レビューメディア「ジグソー」

銅製ヒートシンクに水槽用ポンプで氷冷水をガンガン流してみた

苦戦しました。難しい ^^;
そして今、石もマザーも逝ってしまった orz
養生が甘かった。
結論としては、冷却ももちろん大事だけど、もともと低電圧で動作する石かどうかが決め手だと思う。頂いた4790Kはナントカ5.0GHzで5分のストレステストに耐えました。
ビアタンブラーとライデンフロスト現象についても。

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◆検証システム◆

ビアタンブラーに液体窒素(重しに使ってるのは銅製ヒートシンク)
ビアタンブラーに液体窒素(重しに使ってるのは銅製ヒートシンク)

 

銅製ヒートシンクと水槽用ポンプで水冷システム
銅製ヒートシンクと水槽用ポンプで水冷システム

 

ASRockのマイクロATX Z97M OC Formula
ASRockのマイクロATX Z97M OC Formula



◆CPU倍率49 X BCLK 100MHz動作◆

水冷システムでは4.9GHzが限界だった
水冷システムでは4.9GHzが限界だった

 

1コア1スレッドなので
1コア1スレッドなので



◆カワソーテクセルの銅製ヒートシンクHS-C60◆

かっこいい
かっこいい




◆参考にしたサイト◆

オーバークロッキングスタディ:空冷からドライアイス、液体窒素まで比較

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目次

1.オーバークロックで大事なことについて素人の考察
2.オーバークロックの手順
3.水の熱伝導率と水冷システムの効率について
4.銅製ビアタンブラーで小手調べ
5.カワソーテクセルの銅製ヒートシンクと氷冷水


1.オーバークロックで大事なことについて素人の考察

始める前は、なんとなく、冷却が一番大事だと思ってました。間違ってた、マジで。回る石というのは、結局(始めから)低電圧で高クロック動作する。低電圧で動くので発熱も少ない。逆に電圧を盛らないと高クロック動作しない石は、いくら電圧を上げても今度は熱のせいで不安定になってしまい、結局動かない。

クロック倍率を上げると、まずBIOSとWindowsは立ち上がるけどストレステストで動作不安定になる。次にWindowsのデスクトップが表示されたところでブルースクリーンが表示されるようになり、もっと上げると今度は「ようこそ」画面でフリーズ、そしてBIOSも動作不安定になる。つまり、BIOSとWindowsが立ち上がるかどうかが、最初の判断材料になる。

ここで、BIOSやWindowsが立ち上がらなくなる時点ではまだ負荷を掛けている訳ではないので、CPUの温度は危険域には達していない。つまり、熱(冷却)の問題ではなく、別の理由で動作不安定になっていると考えられる。この限界を超えるために電圧を盛るんだけど、盛りすぎると今度はWindowsの立ち上げ処理の段階で熱暴走するようになるので、その中間値を手探りで見つけるということになる。


2.オーバークロックの手順

以上を踏まえて、自分なりに到達したオーバークロックの手順。

(1)冷却は始めから最大にしておく
(2)動作コア数を1、ハイパースレッディングをオフにする
(3)VCOREを(いきなりですが)許容範囲で最大値にする(OC記録保持者を参考)
(4)CPU倍率とCPUキャッシュ倍率をOverrideモードで40から少しずつ上げて行き、BIOSとWindowsが立ち上がるけど、ストレステストでフリーズするところまで続ける
(5)フリーズしない倍率に戻し、今度はVCOREを少しずつ下げて行き、ストレステストでフリーズするまで続ける
(6)フリーズしないVCOREの最低値に戻し、動作コア数を2またはそれ以上に増やして、VCOREを少しずつ上げて行くまたはCPU倍率とCPUキャッシュ倍率を少しずつ下げて行き、動作する条件を見つける
(7)最終的にシングルコアまたはマルチコアでそれぞれ最大クロックになる条件のベンチマークを取る

メモ
・VCOREとCPU倍率以外はすべてAuto設定
・4790KのVCORE最大値の目安は1.73V(VCCINはAuto)
・Intel Extreme Tuning Utilityはストレステストとベンチマークが出来て、温度と動作クロックの時間経過が表示される
・いろいろな設定はBIOSで行う
・BIOSのCPU倍率設定でAllにすると反映されないのでPerコアで1つずつ設定する必要がある


3.水の熱伝導率と水冷システムの効率について

水はユニークな性質を持つ液体で、熱伝導率も液体の中では非常に高く、エタノールの約3倍ある。熱の伝わりやすさは、この熱伝導率と2つの物質の温度差に比例するから、同じ温度ならエタノールより水のほうが熱を逃しやすい。しかし、エタノールはドライアイスで-80℃まで冷やすことが出来るので、エタノール・ドライアイス(CPUとの温度差160℃)と室温付近の水(CPUとの温度差55℃)の冷却性能はほぼ互角になるはず。氷水を使うか不凍液を氷点下に冷やせば、もっと良くなる。

冷却性能において冷媒より重要なのは、実は冷却ヘッドなんだということを、今回思い知らされた(後述ビアタンブラー)。この点で、市販の一体型水冷システムは氷水が使えないし、循環ポンプも心もとない。そこで探したらありましたヽ(`▽´)/ カワソーテクセルというメーカーが作っている銅製ヒートシンク。今回のレビューはこのヒートシンクの冷却性能の検証がメインです。

熱伝導率と温度差の積(熱の伝わり安さ)
熱伝導率と温度差の積(熱の伝わり安さ)




4.銅製ビアタンブラーで小手調べ

カワソーテクセルのヒートシンクが8月にならないと納品されないので、同じく銅製のビアタンブラーでやってみました液体窒素、いきなり。システムは以下の通り。

・マザーボード:Z97M OC Formula (ASRock)
・CPU: Core i7-4790K (Intel)
・メモリ:DDR3-1600 4GB x 2 Vengeance (Corsair)
・SSD:Plextor PX256-M3P
・電源:サイズ KAMARIKI rev.B 380W
・PCケース:ダンボール箱
・CPUクーラー:銅製タンブラー

敢えてマイクロATXマザーを選んだのは、Haswellになって電源コントローラが内蔵されたお陰でマザー側の電源回路設計の負担が減っているはずで、マイクロATXの8フェーズでも十分だろうと考えたから。でも、考えが甘かったかも知れない。

銅製タンブラーは500ml。そのままだと周りに恐ろしい霜が付いてしまうので、発泡スチロールの箱から丸い穴をくりぬいて保温できるようにした。

ビアタンブラーと発泡スチロールのジャケット
ビアタンブラーと発泡スチロールのジャケット

 

冷えない極冷タンブラー
冷えない極冷タンブラー


結果は、氷水を入れても液体窒素を入れても、ちょっと負荷を掛けるとあっという間に100℃になってしまう使い物にならない冷却器だった。インテルETUの温度経過を見ると分かるけど、負荷を止めてから温度が下がるのに結構時間が掛かっている。つまり熱伝達の効率が非常に悪い。銅なのに?この結果から推察できるのは、CPUの表面から効率的に熱を逃すには冷却ヘッドの構造が非常に重要で、銅でしかも一定の熱容量が必要なんだと思う。また、液体窒素でも4790Kは5GHzの壁を超えることはなかった。

※ビアタンブラーと液体窒素の冷却効率がお粗末だった理由について考察

(SNOWパンダさんのヒントから)ライデンフロストという、沸騰した液体が固体表面に薄い気体の膜を作って熱が伝わりにくくなる現象じゃないかと。CPU表面の80℃から銅を介して液体窒素の−196℃まで温度勾配が出来るわけだけど、銅が薄いと液体窒素に接する表面が−196℃にならず、液体窒素が気化してしまう。銅に厚みがあると液体窒素に接する面が-196℃になり液体窒素が気化しない。銅の熱伝導率から、どれくらいの厚みがあれば表面が-196℃になるか計算できると思う。

ビアタンブラー失敗の原因?
ビアタンブラー失敗の原因?



5.カワソーテクセルの銅製ヒートシンクと氷冷水

OCにおける大量の熱を逃がすには、熱伝導率の高い冷却ヘッドとこれを常に一定の温度に保つ冷却システムが必要だ。いろいろ探した結果、カワソーテクセルというメーカーが碍子製造から技術応用して特殊ヒートシンクを作っているのを見つけ、アルミ製、ステンレス製、銅製の中からもちろん一番熱伝導率が高い銅製を注文した。

特殊ヒートシンクを作るメーカーが
特殊ヒートシンクを作るメーカーが


6cmx6cmの銅の塊で、ズシッと重い。手元の計量器は振りきれて重さが量れなかった。接触面の精度にこだわっている上、企業秘密の流路設計で均一に冷やすらしい。これに、分速16リットルという、水族館でよく使われているポンプを使って、20リットルのポリタンクに入れた大量の氷水を流してやることにした。

REI-SEA製RMD-151ポンプ
REI-SEA製RMD-151ポンプ

 

配管部材はほとんどアートの世界
配管部材はほとんどアートの世界

 

ポリタンク
ポリタンク


実は、ポンプやヒートシンクとホースをつなぐ部材を探すのにも時間がかかった。万が一漏れたらホントに困るし。ポンプに付いてきたユニオンソケットは、接着剤を使って樹脂製パイプなどに接続する規格のようで、ここにホースを直接つなげられない。結局、配管.comという水道屋御用達のサイトでナット付きニップルなるものを見つけ、ヒートシンクの接続口径に合うシリコンチューブをねじ込むことが出来た。冷却水のタンクは、ホームセンターで売ってた20リットルのポリタンク。蓋に穴をあけてホースをねじ込んだ。

タンクに水と氷を半々くらいに入れて循環させると、CPUの温度は負荷を掛けない状態で10℃前後になった。このシステムで、Windowsが立ち上がり、インテルETUの負荷テストが5分間動くのが、1コア1スレッドで4.9GHzがmaxだった。空冷ではそもそも4.9GHzで動作しないので、水冷システムと空冷の冷却効率の正確な違いはもっとCPU倍率を落とした同一条件で比べてみる必要がある。

ということで、結露のために逝ってしまう直前のスナップショット。

5.0GHzでストレステストの最中に逝った
5.0GHzでストレステストの最中に逝った
養生はしていたけど、養生テープの下にも結露した
養生はしていたけど、養生テープの下にも結露した


確か、CPU倍率とCPU Cache倍率がX50、VCOREが1.60V、VRINGが1.50V, VCCINが2.0Vだったと思う。やっと5GHzで動作する条件を見つけたところだったのに。無念。コア電圧1.6Vでストレステスト中も温度は60℃台で推移していた(2コア2スレッド)。1.62Vに盛ると5.1GHzで動作するけど、ストレステスト中に落ちる。

5.1GHzでも
5.1GHzでも



カワソーテクセルの銅製ヒートシンクの性能がどれほどのものか客観的なデータが欲しかったので、Core i5-2500KをASUS P8Z68-M PROで4.2GHz(定格3.7GHz)にOCしたもの(4コア4スレッド動作)をIntel純正クーラーと比較してみた。

上が銅製ヒートシンク、下がIntelクーラー
上が銅製ヒートシンク、下がIntelクーラー

緑線がCPU温度で、Intelクーラーだとアイドル時40℃、負荷時96℃、カワソーテクセルのヒートシンク(氷冷水を循環)だとアイドル時9℃、負荷時37℃になった。安いシルバーグリス(valuewave製、8.2 W/m.k)なので、もっといいグリスを使えばもう少し下がるかも知れない。

冷却性能は負荷をかけるベンチマークでは必須だけど、今回の4790Kが5GHzの壁で詰まってしまったのが冷却とどれくらい密接に関係しているかは良く分からない。高クロックで立ち上げた時に、例えばCPU温度が60℃くらいでも動作が不安定になったから。これがこの石の限界じゃないかなと思う。



謝辞

最新のCPUをレビューさせて頂き、ZIGSOW様、関係者のみなさまにお礼申し上げます。また、不手際で完全なベンチマークのご報告ができなくなり、申し訳ありませんでした。ヒートシンクを入手してから配管部材を集めたり、大量の氷を用意したり、時間が足りなかったことも遠因かなと思います。しかし、非常に高性能でしかもほとんど音のしない水冷システムが手に入ったのはうれしいです。

コメント (6)

  • SNOWパンダさん

    2014/08/07

    レビューお疲れ様です。
    ビアタンブラーだとCPUのヒートシンクた接してる部分の厚みが無い為に
    マイナス以下を保てないんだと思います。
    もっと厚みが有る銅製ポットだと上手くいく気がします。
  • sorrowさん

    2014/08/07

    SNOWパンダさん
    コメント有難うございます。ポットですか。4790Kは逝ってしまいましたが、いろんなモノを試してみるのは面白そうですね。市販の液体窒素用ポットの底を見ると結構厚みのある作りになってるので、直接ビアタンブラーを置くより銅製ヒートシンクの上にビアタンブラーを乗せた方がいいかなとか考えていました。
  • harmankardonさん

    2014/08/08

    お疲れ様です.

    レイシーのマグネットポンプで,冷却水を大量に流すアイデアは全く思いつきませんでした.ユニオンの変換が面倒ですが,使えますね.

    でも,中途半端な結果で,残念でした.
    難しいですね.
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