今回のレビューは、
HDD大手のWD製ポータブル外付けHDD「My Passport for Mac」
Parallels製の仮想化ソフト「Parallels Desktop for Mac Pro Edition」
です
今回の検証環境は以下のとおりです。
Macbook Pro 2012 mid
毎度のことですが、内部にはかなり手を入れていて
・RAM:16GB
・240GBのSSDを2枚
・OSX 10.9.5
となっています。
高速性を最優先に考えたカスタマイズですが、容量不足気味なのでWindoesなどで仮想化が必要なときはその都度SSDの中身をバックアップしたり、高速な据え置きの外付けHDDにインストールしていました。
今回は持ち出し環境として、My Passport for MacにWindows等のOSを入れての検証を行っていきます。
My Passport for Macとは
My Passport for MacはHDD最大手のWestan Digital社のMac向けポータブルストレージです。
2.5インチのHDDを内蔵していますが、HDD製造メーカーならではの特殊仕様HDDで、通常SATA端子がある部分に直接USB3.0 MicroBを結線する事で他に類を見ないほど小型化したポータブルHDDです。
Macでの使用を前提に出荷時のファイルシステムをHFS+とし、TimeMachineへの公式対応やハードウェア暗号化が実装されているため、使用時速度を落とさずにセキュリティを向上させることができます。
今回は1TBモデルを使ってのレビューです
左:My Passport for Mac 1TB
右:My Passport Essential 1TB(旧モデル)
重ねると、My Passport for Mac はEssentialモデルよりわずかに薄くなっているのがわかります。
2.5インチHDDとの比較
比較対象はiPhone 6
BlackMagic Disk Speed Testによる計測です。2.5インチですのでこんな物でしょう。
Parallels Desktop for Mac Proとは
続いて、今回のレビューの要となるParallels Desktop for Mac Proです。
ParallelsシリーズはMacでの仮想化ソフトとしてVMwareと双璧をなすソフトで、現在バージョン11までナンバリングの進んだ名門ソフトです。
今回検証したPro Editionは、今バージョンから追加されたもので、通常版に加えて以下の特徴があります。(Parallels.comより引用)
・無料の Parallels Access(本来は 2,000 円/年)
・各VMで使用可能なリソース 64GB vRAM / 16 vCPU
・Microsoft Visual Studio プラグイン
・Docker、Vagrant、Jenkins、Chef などの一般的な開発、設計、テストツールのサポート
・高度なネットワークツール
・ビジネスクラウドサービスのサポート
機能を見て分かるように、個人の開発者やテスターにとってうれしい機能が色々と追加されています。
仕事で大人数で使いたい場合には、Parallels Accessの特典の代わりにライセンスの管理や仮想マシンの管理がしやすいBusiness Editionがいいでしょう。
鞄に放り込んで、必要なときに必要なだけ
Parallelsのインストールから見ていきます
Parallels Desktop for Mac Pro はBOX版ですが、ディスク等はなく、DL用のリンクとライセンスが書かれた紙が入っているだけです(Parallelsのステッカーも入っていました)
まずはParallels本体をDLします
DL後、展開するとインストール.appがあるので実行します。
おきまりのライセンス条項ですが、きちんと読みましょう
途中、Parallelsへの登録が必要になります。
facebookでのソーシャルログインができました。
今回のレビューからは外れますが、ソーシャルログインは便利ですね。何個もパスワードとユーザ名と覚えておかなくともよいのですから。
アクティベーションキーの入力が終わればあとはもう待つのみです。
インストール、自動起動します。
分かりやすくて良いですね。今回はまずWindows8をインストールなので画面上段中央から
今回は主な用途ではソフトウェア開発を試してみました。
インストールはおよそ40分ほど必要でした。
共有設定は簡単に
OSXと仮想マシンとの共有は基本的な部分は自動的にされています。
デスクトップもOSXのものが共有されています。
VirtualBox等ではこうもいかないのでありがたいです。
注意が必要なのは、どうもParallelsがインストールされているドライブ(大抵Sysytemディスク)しか初期状態では共有されていない事。
特に他に内蔵ディスクがある場合はやっかいですのでSystemディスク上にリンクを張っておくと良いでしょう。
外付けHDDやNASはMacからアクセスすれば自動的にWindowsでも共有されてアクセスできます
CoherenceモードではWindows上のアプリが、あたかもOSXネイティブアプリなのかのように扱えます。
さらっと使っていく上では初期状態で全く問題ないでしょう。
開発者としてみるParallels
私は普段の開発(C、Java、JavaScript、R等)はMac上で行っています。
ですが、どうしてもC#が必要なこともありますし、複数の環境での動作確認が必要な場合がほとんどです。
Parallels Desktop for Mac Proではサスペンドからのレジュームが速かったので(Windows8.1で20秒程度)、必要に応じてサスペンドとレジュームを繰り返して動作チェックを行うのに都合が良さそうです。
Visual Studio 2015 Communityを用いてMacで製作したWebアプリを読み込んでコーディングを続けて問題有りませんでした。
ノマド民も納得の省電力機能
Parallels Desktop 11では省電力モードとしてトラベルモードが搭載されました。
実際に〆切前に某喫茶店でMacで開発、Windowsでも動作確認をしてみましたが仮想化なしと比べてほとんどバッテリの持ち時間は変わりませんでした。
Web検証ならこれでしょう。ModernIE。
さまざまなバージョンのInternet Explorerのチェックを行えます。
もちろんParallelsに統合されているため簡単にダウンロードからインストールまで終わります。
リアルタイムな処理は苦手かも
今回の比較対象は
です。
OSはWIndows8.1です。
検証アプリは以下の通りです
・FL Studio11(音楽製作)
・東方紅魔郷(弾幕STG)
・Photoshop Elements 9(写真編集)
・FL Studio11
FL Studioでの検証は主に、リアルタイムに音声を何十にも重ねてどこまでいけるかという計画でした。
NUC5i5RYK(RAM:8GB)では44.1kHz 16Bitで32トラックの音声を同時再生が確認できました。
一方、Parallelsでは・・・
早早に4トラックで処理落ちしました
とはいっても、かつて低スペックPCで製作していた頃のように、ノイズがのったり遅延したりではなく、サンプル抜けに近い状態でした。MIDI鍵盤からリアルタイムでならしてみてもたまに数フレーム分飛ぶような感覚です。
念のため、別のソフトで状況確認してみした。
・東方紅魔郷
弾幕シューティングとして知られる、東方シリーズの中でWindowsで動くもの(所謂「新作」)としては最古のものです。
WindowsXPの当時でさえ特に問題なく遊べていたゲームですので、スペックが足りないということは無いでしょう。
なぜこのゲームかというと、画面に常にfps(1秒あたりの処理フレーム数)が出るため、処理落ちしているかどうかすぐにわかるのです。
結論から言うと、どうもリアルタイム処理には難があるようです。
画面上のfps数は60にほぼ張り付いているのに、操作していると明らかに遅延があります(落ち方からすると5フレーム前後)
設定次第かもしかすると外付けHDDから読み出しているからかもしれませんが、リアルタイム処理を行うのは難しいのかも知れません。もう少し設定を詰めて確認したいです。
・Photoshop Elements 9
比較としてPhotoshop Elements9でのバッチ処理(大量のファイルを逐次処理)にかかる時間を計測・比較しました。
測定条件は以下の通りです。
・ニコンのRAW画像である.nef画像(16MP)100枚を最低圧縮の.jpgに変換
NUC5i5RYKでは以前行っていた計測値を使いました。
以下が結果です
・Parallels ・・・ 226秒
・NUC5i5RYK ・・・ 260秒
較的大きなデータを時間をかけて処理する用途には問題なさそうです
付属アプリ
My Passport for Mac には以下の二つのアプリがバンドルされています。
・WD Drive Utilities
・WD Security
WD SecurityではKeychainを使って登録したMacではパスワード入力を省略できます。
普段の使い勝手を損なわずにセキュリティを上げることが出来るのはポイント高いです。
WD Drive Utilityでは、ドライブの状態を確認したりドライブの電源管理・フォーマット、そしてドライブの登録ができます。
今回は、仮想環境持ち出し用としてMy Passport for Macを見てみましたが、USB3.0の恩恵かParallels Desktop for Mac Proと組み合わせて、十分開発に耐えうることが確認できました。
HDD単体として見ても、さすがはWDと言ったところで、基本機能をしっかり抑えた上でハードウェア暗号化で持ち歩き用としてかなりの完成度です。
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