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2016/11/20: 公開
はじめに
今回レビューするのは、
オンキヨー&パイオニアイノベーションズ製、パイオニアブランドで販売されている
「XDP-300R」
というデジタルオーディオプレーヤー (DAP: Digital Audio Player) です。
私自身、人並みに音楽を聴くことに加え、人並み以上にガジェットオタクなことが災い (?) して、
少しでもイイ音で音楽を聴きたい欲求を持っており、イヤフォンなんかはこだわりのない人に比べればそこそこのお金を出して買ってきました。
同様に、DAP に対しても少なからず興味を持っていて、
イヤフォンを良くするのもいいけど、音の出処 (DAP) もよくしたいなと思い続けてきました。
が、買ってもいいかなと思える DAP は大抵いいお値段で、気軽に購入できず……
# もちろん、今回レビューする Pioneer XDP-300R も例外ではありません。
店頭で視聴はしてはみるものの、入っている曲が普段から聞いている曲 (音源) ではないので、
自身の環境との比較できず、買い替えるメリットが本当にあるのかどうなのか、
また、今ある環境 (音楽データ、機器) をより活かしつつ、ステップアップできるのか
今ひとつわからず、結局買わず仕舞いで今日までやってきました。
こう、私と同じように思っている人もいるかなと思うんです。
というわけで、今回はそんな私のような人に向けてレビューしていきます!
ZIGSOW PREMIUM REVIEW - PIONEER XDP-300R
私 tag の DAP & イヤフォン・ヘッドフォン事情
■ DAP
現在絶賛使用中の DAP は、言わずと知れた Apple 製の iPod の中でも、
源流の iPod の血を引く「iPod classic」。
品番は MB565J/A で、120 GB HDD を積んだ、2008年のモデル。6.5世代だったはず。
iPod の音質はあんまり……というのが、音楽通の中での認識かと思いますが、
UI (Click Wheel とシステム) がよくできていて、使い勝手が非常によいことが使い続けてきた最大の理由。
# 余談ですが、iTunes でミュージックライブラリを管理し始めてしまい、他のツールで改めて管理するのが面倒というのもあったりします。
今回は、この iPod classic が比較のベースとなります。
■ イヤフォン・ヘッドフォン
まぁまぁな数イヤフォン・ヘッドフォンは所持していますが、全て紹介する意味はあまりないので、
今回使用する、現在主力として使用しているイヤフォン・ヘッドフォン 3 機を紹介します。
その1「SENNHEISER HD598」。
通称プリン。周波数特性 12~38,500 Hz、インピーダンス 50 Ω、音圧感度 112 dB SPL/V ≒ 99 dB SPL/mW。
その2「SHURE SE215」。
SHURE 製イヤフォンの中でもエントリーモデルのこの子。ダイナミック型ドライバ採用。
周波数特性 22~17,500 Hz、インピーダンス 17 Ω、音圧感度 107 dB SPL/mW。
今回は自作ケーブル (モガミ電線 NEGLEX 2520) でリケーブルしたものを使用しました。
その3「final heaven IV」。
今回唯一のバランスド・アーマチュア型ドライバ採用イヤフォン。
周波数特性 非公開、インピーダンス 16 Ω、音圧感度 112 dB SPL/mW。
というわけで、今回はこの 3 つを使ってレビューを進めていきます。
ハイレゾ (周波数特性 40,000 Hz 以上、量子化ビット数 16 bit 以上) 対応機器はありませんが、
個人的な意見として、人間の可聴域は 20 ~ 20,000 Hz (因みに、モスキート音が 17,000 Hz 程度) と言われているので、周波数特性が高くてもどうせ聞き取れないので意味がないというのが個人的な意見です。また、「ハイレゾ対応 = いい音」という構図は理解不能と考えています。
一方、量子化ビット数 (ダイナミックレンジ) に関しては音の幅が広がるので、意味があるかと思います。16 bit ≒ 96 dB で、人間のダイナミックレンジは約 120 dB と言われています。ただ、この恩恵を確実に受けられているかを保証できる指標は示せませんが……
ZIGSOW PREMIUM REVIEW - PIONEER XDP-300R
いつもお馴染み “開封の儀”
一番ワクワクするこの時間。早速開けていけます!
辞書のように取り出すと、内箱が登場。
こんな姿で入っているとは。
昔の iPod ってこんな感じで両開きになるパッケージだったことを思い出しました。
ついでにその時のワクワクも。 (かれこれ、10年以上前の話。)
中身をすべて取り出すとこのような感じ。
本体と Micro USB ケーブル、取説の類×3、保証書と非常にシンプル。
続けて、XDP-300R 本体を見ていきます!
まずは全面。
左下部分が斜め向きにカットされているようなデザインが特徴的。
従来機 XDP-100R から引き継がれている意匠。
そうそう、重そうに見えるけど意外に軽くてビックリしました! (カタログ値だと 200g。)
続いて XDP-300R で大きな変更があった上部。
3.5 mm 3極ヘッドホン端子に加えて、2.5 mm 4極バランスヘッドホン端子が追加。
続いて、側面。
まずは全面から向かって左側。
ボリュームコントローラと “twin dac” の彫り込みがカッコイイ。
左右それぞれの出力のために DAC (Digital to Analog Converter) が 2 機入っているそうな。贅沢な仕様です。
続いて、右。
Android 端末ではあるものの、DAP なだけあって「再生」「一時停止」「前曲送り」「次曲送り」が物理キーでついています。というか、コレなかったら私 DAP として認めませんけどね。
ポケットに入れたまま操作できることが個人的に必須なので、最低限のラインはクリア。
こだわりなのだと思うのですが、電源ボタンは少し内側に、それ以外のボタンは少し出っ張り目に配置されていて押しやすさが考慮されているようです。素晴らしい。
あと、200 GB の SDXC カードに対応したスロットが 2 つついています。
もちろん、本体ストレージにも音楽の保存は可能なので追加購入は必須ではありません。
続いて底面。
Micro USB ポートとマイク穴のみ。
最後に背面。
“Pioneer” のロゴが掘られています。
黒い部分は別材質 (樹脂?)。“XDP-300R” と “Made in China” の文字と FCC のロゴが薄っすらと入っています。
ZIGSOW PREMIUM REVIEW - PIONEER XDP-300R
バランス接続……ナニコレ +(*゜∀゜*)+
今回のレビューでは、
- 管理性
- 操作感
- 音質
の 3 項目に絞って、色々と見ていきたいと思います!
# 他に DAP に求める重要な要素が見つからなかったというだけですが。
■ 管理性
私自身、10 年来の iPod ユーザであり、iTunes ユーザ歴もおよそ 10 年 (恐らくバージョン 6 系から使っている)。
人によっては使いにくいと感じるようですが、私は使いやすい (バージョン 10 系くらいを境に使いにくくくなりましたが……w) と感じている側の人間。
これについて色々と語りだすと長くなるので省略しますが(笑)
今回の XDP-300R ですが、公式に用意されている PC からの音楽の取り込み方がいくつかあります。
- Android 標準のデータ転送機能 (MTP モード) を利用する方法
- 今回 Windows で管理しているため別途ツールは不要ですが、Mac の場合には Android File Transfer が必要になると思われます。
- 音楽データ転送ツール (X-DAP Link) を利用する方法
いずれの場合にも、(Windows の場合ですが) 「デバイス マネージャー」で正しくデバイスが認識されている必要があります。
Android 標準のデータ転送機能を使う場合には、エクスプローラ上で好きにファイルを転送できます。
世間一般的な DAP でできる方法と同じかなと思います。 (iPod ではできませんが。)
ただ、Android システムの設計上、XDP-300R ストレージ内でのデータ移動はビジー状態がほぼ間違いなく発生し、フラストレーションが溜まることがあります。 (適当に音楽データを入れて、後から整理しようと思ったら、どうにもならず、一度 PC にデータを移動して再度入れ直しました……)
もう 1 つ方法ですが、下のようなツール (X-DAP Link) を使います。
見たまんまですが、機能は非常にシンプルで音楽データの同期 (追加・削除) のみ。
下のところで XDP-300R の内部ストレージが選択されていますが、
起動時点では選択されていません。手動で指定する必要があります。
指定したストレージの色 (青・黃・赤) と同じ色の●がついている曲がそのストレージにコピーされます。この情報は XDP-300R 側でデータベース (SQLite) 管理されているようで、再度接続した場合には、既にコピーされている曲には●がつきます。その状態から●を外すと曲を削除する操作が可能です。
microSD を 2 枚刺ししてもまとめて管理できるように 3 つ選択できるように
なっている模様。
選択が完了したら、同期したいストレージの「↓」をクリックし、確認画面で OK をクリックすれば音楽がコピーされるという流れになっています。
指定ストレージの直下「xdaplink」フォルダ内にデータがコピーされます。
と、X-DAP Link の使い勝手の紹介は以上。恐ろしくシンプルです。
使っていてとりあえず音楽データの検索機能は欲しいなと感じました。
欲を言えばプレイリスト管理もしたいですが。
このあたりは今後に期待でしょうか。
また、XDP-300R 単体で e-onkyo から直接購入してダウンロードする方法が用意されています。
こういうところは抜かりないです。
面白い (?) 使い方としては、OTG (On-the-Go) 機能を使って外部ストレージのデータを再生可能なこと。
(もちろん許可を取る必要はあるかと思いますが、) 店頭にある視聴用の機器で試すのに使えるかも。
想定外の使い方かもしれませんが、Android 端末である利点を活かして「Google Play Music」や最近話題の「Spotify」などのサービスも使えますね。
ただ、そういったアプリで提供される音楽データは高音質を追求したものとはなっていないこと、謹製再生アプリで再生しないと XDP-300R の性能を最大限には生かせないと思われますが……
■ 操作性
音質ももちろん重要だと思うのですが、ストレスなく音楽を聞くために重要なのがこの「操作性」かなと思っています。
心を踊らせたり、癒やしたりするために音楽はあると思っているので、聞くまでにストレスがあっては本末転倒です。
プレイヤのモードは 2 通りから選択が可能。
実際にはこんな感じ。
できることはいずれも同じで、普通の音楽プレイやにあるものは一通り揃っている。
ファイルフォーマットと周波数が出ている辺り、さすがハイレゾ DAP って感じです。
ジャケットを見えにくく (暗く) する機能なんかもついていたりして、少し面白い。
現在再生中のトラックリストの確認や、
イコライザ機能もこの 1 画面に。しかも、このイコライザ、かなり好き勝手弄れる仕様。
色々弄りたい人には非常にいいかと思います。
とりあえずプリセットとして、Flat / Dance / Jazz / Pop / Rock / Vocal の 6 つが用意されている。
また、新たに設定を作ること (新規・プリセットのカスタマイズ) も可能。
再生中データのメタ情報も。
さらに右上の漢字の 3 のようなアイコンをタップ (または右端を左向きにフリック) するとメニューが登場。
e-onkyo へのアクセスリンクなんかもココにあります。
また、音楽を探すエクスプローラ部分はこんな感じ。
再生中の曲のアートワークが背面に出ちゃいます。
タブ項目としては
- フォルダ (ストレージを直接参照できる)
- プレイリスト
- アーティスト
- アルバム
- 曲
- ジャンル
- コンピレーション
- 作曲者
- フォーマット (MP3、AAC、FLAC、WAV などファイルフォーマット別で参照できる)
の 9 項目。
特にフォーマットっていうのがさすがハイエンド DAP という感じでしょうか。
音量調整は、XDP-300R の左側についているダイヤルで操作。
微調節は得意ですが、一度に変化させるのには向いてない。
ダイヤルを回すと画面に表示が出るので、画面で操作することも可能。
こちらであれば微調節も大胆な調節も可能。
通知領域にもちゃんと出ますが、ありきたりな Android アプリとは違って、「ループ」「シャッフル」「停止」の 3 つが用意されている。 (大抵「再生/一時停止」「前送り」「次送り」あたりが用意されている。) サイドキーで操作できない機能を載せたという感じに仕上がっています。
因みに、ロック画面も同じ。
大雑把に言ってしまえば、Android アプリでありがちな音楽プレイヤという感じ。 (イコライザは作り込まれてる感があるが。)
たまに挙動が怪しい (反応がワンテンポ遅れたり、通知領域の表示が更新されなかったり) することがあります。
より具体的には、物理キーは全く問題ないのですが、ソフトウェアキーの方。曲を飛ばそうと「次送り」をタップするも、「あれ、押せてないのかな?」と思ってもう 1 回押すと結果的に 2 曲飛ばす動作になってしまうことがちょくちょく。
統計情報 (再生回数とか、総再生時間とか) 見れたら面白いのになと (XDP-300R を使う前からですが) 思っているのですが、どうでしょうか(笑)
■ 音質
一番この XDP-300R で重要な点はココでしょうかね。
音質というのは、人によって感じ方が違いますし、使っている機器によっても雰囲気が変わってしまうので、非常にレビューしにくいのですが、私の感じたものをありのまま書きたいと思います。
今回、音源として、
- MP3 (MPEG-1 Audio Layer-3)
非可逆圧縮 (Lossy)。ビットレートは様々なものを視聴。 - AAC (Advanced Audio Coding)
非可逆圧縮 (Lossy)。ビットレートは様々なものを視聴。 - ALAC (Apple Lossless Audio Codec)
可逆圧縮 (Lossless)。全て iTunes でインポートしたもの。 - FLAC (Free Lossless Audio Codec)
可逆圧縮 (Lossless)。mora で無料公開されているハイレゾ音源として、CM でおなじみの【 Xperia「VOICES」】などを使用。 - WAV (RIFF waveform Audio Format)
無圧縮。今回はハイレゾ音源 - DSF (Direct Stream Digital Stream File)
e-onkyo で無料公開されている【 マーラー:交響曲 第1番 「巨人」 第3楽章 (DSF 2.8MHz/1bit) 】を使用。
を用意。
MP3、AAC、ALAC はこれまでも iPod で聴いてきた音源。今まで蓄えてきた音楽資産も十分に活かせてなんぼだと思うので。
また、視聴は上の方で掲げた
- SENNHEISER HD598 (+ 付属 3 m ケーブル)
- SHURE SE215 (+ 自作 MMCX ケーブル)
- final heaven VI
の 3 本。
視聴した音楽のジャンルは大半が J-Pop or アニソン。Jazz とか Classic とかはほんの一部。
どの曲も全体的にクリアな (特に静かな場面で邪魔するノイズが少ない) 印象で、普通にいい感じ。
しかしながら、劇的に変わったなという感じがない……
「コレはヤバい、レビューとして締まらない……」 (←心の声)
……というわけで、一か八か (?)、当初取り組む予定のなかった「バランス接続」を試してみることに。
幸い (?) 今回使用した
- SENNHEISER HD598
- SHURE SE215
のいずれもリケーブル可能。
で、どちらをやるか色々と悩みつつ、最終的に HD598 の方をバランス化することに決定。
# 接続形態的に確実にバランス化できそうなのは SE215 であったが、HD598 も内部的にバランス化するメリットのある構造となっている情報を得たので、より効果が出そうな HD598 で実行した形。
バランスケーブル自体販売もされているはずですが、(お財布事情的に) サクッと制作。
そして、繋いで、早速聴いてみた。
バランス接続対応機器を他に持っていないのにレビューのためだけに
作ったとか我ながらバカですねー
聴いてみた感想としては、
- 音の空間が広くなった
- 曇りが晴れやすくなった
- 歯切れの良さ、力強さが増して、気持ちのよいサウンドになった
という点は感じられました。
また、XDP-300R にはバランス出力にも 2 つのモードが用意されており、初期設定だと Balanced モード。
- Balanced
- A.C.G. (Active Control Grand)
A.C.G. の方はオンキョー謹製。グランドを安定化させることで音を安定化させるモノだそう。
Balanced の方が元気があり、A.C.G. はスーッと溶け込むようなクリアさを感じる。
どちらがいいと選び難い!
もちろん、音源によって (※ハイレゾかは関係ない) 差はありますが、それなりにどんな音源でもメリットは得られると感じています。
というか、XDP-300R を使うなら、バランス接続しないともったいないです。
ZIGSOW PREMIUM REVIEW - PIONEER XDP-300R
深くて探りきれなかったが、XDP-300R の良さも垣間見えた
約 1 週間のレビュー期間で、十分に XDP-300R の実力を味わうことができたかと言われると微妙なところです。 (レビューからもそんな感じが漂っているかなと思います。)
こういったプレイヤを購入される方々は、私と違って耳が肥えている方々だと思うので、量販品のような耳を持っている私が感じている以上に違いを感じられるのではないかと感じています。
実売価格 6 万円に見合うかどうかは、結局のところ使ってみてという形にならざるを得ないかと。
個人的な意見としては、まだ手を出さなくてもいいかなと思いました。 (懐が暖かければ買おうかなと思いましたが。)
レビューと直接関係なく、オンキョーさんへのリクエストになってしまいますが、
個人的には店舗での視聴では判断しにくいと思っているので、
XDP-300R をレンタル視聴できたら、満足して購入できるのかなと思ったりもしました。
# 世の中には、イヤフォンレンタル (final さんがやっています) なるものがあるので。
ポータブルな DAP で結構重要なバッテリの問題については、今まで使っていた iPod classic が公称 36 時間とやたらとタフなやつだったので、それに比べると充電が割りと必要かなと感じました。
とりあえず仕事の行き帰りとかに聞くだけなら数日は持つかなという感じです。
また、ホールドスイッチが欲しいなと思うことがたまに。
ポケットにしまいこんだりした時に、ボリュームが少し変わってしまったり、押すつもりのなかったボタンを押してしまったりがあったので。
ただ、ハイエンド DAP でも Walkman シリーズくらいしか付いていない気もするので、世間一般的には要らないのかもしれません。
というわけで、XDP-300R のレビューは以上!
ZIGSOW PREMIUM REVIEW - PIONEER XDP-300R
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