみでした.オーディオドライバの関係で,こういう結果になったのだと思いますが,詳細は不明です(時間がないのでこれ以上の追求はしていません).
このような結果になりましたが,USB-DACを認識して,デジタル出力可能であることはわかりました.ただ,XDP-300RのDAC&出力機構は優秀なので,わざわざUSB-DACを接続する必要はないと思いました.OTGケーブル経由なので,USB-DACにもXDP-300Rから電力供給しなければならず,あまりメリットはないと思います.
と,ここまで書いてから,ふと疑問.USB-DACを認識しないのは,電力が足りていないだけ?
再検証します.
電源&HUB付きOTGケーブルです.
一応,XDP-300Rから,USB-HUBとして認識することをUSBマウスを使って確認しました.
では,結果です.
☓ DS-DAC-100m
☓ UR22
○ DigiFi 15&16
☓ PRODIGY CUBE
不思議な結果です.電力不足で認識できなかったわけではなさそうなことは分かりましたが,PRODIGY CUBEが認識できなくなりました.接続は認識しているみたいですが,設定の初期化が終わらずに,使えない状態になっているみたいです.
その代わり,DigiFi 15&16のDDC+DACが認識&再生できました.なぜでしょうか?
いずれにしても,外付けDACを使う必要はなさそうですし,音質も劣化します.
USBストレージからの再生[追記]
内蔵メモリ32GB,microSDカード×2という仕様ですので,使うことはないのですが,機能としてUSBメモリからの再生もできますので,試してみました.
本体のUSBポートは,microUSBのため,OTGで汎用のUSB(Type-A)に変換するか,OTG機能付きUSBメモリを使うことになります.
今回は,検証用にWindows/Android共有可能なUSBメモリを使うことにしました.USB3.0対応ですが,AndroidではUSB2.0です.
XDP-300Rに直挿しすると,こんな感じになります.
標準USB側は,Windows-PCで接続し,D&Dで転送します.microUSB側は,OTG機能付きなのでAndroidで認識可能です.
XDP-300Rでは,このようにUSBストレージとして認識されます.
フォルダ再生で,USBストレージを指定すれば,問題なく再生可能です.一時的に試してみたい曲のときに利用するのは便利かもしれません.
また,同じUSBメモリをOTGケーブルでも接続した状態がこちらです.
どちらも再生には問題ありませんが,仮に使うとしたら,直挿しより,柔らかいOTGケーブル介したほうが,取扱は楽だと思います.
このように,USBストレージとして,USBメモリやUSBドライブも使えますから,据え置きのオーディオプレーヤーとして使うなら,容量は気にしなくて済みます.また,DAPと据え置きで,楽曲の2重持ちも必要なくなります.この点が,AndroidベースDAPの利点だと思います.
USB接続ゲーミングヘッドセットは使えるか?[追加]
iBUFFALO製の5.1chサラウンドゲーミングヘッドセット(BSHSUH05BK)が使えるか確認してみます.
普段は,ゲームもしないし,この手のヘッドセットには音質的に全く期待していないので買うことはないのですが,XDP-300RのUSB-Audio機能の検証用に買ってしまいました.
基本的に,BSHSUH05BKはWindows専用で,Windows用のドライバーしか提供されていないので,サラウンド再生は出来ないのは前提で,2ch再生ができるかどうかです.
ヘッドセットのUSB端子は,標準A-typeなので,100均のOTGケーブルを介して,接続します.
リモコン部のLEDが点灯しましたので,電源供給はされていることは確認できました.
XDP-300Rで,出力をBSHSUH05にし,再生してみます.
が,出力先のUSBヘッドセットが検出されません.やはり,再生は出来ないようです.USB-DACも認識するものが少なかったので,そんなに甘くはないですね.
意外に悪くないポータブル性
今回のレビュー期間中に,電車で移動する機会がありましたので,ポータブル性と電車内での試聴をしました.
使用したイヤホンは,DN-1000です.ジャケットの胸ポケットに入れた状態と電車の窓際に置いた状態で聴いています.
X3 2ndに対して,大きくて重いですが,外でも画面が見やすく,操作しやすいです.X3 2ndは,ホイールで直感的に操作はできるのですが,癖があり,ダイレクトタッチ操作のXDP-300Rのほうが楽です.また,ボリュームも十分で,バッテリーの持ちも問題ありませんでした.いざとなったら,wifi環境で,通信できることも魅力です.
それから,画面が外でも見やすかったです.コレは,重要です.X3 2ndの画面は,明るい外では,見にくいです.
ただ,X3 2ndもそうなのですが,胸ポケットに入れていると,本体が温かくなります.ちょっと,気になります.外に出していれば,この時期では温かく感じることはありませんでした.
周りからは,スマホで音楽を聴いているように見られるかもしれませんが,デザインも良く,カッコイイです.X3 2ndは明らかにDAPですが,XDP-300Rはそれ以上の高級感のある魅力を持ち合わせています.
新しい世界を教えてくれるハイレゾDAP
時間が少なかったこともあり,十分使いこなせませんでした.特に,android部分は,手付かずでした.約10日というレビュー期間は,DAPのレビューとしては短すぎました.もう少し聴いていたかったというのが正直な感想です.そう思わせるXDP-300Rの魅力がありました.
XDP-300Rは,サイズ的にはちょっと大きいですが,高級感のある高音質なハイレゾDAPで,いろいろな曲を色々なヘッドホンで聴きたくなる1台でした.時間がないレビューにもかかわらず,アルバム1枚聴いてしまう魅力を持っています.1曲集中で聴くつもりが,アルバム1枚聴いてしまうのが悪いと言えば悪いのですが,その魅力がありました.
では,XDP-300Rを欲しいか? 買いたいと思えるか?
ここで問題なのは,価格に見合うかどうか?(と,個人的には考えてしまいます)
この見解については,人それぞれなので,あくまでも私見です.XDP-300Rが,3万円以下で買えるなら,間違いなくベストバイです.買うべき1台です.X3 2ndとは,明らかに格が違います(高級感も音質も操作系も).
ここで,値段だけ切り出すと,DAPに約8万円は正直高いと思います.ただ,スペックと音質を考えると,それに見合う価値はあると思えました.
それを感じるのは,ATH-AD2000やHD650クラスのヘッドホンを,バランス接続した時です.DAPではドライブしにくいDT990Proを見事に引き出す実力があります.また,ラインアウトでアンプに接続し,スピーカーで聴くと,本当に聴き入ります.
10万円のCDプレーヤーを買うなら,XDP-300Rのラインアウトを使用したほうがいいと,断言できます.比較論で言えば,XDP-300Rに約8万円以上の価値があると言えます.
アンバランス出力で聴いた場合でも,X3 2nd Generationの国内正規価格である約3万円と比べると,さらにクリアで,解像度が高く,分離も良く,密度の濃い音です.でも,倍以上の価値があるかどうかは,正直わかりません.
つまり,アンバランス接続のヘッドホンやイヤホンで聴く場合,XDP-300Rの本当の価値はわかりません.よって,ハイレゾDAPとしては,割高に感じます.DSDのネイティブ再生もできるX3 2ndでも十分だと思います.
しかし,バランス接続で聴く場合やスピーカーで聴く場合には,XDP-300Rの価値が十分発揮され,音の傾向が気に入るならおすすめできる機種です.ハイレゾ音源を十分に感じることのできるDAPです.
今回レビューして,正直欲しくなりました.でも,気軽に買える価格ではないです.ポータブル用途としてではなく,据え置きのDAPとして,活用したいと思いました.バランス駆動のヘッドホンで聴く音は,知る悲しみを教えてくれました.
○XDP-300Rは,こんな人におすすめ
・10万円以下のハイレゾDAPを探している人
・バランス接続環境を持っている人,または,今後持つ予定の人
・DAPに見合うヘッドホンやイヤホンを持っている人
・クリアで,緻密で,分離の良い,繊細な音質が好みの人
・ラインアウトを利用した音楽再生環境を持っている人
・DSDのネイティブ再生環境が別にあり,DAPでもDSDを聞きたい人
・PCレスの音楽環境を構築したい人
△XDP-300Rは,こんな人にはおすすめできない
・値段優先でDAPを決める人
・DSDをネイティブ再生で聴きたい人
・バランス接続環境を持たない人
・DAPをポータブルのみで利用する人
・連続再生時間が8時間程度では物足りない人
・DAPも軽薄短小にメリットを見出す人
※注意点
XDP-300RはDAPですが,スマホと同じように扱うほうがよいと思いました.
例えば,電源.DAPなら,聴きたいときに電源ON,聴き終わったら電源OFFが普通の使い方だと思います.でも,スマホは常時電源ONです.
XDP-300Rも常時電源ONのほうが便利です.聴きたいときにすぐに聴けないのはもどかしいです.今回のレビュー期間内にも一度,電源ONでアプリのチェックが入り,10分以上待たされたことがありました.Wifi機能もありますから,スマホと思って,操作したほうがいいと感じました.
今回,XDP-300Rの実力を十分にレビューできていないと思いますが,バランス接続可能なハイレゾデジタルオーディオプレーヤーとして,おすすめできる機種です.
バランス接続で聴くと,今までとは別世界があります.感動すること間違いなしです.きっと欲しくなります.
XDP-300Rにベストなイヤホンを求めて!(さらにおまけのおまけを追記)
手持ちにハイレゾ対応イヤホンが一つもありませんでしたので,XDP-300Rに合うベストなイヤホンはどれなのか? 某大手専門ショップ(バレバレですが)に行ってきました.ただ,イヤホンを買いに行ったのではないため,あまり不審な行動はできず,90分くらいの中で集中的に同じ曲(藤田恵美:Best od My love)を聴きいて,比較しました.あくまでも,自分にとってXDP-300Rと試聴曲に合うイヤホンを探すということです.みなさんにとって合うかどうかはわかりません.
この時,一番感じたのは,どんな高級イヤホンでも,XDP-300R用の試聴なら,周りやお店の人に恥ずかしくないということです.以前,iAUDIO9片手に試聴した際は,不釣り合いすぎて高級機種は憚れました.
店舗内にあるすべての機種を視聴するわけにはいきませんので,某サイトの売れ筋ランキング上位のものを中心に,定番や新製品を聴き比べました.
試聴した際,あまり怪しまれないように,タブレットでメモりました.あとで思い出して書く際,忘れないで混乱しないような一言程度なので,伝わりにくいかもしれませんが,おまけレビューとしてご容赦下さい.
まず,某サイトで,ハイレゾ対応の売れ筋&口コミ評価の高い機種(順番どおりには聴いていません).
○JVC HA-FW01
ハイレゾ対応のD型.非常に綺麗な音質で, 響きも心地よい.バランスも解像度も良く,JVC製の中で一押し.
○ZERO AUDIO ZH-DX220-CM
ハイレゾ対応のD型.低価格で,売れているようだが,音質的に軽くて,自分には合わない.
○ONKYO E-700M
ハイレゾ対応のD型.非常にクリアで空気感が気持ち良い.1万円くらいのなので,おすすめ.
○DENON AH-C820
ハイレゾ対応のD型.フィッティングが合わなかったのか,低音のみで全くダメ.
○SONY XBA-N1
ハイレゾ対応のHybrid型. ワイヤーが固く,形状の割にフィッティングも不思議と良く,グッドバランス. D型ならではの低域がもう少し欲しいかも.
○SONY XBA-300
ハイレゾ対応のBA型.BAならではの繊細さが好印象.BAのみなので,N1よりバランスはさらに上.トリプルBAではBestかも.
○JVC HA-FX850
ハイレゾ対応のD型.綺麗な響きだけれど,HA-FW01を聴くと格下に感じる.これだけ聴くと,満足できる音.
○RHA MA750
ハイレゾ対応のD型.音質は,非常にスッキリ.フィッティングがダメなのか,評価が高い機種には思えなかった.E-700Mのほうがおすすめ.
次に,定番機種や新製品.
○Sennheiser IE80
非ハイレゾのD型.D型の王様.低域,迫力,バランス,申し分のない究極のD型? ハイレゾ対応ではないけど,おすすめの一品.
○SONY MDR-EX1000
非ハイレゾ対応のD型.これぞD型の音.非常に自然で,バランスもいい.低音主義でなければ,SONYのD型ではBest.
○SONY XBA-Z5
ハイレゾ対応のHybrid型.N1の低域不足を解消した感じで,高解像度でありながら,非常にバランスが良い.SONYの中では,Best Oneをあげたい.
○ATH-CKR100
ハイレゾ対応のD型.D型なので好みの音かと思いきや.メリハリのあるだけの典型的なオーテクの音.形状の問題で,合わなかっただけかもしれないが,ダメ.
○ATH-LS400
非ハイレゾ対応のBA型の新製品(試聴時は発売前?).マルチBA型で,期待していなかったが,非常に良い.ハイレゾ対応ではないが,バランスも解像度も良い.最近のオーテクの中でBestかも.
CKR100とは対象的な音.
ここからは,勇気を出してチャレンジ.
○Final HeavenⅧ 多分非ハイレゾのBA(single)型.BA的な音で,広がりが感じられます.でも,好きな音ではありませんでした.残念.
○Campfire Audio LYRAⅡ
非ハイレゾのD型.いいです.LYRAの音も好きでしたが,更に良くなっています.これぞベストバランスと言えます.高域が綺麗.VEGAを聴かないければ,IE80よりベストな選択に思えます.
○Campfire Audio VEGA
非ハイレゾ対応のD型.LYRAⅡのバランスで,低域を強化した感じ.VEGAを聴くと,LYRAⅡも格下に感じます.今回聞いた中で,最高の音質です.
○Westone W80
非ハイレゾ対応のマルチBA型.なんと,BAを8つも搭載.音数が多く,広がりのある,非常に解像度の高い音.マルチBAの典型的な音質だけど好みではありません.
すみません.その都度,印象をひとくちメモしていたので,Bestという言葉がたくさん出てきてしまいました.
帰りの電車の中でメモを見ながら振り返ってみました.D型好きのモニターライクなリスニング用途という前提で決めました.アンバランス接続のイヤホンとしてです.
XDP-300Rにベストなイヤホンは,Campfire AudioのVEGAです.
次点は,LYRAⅡ,XBA-Z5,MDR-EX1000,IE80,HA-FW01です.スピーカーのような迫力を求めるなら,IE80.きれいな響き重視なら,HA-FW01.より自然な音質なら,MDR-EX1000.BA型の高解像要素を求めるなら,HybridのXBA-Z5.コストパフォーマンスなら,LYRAⅡという感じです.
とはいえ,いずれも簡単に買えるような金額のイヤホンではありませんが,XDP-300Rより高価なイヤホンでも,十分その魅力を引き出す能力を,XDP-300Rは備えていると言えます.
最後に,おまけで,ヘッドホンも試してみました.ヘッドホンは,以前から気になっていたのもののみの試聴です.
○ULTRASONE Signature Pro
密閉型でインピーダンス32Ωですが,ドライブにはちょっと無理があります.なんか,まとまりのある優等生の感じしかしません.
○ULTRASONE Edition8 Ruthenium
密閉型でインピーダンス30Ωですが,Signature同様に,ドライブにはちょっと無理があるようです.
○ULTRASONE Edition M Plus
密閉型でインピーダンス30Ω.SignatuteやEdition8と同じようなスペックでドライブ能力に不安がありますが,Edition Mは違いました.最高の音がします.不思議です.決して高解像度の音ではありませんが.ずーと聴いていたくなる音です.
○SONY MDR-Z7
密閉型でインピーダンス70Ωとちょっと高めです.バランスが非常に良く,これぞハイレゾを聴くためのヘッドホンという感じです.今回1曲だけでしたので,とてもいい印象です.長時間聞いていても同じ印象かはわかりません.
他にも聴きましたが,ヘッドホンはDP-300Rでもドライブ能力に問題がありそうなので,インプレッションは省略します.
数少ない試聴の中で,XDP-300Rに合うベストなヘッドホンは,Edition M Plusになりました(ただし,アンバランス接続としてです).
そして,改めて思いましたが,バランス駆動はこれらのヘッドホンを凌駕しています.高解像度ヘッドホンは別にして,ATH-AD2000でもHD650でもDT990Proでも,バランス駆動すれば,10万円を超えるヘッドホンに対抗できるように化けます.とは言っても,音質自体は変わらないので,Edition M Plusの音にはなりません.あの不思議な感じは,ULTRASONEにしか出せない音です.
高価なヘッドホンや高価格DAPに投資するより,XDP-300R+バランス駆動ヘッドホンに投資したほうが,遥かに幸せになれると思いました.
それから,もう一つ.
ヘッドホン,イヤホンは,(個人的な好みの)いい音とハイレゾ対応は関係ないと思いました.逆に,非ハイレゾ対応のほうがいい音を出す機種が多いです(ロングセラーモデルということもありますが).もちろん,ハイレゾ対応でいい音のイヤホンはありました.でも,いい音に40KHzまで再生周波数帯域が必要だということにはならないことが,十分わかりました.ヘッドホンやスピーカーなら,ハイレゾ対応で,その雰囲気(空気感)が感じられますが,イヤホンでは難しいです.
おまけのおまけ追記[20170211].
上で気になったJVCのWoodシリーズイヤホンを,改めて聴き直してきました.先のお店では全種類揃っていなかったので,別のお店で試聴しました.HA-FW01,HA-FW02,HA-FX1100,HA-FX850の4機種です.基本D型好きとしては,このJVCのWoodシリーズは,しっかり聴いておきたかったのが理由です.
結論は,HA-FW01≒HA-FX1100>>HA-FW02>HA-FX850で,上位機種2つは明らかに格が違います.特に高域の質感が上位機種は上手いです.ただ,FW02のみ,FX850のみで,比較しないで聴くと,非常に綺麗な響きとバランスで,ハイレゾD型イヤホンでは,おすすめです.比較しなければ,HA-FW02が一番汎用性が高く,コスパがいいと思います.HA-FX850は,高域の雑さが気になり始めると,ダメかもしれません.店頭では,FX1100とFX850のケーブル同士を交換して聴くことが出来ませんが,両機種持っているなら,ケーブルの違いがどれくらいあるのか確かめてみたいところです.おそらく,FX1100は,ケーブルの違いだけではなく,より厳密にチューニングしていると思います.
FW01とFX1100は,どちらに音質が好きかどうかで,選択肢が別れます.より繊細さでスピード感を求めるならFW01,音響重視ならFX1100になると思います.音の傾向は同じで,美音です.バランスはFW01がフラット傾向と言われていますが,XDP-300Rで聴くとFX1100がフラットではないかと思います.FX1100のほうがDAPに左右される部分が大きく,FW01のほうが扱いやすいと思います.FX1100のほうが低域過多と言われていますが,分解能がないDAPで,低域を持ち上げると塊のような低域がそのまま出てくるので,そのように感じるだけだと思います.高域も,DAP側でしっかり出ていれば,そのまま出る感じがあります.なので,XDP-300RクラスのDAPの場合,逆にFW01に物足りなさを感じるかもしれません.FX850を持っていると,全てにおいてアップグレードしたFW01が欲しくなると思いますが,FX1100を持っている人は,FW01が欲しくなるかどうかは疑問です.FW01とFX1100は,使い分けできるイヤホンだと思います.FW01はアニソンやRock,FX1100はJazzやClassicが合いそうです.
さらに,別の日,X3 2ndでもFW01,FW02,FW03,FX-850の4種類で聴いてきました.FX1100は,すでに店頭になく,試聴できませんでした.
X3 2ndで聴くと,一番いいと思ったのは,FW03でした.確かに,他のイヤホンは解像度や広がりや響きは感じられるのですが,バランスと迫力があるように感じられました.不思議です.
ー 以上,蛇足でした ー
1ヶ月使用して改めて思う・・・XDP-300Rは真のハイレゾDAP
前回のプレミアムレビューは,約2週間と短い期間でしたが,その後1ヶ月程度,追加レビュー期間をいただけましたので,その間に感じたことやおすすめ設定などをまとめてみたいと思います.
11月下旬に一度返却してから,2ヶ月弱,FiiO X3 2nd-genに戻ったのですが,知る悲しみで,X3 2ndでは,物足りなさを感じていました.そして,改めてXDP-300RとX3 2ndとを比較していくと,XDP-300RはハイレゾDAP,X3 2ndは,ハイレゾ再生(可能)DAPだと判断しました.
X3 2ndは,ハイレゾDAPでありながら,ハイレゾ音源が再生可能な高音質DAPであり,ハイレゾDAPとは言えないと思いました.X3 2ndは,ハイレゾ音源を100%再生しきれていないと感じます.高音質DAPをハイレゾ音源再生可能にしただけで,厳密にDAPにハイレゾの定義があれば,ハイレゾDAPとは言えないと感じられました.
一方,XDP-300Rは,真のハイレゾDAPです.ハイレゾ音源を再生できるハイレゾDAPです.特に,バランス接続時のヘッドホン再生は,DAPの世界から飛び出た音を聴かせてくれます.
XDP-300Rは,真のハイレゾDAPです.
最後になります,XDP-300Rの個人的なおすすめ設定です.
・ロックレンジアジャスト:Normal
Narrowのほうが良いのですが,ハイレゾ曲によっては,音切れ(ノイズ)が出ます.曲ごとに切り替えるのは面倒なので,Normalがおすすめです.
・デジタルフィルター:SHORT
これは,好みですが,キレが良いです.
・アップサンプリング:OFF
ハイレゾなら,更にアップサンプリングする必要は感じません.
・クラブサウンドブースト:OFF
低音が欲しい場合には設定しても良いですが,よりきちんと低域まで再生できるヘッドホンを使用したほうがいいです.モリモリ感が強くなりますので,不自然になります.
・EQ設定:お好みで
お好みで設定するのがいいと思います.ただ,Presetはいずれもオススメできないので,自分で設定してください.
・Android機能:できるだけOFF
WiFi,Bluetoothなどは基本的にOFFのまま.バックグランドアプリもできるだけ走らせないようにします.
出来る限り,音楽再生アプリのみがいいです.
フェレンギさん
2017/01/13
主観的な「正直」レビューにも正当な評価が出て お他人事ながら 嬉しく思います。
ZIGSOWって 良いところですね。
harmankardonさん
2017/01/13
素人の超主観的レビューを書けるのがいいですよね.