第3世代のiPodまではポータブルオーディオ機器を使っていたが、スマートフォンのストレージ容量も時代と共に増し、音楽プレーヤーとしても十分使えるようになってきたこともあり、ここ数年外出時はずっとiPhoneで音楽を聴いている。
自宅ではオーディオシステムを一式揃えていて、音には多少のこだわりはあるのだが、電車の中や街中はノイズの嵐のため、ポータブルオーディオの音質にはそれほどこだわりを持っていなかった。
強いて言えばSHUREのSE535を使って遮音性を高めていたくらいだ。
今回、ONKYOの最新・ハイエンドなデジタルオーディオプレーヤー(以下DAP)をお借りする機会ができたので2週間ばかり使わせて頂いたのだが、通勤時間も音楽を聴くことに没頭するくらい、その音質には驚愕であった。
これはポータブル機としてだけではもったいない!ということで、様々な使い方にチャレンジしてみた。
ハイレゾがとても身近に。音楽との付き合い方が変わる可能性を秘めた傑作デジタルオーディオプレーヤー
DP-X1Aは人気を博した前モデル、DP-X1からのマイナーチェンジモデルだ。
機能的には以下の点が強化されている。
- 電源まわりのコンデンサ・抵抗などの高音質パーツ化
- 電源部のコンデンサの容量を3倍に強化し安定化重視
- 内蔵メモリーが32GB→64GBへ容量アップ
- 回路パターン・パーツ配置の最適化によりさらに高音質化
中身の構造を見るだけでも、全てが音質最優先で設計されているのが見て取れる。
通常、ポータブル機ではサイズを優先にするためにパーツを小型の基板に高密度で実装するのが常だが、DP-X1Aはオーディオ基板とAndroid基板を分離、さらにオーディオ回路もアナログ部と電源部を極力離すデザインにするなど、とてもこだわった作りになっている。
※DP-X1A プレスリリースより引用
http://www.jp.onkyo.com/news/newproducts/audio/dp_x1a/DP-X1A.pdf
今回、2週間という短い期間ではあったが、このDP-X1Aはハイレゾを含め、音楽との接し方…とまではいうと大げさな気はするが、常に上質なサウンドと共に時間を過ごすという、贅沢な楽しみ方が可能だった。
今まではハイレゾ=メインのオーディオシステムで聴くという位置づけであったが、DP-X1Aによりハイレゾがぐっと身近なものになり、上質な音に囲まれた2週間はとても至福な時であったといえる。
一度良い音に耳が慣れてしまうと、iPhoneに戻った時のことを考えるとどうなるのかとても不安である…
詳細は下記の各セクションを読んで頂くとして、まずは今回のレビューで使用したヘッドフォンの紹介から。
いずれもオーディオ協会のハイレゾ対応マークはない製品ではあるが、今回は“20-20KHzを上回る再生域を持つ製品=ハイレゾ対応”ということにして、いくつかのヘッドフォンを用意した。
■audio-technica ATH-M9X
1990年3月発売という、26年選手な訳だが、今でもそのモニター的な正確なサウンドは十分通用するレベル。ネオジウムマグネット採用、ボイスコイルもPCOCCという、バブルな仕様。
再生周波数帯域:5~30,000Hz
■PHILIPS Fidelio L1
以前プレミアムレビューで頂いたヘッドフォン。ATH-M9Xとは事なり、こちらは豊かな低域とセミオープンならではの伸びの良さという、独特の色づけが効いたモデル。
再生周波数帯域:12~25,000Hz
■SHURE SE535
SHUREのカナル型イヤホン。1基のツィーターと2基のウーファーで構成されたバランスド・アーマチュア・ドライバーを搭載したイヤホン。
再生周波数帯域:18~19,000Hz
ケーブルはバランスケーブルを使用し、アンバランス接続時にもケーブルの影響を出来るだけ排除するため、バランス→アンバランス変換アダプタを用いて視聴することにした。
そもそもハイレゾとは…?
ハイレゾの定義
DP-X1Aはハイレゾ対応のDAPであるが、ハイレゾと呼ばれるものは一般的には以下の定義となる。
ハイレゾリューションオーディオ (英: High-Resolution Audio) とは、音楽用CD(CD-DA)を超える音質の音楽データの総称。(中略)具体的にはサンプリング周波数および量子化ビット数のうちどちらかがCD-DAスペック(44.1kHz/16bit)もしくはDATスペック(48kHz/16bit)を超えていればハイレゾリューションであると見なされる。(Wikipediaより引用)
要するに、サンプリング周波数96KHzや量子化ビット数が24bitであればハイレゾといって差し支え無いと思われる。
DP-X1Aは以下のフォーマットに対応しており、現在流通しているハイレゾ音源であれば、全て楽しめるといって良い豪華なスペックとなっている。
サンプリングレート:44.1 kHz / 48 kHz / 88.2 kHz / 96 kHz / 176.4 kHz / 192 kHz / 352.8 kHz / 384 kHz
量子化ビット数:16 bit / 24 bit / 32 bit* * 32 bit float / integerは24 bitにダウンコンバートして再生
DSD:2.8 MHz / 5.6 MHz / 11.2 MHz (1 bit), PCMに変換して再生
ハイレゾ対応表示のあるヘッドフォンは必須なのか?
ハイレゾ対応のDAPで音楽を楽しむには、一般的なヘッドフォン、イヤホンでも音楽は問題無く聴けるのだが、ハイレゾ対応のヘッドフォン・イヤホンであればDAPが持つ性能を十分に引き出すことが可能だ。
ハイレゾ対応のヘッドフォン・イヤホンというと、Hi-Resと書かれた推奨ロゴマークが付いた製品が挙げられる。
スピーカー・ヘッドホン・イヤホンの各種高域再生性能が40kHz以上の製品は、日本オーディオ協会が定義している推奨ロゴマークの表示が可能であるので、推奨マークが付いている製品はハイレゾを楽しむには最適とも言える。
CDの再生周波数は20Hz~20KHzであり、40KHz以上の再生周波数性能であれば、ハイレゾ音源が持つ情報を音として鳴らすことができるのだ。
では、そもそもハイレゾの定義が登場する前の古い製品ではどうかというと、実はハイレゾDAPと組み合わせても性能を発揮する製品も数多く存在する。
たとえば、今回検証に使用したヘッドフォン、ATH-M9Xは1990年発売なので26年も前の製品であるが、再生周波数は5~30KHzであり、CDの20~20KHzを大幅に上回る周波数帯での再生が可能だ。
スペックに記載さている再生周波数の上限は30KHzとなっているが、30KHzで打ち止めではなく、それ以上は計測しても無意味(人間に聞き取れない)ということで測定していない場合も多いと思われる。
PHILIPS Fidelio L1も再生周波数帯域は12~25KHzであり、20~20KHzを超えるレンジでの音楽表現が可能だ。
音の良さは再生周波数帯域などの数値だけで決まるものでは無く、DP-X1Aのような高性能なハイレゾDAPに昔の製品を組み合わせるのも、予想外の音になったりするので、ぜひ試してみることをお勧めしたい。
要するに、気に入ったヘッドフォン・イヤホンで組み合わせて聴くのが一番、ということだ。
ただ、最近登場しているバランス接続が可能なヘッドフォンであれば、DP-X1Aの実力をもれなく引き出すことができるため、DP-X1Aにあわせてヘッドフォン・イヤホンを買う場合は、ぜひともバランス接続が可能な機種をお勧めしたいと思う。
ハードウェアについて
レビューの前に、まずはDP-X1Aの詳細の確認から。
外見
筐体の質感は非常に高い。特に、削り出しで作られたボディの剛性は素晴らしく、とても高精度に組み立てられている。
中身の基板は液晶を取り付ける前に上から入れるのだと思うが、かなり手間がかかりそうな作りだと感じる。
反対側には、大きめのボリュームが取り付けられている。
これも金属の削り出しで作られており、クォリティーは十分だ。
ヘッドフォン端子は、2.5mmバランスと、3.5mmアンバランスが備わっている。
DP-X1Aで気に入っているのが、デザイン上のアクセントにもなっている、ボリューム部分の”くびれ”。
なんとも艶めかしいラインで仕上げられており、このくびれのおかげで、左右どちらの手でもボリュームを操作することが可能だ。
ヘッドフォン端子側。
バランスとアンバランスのそれぞれの端子は直径が異なるので、間違って挿すことはないので安心だ。
ボリュームがある側面のデザイン。
ボリュームは少しだけケースから飛び出しているので、カンタンに操作可能だ。
飛び出しているために誤操作が気になるが、アプリの設定で、待機時には操作を無効にすることができる。
底面にはMicroUSB端子がある。
充電およびPCとの接続のほか、OTGによるデジタル出力にも対応している。
右側側面には、MicroSDスロットが2つと、操作ボタンがある。
MicroUSBは200GB×2枚、合計400GBまで拡張が可能なので、本体の64GBを加えると464GBもの大容量ストレージが利用可能だ。
電源ボタンは一段低くなっており、ケースの表面とボタンの表面がツライチになっているので、誤って押すことが少ないようにデザインされている。
早送り、巻き戻し、再生/停止ボタンは画面からの操作も可能だが、液晶ディスプレイなどのノイズ源を全てOFFすることが可能なので、その際はここで操作を行うこととなる。
ハードウェアスペック
CPUはQualcommのSnapdragon801、ディスプレイ解像度は720×1280ピクセル、メモリは1878MMBとAndroid端末としては2世代くらい前のスペックとなっている。
とはいえ、バリバリ3Dゲームを動かす訳ではなく、オーディオ再生アプリをメインに使うことを考えれば、十分の仕様だと思われる。
実際の操作でも、とても快適にプレーヤーアプリの操作が可能だ。
Android OSのバージョンは5.1.1、バッテリーはCPUIDの読みでは4037mVであった。
決して小振りではないが、携帯するには問題無し
筐体のサイズは129.0 mm x 75.9 mm x 12.7 mmと、決して小振りではない。
角張った削り出しのボディをまとっているだけあって、持つとかなりのボリュームだ。
感じとしては、縦はiPhone7、横はiPhone7 Plusに近い感じといえば伝わるだろうか。
右手で持って、親指で画面の左側を操作するにはちょっと辛い感じではある。
左がDP-X1A、右がiPhone 6Sである。高さは控えめなものの、横幅はDP-X1Aの方が太いのが分かるだろうか。
ディスプレイの大きさがほぼ同じなので、左側に筐体のはみ出しがある分、DP-X1Aの方がサイズが大きくなっている。
iPhone6Sと厚さを比べると、倍ほど差があるので、持ったときにかなりのボリュームに感じる。
とはいえ、スマートフォンのようにしょっちゅう出し入れするものでもないし、これも、全て音質最優先のための構造と考えれば納得の範囲だ。
ただし、本体が大きいこともあって、気を付けないと落としそうになるときがあったのは注意点だ。
削り出しのボディーなだけに、落として凹んだり画面が割れたときのショックは計り知れない。
ストラップを付ける穴などもないので、外での使用が多い人は、ケースに入れる等の対策が必要と思われる。
バッテリーの持ちについて
バッテリーの持続時間だが、公称では16時間となっている。
試しに96KHz/24bitのFlacを流しっぱなしにしたところ、15時間以上の再生は確認出来た。
※以上、となっているのは、最期バッテリーが無くなるときを確認する前に私が寝落ちしてしまったため…
通勤時に連続で使用していたが、1日1.5時間×2回の計3時間の利用で、3日は余裕でバッテリーが持ったので、バッテリーの持ちについてはAndroid端末ということを考えても比較的良好だと思われる。
ただ、常駐アプリを増やすとその分負荷がかかってバッテリーの消費が速くなるので、そのあたりはトレードオフと考えて用途を分けることが大切だ。
Android OS採用、反応も早く爽快に操作できるUI
なかなか写真や文章では伝えづらいので、コメント入りの動画でご紹介をば。
それにしても「えー」ばっかりだなぁ…改めて聴くとなにやら恥ずかしいばかりだが、まあ、仕方ない。
撮り直そうと思ったけれど、時間的に無理だったのでそのまま公開することにしました…orz
動画でも分かるように、操作はとてもサクサクと行うことができ、とても快適だ。
2種類のUIが用意されており、切り替えることができるのも面白い試みだと感じた。
上記のように2通りの選択が可能だ。
アートワークを見たい場合は右側の方がお勧めだが、曲の進行と共に円形のバーが動いていき、さらにスペクトル表示がされる左の画面も見ていて楽しく感じる。
特に、曲のシークを行う時は左のUIの方が遙かに便利だと感じた。
ただし、ひとつだけ気になるのが、ボリュームの動作。
左にあるダイヤルのボリュームを変更すると、回転した分だけAndroid OSのインターフェースを通じてボリュームを変更する指示が送られているものと思われるが、操作と動作にラグが生じてしまっている。
こればかりはOSの仕様もあって仕方ないと思われるが、サクサク使えるように改善して頂けると有り難い。
たとえばOSからは固定にして、別途オーディオ回路専用のボリュームを付けるとか…
最近のDAPはここまで進化したのかと衝撃を受ける音質
ヘッドフォンを使ったときの音質についてだが、一言で説明すると、今までiPhoneをメインに使っていた身からすると、衝撃的であった。
iPodからiPhoneに換えたときも、iPodの方が圧倒的に音質が良かったのだが、iPhoneと2台持ち分ける煩雑さから来るデメリットと音質とを天秤にかけたとき、デメリットの方が多く感じたため、iPhoneに集約してしまっていた。
DP-X1Aのサウンドを聴くと、それはもう(当たり前ではあるが)iPhoneとは比べるほうが失礼なほど、別次元だ。
今回は、以下のソースを用いて試聴を行った。
SHANTI - Born To Sing
シャンティ・スナイダーのデビューアルバム。
最近のアルバムの良さももちろんあるのだが、デビュー当時の声の柔らかさもまた魅力。
特に、このアルバムは日本プロ音楽録音賞の部門A「2ch パッケージメディア」クラシック、ジャズ等 優秀賞を受賞していることもあり、ハイレゾで楽しむにはとてもお勧めの1枚だ。
Keith Jarrett - The Koln Concert [Live]
言わずと知れた定番中の定番。
静寂の中、即興演奏で紡ぎ出される音楽は、まさに圧倒的。
LPでも持っているが、今回はe-onkyoで購入したハイレゾ版とLPの自家録音を聴き比べてみた。
Tuck Andress - Reckless Precision
超絶技巧ながらリズム感に溢れる独自な演奏で、「リズムギタリスト」と自らを呼ぶジャズ・ギタリストの巨匠。
こちらはハイレゾではなく、CD音源をmp3化したものではあるが、ギターの弦が震える空気まで感じられる、個人的に気に入っているアルバム。
CD音源をアップサンプリングすることの違いについて検証してみた。
audio-technica ATH-M9X
iPhone 6Sと比べたときの音質の差は圧倒的。
高域の延びもそうなのだが、特に低域からヴォーカル域にかけての定位と、パワフルさは桁違いだ。
SHANTIのBorn To Singに収録されている2曲目、 They Can't Take That Away From Meの最期の方は、本人がとても楽しそうに歌っているのだが、その笑いというかフフフ…という感じの楽しさが空気感としても伝わってくる。
これは聴いていて楽しい…!
Keith Jarrettのハイレゾ音源は、ピアノのキータッチまで伝わるようでこれまた惚れ込むサウンドだ。
どちらかというとATH-M9Xはモニター的なサウンドなので、より脚色なく、カチッと鳴る印象だった。
Tuck Andressは7曲目のManonashをよく試聴に使うのだが、弦の上を指が高速移動するときの擦れた感じまできちんと鳴るのがとても楽しい。
アップサンプリングでかなり印象が変わり、OFFだとどちらかというと力強さが出て、芯が太い感じだが、アップサンプリングをONにすると、少し肩が丸くなったような印象にはなるが、高域の解像度が増すような印象だった。
PHILIPS Fidelio L1
こちらはATH-M9Xとは事なり、独自の脚色で音楽を楽しませてくれるキャラクターを持つヘッドフォン。
低域に寄った音作りで、SHANTIのThey Can't Take That Away From Meはちょっと高域が枯れたというか、浅く感じられるが、DP-X1Aのドライブ力もあってベースの響きは圧倒的。
DP-X1AはiPhone 6Sよりもよりヘッドフォンの個性が出る鳴らし方をしてくれるので、それぞれのヘッドフォンのキャラクターが出てひじょうに楽しい。
Tuck AndressのアルバムではFidelio L1の低域の太さとの相性が良かったが、Keith JarrettではATH-M9Xとの相性があまりにも良すぎたのか、Fidelio L1では物足りなく感じることも。
ただ、その場合はDP-X1Aの内蔵イコライザで心持ち高域を伸ばしてやることで、広がりが出てきた。
SHURE SE535
DP-X1Aはバランス接続でこそ本領を発揮するDAPであると思う。
というのも、アンバランス接続した驚きもさることながら、SE535をバランスに換えた時の衝撃は、上記のアンバランスヘッドフォン2機種で聴いたそれを遙かに上回る。
まずは、アンバランスでの試聴を行った。
ケーブルはAmazonで購入した4000円程度のものなので、もっとチューンナップも出来るとは思うのだが、我が家には他にバランス接続可能な機器がなく…(T_T
ケーブルによる味付けが出来るだけ出ないよう、バランス→アンバランスの変換コネクタを用いている。
今まではオーグラインを使ったケーブルだったのだが、4000円のケーブルの音質も頑張っていると思う。
iPhone 6Sでも良い音を奏でていたSE535だが、DP-X1Aに繋ぐとSHANTIのアルバムなどでは、ヴォーカルが一気に近づいたというか、頭の中でいままでもやっとしていた定位がビシッと決まるかの如くに感じる。
SE535はバランスド・アーマチュア型なのでダイナミック型よりも高域~中域での情報量というか繊細さが圧倒的な反面、低域は弱い印象のサウンドであるが、低域もiPhone 6Sに比べると頑張っている。
イコライザで低域を補正することもできるが、バランスド・アーマチュアのユニットに無理して低域を鳴らすと不格好というか、不自然な厚みになるので、出来ればイコライザはない方が良いと感じた。
続いてバランス接続に変更し、色々と聴いてみたのだが…いやー、楽しい!
バランス接続の良さは資料などで知ってはいるのだが、実際に手持ちの機器で聴いたのは今回が初めてとなる。
アンバランスと比較するとセパレーションがはっきりするので、音の左右の分離が明確になる…というか、そこまでクッキリ!という訳ではないが、中心でボケていたものがわかりやすくなるのだ。
ある程度の性能を持ったヘッドフォン・イヤホンでないとこの差は出にくそうな気もするので、DP-X1Aを買うのであれば、是非ともそれなりのバランス接続可能なヘッドフォンがお勧めだ。
SE535でもこれだけの差が出ると言うことは、カスタムイヤホンやヘッドフォンの上級機種ではどうなるのだろうか…
バランス接続を聴いて、手持ちのATH-M9Xもバランスに改造したくなってきた。
しかも、さらに衝撃だったのは、ACG駆動にしたときの空気感だ。
バランス駆動は位相反転した信号で左右からドライブをかけるので、その分パワフルになる。
ACG起動は片方を0Vに抑えて絶対的なグラウンドとすることで安定さを求めた駆動方式だが、これがバランスド・アーマチュアのユニットとの相性がとても良いのだ。
Keith Jarrettでは静寂の中にピアノの音が響く空気感、Tuck Andressは弦と指が触れて奏でる躍動感がものすごく、弦が生きているように感じる。
これは、やはりバランス接続で使用すべきDAPだ。
ハイエンドDAPに相応しい豊富な機能
DP-X1Aには、以下のような様々な機能を有している
- イコライザ
- ロックレンジアジャスト
- デジタルフィルター
SHARP、SLOW、SHORTの3種類のデジタルフィルターを切り替え可能 - リアルタイムDSD変換
- アップサンプリング
イコライザ
この中でも、面白いと感じた特長的なイコライザ機能について紹介しよう。
動画を見て頂くと分かるように、とても直感的なUIで、好きなようにイコライザを設定可能だ。
しかも、カーステレオにBluetooth接続してもこのイコライザは有効になるので、ヘッドフォンのみならず、いろいろな使い方が可能だと思う。
ロックレンジアジャスト・デジタルフィルター
ロックレンジの幅を調整し、ジッターノイズをカットして音のクォリティーを上げるロックレンジアジャストと、音の立ち上がりなどを換えることでサウンドのキャラクターに変化を持たせられるデジタルフィルターを搭載している。
ロックレンジアジャストはたしかに効果があるように感じるが、narrowにしすぎるとロックが外れて音が途切れることがあるので、normalよりも少しnarrowあたりが良いと感じた。
アップサンプリング
上記のロックレンジアジャストやデジタルフィルターよりもサウンドに変化があるのが、アップサンプリング機能だ。
アップサンプリングは、上限を96KHz/192KHz/USBのみであるが384KHzまで上げることが可能だ。
音の違いは前述の通りであるが、アップサンプリングは使った印象では、全ての面において効果的ではなく、ソースを選ぶ印象だ。
特に、音圧を稼ぐために0dBを叩き続けるようなソースだと、歪みが多すぎアップサンプリングをかけると悪い方に作用するソースもあった。
アップサンプリングについては、聴くソースによってて使い分けると良いという印象だ。
特に、波形が綺麗に記録されている、録音が良いソースで使うと、高域の解像度が上がる印象を受ける。
外出時だけではもったいない!オーディオシステムと組み合わせてみる
これだけ高性能なDAPなだけに、外出時だけの利用ではMOTTAINAI!ということで、リビングルームにあるオーディオシステムで使ってみることにした。
リビングルームには、真空管アンプを中心としたシステムを構築している。
上記の組み合わせをメインで使っているので、早速このシステムにDP-X1Aを繋いで見よう。
プリがわりにも使っているCAPRICEを経由してもいいのだが、DP-X1Aのポテンシャルを100%活かすために、アンバランス端子→RCAケーブルでパワーアンプに直接繋ぐこととした。
ポータブル機とは思えない重厚なサウンド
ポータブル機という概念をすっ飛ばすようなサウンドだ。
流石に据え置き機のFIDELIX CAPRICEまではいかないが、そこらの5~6万円クラスのDACなら十分に、あるいはそれ以上に勝負が可能だろう。
DP-X1Aを据え置き機として使うメリットは、音質面ももちろんあるが、アップサンプリングやイコライザなどの豊富な機能と、操作性の良さ、それとバッテリー駆動による低ノイズだろう。
ES9018系DAC搭載モデルで比べてみた
DP-X1Aはバランス駆動を可能にするために2基のES9018K2Mを搭載している。
ES9018K2MはES9018Sをベースに、モバイル用にするため低消費電力、チップの縮小などを行った兄弟チップだ。
ES9018Sの元になった?ES9018を搭載したのが、FIDELIX CAPRICE。
ES9018搭載DACの中でも評判の高いモデルだが、果たして兄弟DACを積んだ両社の違いは…?
結果はやはりトータルで言うとCAPRICEの方が圧倒的。
消費電力やパーツの専有面積を考えず、全てをサウンドに向けられる据え置き機には、やはり有利な面もありそう。
しかし、予想外だったのが「聴き比べる」ことを主とした比較では、やはり情報量などで差が出る両者だが、「音楽を楽しむ」ことに関しては、キャラクターの違いはあれど十分な性能を持っていることだ。
SHANTIのThey Can't~の楽しさは十分伝わってくるし、なによりも定位も良く、楽しいサウンドを聴かせてくれる。
性能としては不足感はなく、据え置きと外出用にそれぞれ数万円のデバイスを買うなら、DP-X1Aを1台買った方が良いと思うくらい、完成度が高いと感じた。
DP-X1Aのイコライザを使ってオーディオの特性をフラットにしてみる
さらに、ホームオーディオにDP-X1Aを使って一工夫してみようと思い、イコライザを使って完全にフラットな特性になるようにチャレンジしてみた。
使用したのは、iPhoneのスペクトルアナライザ Audio Frequency Analyzer 3.2というソフトウェアと、チェック用のスイープ信号だ。
耳の位置に調整した三脚の上にiPhoneを置き、スペアナで特性を測定しつつフラットになるようにDP-X1Aのイコライザを使って補正をしていった。
測定中の様子。
左下の三脚にiPhoneを載せ、DP-X1Aに保存したスイープ信号をオーディオで再生し、特性を分析している。
測定結果であるが、真空管によって違いの出る結果となった。
まずは、現在メインで使用しているKR Audioの2A3。
100Hzが凹んでいるのは、iPhone側のフィルタの影響と思われる。
50Hzまでは落ち込みが見られるが、その後はほぼフラットで、4KHzを超えたあたりから少し膨らみ、20KHzで落ち込むものの、きちんと上から下まで出ている印象だ。
続いて、重厚なサウンドが好みのKEN-RAD 2A3。
全体的に出力が高い結果となった。
傾向はKR Audioに似ているが、40Hz以下の低域が太く、500Hz付近に盛り上がりがあるのが特長だ。
このあたりが、芯が太いと感じる所以かもしれない。
それぞれの測定が終わったので、続いて特性の補正に移ろう。
何度もスイープ信号を再生し、少しずつ補正していって出来上がったのが、下記のイコライザカーブだ。
うーむ…かなり低域と高域の持ち上げ方がヘヴィではある…。
このイコライザを有効にして再生したのが、以下の計測結果だ。
おお、見事にフラット!!
-25dBを中心にして、多少の凸凹はあるものの、綺麗に特性は揃った。
…のだが、音楽を聴くと、流石に破綻しているというか、不自然すぎる。
何事も、フラットなのが良い訳ではない、ということだろう。
そこで、低域と高域を絞ってみたのが、こちらのイコライザ設定だ。
この設定では、不自然さはかなり落ち着き、今までよりも聴きやすい、広がりのあるサウンドが得られた。
真空管ごとの誤差をDP-X1Aで補正するといった使い方も楽しそうだ。
音質は周波数特性だけで決まるものではないが、DP-X1Aのイコライザを使うと部屋の特性にあわせて補正するといったこともカンタンに可能だ。
DP-X1Aでアナログレコードの楽しみ方が変わる
DP-X1Aによりハイレゾが身近に聴けるようになったことを受け、レコードをハイレゾ化してDP-X1Aに入れてみた。
なるべく出費を抑えるため、フリーソフトを使ってみたが、レコードの臨場感、雰囲気を残したまま手軽にデジタル化することができた。
レコードは聴くために手間が掛かるのが面倒(それが楽しくもあるのだが、忙しいときはなかなか聴く機会が無い…)なので、デジタル化することで気軽に楽しむことが出来ることが最大のメリットだ。
使用するハードウェア・ソフトウェア
デジタル化にあたって使用した機材・ソフトウェアは以下の通り。
■ハードウェア
LPプレーヤー:Well-Tempered Basic
カートリッジ:Lyra Lydian β
フォノイコライザ:CREEK Audio OBH-9SE
サウンドカード:Creative SoundBlaster Z
■ソフトウェア
録音用:SoundEngine(公式サイト:http://soundengine.jp/)
Flac変換:xrecode II(DL先:http://www.gigafree.net/media/encode/xrecode.html)
録音の方法は、LPプレーヤー→フォノイコライザ→SoundBlasterのオーディオ入力へと接続し、SoundEngineを使って192KHz/24bitのWaveファイルとして録音、その後xrecode IIを使用してwav→flacへ変換を行うこととした。
今回使用したLPプレーヤー、Well-TemperedのBasic。Basicなだけに、超シンプル・イズ・ベストなプレーヤーである。
組み合わせているのは、メリハリのよいキレの良さが特長の、Lyraの傑作、Lydianβ。Lyraのカートリッジでは安価な価格帯の製品だが、それ故に作りもシンプルで、変な飾りのないダイレクトなサウンドが醍醐味だ。
アナログLPの録音ということで、少しでも良好な音質で録音すべく、マザーボードのオンボード機能ではなく、サウンドカードは116dBというSN比を誇るSound Blaster Zを使用した。
レコードをPCに録音する
作業手順は至って簡単で、Sound Blaster Zにレコードプレーヤーを繋ぎ、レコードを再生すると音が出る状態にする。
この際、Line入力された音を出力するようにSound Blasterの設定を変えておこう。
この状態でSoundEngineを起動し、SoundEngineのボリュームを調整して入力された信号がレベルメーターの-6dBを超えないように設定を行うこととした。
0dBを超えると音が歪んでしまうことと、ノイズの多いレコードということもあって予想外の突発音が発生することを考慮し、少し控えめの-6dBをピーク時の目標としてみた。
録音のフォーマットを192KHz、24bitに設定し、準備が整ったらLPの針を外し、SoundEngineで録音を開始してからLPにプレーヤーの針を乗せ、録音を開始しよう。
※SoundBlaster Zの入力側は96KHzまでの対応なので192KHzにする意味は無いようにも思うが、どうせ設定するなら上限で!ということで…
録音したwavファイルの波形は上記のような形となり、ピークで-2.43dBとちょうど良い感じに仕上がった。
音圧は下がってしまうが、ピークを潰すのではなく、ピークをピッタリ0dB以内に合わせた録音の方が聴いていて自然で気持ちよい。
FFTで確認したところ、20KHz以上(26~28KHzあたり)まできちんと録音されていることが確認できた。
ハイレゾはCDの上限である20KHzを超える帯域を再生可能なフォーマットであり、アナログ信号をきちんと録音出来ていることがわかる。
スクラッチノイズでは32KHzを超える信号も記録されており、SoundBlaster Zの能力の高さも相まって、可聴領域全域に渡って情報が記録されていると考えてよいだろう。
※SoundBlaster Zの録音側の周波数特性は記載がないが、サンプリングレートは96KHzまで対応しているため、48KHzまでは情報として記録されていると思われる
wavをflacに変換する
録音が完了すると、ハイレゾのwavファイルができているが、このままだとファイルサイズも大きく、対応プレーヤーも少なく利用が不便なので、可逆圧縮であるFlac形式にコンバートを行うこととした。
Flacへの変換はシェアウェアのxrecord IIを使用したが、xrecode IIは毎回メッセージが出るが登録しなくても使用可能である。
xrecord IIの使い方もカンタンで、wavファイルをドラッグ&ドロップで放り込み、出力形式のところでFlacを選択し、開始ボタンを押すだけだ。
これで192KHz/24bitのFlacファイルの完成である。
アナログレコードとDP-X1Aとの相性は最高
Flacファイルが出来上がったので、早速DP-X1Aで聴いてみることにした。
X-DAP Linkで転送しても良いのだが、今回はテストということで直接エクスプローラーからDP-X1AのSDカードにコピーすることにした。
iTunesを経由しないと原則としてアクセス出来ないiPhoneと違い、直接ストレージ内部に転送できるAndroidなので、ファイルの転送はとてもカンタンなのが有り難い。
DP-X1Aでレコードから録音したFlacを聴くと、そのリアルが生々しくダイレクトに伝わり、とても素晴らしいサウンドだ。
今まで「レコードをヘッドフォンで聴く」ということが無かったのだが、より耳に近い位置で鳴ることもあって、解像度が高く感じる印象である。
今回は Al Di Meola, John McLaughlin and Paco de Lucía による1981年のライブアルバム、「Friday Night in San Francisco」を録音してみたのだが、ギターの弦に指先が触れる擦れた音までがリアルに耳に飛び込んできたのには驚いた。
スピーカーで聴く音場のリアルさも良いが、ヘッドフォンで聴くLPソースも良いものだ。
DP-X1Aで聴くレコードは、今までのレコードの音楽とはまったく違う世界で、新たな音楽の楽しみ方を提供してくれた。
特に、ACG駆動のDP-X1AとSHUREのSE535を組み合わせたときの細部の表現性は素晴らしく、BTL駆動よりも細かい息づかいまで感じられるようであった。
アナログレコードの繊細な空気感と、グラウンドを0Vでがっちりとホールドすることで繊細な表現を得意とするACG駆動のメリットがとてもよくマッチした印象だ。
また、ATH-M9Xのモニター的なサウンドでも、DP-X1A内蔵のイコライザを使って少しBASSをブースト気味にすると、アンバランス接続であっても迫力のあるサウンドが楽しめる。
ヘッドフォンの特性だけではなく、アナログレコードの場合カートリッジによっても音の傾向は大きくことなるので、使い勝手の優れるDP-X1Aのイコライザを使って音質に色づけすることで、様々な表現を楽しめるのも、DP-X1Aとアナログレコードを組み合わせたときの面白さだ。
なにより、ソースはオリジナルのまま、DP-X1A側でいろいろと設定を変えて楽しめるのがとても便利だ。
Bluetoothで連携!カーステレオでも良いサウンドを楽しもう
現在の愛車であるマツダのアテンザには、Pioneerのカロッツェリアナビと、BOSEのサウンドシステムを搭載している。
Pioneerのナビだが、オーディオ周りの機能は割と貧弱で、どうやったら20万円以上もするのか甚だ疑問(というか、日本のナビは高すぎると思うのだが)な状態だ。
音楽プレーヤーとしては操作性もイマイチで、なによりも全体の操作がワンテンポ遅れるモッサリさがあるため、ちょっと停車した時にサササッと操作することが難しい。
しかも、ノイズが多い車内なのにイコライザ関係は低音と高音の増幅しかないという有様で、どうせならもっとマシな機能を付けてくれ…と言いたい感じであった。
幸い、Bluetoothによる通信が可能なので、最近はiPhoneに入れた楽曲ばかり聴いている。
今回お借りしたDP-X1AはBluetoothによる連携が可能ということで、早速カーナビに繋いで、DP-X1Aの導入によってカーオーディオの使い勝手がどのように変わるのか、試してみることにした。
ナビとDP-X1Aを接続しよう
まずは、DP-X1Aの設定画面から、Bluetooth機能をONにしよう。
そうすると、自動的に使用可能なデバイスを検出し、表示されるはずだ。
Bluetoothデバイスを検出すると、上の画像のようにデバイスが表示される。無事、CA9PB(カロッツェリアナビのマツダOEMモデル)を検出しているので、ペアリングしてみよう。
カーステ側でもBluetoothのデバイス検索を開始すると、ペアリングのための情報が表示される。
DP-X1Aにペア設定コードが表示されているが、このタイミングでカーステ側でもDP-X1Aを検出し、自動的にペア設定コードが表示された状態になった。
相互で接続が完了すると、カーステの画面にDP-X1Aとのペアリングが完了した旨表示された。
特に複雑な操作が必要な訳ではなく、お互いのペアリングを開始するだけでよいので、とても楽に接続が完了した。
接続が完了すると、DP-X1Aに保存された楽曲を、カーステレオ側でコントロールすることが可能だ。
もちろんデジタルで送信されるのでアナログのようにノイズが乗ることもない。
無線での接続のため、DP-X1Aをポケットに入れていても利用できるのはとても便利だ。
DP-X1Aをカーステレオで使うメリット
一番のメリットは、ハイレゾの楽曲であってもカーステレオで楽しめる点であろう。
カーステレオ側はハイレゾには対応していないため、DP-X1A側で48KHz/16bitなどに変換して送信していると思われるため、厳密にはハイレゾではないのだが、いちいちデータ形式を変換してSDカードに入れないと再生できない状況から比べると極めて便利になったと言えよう。
音質についてはカーステレオ側のDACとアンプを使ってスピーカーを駆動するため、DP-X1Aの高音質設計が生きてくる点が少なく、あまりメリットがないといえよう。
しかし、内蔵64GB+SDスロット2基という大容量を誇るDP-X1Aに全ての手持ちの楽曲を入れておき、そのまま車に持ち込めばプレイリストなどもそのままDP-X1Aのものが使えるのは、いちいちデバイス毎に管理する手間を考えるととても便利だ。
また、DP-X1Aが持つイコライザを利用できるのは大きなメリットだと感じた。
カーステレオ側では、低域と高域の増幅しか補正がないのだが、DP-X1Aを使えばノイズとかぶって聞Bluetooth経由でもきちんとイコライザは有効なので、きづらい帯域を底上げしたり、高域を少し引っ張ってメリハリを付けたりと、好みの音質に変更することが可能だ。
PCが無くてもハイレゾが楽しめる!e-onkyoとの連携機能
ハイレゾ楽曲を買うときは、いつもonkyoのハイレゾ楽曲配信サイト、e-onkyoを使っている。
DP-X1Aはonkyo製のハードウェアというだけあって、e-onkyoとの連携機能を備えており、PCを使用せずに、直接プレーヤーからハイレゾ楽曲の購入が可能だ。
詳しくは動画を見て頂きたいが、メニューからe-onkyoへアクセスし、タップするだけで楽曲が簡単に購入でき、さらには一括ダウンロード機能もプレーヤー側に備わっているので、購入後のダウンロードもとても簡単なのは、onkyoの端末ならではと言えよう。
楽曲転送ソフト“X-DAP Link”について
エクスプローラーからコピーによる楽曲転送も可能
DP-X1AはAndroid OSを採用していることもあり、USB端子を利用してPCと接続すると、自動的にデバイスが認識され、エクスプローラーからファイルの転送が可能になる。
良くも悪くもiTunes経由でしかアクセスできないiPhone、iPodなどと比べると、すこぶる使い勝手は良いと思う。
接続すると、上のようにフォルダが表示されるので、好きなディレクトリに音楽をコピーするだけで、DP-X1Aに音楽を転送することが可能だ。
増設したMicroSDカードも認識されているので、好きなところに楽曲を保存することができる。
DP-X1Aで音楽を聴くときは、一番上の階層からフォルダを辿っていくようなオペレーションになるため、出来るだけ浅いフォルダーに楽曲を保存しておくと、再生のときの操作が減るので便利だ。
私はルート直下のmusicフォルダに、アーティスト別にフォルダを作って入れるようにしている。
この方法は便利でもあるが、逆にPC側のいろいろなところに楽曲が分散している場合は、分散しているフォルダごとに作業を行わないといけないため、手間がかかるというデメリットもある。
このような場合に使うと便利なのが、音楽転送ソフトウェア、X-DAP Linkだ。
X-DAP Linkによる楽曲転送
X-DAP LinkはDP-X1Aの公式サイトからダウンロードが可能だ。
X-DAP Link ダウンロードページ
http://www.jp.onkyo.com/audiovisual/headphone/dpx1a/license.htm
インストールして起動すると、以下のようなインターフェースのアプリケーションが起動する。
上部が楽曲が表示されるエリアで、下に並んだ○に↓のボタンは、それぞれDP-X1A本体メモリまたはMicroSDカードに楽曲を転送するためのボタンだ。
まずは、PCに保存された楽曲を探してみよう。
左側にある「コピー元フォルダ」の右にある「+」をクリックするとフォルダの参照画面が出るので、楽曲が入っているフォルダの親フォルダを指定しよう。
そうすると、X-DAP Linkが下層ディレクトリも含めて楽曲を検索し、一覧がリストで表示される。
OKを押すと設定したディレクトリおよび下層ディレクトリから楽曲を検索し、自動的にX-DAP Linkに楽曲がリストアップされる。
楽曲を検索するとこのように、楽曲名のほか、アーティスト名なども表示される。
ここで注目して欲しいのが、3色並んだ●と、下部にあるそれぞれの転送先デバイスだ。
X-DAP Linkの使い方は、楽曲サーチ→転送先デバイス設定→楽曲毎に転送したいストレージ選択→転送、というステップとなる。
検索された楽曲の左側にある、青、緑、赤の●を点灯状態にすると、そのストレージに楽曲がコピーされる仕組みだ。
3つ全てを点灯させれば、3つ(DP-X1A、MicroSD1、MicroSD2)に楽曲をコピーすることも可能である。
楽曲をコピーする前に、青、緑、赤のボタンそれぞれに、ストレージを割り当てる必要がある。
[選択]ボタンを押すとストレージ選択画面が表示され、DP-X1Aのそれぞれのストレージを割り当てることが可能だ。
3色のボタンにそれぞれのストレージを割り当てていこう。
先ほどの画面は、青=内蔵ストレージ、緑=SDカード1、赤=SDカード2を割り当てている。
楽曲をどのストレージに転送するかは、1曲ずつ選ぶこともできるし、全選択して一括指定も可能だ。
[CTRL]+[A]を押すと全ての楽曲が選択されるので、この状態で右クリックすると、一括でチェックを
付けるための画面が表示されるので、好きなストレージを選択しよう。
ストレージの選択が完了したら、それぞれのストレージに書かれている↓をクリックすると、そのストレージに楽曲がコピーされる。
使用中容量と残容量の表示も出るので、メディアの容量を超えてしまう場合などは円グラフで視覚的に判別することもできるので便利だ。
このようにわかりやすいインターフェースで使いやすいX-DAP Linkだが、一つだけ気になるのは、ストレージの割り付けが毎回クリアされてしまう点だ。
X-DAP Linkを起動するたびにストレージの割り付けがリセットされてしまっている(なにも設定されていない状態に戻る)ので、毎回設定が必要だ。
せめて、最期に設定した項目を保持するようにしてもらえると、より使い勝手が便利になると思うのだが…。
2種類のバランス出力:バランス(BTL)駆動とACG駆動
DP-X1Aはバランス出力に対応しているため、出力アンプのSABRE 9601Kを2基搭載しており、LchとRchを別々のアンプで駆動している。
DP-X1Aのバランス出力には、バランス駆動のほか、ACG駆動が選択可能だ。
アンバランス駆動とバランス駆動をカンタンにまとめると、上記の通りだ。
バランス駆動は左右両方から信号を送り込むので出力が高いのに対し、ACG駆動は片方を0Vで固定することで、左右から信号を送り込むバランス駆動に比べてクリアで実在感のあるサウンドを得ることが可能になる。
バランスの切替は、ホーム画面から簡単に行うことが可能だ。
中央下に並んでいるのが出力モード変更で、ボリュームを100%で固定するLine Out、画面などのノイズ源をOFFにするStand-alone機能、そして右側がバランス駆動/ACG駆動の切替スイッチとなる。
Amazon Prime Musicも、Spotifyも、Apple Musicも高音質で楽しもう
OSにはAndroidを採用し、スマートフォンで慣れたインターフェースで操作可能なので、迷うことはなかった。
また、ベースがAndroidであるため、ゲームやサウンドアプリもインストール可能なのも便利な点だ。
私は家での作業時にはAmazonのPrime Musicで音楽を流しっぱなしにしているときが多いのだが、Prime MusicアプリをDP-X1Aにインストールし、ヘッドフォン出力からアンプに繋いでスピーカーから鳴らすと、Kindle FireやiPad Miniとは別次元の音で楽しめた。
Androidベースで動く音楽アプリを、DP-X1AのDACを使って再生し、バランス/アンバランスで出力出来るため、手持ちのハイレゾ音源や通常の音源の他に、ストリーミング再生の音楽であっても高音質で楽しめることができるため、家でも屋外でもDP-X1Aが活躍する機会は多そうだ。
様々なアプリをインストールし、それらの全てでDP-X1Aの高音質の恩恵を受けられるのは、Android OSを採用したDAPの最大のメリット、といっても良いと思う。
2週間使ってみた感想というか印象について
2週間の間、DP-X1Aを使い倒す機会を頂いた訳だが、DAPの域を超えた使い方、楽しみ方がある製品だと感じた。
音質については、アンバランスのヘッドフォンであっても音質最優先で作られたデバイスだけあって、高音質で音楽を楽しむことが可能だ。
しかも、細部まで表現が可能なこともあって、ヘッドフォンのキャラクターがより明確になるため、楽曲や利用シーンに応じてヘッドフォンを使い分けをするのもとても楽しい。
さらに、イコライザをはじめ多彩な機能を有していることで、外出時ではなく、自宅のオーディオシステムに接続しても音楽を楽しむ可能性が広がる。
部屋の特性に応じてイコライザを設定していろいろ試行錯誤するのも楽しいし、純粋に高性能なデジタルプレーヤーとして使うのもありだろう。
Bluetoothにも対応しているので、Bluetooth対応のスピーカーであればワイヤレスで音楽を再生できるし、Bluetooth対応のオーディオレシーバーを使えば、DP-X1A→Caprice→SV-2A3EPXといった経路でハイレゾ音源を楽しむことも出来る。
ポータブル機として使うにはもったいなさ過ぎる、多彩な楽しみ方を秘めた製品だと感じた。
hidechanさん
2016/11/21
イコライザーは上手くハマらないと気持ち悪くなるので普段あまり使わない機能でしたが、特性を考えながら弄ると面白そうですね!
レコードからのハイレゾは、面白そうですね^^
イメージ的には息遣いや弦の弾く音までしっかりと聴こえそうで、手軽に持ち運べるのが良さそうです。
ちょもさん
2016/11/21
イコライザですが、カーステがしょぼかったので、その補正用には便利でした。
あと、家のオーディオに繋いだときは、真空管のメーカーの差を吸収するのに使ったりもできそうな感じです。
レコードのハイレゾ化はいちどやってみたかったのですが、無料のソフトでも結構良い感じの音質で録音できたので大満足です。