レビューメディア「ジグソー」

灼熱地獄にも耐える高耐久SSDでした!


自分のSSDでは絶対に試したくない私のGIRIGIRI限界チャレンジは、"耐熱性"です。
CPUは、GIRIGIRI働かせると大量の熱を発生します。
PCには、CPU以外にもグラフィックボードやメモリ,HardDiskDrive,高速で動作するRAIDカード等発熱するパーツが沢山あります。
更に、ノートPCのように筐体が小さければ小さいほど、内部で発生した熱は周りの機器に伝わり、機器に様々な影響を与えます。
SSDは、自身の発熱以外に周りからの熱の影響を受けて、それなりに過酷な環境で動作していると思います。
CPU自体、排熱が追いつかない場合、"熱暴走"となり、ブルースクリーンになったり、正常な動作が行えなくなり、最悪、CPU自体が破損することになります。
当然のことながら、SSDも電気パーツで構成されているので、目一杯働かせればそれなりの熱が出ると思います。
勿論、SSDは、CPUに比較すれば、遥かに小さな発熱量ですし、今回レビューさせていただくSSDは、更に低消費電力(=発熱も少ない)なので、どれだけ発熱するかもわかりません。
そこで、SSD自身が発生した熱を極力排熱させずに動作を続けたら、どのような挙動になるのか?
これが、私のGIRIGIRI限界チャレンジです。


インテル SSD DC S3500 シリーズのデータシートを見てみると、保存温度が-55℃~+95℃(動作させない状況での温度範囲にあれば、物理的に壊れることはない温度範囲)、動作保障温度が0℃~70℃となっています。
つまり、70℃迄であれば、SSDとして正常動作をインテルが保証しています。
なので、DC S3500をスペック通りに動作させたければ、SSDを70℃以下で動作させられる環境を作ることが必要です。
70℃を超えた場合、SSDが正常動作しない訳ではなく、正常動作が保証されていないことを意味します。
私が目指すものは、動作保障温度以上の高温下でのSSDの挙動を調べることです。
最近では、部品の工作精度も高いので、商品の個体差は少なくなっているとは思いますが、今回レビューさせて戴く個体1基での検証となります。
SSDを高温下に置くため、ノートPCに入れてPCに過剰な負荷をかけ、CPUを熱暴走させても、その時のSSDの挙動を知ることはできません。
そこで、SSDをPC本体から外出しにして、SSD自体が発する熱が排熱できないとどんなことになるのか検証してみたいと思います。


今回レビューさせて戴くインテルSSD DC S3500は、データセンター向けのハイパフォーマンス,高信頼性のSSDです。
SPEC.
SPEC.

スペックを見ると、シーケンシャルライトこそ最新の民生用SSDに劣りますが、4Kリード/ライトは圧倒的なパフォーマンスなので、正にデータ読み書きが頻繁に発生するデータセンター向けではないでしょうか。
今回レビューさせて戴くSSDは、1.8inch 240GB SSDのバルク版でした。
個装箱
個装箱

2.5inch SSDと比較
2.5inch SSDと比較

当然インターフェイスも、Micro SATAインターフェイスで、一般的なSATAケーブルや電源ケーブルも使えません。
私は、たまたま Micro SATA > SATA変換アダプター AREA 変換基盤 砧を持っていたので、1.8inch SSDに装着して、SATAケーブルと電源を挿してみると、問題なく動作しました。
変換アダプターを装着
変換アダプターを装着

AREA 変換基盤 砧は、1.8inch SSDに装着すると、2.5inch SSDとほぼ同じ高さになるので、この変換アダプターを装着して、ノートPC等の2.5inch SSD/HDDスペースに設置することが可能です。
先ずは、Crystal Disk Info.

次に、お決まりの Crystal Disk Mark Nano Pico Editionでのベンチマークです。


私が所有している他のインテルSSDと異なり、ランダムデータでも圧縮に向いている 0 Fillデータでも、ベンチマークの値の差が殆ど見られません。また、4Kライト,4KQD32では、圧倒的なスコアが出ました。シーケンシャルリードの値がスペックシートと比較すると低く出ていますが、これは、SATAコントローラー(インテル Z87 Express チップセット)とSSDの間に変換基盤を挟んだせいかもしれません。
それにしても、見かけ倒しではなく、本物の高速SSDの証だと思います。
今回は、このSSDをデータドライブとして使い検証しますが、起動用に使ってみたいスペックです。


SSDは、HDDと異なり物理的に回転する構造物はありませんが、可能な限り、高速の読み書きを連続で行うことで、SSDも発熱するはずです。
当初、UASP(USB Attached SCSI Protocol)対応のHDDケースに、SSDを入れて検証する予定でした。私の経験では、USB 3.0 UASP対応のHDDケースでは、SATAポート接続と同程度の速度が出るため、SSDのGIRIGIRI性能を引き出すことができると考えました。
しかし、HDDケースのインターフェイス自体がSSDの熱や、ケース自身の出す熱の影響で動作不良になる可能性があるので、動作不良を起こした際の原因に切り分けが難しくなってしまいます。
そこで、SSDをデスクトップPCのSATAポートに直接接続することにしました。
デスクトップPCから、SATAケーブルのみをケースの外に出し、SSDはACアダプターの電源で駆動します。
そうすることで、SSDの熱に対する耐性を検証出来のではないかと考えました。

SSD自身が発熱する熱を、余すことなく蓄えて逃がさないために、SSD自体を一度保温性のあるシートで包み、熱が外気に放熱されることを極力抑えるために、エアキャップを用いて何重にも包み、耐熱の加速度試験を行うことにしました。
断熱シートでSSDを包む(中にSSDが入っています)
断熱シートでSSDを包む(中にSSDが入っています)

Micro SATA - SATA変換コネクター
Micro SATA - SATA変換コネクター

更にエアキャップで包む(この時Micro SATA > SATA変換コネクターを装着)
更にエアキャップで包む(この時Micro SATA > SATA変換コネクターを装着)

そして、SSDを高速で読み書きさせ続ける手法ですが、当初は、35Mbpsという高ビットレートで記録したHD映像を、高ビットレートのままコーデックを変換すること。
これを全て同じドライブ(インテルSSD)で行い、その時のSSDの温度を計測してみようと考えましたが、この方法では、CPUには負荷が掛かるのですが、35Mbps=4.375MB/sなので、読み書き同時でもたいした負荷にならないことがわかりました。
実時間の半分で高速エンコードできても、SSDに対しては20MB/sなので、負荷試験になりません。

そこで、約30GB程度のサイズの大きなファイルの書き込み/読み込み/消去を繰り返せば、SSDベンチマークのシーケンシャルリード/ライトを繰り返す動作に近いものになります。
これで、SSDに負荷をかけることにしました。
尚、検証するSSDのシーケンシャルリードが、実測で400MB/s強 シーケンシャルライトが300MB/s弱なので、読み込み先の転送速度が300MB/s以上、書き込み先の転送速度が400MB/s以上のドライブを設定する必要があります。
自分のPCに搭載しているSSDに極力負荷を掛けたくなかったので、SSDに書き込む際には、RAID-0構成の東芝3TB HDDからデータを読み込み、書き出す先には、PCI Express接続SSDとしました。
これで、読み書き対象のストレージが、検証するSSDの読み書き速度のボトルネックになることはありません。
あとは。一連の書き込み/コピー(読み込み)/削除を繰り返すバッチファイルを作って準備は完了です。
バッチファイルの内容は、
1) HDDから、インテルSSDに約30GBのファイルをコピーする
2) SSDに事前に記録した約30GBのファイルを、他のSSDにコピーする
3) 検証するSSDと書き出したSSDに記録した約30GBのファイル2つを削除する
この動作を、30回繰り返す。
バッチファイル
バッチファイル



インテル Core i7 4770Kを搭載したASRock Z87M OC FormulaのSATAポート(Z87 Express)にSATAケーブルを挿して、ケースの外に引き出します。
IDE USB変換キット付属のACアダプターに、4P > SATA電源ケーブルを挿して、SSD用の電源にします。
全てを接続し、あとはバッチファイルを走らせれば、検証開始となります。

バッチファイルをスタートさせる際に、タスクマネージャーのパフォーマンスタブを開き、SSDの動作を監視します。
タスクマネージャー
タスクマネージャー

また、Crystal Disk Info.を起動して、SSDの温度も併せて監視します。温度計測のタイミングは、毎分及びバッチファイルが繰り返す度とする。
これまで、このようなSSDの酷使は経験がなく、また、私が所有するSSDにも大量の書きを行いますので、何時間もGIRIGIRI限界が見えなかったらどうしよう。
という一抹の不安があります。


バッチファイルを動作させて、約15分後には、メーカーの指定する動作保障温度を超えました。
約2時間連続で、約30GBのファイルを連続で読み書きさせましたが、検証時間の約88%は動作保障温度を超えての検証でした。
温度計測に関しては、最大86℃を計測しましたが、2時間中約5分間温度表示をはじめとする S.M.A.R.T.の情報がSSDから取れない時間がありました。
Disk Info 85℃
Disk Info 85℃

Disk Info ERROR
Disk Info ERROR

再計測できた際には、多くの場合温度が下がっていたので、高温下では動作速度を下げることにより、温度上昇を抑える機能が備わっているのではないかと思います。
検証結果
検証結果

表の転送時間は、約30GBのファイルを、HDDからSSDにコピー,約30GBのファイルを別のSSDにコピー,コピーしたファイルを削除する一連の動作を行った時間です。
メーカー動作保証温度以内の場合は、4分以内で一連の動作を行いましたが、動作保障温度を超えての動作では、最大6分以上掛かりました。
20回近く繰り返すと、温度上昇も抑えられ、転送速度も4分台で行えるようになりました。
今回の検証は、メーカーの動作舗装温度の範囲を超えて動作させることで、GIRIGIRI限界にチャレンジしましたが、80℃を超えても転送速度こそ抑えられましたが、動作自体は極めて安定動作を行い続けることができました。
さすが、データセンター向けというだけのことはあると思います。
検証結果 グラフ
検証結果 グラフ

このグラフは、棒グラフが転送に要した時間を表し、棒グラフが高い方が転送処理に期間を要したことになります。
動作保障温度の上限である70℃に横線を引き、1分毎のSSDの温度を左から右にプロットし、70℃以下を青丸,70℃を超えた時を赤丸のしました。
今回は、SSDの発熱を排熱させずに耐熱の加速度検証を行いましたが、一般的には、SSDは、パッケージの表面から排熱できるので、このような環境はあり得ません。また、PCの内部温度がSSDの温度より高い場合は、SSDは排熱できず内部温度と同じ温度になりますが、内部温度が80℃を超えるというのは、一般的には故障というのではないでしょうか。
そういった意味では、DC S3500は、劣悪な環境でも安定して動作する素晴らしいSSDだと思います。


今回は、SSDの耐熱性というテーマでGIRIGIRI限界チャレンジをさせて戴きましたが、とても良い経験ができました。
SSDの熱暴走で、壊してしまうのではないかと心配しながらのGIRIGIRI限界チャレンジでしたが、私の心配など意に介さないみたいに、黙々とファイルの転送を繰り返すSSDには頼もしさを感じました。
検証終了後には、SSDは直接触れないくらい高温になっていました。
このような耐熱性の高いSSDであれば、安心して大事なデータを任せられると感じました。
最後に、検証中のタスクマネージャーの動作にその時の温度を表示したビデオを作ってみました。120分を2分に縮めてあります。


このような貴重な経験の場を戴きました、関係各位の方々に、改めてお礼申し上げます。

コメント (30)

  • cybercatさん

    2013/10/14

    熱検証!
    自分の疑問にどストライクでした。
    プレミアムレビューさせて戴いたカクうす

    をケース

    に入れっぱなしで動作させていたところ結構熱くなって、ドライブを見失う現象が出たりしてましたので。
    これがSSD側の問題か、PC側の問題か特定できなくて。
    でもSSD側にはダメージなさそうですね。

    今は動作させるときはケース開けてますけど。
  • リンさん

    2013/10/14

    凄いテスト結果ですね。

    自分だったらこれはできなかったなぁ(>_<)

    SSDって、何度までも行けるイメージがありましたが違うんですね。

    データは消えないようですが…。

    大変参考になりました。COOLです☆
  • みっちゃんさん

    2013/10/14

    レビューお疲れ様です。
    限界チャレンジで"耐熱性"とは思いつかなかったです。
    すごい! SSDの利点の検証ですね(╹◡╹)
    繰り返しての検証とデータ量、発熱をみるとSSDってタフですね!
    たまにはDisk Infoで確認してみないといけないですね(笑)
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