1.はじめに
比較対象の無線LANルーターは、約1年前にプレミアムレビューで使わせていただいた、
I-O DATA IEEE802.11n準拠 300Mbps(規格値) 無線LANルーター WN-G300R
と比較させていただきます。
自宅の周りでは、2.4Ghz帯でのチャネルの空きも少なく、だいぶ混雑しており、
2Fに設置したことで寝室での通信状態はよくなりましたが、1F居間やトイレなどでは、弱くなる状況が多くなりました。
合わせて、スマホ3台、タブレット2台、場合によっては、PC2台、プリンタ1台がWifiを使っており、ネットワーク自体もだいぶ混雑するようになってきました。
最近は、Wifi内臓SDカード EyeFi
を購入しましたが、電波のつかみが悪いのか、異常に転送が遅い事態になっています。
最近、無線ルーターを1Fの高い位置へ持ってきたところ、いくらか改善しましたが、利用台数も多く、私がPC、タブレット、妻がスマホ、子供たち3人が、タブレット2台、スマホ1台で使うとレスポンスが悪くなり、文句を言われる始末。。。
これを何とかしないとなぁ、、、というところに、今回のレビューに選出していただきました。ベストタイミングですw
上記無線ルーター(以下 WN-G300R)は、2.4Ghz固定のn規格までの無線ルーターで、今回レビューさせていただく、Nighthawk R7000(以下R7000)は、仕様からみても違いが分かる製品となっています。
■主な仕様の比較
見ていただいてわかるように、だいぶ違いますね。
WN-G300Rは、実売2,500円程度で購入できる製品ですが、R7000は実売23,000円と10倍近い価格差があり、その違いがでているようです。
我が家のWifi事情を改善してくれる救世主となってくれるでしょうか。
2.初期設定と環境説明
レビューテーマとは関係ありませんが、初期設定します。
R7000を使うにあたり、セキュリティや細かい設定にこだわらなければ、すぐにでも使えます。
接続に必要なものはすべて入っています。
ACアダプタは、ちょっと大きいですが、Netgearさんの機器のACアダプタは細身のため、タップにさしても隣のコンセントを邪魔しないようになっています。
これは、職場でも、Netgearさんのスイッチを使っていますが、共通なんですかね。高さは機器により違うようですが、みんな細身です。
付属してきたLANケーブルは金属でカバーがついており、最初CAT7か?と思いましたが、CAT7の記載がないのでCAT7ではないようですね。
本体です。
結構でかいです。ちょうど、10インチクラスのタブレットを横持ちで立てたくらいの空間が必要です。
居間のTV横のAVラックの最上段に設置することにしました。
2Fへは、アンテナの角度を調整して飛ばすことにします。
ルーター機能は使わず、APモードで使用していきます。
すでにあるルーターでDHCPが有効な状態で、APモードで無線LANで接続して、インターネットへ接続できればいいのであれば、接続はすごく簡単です。
付属の黄色のLANケーブルを本体の黄色いLANポートへ接続し、もう片方を自宅のHUBやルーターのLANポートへ接続して、R7000の電源を入れるだけです。
初期設定のSSIDとパスワードでつながります。
2.4Ghzと5Ghzどちらも同じパスワードです。5GHzはSSIDに「-5G」がついています。
この状態だと、有線側と無線側のネットワークは分離され、お互いの通信が制限されるため、レビューするためには都合が悪いのでAPモードへ明示的に変更して同じネットワークで作業したいと思います。
■APモードへの変更
1.ブラウザが使えるスマホやタブレットで、Wifi接続します。
2.ブラウザから、「hhtp://www.routerlogin.net/」を入力し、接続します。
3.IDとパスワードを入力します。初期値はID「admin」、パスワードは「password」です。
4.「高度」タブクリック→左ペイン一番下の「高度な設定」クリック→ワイヤレスAPをクリック
5.「APモード」を有効にするをチェックON
※ チェックと同時に画面下にAPモード時のIPアドレス設定が表示されます。
IPアドレスを指定する場合は、設定してください。
6.画面上部にある「適用」をクリックでR7000が再起動します。
※その後、DHCPよりIPを再取得しますので、IPアドレスが変更になります。
※なぜか、「http://www.routerlogin.net/」ではつながらなくなります。
※NetgearGenieへは、http://再取得したIPアドレス/ でアクセスできます。
自宅内の各所で、新旧のネットワーク状況を探る作業に移ります。
各端末で、無線LANの電波強度、リンク速度、転送速度、などを比較していこうと思います。
各測定ポイントでの電波状況と通信速度
3.Nighthawk R7000 の使用前後について
さっそくレビューしていきます。
自宅内の計測ポイントを書きます。簡単に間取り図を書きました。
P1~P6が計測ポイントです。
グレーの丸はルーターの設置場所です。上側がR7000、下側が比較対象のWN-G300Rです。
P6は思いつきですが、屋外の庭になります。外壁が濃いグレーのガルバニウム鋼板なので電波を通しにくいかなと思ってやってみました。
比較に使う機器ですが、複数端末を実施する予定でしたが、時間が取れずスマホのみです。
・我が家唯一のAC対応のスマホ GalaxyS4 SC-04E
メインマシンのデスクトップにFTPサーバーを立ち上げ、そこに対してGETの速度を使おうかと考えていましたが、Android機は端末自体のストレージの速度がネックになるようです。
実速度とは違いますが、参考程度に各端末から、大きいパケットサイズのPingを実行し、レスポンスタイムから転送速度を計算しました。
パケットサイズ*2(往復分)(バイト) / レスポンスタイム(秒)≒ 転送速度(バイト/秒)
この方法だと、アプリを使わず、HDDのボトルネックも関係なく純粋にネットワークの速度を簡易的に調べることが可能です。できるだけ大きなパケットサイズを使ったほうがいいです。
65500バイトのパケットが、3msで戻って来た場合、
(65500*2)/ 0.0003 ≒ 43666666.66666… ≒ 44メガバイト/秒 *8 ≒ 352Mbps
となります。
いろいろな方法で速度を調査しましたが、向きや環境に非常に左右されやすいようです。転送速度は参考程度にしてください。
という結果でした。
ベストスコアに色付けしましたが、リンク速度に対して速度が出ていませんね。
FTPで測定しても同じくらいの速度でしたので、おおむねあっていると思います。
WN-G300Rに比べ全体的に速度が出ていることはもちろん、屋外でもそれなりに使える速度ですね。
この表からわかることは、距離に影響されず、安定した通信ができていると思われます。
電波状態が一番悪かった屋外で、Youtubeで動画を見てみましたが、R7000ではたまにカクつくこともありましたが、普通に見れました。WN-G300Rは途中で止まってました。
実際に使った感じでは、屋内にいる分には、Youtube鑑賞、ネットサーフィンにおいて、それほど違いを感じることはありませんでした。
スマホでは上記のようでしたが、参考までに、ノートパソコン
と、2.4Ghzしか対応していないので、AC対応子機
で、Android機でできなかった、FTPダウンロードで検証をしてみました。
スマホよりも速度出ますね。
5Ghz帯では屋外利用はNGですが、検証ということでやってみましたが、リンク速度は出るものの外壁にはかなわないようで、速度が出ませんでした。FTPセッションも切れてしまいまともにコマンドが完了しませんでした。
2.4Ghzは、遅いながらもダウンロードもできました。遮蔽物に強いことがわかりました。
100Mbpsも超えることもあり、有線接続と変わらないですね。
■複数同時利用したらどうなる?
次に、複数端末にで同時に帯域を使った場合はどうなんでしょうか。
Windows機2台、Android機1台でFTP取得中に、別のAndroid機でYoutubeの動画を鑑賞してみました。
まずは、WN-G300Rで試してみました。
案の定、動画が頻繁に止まり、まともに見れる状態ではなかったです。
FTPは、Windows機で1台約50Mbpsほど使っていましたので、約100Mbpsを使い切ってます。
そのため、動画は帯域を使うことが許されず、カクついていたようです。
今度はR7000の5Ghz帯で試してみました。
FTPは50Mbps~100Mbpsとばらつきがありましたが、早かったです。
動画も普通に再生できました。
多分、有線部分の帯域がネックになっていたのだろうと思います。
無線部分も速度が必要ですが、有線部分が1Gbpsというのも重要だと思われます。
バックアップサーバーをつくってみた。
4.Nighthawk R7000 で家庭内サーバーを構築
USB3.0搭載のルータにUSB-HDDをつけて、これをバックアップサーバーにしてみたいと思います。
レビュー応募前に公式サイトを見ていると、専用ユーティリティー ReadyShare VaultというユーティリティでルーターにつけたHDDへ自動バックアップができると書いてあります。
http://www.netgear.jp/products/details/R7000.html
さっそくこのツールを使ってバックアップサーバーを作ってみたいと思います。
まずは、USB3.0接続のHDD、「I-O DATA USB3.0/2.0接続 外付ハードディスク 1.0TB HDCA-UT1.0KB」
今はメインPCへつなぎっぱで、付属ユーティリティーで気が付いた時にバックアップしています。これを、R7000へつなぎかえて、バックアップ用にします。
ひとまず、HDDをPCから取り外し、R7000の横へ設置します。
USBケーブルをルーター前面のUSB3.0ポートへつなぎます。
USB3.0ポートだけなぜ前面だったのでしょう?
せっかくのスタイリッシュな顔なのに。。。そのうちスリムなケーブルで対応したいと思います。
USB-HDDはすぐさま認識したようです。LEDもブルーなのでUSB3.0接続です。
ルーターの管理画面で、認識したことを確認します。
ブラウザからログインして、「基本」タブの「ReadySHARE」をクリックします。
共有名が出ているので、Explorerからアクセスしてみます。
※ 最初の数回は、共有が見つからないと怒られましたが、1分ほどで見えるようになってました。
TVとかの録画用HDDとは違い、初期化せず見えました。
なので、取り外しても、PCで中身を利用することが可能です。
どのくらい速度が出ているか試してみました。
ネットワークドライブを割り当てて、CDM取得します。
別のUSB3.0接続のSSDでも試しましたが、シーケンシャルは同じでした。
シーケンシャルに関しては、あまり出ていませんが、HDDなのに4K QD32がそれなりに出ています。
PC直接つないでCDM
PCへ直接接続したときよりランダムが出ているのが気になりますが、ランダムアクセスが早いと体感が早くなるので期待できます。
シーケンシャルも、ネットワーク帯域フルに使って100MB/sくらい出ちゃう?とか思ってましたが、大体このくらいのようです。
気を取り直して、バックアップ機能の公式ツール「ReadySHARE Vault」を使ってみようと思います。
公式サイトから、ダウンロードの中に、「ReadySHAREダウンロードページ(日)」とあるのでそこからダウンロードします。
対応ルーターが日本未発売と書いてますが気にせずダウンロードします。
Windows8.1 UpdateなPCへインストールしました。
途中で、R7000を探すようです。見つからないと怒られてインストールを続行できませんでした。非対応なんでしょうか?
2014.06.23追記:
Windows8.1UpdateなPCで、無事見つけてもらえました。詳細は下部に記載。
試しに、米国のサイトからReadySHARE Vaultを落としてみましたが同じです。
ファイアーウォールもOFFにしたりしましたが、ダメです。
サーバーOS WindowsServer2008R2にインストールしてみました。
今度はR7000は見つけたようですが、ServerやEnterprise版はダメと怒られました。
互換モードもダメです。この時点で、ReadySHARE Vaultでのファイルサーバーの自動バックアップはダメということがわかりました。
まとめると、ReadySHARE Vaultは、
・日本サイトでは対応をうたっていない。(製品ページでは、対応しているような表記)
・現行Windows8.1UpdateなPCでは動かない。(セットアップが進まない)
インストール後、NetgearGenieをアップデートすることで対応されていました。
・ServerOSには非対応、また、各Enterprise版も非対応らしい。
(セットアップは完了するが起動しない)
・デスクトップ版設定アプリ(NETGEAR Genie)ではReadySHAREには非対応と表示される。
ということで、今後のアップデートに期待します。
2014.06.23 追記:
本日、Netgear Genineを立ち上げたところ、バージョンアップの案内が来ておりました。
そこで素直にバージョンアップしたところ、未対応の文字が消えていました。
そして、ReadySHARE Vaultもインストールが完了することができました。
英語すぎて、使いこなすまで時間かかりそうですが、後日使ってみたいと思います。
ただ、バージョンアップしてもServerOSやEnterprise版のOSには対応はしていないようです。
クライアント用のバックアップソフトとして使うのがよさそうですね。
デフォルトで一通りのユーザーデータをバックアップしてくれるようです。
これなら、英語が苦手でも、特別意識することなく「Dashboard」の「Start Smart Backup Now」ボタン1つで、PC単位のバックアップができそうです。
それではレビューにならないので、共有フォルダとしては機能するので、
フリーのバックアップツールでやってみたいと思います。
使用するフリーソフトは、「FreeFileSync」を使います。
http://sourceforge.net/projects/freefilesync/
このアプリは指定したディレクトリーを別のディレクトリーへ同期するソフトです。GUIもシンプルで見やすいのですが、多機能で世代管理やバッチ登録もできる優れものです。
Linux版もありますが、ソースからのビルドが必要です。ライセンスはGPLv3です。
フリーソフトの説明はレビューからそれてしまうので割愛します。
基本フォルダ同期ソフトなので、同期元フォルダ(バックアップしたいフォルダ)と同期先フォルダ(R7000のUSB-HDD)を設定し、同期ボタンで実行できます。
バックアップが目的なので、同期方向を一方向に設定して利用します。
バックアップ速度はファイルコピーと同じですね。
このバックアップ設定をファイルに保存し、タスクスケジューラー等で、FreeFileSync.exeの第1パラメーターに設定し、定期的に実行すれば自動バックアップができます。
ひとまず、これでバックアップサーバーとして機能しました。
一応バックアップサーバーとしましたが、これ自体をファイルサーバーにしてもいいですね。
R7000についているUSB2.0ポートにもう一台USB-HDDをつけて、バックアップするやり方も可能だと思います。
R7000に接続したUSB-HDDですが、常時電源が入った状態になるようです。
省電力機能で、使わない時はHDDの動作を停止できると、よかったかなと思いました。
話はそれますが、バックアップは重要ですね。なくしたデータはお金では買えないですから。。。
以前、プレミアムレビューで記憶域プールの双方向ミラーを使いましたが、それとはまた別にバックアップは重要だと思います。
ミラーは、誤って消したファイルもミラーされるので、ハードウエアの障害には強いですが、ファイルの紛失や復元にはやはりバックアップが最強です。
5.無線のつかみが悪い機器での評価
こんな感じで、同じ場所でもWifiのつかみが悪い機械ってあると思います。
我が家では上記のスマホ GalaxyS2もつかみが悪いです。2.4Ghz帯で乱立していると、
つながらないこともあるほどです。
今回は、eyefiカードも同じようにつかみが悪く、5MBほどのJpegファイルを転送完了するまでに1分ほどかかっています。
これをR7000にすることで、アップロード時間に変化があるかを試してみます。
eyefiカードは5Ghzに非対応ですので、2.4Ghzのみで変化があるかをやってみました。
カードへ、R7000のAPを登録したあと、適当に写真を撮りました。
共有フォルダへ格納され、Picasa上で検知されるまでの時間を比較します。
WN-G300R 約60秒
R7000 約20秒
圧倒的です。40秒も短縮されました。
電波のつかみが悪いクライアントにも、ビームフォーミングで電波を集めてくれたのでしょうか?
残念ながら、eyefiカード上の電波の強度を測ることができませんが、少なくとも転送速度は上がっているようです。
6.まとめ
「Netgear R7000 Nighthawk AC1900 Smart WiFi Router」ですが、国内メーカーではないため、とっつきにくい感じがしますが、非常に高いコストパフォーマンスと、その安定した性能に驚きました。
職場でも、Netgear製品は試験用のハブや島ハブに使ったり、10Gbps-Tの8ポートスイッチ(実売20万以下)でSANを作ったりと大活躍していますので、個人的には職場でも推しているメーカーでもあります。
安いだけじゃなく、この手の機器に詳しくない人でもつなげばすぐ使うことが可能、設定変更のための管理画面も通常の使い方であれば、迷うことが少なかったと思います。
コスパだけでなく、性能や、使いやすさも兼ね備えていると思います。
逆に、あれこれ弄りたい、こだわりユーザーに対しては、管理画面などで、詳細の項目を選択した後に表示されるようになっており、設定項目を探すことが多かったと思います。
(LAN側を固定IPに設定する、無線認証にWPA2-エンタープライズでRADIUSサーバー設定等)
R7000にしたことにより、無線LANの速度が向上し、5Ghz帯を利用したことで、混線から解放され通信も安定したと思います。
家族からは禿げ頭みたいと言われましたが、3本のアンテナにより、電波の到達範囲も拡張され、よりよい環境とデータのバックアップ環境が構築できました。
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。