4K解像度の27型IPS液晶モニタ「DELL P2715Q」のレビューです。昨年末に6万円台という破格値で登場して以来「手が届く4K」「身近になった4K」と話題になっている本製品を試す機会を頂きましたので、製品のデザインや機能、視覚的な変化や高解像度による恩恵など、4Kモニタの魅力を紹介してみたいと思います。[かなり長文なのでインデックスをご利用ください]
・2015.06.26 その後(3ヶ月後)の使用状況を文末に追記しました。
・2015.04.11 Adobe CC(Photoshop、Illustrator)での使用状況を追記しました。
・2015.03.28 レビューを公開しました。
■ はじめに
毎度同じような事を書いている気がしますが、私にとって本製品が4Kデビューとなります。家のテレビすらまだ4Kじゃないというのに、PCモニタのほうが先に4Kになってしまうなんて、贅沢にも程があるというのはこのことですね^_^;
解像度の比較、4Kは面積比でフルHDの4倍もあります。
それはさておき、今回この4Kモニタに接続してみようというPCは以下の通りです。
□ FUJITSU D751/C
仕事で苦楽を共にしているPCです。これ無しでは勝負にならないサムライの刀のようなマシンです。※まだモチモノ登録はしていません...
−−−D751/C仕様−−−
CPU:インテル Core i5-2500 3.3GHz
メモリ:4GB
GPU:NVIDIA Quadro K600(増設)
OS:Windows 7 Pro(32bit)
用途:イラストレータ、フォトショップ、3DCGなどがメイン
製造年:2012年
32bit版OSなので、これ以上メモリーが増設できず、3Dアプリではメモリー不足に陥りがちですが、幸いなことにエントリークラスながらも4K画質に対応したグラフィックスボードを増設していたので、今回応募することができました^_^;
□ G-Tune i420BA1-SP
2014年4月にゲーミングモバイルノートということでレビューさせて頂いたノートPCで、ゲーム用としては勿論、デジカメ画像の編集などにも日々使っています。
−−−i420BA1-SP仕様−−−
CPU:インテル Core i7-4700MQ 2.5GHz
メモリ:8GB
GPU:NVIDIA GeForce GTX860M
OS:Windows 8.1(64bit)
用途:ゲーム、画像レタッチ、WEB閲覧等がメイン
製造年:2014年
ノートPCですが、グラフィックスボードにGTX860Mを搭載しているので、HDMI出力にも対応しているので、標準の液晶画面(フルHD)よりも高解像度で表示できるのではないかと想像しました。
□ Apple Mac mini(Mid 2011)
もともとはマカーだったので、仕事用のメインマシンがWindowsに変わっても、どうしてもMacの使用感が忘れられなくて仕事のサブ用として購入したものです。
−−−Mac mini(Mid 2011)仕様−−−
CPU:インテル Core i5 2.5GHz
メモリ:4GB
GPU:AMD Radeon HD 6630M
OS:Mac OS X 10.9.4(Mavericks)
用途:イラストレータ、フォトショップ、WEB閲覧がメイン
製造年:2011年
このMacにはminiDisplayPortと互換性のあるThunderboltコネクタが搭載されているので、最大WQXGA(2,560x1,600)が可能となっていますが、本製品より少し先に発売された兄貴分にあたるP2815Qでは、そのまま4K(3,840x2,160)表示が可能らしいという記事を読んだので、試してみることにしました。
□ ASUS Chromebox M130U
2015年1月にレビューさせて頂いたChromeboxです。Windows7と8、さらにMacときたら、ChromeOSを試さない手は無いですよね?ということで参戦。
−−−Chromebox M130U仕様−−−
CPU:インテル Celeron 2955U 1.4GHz
メモリ:4GB
GPU:インテルHDグラフィックス(内蔵)
OS:Chrome OS
用途:イラストレータ、フォトショップ、WEB閲覧がメイン
製造年:2014年
Chromeboxは割と低スペックですが、DisplayPortとHDMI両方のポートに対応しており、解像度こそ謳われていませんでしたが、大きな画面に接続することを想定したパッケージになっているので、今回本製品に接続したらどうなるのか気になったので、試してみました。
□ 比較モニタ
比較用モニタとしては、2013年にレビューさせて頂きましたBenQの24型フリッカーフリーモニタ(BL2411PT)をチョイスしました。比較用としましたが、性能的な比較というよりは大きさ感を比べたりマルチモニタとして接続するために登場願いました。
なお、従来のレビューでは画像表示装置を称して『ディスプレイ』と呼んでいましたが、本製品のレビューではメーカー側が「モニタ」と称していたため、それに合わせて『モニタ』で統一しています。また、解像度については 3,840 x 2,160 サイズを「4K」とし、1,920 x 1,080 サイズを「フルHD」としています。
以上、4K環境としてはギリギリの線でお送りするので、4Kモニタの実力を発揮し切れないかも知れませんが、夢のようなハイスペックなPCで余裕に表示するよりも、現実的で参考になるのではないかと思っています(負け惜しみ^_^;)
■ パッケージ
堅実なモノづくりの心を感じる。
本製品は27型モニタだけあって梱包もそれなりに大きく、梱包材料を含めて総重量が10kg以上となっています。段ボールには取っ手も付いていて持ち運べるようになっていますが、手で持ったまま電車に乗ったりするのはかなりハードかも知れません。(今回は断念しました^_^;)
開梱した時に重量のある部材でも簡単に取り出せるよう側面が大きく開くようになっていて、使用者に優しい作りとなっているのが印象的でした。また、通常は緩衝材を使用する部分も段ボールのみで緻密に組み上げられており、エコへの取り組みは勿論、しっかりとしたモノづくりをしていると感じました。
大きいモニタ本体もラクラク取り出せる梱包
パッケージ内容は、モニタ本体とスタンド、ケーブルカバー、ケーブル類、添付書類、ドライバーCDとなっており、中でも「DisplayPortケーブル(mDP-DP)」が付属しているのは非常にありがたいと感じました。
必要最小限という感じののセット内容
貴重なmDP-DPケーブル(写真左)が付属!
また、本製品は出荷時点でsRGBカバー率99 %の色補正が行われているとのことで、それを証明するシリアル番号入りの「色補正完了報告書」も同梱されていました。
一番左が色補正完了報告書(シリアル番号明記)
■ 組み立て編
ワンアクションで脱着できる!
添付の取扱説明書は、ほぼイラストだけで構成されたユニバーサルデザインを採用しており、じっくり見る程でもなくサッと目を通すだけで簡単に理解できるところが嬉しいです。※詳細が書かれた取扱説明書は別途付属のCDに収録されています。
簡潔で分かりやすい取扱説明書
◇ 組み立て手順
1.まずはモニタ本体にスタンドを取り付ける訳ですが、VESAマウント対応でありながら、工具を一切使わずにサッと脱着できるというところが魅力ですね。おそらく同じデザインのスタンドを採用しているモデルは全て同じ構造になっていると思われますが、実によく出来ていて素人ながらに感心してしまいました。
モニタ本体(梱包時の袋を下に敷いて作業)
スリムな印象のスタンド
取り付ける時はモニタ上側を先に入れて下に降ろせば自重でカチッとロックが掛かります。外す時はモニタ本体側のマウント下部に「リリースボタン」があるので、ボタンを押すと下側のロックが解除されてスタンドが外れます。
スタンド上部のブラケット部分、上下二箇所に爪が出ています。
スタンドの上側の爪を先に入れて、
下側をカチッとハメ込めばOK!
立てた状態の裏側
ちなみにモニタ側の小さな突起が「リリースボタン」です。※固定化も可能
滅多に脱着する事はないと思われますが、こういった心遣いもまた選ぶポイントのひとつになり得ると思います。
2.順序的に次はケーブル類を接続するのですが、接続端子の配置等は『スペック』の部分で紹介していますので、ここでは端折ることとして、ケーブル類はスタンドのアーム部分にある穴を通して背面側に送るとスッキリと収まります。
ケーブル類をスタンドの穴に通します。
ただし、日常頻繁にモニタの角度を変えて使うような場合は、よく注意しながらケーブル類を取り回さないとケーブルやコネクタ部分に変な負担が掛かり、破損の原因になるかも知れないので、この穴の使用はよく検討した方が良いと思います。
3.ケーブル類を接続したら、最後にケーブルカバーを取り付けて組立完了です。
簡単に取り付けられるケーブルカバー
完成後の重量は7.53kgとそれなりに重いのですが、比較用のBenQ BL2411が24型で6.7kgなので、大きさ的に考えたら相応の重さではないかと思います。
組立完了!
■ 外観デザイン
ほんのり丸みのある優しいデザインが魅力
DELLの4K対応モニタとしては性能にこだわったUPシリーズとコストパフォーマンスに優れたPシリーズがあり、本製品は後者の方になる訳ですが、写真で見る限りUPシリーズとほとんど変わらないデザインになっているようです。
PシリーズもUPシリーズもデザインは同じで見分けがつきません。
バランスよくまとめられたデザイン。
背面の大きいロゴはとにかくよく目立ちます。
前面ロゴは小さいながら強い主張があります。
◇ モニタ本体
モニタ本体のデザインは、まるでタブレットPCをそのまま大きくしたような薄型のラウンドシェイプで、四隅の角Rを大きめに取ることで優しいイメージに仕上がっています。前面から見ても背面側から見ても、さほど圧迫感を感じさせないデザインになっているのが魅力的です。
タブレットPCに良くあるエッジが薄く見えるラウンドシェイプ
前面パネル枠のエッジ部分は、専用スタンドとマッチするようシルバーに配色されており、全体の統一感を図りながら輪郭がよりシャープに見せ、チープになりがちなプラスチック部分をうまくまとめていると思います。
電源ボタン及びファンクションボタンは右下に縦配置に並んでいます。狙っていたのかどうか分かりませんが、電源ボタンはiPod touchやiPhone(指紋認証でないモデル)などのホームボタンとほぼ同じ大きさと形状で、ファンクションボタンはまさにスリープボタンにそっくり です。
iPod touchのボタン類にソックリ^_^;
これについては、少々オリジナリティに欠けるように気がしますが、個人的には慣れ親しんだ感触なので良いと思いました。ただし、人によっては好き嫌いがあるかも知れません。。。
◇ スタンド
スタンド部分は高さ調整機能が付いたアーム式で、外側のカバーは樹脂製ながらアルミ製のような風合いに仕上がっています。
特にベース部分のデザインは、ちょうど初代iPadを裏返して置いたようなスタイルとなっていて、どことなくアップル製品を意識したものになっていますが、アーム部分と合わせてスッキリとスリムに仕上がっています。
初代iPadの背面のような丸みのあるベース部分
ケーブルを通すための穴もデザインのワンポイントになっていて、個性的だと思います。
◇ 全体
全体的に見て、良くも悪くもそこここにアップルテイストを盛り込みながら、それをほとんど感じさせないようバランスよくまとめ上げられているデザインだと感じました。
■ スペック
IPSで4Kという贅沢
本製品が出る少し前に同社からP2815Qという28型4Kモニタが7万円を切る価格で発売されました。このモニタはTNパネルでリフレッシュレートが30Hzということで、動きの激しいゲーム等には向かないとされていましたが、本製品はIPSパネルで60Hz、応答速度も標準で8.6msという事なので、映像や激しい動きのゲームなども十分いけると考えられます。
--- 仕様 ---
スクリーンタイプ:アクティブマトリクス-TFT LCD
パネルタイプ:IPS方式
表示サイズ:対角27インチ(W596.74 × H335.66mm)
アスペクト比:ワイドスクリーン16:9
ピクセルピッチ:0.1554mm角
視野角:水平・垂直178° 標準値
コントラスト比:1,000:1(標準値)
2,000,000:1(メガダイナミックコントラスト使用)
輝度:350 cd/㎡(標準)
表面コート:前面偏光板(3H)のアンチグレア処理
バックライト:LEDエッジライト方式
応答時間:8.6ms(標準)、6ms(高速モード)
色深度:10.7億色(30bit)
色域(色空間):99% sRGB
--- 解像度の仕様 ---
水平スキャン範囲:31kHz~140kHz(自動)
垂直スキャン範囲:29kHz~76kHs(自動)
事前設定の最高解像度:3,840 × 2,160(UHD)60Hz
ビデオ表示機能:480i、480p、576i、576p、720p、1080i、1080p、
QHD、UHD
--- 電気的仕様 ---
入力電圧:100~240VAC
周波数:50Hz/60Hz ±3Hz
電流:1.8A(最大)
消費電力:通常動作時/50W(通常)、95W(最大)
アクティブオフモード/0.5W未満
スイッチオフ/0.5W未満
--- 物理特性 ---
コネクタタイプ:DP-in、DP-out、mDP-in、HDMI(MHL)-in
USB 3.0(up x1、down x1)、オーディオライン-out
寸法(スタンドあり):W640.74 × D203.86 × H423.86~538.86mm
重量(スタンドあり):7.53kg (モニタのみ 5.03kg)
可動範囲:水平回転/左右各 45°
首振り/見下げ側 5°、見上げ側 21°
上下ストローク/115mm
◇ ここが気になる
仕様で気になるのが「10.7億色(30bit)」の部分です。正直なところ全く想像ができませんし、見て分かるとは思えませんが、驚異的な色深度であることは確かです^_^;
また、DP(DisplayPort)コネクタとHDMIコネクタの両方が揃っているのは非常に心強いですし、mDP(mini DisplayPort)コネクタも備えているので、最近のPCならば大抵は接続できると思います。
割と充実したポート群、これだけ揃えば大抵の環境で使えますね。
もう一つ気になる点としては、色空間がsRGBのみにしか対応していないことで、Adobe RGBに比べて色空間の再現できる範囲が狭くなっている点が挙げられますが、よくよく考えたら私の場合は最終出力媒体が紙ではないことがほとんどなので、あまり心配する必要はないのかも知れません^_^;
◇ アンチグレア
主役の液晶パネルは、フラットな27インチワイド液晶パネルです。表面には硬度3Hのアンチグレア処理が施されていて、眩しい反射やギラつきなどを抑えています。
アンチグレアの程度でいうと、比較用モニタのBL2411は電灯など明かりの反射がぼやけて光源の位置がハッキリしないのに対して、本製品はぼやけた中に光 源の形がしっかりと見えますので、もの凄く強いアンチグレアという訳ではありませんが、反射光を直接見ても眩しいと感じない程度に拡散してくれるので、こ れは良いと思います。
本製品の方が拡散が弱め(下のMac miniの写り込み具合をご覧ください)
◇ 可動部分について
高さ調整などの可動部分の機構は完成度が高く、調整範囲内であれば、適度な力の入れ具合でとてもスムーズに動くので、非常に扱いやすくなっています。
高さの調整範囲は115mm
首振り範囲は垂直より下向きが5°、上向きが21°です。
水平回転は左右に45°ずつ計90°回転します。
もちろんタテ配置も可能です。
ただ残念なのは、設置した際に若干右下がりになることでしょうか。個体差があるのかも知れませんが、気になり出すと止まりません^_^; まぁ、これだけワイドで重量のある画面で縦横の回転機能を実現しつつ水平・垂直を保つのは大変なのかも知れませんね。。。
※27型というと当然24型よりも大きい訳ですが、実際に並べてみると天地サイズはほとんど同じで横に長いという感じなので、24型から移行してもほとんど違和感が無くて良いですね。
BL2411(右)とのサイズ比較、天地寸法はほとんど同じです。
なお、本製品にはスピーカー類は付属しませんので、映像や音楽、ゲームなどを音を出して楽しみたい場合は、オプションのサウンドバーを取り付けるか、あるいは別途ワイヤレススピーカーなどを設置する必要があります。
■ いよいよPCと接続!(接続編)
折角の機会なので、身の回りのめぼしいPC達を集めて接続してみたらどうなるか試してみました。
◇ FUJITSU D751/Cと接続
つなげば直ぐに4Kワールド!
「はじめに」でも紹介しましたが、この仕事用PCにはグラフィックスボード「NVIDIA Quadro K600」を増設しており、DP接続によってのみ4K出力が可能となっていますので、ボードに付属しているDPポートを利用して本製品と接続します。
地味なビジネスPCですが、動作はとても安定しています。
接続には同梱のDP-mDPケーブルを使用し、本製品側のmDP端子を使用して接続しました。(結果的にDP-DPケーブルでも同じでした)
電源を入れてしばらくすると、DPケーブルが接続されていない旨のアラートが表示されたので、ファンクションボタンを押して入力ソースを「mDP」に切り替えてやりました。
アラート表示:画面への焼付き防止を考慮して小刻みに動いています。
すると普段見慣れたWindows 7の起動画面が表示され、いつものようにログイン画面が表示されるのかと思ったら、見慣れない感じの大きさでログイン画面が開きました。ちょうど画面に対して7割くらいのサイズです。Windows 7のログイン画面は高解像度に対応していないのでしょうか?
OS的には想定外な解像度だったのでしょうか?w
ちょっと動揺しながらもいつも通りログインすると、明らかにアイコンやテキストが小さい画面が立ち上がってきました。
それは解像度の設定を見るまでもなく、明らかに以前より広くなっているのですぐに4K解像度だと分かりました。面積比で4倍になっている訳ですから当然見てすぐ分かる訳ですが、実際は見た目の面積が4倍になる訳ではないので、広くなったという感覚よりも小さく(細かく)なったと感じる部分の方が大きい気がします^_^;
思わず画面の解像度を確認^_^;
さすがにこのままだと文字やアイコンが小さ過ぎて見辛いので、画面上のテキストやその他の項目のサイズを「大(150%)」にセットしました。これでかなり見やすくなりました。
性能を簡単にチェック
輝度ムラ
まずは、モニタの輝度ムラをチェックしてみました。真っ白な画面を表示して写真に撮り、明度差を強調したのが下の画像です。実際には見て気になるムラはありませんが、下の方の角が少し暗いような印象は素のままでも多少感じます。
割とムラは少ない方だと思いますが、やはり下の方の両角が少し暗めです。
※強調画像なので、実際はこのようには見えません。
バックライトの光漏れ
さらに、IPSパネル特有のバックライトの光漏れを検証してみました。今度は真っ黒な画面を表示して暗めの部屋で撮影し、輝度ムラの時と同様に明度差を強調してみました。肉眼では分かり辛いのですが写真に撮ると四隅から光が漏れているのが分かります。
上側が目立ちますが下側は青い光が写っていました。
※強調画像なので、実際はこのようには見えません。
普通に使う分には全く気になりませんが、真っ暗な部屋で暗い画面や映像などを見ると光が漏れているのが分かります。LEDエッジライト方式のIPSパネルだから仕方ありませんね。だからダメだという訳ではなく、IPSパネルはこういうものだと割り切って使うしかないと思います。
画面の発色について
デフォルトの画面の発色は色温度がやや低めで、私の感覚としてはかなり黄色っぽい印象を持ちました。※本製品の機能としてRGBの値をそれぞれ1%刻みで調整できるので、使用上は特に問題になることはありません。
視野角について
視野角については水平・垂直ともに178°とかなり広い角度をカバーしているので、比較的暗めの部屋であれば、かなり斜めから見ても鮮やかさを保っていると思います。
背景はレタッチでボカシましたが、画面の色合いやコントラスト等は無修正です。
右の角度までいくとかなり白っぽくなります。
一方オフィスのように割と明るい場所だと角度が深くなるにつれて周りの反射などで白っぽくなりがちですが、TNパネルと違って変な色に変わったりしないところが良いです。
4K映像は圧巻!
次に4K映像(あらかじめダウンロードしておいたMP4)を視聴してみようと思うのですが、このPCはデフォルトではMP4ファイルを再生することが出来ませんorz
これはMP4ファイルを見るために必要なコーデックがインストールされていないからで、自由にソフトをインストールできないよう管理・制限されているPCのため、今回はコーデック無しでMP4を再生できて、しかもインストールも不要な「VLC Portable」を使用して再生しました。
VLC Portableはコンパクトで重宝します。
予想はしていましたが、実際に4K映像(全てYouTubeよりダウンロード)を見てみるとその美しさや精細さに圧倒されます。渋谷の街中を撮影した映像では、あまりにリアル過ぎて、あたかも自分が今そこにいるかのような錯覚に陥るほどの自然さ、あるいは臨場感といったものがあります。
Shibuya, Tokyo, Japan 4K (Ultra HD) - 渋谷/東京
下の「花の画像」のみフルサイズで、約3MBほどあります。
Amazing 4k flowers 3840x2160p (Testfootage, Demomaterial)
約3MB(閲覧注意!)
ルミックスGH4(開発発表)で撮影した4K動画 【パナソニック公式】
上は縮小画像、下は等倍で切り抜いたものです。
食い入るように近くで見ても、滑らかでドット感を感じません。初めてRetinaディスプレイを体感した時に似た感覚です。この精彩な画質で滑らかに動くのですから、それはもう感動するくらい奇麗です。アンチグレアですがコントラストも悪くないと感じました。
同倍率で撮影した画像の比較、本製品のドットピッチがかなり細かいのが分かります。
試しに同じ映像をAVIやWMPに変換(最高画質レベルにて)してみましたが、ちょっとでも劣化していると見るに耐えない感じです。HD解像度のモニタで見るよりも粗が目立ってしまう感じが強くしました。
元映像からの等倍切り出し画像。モヤっとしていますが滑らかです(暗い方が分かりやすいので...)
最高画質でエンコードしたつもりでしたが、暗い部分では劣化が目立ちます。。。
このような状態だと見ててガッカリしますね^_^;
PCの性能としては中の上くらいかと思いますが、Quadro K600のお陰なのかカクカクしたりコマ落ちすることもなく、USBメモリ(2.0接続)から直接1GBくらいの映像を再生しても何のストレスなくスムーズに再生されました。
応答速度について
普通の動画などを見る分には、残像などは特に気になることはありませんでしたが、本製品には応答速度「標準モード(8.6ms)」と「高速モード(6ms)」が用意されているのでどう変わるかを試してみました。
ダウンロードした4K映像などでは違いが分かりにくいため、「液晶応答速度&低解像度チェック」というフリーソフトを走らせて、その様子を動画で撮影し、そこからさらに静止画を切り出してモード別に比べてみました。
「標準モード」では中間階調の残像は少なく、黒の残像が残っています。
「高速モード」にすると黒の残像はほとんどなくなりましたが、今度は中間調の残像が残ります。
標準モードでは中間階調を高速化するオーバードライブをより効かせているのか、中間階調の残像は少なく、黒の残像が残りやすくなっています。一方の高速モードでは黒の残像が目立たなくなった分中間階調の残像が増えています。
よく見ると残像の出方が違います。標準モードではそのまま透過していくような自然な色合いの残像ですが、高速モードだと色が抜けて明度だけが残って消えていく感じというのでしょうか。このような特性があるので、より色の正確さを求めるなら「標準モード」、頻繁にスクロールする文字など扱うなら「高速モード」などといったように用途に合わせて使い分けると良いかと思います。
マルチモニターを試す。
せっかくなのでマルチモニタ環境も試してみました。本製品の売りの一つでもあるデイジーチェーンによる2台接続は、サブモニタがフルHDのため、フルHD解像度でのミラーリングしか試せませんでした。
デイジーチェーン(DPケーブル接続)によるミラーリング
私としてはモニタをミラーリングで使うことはまず考えられないので何とも言えませんが、出来る事は分かりました。ということで、4K解像度でミラーリングするにはサブも4Kモニタじゃないとダメなのですね。よく考えてみれば確かにそうかも^_^;
さらにグラフィックスボードの機能を利用してマルチモニタ環境を構築してみましたが、このような使い方の方が使い道はありますね。
どちらもIPSパネルを採用しているので斜めから見てもクッキリ鮮やかです。
※色調整していない状態なので色合いが合っていません^_^;
4KはOSの想定外サイズ?
まだまだ現役のOSですが、さすがに4Kまでの高解像度は想定していなかったようで、調整しきれない部分が多く、快適に使えるというほどのレベルにはありません。
特に4K解像度に設定した場合に限ってウインドウサイズや位置を記憶できなくなるようで、入力ソースを切り替えたり、再起動するだけで任意サイズで展開していたウインドウ類が全て画面左上端に638x440pxサイズになってしまいます。
入力ソースを切り替えたり電源をON/OFFするとウインドウがこんなに小さく...
全画面表示に設定しているアプリなどは、それを継承してくれるようなので、特に支障がなければ全画面表示で使うという手もありますし、或いは一つ小さい解像度(2560x1440)に設定するという方法もありますが、根本的に問題解決にはなっていませんね^_^;
そのような訳で、OSの問題なのかモニタ特有の問題なのか、あるいはGPUのドライバ関係なのかは分かりませんが、私のWindows 7環境で本製品を4K環境で使うためには都度ウインドウサイズの調整や移動等が必須となります。
◇ G-Tune i420BA1-SPと接続
4K解像度でのゲームプレイはまだ早い!?
このゲーミングノートにはHDMI出力ポートがあるので、HDMIケーブルにて接続してみました。
13.3インチモニタ搭載のゲーミングノートと接続
今度は本製品の入力ソースを「HDMI」に切り替えるのですが、ノートPCの場合は初回だけPC側から画面切り替えをしてやらないと外部画面に出力されません。次回以降外部モニタが接続されていない場合は勝手に本体側の液晶に切り替わります。
このPCでは元々テキストやアイコンの大きさを大きめにしていたので、はじめからちょうど良い大きさに調整されて違和感なく4K解像度で起動しました。起動直後はフルHD解像度で立ち上がったと思いましたが、画面の解像度を見ると4Kに設定されていましたし、スクリーンショットもそのサイズになっていましたので間違いないでしょう^_^;
メインのモニタ(1)が悲しいほどに小さいw
さすが現行OSということで、かなり高解像度への対応を考慮しているのではないかと感じました。OSとしてはWindows 7よりも快適に使えると思えます。
そしてMP4の4K映像(USBメモリを使用)については、 標準のメディアプレイヤー(WMP)で再生でき、上記Windows 7マシンと同様に美しい4K映像を見ることができました。
ゲームについては、4Kに対応した「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」などを走らせてスコア比較を行ってみました。
まずは、本製品でフルHD(1,920x1,080)解像度にてベンチマークを実施。
フルHD:1920x1080/最高品質でのスコア:5593「とても快適」
フルHDは「とても快適」と出ました。
もっとクオリティを上げても問題無さそうです。
次に4K(3,840x2,160)で解像度以外はフルHDと同じ設定で実施してみました。
4K:3840x2160/再高品質でのスコア:3406「やや快適」
4Kは「やや快適」という何となく表現が曖昧な結果がでましたw
見ていて明らかにツラそうな部分は無いように感じましたが、設定を見直すともっと快適になるでしょうといった評価でした。
上記の事からモニタの解像度を上げると、ゲームの3D描画への負荷が増していることが分かります。実際の見た目についてもほんの少しカクカクすることがあるので、4K解像度で快適にプレイするには、ゲーム側の描画設定を下げた方が良さそうです。
ただ、4K解像度でプレイするとUIやテキストなども一緒に小さくなってしまって見辛いと思われるので、多少表示がボヤけてもフルHD解像度まで解像度を下げた方がプレイしやすいと思います。
ゲームについてはUIの改良などソフト側の今後の4K対応に期待したいと思います。
◇ Mac mini Mid 2011と接続
やはりThunderboltは鬼門か…?
このMac miniのRadeon HD 6630MにはmDPと互換性がある(らしい)Thunderboltポートが付いているので、mDP-DPケーブルを使用してMac側をmDP、本製品側をDPとして接続してみましたが、認識されなかったので新規にmDP-mDPケーブルを購入して接続してみました。
しかし、何故かこれも本製品側では認識してくれませんでした。。。
Mac miniとはデザイン的に相性は良さそうですが...
HDMI接続ではこの解像度が限界でした。。。
試しに従来のモニタをHDMIケーブルでMacに接続し、mDP接続とのマルチモニタ環境にして確認してみたところ、確かにMac側ではマルチモニタ設定になっているように見えます。ただし相手(本製品)側が認識していないので選択はできませんでした。
Mac側から認識はしているようですが、本製品側では認識できていません...
もしかしたら、mDPケーブルでなくThunderboltケーブルじゃないと接続できない可能性があります。あるいはMac OS Xのバージョンによるものかも知れませんが、とにかく今回は接続を断念しました。。。
ということで、Mac miniとの接続については、もう少し情報を集めてから再度挑戦してみたいと思います。(MacのHDMIから4K表示できるようにするパッチがあるらしいのですが、動作が怪しいので今試すのは危険と判断しています…)
※後から気付きましたが、仮のマルチモニタの状態でスクリーンショットを撮ったところ、従来モニタのフルHD画像と、何と今回見ることの出来なかったMacの4K解像度の幻のスクリーンショットが同時に撮れていました!何とも不思議な現象ですね^_^;
幻のP2715Qの4Kデスクトップ(メニューバーが半透明です^_^;)
◇ Asus Chromebox M130Uと接続
4K表示OK、想像以上に快適!
特に難しいことを考えなくても気楽に扱えるChrome OSということで、HDMIケーブルを使ってサクッと接続してみました。
Mac miniよりもコンパクトで、軽快なOSが魅力のChromeboxを接続
もともと起動画面がスッキリしているので分かりにくいですが、ログインダイアログやテキストの大きさから4K解像度で表示できているようです。設定で確認しようとしたのですが、そもそもChrome OSには解像度を設定する項目が無いようです^_^;
DP接続でも何故か「HDMI」と表示されていました(??)
とりあえず解像度の確認はスクリーンショットで行い、ようやく4K解像度であることが確認できましたが、ウェブストアで探せば便利なツールが簡単に見つかりそうですね。
Chrome OSだとより広く使える感じがします。
Chrome OSの画面はただでさえスッキリしているので、4K解像度にするとかなり広く使える気がします。一般的なWEBサイトなら丸ごと3つは横に並べられる広さなので、これだけあればリモートデスクトップを利用して別のPCを操作してもきっと余裕でしょう(今回は未確認です^_^;)
4K映像の視聴については、標準のChromeで再生でき、こちらもUSBメモリに入れたものをそのまま再生しましたが、特に問題もなく奇麗な映像をスムーズに再生できていました。
OSが軽いせいかサクサク動くのが魅力です。
今回はネット環境の都合でストリーミング再生はしていませんが、十分なネット環境が整っている状況であれば、かなり快適に画像や映像を楽しむ事ができそうです。
◇ フリッカーについて、
まったくチラつきを感じない!
本製品の仕様表などには特にフリッカーについての記述が無いため、どうなっているのか分かりませんが、BenQのフリッカーフリーモニタで試した方法でフリッカーが出ているかどうか、モニタの前でファンを回してモアレが出るか試してみました。
フリッカーフリーのBL2411PTと比較(動画から切り出し)
結果としては、本製品からはフリッカーは出ていないようでした!
DELLとしてはフリッカーフリーは当たり前ということなのでしょうか。何にしてもフリッカーフリーは使用者にとって大歓迎で、目の疲れが嘘のように軽減します。
※今まではフリッカーフリーモニタの横にフリッカーありのモニタを並べて併用していましたが、本製品とフリッカーフリーモニタを並べて使うようになったら、目の疲れがビックリするほど減った気がします。(数値化できないので…)
◇ 接続編まとめ
4K表示だけなら意外と簡単に実現可能!?
以上のように、今回用意したコンピュータ本体はMac以外は全て4K解像度での表示が可能で、4K画像や映像などを見る限りではどの機種も私的にかなり満足度の高い結果となりました。Macでも4K表示を体験できたら良かったのですが、それだけが残念でなりません。。。
4K解像度においては、同じ画面の広さでもOSによって広く感じたりあまり変わらなかったりと変化があって、なかなか興味深かったです。いずれにしてもまだ完全に4K解像度に対応していると思えるOSは無いような気がしています。
■ 仕事用として使う(アプリ編)
古いアプリがどこまで使えるか。
今回は仕事用に使っているD751/Cをメインに、普段通りに仕事で使ってみて実用性を探ってみたいと思います。※実際の仕事の様子は公開できないので、画像は別途用意しています。
仕事柄アドビ系のアプリや3DCGアプリ(いずれも2世代前のバージョン)を使う事が多いのですが、ウインド内がツール類で埋まってしまって作業スペースが狭くなりがちです。今回4Kモニタを使用することで、その作業環境がどのように変化するのか興味津々でした。
なお、従来は24型モニタを使用してフルHD解像度(1,920 x 1,080)で作業していましたので、そのフルHD解像度と4K解像度との比較となります。
Windows 7の設定としては文字サイズを「大(150%)」に設定し、マウスの速度は最大に設定しています。その他テキストの太さ等を調整しています。
◇ Adobe Illustrator CS5(v15.1.0)
高精細さが際立つものの、ツール類が小さ過ぎ。
愛用しているメインアプリの一つです。バージョンアップを重ねるごとに便利になる一方で、起動や動作が重くなって開くツールの数もかなり増えました。CS時代に入ってツール類もかなり整理できるようになり、常に必要なものだけを出しておいて他は最小化して使うというのがすっかり定着していました。
未だに2世代前のCS5を使用
4K解像度で全画面表示すると、実寸的にツール類が従来の半分サイズに表示されるようになるので、その分は間違いなく広くなります。元々作業スペースはそれなりに確保するようにしているので、視覚的にはさほど広くなっていないのですが、テキストやツールボックスが小さくなっただけでかなり広くなったと錯覚してしまいます^_^;
4K解像度での編集画面(図形は100%表示です)
面積比1/4のフルHD解像度の画面を4Kと同じ見え寸に拡大した様子
見た目にはそのような感じなのですが、実際のPC内部では4倍の面積になっている訳なので、普段一番細いと思っている線幅よりもさらに細い線が表示できるようになり、潰れにくくなったため、より精度の高い作業、実際のイメージに近い表現ができるようになりました。
フルHD解像度で取扱説明書データを開いて50%表示にした時の見え方
4K解像度で100%表示した時の見え方(実際の見え寸はフルHDと同じです)
メニューバーのテキストやツール類の表示は1/2サイズなのにプルダウンメニューのテキストなど一部だけシステムの設定が反映して大きく表示されており、当初はかなり戸惑いましたが、何日も使い続けていたらかなり慣れてきて違和感が無くなってきました。人間の対応力って凄い!w
プルダウンメニューのテキストだけ大きなサイズになっていて不細工です^_^;
ただ慣れてはきたものの、ツールによって十字カーソルが見辛くなり、画面上で行方不明になることが多々あります。普段の1/2の細さになってしまうので仕方ないのですが、特にグレーの塗りの上だと完全に見えなくなりますので、マウス設定の「Ctrlキーを押すとポインターの位置を表示する」を初めてONにしました^_^;
さらに、マウスの速度を最高速度に設定しているので、うまくポイントを拾えないことがあります。かといってマウスの速度を下げると全体移動が大変なので、ポインタの加速調整ツールのようなものが欲しくなりますね^_^;
また、情報表示や数値入力欄などが狭くテキストも小さいため、普段の半分くらいの距離までモニタに近づかないと読めません。拡大鏡なども使ってみましたが、直感的じゃないので余計使い辛い感じでした。
なお、イラストレータ他の現行バージョン(CC)は4Kモニタに対応しているようなので、早く導入して欲しいと願うばかりですw
−−−<追記:2015.04.11>−−−
◇ Illustrator CC(2014)を試用
仕事用としての本採用はまだなのですが、アピールがてらAdobe CCの体験版をインストールして、4K解像度で試してみました。噂通りに4Kモニタに対応しており、非常に快適に操作できます。というよりフルHDの解像度で操作しているのと全く変わりません。
Illustrator CCの設定画面、赤線で囲った部分UIを調整できます。
好みに合わせたサイズに設定をすれば、フルHDからも違和感無く移行できます。
それでいて、4K解像度の良い点(より細い線が表現できて精細)はしっかり生かされているので、これは非常に良いです!
◇ Adobe Photoshop CS5(v12.1)
補助線などが邪魔にならない快適さ!
こちらも古くから愛用しているアプリで、Illustratorと同様にこれ無しでは仕事にならないほど頼りにしているものです。こちらも2世代前のものですが、私の使いたい機能は全てあり、特に不自由もしてないのでそのまま使い続けています。
UIが黒くなる前のバージョンです。
D751/Cに増設したQuadro K600は「10.7億色(30bit:RGB各10bit)」表示に対応しており、設定にて有効にするとPhotoshop CS4以降で10.7億色表示が可能になります。
早速10bitが適用できる設定にしてみました。
グラデーション等の表現に差が出るそうです(QuadroのHPから引用)
しかしながら、見て明からに分かる程の変化は確認できませんでした。やはり機械の性能は上がっても私自身の性能が低いのがネックになりますねw
さて、Photoshopの使用感ですが、基本的にAdobe製品はツール類の作りが似ているので使い勝手はillustratorとほぼ同じです。多使用違っているのは、UIのフォントサイズを少し大きくできるので、それだけでもかなり助かります。
4K解像度での編集画面(画像は100%表示です)
面積比1/4のフルHD解像度の画面を4Kと同じ見え寸に拡大した様子
4K解像度にして良かったと思う点は、選択した時の点線やガイドライン、グリッドなどの補助線が細く表現できるようになったので、それらが見た目に邪魔になりにくくなったことと、定規などの補助ツールの幅が細くなったので作業スペースを圧迫しなくなったことでしょうか。
グリッドが細いほうが作業しやすい!
少し気になるのは大きな画像を開いた時に瞬間的にパラパラパラッと表示される点でしょうか。以前は気になったことがありませんでしたが、表示するドット数が増えたせいでグラフィックスボードへの負担が増えているのかも知れません。
高精細な表示が可能になると弊害も発生します。それは画像の粗が目立ってしまうことで、今まで気にならなかった部分が気になってくると、余計な仕事が増えたりします^_^;
◇ Adobe Photoshop Elements 13(体験版)を試す
同じAdobeのPhotoshopシリーズで、Adobe Photoshop Elements 13は、高解像度モニタに対応しているということなので、ゲーミングノートに体験版をインストールしてみました。
確かに4Kにも対応しています。パッと見はフルHDと変わらないくらいにUIのテキストやツール類が大きく表示されています。2つ前のバージョン11と比較するとよく分かると思いますが、使いやすさは飛躍的に向上しています。
旧バージョン(v11)の画面、作業エリアは広いのですが、ツール類が小さい...
v13では4K解像度でも他の解像度と変わらない大きさで作業できます!
しかしながら、高精細さはあるものの画面の広さ感は全くなくなった感じがします。勿体ない気がしなくもないですが、作業効率的にもこれが正解と言えば正解なのでしょうね^_^;
−−−<追記:2015.04.11>−−−
◇ Photoshop CC(2014)を試用
こちらも仕事用としての本採用はまだですが、折角なので試用してみました。Illustratorと同様に環境設定からUIの高解像度対応設定をオンにすると、上のAdobe Photoshop Elements 13と同じように見易いUIで使用できるようになりました。
Photoshop CCの場合は、何故か「試験機能」となっていて機能としてはまだ限定的な感じです。
UIのテキスト表示が大きくなって使いやすくなりました。
やはり、画像の精細さやガイドラインの細さなど4K解像度に設定した時の良さを生かしつつ、扱いやすいUIになって、とても使いやすいと思いました。これでようやく本製品の性能を余すこと無く使いきれるような気がします^_^;
◇ Shade 13 Professional(v13.2.1)
作業スペースが広くなったと実感できる!
ピクサーばりの3DCGは描けませんが、簡単なものは3Dで描いています。以前は全てIllustratorとPhotoshopで描いていましたが、苦労して描いた後でもう少し横から見たいという要望があったりすると心が折れるので、3Dで描くようになりました^_^;
他にストラタ3Dもありますが、Shadeばかり使っています。
Shade 13の基本画面はメインツール類を内包したシングルレイアウトとツール類を分離したセパレートレイアウトがあります。セパレートに設定すると4面図を大きくできるメリットはあるものの、ツール類が煩雑になり収拾がつかなくなることがあるので、専らシングルの配置で使っています。
作業中はオブジェクトブラウザで図形の管理をするのですが、オブジェクト名やオプション項目を表示すると幅を取ってしまい、その分4面図が圧迫されて狭くなります。(最小化は可能)
フルHD解像度での作業画面、四面図が狭いです。
本製品にて4K表示にすると、劇的に4面図の領域が増えます。その分UIのテキストは小さくなって見辛くはなりますが、アドビ製品よりも作業スペースが広くなったと実感できると思います。おそらく実スペースの拡大に加えて、潰れずに表示できる線の幅が1/2まで細くなったからだと推測しています。
ツール幅が1/2になっただけでこの広さ感!
こちらもIllustratorと同様に高精細になった分、図形のディテールがハッキリとして見やすくなりました。特に、Photoshopと同じくグリッドなどの補助線が細く表示されて邪魔にならないのが嬉しいですね。
レンダリング品質も確認しやすくなりました。
今までは縮小表示にして全体が入るようにプレビューしていましたので、ディテールまでは確認できませんでしたが、フルHDサイズ程度のレンダリングであれば等倍で画面に入るようになったので、よりディテールが掴みやすくなりました。
残念なのは、テキストの拡大が中途半端に反映されていて、テキスト入力欄などの文字が読みにくくなってしまいます。システムのテキスト設定を変更すれば直りますが、今度は全て小さくなってしまって大変です^_^;
このままでも読めなくはないですが、あまり嬉しくない状態です。
◇ Shade 3D 15(体験版)を試す
Shade 3D 15が2015年3月21日に発売になったのですが、このバージョンから4Kモニタに対応したらしいので、早速体験版をインストールしてみました。
パッと見は13とほとんど変わらない感じです。
でも、並べて比較してみると一目瞭然!テキストが大きく読みやすくなりました。
少しいじった程度ですが、間違いなく操作性が向上しています。ツール類の幅を13と同じにしても全く問題ないので、フルHD環境の時よりも作業エリアを広く使えます。これは欲しい!w
やはりアプリ側の適切な4K対応は絶対に必要ですね。
◇ その他
予想外の恩恵もある。
仕 事でよくGoogleストリートビューを利用するのですが、スクリーンショットを撮る時に、より高解像度で撮れるのが良いです。少なくともいつもの2倍のピクセル数で撮れるので、後からトリミングしてもかなり良い画質のまま利用することが出来るようになり大変重宝しています。
それから、かなり古いファイルメーカーPro(v5)を使用しているのですが、古いバージョンながら「モニタサイズの拡張モード」を使用することで、テキストサイズなども含めて今までのフルHDの時と同じくらいの見た目サイズに拡大表示され、ほとんど違和感無く使うことができました。
◇ アプリ編まとめ
鮮明な表示はまさに仕事向き!
いずれのアプリにしても画面の広さ感より高精細でディテールがハッキリするという点が、仕事で使う上での4K解像度の魅力だと思いました。
あとはアプリはできるだけ最新のものを使った方が良さそうですね。
最近のアプリは4K対応のものが増えてきているようなので、その対応が進めばもっと使いやすいUIになってくると思います。ただ、その分画面の広さは犠牲になるかも知れません。
■ ファンクションボタン
DELLのモニタは今回初めて操作するので他の機種のことは分かりませんが、本製品のファンクションボタンはタッチ式ではなく物理ボタンなので、確実なクリック感があって押しやすく操作しやすくなっています。
光るのは電源ボタンのみでファンクションボタンは光りません。
また、4つあるボタンは最初にどのボタンを押しても同じメニューが出るので、深く考えなくて済みますし、各ボタンの位置に合わせてインデックスが表示されるので、次にどのボタンを押すべきかも直感的に分かる仕様なのが便利です。
どれか一つボタンを押すと表示される画面
一番上のファンクションはプリセットモードを選択するもので、予め明るさや色合いを調整したモードを選択できます。今回はいきなりカスタム設定で使用しています。
BL2411PTよりも色温度が低めの設定が多い
上から二番目のファンクションは入力ソースを選択するもので、「DP」「mDP」「HDMI」の中から入力ソースを任意に切り替えられます。切り替えやすいファンクションです。
ケーブルが繋がっていない時は、いきなりこの画面が出ます。
上から三番目のファンクションは各種詳細設定を行うための「メニュー」です。ここから様々な設定を変更できます。(詳細は端折ります)
ここで様々な設定ができます(日本語表示も可能)
一番下は「取り消し」で、これを選択するとファンクションモードを終了します。
項目選択後のファンクションボタンの共通機能は、上から「上に移動」「下に移動」「決定」「取り消し(戻る)」となっています。たった四つのボタンなのですぐに覚えられますし、必ずボタンの横にガイドが出るのでとても使いやすく洗練されたファンクションだと思います。
■ ユーティリティソフトを試す
本製品には専用のドライバCDが付属しますので必要に応じてドライバをインストールすることができます。幸い今回接続したPCは全て何もせずに接続できましたが、このCDにはドライバ以外にもディスプレイ・マネージャーというユーティリティが入っているということなので、早速インストールしてみました。
インストールはほんの一瞬で終わります。
このDisplay Managerをインストールすると、本製品が接続されている時に限って画面の設定をソフト的にコントロールすることができます。
「基本」では、明るさやコントラストの設定に加えて、解像度の設定やプリセットモードをアプリごとに自動で切り替えるか、手動で切り替えるかなどを選択できます。
「自動モード」ではインストールされたアプリケーションに対してどのプリセットモードを適用するのかを個々に設定できます。アプリごとに明るさや色合いを変えたい人に向いていると思います。
「Easy Arrange」では開いたウインドウをレイアウトに合わせて配置できるようにします。画面を均等割して使いたい場合や複数のアプリを整列させておくのに便利です。
好みのレイアウトを設定して、開いたウインドウをその範囲に移動すれば、自動的に最適なサイズに拡大は位置してくれる面白い機能です。いつも決まったレイアウトの使い方をする人に持ってこいの機能ですね。
6等分に設定した例です。
黄色いエリアにウインドウをドラッグすると自動的に配置してくれます。
「オプション」ではスクリーンセーバーが有効になった時に減光したり、モニタをスリープさせることができます。
無くても何とかなるユーティリティですが、色々と便利な使い方を提案されているところが素晴らしいですね。アプリごとにプリセットモードを変えられるのは使いこなせればかなり便利だと思います。残念なのはWindows用しか用意されていないということでしょうか。。。
製品として不満に感じるところが少ない
他の4Kモニタが高過ぎると思えてくる!
「コストパフォーマンスに優れたPシリーズ」と聞くと聞こえは良いですが、何となくどこか手を抜いた製品というちょっとマイナスなイメージもありますよね?
そして、個人的な意見としてDELLの製品は「安さ重視」というイメージもありましたので、どうかなと思っていましたが、本製品を使用してみて、外観デザインや作り、仕上げ、そして4Kモニタとしてのクオリティ、入力ソースの豊富さ、ユーティリティの充実など、どこを見ても明らかに手を抜いたと感じられる部分はありませんでした。
そう、今回のレビューで不満に感じた部分は、ほとんどがOSやアプリといったPC側の方への不満であり、製品としては私には珍しく不満に感じるところがあまりない「どストライクな製品」でした!
これから同価格帯以下の4Kモニタが次々と出てくると思われますが、現時点では間違いなく「驚異的なハイコストパフォーマンスを実現した4K対応モニタ」であることは間違いないでしょう。さすが「手が届く4K」「身近になった4K」と話題になっているだけの事はあります。
このような「安さ重視」は大歓迎ですね。それにしても、そもそも4Kモニタがどうしてそんなに高いのか、むしろそちらの方に疑問を感じてしまいますね^_^;
■P2715Qまとめ
・デザインはほんのり丸みがありバランスよくまとまっている(○)
・本体は組立が容易で、可動部分は柔軟で扱いやすい(○)
・ファンクションボタン類は操作しやすく分かりやすい(○)
・DP、mDP、HDMI、USBなど入出力端子群が充実している(○)
・程よくアンチグレア処理されたIPSパネルは見易くコントラストも良好(○)
・用途に応じて応答速度の切替が可能(○)
・4K解像度表示(60Hz)は鮮明かつ応答性が良く、映像にも向いている(○)
・10.7億色(30bit)表示が可能ながら違いが分からず...(△)
・プロシリーズであるものの色空間の設定がsRGBのみ(△)
・音が出ない ※オプション扱い(△)
※余談...
一般的に4Kモニタはまだまだ高嶺の花という認識がある中で、本製品を使っていると注目の的になること必至だと思っていたのですが、黙っていると意外と誰も気が付かないものなのですね。そこがちょっと寂しいところです^_^;
4K環境をフルに生かすにはソフトが重要な鍵となる?
4K解像度を体験するまでは、PCで作業をする上で画面サイズは重要だけど、解像度はフルHDがあれば十分で、それ以上の解像度はテレビや動画以外には使い道が無いと考えていました。
しかし、今回初めて4K解像度を体験して、見た目の奇麗さだけでなく、色や線の緻密な表現や再現性の高さなどから、PC作業に高解像度は不要という考えは誤りであるという認識に変わりました。
そして、「これからもっと4Kモニタは普及するに違いない!いや、そうあるべきだ!」と強く感じた次第です。レビューのはじめの方で「家のテレビすらまだ4Kじゃないというのに...」と書きましたが、毎日使っているうちに「PCモニタの方が先に4K化するのは、むしろ必然」とさえ思えるようになりました。
OSレベルでは、ある程度高解像度に対する対応が考慮されていているものの、ソフトの方がまだまだ未対応のものが多く、小さく表示され過ぎて見辛かったり、中途半端にOSの設定を反映してしまい、返って操作性が悪くなっていたりと、不満を挙げるとキリがありません。
ということで、4K対応モニタを使うならOSは勿論のこと、使いたいソフトの高解像度への対応が必須になると思います。
幸いなことに私が愛用している主要なアプリケーションの最新版は、すでに4Kに対応する機能を盛り込みつつあるようなので、是非対応バージョンにアップグレードしていきたいと思います。
■PCとの接続結果まとめ
・富士通 D751/C(Windws 7):4K表示OK(DP)
・G-Tune i420BA1-SP(Windows 8.1):4K表示OK(HDMI)
・Mac mini Mid 2011(Mac OS X 10.9.4):フルHD(HDMI)※mDP不可
・Chromebox:4K表示OK(HDMI、DP)
■ソフトまとめ(私見です)
・Windows 7は4K対応は想定外ではあるが、文字サイズの変更等で何とか使用可。
・Windows 7+4K環境では起動・切替ごとにウインドウサイズや移動が必須。
・Windows 8.1は4Kに対応しており、設定次第で違和感なく使える。
・Chrome OSは4Kに対応、設定次第で違和感なく使える。
・Mac OS X 10.9.4はHiDPI対応とのことだが、今回は表示不可だった。
・4K画像・映像はとても奇麗で高精細、逆に粗があると目立ちやすい。
・旧ソフトも4K環境下で使用可能、ただし文字やツール類が小さくなる等の制約あり。
・4K対応アプリは最適化されていて非常に快適、反面、広さ感が望めない場合がある。
・細かい線も綺麗に表示されるので仕事用にも向いている。
最後に…
まだ使い始めて間もないので、しばらく使っていく事で印象が変わってくるかも知れません。また、若干不足している部分や試したいけど今は試せないことなどがあるかも知れません。その時は追記という形でご報告できればと思っています。
以上でひとまずレビューを締めたいと思います。つい書きたい事が色々あって止められず、長文になってしまい大変申し訳ありませんでしたが、最後までご覧頂きまして本当にありがとうございました。
2015年03月末
追記(2015.06.26)
仕事用のPCに接続して、ほぼ毎日(1日12時間以上)使用していますが、初めの頃こそ4K非対応のアプリを使用していたため、文字の大きさなどから目が疲れやすくなっていましたが、4K対応アプリにアップデートすることで、目の疲れもなくなりとても快適になりました。
今のところ本製品に対する不満という不満は全くありません。
しかしながら、4K対応アプリにしてからPC側のグラフィックスボードの性能が追いつけないというか、頻繁にビデオメモリが不足する事態が発生しており、その度にアプリやシステムの再起動を余儀なくされていますorz
特にAdobe Illustrator CC(2014)で重めのデータをいくつも開いていると再描画が思うようにできなくなり、残像やらで画面表示がグチャグチャになったり、突然落ちたりして不安定な状態になります。CS5では問題なかったのでCCになってビデオメモリへの負担がかなり増えているようです。
描画のクオリティを下げれば多少良くなるようですが、折角の高精細モニタを活かせないのも悲しいですし、2K解像度に落とす手もありますが、4Kモニタでの2K表示は正直あまり綺麗ではない(4Kに慣れたせい?)ので、昔の解像度には戻れません。。。
現在は一度に開くデータを減らしてやりくりしていますが、1日に何回かは「あわわわ」となります^_^;
ということで、4K環境は予想以上にグラフィックスボードに負担を掛けているようなので、もっと器の大きなものに交換したいところです。とはいうもののそれなりに快適そうなモノはかなり高価なので気軽に購入できそうもありません…
できれば、このクラスのグラボが欲しいなぁ。。。
ここで、もう一度言いますが、
本製品に対する不満という不満は全くありません。
タコシーさん
2015/03/28
4K高精細モニターでグラフィックソフト、ペイントソフトなどにはかなりメリットが
あるようですね...段々パソコンモニターも4K等にシフトしていくのでしょうね
WINDOWS7でのソフト毎の解像度忘れ?はOSの仕様みたいです
WIN8.1ならきっちり覚えていますね 蛇足的ですが...
izappyさん
2015/03/28
ありがとうございます。
今回色々と試してみて、4K時代はもうすぐそこまで来ていると思いました。
ウィンドウサイズの位置は、特にモニタの電源をオンオフしただけでリセットされてしまうのがツライです。しかも4K解像度のみの時限定なのが、さらに悲しいところです^_^;
karariさん
2015/03/29
Quadro K600でのレビューがあったのが嬉しいです〜。
ツールバーが小さいのがアレですが、実用的に問題なさそうだし
モニタ自体の価格設定も魅力的なのでAdobeCCで試してみたいですね。
このモニタ、裏返すとタブレットみたいでスッキリしてますねぇ。
Chromeboxでも使えるんですね!我が家でも使ってみたいな。
izappyさん
2015/03/29
ありがとうございます!
Quadro K600はエントリーレンジクラスのモデルなので、普段これといって凄いところも無くて、影の薄い存在だったのですが、今回の4K表示で見直したというか、私の中で一気に存在感が増した感じです^_^;
実は、タブレットみたいに手のひらに乗せているシーンを写真で撮ろうと思いましたが、思ったようなシーンにならなくてボツになりましたw