レビューメディア「ジグソー」

高級インナーイヤー・ヘッドフォンは「ビンテージの白」が良い

 ●Audioflyについて

 

Audioflyは「世界で一番美しい都市」オーストラリアのパースを拠点に、ブランドのファウンダーであり、現CEOのDave Thompson氏が2009年、音楽好きの仲間と一緒に立ち上げた新鋭イヤホンブランド。

 

「Audiofly」のコンセプトは、ミュージシャンの奏でる音をリスペクトし、忠実に再現すること。

 

 

●レビュアー応募の動機

 

「カナル型」と聞いて、すぐに飛び付いた…。

 

「カナル型」は「耳栓型」と言い換えれば、もっと分かり易い。

 

マニアの間では「カナル型」は「装着に違和感がある」、あるいは「低音が良く響いて良い」「遮音性にすぐれている」などと賛否両論の意見がある。

 

しかし、個人的には、以前、「国産メーカーのカナル型イヤホン」を好んで使っていた事もあるので全く違和感が無い。

 

なぜ、「以前使っていた」のに「今は使っていないのか」と言うと、以前の有名メーカーのイヤホンは壊れてしまい、買いに行くのが面倒だったから新調していないだけ。

 

壊れた原因も、ユーザー側から言わせて貰うと「設計ミス」だった。

 

だから、「そのメーカーのイヤホン」はもう使いたくない。

 

それと、最近は、音楽はもっぱら家でスピーカーで聴く事に慣れてしまい、余り「ヘッドフォン」や「イヤホン」を使わなくなってしまったからだ。

 

たまに使う事になっても、一応、スマホに付属のイヤホンでも使えないことはないから…。

 

ただ、いつも、「出来れば外出の時は、あれば良いのに…」と感じていた。

 

アウトドアでも使える「折り畳み式ヘッドフォン」も持っているのだが、やっぱり「オーバーヘッド型」は大きくて邪魔。

 

●レビュー対象品について

 

Audiofly製品の輸入発売元「タイムロード」は去年開催された「春のヘッドホン祭 2013」の会場で、新たに取り扱いを始めた「Audiofly」からCEOのDave Thompson氏を招き、製品説明会を開催した。

 

自身ジャズやフュージョンを中心としたジャンルのギタリストとしても活躍するDave Thompson氏は、「音楽を楽しむためのイヤホンを作ろう」と一念発起し、2009年にオー ストラリアのパースを拠点にAudioflyのブランドを創立。

 

わずか3年の間に米国のグループ会社をも立ち上げた。

 

そして、去年、「2013 International CES」で発表した「AF78」が関係方面から高い評価を受けた。
 

そして、タイムロードを通じてカナル型イヤホンのラインナップから、「AF78」「AF56」「AF45」「AF33」の4機種が日本で発売された。

 

全てのモデルにマイクコントローラー搭載/非搭載モデルの2種類がある。

 

エントリーモデルの「AF33」(実売価格3500円前後)は、9mmのダイナミック型ドライバーを採用。

 

次に「AF45」(実売価格7000円前後)は11mmのダイナミックドライバーを採用し、「ナチュラルで忠実な再現性」を狙っている。

 

一つ飛ばすが、フラグシップモデルの「AF78」(実売価格2万4000円前後)はBAドライバーと9mmダイナミックドライバーのハイブリッド構造を採用するモデル。

 

スピーディーで高精度な再現が可能なBAドライバーと、暖かく量感に満ちた中低域を再生できるダイナミックドライバーを組み合わせる事で豊かな音楽再現性を実現させた。
 

そして、下から3番目、上から2番目のモデルが今回のレビュー対象品「AF56シリーズ」。

 

その中でも最高級の「Vintage White(マイクロフォン付き)」だ。

 

Audiofly製品としては最大の13mmと言う大型ドライバーを採用。

 

全域でクリアかつ、「パワフルな低音」を目指している。

 

実売価格は1万4000円前後と予想される。



●期待

 

iPhone5Sと組み合わせて使用する場合、色のデザイン・マッチングは良いのではないか。

 

好みにもよると思うが、「黒のスマホに黒のヘッドフォン」は「重過ぎる」と思う。

 

もちろん、「白のiPhone」にもピッタリだ。

 

白は清潔感があり、若い女性にも人気になるのではないだろうか? 

 

 

AF56の使用で、「ただのスマホ」が「高級AUDIO装置」に変身する!(かも知れない…)

 

もっとも、まだ使った訳ではない。

 

これから実際に使って見て、不満な所があれば「はっきり」と指摘し、優れた所があれば認めたい。

 

必要があれば、「レビュアーからの提案」なども積極的にして行きたい。

 

果たして、 Audiofly AF56 Vintage Whiteの実力やいかに?

更新: 2017/07/01
あなたの日常生活で Audiofly AF56 を楽しむ PREMIUM REVIEW

日常生活でAudiofly AF56 を楽しむ

 

 

「レビュアー選出」の連絡前から事前準備がてらに書き綴っていたが、気が付くと「いかに音楽を高品質で聴くか」ばかりを延々と熱く語り続けている自分が居た。

 

「エンコード時のレートがどうだこうだ」、「イコライザーは使っちゃだめだ」に始まり、「そもそも、ダイナミック型とBA型(バランスド・アーマチュア型)の違いは…」などなど。

 

しかし、今回の製品は「iPhone」などのスマホのユーザーを標準的ターゲットとしている様だし、そもそも、ユーザーの半分は女性。

 

だから、余りマニアックな事を延々と語っても毛嫌いされるだけだ。

 

むしろ、「今あるスマホでいかに良い音で聴くか」に絞って書いて見たいと思う。

 

 

●外観

 

「使用感想」の前に、「外観」についての意見。初めて知った時から、Vintage Whiteの言葉には強く魅かれていた。

 

しかし、実際に手に取って見ると「それほどの高級感」は感じられない。

多少、期待が大き過ぎたのかも知れない…。

 

 

 

コードの材質は、丈夫さにウェイトを置いたAudioFlex採用のためやや固い。

 

色も、知らない人は「汚れているのかな?」と感じてしまう。

 

失礼だが、千円くらいの安物の「白いイヤホン」の方がよっぽどスマートに見える。

(分かる人が見れば、すぐに「これは高級品だ!」と分かるのだろうが…)

 

  

収納用の缶も「Vintage」と言う言葉のイメージとはほど遠い。

 

ベルベット仕上」も、さほど「高級感」は感じられない。

 

やはり、「高級品」は「焼印を押した桐の箱」に収めるべきだったのではないだろうか?

 

ただ、これは「コストをどこにより多く掛けるか」と言う問いに対するAudioflyの答えだと思うので、ここは敢えて「これ以上の突っ込み」は入れないで置く。

 

外観は「これで良い」と思う。

 

 

●使用しての感想
 

この製品のレビュアーになれたら、一番初めに聴きたい楽曲があった。

 

昔から良く聞いているペルーが生んだ奇跡の歌声で名高い「タニア・リベルタ」の歌だ。
 

タニア・リベルタ(Tania Libertad)と言えば、「アルフォンシーナと海(Alfonsina y el mar)」や「ふたりの天使(Para una sola voz)」などがとても有名だ。

 

ラテンの複音弦楽器チャランゴや打楽器のコンガ、ギロなど賑やかな伴奏の物もあれば、カホン(Cajon)と言うどう見ても「ただの木の箱」にしか見えない原始的楽器だけの伴奏による、ほとんどアカペラに近い曲もある。
 

これから皆さんにも一緒に鑑賞して欲しい曲は、「Alejandro Filio-n secreto a voces( Alejandro Filio y Tania Libertad)」から「SIN LA LUNA por Tania Libertad」と言う曲だ。

 

この曲も、伴奏は弦楽器一本だ。

 

AF56を使わなくとも、楽譜には無い、楽器の弦を引っ掻く音がはっきりと聴こえて来ると思う。

 

 

とても美しい詩とメロディーだ。

詩の内容が「ギターの弾き語りの形」になっているので、シンプルな伴奏はこの曲にピッタリだ。

詩の意味だが、ネット上では著作権なども煩く、頁に誘導しただけでも喜ばれるのでなくて嫌がられる場合さえある。

従って、ここには「いい加減な私の訳」も載せないし、「訳詩を発表しているサイト」も記さない。

興味のある方は是非、自身で検索して探して見て欲しい。

決して「いやらしい詩」ではなく、純粋に「エロス」を感じるとても美しい恋の詩だ。
 
タニア自身によるYoutubeの動画「
SIN LA LUNA」は、現在は「公開中止」になっている様だ。

ここにUPしたものは代わりに芸術的な映像を使っていてはっきり言って面白くない。

しかし、「録音」の方は、いつも聴いている物と同じで「音質」もまずまずだ。

これを目をつぶってVF56で聴くと、演奏者の目の前に立って聴いているのかと錯覚してしまう臨場感がある。

タニアの息遣いの1つ1つさえも感じられる…。
 
この曲やタニア・リベルタに興味のある方は、タニア自身のFacebookページがあるので、ぜひ、そこへアクセスして見て欲しい。

ゆっくり探すと「
SIN LA LUNA」も「オーケストラバックのライブバージョン」があり、音質もさらに良く、映像もタニア自身なので楽しめる。

何よりも微笑ましいのは、タニアの「プロフィール画像」。

15歳のアイドル・デビュー当時の画像がお気に入りで、未だに使い続けている事。

タニアも可愛い「永遠の美少女」なのだ。


(左はタニアとマンサネーロ、右がPanchosのアルバムのジャケット)

 

ロス・パンチョス(Los Panchosまたは、Trío los Panchos)、ホセ・フェリシアーノ(José Feliciano )など、ラテンの有名歌手とも多数共演しているタニア。

中でも、同じくラテンの作曲家としても歌手としても活躍している「アルマンド・マンサネーロ(Armando Manzanero)」との共演もすばらしい。

一番気に入っているのが、「Somos Novios/Contigo Aprendi」(4:21)だ。 

「Somos Novios/Contigo Aprendi」のyoutube動画もUPしておく。「尺」が若干違うのは、同じ曲でも様々なバージョンがあるからだ。
 

 

この曲は、「Duo Con Armando Manzanero 」と言うアルバムの中の一曲だ。

いかにもLive版らしく、タニアとマンサネーロが掛け合いで別々の曲を同時に歌ってそれが綺麗なハーモニーになると言う、この二人ならではのピッタリ息の合った「秀逸な曲」だ。

Somos Noviosの意味はなかなかうまく訳せない。

「We are fiance」と訳すのだと誰かから聞いた事がある。

そう言えば、英語のタイトルは「It's in possible」("impossible”ではない!)だから、「私たちは婚約者同士、だから、可能さ!」となるのだと思う。

いずれにしても「恋人同士の愛の歌」だ。

ネット上にはとんでもない誤訳があるから思わず吹き出してしまう。

もう1つのContigo Aprendiのタイトルの意味は「貴方から幸せに生きることを学んだ」とでも訳したら良いか?

切なく、やるせない恋の歌。

この2つの曲はそれぞれ別の曲で、どちらも、タニア、マンサネーロ共に一人でも歌っているラテンのスタンダード・ナンバーだ。

マンサネーロの鼻息はどの曲でも聴けるから、特別珍しい物でも無い。

彼の歌を聴くといつもその「生命力」と言うのか「生きる力」を感じる。

ヘッドフォンのエージングを兼ねて、これらの曲を始めタニアの曲、タニアとマンサネーロのデュエット、マンサネーロの曲など多くの曲を再生して聴いて見た。

Panchosもコーラスがどのくらい美しく再現出来のるか、興味があって聴いてみた。

 

Panchosの曲では、特にベースの音が際立って聞こえた。

最初の数時間は音量は低めに、慣れてきたら次第に高く…。

「エージング」には諸説あるが、「機器のため」と言うより、「こちらの耳が慣れるため」と言う意味合いの方が大きいのではと思う。

一般的に、エージングに要する時間は「40時間」とも「48時間」とも言われるが、ケースバイケースなので、この数字には余り根拠は無い。

ヘッドフォンへの負担を考え、「時々は休ませる」と言うのが私の拘り…。

正しいかどうかは分からないが、これは大切なヘッドフォンへの思いやりだ。

「エージング用のCDを掛けて耳では聴かず放置」など、もったいない事はしない。

  
聴いて見ると、どの曲も最初は低音の豊富さが少し気になったが、数時間ほどで次第に慣れて気にならなくなった。

一般的に「インナーイヤー型」と「カナル型」では、仮に搭載されたドライバーが一緒だったとしても「カナル型」の方にに軍配が上がるのは当
然。

高音の方も、以前使っていた「国産のカナル型イヤホン」の時よりも綺麗に表現されている。

楽器の弦を引っ掻く様な音、マンサネーロ得意の「フン!」と言う様な「鼻息」がみごとに再現されている。

まるで、ライブ会場の最前列に座っている様だ。

普段、スピーカーで聞いていては気が付かなかった、バックのリズム楽器が前面に出るように元気良く聞こえて来る…。

 
いつしか、レビューを忘れ、しばし、純粋に音楽に浸る事に…。久し振りの経験だった…。

 

やっぱり、良い音を聴くため第一に用意すべきなのは「ヘッドフォン」だったのだ。

ヘッドフォンが良ければ、スマホでも、これだけの高音質が楽しめるのだ!

今まで、可能な限り高レートでエンコードしたり、可逆性のエンコーダーで処理したものをハイ・パフォーマンスのPCで再生したりした努力はいったい何だったのか?

もちろん、これは無駄な事では無いのだが、努力には「正しい順序」と言う物がある。

「スマホ」にオマケで付いてくるイヤホンを使い続けるのは止めた方が良い。

 

ここで、可逆圧縮「FLAC」について簡単な説明をしておく。

 

FLACとは、オープンソースソフトウェアとして開発・提供されている、可逆圧縮が可能なオーディオファイルコーデックの一種だ。

 

MP3やAACなどの不可逆圧縮形式のコーデックは、圧縮効率を高めるためにデータの一部を削減している。

(だから、音質が劣化する)

 

これに対してFLACは、可逆圧縮のため、元のデータと全く同じデータ内容を復元する事が出来る。

 

FLACの圧縮率は約50パーセント。(注:最近では、「FLACでもエンコード、デコードで劣化する」と言われている。

 

ただ、これは「程度問題」なので「FLACは優秀なエンコーダーだ」と言う事実は少しも変わらない)

 
「同じ曲をFLACとMP3で聴くと、音はどう違うのか?」と、さっき聴いたタニアの「SIN LA LUNA」をFLACとMP3(320kbps)とで聴き比べて見た。

 

残念ながら、iPhoneではItunesがFLACを強制的に他の形式に変換してしまう…。

 

(ALACやAIFFなら可能、しかし、今やってる場合ではない…)だから、「デスクトップPC」にAF56を繋いで確認した。

 

(デスクトップPCの細かいスペックなども書くべきなのだろうが、「どこかの相談室」でもないし)我が愛機のスペックは、PCとしては速い(「Windowsエクスペリエンス インデックス」の一番低いサブスコアが7.8)が音声に関しては特に手を入れていない「タダのPC」だ。

 

それでも、確かにFLACの音の方がMP3よりもエネルギーが多く、「音の滑らかさや豊富さ」を感じた。

 

 

 

この後、iPhoneの方は同じ曲の128kbpsと320kbpsのMP3とで聴き比べた。

しかし、何度「目隠し」してランダムで再生しても、「iPhone 5とAF56」の組み合わせではその音の違いは感じられなかった…。

耳が悪いのか、比較したレートが近すぎるのか?

 

デスクトップのPCで再生したFLACとMP3では違いがはっきり分かるのに…。

 

原因は「耳のせい」でも「AF56」でもなく、スマホだった。

だから、この聞き比べでの結果は、決して「AF56」の性能を否定する物ではない。
 

ところで、唐突だが、趣味で「VM-17SA」と言うスタジオマイクを個人で使っていた事がある。

放送局の払い下げなどではなく、自前で調達したものだ。

このマイク、「低域が限りなくフラットで、高域も綺麗に伸びていてクリアー」とベテラン・ミクサーさんらからは定評がある。

(スタジオマイク VM-17SA)

 

Audiofly AF56の使用感には、お気に入りのマイク「VM-17SA」を初めて使った時と共通した感覚がある!

 

それは、AF56の音は「無理のない音、自然な音」だと言う事だ。

 

マイクでもヘッドフォンでも、無理やりどこかを強調したものは必ず歪み、音全体を台無しにしてしまう。

 

音波と言う物の性格上、「高域」より「低域」を出す方が難しい。

 

 

●絶対にやってはいけない事

 

どうしても気になる事があるので書いておく。

 

「マニア」や、場合によっては「プロ」と言われる人たちの間に「奇妙な儀式」が流行している。

 

内容はこれから説明するが、どうか皆さんは絶対に真似はしないで欲しい。

 

「デバック」(「虫取り」、「バグ取り」とも言われる)は、ITの業界では、ゲームなどのソフトで「ありえない様な様々な入力、操作を試み、ソフトが変な動作をしないかテストするもの」だ。

 

我が放送業界でも「デバック」は存在する。

 

とても似ているが、やや違う…。

 

メーカーから新製品などが納入されると、技術陣はその機器の電源を入れっぱなしにして一定期間放置する。

 

時間については、時と場合によって異なる。

 

「エージング」ともやや混同して行なわれている様だ。

 

「デバック」の目的は、一定期間電源を入れっぱなしにし、機器によっては過熱した状態で扱い、おかしな動作をしないかどうかを確認する。

 

コントロールがおかしくなったり、焦げ臭さが続いたりして煙が止まらないなどの異常が出ればメーカーさんに即刻返品となる。

 

多少ハードでもここまでは「奇妙な儀式」ではない。 

 

(フリーのAudacityによる音楽の音声波形の表示)

様々な機器のうちのオーディオ機器、もっと限定すると「ヘッドフォン」や「イヤホン」で、一部のマニアやプロの間で「奇妙な儀式」が行なわれる。

 

手順は、以下の通り。

 

しつこいが、絶対に真似をしてはいけない。

  1. 再生機器(ここでは、iPhoneなどのスマホ)にヘッドフォンをつなぎ耳で音を聴きながらボリュームを少しずつ上げて行き最終的には「最大」まで上げる。そして、どの辺で再生音が歪むかなど音の変化を確認する。
  2. 比較するもう1つのヘッドフォンでも上と同じ様にテストする。
  3. 早く(低いレベルで)音が歪んだヘッドフォンの方が、後から(高いレベルで)歪んだ物より性能が劣る。また、「新しいヘッドフォン」は必ず一度これをしなければならない。

この「儀式」は、全くのデタラメ。

 

これでは、「感度の悪いヘッドフォンは性能が良い」と言っているのと同じ。

 

全く意味を成さないのだが、彼らの言い分としては、「ヘッドフォンは一度は目一杯に動作させないとその良し悪しは分からないから」…。

 

こんな馬鹿なテストが一部のマニアやプロの間でもまことしやかに流行している。

 

特に問題なのは、「プロの現場の責任者クラスの人」がこれを真面目な顔をしてやっているのが罪深い!

 

こんな非科学的なデタラメは、ヘッドフォンなどを壊す恐れがあるので即刻止めて貰いたい。

 

もしも、どうしても比較テストをしたいなら、最低でも、スペアナ、ツートーンオシレーター、質の良いプレーヤーとテストするヘッドフォンのスペックが分かる詳細なデータとそれらが扱える技術者を用意しなければならない。

 

言っておくが、「低周波用スペクトラムアナライザ」だけでも、まともな性能の新品を買おうとすればどんな高給取りでも最低1年間は「飲まず食わず」になる。

 

●ノイズ・アイソレーション
 

遮音性は「カナル型の命」と言っても良い。

 

イヤパッドがうまくフィットするか否かでヘッドフォンの性能が決まってしまう。

 

その点、この製品には4種類ものシリコン・イヤチップが付いていたから、私の場合はピッタリ合う物が見つかった。

 

「カナル型はやっぱり違和感がある」と使用を諦める人は、たいていここで挫折している。

 

果たして、Audioflyは日本人の耳の穴の標準サイズを把握しているのか?少し心配もあった。

 

イヤパッドは、最初、「初めからセットされていた物」を使用していたが、一つ小さ目の物の方がよりフィットした。

 

これだと、全体的に「標準的日本人女性」の耳には大き過ぎないかと思う。

 

「一番小さい物よりもっと小さい物」を1種類追加するのが良いと思う。

 

「日本では1番大きいのはいったい誰が使うのか?」とも思う。

 

それから、外部からの雑音を極力減らそうとする技術があり、すでに実用化されている。

 

「ノイズキャンセルタイプ」と言う物だが、これはお勧めしない。一般ユーザーからの評判は上々だが、簡単に言うと「これを使うと音が歪む」。

 

また、余計なお世話かも知れないが、このヘッドフォンに「Bluetooth(ブルートゥース)」のアダプターを繋いで無線化するのも止めた方が良い。

 

無線化はとても便利だが、少しでも「良い音で聴きたい」なら止めた方が良い。

 

世の中、何事も「便利さ」と「質の良さ」は相反する。 

 

(イヤパッドは小さい方から2番目を使用。右の写真はマイクとコントロールSW)

 

●CLEAR-TALK™を使って見て
 

このモデルには、マイクロフォンとリモートボタンセクションを切り離し、会話がより明瞭になる「クリアトーク技術」が搭載されている。

 

実際に音楽を聞いている時に電話を掛けて貰うと1クリックで電話に出る事が出来、音楽が低くなり会話が楽に出来る。

 

リモコンのタッチノイズの混入はほとんど無い。

 

ただ、残念なのは、「電話の音が酷い」と言う事だ。

 

もともと、iPhoneの電話の音は酷いが、これを使うとますます酷い事に。

 

この小さなユニットの中身の正体は分からないが、とても「半導体」が入っているとは思えず、単なる「フィルター」の類か?

 

広い意味で言う「オーディオプロセッサー」ではないか?

 

いずれにしても、大本のマイクの音がそもそも悪いのだと思うが、それに輪を掛けてこのユニットが音声に嫌な歪みを発生させている。

 

しかし、「受信音声の了解度」は上がっているので、「LIVE会場などでの使用」と限定した場合は素晴らしい性能を発揮すると思う。

 

音楽を再生中に1クリックすれば音楽がストップ、2クリックで次の曲に移る。

 

ストップ状態からの2クリックでも次の曲に移るが、再生はスタートせず「頭出し」の状態になる。

 

それから、「3クリック」ならどうなるか?

 

「前の曲に戻る」だ。

 

それから、音楽再生時、一時ストップ時共にこのスイッチを「長押し」すると「音声コントロール」のメニューが立ち上がる。

 

これはiPhone側の規格によるものと思われるが、「いきなり電話を発信する」などの危険なコマンドもあるので、特別に興味のある方以外はお勧めしない。

 

ただし、全ての動作は、クリックの速さによっては上手く働かない事もある。

 

「やや速めのクリック」が良い様だ。

 

最初は戸惑うが慣れれば簡単に出来る。

 

アプリの作りにもよるが、メールなどの到着音も、一瞬だけ音楽のレベルを下げてくれるので聞き逃す事はない。

 

この機能はとても便利だ。

 

マイクの位置が左の耳に近い所にあるので息が掛かりにくく、マイクを吹いてしまうことも無い。

 

●評価

 

デザイン性    ★★★★☆ 4

高音の音質    ★★★★★ 5

低音の音質    ★★★★☆ 4

フィット感    ★★★★★ 5

外音遮音性    ★★★★☆ 4

音漏れ防止    ★★★★★ 5

携帯性      ★★★★★ 5

 

とまあ、どこかの採点と似た形式になってしまったが、この方が言葉の何倍も分かり易い。

 

言葉でも少しだけ補足しておく。

 

「デザイン性」は、「携帯性」とも深く関連しているが、「丈夫さ」が災いしてコードが少し「形状記憶」をしてしまって、「綺麗に丸めてコンパクトに缶に収納する」のに苦労する事。

(実際、写真撮影ではドラムが思う方向になかなか向いてくれず苦労をした)

 

逆に、材質が堅いから「コードが絡みにくい」と言う利点もある。

 

音に付いては、「高音」は減点無しだが、「低音」は他社の同クラス製品と比較して、これでも「やや不足」である。

 

これだけ大型のドラムを使用しているのだから低域はもっと豊かに出てもおかしくない。(これは、あくまでも「客観的な評価」を意識した採点。個人的には大いに気に入っている)    

 

「フィット感」は「外音遮音性」とも「音漏れ防止」とも微妙に関連しているが、今回、「フィット」が上手くいったので「音漏れ」も無く5点。

 

「外音遮音性」は悪くは無いが、「ノイズキャンセル型」のヘッドフォンと比較してどうしても不利になるので4点。「携帯性」は5点だ。

 

iPhone用としてはもちろん「及第点」だが、「ミュージシャン」や「スタジオ関係者」、「放送の現場のプロ用」としても十分に通用するものだと思う。

 

全体に、少し、採点が甘すぎたかも知れないが、別にゴマを擂った訳ではない…。

 

正直な話、スマホにはAF56はオーバースペックかも知れない。

 

ただ、「将来のプレーヤーのグレードアップ」を見越して使うなら最高だと思う。だから、音楽プレーヤーは、出来ればより良い物を手に入れて欲しい。

 

せっかくのヘッドフォンがもったいない。

 

最終的に、私なりの「VF56 Vintage White」のイメージが「これ」だ。

 

「このレビューの写真は全部iPhoneで撮りました」と言う以外は、敢えて説明はしない。 

 

 

●Audioflyを応援します!

 

もしも、今、AudioflyのCEOであるDave Thompson氏に会えたら、「Dave、やったね!」とこの製品の出来を褒めたたえ激励し、「今後の活躍にますます期待する!」と伝えたい。

 

(実際、自身のFacebookではAudiofly Headphone-Jpを「フォロー」もしているし、「いいね!」も送らせて貰った)

 

VF56 Vintage White(マイクロフォン付き)は、特に「スマートフォン」の愛用者にとって「ベスト」とは言えないが「ベターな選択だ」と言える。

 

「一般用」として考えた場合、価格はやや高いが「男性はもちろん、若いOL向きの製品」とも言える。

 

ヘッドフォン業界もたくさんの優秀なメーカーが鎬を削っており、後発のメーカーにとって、その牙城の一角でも切り崩すのは並大抵の事では叶わない。

 

しかし、「AudioflyのDaveとその仲間達」ならもしかすると出来るかも知れない…。

 

これからは、単なる1レビュアーとしてだけではなく、彼らを本気で応援して行きたい!

更新: 2017/06/30
Audiofly AF56 を一言で表すキャッチコピー PREMIUM REVIEW

Audiofly AF56は、「イヤホン」ではなく「ヘッドフォン」と呼ぶにふさわしい!

最初、この製品が「カナル型イヤホン」ではなくて「カナル型インナーイヤー・ヘッドフォン」と呼ばれているのに違和感を感じていた。

 

しかし、実際に使ってみると違和感は全く無くなった。

 

この製品の「低音の表現力」は、紛れも無く「ヘッドフォン」と呼ぶにふさわしい。

 

マニア向けの最高級イヤホンやヘッドフォンには敵わないが、「1万4000円前後」と言う価格帯では「この製品は、とても良く出来た物だ」と思う。

 

特に、この「マイク付」はスマートフォンの愛用者には最適だ。

 

スマホに付いて来たイヤホンを相変わらず使い続けているユーザーは、迷わずこれを使うべきだ。

 

Audiofly AF56は、「イヤホン」ではなく「ヘッドフォン」と呼ぶにふさわしい!

更新: 2017/06/30
使用感

我が「標準のイヤホン」!

とても気に入っており、今も「標準のイヤホン」だ!

コメント (4)

  • タコシーさん

    2014/04/03

    是非音楽を聴いてレビューしてください

    高級品は使ったこと無いです のでお願いします....
  • hachiさん

    2014/04/03

    >タコシー さん

    遅くなって、ごめんなさい。
    ええ、ジャンル的に余り一般的な音楽では無いかもしれませんが、選考にもそれが大きく影響したと見られ…。
    どうせ、間も無く公開ですが、今の所は「請うご期待!」と言う事で…。
  • タコシーさん

    2014/04/20

    レビューお疲れ様でした
    私は音楽に疎いほうなので洋楽は殆ど分かりませんが
    詳細なレビューで参考になりました 

    タニア・リベルタの「二人の天使」を聴いてみました
    ダニエル・リカーリとは、また違って大人を感じさせる歌声ですね
    すごく高域まで伸びていて、音量もある歌声ですね
    何十年ぶりに「二人の天使」を聴きました(昔レコード持っていました) 

    オーディオはソースとスピーカーやヘッドホンは大切なものですよね
    レコードならカートリッジですね かなり音質が変わりますね
    ありがとうございました。

    二人の天使
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